私は、日本共産党市議員団を代表して討論を行います。
わが党は、上程された議案44件のうち、議案第53号、議案第55号、議案第60号、議案第61号、議案第63号、議案第64号、議案第65号、議案第70号、議案第76号、議案第77号、議案83号、議案第89号、議案第91号、の議案13件について、反対であります。
その主な理由について述べます。
食料品や電気代、ガス代などの値上がりが続いています。総務省が発表した1月の消費
者物価指数は前年同月と比べ4.2%の上昇となりました。これは、第二次石油危機の影響で物価が上昇した1981年9月以来、41年4ヶ月ぶりの上昇率となり、国民生活への影響は深刻です。企業においても資材などの値上がりが急速に進み、価格転嫁もできない状態のまま、需要がへり、存続の危機とも言える事態が進行しています。
本市は、市民生活と営業を守り、地方自治体の本来の役割である市民の福祉向上に全力
を挙げねばなりません。しかし、本市新年度予算は、以下の点から反対であります。
第一に、市民生活と中小企業を守り、応援を最優先する予算とはなっていません。
具体的には、水道料金、下水道料金、介護保険料、保育料の引き下げが行われず、国民健康保険料の一部が引き上げられたことです。
平成4年度末で、国民健康保険財政調整基金には、32億円、介護給付費準備基金には、28億円があります。わが党は、この財源を活用し、保険料の引き下げを強く求めるものです。なお、後期高齢者医療制度は、75歳以上の方に別枠の医療を押し付けるもので従来から反対です。
金沢港建設事業に巨額の費用が投入され続けています。
新年度と令和4年度最終補正予算を合わせると10億2589万円の事業費で、全体事業費は、32億6500万円にのぼっています。大手企業のために、大深水岸壁事業やクルーズ船寄港のための港湾事業などへ巨額の税金投入が行われており、反対です。
その一方で、ふれあい入浴事業における利用者負担を150円から160円へ引き上げ、議案第91号では、卯辰山公園健康交流センター千寿閣健康温浴使用料460円を490円に60歳以上の利用料金150円を160円に引き上げるとしています。公衆浴場の入浴料金が引き上げられたことを契機としていますが、本市は利用者への負担転嫁を止めるべきと考えます。
第二に、市民の理解と合意のないまま、事業が進められています。
マイナンバーカードです。マイナポイントを付与する事を大宣伝し、さらには、国民健康保険、介護保険と一体化するとの方針など強引なマイナンバーカードの押し付けが続いています。また、本市職員出退管理にまで導入が進められようとしています。
新年度2億7601万円の予算が計上され、第一庁舎4階に総合窓口を設置し、対応するとしています。任意のはずが、事実上強制となり、個人情報がきちんと保護されるかどうか危惧されていることから、引き続き、反対です。
宿泊税については、導入時から小規模宿泊関係者への配慮がされておらず反対です。また、議案第55号市街地再開発事業特別会計予算についてです。金沢駅武蔵北地区再開発事業において、今だ、再開発ビルの保留床が埋まらず、空きフロアーのままとなり管理・運営費を一般会計から支出され続けており、反対です。
城北市民運動公園整備事業として、金沢スタジアム・新市民サッカー場の建設工事が進められています。本体工事費総額は、約80億円、令和6年2月供用開始となります。
現在の市民サッカー場をジュニアスポーツコートの場所に移転新築し、新たなサッカー場を建設するとして進められています。したがって、ジュニアスポーツコートを移転・新築する費用を含めて事業費は、100億円規模となります。
現在、ツエーゲンのホームグランドは、県立陸上競技場です。施設の改修が行われており、100億円を投じて新たな金沢スタジアム建設には市民の理解と合意は得られていないことから反対です。
なお、日銀跡地について、今後、活用のあり方を検討するとしました。さらに、歌劇座の立て替えについては、日銀跡地ではなく、現在地立て替えが総合的に優位であるとの結論に至ったとしました。こうした方針については、市民への説明と合意が求められていることを述べておきたいと思います。
第三に、教育と職員定数についてです。
新共同調理場建設事業費として市内泉本町地内に8000食の共同調理場建設が進められ、令和7年8月完成予定としています。4つあった単独校調理場がなくなり、本市は、すべて共同調理場となります。全国では、半分が単独調理場方式となっています。本市が単独校方式をすべてなくし、巨大な共同調理場建設を進めています。さらに、もう一つ駅西に、1万1千食の超巨大な共同調理場を建設することを打ち出しています。その中止を求めたいと思います。また、学校給食の民間委託化には、従来から反対です。
職員定数の削減です。新年度16名の職員削減が打ち出されています。調理やごみ収集など現場労働者の退職者不補充、民間委託化が進められており、反対です。なお、会計年度任用職員の待遇改善は引き続き求めておきます。
執行体制の改変に関して、住宅政策課と市営住宅課を住宅政策課へ再編するとしています。
現在、住宅政策課は1つの係があり、11人体制です。一方、市営住宅課は、3つの係があり、27人体制です。なぜ、市営住宅課をなくし、住宅政策課へ合流させるのか理解が得られるものではありません。市民から見ても、市営住宅課の名称をなくすることは、なっとくできるものではありません。再検討を求めておきたいと思います。
第四に、情報公開にかかわる条例改正についてです。
国の法律改正にともない、本市の条例改正が行われるものです。
この法律制定をめぐって、個人情報が十分保護されないなどの問題が指摘されました。さらに、地方自治体が独自に個人情報保護するために設けた条文を否定するなど問題が明らかとなりました。その結果、匿名加工情報の取り扱いは、都道府県と政令市にとどめ、法律についても3年ごとに検討することが定められました。
今回本市の条例改正では、従来定められていた個人情報保護に関する条文が削除されるなど個人情報保護に関する点が後退するものとなっています。こうした点から反対を表明するものです。
第五に、水道事業、工業用水道事業についてです。
水道事業は、新年度予算では、約8億円の黒字を計上、昨年の10億円の黒字に続き、連続の黒字計上となっています。これは、県水の契約水量や責任水量制が引き下げられたことによるもので、本来、市民に還元すべきであり、予算には反対です。なお、引き続き、県水受水契約の見直しに向けて取り組むよう求めておきます
工業用水道事業についてです。これは、先端産業を誘致するとして始まった工業団地造成事業において、立地した企業に供給する工業用水事業です。企業立地が完了せず、水利用は、実質3つの企業の利用にとどまっています。この事業は、当初から赤字で、その全額を一般会計で補てんしてきました。新年度予算では、約4千万円にのぼっています。市政の失敗のつけを市民に押しつけている事には同意出来ません。
次に、請願・陳情についてです。
陳情第22号は、「民主主義・立憲主義の基盤である思想・良心の自由、請願権等を守る為の陳情」です。
旧統一教会による霊感商法、高額寄付などによる被害が相次ぎ、社会的問題となっています。さらに、自民党などの議員との関係や、地方自治体にも関係が及んでいたことが明るみとなり、問題が相次いでいます。国においては、被害救済に関する新たな法的対応が行われるとともに、宗教法人法による解散命令を視野に取り組みが行われています。
憲法に明記された思想信条の自由、請願権を守ることは当然です。そして、地方自治体と議会が住民のいのちと暮らしを守る立場から取り組みを行うのは、憲法と地方自治法にそったものであります。したがって、この陳情に反対であり、継続審議するとした総務常任委員会と議会運営委員会の決定に反対です。
陳情第24号は、「政務活動費条例の改正についての陳情」です。これは、市民オンブズマン石川の代表幹事から提出されおり、政務活動費をめぐって、透明化をすすめ、市民の理解を進めていく対応だとしてこの陳情に賛成です。
陳情第26号は、「国民健康保険料と介護保険料の引き下げを求める陳情」です。金沢社会保障協議会事務局長とほか一名から提出されたもので、市民生活の実情からしても保険料の引き下を行う必要があり、この陳情に賛成です。
陳情第27号は、「金沢市の子どもの医療費助成を18歳まで完全無料化するよう求める陳情」です。市民本位の金沢市政をつくる会代表委員から提出されたものです。
本市の子ども医療費助成は入院に関してこの10月から18歳まで拡大し、窓口無料化するとして予算化が打ち出されています。通院についても、同様の対応が行われ18歳まで完全無料化するよう求めるこの陳情に賛成です。
陳情第28号は、「金沢市における認知症施策の充実を求める陳情」です。誰もが年を重ねると認知症の主な症状である記憶障害や様々な精神機能の減退・消失などが現れてきます。
市内に住む娘さんは、家族を持ち、自らも働きながら、近くに一人で暮らす母の介護を続けてきました。その方がこう訴えました。食事を用意したら、電気釜のご飯を朝、全部食べてしまいました。夜になると近所を回り、チャイムを鳴らすんです。近所迷惑だからと施設入所を申し込みました。入所が可能になったんですが、もう少し、住み慣れた家で母が過ごしてほしい、私がもっと介護する時間を増やすからと努力されました。
施設であれ、自宅であれ、認知症の様な症状があらわれても日常生活を維持し、誰もが安心して暮らせるよう様々なケアーとサービス提供が求められます。この陳情は、認知症看護認定看護師から提出され、医療・介護の現場から施策の充実を求めるものです。
市民の声をしっかり市政に届ける役割を担っている本市議会がこうした現場からの陳情をしっかり、受けとめる責任があると考えます。この陳情に賛成です。
以上陳情第24号、26号、27号、28号に関し、付託された各常任委員会、議会運営委員会で、不採択となり、その決定に反対するものです。
以上で反対討論を終わります。