議会議案第30号「知的障害者・知的障害行政の国の対応拡充を求める意見書」の反対討論 広田議員(3月22日)

 わたしは、日本共産党市議員団を代表し、議会議案第30号「知的障害者・知的障害行政の国の対応拡充を求める意見書」に反対を表明し、その理由を述べ討論いたします。

 まず、知的障がい者をめぐる制度上の課題についてです。意見書案には、「手帳の制度で、身体障がい者と精神障がい者については、法律の規定に基づき交付・運営されているが、知的障がい者については各都道府県知事等が実施要綱を定め交付・運営されている」としています。このことは、その通りです。

 一方、意見書案では「知的障がいについては、自治体により障がいの程度区分やボーダーラインに差が生じている」「自治体によって、精神障害者保健福祉手帳を交付するところ、療育手帳を交付するところ、両方を交付するところ等、対応が異なっている」として、国に対して、判定方法や基準のあり方の検討を踏まえ、知的障がい者への行政・手帳制度を国の法律において全国共通の施策として展開することを求めています。

しかし、この判定基準などの統一化については現場や専門家からも問題が指摘されています。仮に知的障害の基準をIQなど医学モデルに傾倒することになれば矛盾を生じさせます。IQと知的障害の度合い、さらには生活上の困難は一致するものではなく、IQが高くても社会的適応が難しくトラブルに巻き込まれやすい実態があることなどを重視する必要があります。こうした様々な難しさが、障害認定が画一化されてこなかった一つの要因と考えられます。

そして、障がい者の認定制度については、今般の国連障がい者権利委員会の勧告を受け、大きな変革が必要とされています。

 昨年、国連障害者権利委員会の初となる日本審査が開かれ、多くの勧告が出されました。
その中で、障がい者認定制度の基礎となっている枠組み・視点を問題としており、具体的には、日本の障がい者資格・認定制度は機能障害と能力の評価に基づく医学モデルであり、これを見直し、すべての障がい者が必要な支援を受けられるよう、人権モデルに変えることが求められています。
日本障がいフォーラムのパラレルレポートでは、日本にはニーズがあるのにサービスが受けられない「谷間の障がい」という新語があることを紹介し、機能障害の種類や診断名による除外、機能障害の程度による除外の例を示し、支援ニーズを基本とした認定制度への転換が必要だとしました。
よって、いま国に求めるべきは国連の障害者権利条約に基づき、障害者の人権を保障するための具体的施策であり、知的障害者が安心して暮らせる社会を実現するための取組を総合的に進めることであります。よって、この意見書には賛成できません。

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