議会議案第20号「マイナンバーカード取得義務化につながる健康保険証廃止の撤回を求める意見書」提案理由説明 広田議員(12月16日)

議会議案第20号「マイナンバーカード取得義務化につながる健康保険証廃止の撤回を求める意見書」について、提案理由説明を行います。

今年10月中旬、河野デジタル大臣が「マイナンバーカードと健康保険証の一体化」を前倒しするため、2024年度秋に現在の健康保険証の廃止を目指すと表明しました。

これまでの政府方針とは異なる「一律廃止」に市民も現場も混乱しています。

その理由は、まず、マイナンバー法ではカードの取得は任意とされ強制されるべきものではないにもかかわらず、健康保険証を廃止とすればカードを持たないと医療機関にかかることができなくなる。つまり取得が強制され、法律と矛盾が起きるのです。

さらに、この制度変更によって、大きな困難に直面する人々がいます。

それは、要介護者、長期入院者などです。こうした人々にとって、マイナンバーカードを取得するのは簡単なことではありません。

まず写真を撮る必要がありますが、在宅で寝たきりの方がこれを行えるでしょうか。

写真を撮ったあとは、申請のために市役所に出向く必要があります。出向くこと自体も大変ですが、パスワードを考え入力をする必要があります。

しかも、それだけでは終わらず、電子証明書の期限は5年なので、5年ごとに市役所窓口に出向く必要があります。そして10年に1回は、写真を取り替える必要があるのです。

「申請は代理人でもできる」と言われるかもしれませんが、身寄りのない人は、代理人もいません。そのため、行政では介護福祉関係の職員にも支援を求めているようですが、本来の

業務ではありませんし、忙しい現場でできるはずがないとお声があります。

現在は、何もしなくても健康保険証が届きますが、マイナンバーカードとなると、こうした過酷な行程が必要になるのです。

さらに、この超高齢化社会においては、たとえマイナンバーカードを取得できても、利活用より不安のほうが大きい状況です。たとえば、マイナポイントの取得ですが、これは原則本人が行うものとされています。なぜなら、マイナンバーカードは第3者に安易に見せてはいけませんし、暗証番号なども必要だからです。しかし、高齢者をはじめできない方が多いため、あらたに予算をかけて臨時窓口が開設されています。マイナポイントをためることができない段階の方が、マイナポータルやマイナ保険証の利用は可能だという制度設計なのでしょうか。

さらに、健康保険証の枠内で、やるべきことは山ほどあります。

政府は、異なる医療機関間の診療・薬剤情報の共有化がなされれば、「より良い医療が可能」になるとしています。しかし、この情報の共有化はオンライン資格確認のシステムを使っているのであって、マイナンバーカードなしに行なうことも技術的には可能なのではないでしょうか。そして、たとえカルテを見ることができても2か月前の情報であり、使えない場合も多々あります。

医療現場からも多くの反対の声があがっています。マインナンバーカードのシステムに切り替えれば、専用機材の購入やスタッフの配置、セキュリティの管理など、このコロナ禍でさらなる負担がかかり、パソコンなど不慣れな事業所では廃業するしかないというお声もあり、地域の身近な医療に重大な影響を及ぼします。

さらに昨今、医療機関でのサイバー攻撃などセキュリティ上の問題が起きており、今後マイナンバーとの連携を本格化することに支障はないのでしょうか。

個人情報保護委員会の年次報告でも21年度までの5年間で5万6千人のマイナンバー情報が紛失し、不正アクセスの被害もあったとのことです。

これらのことから、さまざまな団体から反対の声があがっており、石川県の開業医などで構成する石川県保険医協会からは、「保険証廃止とオンライン資格確認体制整備の義務化の撤回を求める」声明が出されました。

マイナンバーカード交付が進まない根底にあるのは、政府に対する国民の不信感です。アジャイル型で、最終目標も示さないまま、預金も成績も連携しようかと言ってみて、国民の批判があれば、いったん取り下げ、無難なところからはじめている。個人情報の一元化や紐づけはしませんと言いながら、もともとこの制度の発端は経団連からの共通番号制の導入です。個人の負担と給付を国が一元化して比較することができるように、それを根拠に社会保障を削減できるように、そんな提案がされてきたのです。国民にとっては、どこまでなにを連携し、なにがしたいのか将来設計も示されず、2万円のアメと保険証の廃止というムチ、自治体にとっては交付金をもらう基準にまでされ、自治体間の競争があおられ続けています。そのようななんでもアリのやり方に国民は不安と疑問だらけです。

それが解決されないかぎり、マイナンバーカードの保有者がいくら増えても、本当に便利なシステムを構築することは不可能ではないでしょうか。 改めて、健康保険証廃止の撤回を求めるこの意見書に対し、みなさまのご賛同を求め提案理由の説明といたします。

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