2022年12月議会  2021年度金沢市公営企業会計決算認定について討論 森尾議員

私は、日本共産党市議員団を代表して、認定第2号令和3年度金沢市公営企業特別会計決算認定について、認定できないことを表明し、その主な理由について以下述べます。
第一は、本市ガス事業・発電事業についてです。この二つの事業は、令和4年4月1日をもって、金沢エナジー(株)へ売却されました。従って、この二つの会計決算は、これが最後となります。決算から見てもこの二つの事業を売却する必要は見当たりません。
ガス事業です。
令和3年度ガス事業の黒字額は、10億2900万円となり、11年連続の黒字が計上されました、従って、累積欠損金は、約120億円まで増加しましたが、令和3年度決算では、27億円まで減少となりました。
発電事業です。
令和3年度発電事業の黒字額は、3億6900万円となりました。この間、毎年の黒字で、累積欠損金はゼロ、今年度末の未処分利益剰余金は、8億9400万円にのぼりました。
5つの発電所によって生み出された電力は、一般家庭の4万戸分に相当し、これを北陸電力に売電してきました。その電力料収益は、令和3年度決算で11億9043万円となりました。
発電事業は、水力発電によるクリーなエネルギーとして本市が誇るべき事業であり、ガス事業と共に100年間にわたって、運営されてきた市民の財産であります。二つの事業は、この10年来、黒字経営となっていることからしても、民間に売却する理由は見当たりません。
本市企業局は、2016年、今後10年間の経営戦略方針の中で、ガス、発電など5つの市営事業を継続していくことを打ち出しながら、市民と議会との約束を破り、強引にガス事業・発電事業譲渡方針へと突き進んできました。その譲渡方針をめぐって、この間市民からも議会からも数々の問題が指摘されてきました。
 今回、決算審査の中で、問題が指摘されたのは、本市ガス事業・発電事業譲渡に係わって、本市が、北陸電力との電力受給契約の途中解約についてです。
令和3年度内に覚え書きを交わし、令和4年度に入った4月28日本市は、北陸電力に解約補償金として12億3720万円を支払いました。
 この解約補償金について、本市は、国のガイドラインに基づいて行ったと説明してきました。しかし、国のガイドラインは、あくまでも、発電事業を継続運営することを前提とし、発電事業による電力の売電契約について、随意契約から一般競争入札に切り替えるよう促したのが、このガイドラインです。したがって、本市の発電事業譲渡の場合は、適用するものではありません。しかも、今回の補償について、国のガイドラインに基づいて行うことは、国の了解を得ていると述べてきましたが、そうした事実は、ありませんでした。
本市企業局が、北陸電力に解約補償金として12億3720万円を支払った説明と根拠はことごとく崩れ去りました。
では、どのような話し合いが行われたのか。説明が求められました。ところが、北陸電力との話し合いについて、記録も報告書もないとしてきました。これは、重大な問題であり、市民と議会に対する背信行為とも言えるもので許されることではありません。文書作成が明記されいる本市公文書等の管理に関する条例に違反していることが取り上げられました。しかし、本市企業局はあくまでも、問題は無いとの見解を押し通しました。
話し合いの記録も、報告書もないというのは、市民と議会に対しての説明責任を放棄するもので、許されることではありません。この解約補償金の支払いの正当性がないことが明白となったものです。
前代未聞の対応を厳しく批判すると共に、公営企業管理者の責任が問われていることを指摘しておきます。
第二に、水道事業は、令和3年度決算で、7億9600万円余の黒字となりました。県水の契約水量や責任水量制が引き下げられたことによるものです。本来、水道料金の引き下げを実施し、市民に還元すべきであり、引き続き、県水受水契約の見直しに向けてとり組むよう求めておきます。
 本市水道事業は、自己水に比べ4倍も高い県水を契約水量の6割を受け入れる責任水量制によって受け入れる一方、安くておいしい自己水を配水能力の3割しか使っていません。膨大な県水を受け入れる現状を改め、安くておいしい自己水を基本とする水道行政に切り替えれば大幅に水道料金を引き下げることは可能です。
第三に、工業用水道事業についてです。
 先端産業を立地するとして造成された工業用地・金沢テクノパークは、平成4年着工・造成が始まって、30年が経過しています。現在、用地の2割にあたる3区画・6.1haが立地されないままとなっています。これは、東京ドーム1.3個に相当します。
参入した企業への工業用水道事業は、実質3社が利用していますが、毎年赤字。その赤字を一般会計で補填し続けています。令和3年度決算では、3186万円に上っています。
 市政の失敗ともいうべき事業に対して、市民の税金をもって補填し続けることは許されることではありません。このことを述べ、討論とします。

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