2021年12月議会 広田議員一般質問(12月15日)

広田議員 一問一答

子どもの生活実態調査の受け止めについて

-広田議員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団の一員として以下質問致します。

 2018年度に行われた「金沢市子どもの生活実態調査」が、今年度は、ひとり親の調査とあわせて7月中に6000世帯に郵送にて行われ、その結果が一部公表されています。私も結果を見させていただきました。おおまかな受け止めとして、まずは、国民生活基礎調査から割り出した低所得の基準が2018年度から10%近く下がっているもとにおいての分析だということを前提にして、本市が生活困窮世帯とする層は、回答者から「不明」を除いた母数で計算すると15%、その困窮世帯の7割がひとり親という結果です。そして、子どもの年齢があがるごとに、生活困窮層の割合が増えている。コロナ禍ということもあり、また対象の変更もあったということで、前回よりよくない項目が多い。比較の点では、ひとり親世帯、生活困窮世帯の親も子も、そうでない世帯より経済的な問題を抱えている。そして、コロナでより影響を受けている。ただ、非生活困窮世帯とする層も経済的に苦しい世帯もある。さらに、子どもの貧困は親の貧困であり、貧困の連鎖がこのアンケートに如実にあらわれているというものです。まずは、市長の受け止めをお聞かせください。

-山野市長

 これまでも本市は子どもソーシャルワーカーの配置、学習支援事業も行ってまいりました。また子どもをサポートするネットワーク化も進めてまいりました。離婚時の養育費取り決め割合も、様々な施策を行うことによって10%上昇もしてきました。一定の効果が現れてきているのだと思ってはいますけれども、今ほどご指摘がありましたように生活困窮世帯ではひとり親世帯が多いということ、また特にコロナ禍があって尚更ストレスであったりだとか精神的なもの、生活そのものもそうですけれどもそういうものの負担というのも大変大きくなっていると思っています。大変憂慮すべきことだというふうに思っています。

-広田議員

 本当に、子どもを育てる世帯の過酷な生活実態が見えたかなと思いますし、ひとり親、生活困窮世帯は比較するとさらにひどいということがわかりました。市長は今、どちらかというとプラスαの支援の方をおっしゃられましたけれども、私は今回の質問では、やはり行政としての役割、保障という立場で質問を重ねていきたいと思います。

実態調査の評価・分析について

 つぎに、この実態調査は次期「子どもの生活応援プラン(仮称)」の基礎になるものです。次期プランは、これまでの金沢市子どもの貧困対策基本計画2018、金沢市ひとり親家庭等自立促進計画2017を統合させ次期計画となるものです。よってこの実態調査は、現計画の方針や、それにひもづく各施策が達成したのかどうかという指標となります。市長はこの調査をみて、現計画・施策をどのように評価しているでしょうか。

-山野市長

 両計画の施策の進捗につきましては、毎年状況を金沢市子ども・子育て審議会に報告し、施策推進における評価について助言・提言を受けているところであります。概ね、遂行達成できているというふうに理解をしております。

-広田議員

 毎年状況調査をしていると。それも確かに大事ですけれども、今回7月に当事者の声を聞くという取り組みが金沢市自身で行われたわけですから、今計画策定委員会も開かれておりますし、実態調査をもとに評価をするということが、私は極めて大事だろうというふうに思っております。

※子ども生活実態調査を子ども・子育て審議会に報告しているのか?

計画策定員会への資料提供・骨子案作成について

 ところで、2018年度時の計画策定当時の経過をみますと、11月末に「調査を確定」させてから、本市の子どもの貧困の現状と課題の整理、いわば評価を行い、骨子案の議論を行っています。しかし一方で、今年度の計画策定委員会では、私の知る限り、この実態調査の集計や分析がまだ完成・確定していない中で骨子案が作られているように見受けられます。まずは実態調査の分析を念入りに行い確定させ、委員のみなさんにきちんと示してから、計画の評価や骨子作成作業に移行するべきではないですか。

-山野市長

 調査結果や現計画につきましては、これは仮称でありますけれども子ども生活応援プラン策定委員会において議論をいただいて、それを踏まえ施策や制度の充実を図り、その方向性等を示した次期計画の骨子案を取りまとめ、パブリックコメントを予定しているところであります。市民のご意見をお聞きをしながら取り組んでいかなければいけないと思っています。

-広田議員

 私が言っているのは、手順があとさきになっているということで、まず市民の大事なお声が取りまとめられた調査結果を確定させてから評価をして、骨子案作成に移るべきではないかというものです。まだ委員さんに完成された調査結果が渡されていません。その点をどのようにお考えでしょうか。

-山野市長

 今回の実態調査を分析し課題を洗い出したうえで、策定委員会からご意見をいただき、今般、プランの骨子案をまとめたところであります。

-広田議員

 もう骨子案のプランをまとめられたとおっしゃいますけれども、少なくとも私はヒアリングの中で、まだ自由記述をひとつも見ていません。アンケートには自由記述欄もありまして、大切な市民の生の声を聞けるチャンスです。それについてまだ議会にも示せていない。そしてまだひとり親や困窮層を比較するような資料も全然足りていないんですよね。それが出てからでないと評価もできないし、骨子案もできないというふうに考えるものですが、局長、いかがですか。

-藤木こども未来局長

 策定委員会につきまして、10月の末頃に開催をいたしまして、その時に提出しました調査結果報告書、こちらの方を策定委員会からもご意見、それから記載内容についての、ここはちょっと表記が違うのではないかとかあるいは分析をもう少しした方が良いのではないかというような、一部の誤りとかも含めまして指摘をされておりまして、そういった誤った箇所を含めまして確認をした上で、最終的な骨子案を今まとめておるところでありまして、最終案が今もうできているという中で、分析というものをもう一度やり直すというよりも、議員がおっしゃられました通り、必要なデータやご意見などにつきまして、必要に応じてまたピックアップしながら、今後の最終案を作成する中でパブリックコメントも含めましてまとめに入っていきたいと考えております。

-広田議員

 予定ではもう12月末にパブリックコメントをと委員会でも報告をされています。ただ今言った集計分析では私は不十分だと考えています。骨子案、もうできているということですけれども、せめて委員会のみなさまに、計画の最後に名前も載るわけですから、完成された調査報告書を速やかに渡すように求めますけれども、その点だけでもいかがでしょうか。

-藤木こども未来局長

 調査報告書につきましては、一度常任委員会の方でもお示しをさせていただいておりまして、それを元に作成をいたしました、調査結果報告も含めた骨子案につきまして、お示しをしたいと考えております。

-広田議員

 本当に大事な調査だと思うんです。年収や心情的なことまで包み隠さず書いてくださった6000世帯の中の41%の回収率の方々にしてみれば、本当にしっかり活かしてほしいという思いで書かれているはずです。それがやっぱり、まだ途中段階で評価であるとか骨子作業に移るというのは、私は市民に対して誠実さもないですし、手順としても間違っているというふうに思います。重ねて、委員のみなさまには完成された調査結果を速やかに渡すように求めておきたいと思います。

コンサルではなく、地元大学との連携を

 今回、前回と違うのが、前回は金沢大学の先生が分析をされていたと思うのですが、今回は集計の段階からコンサルの会社さんが入られてやっているということなんですね。だからなかなかスケジュールがかみ合っていかないんじゃないかというふうに私は思うのですが、やはりこういった福祉施策、まちづくりもそうですけれども、市の職員自身が地域分析や計画策定をしっかり行えることが大事ではないかというふうに考えます。そのためにはやはり増員が必要ですし、能力を鍛える教育研修も行っていただきたいと考えますがいかがですか。

-山野市長

 今回の策定委員会には、地域の福祉活動を行っている団体、地元の大学からも複数の有識者の方にも加わっていただいています。実態調査から見えた現状や課題についてご意見もいただいているところでもあります。大学と連携する中で、職員自身のスキルアップも図られると思っておりまして、職員の日々の業務から培った知見を活かすことがより効果的な調査分析や計画策定業務に繋がっていくと考えています。

-広田議員

 職員の能力向上もそうですけれども、やはり前回同様、地元の大学と協同して行っていくべきだということも合わせてお聞きしたいと思います。

-山野市長

 今ほど申し上げましたように、地元の大学の有識者の方にも複数入っていただいておりまして、その知見もいただきながら取り組んでいるところであります。

-広田議員

 ガス発電のやり取りを見てもおわかりのように、やはりコンサルのみなさんが作って資料にして方針・計画のたたき台を作っていくというのは、相当影響されるというか、やはり要の部分を本市の職員であるとか地元の大学との連携でやっていくことが、市民にとっても必要ですし、やっぱりコンサルだと1年きりですからね、関わりは。次は入札で誰が取るかわからないという中で、やはり金沢市でずっと市民のことを考えて働く職員がそういう作業に関わっていく、そして地元の大学のみなさんと共に研究していくっていう、そういう姿勢が私は大事だと思うんです。その点はいかがですか。

-山野市長

 地元の大学で地域のことを研究されていらっしゃる先生方のご意見も大切だというふうに思っています。しかも複数の方に関わっていただくことによって、より幅広い知見を得ることができるのだというふうに思っております。職員も地元の大学の方ですから日常的にいろんな勉強会等々をすることによって職員の資質も高まっていくことになるというふうに思いますので、そういうことはこれからもしっかりとやっていかなくちゃいけないと思っています。

-広田議員

 私はこういった計画策定についてはコンサル会社よりも職員、そして地元の研究機関・大学などと連携して行うことを強く求めておきたいと思います。

 次に、この実態調査をもとに行政の役割として保障するべき、子どもの施策や制度について、提案をしたいと思います。

経済状況・雇用について

 まず経済状況に関わってです。問30のグラフをみてください。毎月の収支は、保護者全体でも約28%が赤字と答え、さらにひとり親、困窮世帯では、そうでない世帯に比べ赤字の割合が高く、カードローンなどで補っている状況です。そうした中、この1年食料を買えない、水光熱費や家賃、保険料、保育料や学費・給食費を払えないことがあった割合も、ひとり親、困窮世帯はそうでない世帯より高い。子どもの物品所有状況も、自分だけの本がない、スマホがない、宿題できる場所がない、おもちゃや自転車がない、などひとり親、困窮世帯はそうでない世帯に比べ高い状況です。

 そこで伺います。雇用状況との関係では、ひとり親、困窮世帯はそうでない世帯にくらべ、正職員が少なく、ひとり親は言うまでもなく一馬力です。こうした就労状況が経済状況に影響しているといえます。非正規職員の正規化、女性が多く働いている保育・介護・障害など福祉分野の賃金の大幅な引上げが必要ではないでしょうか。

-山野市長

 本市におきましては、非正規職員から正規職員に移っていただくための様々な支援を行っています。雇用主に対してもそういう奨励制度を設けて取り組みを促しているところであります。様々な、特に女性が多い保育・介護・障害などの福祉分野におきましても、職員の給与水準の改善を図るため、これまでも国の制度を活用し処遇改善事業を行ってきているところでもあります。総理も公定価格を引き上げることによって福祉の分野の方たちの働く環境を充実するというふうにおっしゃっておられます。もちろん、ひとり親家庭はそういう福祉分野以外にもたくさんいらっしゃいますけれども、先ほど申し上げたような様々な施策を周知していくことによって、非正規から正規の職員になっていくように、そしてその処遇が改善されるように国に求めていきたいと思いますし、市としてもなしうることに取り組んでいきたいと考えています。

-広田議員

 市長もお気づきだと思いますけれども、政府が示している月9000円アップですね、これは一桁足りないというふうに言われています。ぜひ地方からも声を上げていくよう求めていきたいと思います。

 ただ、正規職員になろうにも、残業や出張などの働き方を受け入れないと難しい側面もあり、ひとり親や女性は自由に職業選択ができていないというのが実態です。わたしが関わったひとり親でも、働いても生活保護基準に満たないという方もいらっしゃいます。最低賃金の引き上げはもちろんなんですけれども、企業の柔軟性と労働者の生活を保障する責任というのを、市長としてはどう考えますでしょうか。

-山野市長

 先ほど、非正規化から正規化に移るために、雇用主に対しても奨励制度を設けているというふうに申し上げましたけれども、これからも大変力を入れていかなければならないところだというふうに思っています。労働団体や経済団体、多くの方のお力をお借りいたししまして、金沢市雇用対策連絡会というものを設けまして、その企業のみなさんであったりだとか労働団体のみなさんとの情報共有を図り意見交換を行っているところであります。引き続き、雇用主に対しても、またいろんな企業関係者に対しても、働きやすい職場環境を提供するように働きかけていきたいというふうに思いますし、そのことが今議論しているこのテーマだけではなく広いテーマにも必ずプラスになるということをお伝えをしていきながら、ぜひ取り組んでいきたいと思っています。

-広田議員

 また、現時点でむずかしい場合は、私は必ずしも仕事を優先せず、子どもと親の生活を第一に考える選択肢も、ぜひ相談の上では導いていただきたいと思います。

 次に、年齢別では、生活困窮世帯の割合は子の年齢が増すごとに高くなっている。16-17歳の子ども世帯では、割合が21.2%と最も高くなります。16-17歳の場合は非生活困窮層でも31%が先ほどの収支で赤字なのです。これは児童手当や各種手当など、高校生に対する施策が少ないからだと考えますが、どのように分析されているでしょうか。

-山野市長

 実感としても申し上げますけれども、小学校・中学校は基本的に歩いて通学できるところです。高校になると多くの場合、自転車であったり公共交通を利用されることも多いのではないかと思います。部活動におきましても幅広い活動にもなってきます。学習教材においてもより専門的なものを利用されることが多くなってくるのではないかというふうに思っています。また、学校以外の生活活動の範囲も広まってくる中で、どうしても費用がかさんでくるのではないかということも思われます。いろんな環境が相まって、年齢が上がるにつれて生活費が上がって来るんだというふうに思っています。

-広田議員

 今回の実態調査は、収入面は公的な年金であるとか手当を差し引いた収入で申告をしてもらっていますので、高校生の世帯の収入が下がっているかどうかというのがわからず、今市長が言われたような支出についてはやっぱりかさむんだという分析をできるかなというふうに思いますが、やはり感覚としても手当てが実際なくなるのですから、児童手当もなくなりますし、そういった点からもぜひアプローチしてほしいと思います。

その点について、次に医療へのアクセスという点でご質問します。

受診抑制が起こっている点について

 「子どもを受診させようと思ったが、させなかったことがあったか」という保護者への設問があります。問17、18のグラフを見てください。「あった」の割合は子の年齢にあまり差はないものの、理由に違いが生じています。とくに、「医療機関で自己負担分を支払うことができないと思ったため」が、低年齢の子とくらべ、16-17歳の保護者では10.2%、10倍ほど多くなっています。本市では、中3までは子ども医療費助成制度があり、その範囲内の子の世帯については自己負担がネックになってこの理由を挙げるのだと考えられますが、16-17歳の高校生はそもそも制度の対象外であり、児童扶養手当対象世帯以外は医療費がしっかりかかるため、この受診抑制が引き起こされていると考えます。本市は、県内で唯一対象年齢が15歳までと低く、自己負担があるのも県内で4市だけの中のひとつです。まずは、18歳まで安心して医療にかかり、健康権が保障されるよう、本市の子ども医療費助成制度の対象を18歳まで広げることを求めますが、いかがでしょうか。その必要経費も含めお答えください。

答弁を受ける

-山野市長

 一義的には、国が全国一律に対応すべきテーマだというふうに思っていますし、都道府県においても様々なサポートがあって然るべきだというふうに思っています。こども医療費のことにつきましては、医療費もそうですけれども、金沢市におきましては様々な子育て施策の充実しているハード・ソフトを含めているところであります。総合的にぜひ判断をすることが大切なのではないかと思っています。医療費の助成対象を入退院とも18歳まで拡大した場合、概算ですけれども毎年約2億1千万円の負担が増えることが見込まれます。

-広田議員

 16-17歳の世帯は、困窮層がどの世帯よりも多いし生活が苦しいという実態が明らかです。そして自立への旅立ちのとき、貧困の連鎖をなくす大事なタイミングとも言えます。今回のデータで、家計が苦しくてしわよせが医療というところにも現れている。この背景には、高校生世帯への子育てに関する制度の少なさがあるわけです。この実態をもって施策に活かすのが、私は本来の行政の役割ではないかと考えます。

 それで、東京都の子どもの生活実態調査、平成28年度ですけれども、の結果報告書を見てみました。そちらにも同じ設問があって、16-17歳の受診抑制の理由「支払いができない」というのが東京都の場合も低年齢の理由より多いのですけれども、それをきちんと「医療費助成制度が15歳までなのがひとつの要因だ」としっかり分析して書かれてあるわけです。まずは、そのような評価だけでもきちんと行うよう求めますが、いかがでしょうか。

-山野市長

 この議会での議論もその声だというふうに思っていますし、今東京都の事例をお話しいただきましたけれども、様々な自治体の事例であったりだとか、また当事者、医師会等々のみなさんからの声も大切なものだというふうに思っていますし、先ほど申しましたように金沢市には様々な施策があります。そういうことを総合的に勘案をしながら判断をしていかなければいけないと思っています。

-広田議員

 私は実態調査の結果報告書にきちんとした評価を書いてほしいということを言っているだけなんですね。それはもう明らかな事実なので。そういうふうに分析、ひとつの要因ということでもいいので、きちんと書いてほしいと。局長、いかがですか。

-藤木こども未来局長

 今ご指摘のことも含めまして、また策定委員会の委員さんの方と話をさせていただきます。

-広田議員

 お願いいたします。

 次に県との関係についてお聞きします。2015年にようやく、石川県が償還払いから窓口無料化を認める要綱を改訂をしました。しかしまだ対象年齢が通院で3歳未満、入院で就学前と全国最低クラスです。この点について、市長はどのように評価していますか。合わせて、県にも中3まで対象を広げるよう求めるべきではないかと思いますがいかがでしょうか。

-山野市長

 全国市長会におきましてもよく議論がされるのですけれども、これはやはり一義的には国が統一してやっていくべきものだというふうに私も思っていますし、全国市長会でもそういう意見が圧倒的だというふうに思っていますし、国にもその旨お伝えしているところであります。ただ現実に今そうなっていない以上、まずは都道府県にということになります。石川県市長会からも毎年県に対する要望において、そこを充実してほしいということを申し上げているところであります。

-広田議員

 選挙なども近づいておりますので、ぜひ金沢市の子ども医療費助成制度が自己負担なしの18歳まで無料となるよう引き続き求めていきます。

教育に関して

 次に、教育にかかる費用への負担という点で、問39と問25のグラフをみてください。どの年齢の子の保護者でも、「今必要とすること」について「教育にかかる負担の軽減」が断トツで選ばれているという結果です。さらに「学用品の支給が受けられること」も特にひとり親、困窮層で多く選ばれています。子育てにかかる費用について聞いた設問に対しても、「保育料、授業料、学校納付金」の1か月あたりの支出がもっとも大きくなり、16-17歳については学校に上がると学校設備費や教科書代、お昼代に交通費など、ぐっと諸経費が上がるグラフが見てとれると思います。

 問4以降のグラフをみてください。

こうした負担のもとで、問題は、子どもの学力や進学希望に大きな影響が出ているということです。調査結果では、ひとり親、生活困窮世帯の子は、そうでない子どもより、授業がわからない子が多く、自分の成績が低いと答えています。大学進学希望も少なく、その理由として、「家にお金がないと思うから」「早く働く必要があるから」と子ども自身が選ぶ割合が、ひとり親、生活困窮世帯の子はそうでない子よりも多くなっています。特に、16-17歳の進学希望については、およそ10%が経済的な理由で予定していないとあるのです。また、「がんばればむくわれる」「自分は価値のある人間だ」「将来が楽しみだ」といった感覚がひとり親世帯、生活困窮層世帯の子どもがそうでない子どもに比べ低くなっているのも現実です。家庭の経済状況が、学習や進学面などに影響しているのは明らかです。教育長、まずは教育現場で、教育現場で授業についていけない子がいる状況を改善するため、教師の多忙さはもちろん理解していますが、こうした実態を直視していただき、丁寧な授業運営と進路指導を求めますがいかがでしょうか。

-野口教育長

 やはりこれまでのこの機会でも答弁させていただいておりますけれども、経済状況によって学びが止まってはいけない、そういうふうに思っています。そうした意味でも、本市ではすべての子どもたちの可能性を引き出すために、これまで以上に子どもたちの成長やつまづき、悩みなどの理解に努めながら、ひとりひとりの興味関心等を踏まえてきめ細かく指導・支援することや、少人数学習・ICTの活用等によって、きめ細やかな指導を目指し、授業改善に日々取り組んでおります。加えて、将来のキャリアや職業、生活などに夢や希望を持って学び続けることができるように、進学や就職などの進路指導におきましても、家庭や関係機関と連携を図りながら、しっかりと支援してまいりたいと考えています。

-広田議員

 そして制度についてですが、経済的な格差が学習面におよばないよう、就学援助の対象範囲は拡大すべきです。今は旧生活保護基準の1.3倍になっていますが、まず維持されるのかということの確認と、1.5倍に引き上げるよう求めますがいかがでしょうか。あわせまして、今回の調査で困窮世帯と分類された方が就学援助をしっかり受けられているのかということを、クロス集計して分析すべきだと思いますがいかがでしょうか。

-野口教育長

 まず就学援助制度の支給基準についてお答えしたいと思います。就学援助制度が一般財源化された平成17年度以降におきましては、認定基準を引き下げる自治体がある中で、本市では世帯の所得額の基準であります生活保護基準の1.3倍未満を維持しております。また、国が生活保護基準の引き下げを行いました平成25年以降におきましても、そうした影響が出ないよう、本市では見直し前の基準を維持しており、今後とも引き続き基準の維持に努めていきたいと考えています。1.5倍はなかなか厳しいかなというふうに思います。

 また、就学援助制度がしっかりと行き渡っているかどうかということでありますけれども、希望する世帯が申告漏れとならないように、毎年4月当初に全小中学校の児童生徒の保護者に対しまして就学援助制度の案内チラシを配布しております他、市のホームページや新聞広報を通じて幅広く周知を図っております。また新小学1年生の保護者に対しましては就学時健康診断に合わせ制度説明を行わせていただいています。さらに就学援助のチラシにつきましてもこれまでも文字を大きくしたりわかりやすいレイアウトにするなど、様々な改善に努めてまいったところであります。これから、全員に希望調査行うとか、さらにこれを拡大するとか様々なことについてはまたこれから考えていきますけれども、今後とも学校や関係部局と連携しながら、制度を必要とする世帯に誤解がなくわかりやすい周知に努めていきたいと考えております。

-広田議員

 旧生活保護基準の1.3倍は維持するという言明がされたこと、また希望調査についても考えていくということですので、ぜひよろしくお願いいたします。全員申請、もしくは全員に希望を調査する、このことで受けられるのに受けられない人を防げると思います。アンケートでも「制度を知らなかった」という方がやはり実際出ています。そういう実態を見て、ぜひ改善をお願いします。

学童保育について

-広田議員

 次に学童保育についてですけれども、今回のアンケートで初めて学童保育についての設問が入りました。小2と小5の保護者の利用していない方の理由では、「利用したいが定員のため入れなかった」「利用したいが、高学年による制限のため入れなかった」が48名いらっしゃり、回答者は市内の一部世帯に限られているはずが、市が毎年報告する待機児童数20名前後よりよりはるかに多くなるという実態です。「利用したいが、利用料が高額のため」という理由については49名とさらに多く、生活困窮層では23.7%にものぼります。

 そこで、学童保育に入れない実態については明らかですから、施設老朽化の対応も含め、整備計画を市が作成するよう求めます。さらに、利用料が高額で入れないという声については、運営費の半分が利用料である現状から、委託料の引き上げを求めますがいかがでしょうか。

-山野市長

 児童クラブの整備につきましては、子育て夢プラン2020の中で、量の見込みを立てており、今後も地域の状況の変化や各児童クラブの意見なども勘案し、個別に対応してまいります。利用料のことについてもお尋ねでございました。この放課後児童クラブの運営費は、本市からの委託費が概ね5割から6割、残りを利用者の負担としているところであります。利用料は各クラブが定めていますことから、委託費の一律の引き上げというものは難しいのではないかというふうに思っています。現在ですけれども、ひとり親家庭を対象に月額3000円を上限とした利用料の減額制度を設けており、さらなる負担軽減につきましては今後の検討課題とさせていただければと思います。

-広田議員

 厚労省においても、整備計画の策定ということは学童保育についても位置付けられています。ぜひとも進めるように求めておきたいと思います。

身近に相談できる市役所へ

 最後に、市役所に身近に相談できる体制をということで求めますが、今回の実態調査では、「頼れる人がいない」という回答がひとり親、生活困窮世帯で多くなっています。だからと言って、地域で身近な支援をという方針が打ち出されてきましたが、私はまずはこの金沢市役所が、市民にもっと身近で頼られる存在になるべきだと考えます。以前、庁舎内横断して子ども世帯にかかわるための子どもの貧困対策チームが作られています。その実績はどれくらいあるのか。また、ケース検討は行われているのか、教えてください。私はそこに先ほど言った大学等の研究機関も入って発展させるべきだと思います。さらに、やはり窓口に長期で関われる正職員を配置してほしい。それは生活支援課だけではなく女性相談員、子どもの窓口、保健福祉の窓口は正規で長期に対応していく。そして、福祉制度は毎年変わるんですね。なので毎年、デジタルの研修もいいですけれども、福祉の研修をきちんと全職員にやっていく、このことを求めますがいかがですか。

-山野市長

 行政が一義的に対応すべきということは私もその通りだというふうに思っています。ただ私もいろんな方とお話する機会がありますけれども、敷居が高いという表現、金沢市がということではなくて行政にということだと思っていますけれども、言われています。やはり地域の実情を一番ご存じの地域のみなさん方の力がまずは情報を把握するという意味から大切ではないかというふうに思っています。そんな中でネットワークも作らせていただきました。子どもの貧困対策チームを本市の中でも作らせていただきまして、家庭訪問であったりだとか専門の相談支援部門や福祉や教育等の支援サービスを繋ぐ役割を担っているところでもあります。地域のみなさんと連携をしながらしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っています。窓口ですけれども、私は正規であろうが会計年度任用職員であろうが、親身な相談体制を行い市民からの信頼が厚い職員が対応することが望ましいというふうに思っています。これは正規であろうが会計年度任用職員であろうが全く同じであろうと思っていますし、会計年度任用職員の方も親身に取り組んでいらっしゃる方もたくさんいらっしゃいます。ただそこは、今ご指摘がありましたように研修をしっかりすることによってその質をずっと高めていかなければいけないという思いは全く同じでありますので、そこはこれからもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っています。

-広田議員

 私は会計年度任用職員が親身になっていないということを言っているわけではありません。長期に仕組みとして関われるのは正規職員だと、そして最後に責任をれるのも正規職員なんですね。その点で言っているんです。仕組みの問題です。とにかく市が主軸になって保障を行うということを私は求めています。

 さいごに、次期計画の仮称「子ども生活応援プラン」というのは、私はこれは生命保険会社の(プランの)名前かと思いました。行政がやるべきは応援ではなく「行政の責任で子ども世帯全体の生活、権利を保障していくんだ」という計画と名称にするべきだと最後に求めて、質問を終わります。

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