2024年3月議会 代表質問 広田議員(3月11日)

広田美代議員

-広田議員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団を代表して質問いたします。

本日は、2024年能登半島地震発災から2カ月余り、東日本大震災から13年が経過しました。改めて被災されたすべてのみなさまにお悔やみとお見舞いを申し上げます。わたしは東日本大震災の発生直後に議員になりました。政治の役割は人々の命とくらしを守ることだと実感しながら今に至ります。今回の震災で一刻も早く、被災者の思いに沿った復旧と復興が進むよう、全力で取り組む決意です。

 はじめに、能登半島地震に関連して伺います。

目次 [非表示]

●断層の評価と被害想定、地域防災計画の見直しについて

〇石川県の地域防災計画について

 まずは、断層の評価と被害想定、防災計画の見直しについてです。災害対策基本法では、地方自治体が地域防災計画を作成し、毎年検討を加え、必要な時は修正をする義務があります。

 今回の地震が起きた時点での石川県の地域防災計画「地震災害対策編」は30年前の地震被害想定調査をもとに、今回の北方沖の震源について、断層規模は長さ50㎞、Ⅿ7.0、最大震度6弱と想定していましたが、1月1日に実際起きた地震の規模はエネルギーは8倍のⅯ7.6、最大震度7、震源断層は150キロにもなるとされています。

 県内全体の被害予想も、死者7名、建物全壊120棟とされていましたが、桁違いの被害となりました(死者241名 建物被害80640棟 ※3/12時点)。金沢市についての想定は、震度は5強と同様ですが、建物全壊や死者・負傷者とも0と想定されていたところ、今回の住家被害は3月5日時点で6千棟を超えています。

 決して読みが甘かったわけではなく、今回の北方沖の震源については2010年に国が新たな断層を示し、石川県もⅯ8.1の地震が生じうると試算をしていたにも関わらず、県は「津波災害対策編」は見直したものの、セットであるはずの「地震災害対策編」は2025年度までに見直すとして遅れていたのです。

 馳知事は「被害想定の見直しには国の長期評価の調査が必要で待っていた」としていますが、最新の知見が得られた時点で見直すことが必要です。

 本市でも国が示した新たな断層評価についてご存じだったはずですが、県に計画の見直しを急ぐよう求めなかったのでしょうか。

〇金沢市の地域防災計画の見直しについて

 市長、今後は早急にあらたな知見をもとに被害想定を見直し、地域防災計画に反映することが必要です。石川県も本市も地域防災計画を見直すとしていますが、本市は来年度、そしてそれ以降どのような動きになるのかあきらかにしてください。

-村山市長

 本市では阪神淡路大震災を契機として平成10年度に地域防災計画を策定し、その後森本富樫断層帯における国からの新たな評価の公表や東日本大震災を受けて津波被害予測など、その時点での最新の知見に基づき数回に渡り大幅な見直しを実施しています。 

 他方、県の地域防災計画が見直されない中でも本市の地域防災計画を随時見直しており、独自に防災体制の強化を図ってきたところであります。

 県においては令和5年度から地震被害想定を見直しているところであり、その作業中であります。今後とも県との連携を深めてまいりたいと考えています。

 今回の地震を踏まえ、被害状況や災害対応について検証し、より実効性の高い内容として地域防災計画を改定することが重要であると考えております。明年度、有識者や地域代表からなる検証会議を設置し、会議の意見を踏まえ改定を進めることとしております。

〇森本・富樫断層帯について

-広田議員

 本市にとっての最大の懸念は、森本・富樫断層帯による都市直下型地震です。昨年受けた防災士の講習でも、いつ起こってもおかしくないと学びました。

 金沢市はこれまで、この断層帯について「金沢市震災アセスメント調査」を1995年度から行い、98年度に金沢市地域防災計画〔震災対策編〕を策定し、その後も随時見直しをしてきたとしています。

 それでは、現在の地域防災計画〔震災対策編〕は最新の調査や評価、被害想定をもとにしたものと理解してよいのか。まだ盛り込まれていない最新知見があれば早急に反映させるべきではありませんか。

-村山市長

 現在の地域防災計画は、平成17年から18年にかけて実施した金沢市地震被害想定調査における森本富樫断層帯の評価をもとに平成24年度に策定したものであり、その後国から断層帯の新たな評価は発表されておりません。以降は時点修正を実施しており、直近では熊本地震を受けて平成29年度に地区防災計画策定に関する事項について見直すなど、適宜改定を実施してきたところであります。

●住宅の耐震化について

-広田議員

 住宅の耐震化について伺います。

 今回の地震では住宅の倒壊が相次ぎ、死因の多くが倒壊した家屋の下敷きになったとされています。倒壊した要因の一つが「木造住宅の耐震化不足」です。

 現在、金沢市内の住宅耐震化は、2021年3月現在で89.9%、未耐震は2万1千戸に及びます。「金沢市建築物耐震改修促進計画」では2026年には95%を目標としていますが、もっと早くに100%に近づける必要があるのではないでしょうか。新年度にこの計画を改定するとのことですが、なにかあらたな方針があるのか伺います。

-坪田都市整備局長

 次期の耐震改修促進計画には令和6年度に基礎調査、7年度に改定作業を行う予定としております。基礎調査の結果や社会情勢の変化、今後見直しされる地域防災計画、さらには能登半島地震を受けての国の動向を踏まえまして、計画の策定作業を進める中で方針を定めていきたいというふうに考えております。

-広田議員

 高齢化率が高いと耐震化率が低いという相関関係があります。まちなか区域はその傾向があり、高齢の方からは耐震化には多額の費用がかかり、今更費用をかけられない、というお声を伺います。しかし少しでも耐震化を前にすすめるため、他都市では今回の地震を機に助成額の上限を引き上げる動きがあります。本市も引き上げる考えはないのか。あきらかにしてください。

-坪田都市整備局長

 耐震化の助成額につきまして、木造住宅の耐震化にかかる支援制度は令和元年度に補助率10/10、限度額を200万円に引き上げたところでありまして、全国でも手厚い内容で運用しております。現段階で助成額の引き上げは考えてはおりません。

●志賀原発について

-広田議員

 志賀原発についてです。

 今回の地震で、志賀原発は震度5強の揺れ、敷地前の海域で最大3mの津波が観測されました。公表されているだけでも、変圧器が破損して大量の油が漏れ、5回線ある外部電源のうち2回線が使用不能になり、周辺のモニタリングポストの一部も測定不能になるなど重大なトラブルが起きています。

 北陸電力は2014年に2号機の再稼働に向けた審査を申請し、能登半島北側で活断層が96キロ連動すると想定しています。ところが、今回の地震では150キロの断層が連動したとされており、断層評価の前提も崩れたのです。

 そしてこの地震によって、陸路は道路の寸断、海路は海底の隆起などで、住民の避難計画に実効性がないことも明確になりました。

 本市は、志賀原発から半径50km以内を含み、原子力災害対策計画を策定しています。いざというときは、市民に安定ヨウ素剤の配布・服用指示も必要となり、半径30kmのUPZ内の広域避難者およそ88,621名を71か所で受け入れを行う計画もあります。

 今回は、どの段階まで動きがとられたのか、今回の地震だけでも、本市の対応は精いっぱいのように見受けましたが、それに加え原子力災害の対応が可能だったと考えるのか、あきらかにしてください。

-村山市長

 志賀原発につきましては、地震発生当日の夜に開催された本市の第2回災害対策本部会議の場において、志賀原発について異常がないことが報告されており、以降状況確認を継続する体制といたしました。

 他方、現状の本市の地域防災計画では志賀原発が被災した場合の広域避難者受け入れについて明記をしておりますが、本市と同時に大規模な被災があった場合に備えて、今回の地震を教訓として課題を整理した上で地域防災計画の見直しの中で検討していきたいと考えています。

―広田議員

 能登半島では過去に珠洲原発が計画されました。住民の粘り強いたたかいで凍結となりましたが、「高屋」という原発予定候補地は、この地震で市街につながるすべての道路が土砂崩れで断絶。海岸は隆起し、船も出せない孤立集落となりました。

 市長、日本の国土は世界の400分の1でしかありませんが、世界で起こる地震の10分の1が発生する超地震大国です。原発を推進する政府の政策は、見直しが必要だと考えますがいかがですか。

-村山市長

 原発の推進については、国のエネルギー政策の根幹に関わるもので、一義的には国において議論されるものと考えており、引き続き国の動向を注視してまいります。

●避難行動と避難所運営、防災訓練について

〇避難行動について

-広田議員

 避難行動や避難所について伺います。

今回、本市では避難所数は最大124か所、避難者数は最大10,300名の利用のほか、津波から逃れようと高台に車でおられた方など、未だかつてない状況でした。

 避難と避難所運営について多くの方が経験し、計画やマニュアルが現実に即していなかったり、そもそも知らないことに気づかされたのではないでしょうか。本市としては、現時点でどのようなことが課題としてあげられているのか伺います。

-村山市長

 避難行動についてでありますが、今回の地震では震度5強を観測するとともに、津波警報も発令され、多くの方が津波被害から身を守るため道路渋滞のほか、一部の避難所において混乱が見られました。

 また、開設までに時間を要した避難所がございました他、冬季における運営方法などが課題であると判明いたしました。

〇避難所運営マニュアルについて

-広田議員

 わたしも、近くの学校の避難所運営にあたりました。地区支部要員が早めに駆けつけ開設は早かったと思いますが、地域の方々は、誰が鍵を持っているのかわからず不安そうにしていましたし、各地での状況を聞くにつけ、避難所開設の仕組みが市民にはほとんど伝わっていないことを実感しました。

 まずは、震度5弱以上ですべての指定避難所が開設されることになっていますが、今回の地震ですべての避難所が開設できたのか。できなかったのはなぜなのか。また開設までの解錠などの取り決めはマニュアルではどうなっているのかも含め、あきらかにしてください。

-上野危機管理監

 本市において地震の際に使用できる避難所には、小学校や公民館など地域の拠点となる避難所66か所と、中学校や高校・大学などの指定避難所146か所の計212か所がございます。

 そのうち今回の地震で開設されましたのは、全ての拠点避難所と指定避難所58か所であり、開設されなかった指定避難所につきましては元日で施設管理者が不在であったなどの理由で開設に至らなかったものと考えております。

 避難所運営マニュアルにおきましては、拠点避難所では市職員や自主防災組織が、指定避難所では施設管理者などが鍵を開けることとしておりますが、今後の見直しでは今回避難所が開設されなかった理由などを検証・整理したうえで、地域の自主防災組織や施設管理者と連携しながら、連絡体制の強化を図り、迅速な避難所開設に繋げてまいります。

〇避難所の冷暖房設備について

-広田議員

 避難所での冷暖房設備についてです。

 計画では、避難所ではストーブは1つか2つとされており、広い体育館ではなかなか温まりません。避難されたみなさんも毛布にくるまっても寒いと話されていました。ご高齢の方や障害をお持ちの方もおられ、心配な状況でした。

 本市のマニュアルでは室温について詳しくは書かれていませんが、内閣府の避難所運営ガイドラインには「暑さ・寒さ対策を検討」についての項目に「冷暖房器具を確保」とあります。

 しかしながら、体育館等ではスポット的な冷暖房器具の用意であり、避難所としてよい環境にするため、エアコン設置などの改善が必要と考えますがいかがですか。

-村山市長

 本市では以前から、避難所となる小学校及び中学校にはスポット的な冷暖房器具を配備しておりますけれども、気温の状況によっては冷暖房を完備している普通教室に避難住民を案内するなど、柔軟な対応に努めてまいりたいと考えております。

-広田議員

 子どもたちのため、避難所としても、体育館の冷暖房空調設備は必要不可欠です。文科省の「学校施設環境改善交付金」は、通常1/3を補助する国庫補助事業ですが、体育館については、2023年度から25年度の3年間に限り1/2へ引き上げられています。ぜひ、早期の検討と決断を求めますがいかがですか。

-上寺教育次長

 すべての小中学校の普通教室への空調設備の整備が完了したことから、明年度からは特別教室への計画的な整備に向けて実施設計に着手することとしており、整備完了後は普通教室を合わせ避難時の使用も可能になります。

 体育館への空調設備の整備にあたりましては、国庫補助の条件としまして大規模な断熱工事を要件としていることから、導入の手法と合わせ他都市の事例を検証するなど、今後の検討課題とさせていただきたいと存じます。

〇マニュアルの見直しについて

-広田議員 

 また、避難所に関しては、ほかにもさまざまな課題が浮き彫りになりました。市長、計画やマニュアルについて、今後どのように見直していくのか。幅広く市民の意見を募集すべきではないでしょうか。

-村山市長

 避難所運営等各種マニュアルにつきましては、今後学識経験者や地域代表からの意見を聴取し、検証会議において課題等の整理・検討を行い、実効性の高い内容に改定することとしております。

〇防災訓練について

-広田議員

 そして、今回の経験で、自分の地域ではどのようなリスクがあるのか、避難の流れ、指定避難場所はどこなのか、多くの市民に知られていないことも実感しました。

 やはり、日頃からの防災訓練が必要不可欠です。法的には義務付けがなく実施が地域任せになっていますが、まずは実施の現状はどうなっているのか。本市と地域が一緒になって毎年計画的に行うべきではないか求めますがいかがでしょうか。

-村山市長

 防災訓練については、本市では地域の自主防災組織がそれぞれの地域特性に応じた防災計画を策定しております。その計画に基づき、防災訓練や防災講座を実施しています。これまでも防災訓練の実施を促すとともに、地域からの要請に応じて協力してきたところであります。今後も地域への協力を継続してまいります。

●職員数について

〇民営化やデジタル化ではなく増員を

-広田議員

 震災対応で、行政職員の不足も浮き彫りになりました。能登方面では職員自身も被災しながら役所に泊まり込み、替わりがおらず不眠無休で疲弊している様子が報道でも映し出されました。

 市町村の合併、定数削減によって職員が減らされ、ぎりぎりの体制。消防や保健所も市町ごとにはなく、広域化されています。

 効率化一辺倒は災害に弱いということが露呈しました。本市でも大規模災害が起きたときに、職員の基本的な体制は万全なのでしょうか。

 特に、危機管理や消防、土木、医療福祉、保健所などは必須と考えます。しかし、本市の新年度編成の増員計画では、たとえば、災害対策の中心である「危機管理課」は2名、「がけ地対策」1名、「道路管理課」1名、「内水整備課」2名にとどまっています。そして、生活支援課は1名増員ですが、職員ひとりあたり受給者80名という国基準を超えています(84名)。また、消防職員は国の整備指針と照らすと、今年度6名増員しますが、およそ1割の不足です(90.9%)。

 一方で、新年度予算では「公共インフラ包括的民間委託」検討費、下水道事業のウォーターPPPの導入可能性調査費など提案、「PFI活用ガイドライン」まで策定するとしています。

 市長、災害対策基本法は、国と地方自治体に対し災害から国民を守るための重い責務を規定しています。民営化ばかりでこの責任が果たされるのですか。災害時でも市民の命とくらしを守るため、民営化ではなく、必要な部署の増員を行うべきではないでしょうか。

-村山市長

 職員配置につきまして、本市ではこれまでも民間活力の導入を図り、良質な公共サービスを提供するため、可能な業務につきましては随時外部委託化等を進めています。職員につきましては、業務の見直しや効率化による減員に合わせ、必要な部署へは増員を行うなど、適正な定員管理に努めてきたところであります。明年度は災害対応の強化や救急隊の増隊等で増員を予定しております。

-広田議員

 保健所の保健師は3人の減員です。別の部署に配置するということですが、その代わりに保健所の代表電話をAIにするというものです。コロナ禍のような緊急時に備えてということですが、緊急時ならなおさら人間が見極める必要があります。保健師さんのご苦労もわかりますが、まずは、交換手を置くなど工夫の余地があるはずですし、なにより保健師を増員をするべきですがいかがですか。

-村山市長

 保健所の保健師については、新型コロナの5類移行により減員とする一方で、保健師自体については増員としております。こども家庭センターの運営や、後期高齢者保健介護予防推進事業の実施などによって、5名増員することとしております。引き続き業務の見直しや効率化を図りながら、適正な配置に努めてまいります。

 なお、行政のデジタル化は複雑化・多様化する行政ニーズに対応するため必要不可欠な流れであり、業務効率化が図られることによってきめ細やかな市民サービスの提供にもつながると考えております。積極的に導入してまいりたいと考えています。

●失われた30年と裏金・金権腐敗政治について

-広田議員

 次に、市民のくらしと予算編成ついて伺います。

賃金の伸びが物価上昇に追いつかず、目減りが続いています。実質賃金が1996年をピークに低下し、暮らしに困難をもたらしたことが、「失われた30年」と呼ばれる経済の停滞を生んでいます。そこを襲ったのが急激な物価高。さらに能登半島地震の被害が追い打ちをかけています。

 一方で、大企業は大幅に利益を増やし、この30年間で内部留保は520兆円を超え、過去最高です。「失われた30年」は自然現象では決してありません。自民党政治が、大企業向けの減税と一体に消費税増税、インバウンドを押し付け、暮らしに大打撃を与えてきました。働く人の4割を非正規ワーカーにした結果、「賃金が上がらない国」になったのです。若い世代は、重すぎる教育費負担と奨学金返済で苦しみ、年金・医療・介護の給付減・負担増は、すべての世代に不安と犠牲をもたらしています。

 これらの根っこには、「財界・大企業のもうけ最優先」「後は野となれ山となれ」の政治のゆがみがあります。裏金事件で明るみに出た金権腐敗も、この政治のゆがみと一体のものです。市長は「失われた30年と市民のくらしの大変さ」についてどうお考えでしょうか。

 そして、裏金とともに、企業団体からの献金について廃止の議論がされていますが、市長はどのようにお考えでしょうか。

-村山市長

 市政運営につきまして、これまでバブル崩壊やリーマンショック、新型コロナウイルス感染症拡大など、社会経済活動に大きな影響を及ぼす事態が発生した際も、基礎自治体である市として市民生活の安全と安心を最優先に、なしうる限りの対策を講じてきたと承知しております。引き続きそのことに意を用いながら、市政運営に全力で取り組んでまいりたいと考えています。

 一方で、政治資金の取り扱いについては、法律に基づき適切に管理されるべきものであります。私も政治家のひとりとして肝に銘じ、職務に精励してまいりたいと考えています。

●新年度予算における市民のくらし、福祉について

-広田議員

 このような中、市民のくらしを守るため、これまで市民から要望の多い点についてどのように本市が検討されたのか具体的に伺います。

〇国民健康保険料と介護保険料について

 まずは、国民健康保険料についてです。賦課限度額の引き上げ以外は据え置かれました。これまでも高すぎる保険料(年収200万円大人2子2で30万3千円)の引き下げに基金の活用を求めてきました。今回、県の標準保険料率に対し、どのような対応をしたのか、引き下げることはできなかったのかでしょうか。

-村山市長

 国民健康保険料については、県から示された標準保険料率を基本としておりますが、今回は市民生活への影響に配慮して料率を据え置くことといたしました。明年度は保険料負担の軽減のために約9億9千万円の基金取り崩しを行うこととしております。さらなる保険料の引き下げのために基金を活用することは考えておりません。

-広田議員

 つぎに、介護保険料についてです。今回第9期の保険料となりますが、基準月額は今期から据え置かれました。介護給付が増える中、どのように基金を取り崩し対応をしたのか、引き下げることはできなかったのか、あきらかにしてください。

-村山市長

 第9期の介護保険料については、市民の負担が過大にならないよう市民生活の影響に配慮し、今年度末の介護給付費準備基金の残高見込みでございます約29億円のうち、約26億円を今後3年間で計画的に取り崩すことによって、基準月額を据え置くことといたしました。今後高齢化の進展に伴って要介護認定者が増え、介護給付費の増加が見込まれるという中にあって、引き下げは考えておりません。

〇保育について

-広田議員

 保育については、新年度から保育士ひとりが担当する子どもの人数の国基準が、4,5歳児では30人から25人、3歳児では20人から15人に改善されます。本市ではそれを受けて、さらに4,5歳児で20:1へ引き上げた園への助成が提案されました。

 しかしながら、国の4,5歳児の配置基準加算について、チーム保育推進加算をしている施設は対象外となり、現場からは疑問の声があがっています。これらの加算は別物です。市長、国へ対象外としないよう求めていただきたいと考えますがいかがですか。

-村山市長

 今般、国において76年ぶりに4,5歳児の配置基準が改善されるということは、保育の質の向上につながるものと考えております。さらなる保育環境の充実を図るため、保育士の定数改善に向けた財政措置については引き続き国に要望してまいりたいと考えています。

〇学童保育について

-広田議員

 放課後児童クラブ、いわゆる学童保育については、求めてきた支援員の処遇改善が提案されました。まず、どの程度の引き上げになるのか伺います。

また、施設使用料(家賃)についても、(補助率が10/10、限度額も月額20万円に)引き上げがされました。待機児童解消のためとしていますが、どのような動きを期待しているのかあきらかにしてください。

-藤木こども未来局長

 新年度予算におけます放課後児童支援員の処遇改善につきましてですが、今回お諮りしております月額給与と賞与の改善によりまして、児童クラブの運営委託料に含まれます人件費の年額積算は、一人当たり本年度の約204万円から来年度は約250万円に引き上げとなります。

 続きまして、児童クラブの新設等にかかります施設使用料の助成制度の拡充につきまして、本市の児童クラブの7割以上が地域団体により運営されていることもございまして、施設使用料の助成を拡充することで児童クラブの新設やより良い環境への移転を促し、待機児童の解消と保育環境の向上につなげたいと考えております。

〇子どもの医療費助成制度について

-広田議員

 子どもの医療費助成制度についてですが、通院の対象年齢拡大はありませんでした。石川県内で唯一、本市だけが18歳まで到達しておりません。今回の予算編成段階でどのような検討がされたのか、もし通院についても、18歳まで拡大し窓口負担をなくすと追加の費用はいくらになるのか、あきらかにしてください。そして早急に拡大を求めますがいかがでしょうか。

-村山市長 

 明年度の子育て支援施策として新たにこども家庭センターの運営を開始するほか、拠点型こども宅食の本格実施、児童クラブの新設などにかかる施設使用料の助成の拡充などをお諮りしております。子育て支援医療助成費のさらなる拡充は行う予定はありません。

 なお、ご指摘の通院にかかる助成対象を18歳まで拡大し、窓口負担を無料化した場合の必要となる費用については、毎年年間で約4億8千万円と見込まれております。

〇補聴器購入補助制度について

-広田議員

 加齢にともなう補聴器購入補助制度についてです。新年度に予算化はされていません。これまで市長の答弁は、制度については全国市長会を通じて国に求めているものの、本市においては「研究する」というものでした。今回の予算編成にあたり、どのような検討をされ、研究に向けてなにか具体化されたのか伺います。

-村山市長

 加齢性難聴者を対象とした補聴器購入補助制度について中核市の状況を確認したところ、補助制度を持っているのは62市中8市と少ない状況であり、また本来は国が対応すべきものであると考えていることから、全国市長会を通じて国に対して補助制度の創設を要望しております。その動向を注視しているところであります。

〇熱中症対策について

-広田議員

 新年度あらたな施策として、熱中症対策が盛り込まれました。公共施設の一角に避暑休憩スペースを設置するとしていますが、具体的にどの施設にどんな機能を備えるのかあきらかにしてください。

-山口福祉健康局長

 熱中症対策につきましては、本庁舎に加えまして駅西・泉野・元町の各福祉健康センターや、健康プラザ大手町などに避暑休憩スペースを設置いたしまして、夏場の高温時に市民が気軽に暑さを凌ぐことができるようにテーブルや椅子を設置いたします他、うちわや冷却シート、また応急用としての飲料などを配備する予定でございます。

〇除雪について

-広田議員

 除雪については、除雪路線の拡大のために、除雪オペレーター育成支援や、第3次路線の基準緩和など取り組まれています。新年度では、さらに、車両系建設機械運転技能講習済みの方の大型特殊免許取得の経費を支援の対象にし、GPSでの除雪管理システムを導入するとしています。これらの拡充で、除雪路線の拡大をどの程度見込んでいるのか。

 また、民間消融雪施設の現況調査を行うとしていますが、その目的と、地域などで運営が困難になっている実態に対し支援も検討するのかお聞きします。

-坂本土木局長

 除雪につきまして2点質問がございました。最初に支援制度の拡充やシステムの導入によって除雪路線の拡大をどの程度見込んでいるかという点でございます。明年度、除雪オペレーター支援制度を拡充する予定ではありますが、現状の体制では除雪路線を拡大することは難しいと考えております。毎年実施しております除雪業者へのアンケートで、除雪業者の数やオペレーターの人数などを確認したうえで除雪路線の拡大について判断していきたいと考えております。なお、除雪管理システムは除雪体制の効率化や住民からの問い合わせなどに正確な情報を細やかに伝えるため導入するものでありまして、システムの導入による運用実績の検証とともに、引き続き除雪業者の掘り起こしに努めてまいります。

 次に、民間消融雪施設現況調査の調査目的についてでございます。民間消融雪施設の現況調査は、民間の消雪組合などで管理しております施設の老朽化や、管理者の高齢化、担い手不足などの課題が顕在化しておりますことから、施設の健全度や管理状況を調査するものであります。まずはその調査結果を施設の長寿命化や継続的な管理運営方法の検討資料とするほか、合わせて技術的なアドバイスを行うこととしております。

〇マイナ保険証と「保険年金課」について

-広田議員

 つぎに、マイナンバーカードと保険証との一体化についてです。本市は、国民健康保険の被保険者証等を「今年12月2日に廃止する」としています。

 まずは保険証に関してですが、本市の国保加入者のうち、マイナンバーにひもづけていない方は4割に及びます。そこで、廃止以降は、マイナ保険証を取得していない方には資格確認書というものが発行されるようですが、これは申請しないと発行されないのか。また、マイナ保険証をお持ちの方に発行される予定の「資格情報のお知らせ」の発行目的と、どのようなものかあきらかにしてください。

-山口福祉健康局長

 資格確認書は原則本人の申請に基づき交付することとされておりますが、当分の間はマイナ保険証を保有していない者、その他保険者が必要と認めた者につきましては、本人の申請によらず保険者が交付することとされており、本市の国民健康保険におきましても国の通知等に基づき対応してまいります。

 また資格情報のお知らせにつきましては、健康保険証の廃止に伴いまして、マイナ保険証の保有者がご自身の被保険者資格等を簡易に把握できるように、新規の資格取得時や負担割合の変更時等に交付されるものでございまして、A4版の大きさで資格情報の内容等が記載されているものでございます。

-広田議員

 市長、昨年の議会でも申し上げた通り、医療機関でのマイナ保険証利用に関しては未だトラブルが続いています。さらにマイナ保険証の利用率については、昨年11月時点の国家公務員全体の利用率は「4.36%」。国民全体の「4.33%」とほぼ同水準です。さらに、マイナ保険証を所管する厚生労働省の利用率ですら「4.88%」です。にも関わらず、先月末には、厚生労働省から医療機関に対し、利用率の増加によって支援金を支給することや、患者さんへの声かけを促しています。トラブルの解消もしていないのに、どうしてお勧めすることができるでしょうか。

 市長、そもそもマイナンバーカードの取得は任意です。このまま保険証が廃止されれば、保険に加入しているのに保険診療が受けられない事態になりかねません。市長、保険証存続の声をあげるよう求めますがいかがですか。

-村山市長

 マイナ保険証につきましてはこれまでも本会議において申し上げた通り、マイナンバーカードの保険証利用により診療時に過去の健診結果や薬剤情報が共有でき、適切な医療に繋がるなど、市民の利便性が非常に高まると考えています。国においてはこうしたメリット等を考慮して健康保険証を廃止することとしたものと認識しております。国に対して保険証の存続を求めていくことは考えてはおりません。

-広田議員

 本市は新年度から、マイナ保険証を円滑に進めるためとして医療保険課を「福祉健康局」から「市民局」に移管し、「保険年金課」にするとしています。本市では、保険料が高くて払えず、滞納世帯が15%にものぼり、医療が受けられるか不安を抱える市民もいます。医療保険課はマイナ保険証にまい進する部署ではなく、皆保険の実現、命を守る部署であるべきです。そもそも管轄も厚生労働省であり、福祉健康局内で連携が必要です。市民局への移管は見直すよう求めますがいかがですか。

-村山市長

 国民健康保険制度の国の所管は厚生労働省ではありますが、本市ではこれまでも必要に応じて部局横断的に関係課が連携し、本制度を適正に運用してきたところであります。今回の市民局への移管につきましては、マイナンバーカードと健康保険証の一体化を円滑に進めるためのものでありますが、過去には市民局で国民健康保険制度を所管していたということもあります。引き続き関係課が連携することで業務への支障はないと考えています。

〇金沢方式の見直しについて

-広田議員

 金沢方式の見直しについてです。

「金沢方式あり方検討費」230万円が提案され、2025年4月からの適用開始をめざし、公民館・児童館・消防団の施設整備における地元負担の軽減等について検討するとしています。まず、検討費について、コミュニティ基金を充てたのはどうしてなのか。

 さらに、検討会のメンバーはどなたが担うのか、さまざまな住民の立場にたった方を選出するべきですし、市民全体にアンケートや公聴会なども開くべきと考えますがいかがですか。

-村山市長

 金沢方式は、地元からの要望により公民館等の地域主導による運営、多くのボランティアに支えられた活動、運営費や建設費の地元負担を特徴とした方式であります。地域の連帯を強め、協同を育むうえで、地域コミュニティの醸成や発展にこれまで大きな役割を果たしてまいりました。

 ご指摘の検討費については、公民館等の施設整備における地元負担の軽減等を含めた金沢方式の在り方を検討するものであります。地域コミュニティ組織の持続可能性の向上に資する事業と判断し、地域コミュニティ活性化推進審議会での審議を経て基金充当事業としたものであります。

 明年度に設置する懇話会は、地域団体や若い世代の代表者、有識者等で構成したいと考えており、その中で多くのご意見をお聞きしてまいりたいと考えています。これまでもまちづくりミーティング等を通じて地元負担の見直しが必要との声をお聞きしたところであり、市民全体を対象としたアンケートや公聴会の実施までは考えてはおりません。

-広田議員

 また、地元負担について2つ伺います。まずは、本市が負担割合を設定し、地域に負担を求めることについて、どのような法的根拠があるのか。

 つぎに、建て替えの実施については本市が行い、完成後に地元には1/4の負担金を求め、本市の歳入に「寄付金」として入れていますが、これは地方財政法の第4条の5「地方公共団体は住民に対し、寄附金を割り当てて強制的に徴収するようなことをしてはならない。」に抵触しないのでしょうか。あきらかにしてください。

 また、公民館は運営費についても地元負担があり、貸館収入が必要な実態から、地元住民の利用についても一定の使用料金がかかる地域もあります。市民が自由に使えるように公民館の運営費についても見直しが必要ではないでしょうか。

-村山市長

 本市における公民館や児童館等の整備は、設置を望む地域の総意に基づき建設工事等に地元負担が生じることを了承の上作成いただいた地元からの要望書に従い地域の方々と協議しながら本市独自の方式で進めてきたものであります。

 また建設工事等にかかる地元負担分は、事業完了後地元からの寄付申出書に基づき寄付金として採納しております。本市の寄附採納事務処理要綱に沿って、地元の合意によって行っているものであります。

 懇話会では主に、公民館・児童館・消防団の施設整備における地元負担の軽減等を含めた在り方について検討を進めていくこととしております。なお、公民館の運営費についても在り方の検討に密接に関係していくことから、懇話会のご意見も十分お聞きしながら精査していきたいと考えています。

●大型開発ではなく、市民のいのち・くらし守り、災害に強いまちづくりを

〇都心軸の開発について

-広田議員

 こうした住民の負担も多く、くらし・福祉の充実もまだまだであるにもかかわらず、大型開発がすすめられようとしています。

都心軸の開発についてです。本市では今回、都市再生特別措置法を活用し、都心軸エリア全体の面的整備を促進するとして、都市再生緊急整備地域の「指定」をめざし、新年度から準備協議会を設立、地域整備方針を取りまとめとしています。

 まず、本市は具体的になにを整備するのか表明していませんが、少なくとも考えられるのは、金沢駅前の旧都ホテル跡地での開発、武蔵ヶ辻での開発、そして旧日銀跡地での開発、片町での開発、ということでよろしいでしょうか。

-村山市長

 金沢駅から片町に至る都心軸においては、都ホテル跡地の開発だけでなく、老朽ビルの再整備等が課題となっていることから、都市再生特別措置法を活用することにより民間による開発の気運を高め、都心軸エリア全体の面的整備の促進につなげていきたいと考えております。

―広田議員

 昨年末の総務常任委員会への報告と質疑で、これまでの経緯があきらかになりました。

 本市は5年前から、旧都ホテル跡地について所有する近鉄不動産に開発を働きかけてきた。昨年4月からは特措法の活用について内部で検討を行い、昨年10月19日に、近鉄不動産に意向を確認し、偶然にも翌日、旧都ホテル跡地における特措法の活用について県知事から発言があり、10月30日に市長から県知事に対し特措法について協力を要請し、了承を得て、国へ申請となったとのことです。

 これまで、議会にも報告がなかったことについては質してきましたが、今回伺いたいのは、こうした特措法の活用は、国へ申請をする前に、あらかじめ場所を特定し、その地権者に開発の意向を確認するのが正しいやり方なのかということです。あきらかにしてください。

-村山市長

 国が定める指定基準では、都市再生緊急整備地域については早期に実施されることが見込まれる都市再開発事業等の区域に加え、土地所有者の意向に基づく都市開発事業等の気運の存在が認められる地域とされております。このため、土地所有者から開発の意向を確認したうえで国への申請を行う必要があり、都ホテル跡地を所有する近鉄不動産に対してもあらかじめ意向を確認したものであります。

-広田議員

 12月の総務常任委員会では、委員に「これまでなぜ近鉄不動産に特措法の話をしなかったのか」と問われ、執行部から「特措法の制度は把握していたが、都ホテル跡地単独では活用できない。制度の活用には相当な面積が必要で、都ホテル跡地がある街区のみでの特措法の活用は難しいと整理をしている。」との答弁でした。

 つまり、都ホテル跡地はもともと個別に開発を行う予定だったが、特措法を活用するために、都心軸の面的整備として抱き合わせにしたということでよいですか。

-村山市長

 本年度新たな都市像の策定を進める過程において、都心軸の再興を検討する中、都ホテル跡地だけでなく老朽ビルの再整備等が課題となっていることを踏まえ、特措法を活用することにより民間による開発の気運を高め、都心軸エリア全体の面的整備の促進を図ることとしたものでございます。

-広田議員

 これまでの国交省の議論では、地方都市では「大都市に比べ需要が小さいことに起因し、採算が合いにくく、リスクも高くなりがちであることから、純粋な民間経済活動による投資は限定的」とされてきました。

 本市でも残念ながら、多額の税金を投入した再開発事業にでさえ、課題が残っています。金沢駅武蔵北地区市街地再開発事業では、駅前のライブ1やリファーレには保留床が残ったまま、37年もの間、一般会計を投入し続けています。片町の再開発では、建設費54億に対し34億の税金を投入し、テナント誘致では当初1億円の補助で2つの有名店舗を誘致しましたが、期間をすぎると撤退しました。開発に対して需要が満足でない現状が続いています。この現状についてどう整理されているのでしょうか。

-坪田都市整備局長

 都心軸の開発について、これまでの再開発事業についてどう整理されているかのお尋ねがございました。再開発事業は、防災性の向上、住環境の改善に加えまして、まちの活性化を目的としておりまして、駅・武蔵北地区や片町地区での再開発ビルにおきましては、これまでもテナントの入れ替えはあるものの継続的に入居している状況であり、都心軸の賑わい創出に寄与しているものと考えております。

-広田議員

 この特措法においては、都市再生緊急整備地域の設定、民間都市再生事業など税制優遇と規制緩和で民間開発を支援し、そこに公的な市街地再開発事業などの公共投資を組み込み、民間大企業、大手不動産、デベロッパーが進める大規模開発を支援するということが全国で行われています。税制優遇を受けながら、これまで市民が守ってきた、既存の都市計画や土地利用規制をも取っ払い、民間が保留床を最大化するため、巨大なビルを建てることができるのです。

 よって、本市の都市再生緊急整備地域への指定をめざした今の動きは、こうした規制緩和や税制面で優遇をしなければ、民間は動かないと判断した上のことなのですか。

-村山市長

 都心軸の再興を図るうえでは、民間による開発気運の醸成が必要と考え、都市再生緊急整備地域の指定を目指すものとしたことであります。

―広田議員

 また、開発の手法について、どの制度を利用していくのかは開発主体が検討されることかと思いますが、多額の税金投入がある、市街地再開発事業の手法もとられるのかあきらかにしてください。

―村山市長

 建物の更新など、開発にあたっては権利者自らが建築計画や資金調達を検討し、その中で単独での建て替えや再開発による共同化など、計画を実現可能とする事業手法を選定するものであり、まずは民間での動きを注視していきたいと考えています。

 なお、片町四番組海側・山側両地区においては、権利者間で議論を重ねた結果、市街地再開発事業の手法を選択したものであります。

―広田議員

 そして、高さ制限や容積率の緩和を行えるのはどのような事業についてなのかあきらかにしてください。

―村山市長

 都市再生緊急整備地域において、容積率や高さ制限など、既存の規制にとらわれず、都市開発事業を実施することができるようになるには、都市再生特別地区の設定が必要となります。なお、この設定には明年度立ち上げる準備協議会において作成する開発の考え方や、求められる機能等を掲げる地域整備方針に沿うことが求められるとともに、その設定には市の意見を踏まえた県の都市計画決定が必要となります。

-広田議員

 市長、都市計画や再開発は、「公共の福祉」の増進・寄与を前提としたものでなくてはならず、都市計画法や都市再開発法にもそう書き込まれています。この事業が誰のための事業なのか問われています。都市計画を守り、守らせること、市民とともに市民のためのまちづくりを行うことが市長の務めではないですか。

-村山市長

 金沢市都市像に掲げる都心軸の再興に向けて、都市再生特別措置法の活用を図るとともに、官民連携による都心軸エリアの価値向上を通じて、本市のまちづくりの規範である保全と開発の調和を発展させ、「未来を拓く世界の共創文化都市・金沢」にふさわしい品格と魅力のあふれる都市空間の形成を目指していきたいと考えています。金沢市都市像の実現に向けた取り組みは、すべての人々と共に、心豊かで活力ある未来を創るということであります。市政の発展と市民福祉の向上に繋がるものと考えています。

―広田議員

 今回、老朽ビルの再整備も同時に行うとしていますが、まずは地権者がいらっしゃる話です。みなさんが、どのような現状と方針をお持ちか調査はされたのでしょうか。

―村山市長

 建物の更新には権利者の意向が重要と認識しております。今議会でお諮りしている明年度予算で、都心軸沿線の権利者に対して意向調査をするとともに、建物の耐震化や空き店舗の有無など、現状を把握することとしております。能登半島地震の発生を機に、改めて老朽ビルの建て替えを促進する必要があると思った次第でございます。

―広田議員

 市長、面的な過大な開発を行い、どの都市にもあるような店舗が立ち並ぶ都市にするのではなく、市民や地元業者さんとともに、耐震基準を満たしていないビルや家屋の耐震対策などに地道に取り組み、金沢としての歴史や個性を磨く取り組みにできないのでしょうか。

 大型開発ではなく、市民のいのちとくらしを守り、市民とともに災害に強いまちづくりを進めることこそ求め、質問を終わります。

―村山市長

 都市再生特別措置法を活用した都心軸の再興に積極的に取り組んでまいりたいと考えています。

<再質問>

-広田議員

 ご答弁ありがとうございます。

 まず1点目は原発について、1月1日夜に北陸電力から異常はないと確認したということですが、先ほど申し上げた通り数々の深刻なトラブルが起きて、外部電源についてはまだ復旧にも至っていないはずです。ちょっと、それだけの危機管理ということではとても残念なご答弁だったと思います。何か追加があればお願いします。

 そして、やはりこの震災を経験して私は、危機管理課が現在9名なんですね、今回2名増員するということですけれども、やはり足りないのではないかと考えます。人口46万人を超えるこの都市において、もっと増員すべきです。女性も含めて動員を改めて求めますけれども、危機管理について2点お願いします。

 もう一つ、失われた30年の中で市民のくらしの大変さは増しました。もう大企業に頼ってもトリクルダウンが起きないこともあきらかになったわけです。私はこの地方の疲弊もその結果だと思っています。市長は適切に対応してきたというふうにおっしゃいますけれども、一部拡充もありましたが、これまで全体のご答弁を聞いていて、いまだ古い大型開発、観光を呼び込むことにまい進し、市民の医療や介護、福祉は後回しだと言わざるを得ません。しかし市長、医療や福祉も経済なんです。そこに従事者がいます。金沢市では第3位の雇用者数、女性については第1位です。そしてこの事業があるからこそ、家族で抱え込まず働き経済活動ができる。こうした視点というのをお持ちになったことはありますか。

-村山市長

 3点、再質問をいただきました。1つ目が原発の関係であります。我々として、原発の被害がないかどうか、あるいはそれによって住民に被害が及ぶかどうかということが1つ目、そして志賀原発からの避難者をどう受け入れるか、その2つの心配をしなければならないというところであります。まず最初に異常がないということが報告されました。その後いくつか訂正はあったというところもありますけれども、それによる影響があるかどうかということも確認しながら対応してきたというところであります。

 続いて危機管理部局の増強についてもご質問をいただきました。非常に重要な課題であるというように思っております。一方で危機管理については、いざというときにどういった対応をするかということのなるべく早い意思決定と、そして情報収集が必要になるというところであります。情報収集については複数の部局に渡るところが収集をいたしますし、現場の対応ということでは消防の方の体制の充実ということで今回も都度対応させていただいているという中であります。時期を見ながら、そして必要に応じて、今回は危機管理課の中に対策室を設けたという中でありますけれども、その場面にふさわしい人員を配置できるように整えていきたいと考えています。

 市民の生活について、これは基本方針のうちのひとつに大きく位置づけております。暮らしを守ることが何より大事だというところ、それを位置づけながら、そして多方面での経済振興も行わなければならないという中での施策になっております。バランスをとった形として施策を今回打ち出させていただきました。これはもしかしたら議員の意向とずれがあるかもしれませんけれども、本市として行えるところについて、全て施策として来年度予算に盛り込ませていただいたと認識しております。

-広田議員

 まず原発ですけれども、モニタリングポストが止まっていたんですよね。誰が安全を確認できるのか。私は、石川県はもちろんですけれども金沢市も50km圏内に市民がいるわけですし、多くの避難を受け入れるわけですから、もっと本気で追及をしてほしいと思います。これから県と一緒に内部をしっかり公開させる、そのことを求めていただきたいと思います。

 そして、暮らしを守ることが大切とおっしゃっていましたけれども、私の観点は医療・福祉も経済なんだということなんですね。ヨーロッパ諸国はそういうふうに考えているということを聞いたことがあります。

 そこで1点、子どもの医療費助成制度、これがなぜ進まないのか。なぜ県内で金沢市だけ(外来が15歳まで)なのかと、疑問が大きいわけです。もちろん国保や介護は国のこともあるのでなかなか大変なんですが、この子どもの医療費は本市としてやれるわけです。先ほどご答弁がありました。あと4億8千万円で18歳まで窓口無料を拡大できるということです。

 そして、検討の中にあったのかはわかりませんけれども、この新年度から国民健康保険の国庫負担金の減額調整について、18歳未満までを対象に廃止されるんですよね。だったら自治体のみなさん、18歳まで拡大できるんじゃないですかというふうに今、全国で広がっているんです。ぜひ決断を求めますがいかがですか。

-村山市長

 原発について、当時災害対応にあたっている中で、これももちろん見なければならないところということでケアをしておりました。そして今後の内容について、これも北陸電力さんに対しても、その都度情報をいただいているところでもあります。一部、ご指摘のところもあったかとは思いますけれども、震災後の混乱の中、市民の安全を守るために重要なところとしてはしっかりと把握をし、そして情報収集をしていきたいというように考えています。

 こども医療費について、これは入院についての医療費の助成制度を先般見直させていただきました。そして通院についてもということだと思いますけれども、現状として低所得者への配慮を行っていることに加え、子育て施策としての充実を様々な観点から行っております。子育て世帯に対して、より魅力的な、そして金沢市で子育てしたいと思えるような環境を整えていくことをまず市として行っていきたいというように思っています。そして医療費の助成などについては本来国の方のレベルで考えるべき話だというように考えております。全国市長会などを通じた要望についても合わせて行っていきたいと考えています。

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