9月議会の最終日、意見書の提案理由説明をおこないました。以下。
わたしは、提出者を代表し、議会議案第8号「コロナ禍における米価下落対策を求める意見書」について、提案理由説明を行います。
JAの概算金や仮渡しの価格が各地で明らかになってきています。
米の生産費の平均は60キロ当たり1万5000円台ですが、今年の県の概算金は、コシヒカリでみると、富山は前年比2000円減の1万1000円、福井は前年比2700円減の1万500円、石川では、前年比2300円減の1万1200円となっています。
米価下落の要因は、新型コロナウイルス感染拡大で、米の需要が激減したことです。外出や旅行の自粛、飲食店の休業や時間短縮などで、外食需要が落ち込みました。一斉休校による学校給食中止も大きく影響しました。
そして実は、昨年秋、過剰在庫がすでに積みあがっており、それを解消するには、2021年産の生産量を前年より36万トン減らす必要があるとして、政府は過去最大の作付け削減を打ち出しました。行政や農協を通じてなりふり構わず産地や生産者に実行を迫り、目標はほぼ達成されていたのです。
しかし、コロナ禍が長期化し、需要の減少が続く中、在庫が当初見通しを20万トン前後上回って新年度に繰り越されることが分かり、21年産の米価を暴落させ、22年産にも影響を及ぼしかねない事態になったのです。
こうして、今年6月末の米の民間在庫は、適正とされる180万トンを大きく超え、219万トンにまで膨れ上がってしまいました。過剰在庫が、米価を押し下げているのです。
この事態は農家のみなさんの責任でしょうか?日本の食と農を守るべく、コロナ禍の大変な状況の中で努力を重ね、安定した食料供給をしてきた農家のみなさんの頑張りに政治が答えるべきではないでしょうか。
これに対し、全国知事会から昨年と今年の国への要望の中にも、「米価下落が懸念されることから、新たに、米の政府買い入れによる市場隔離を実施するなど、主食用米の価格安定に向けた抜本的な対策を講じること。」という文言が入りました。
しかし、政府はここまで強力な対策を打たず、米価暴落で農家がどんなに困っていても、年間77万トンものミニマムアクセス米の輸入をやめようとしません。
振り返ると、安倍前政権は、米農家への戸別所得補償を廃止し、米の生産調整の配分をやめてしまいました。50年続いた「減反政策」をやめ、米の需給調整の責任を放棄したのです。政府は国会で「農家が自分で需要に合わせて生産をすべきだ」と繰り返し答弁していますが、まさに、自己責任論、新自由主義そのものです。
これまでの農政の結果、農業と農村の疲弊が進み、20年度の日本の食料自給率は、過去最低の37・17%となりました。農業従事者は2015年から2020年までの5年間で198万人から152万人へ、46万人も減少しました。農業は土づくりや環境整備に数年を要し、一度離農を招くと数年にわたって作物を作ることができません。現在の米価暴落による、さらなる離農を防がなければなりません。日本の米を守り、農業と農村を維持していくには、政治が責任をもつことが求められています。
よって、各議員へ今回の意見書へのご賛同をおねがいし提案理由説明と致します。