2024年9月議会 一般質問 山下議員(9月12日)

-山下議員
 質問の機会を得ましたので、日本共産党 市議員団の一員として、質問いたします。

 最初の質問は、こどもの声をきく取り組みについてです。能登半島地震発災から8か月が経過をしました。避難所の閉鎖や様々な支援制度の終了が伝わる中で、能登地域でもここ金沢市内でも、避難生活を余儀なくされている方々が日常生活を取り戻すための支援は引き続き取り組む必要があると考えます。能登から避難している小学生の保護者から、大きな地震の経験と避難生活の中で、おとなも子どもも、まだ心身ともに日常に戻れない状況にあることもお聞きしています。「同じ避難者が集まって遊んだり話したりできる場所がほしい」という要望もありました。子どもの居場所づくりに取り組む市内の団体の中には、コロナ禍も活動を継続してきており、また1月の地震直後、NPO団体が「子どもの日常を一日も早く取り戻すために」と真っ先に被災地で子どもの居場所の運営を開始したことをみても、子どもが安心安全に、子どもらしくいられる居場所の役割と重要性が改めて認識されています。2023年4月「こども基本法」が施行され、子どもの権利条約の原則を取り込み、「意見表明権の尊重」や「子どもの最善の利益の優先的考慮」が示されたことは大変重要です。そして同年12月には「こどもの居場所づくりに関する指針」が策定されました。「こども・若者の視点に立ち、こども・若者の声をききながら、 居場所づくりを進めることが重要である」と示されています。そこで金沢市は、子どもの居場所づくりについて、その重要性をどのように捉え取り組んでいるのか、また自治体として基本方針など策定する計画があるのか、うかがいます。

-村山市長
 子どもの孤独・孤立を防ぎ、すこやかな成長を促すうえで、学校や家庭のほかに子どもが安全で安心して過ごすことができる居場所づくりを進めていくことが重要であると認識しております。本市では令和5年度から、こども食堂の運営や学習支援教室など、地域の身近な場所で居場所づくりを行う団体を支援しておりますほか、地区児童館や児童クラブにおいても、地域の特色を生かし様々な体験活動等を通じて、子どもの健全育成に取り組んでおります。ご指摘の個別の基本方針を定めることまでは考えておりませんが、こうした事業も通じまして、今般、未来共創計画の主要事業の中に子どもの居場所づくりの推進を盛り込んだところであります。

-山下議員
 子どもがありのままでいられる居場所づくりに重要なのは、子どもたちの日常の生活の中で、子どもの声が受け止められる環境をつくることにあります。すでに地域に存在する、子どもたちの実情に応じた多種多様な居場所づくりへのさらなる支援や、今おっしゃいました公的な社会資源、その居場所への活用についてもぜひ検討を求めたいと思います。

 次に、学びの多様化学校の設置についてですが、不登校児童生徒の実態に配慮して、特別の教育課程を編成して教育を実施する学びの多様化学校の設置検討委員会が今年度設置され、これまで2回検討委員会が開催されています。10月に開かれる3回目の委員会で答申案が検討され、提出された答申をもとに教育委員会議において、金沢市における学びの多様化学校を設置するかどうかを審議するということです。こども基本法第11条には「国及び地方公共団体は、こども施策を策定し、実施し、及び評価するに当たっては、当該こども施策の対象となるこども又はこどもを養育する者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」とあります。そこで、学びの多様化学校設置検討委員会において、子どもの意見を聞く機会があったのか、子どもの意見を尊重した委員会の議論になっていたのかお聞かせください。

-野口教育長
 学びの多様化学校設置検討委員会は、学びにアクセスできない児童生徒への社会的自立を目指した支援のために、学びの多様化学校を設置することの必要性について検討することを目的として設置をいたしております。検討委員会におきましては、国の動向や本市の不登校の状況をよくご存じの有識者をはじめ、不登校対策や教育相談に詳しい小中学校の校長先生、直接不登校児童生徒やその保護者と関わっていらっしゃるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、そして不登校支援団体の関係者等の方々に委員として就任いただいておりました。現在の学校や家庭での子どもたちの実情を踏まえ、子どもの思いを反映した議論を行っておられると捉えております。

-山下議員
 2回目の検討委員会では、不登校支援の選択肢が増えるという観点からも設置することが望ましいという議論がされていました。答申が教育委員会に出されたのち、子どもの声、とくに当事者である不登校児童生徒、その保護者の声を聞くことは必要だと考えます。そうした機会の設定を求めますが、いかがですか。

-野口教育長
 8月に開催いたしました第2回目の学びの多様化学校設置検討委員会におきましては、本市に学びの多様化学校を設置する場合の検討課題の中に、本市における不登校の実態や実情を把握したうえで、子どもの視点を持って学習内容等を検討していく必要があるという意見が出されております。不登校児童・生徒やその保護者の意見を聞く機会につきましては、すでに学びの多様化学校が設置されている自治体において行われた例もあるということをお伺いしており、そうした自治体での取り組みにつきまして参考にしながら研究してまいりたいと思っております。

-山下議員
 ぜひそういう機会を設けていただきたいというふうに思います。子ども自身もやはり「こんな学校に通いたい」という願いを強く持っていると思います。子どもが学校の主人公として、ひとりの人間として尊重され、子どもたちが自由に気持ちや思いを伝えられるような、そういうことを大人がサポートしていく、そしてその声を受け止めて進めていくということを求めたいと思います。

 国民健康保険についておたずねします。物価高騰が長引く中で、国民健康保険料が家計を圧迫しています。同じ年収の会社員が支払う健康保険料に比べて、国民健康保険料は2倍も高いのが実態です。加入者の高齢化や貧困化が進むなかで、保険料を引き下げるあらゆる努力が尽くされる必要があるのではないでしょうか。国民健康保険法第1条には「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保険の向上に寄与することを目的とする」とあります。国民健康保険は「社会保障だ」という視点が欠けることがあってはなりません。課題が山積する国民健康保険制度のもとであっても、いかにして市民の健康と受療権を守っていくのか、保険者としての役割をどのようにお考えか、うかがいます。

-村山市長
 国民健康保険制度は、他の医療保険に加入されていないすべての方を対象としているなど、国民皆保険の基盤としてこれまでも重要な役割を担ってまいりました。保険者として今後も市民が健康でかつ安心して医療が受けられるよう、健全な運営に努めてまいりたいと存じます。

-山下議員
 ぜひ、市民の健康といのちを守る、そうした取り組みを引き続きお願いいたします。
 
次に、現行の健康保険証の新規発行終了とマイナ保険証についておたずねします。厚生労働省は8月30日に、健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一本化する省令改定案のパブリックコメントの結果を公表しました。約1か月間意見を募集したところ、合計5万3028件の意見が寄せられています。厚労省は賛否の内訳は明らかにしていませんが、意見の中には「個人情報が漏洩するのではないか」「カードリーダーの受付で、医療機関窓口の負担が増えている」「資格確認書の発行のために、現行の被保険者証を残せば生じないコストがかかる」など、保険証の廃止やマイナ保険証に対する不安の声が多く見られました。実際、私たちのもとにも「マイナ保険証にしないと受診ができなくなるのか?」など、心配する声が数多く届いています。国は、国民の反対する声も聞かずに、12月2日から健康保険証の新規発行を終了しようとしています。私たちは引き続き健康保険証を残すことを求めていきますが、一方で今、市民の皆さんの不安に対しても丁寧な説明が必要だと考えます。国民の理解と合意が得られてない施策に自治体もたいへん翻弄されている状況ですが、現状を真摯におこたえいただくことを求めます。まずは市長、国は、健康保険証の新規発行をせず、マイナンバーカードと健康保険証を一本化するとしていますが、マイナ保険証の取得は強制なのか、うかがいます。

-山下市民局長
 マイナ保険証の取得につきましては任意であり、強制ではございません。

-山下議員
 マイナ保険証の取得は強制ではないんです。任意の制度を普及するために、保険証を廃止することはまったく道理がありません。マイナンバーカードを取得することも、保険証を紐づけることも、マイナ保険証を使用することも、強制ではなく任意だということを改めて周知していただきたいと思います。

 一方で、マイナンバーカードを取得しない方の不安のひとつは、健康保険証が廃止されることで、身分証明するものがなくなってしまうのではないかという不安です。健康保険証にかわって「資格確認書」が交付されることになっています。「資格確認書」が健康保険証と同様に、保険年金課の窓口で身分証明書として使用できるよう求めますが、いかがですか。

-山下市民局長
 資格確認書につきましては、本人確認書類として使用することができます。

-山下議員
 そして、受診といっても医療機関での診療だけではありません。訪問診療や訪問看護など、在宅での診療の際、マイナ保険証はどのように確認されるのかうかがいます。

-山下市民局長
 在宅等での診療におきましては、携帯端末とオンライン上のシステム、これを活用いたしまして資格確認を行うこととなっております。

-山下議員
 マイナンバーカードと健康保険証の一本化で最大の問題は、無保険扱いを生み出すのではないかという点です。マイナンバーカードには電子証明書の5年という有効期限があります。有効期限に気づかず更新しなかった場合、無保険にならない対応が考えられているのか、お聞かせください。

-山下市民局長
 電子証明書の有効期限が切れた場合であっても、無保険になることはございません。期限が切れた3か月間は、引き続きマイナ保険証としての利用が可能でございます。なお、3か月が経過した時点で資格確認書を発行することとなっております。

-山下議員
 では保険証を紛失した場合、国保の健康保険証はその場で発行ができますが、マイナンバーカードは再発行までに1か月程度かかるときいています。マイナンバーカードを再発行している期間は無保険扱いにならないのですか。

-山下市民局長
 マイナンバーカードを紛失した場合であっても、現行保険証と同様に無保険になることはございません。

-山下議員
 こうした更新や紛失の不安から、保険証の紐づけを解除したいという方もなかにはいらっしゃいます。一度紐づけると解除できないと言われていましたが、現状どうなっているのかお聞かせください。

-山下市民局長
 現在、登録後の解除はできないこととなっておりますが、国からはマイナ保険証の利用登録が任意の手続きであることを踏まえまして、本年の10月を目途に資格確認書の申請を条件としたうえで、解除を希望する方が手続きできるように現在システム改修を行っていると聞いております。

-山下議員
 厚労省は、マイナ保険証を利用するメリットのひとつに、医療費が20円節約でき、自己負担も安くなると宣伝しています。しかし政府は国会で、マイナンバーカードを所持しなくても不利益を被らないと答弁してきています。マイナンバーカードの所持は任意で、マイナ保険証の使用も任意にも関わらず、保険証が違うだけで医療を受ける権利に不平等が生じるということは許されません。また、より良い医療を受けることができるとも宣伝していますが、はたしてそうでしょうか。受診する医療機関で過去の医療情報を提供すると同意すれば、投薬や検査など過去の履歴全てを受診医療機関で確認することができるといいますが、レセプトの関係で1か月もしくは2か月近く直近の情報は確認ができません。そして問題は、こうした直近の履歴が確認できないことだけではなく、提供する情報を本人が選択できないということです。マイナ保険証の場合、本人が望まない情報まで提供されることになります。そして必要性関連性を説明されないまま同意を求められることも問題です。
新規発行停止の施行日が近づいている中で、国は丁寧に説明すると言っていますが、丁寧な説明も運用もしてこなかったから、今の国民のみなさん、市民のみなさんの不安の状況があると考えます。無保険状態をつくらず、市民の受療権を保障するよう、本市の責任として全庁で取り組む必要があるのではないでしょうか。これまでも国からの情報が錯そうしています。正しい情報を迅速に、わかりやすく市民に周知していくことを求めますが、いかがですか。

-山下市民局長
 本市ではこれまでも、納入通知書や保険証を発行する際に、本年12月2日をもって現行保険証が廃止されること、マイナンバーカードをお持ちでない方や、マイナンバーカードは持っているが健康保険証利用登録を行っていない方には、資格証明書を発行することなどの制度改正の内容を記載したチラシを同封するとともに、市ホームページ等を活用した広報活動を行っているところでございます。引き続きわかりやすい周知に努めてまいります。

-山下議員 
 7月末に届いたそうした市の広報を見ても、やはり正しくみなさんに伝わっていないという状況がありますので、ぜひわかりやすく市民への周知を引き続きお願いをいたします。
 こうした利用者や医療機関等に負担を押し付ける、こんな強引なやり方では市民の健康といのちが守れません。マイナカードと健康保険証の一本化は中止し、現行の健康保険証を残すべきと、保険者として国に強く求めるべきではないですか。市長、答弁をお願いします。

-村山市長
 マイナ保険証を利用することによりまして、診療時には過去の検診結果や薬剤情報が共有できます。そして適切な医療に繋がる、そうした市民の利便性が高まると考えております。改めて国に対して現行の保険証の存続を求めていくということは考えておりません。

-山下議員
 今行われている自民党総裁選で、一部の候補者からは「保険証廃止の先延ばし」の声がでています。国民の理解を得ていない、批判が強いことの表われではないでしょうか。健康保険証を残すことを再度求めて次の質問にうつります。
 
 新型コロナウイルス感染症の対応について、おたずねします。
 まずは、公費補助についてです。新型コロナウイルス感染症は、昨年5月に「5類感染症」へ移行した後も、新株に置き換わりながら全国的に感染拡大の波がおきています。今年も6月以降、感染者数が急激に増加し、夏休みの期間を含め第11波とも言われました。医療ひっ迫、医療崩壊を防ぐためには、感染拡大や重症化をおさえることが必要です。
 10月から新型コロナウイルス感染症の定期接種が開始されます。対象者は65歳以上もしくは60歳から65歳未満の心臓・腎臓・呼吸器等に重度の障害を持つ方と限定されますが、対象の方も、また定期接種は対象外ではあるけど、任意でワクチン接種を希望される方が、経済的負担から接種をあきらめることのないように、ワクチン接種費用の負担軽減を求めますが、いかがですか。

-村山市長
 新型コロナウイルスワクチンの定期接種については、65歳以上の方や、60歳以上65歳未満の方で心臓等に重度の障害がある方を対象にしております。また他の予防接種に比べて接種費用が高額になることから、国では今年度1回あたりの接種について8300円を助成し、自己負担額が7000円程度となるように措置をしております。本市ではさらなる負担軽減を行い、接種1回あたりの自己負担額を2300円といたしましたほか、生活保護を受給されている方や一定の所得以下の方についてはその自己負担額を免除することとしております。重症化リスクの高い高齢者等が今回の定期接種の対象となっております。定期接種対象者以外の方の負担軽減については考えておりません。

-山下議員
 ワクチンの有効性や安全性については、やはり不安に思われる方もいますので、新たな知見も含めて情報提供を行い市民の疑問にこたえることと、また副反応についての原因究明と被害者救済に努めることも国に対してぜひ求めていっていただきたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症のラゲブリオやパキロビッドなど治療薬は、窓口3割負担の方の場合、一回の処方で約3万円程度の負担がかかります。インフルエンザの抗ウイルス薬と比較しても非常に高額になっています。また、コロナの検査も有料になっているため、現に受診控えがあり、受診しても検査を受けない、治療薬の処方を断る状況があると聞いています。感染拡大や重症化を防ぐためには、検査が受けやすい、治療薬の処方が受けやすいという環境が必要ではないでしょうか。コロナの検査や治療薬などの自己負担に対しても、負担軽減の助成を国に求めるとともに、市としても助成を行うよう求めますが、見解を伺います。

-村山市長
 国においては、新型コロナウイルス感染症の5類移行によりまして、他の疾病との公平性をふまえ、検査及び外来治療費については令和5年5月7日で、治療薬及び入院医療費については令和6年3月末で、それぞれ公費支援を終了したものであります。本市もこれまで国の方針に基づき対策を講じてきたところであります。国に公費支援を求めることや、本市が独自で支援を調整することについては考えてはおりません。

-山下議員
 次に医療機関や福祉事業所等への支援についておたずねします。新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行してからも、医療機関は発熱外来を設け、コロナ陽性者の受け入れと治療にあたり、日々懸命な努力が続けられています。介護施設や障害者施設なども同様に感染症対策を継続しているのが現状です。5類移行後は感染症対策に対する財政的支援がなくなり、厳しい経営状況にあることも聞いています。医療機関や福祉事業所等に新型コロナウイルス感染症対策へのさらなる財政支援を国に求め、あわせて市としても財政支援を行うよう求めますが、いかがですか。

-村山市長
 国では令和6年度の診療報酬改定、あるいは介護報酬等の改定の中で、新型コロナウイルスを含む感染症対策についての加算を新設するなど、医療機関や介護施設、障害者者施設への対応を措置しております。本市として国にさらなる財政支援を求めることや、単独で支援することは考えてはおりません。

-山下議員
 コロナを含む感染症を対象とした恒常的な対策へと見直した上での報酬改定や加算だというふうに思いますが、全ての施設で加算が取れているわけではなく、通所系や訪問系については加算すらありません。医療機関や福祉事業所の現場の状況を市としてもしっかり把握したうえで、今後のさらなる財政支援を行うことを求めて、次の質問にうつります。

 最後に、市営住宅についてです。住まいは人権といわれなかで、住宅のセーフティーネットとしての役割を担う市営住宅ですが、入居にあたっての実情に応じた運用を求めて数点質問いたします。
 まず入居募集と整備についてです。本市の市営住宅の現況は、今年4月現在で3,381戸あり、そのうち入居戸数が2,431戸、政策空き家は374戸、空き家は576戸となっています。市営住宅の募集については、年3回の定期募集と、随時募集があります。この間の定期募集では10~20数戸、直近の今年8月の随時募集では35戸の募集戸数となっています。純粋な空き家が500戸以上ありますが、募集戸数が少ない理由をお聞かせください。

-高木都市整備局長
 定期募集につきましては年3回行っておりまして、比較的新しく設備の整った棟については応募倍率は高いものの、その他の棟につきましては応募倍率は低くなっております。随時募集につきましても通年で行っておりますが、応募倍率は低い状況でございます。加えまして入居希望者は高齢者が多いということもありまして、3階以上への応募者は減少しております。これらのことから、現時点では需要が見込めない住戸の募集を控えているという状況でございます。

-山下議員
 昨年 3回行われた定期募集では、42戸の募集に67件の申し込みがあり、倍率は1.6倍。一方随時募集では、1年間で102戸の募集に67件の申込みで、倍率は0.66倍だったということです。随時募集の応募が少ない理由をどのように捉えていますか。

-高木都市整備局長
 応募者が少ない原因としまして、交通の便が悪い郊外にあることや、老朽化が進んでいるなどことが考えられますほか、民間賃貸住宅の水準が向上したことも要因であると推測をしております。

-山下議員
 いくつか募集の戸数の状況を見ましても、やっぱりエレベーターがないとか、お風呂の整備がされていないというのが随時募集の中に多く見られます。必要な方に住居を提供するには、そうした整備が欠かせないというふうに思います。実際に入居を希望している方は、定期募集を待つしかない状況にあります。随時募集の中でも、エレベーターがあり、浴室の整備が完了している住戸を増やして募集することを求めますが、いかがですか。

-高木都市整備局長
 浴室等の整備が整っている空き住戸につきましては、すみやかに募集を行っておりますが、その他の空き住戸につきましては計画的な浴室改善事業等によって住環境の向上を図りながら募集していくこととしております。

-山下議員
 全住宅3,381戸のうち、エレベーターのない棟の住戸数は2,251戸あります。エレベーターの有無で入居率をみると、エレベーター有では81%、無では67%となっています。これから年数がたてば、この差が開いていくことは想像に難しくないと思います。現在、市営住宅の再整備計画は、2017年につくられた「緑住宅再整備計画」のもとですすんでいますが、今後、公営住宅の役割をしっかりと果たしていくためにも、地域の課題やニーズを組んだ市営住宅の基本方針と、全市的な再整備計画の作成が必要だと考えますが、見解をうかがいます。

-村山市長
 市営住宅については金沢市住生活基本計画に基づいてセーフティーネットとしての役割を担うため、適正に管理を行っているところであります。改修等の整備に関しては耐震化されていない7棟については今後建て替えを進め、令和13年度に全て耐震基準を満たす予定であります。また老朽化した建物については計画的な修繕や設備更新を行っているところであります。今後は建物の状況を考慮しながら市営住宅の整備方針を策定していきたいと考えております。

-山下議員
 空き家の状況を見ても、エレベーターがなくて4階の棟はほとんど上の方は空き家になっているという状況です。そういうことも含めて、空き家が出ないような市営住宅の計画ということが必要かと思いますので、ぜひ検討をお願いいたします。

 連帯保証人について伺います。私たち会派は、市営住宅の連帯保証人の廃止について、これまでも本会議や委員会で求めてきました。連帯保証人の確保が困難なことを理由に入居を諦めざるをえないことがあってはなりません。2018年には国土交通省が公営住宅の入居に保証人を求めない方針を打ち出しています。しかし金沢市はまだ市営住宅の入居に原則、連帯保証人が必要です。市長が認めたものについては免除がされると条例にありますが、免除対象者の具体的な記載がありません。保証人がいなくても入居は可能だという具体的な周知を市民に対して行うよう昨年1月の建設企業常任委員会で求め、局長からは「周知については色々な方法があると思うので検討の中で考えていきたい」と答弁がありました。その後改善があったのかお聞きします。

-高木都市整備局長
 連帯保証人は市営住宅の管理上必要となる債務保証のほか、緊急時の連絡先や死亡退去時の財産整理などの役割を担っておりますので、親族や知人など、身近な関係者が死亡されていたり音信不通であるなど、特別な事情がある方に限り、連帯保証人を要しないとしておりまして、入居案内のパンフレット、市のホームページで周知をしているところでございます。

-山下議員
 国土交通省の「公営住宅への入居に際しての保証人の取扱い等に関する調査(R5.4.1時点)」によると、公営住宅の入居に際して、保証人を求めない都道府県は21あり全体の44.7%、政令市では17市あり85%、中核市でも28市45.2%が連帯保証人を求めていません。先行自治体の取り組みを研究しながら、ぜひ連帯保証人の廃止に取り組むことを改めて求めますが、見解を伺います。

-高木都市整備局長
 繰り返しになりますけれども、連帯保証人は債務保証のほか、緊急時の連絡先や死亡退去時の財産整理など、市営住宅の管理上必要な役割を担っておりますことから、現在のところは連帯保証人制度の廃止は考えておりません。

山下議員
 令和2年から実際に中核市でも連帯保証人を設けずに運用している自治体はありますので、ぜひそうした自治体のことも研究しながら連帯保証人の廃止という方向でぜひ進めていただきたいと思います。

 最後に、改築に伴う入居者の転居についてお聞きします。現在、緑住宅の一部で耐震化にともなう改築が予定されており、入居者には4月に説明会が行われ、12月末までに転居するよう通知がされました。私たちのところに、転居費用が工面できないという相談が寄せられています。移転に対しては公費負担があると聞いていますが、どの段階で支払われるのかお聞かせください。

-高木都市整備局長
 市営住宅の建て替えやリニューアルなどの事業を円滑に実施するため、住み替えの引っ越し費用等を移転保障費としてお支払いをしております。入居者が旧住宅から仮住宅への移転を完了して、市へ移転完了届を提出していただいたあと、市が移転事実の確認を行いまして支払いを行っております。

-山下議員
 ほとんどの引っ越し業者は、国土交通省の「標準引越運送約款」にのっとり、費用の支払いを引っ越し作業の開始前としています。タイミングの違いはあるにしても、引っ越しの当日支払いがほとんどです。引っ越し業者への支払いにまとまったお金が工面できないから皆さん困っておられるわけで、完了届を出した後からの補償費の支払いでは困っている方には間にあいません。他の自治体には「必要があると市長が認めたときは、移転完了前においても移転補償の支払いを行うことができる」と移転補償に関する要綱の中で示しているところもあります。転居を余儀なくされる入居者のみなさんが、経済的な不安なく転居の準備を行えるように、市として検査完了前でも補償の支払いをするなど対応を求めますが、いかがですか。

-高木都市整備局長
 移転先に給湯設備がない場合は入居者が使用している給湯設備、あるいは市所有の給湯設備を市の費用負担で移設をしているところでございます。また、引越し等の費用につきまして、金沢市社会福祉協議会が行っております生活福祉資金貸付制度の利用を案内しておりまして、引き続き入居者の方が不安を感じないよう丁寧に対応してまいります。

-山下議員
 他自治体は市長の裁量で、検査完了前でも移転費用を支払っているわけです。市長の見解を伺います。

-村山市長
 ただ今、担当局長が申し上げた通りです。

-山下議員
 金沢市が、ぜひこうした困っている方の実情に応じた対応を強く求めて、私のすべての質問を終わります。

▲ このページの先頭にもどる

日本共産党中央委員会
「しんぶん赤旗」のご案内
日本共産党石川県委員会
井上さとし(日本共産党参議院議員)
たけだ良介(日本共産党参議院議員)
藤野やすふみ(日本共産党衆議院比例北陸信越ブロック)
金沢市議会のページへ
サイトポリシー
© 2010 - 2024 日本共産党 金沢市議員団