2021年12月14日
-大桑議員
国内で新型コロナウイルスの感染が確認されてから2年となります。相次ぐクラスター発生に医療や保健所の現場がひっ迫する状態が続き、感染への市民の不安が広がりました。わが党は、保健所の体制強化、医療や介護施設への補填、PCR検査を広く定期的に実施することなど具体的な提案を行ってきました。その具現化として、保健所の保健師の人員数やPCR検査の拡充、医療機関への補助などがか行われてきました。さらに9月議会でも、コロナ対策についてのわが党の質問に対して市長は「ワクチンの接種体制であったり、検査体制の強化、医療提供体制の充実、また経済的な支援等を行っていきながら、なしうる限りの支援策を取り組んでいきたい」と答えられました。そこで、これまでの感染状況を、感染拡大の要因や、クラスターの発生状況なども含め、どのように分析し、これからの施策につなげていくのかお伺いいたします。
-山野市長
これまでのクラスターへの対応について、第5波の感染拡大時までに発生した高齢者施設や飲食店などの集団感染に対しましては、保健所など行政が早い段階に中に入ることによって、対象者を拡大した速やかなPCR検査の実施が感染拡大の防止に有効であったというふうに思っております。また、特に第5波のときには家庭内でのこどもへの感染が増えましたことから、家庭内における感染対策の重要性というものが明らかになりました。今後の対策としては、高齢者等の入所施設を対象に行っています実技を取り入れた研修会を引き続き開催し、集団感染の未然防止を図るとともに、子育て家庭向けのリーフレットの配布などにより、家庭内感染の予防に努めていくこととしています。
-大桑議員
福祉健康局内において、これまでの新型コロナワクチン接種実施本部が改編され、新型コロナワクチン接種推進室を設置するとしています。設置したことによって今後、3回目のワクチン接種がどのように進められていくのか、お伺いいたします。
-山野市長
この度設置をいたします新型コロナワクチン接種推進室に予算執行権限を持たせ、専任職員を配置することにより、接種業務に関する責任の所在を明確化するとともに、実践的かつ機動的な実施体制を確立させることで、今後のワクチン接種の促進を図っていくものであります。
-大桑議員
3回目のワクチン接種ですが、順次開始するとの発表がありました。本市では年明け1月から高齢者施設職員、2月からは65歳以上の方への接種が始まるとのことですが、1回目のワクチン接種の予約開始時は、アクセスできない、電話がなかなかつながらない、予約がとれないなどの混乱が起きました。十分な受け皿を用意しておくとのことですが、そもそも予約を取るのも大変なのです。高齢者の方がアクセスしやすい、混乱しないように進めるべきです。今後のワクチン接種の予約体制をどのように行うのかお伺いいたします。
-山野市長
1回目・2回目の予約時に混乱が起きた、そのことについてご心配をいただきました。3回目の接種では予約が集中しないように、接種券の発送を2回目の接種時期に応じて分割するほか、コールセンターの体制も強化をしなければいけないと思っています。また、LINE予約をできる医療機関の数も増やしていくことになります。できるかぎり円滑な接種体制を確保していきたいと考えています。
-大桑議員
こうしたなか、あらたな変異株オミクロン株が広がりを見せています。日本でも17名のオミクロン株の感染者が確認されており、第6波の感染拡大がいつ起きても不思議ではなく、万全の備えが必要です。オミクロン株については感染力の強さや重症化リスク、ワクチン効果への影響などの詳細がまだ解っていません。それだけに、監視の体制を強め、性質などについて解明することが急がれます。本市に於いてもPCR検査をはじめとする検査体制の充実強化が求められます。感染状況が落ち着いている時こそ、デルタ株による感染が大きく広まった教訓を踏まえて、保健所などの備えを万全にするよう求めますがいかがですか。お伺いいたします。
-山野市長
感染が落ち着いている今こそ、保健所の体制を今一度整備していく必要があるのではないかというご指摘をいただきました。これまでも感染拡大時には感染者の疫学調査や移送、自宅療養者の健康観察など、業務が急増したことから、保健師の負担を軽減するため、感染者情報の一元化、疫学調査記録のデータ化など、事務の効率化を図るとともに、他部局から保健所への応援職員の派遣も含め、運営体制の強化に努めてきたところであります。引き続き職員の負担軽減、事務の効率化に努めていかなければいけないと思っています。
-大桑議員
さまざまな理由からワクチン接種ができない、接種しないという方もいらっしゃいます。政府は、そうした方への差別やハラスメントが起きないようにと注意喚起していますが、これから就職や、入試、成人式や、仕事で出張にいくときなど、接種証明書や陰性証明書を提出しなければならないケースが多々発生します。PCR検査には数万円、陰性証明書の発行には5000円から1万円の負担をしなければならず、ワクチンを接種しない・できないという方にとっては大きな負担です。接種されない方々に対しての差別やハラスメントが起きないよう、検査の無料化や証明書発行の経済的支援など、環境を整備すべきですがいかがでしょうか。本市としての取り組みをお聞かせください。
-山野市長
ワクチンを接種しないことへの差別や、接種の強制が行われることのないよう、私自身も様々な機会をとらえてこれまでも呼びかけをしているところであります。ホームページなどの市の広報、接種券発送の際に同封するチラシなどにも差別等の防止に向けた正しい知識・情報の発信に努めてきているところであります。
基礎疾患など健康上の理由によりワクチンを接種できない方の検査につきましては、国が無償化する方針を定めたところであります。今後、陰性証明書の発行も含め、自治体において実施に向けた検討が行われていくことになります。
-大桑議員
政府は、新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい状況にある世帯への給付金を盛り込んだ補正予算案を国会に提出しました。ただ対象は狭く、子育て世帯の一部や住民税非課税世帯のみであり、コロナ禍で収入が減少した非正規雇用労働者でも受け取ることができない内容になっています。
まず、子育て世帯の生活を支援するための子育て世帯臨時特別給付金ですが、政府は18歳までの子どもがいる世帯に対し1人当たり5万円の給付を先行し、来年以降に5万円のクーポンを支給するとしてきました。この子育て臨時特別給付金は世帯の年収が多い方で960万円の所得制限も設けられており、受け取れる世帯とそうでない世帯との分断につながるなど問題が指摘されています。さらに、給付方法についてのクーポン5万円相当に関しては、クーポンの事務費だけで1000億円弱かかるとされ、経費と事務手続きに負担が大きく批判が集中してきました。その結果、全額10万円の現金給付を希望する自治体が相次いでいました。こうした中、岸田首相は、18歳以下が対象の10万円相当の給付のうち、クーポン形式の5万円は「原則クーポンだが自治体の実情に応じて、現金も可能とする」との考えを示し、さらに、年内に全額現金で一括給付することも認める意向を示しました。民間の調査ではコロナウイルス感染症の影響で収入が半分減った世帯が3割、収入がゼロになった世帯が1割以上とする結果が出ています。このことからも、年を越せない困窮した世帯がいる中で、現金給付が急がれます。私も、子育て世帯にお話を伺う中で、クーポンを望む方はだれもおらず、皆さん現金給付を待ち望んでいます。本市の給付方法をお尋ねいたします。昨日の本会議において市長は現金給付が望ましいとの考えを示しましたが、改めて市民の声に応え、年内に10万円を現金で支給する決断をすべきですがいかがでしょうか。お伺いいたします。
-山野市長
子育て世帯臨時特別給付金について、本市から本年9月分の児童手当を受給した世帯については、先行して給付する5万円について今定例月議会に提案しています補正予算が成立した後、速やかに手続きに入り、今月27日には支給をしたいと考えています。残りの5万円につきましては、国の了承が得られれば、現金での給付が私は望ましいと考えておりまして、引き続き国の動向を注視してまいりたいと考えています。
高校生や公務員の世帯のことについてもお尋ねがございました。高校生や公務員の世帯につきましては、児童手当の仕組みが活用できないこと、さらには所得の確認も必要なため、申請方式とせざるを得ないことをご理解いただきたいというふうに思っています。年内支給は難しいと思っていますが、1月中旬までに申請書を送付をし、可能な限り速やかに支給をしていきたいというふうに思っています。なお、年内で10万円をというご提案もありました。もちろん、事務手続きはその方がスムーズではありますけれども、事務的な作業やまた国の予算成立等々を勘案していくとこれはなかなか難しいのではないかというふうに思っています。できるだけ2回目も速やかに必要な方のお手元に届くように対応していきたいというふうに思っています。
-大桑議員
コロナで生活が困っている人に給付が届かないことも問題です。政府の「住民税非課税世帯には1世帯当たり10万円」との方針は、非課税世帯というハードル自体がかなり厳しいと指摘がされています。単身者の世帯で年収100万円から200万円のワーキングプアでさえ、対象外となります。岸田首相は会見で『コロナにお困りの方々を守るための給付金をお届けする』といいながら、コロナで困っている非正規で働く多くの方々には給付金が届かないのは大きな問題です。わが党は、「個人向けの給付金は、生活に困っている人、コロナで収入が減った人を広く対象にして1人10万円を基本に『暮らし応援給付金』を支給すべきだ」と主張しています。これまでも消費増税が重くのしかかっていたことに加え、今年に入ってからの食料品の相次ぐ値上げ、そして原油価格の高騰で、低所得世帯の生活は苦しくなるばかりです。年を越せないかもしれないと、不安の声も聞かれます。困窮した低所得者層の世帯も、給付金の対象とするとともに、支援額の引き上げを国に求めるお考えはないでしょうか。同時に本市として独自に生活困窮者への支援を行う考えはありませんか。お聞きします。
-山野市長
住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金を含む国の補正予算案については現在国会で審議中であります。対象者等の制度内容についてはまだ明らかではありませんので、詳細が決まり次第、適切に迅速に対応してまいります。
市として国の制度を上回る独自の支援策までは考えていませんが、制度の対象となる方に速やかに支援が行き渡るように努めてまいります。なお本年度も、生活支援課に年末生活相談窓口を開設し、生活に困窮されている方々の相談に応じることにしています。
-大桑議員
コロナ感染で深刻な事態は、伝統工芸で個人事業を営む方々にも深刻な事態をまねいています。高度な技術を要する伝統工芸の金箔は、本市の伝統工芸であり、伝統文化を継承するという役割を果たしています。その金箔を製造されている方から、「断切(たちきり)の技術で仕事をしているが、コロナで売り上げが激減して深刻な状態になっている。なんとかしてほしい」という相談がありました。組合の資料によると、近年の金箔の生産枚数は、国内で1655万枚、生産額は27億1000万円。94年と比較すると生産枚数で5分の1、生産額で3分の1となっているとのことです。生産される金箔のうち二割が伝統工法の縁付、八割が近代工法の断切の技術で作られていますが、近年生産量が伸びません。需要低迷の大きな理由は、コロナの影響で工芸品が売れないことと、「若い世代の宗教離れが要因」で、仏壇・仏具の購入・修繕が減っているためです。神社仏閣の装飾などと合わせれば、供給先の95%を占めると言います。「工芸品の需要もあるが、使用する分量は極めてわずかだ。しかし、さまざまな所でいろいろな商品を開発してほしい、そうでなければ、需要に結びつかない。わずかでも需要がないと後継者育成といっても育てられない」とのことです。縁付手法は国の伝統工芸にも認められましたが、断切は近代手法ということで認められず、補助の対象から外されています。収入は2年前と比べて半分になり、コロナ禍でさらに大変です。工賃だけでは生活ができないのでアルバイト、もしくは年金でやっと生活ができるということだと言います。これでは技術を習いたいという人がいても継承もできないといいます。また、育成の支援はあるのですが期間が3年間と短く、支援の額も少なく、道具代で消えてしまうと言います。安心して仕事ができる体制を作ってほしいと要望していました。手法こそ違いますが断切も、本市の伝統文化を守る、大きないしずえとなっています。安心して仕事ができるようお願いしたいとのことですがいかがでしょうか。今、コロナの上、原材料不足や原料の高騰、そして原油高が起こりさらに追い詰められている状態です。政府が打ち出した事業者への「事業復活支援金」もありますが、個人事業主には持続化給付金の半額しか出ません。緊急の支援策を求めますがいかがでしょうか。お伺いいたします。
-山野市長
金沢箔におきましては今年度、断切金箔も含め、後継者育成・需要開拓の一環として、若手箔職人による製造工程を体験・見学できるイベントを開催いたしました。デジタル工芸展での金沢箔工芸品展などを通じ、金沢箔の魅力を国内外に発信をし、さらなる販路開拓を図っています。引き続き文化の人づくり奨励金の活用を促しながら、金沢箔の産地支援や調査研究、技術向上を担う技術振興研究所と連携をし、石川県箔商工業協同組合をはじめとした関係団体とともに、業界全体の発展に向けた取り組みを進めていきたいと考えています。
長引く新型コロナウイルスの感染に加え、原油価格の高騰、原材料の不足により、経済の先行きの不透明感が広がっています。特に中小企業、小規模事業者への配慮の必要性を感じています。国会において、コロナ禍の克服に向けた経済対策等を盛り込んだ補正予算が現在審議をされています。本市としてはこれに積極的に呼応をしていきたいと考えています。国予算の成立を待って、速やかに補正予算編成に取り掛かることとしており、このことにも意を用いていきたいと考えています。
-大桑議員
市営住宅についてお伺いいたします。本市の住宅条例の第3条の12は、共用部分について述べています。「市営住宅の通行の用に供する共用部分には、高齢者等の、移動の利便性及び安全性の確保を適切に図るものとして、市長が別に定める措置が講じられていなければならない」としています。このように市営住宅は安全性も担保され安心して入居できる住居と考えられます。現在、市営住宅では共用部分の維持管理は入居者に義務付けられています。しかし、高齢化が進む中で、草刈りや除雪など行うのが難しく、入居者による管理が困難になるという問題が発生しています。やむなく共用部分の除草などは業者に委託せざるをえず、その費用は町会費から支出されるため、町会費が近年、圧迫されている状態です。私が相談を受けた町会は広場2つを含み、各棟の敷地もかなり広く、草刈りが大きな問題となっていました。広場1つの草刈りは市が行うようになっていますが、それでも年2回の草刈りにはだいたい70万円ぐらいかかると言います。そこで、もう1つの公園の広場を同じように市のほうで管理をしていただけないかというお願いでした。「共用部分の維持管理は住民が行う」というのは、若い世帯が多かったときに可能であったことであり、単身の高齢者が多く生活されている現状を考えれば、管理方法の見直しをせまられているのではないでしょうか。敷地内の広場や公園は市の方で管理をするか、住民が業者に委託した場合には補助をすべきです。早期に検討すべきだと思いますがいかがでしょうか。
-山野市長
市営住宅の敷地内の除草につきましては、住み良い環境作りに向け、原則入居者が行うこととしてきたところであります。一方、一定規模の広場等におきましては、入居者の負担も考慮し、市が除草を行っています。なお、建て替え等により空き地が増加する場合には、必要に応じ除草する範囲を見直していきたいと考えています。
-大桑議員
また、団地の方から「共用部分の電気代の支出が多くて困っている」という切実な声もいただいております。よくよく話を伺うと、町会が負担している月の電気代は7~8万円、年間で80万円から90万円になるとのことです。この電気代は、水道の動力の電気代と防犯上の問題から、それぞれの階段の蛍光灯を夜は常時点灯しているための電気代となっています。高齢者の安全上の立場から、そして大規模な市営住宅であれば防犯対策から、夜間の電気をつけておくのはやむを得ないことです。そこで、防犯の役目もあることから、高い電気代の補助を検討されるお考えはないのかお伺いいたします。
-山野市長
団地内共用部の照明は、入居者が共用で利用している設備であり、維持費である電気代につきましては条例で入居者負担として規定をしている所であります。利用者負担であり、支援制度を設けることは考えてはいません。
-大桑議員
除雪についてもお伺いいたします。市営住宅の敷地内の道路は、法律的には道路とは規定されず、県道でも市道でもないため、市も県も除雪の責任はないという建前になっています。しかし、入居者の方にとってはなくてはならない生活道路であり、出入りするためにはどうしてもここを通らなければなりません。火事や事故などの際、緊急車両が立ち往生しかねないということを考えると、やはり市が責任をもって除雪するべきです。市営住宅の多くの所は、除雪は業者に委託するとのことで除雪費の支払いに苦慮している話をお聞きしています。除雪を業者に委託されず、すべて住民に任せている所は、高齢者が多い団地の中の除雪は進まず、歩くことも車の出入りも困難を極めます。何らかの対策を考えてほしいと思いますがいかがでしょうか。お伺いいたしまして質問といたします。
-山野市長
市営住宅敷地内の通路につきましては、専ら市営住宅の入居者が使用するものであるため、入居者が協力して除雪していただきたいと考えており、新たに補助制度を作ることまでは考えてはおりません。
(再質問)
-大桑議員
こどもの臨時特別給付金についてのお答えをいただきました。先行して5万円を今年中に出すと、それで残りの5万円については国の動向を見ながらとのお答えでしたが、本当に困っている方、年を越せないという方がたくさんいらっしゃる中で、やはり本市としても10万円を一括で給付するというお考えはないかということを、もう一度お伺いいたします。
-山野市長
全く同感であります。ただ、国会で今ご議論をいただいています。21日というふうにお聞きをしていますけれども、延長されるかどうかもまだわかりません。報道を拝見しておりますと、他の自治体によっては財調を使うところもあるというふうにお聞きをしています。ただ金沢市は去年・今年と財調を有効に活用しながらコロナ対策を行ってまいりました。これ以上このことについて使うのはなかなか難しいかなというふうに思っておりますし、金額も足りるものではありません。17日にお認めをいただければすぐに対応してまずは5万円をすぐに振り込みたいと思いますし、国の方にも1日も早い対応をお願いすることによって、できるだけ早くにあとの5万円を現金で振り込むことができないかというふうに考えています。ご理解いただければと思います。