2025年3月議会 代表質問 森尾議員(3月11日)

 私は、日本共産党市議員団を代表して、以下質問いたします。

 今年、戦後80周年を迎えます。終戦後の昭和22年(1947年8月)文部省が「あたらしい憲法のはなし」と題する中学生向けの教科書を発行しました。その中に、「戦争の放棄」という項目の中で、次のように記載されています。「こんどの憲法では、日本の国が、けっして二度と戦争をしないように、二つのことをきめました。その一つは、兵隊も軍艦も飛行機も、およそ戦争するためのものは、一切もたないということ。もう一つは、よその国と争いごとがおこったとき、けっして戦争によって相手をまかして自分をとおそうとしないということをきめたのです」と述べています。戦後80周年をむかえる現在の日本はどうでしょうか。日本政府は、2023年から2027年度の5年間で43兆円もの防衛費増額を決定し、2027年度に国内総生産比で2%へと倍増させる空前の防衛費拡大計画を打ち出しました。これによって2025年度予算での防衛費は、過去最大の8兆7005億円という規模となっています。さらに、先のトランプ米大統領との会談によって、さらなる防衛費拡大を約束してきました。米国国防次官は、3月4日「できるだけ早く3%以上」に引き上げるよう日本に要求しました。多くの国民は、戦争する国づくりではなく、平和の方向を歩むことを願っています。金沢市平和都市宣言が今年40周年を迎えます。この平和都市宣言は、核兵器廃絶と平和の実現に向け不断の努力することを内外に明らかにしたものです。市長、戦後80周年を迎え、金沢市平和都市宣言のもつ意味と内容をどのように市民に発信されるのか伺いたいと思います。また、新年度予算に盛り込まれた「ヒロシマ原爆・平和展in金沢」の開催について、具体的内容について明らかにしていただきたいと思います。

-村山市長

 世界の恒久平和、核兵器なき世界の実現は人類すべての願いであります。我々はその実現に向けて不断の努力をしていかなければならないと思っています。平和都市宣言は本市固有の歴史・文化を発信し、世界の人々と友好関係を深める中で恒久平和に貢献していくということを宣言したものであります。今年は戦後80年であり、本市にとっては平和都市宣言40周年の節目の年でありますことから、毎年開催している「原爆と人間展」の展示ポスターを充実するほか、8月に「ヒロシマ原爆・平和展in金沢」を開催する予定であり、これらの機会をとらえて、平和都市宣言の基本理念を改めて広く市民に呼び掛けていきたいと考えております。「ヒロシマ原爆・平和展in金沢」の詳細につきましては、現在金沢市遺族連合会や広島平和記念資料館など、関係機関との調整を進めているところであります。写真パネルや被災資料の展示、被爆体験者の講和、体験手記の朗読のほか、新たにVR技術を活用した映像体験を行う予定であります。戦後80年が経過し、被爆者の高齢化、被爆体験の風化が懸念される中で、被爆当時の状況を聞き、体験することで、戦争と核兵器の恐ろしさ、平和の大切さ、そして命の尊さを考える機会にしたいと考えております。

-森尾議員

 第二に、開かれている県議会において、馳知事が金沢港を「特定利用港湾」に指定したい旨、国から申し入れがあったことを明らかにしました。これは、自衛隊や海上保安庁が訓練等に円滑に利用できるよう指定するものです。すでに国は、令和6年12月末で8空港、20港湾を指定し、さらに全国各地の空港と港湾を指定しようとしています。これに対し、全国各地で反対の要請や行動が取り組まれています。日本科学者会議は昨年10月、この指定は戦争する国づくりへと進めるものだとして撤回するよう国に要請しました。市長。こうした国からの指定に反対し、県に対しても国からの申し入れを断るよう求めていただきたいと思います。市長の見解を伺います。

-村山市長 

 特定利用港湾は、自衛隊や海上保安庁が訓練等で円滑に利用できる枠組みを構築することを目的に国が指定するものであり、これまでに全国で20港湾が指定されております。また国からは指定後も一般利用が主であるということが示されております。他方、能登半島地震では金沢港を拠点に能登被災地への災害支援活動が行われており、大規模災害時の迅速かつ効率的な災害支援や防災・減災に向けた港湾整備の促進にもつながると考えています。県からは年度内の指定に向け国との手続きを進めていくと聞いております。市として指定に反対することは考えておりません。

-森尾議員 

 質問の第二に、新年度予算と市民の願いにこたえる5つの提案についてです。

 物価高騰が続き、市民生活は一段と厳しい状況となっています。この3月の食料品の値上げは2343品目にひろがり、2025年に入っての累積の値上げ品目数は、1万品目を超える事態となっています。新年度予算はこうした市民の暮らしを守るものとなっているのか。問われています。具体的に5つの提案を通じて市長の見解を伺います。

 まず、一つはコメ不足と価格高騰についてです。コメの値上がりが異常です。店頭で5㎏あたり、昨年2000円台だったものが3000円を超え、4000円台と平均価格は1.9倍となっています。昨年夏のコメ不足の際に、政府は秋になれば新米が出荷され、コメ不足は解消すると述べてきました。ところが、新米が出荷されると今度は価格が高騰しました。ようやく政府は備蓄米を放出することを打ち出しましが、事態の解決に至っていません。市民は主食であるコメ不足と価格高騰に怒りの声を上げ、解決策を強く求めています。昨年の9月議会でこの問題を取り上げた際に、市長は「国の動向を注視する」として、関係者の声を聴くこともしませんでした。コメの需要が705万トンに対し、供給は661万トンであり、コメ不足は深刻です。この間の減反政策によって、今回の事態となったものです。米を減らす政策から増やすための抜本的転換が求められています。市長。国に対してコメ不足と価格高騰に対する打開策を求めるべきです。見解を伺います。

-村山市長

 米価の高騰につきまして、国は需要に見合うだけの米の量は確実にあり、また政府備蓄米の引き渡しを3月半ばに行うことで、流通の安定化につながるとしていますので、市としてはその動向を注視してまいります。

-森尾議員

 金沢市は、来年度「農業と森づくりプラン」を見直します。この際に、コメ作りへの積極的な施策と支援策を盛り込むよう求めます。見解を求めます。

-村山市長

 本市では金沢の農業と森づくりプランに基づいて農地の集積・集約化、大型の補助整備などの生産基盤整備の推進や、県やJAなどとともに1等米比率の割合を増やすための営農指導や、金沢産ブランド米等の耕作面積の拡大に向けて取り組んでおり、それぞれ成果を上げております。本市における今後の米に関する施策等については、国が今月中に策定する食料・農業・農村基本計画の内容を踏まえまして、明年度策定する新たなプランに反映してまいりたいと存じます。

-森尾議員

 二つ目に、学校給食費無償化と子ども医療費助成制度の拡充についてです。学校給食費無償化の実施を行っていないのは、県内11ある市の中で、野々市市と金沢市だけとなっています。市長は、この実施を拒否し、国が実施すべきとの主張を繰り返しています。国は、2026年度から小学校から学校給食費の無償化を検討するとしています。市長は、金沢市の子どもたちと保護者にそれまで我慢してくださいというのですか。見解を伺います。

-村山市長

 学校給食費の無償化につきましては、自治体間で格差が生じないよう国の指導により全国一律かつ恒久的に実施されることが望ましく、加えて恒常的に多額の財源を要することから、本市独自の給食費の無償化は考えてはおりません。現在国において前向きな検討が進められておりますので、その動向を注視してまいります。なお、食材費の高騰、米価の高騰も含めて、こちらが続いていく状況下において、保護者の経済的負担を考慮し、学校給食費は据え置くことといたしました。引き続き食材費の不足分については全額公費で補填することとしております。

-森尾議員

 子ども医療費助成制度について、通院も18歳まで対象を広げ、無料とすることを強く求めます。18歳まで対象を拡充していないのは、金沢市だけとなっています。子育てのしやすい金沢市をめざすというならば、まず、この制度の拡充に取り組むべきです。見解を伺います。

-村山市長

 医療費の無償化ということでございます。未婚化、晩婚化などの進行など、出生数が減少しております。少子化に歯止めをかけるには、今後の5年間が重要な時期になっているととらえまして、金沢こどもまんなか未来プランを策定し、まずは少子化対策に重点を置いたところであります。予算編成過程の中で、各自治体が取り組む様々な無償化による出生率や出生数を検証いたしました。その改善効果を踏まえ、明年度からは3歳未満時の第2子の保育料無償化を実施することといたしました。加えて、学校給食費や保育所副食費の据え置きのほか、奨学金返還支援制度の創設や、こどもの居場所づくりの拡充、情操教育の拠点施設の整備など、多くの子育て支援策も進めていくこととしております。ご指摘いただきました子育て支援医療費助成につきましては、これまでも予算の選択と集中による施策の重点化を図っていく中で、順次対象年齢の拡大等を行ってきております。昨年度も入院にかかる助成対象を拡大したところであります。今後とも様々な施策を重層的に行うことで、少子化対策、子育て支援に資していきたいと存じます。

-森尾議員

 三つ目に、国民健康保険料についてです。新年度予算で、国民健康保険料の引き上げが提案されています。今回の引き上げが行われると、加入者一人当たり年間保険料は平均12万5967円となり、前年度に比べ12.5%引き上げられ、金額で1万3942円の増加となります。かつてない大幅な保険料の引き上げです。今でさえ負担感の強い国民健康保険料がこれだけ引き上げられると、加入者の負担感はさらに高まります。保険料の引き上げを中止し、支払える保険料にすることが求められます。市長の見解を伺います。国民健康保険の基金から6億円を繰り入れるとしていますが、まだ、6億円の基金が残っています。一般会計からの法定外繰り入れが3億8千万円となっています。保険料の引き上げを中止するために財源の確保するよう求めると共に、国に対し国民健康保険制度を安定的に維持するための財源措置を強く求めるべきです。見解を伺います。

-村山市長

 国民健康保険料の今回の引き上げにつきましては、医療の高度化等に伴う一人当たりの医療費の増等により、県から示された標準保険料率が大幅増となったことが主な要因であります。国民健康保険料については県から示された標準保険料率への準拠を原則としておりますが、市民生活への影響に配慮し、基金を取り崩すことで保険料率の一部を据え置くこととしております。国民健康保険は交付金や法定繰入など、法令に基づいて公費で負担するもの以外は原則として保険料でまかなうとされております。今回基金を取り崩すことで、保険料率の一部を据え置くことといたしました。なお、財源措置の拡充については引き続き全国市長会を通じて国に要望してまいります。

-森尾議員

 第2に、国と県は、保険料水準の県内統一へと歩みを強めようとしています。県内で、同じ所得水準、同じ世帯構成であれば同じ保険料にするというものです。そのために、基金と一般会計からの法定外繰り入れをやめるよう求めています。金沢市でこのことが実施されると保険料の大幅引き上げにつながります。反対すべきです。市長、国民皆保険制度という優れた制度を維持する上で国民健康保険制度は欠かすことはできません。国民健康保険制度について責任を持って運営するよう求めるものです。

-村山市長

 平成30年度の国保制度改革後、県内の保険給付を全市町で支え合う仕組みとなっております。同じ保険給付を同じ保険料負担で受けられることが望ましく、保険料水準の統一は必要と考えております。なお県からは、国の考え方を受け止めつつ市町それぞれの実情を踏まえ、直ちに統一の目標年度は規定しないと聞いております。

-森尾議員

 第3に、マイナ保険証についてです。多くの国民の反対にも関わらず、昨年12月2日から従来の保険証の発行が中止されました。しかし、マイナ保険証を強制することに批判の声が続いています。マイナ保険証を持たない方などについて資格確認書交付を行うとしていますが、今後の金沢市の対応について、明らかにしていただきたいと思います。

-村山市長

 従来の保険証の有効期限が切れる本年7月末までにマイナ保険証を保有していない方には資格確認書を、また保有している方には資格情報のお知らせを発送いたします。引き続き納入通知書等を送付する際に、制度改正の内容を記載したチラシを同封するとともに、新たに市独自のコールセンターを開設するなど、丁寧な対応に努めてまいります。

-森尾議員

 四つに、保育料の引き下げについてです。新年度予算では、二人目の子どもさんから保育料無償化が打ち出されましたが、給食費の無償化が行われていません。また、保育料を引き下げることは、切実な課題となっています。なかでも、共働き世帯などに相当する所得階層の保育料を見ると、0歳から2歳までの保育料が月4万円にのぼります。これは、D階層の保育料が高いことによります。

この階層をはじめ保育料全体の引き下げが求められます。見解を伺います。

-村山市長

 明年度から少子化対策の一環として3歳未満児の第2子の保育料の無償化を行うことで、子育て世帯の負担を軽減していくこととしております。市の保育料の階層区分については、すべての階層において国の徴収基準額よりも低く設定しておりますため、さらなる保険料の引き下げまでは考えておりません。

-森尾議員

 五つに、補聴器購入補助制度の創設についてです。高齢者の場合、聞き取る機能が衰えると人とのコミュニケーションが後退し、さらに認知機能の低下につながります。こうした状況を踏まえ、聴力検査や専門医による診察・相談、補聴器購入支援等の早期対応、フォローアップ、データ分析などが行われています。山形市では、国の介護保険者努力支援交付金を活用し、「聴こえくっきり事業」が取り組まれ注目されています。金沢市において、この交付金を活用し、補聴器購入補助制度を含めた総合支援事業を実施することを求めます。見解を伺います。

-村山市長

 補聴器の購入補助ということでありますが、本市は高齢者を対象とした聴力検診を実施している全国でも数少ない自治体のひとつであります。検診で診断した医師が必要に応じて補聴器の装用を勧め、また経過観察まで行い、難聴者の早期発見・早期治療に向けた取り組みを行っていただいております。補聴器購入補助制度の創設につきましては、全国的な課題でありますことから、全国市長会から国に対して要望を行っているところであります。引き続き国や他都市の動向等を注視してまいりたいと存じます。

-森尾議員

 質問の第三に、下水道施設の安全対策と新たな官民連携の推進についてです。

 今年1月28日埼玉県八潮市で道路陥没が発生しました。その原因として地下にある下水道管の破損とみられるとしています。下水道管の安全対策が大きな課題となり、緊急の安全チェックが取り組まれています。国土交通省によると全国の下水道管のうち、腐食のおそれが大きい個所について明らかにしました。それによると2024年9月末時点で、石川県では208㎞あり、全国で2番目に多い県となっているとしています。そこで、金沢市ではどのような実態となっているのか、明らかにしていただきたいと思います。

 企業局によると下水道管の陥没は年間10ヵ所から20ヵ所発生しているとのことです。最近では平成27年入江交差点で大規模な陥没が発生しました。今後、腐食のおそれが大きい個所の発見と対策をどのように進めていかれるのか、明らかにしていただきたいと思います。また、下水道の耐震化の現状と今後の対策方針について、明らかにするよう求めます。

-松田公営企業管理者

 下水道施設の安全対策と耐震化についてお尋ねがございました。まず、マンホール内に段差がある箇所など、硫化水素による腐食の恐れの大きい下水道管路について、国土交通省は5年に1回以上の頻度での点検を義務付けております。本市ではマンホール内に段差がある箇所のほか、ビルピットからのはきだし口、ポンプからのはきだし口、特定事業所の排水を受ける箇所を点検箇所としておりまして、対象は約1200箇所、5年1巡で点検を行っております。また今回の八潮市での事故を受けまして、翌日には処理場に繋がる大口径の幹線管路が埋設されている13.2kmの路面の巡視点検を行いましたほか、現在口径2m以上の管路5.9kmの内部において、異常がないか目視調査を行っているところでございます。

 腐食の恐れのある箇所でございますが、ここにつきましては対象となるマンホールや接続する管路の内部を目視により異常の有無を点検しております。年間平均250箇所程度を点検しておりますけれども、今のところ管路が破損するような重大な腐食は発見されておらず、鉄蓋の軽微な腐食など数件を発見しておる程度でございます。その都度、交換等の対策を講じております。

 耐震化の状況でございますが、管路につきましては金沢市下水道総合地震対策計画に基づき、拠点避難場所下流等の重要な幹線等について、マンホール接続部の耐震化等を実施しておりまして、令和5年度の耐震化率は約75%と、全国平均を上回っております。処理場につきましても汚水処理機能を維持するための揚水、沈殿、消毒施設について耐震化を進めておりまして、令和5年度末の耐震化率は約69%と、全国平均を上回っております。能登半島地震では市民生活への影響が非常に大きい処理場などの、いわゆる急所施設の耐震化の重要性を改めて認識したところでありまして、処理場の耐震化を前倒しするなど、対策を着実に進めてまりいます。

-森尾議員

 第2に、下水道施設を対象とする新たな官民連携の推進についてです。国土交通省は、新たな官民連携であるウォーターPPP導入を国の補助交付の要件とし、地方自治体にその導入を強制してきています。この導入が進められると、下水道事業が民間事業者の利益追求の対象となり、安全のためのコストカットにつながりかねません。また行政チェック、監視機能が低下すると共に、行政の技能継承が後退するなど問題が指摘されています。したがって、地方自治体から国による強制をしないよう求める要請が行われています。金沢市は、どのような対応をされるのか。具体的に伺います。

-村山市長

 ウォーターPPPの導入についてであります。全国市長会や中核市市長会において、国に対して令和9年度以降の汚水管改築事業への国費支援の要件となるウォーターPPPの導入について、現行の下水道事業運営に支障をきたすことがないよう、地方公共団体の取り組み状況を踏まえつつ、要件の緩和を含め柔軟に対応することや、下水道施設の改築にかかる国費支援の拡充を要望しております。引き続き国の動向等を注視するとともに、国に対して全国市長会や中核市市長会などを通じて要望してまいります。

-森尾議員

 第3に、金沢市はこの新たな官民連携の導入について、西部処理場と臨海処理場を対象に検討を進めるとしています。城北水質管理センターについては、すでに運転管理について民間に委託されています。今後の具体的推進について明らかにしていただきたいと思います。

-松田公営企業管理者

 城北水質管理センターは施設の規模が大きいことに加えまして、西部や臨海水質管理センターと異なり、雨水処理が必要な合流区域を管理しております。こうしたことから、大雨などの非常時にはおいて重要な判断や迅速な対応が求められます。また、引き続き下水処理に関する企業局職員の知見や技術力を確保していく必要がありますことから、ウォーターPPPの導入施設とはせず、これまで同様職員を主体とした管理体制を継続していきたいと考えております。

-森尾議員

 この質問の最後に、水道事業について、この新たな官民連携であるウォーターPPP導入について従来から導入しないとの見解を明らかにしていますが、今後の対応について見解を伺います。

-松田公営企業管理者

 水道事業につきまして、今後ウォーターPPPの導入はしないのかというお尋ねでございますが、現時点におきまして、水道事業におけるウォーターPPPの導入は考えておりません。ただ、これまで同様、国の動向は注視してまいります。

-森尾議員

 質問の第四に、金沢方式についてです。

 市長は今議会の施政方針の中で、次のように述べました。「地域の自主性や 連帯意識を背景とした、いわゆる「金沢方式」については、地域コミュニティが近年直面 している課題を踏まえ、地元負担の見直しを図るなど、持続可能なコミュニティを支えるための施策の充実・強化に取り組むこととした次第であります」と述べました。さらに「地区公民館、児童館、消防分団の施設整備に関して、近年の建築資材や労務単価の上昇を踏まえ、地元負担を軽減するとともに、施設の解体費や長寿命化につながる改修経費を全額市が負担します。また、地区公民館の運営費にかかる地元負担を軽減するとともに、施設整備と同様の世帯数に応じた軽減措置を導入します」との見解を明らかにしました。要するに、金沢方式は継続し、地元負担軽減を図り、持続可能なコミュニティを図っていくというものです。今から26年前、平成11年(1999年)に行われた公民館50周年記念誌の座談会において、当時の編集長が次のように述べています。「金沢方式という形態は今では一応定着しているが、その内容は良い面もありますし、問題となる面も含んでおります。」と発言されています。市長。この中で指摘されている「問題となる面」は、今回解決されたのでしょうか。見解を伺います。

 戦後、昭和24年(1949年)社会教育法が制定され、金沢市公民館設置条例が同じ年につくられました。市内に設置された5つの公民館と中央公民館は、金沢市の常勤職員が配置されました。一方、地区公民館が38校下に広がると、財政的な問題を町内会が用意する財源によって対応が始まりました。ところが、社会教育法第21条で「公民館は、市町村が設置する」との条文からすると、金沢市の公民館運営はこれに反するのではないかという声があがりました。当時の市長は、市立公民館として新たに8ヵ所を整備する方針を打ち出しました。しかし、この方針は地域住民の理解を得られず、野町公民館が設置されただけで、中止されました。その結果、地区公民館に対する金沢市の公費負担が行われ、今日の負担割合まで拡充されてきました。今回の市長提案は、こうした施策の延長にすぎません。社会教育法第21条で明記されている「公民館は、市町村が設置する」との立場に立ち、地元負担を見直すことが求められています。見解を伺います。

 第2に、社会教育法が明記する「公民館は、市町村が設置する」との立場から地元負担なしで公民館を設置し、運営するという公民館施策に切り替えていくことが求められます。市長の見解を伺います。

 第3に、今後、公民館整備計画を策定するとともに、この中で、地元負担をなくすことを基本とし、地域住民の参加のもとで具体化することが求められます。市長の見解を伺います。

-村山市長

 金沢方式でありますが、金沢方式は先人たちによって育まれた地域コミュニティにおけるまちづくりの文化として、将来にわたって継承すべきものととらえています。一方で、人口減少、少子高齢化の伸展や物価高騰など、地域コミュニティを取り巻く環境の変化を踏まえ、持続可能な地域コミュニティを支える基盤を強化することが必要と考え、今回、40年以上にわたって変わっていない地元負担の割合を見直すこととしたものであります。本市の公民館については「多少の地元負担を伴っても校下ごとに公民館がほしい」という地域住民の強い要望を受けて設置してきております。その運営についても、地域主導、ボランティア、地域による一定の負担といった、金沢の地域コミュニティの特徴と一体となって、地域の自主性、連帯意識の醸成に大きな役割を果たしてきたものであり、今後も本市独自の方式として継承すべきものと考えております。

 本市の地区公民館については、それぞれの地域において地元負担を伴ってでもその設置を望む地域の総意を受け、建設しております。本市として公民館整備計画を策定する予定はありません。

-森尾議員

 質問の最後に、金沢市中央卸売市場再整備事業についてです。

 この事業について、市長は昨年9月、この議場で次のように述べました。「基本設計を来年2月末まで延長することで、実施設計については令和7年度から取り組むこととなりますが、建設工事については予定通りの令和8年度中の着手を目指していきたい」と表明しました。ところが、今議会の市長施政方針では、先の答弁を覆し、基本設計業務を「令和8年2月末まで延長する」と述べました。市長は、市民と議会との約束を破ったことになります。市長をはじめ市当局は、基本設計を今年2月末まで完了し、計画通り工事を令和8年度中着手すると繰り返し表明してきました。「できませんでした」ということでは済まされません。市長ご自身の責任について、見解を求めたいと思います。

 また市長は、基本計画について「見直しは考えておりません」と答弁されましたが、今議会では「基本計画を改めて検証したい」と先の答弁を覆されました。市長は、この事業について責任ある見解や表明ができない事態となっているのではありませんか。見解を伺います。

 先に開かれた経済環境常任委員会に置いて、副市長から重大な説明がありました。現在地でローリング方式による工期10年以内の建て替えが難しいとの判断をしたのは、昨年5月だったとのことです。ところが、このことを明らかにしないまま、昨年の9月議会で、基本設計を5か月延長しました。許されることではありません。説明を求めます。

 第2に、市場関係者との信頼関係が壊されたことです。市当局は現在地での建て替えが難しいと判断し、市場の外での仮設設置を提案しました。しかし、敷地が狭く、様々な問題が明らかとなり、断念しました。すると今度は県が所有する用地を仮設候補として提案されました。これも合意には至りませんでした。「意思形成過程」を隠れみのに様々な提案を繰り返し、市場関係者との信頼関係を壊してきました。市当局の責任は重大だと考えます。市長の見解を求めます。

 第3に、基本設計に係る予算と今回の補正予算、さらに新年度予算に盛り込まれた基本計画の検証についてです。金沢市は、基本設計をプロポーザルによる設計事務所を選定し、8900万円の予算で昨年9月30日までとする契約を交わしました。ところが、これを5か月延長し、今年2月28日までとする契約変更を昨年9月13日交わしました。市当局は、現在地でローリング方式による工期10年以内の建て替えという基本方針を断念せざるを得ないにも関わらず、期日だけを変更する措置を取りました。一方で、市場の外での仮設設置を提案し、そのたびに設計事務所が対応しました。基本設計の期日だけを延長する契約変更は、おかしいのではないかとの指摘に対し、「基本設計をまとめていく上での資料であり、軽微な図面だ」との見解を述べてきました。すると今度は、補正予算で3500万円を計上しました。8900万円による基本設計は、何をさすのですか。そして、今度の補正予算で計上した3500万円は、やはり基本設計にかかわるものですか。明快な答弁を求めます。度重なる期日変更を繰り返し、基本設計が年度を超え、追加予算まで計上するのは、金沢市財務規則と事務決裁規則に違反しませんか。見解を伺います。

 また、新年度予算に盛り込まれた基本計画の検証について、どんな内容をどのように検証するのか。明らかにしていただきたいと思います。

-村山市長

 市場の再整備についてであります。2月末までに基本設計が完了できなかったことについては、市場事業者からの要望や意見をお聞きする中で、工期内にそれぞれの意見を調整することができなかったことによるものであります。今後市場事業者とともに、市場の再整備をしっかり勧めていくことで責任を果たしてまいります。昨年5月の段階で判明したのは、想定していた現地での建設・引っ越し・解体を繰り返す手法で、市場事業者の営業と工事中の安全の両方を確保していくとすれば、10年以上の工期が必要になるということであります。このため、工期を縮減するための様々な選択肢について市場事業者に提示し、協議を開始いたしましたが、それによって9月という期限内に協議が整わなかったため、工期の延期を行ったものであります。市場事業者は市場再整備後も生業を継続・発展させていくことを一番に考えておりますが、昨年の能登半島地震以降、集荷や販売の流れが変わったという話も聞いておりまして、不安を抱えていることは理解をしております。私が先月10日に卸・仲卸の代表者で構成する会議に出席しまして、市場事業者から市場再整備に対する様々なご要望やご意見を伺いましたが、今後の市の進め方については理解していただいたと感じております。これまで以上に市場事業者と真摯に丁寧に向き合い、強固な信頼関係を築いてまいりたいと存じます。

-紙谷農林水産局長

 中央卸売市場再整備事業において、令和6年9月から令和7年2月への工期延長についてお尋ねがございました。市場再整備基本設計業務につきましては、令和6年9月以降も市場事業者との調整が必要となったことから、発注者と受注者の双方で契約書に定める仕様書について委託期限以外に変更がないことを確認の上、令和7年2月末まで工期を延長する変更契約を締結いたしました。なお、これらの事務手続きにつきましては、市の事務決裁規則等に則り、適切に対応しているところでございます。

 次に、基本設計の補正予算と基本計画の検証の内容についてお尋ねでございました。令和6年度の補正予算にお諮りをした基本設計の増額分につきましては、これまでの成果を生かしつつ様々な選択肢を比較考量する中で、市場事業者からの要望や意見などを調整しながら、課題を解決していくために必要となる経費について計上いたしております。また、当初予算にお諮りをした基本計画の検証につきましては、今後の取扱高や集荷・販売の流れなど、市場を取り巻く情勢の変化も勘案しながら、あるべき施設の規模や配置、整備手法など、基本設計を進めていく中で基本計画の内容を検証するために必要となる経費を計上しているものでございます。

【再質問】

-森尾議員

 市長に伺います。学校給食無償化について、市長は考えていないと。国の動向を注視していくと答弁されました。津幡町の町長は、国に先駆けて9月から中学校の給食費を無償にすると表明しました。かほく市は中学校の給食費を2学期から無償化すると打ち出しました。内灘町は中学校の給食費無償化に続き、小学校の無償化を2学期から実施すると表明しました。国の方針に先駆けて、学校給食費無償化を打ち出しているということについては、市長はどういうふうに考えますか。伺います。

 もう一点、中央卸売市場について。繰り返し「計画通りやります」、本会議場でも委員会の席上でも述べ続けてきた。しかし、できなかった。市長、議会と市民と関係者に対して、反省の弁がないんじゃないですか。責任を問われる事態だと、私は認識しています。答弁をお願いします。

-村山市長

 再質問にお答えします。今年度、我々金沢市の方としては、給食費の負担額についての再検討を行いました。そのあり方の検討の報告を受ける中で、給食費を本来であれば非常に高騰しているという中で据え置くということの提案を受けました。こちらも踏まえて、現在米価を含めてかなり食材費が高騰しているという中にあって、給食費を据え置くということ、保護者の経済的負担を配慮した中で決断をしたわけであります。申し上げましたとおり、無償化による施策については、様々な予算の選択と集中の中で行ってきているという中で、より効果の高いものから優先して行っていくべきというように考えております。

 もう一つご質問いただきました中央卸売市場の再整備の関係でありますけれども、何よりも大事なのは工期最後の仕上がりまでの期間を延ばさないようにしていくということだというように思っております。基本設計の再延長につきましては、市場再整備の途上であります。市場事業者とともに市場の再整備をしっかりと進めていくことで、責任を果たしていきたいと考えております。

-森尾議員

 質問の機会はこの3回目で終わりになりますが、再度市長に伺いたいと思います。この市場問題について、本会議場でも繰り返し「計画通りやります」、委員会でも「計画通りやります」、どんな内容が問題点になっているんだって言ったら「それは言えません」、資料も出さない。こういう状況が続いてきました。それで、いろんな情報を集め、情報公開請求もやった、その中から明らかになった点があるんです。場長は1月の時点で、仮設施設の適地として県が所有する用地の手立てがついたと述べた。市長が行かれた2月10日、県有地について県に打診したら概ね了解がとれた、仮設施設案も含めて様々な選択肢について協議していきたいと、こう述べたと伺っております。2月19日、副市長が経済環境常任委員会に出席されて述べられました。「現在地でローリング方式による工期10年以内の建て替えは難しい。こう判断した、5月に。」昨年5月ですよ。そして「県の用地というものについては、市場関係者との合意には至っていません」と。執行部の見解が様々なんです。一体市長には、どんな情報が伝えられて、しかるべき決断をされたのか。私は問わなきゃいけない。現時点において、市長はどういう認識をもって対応されるおつもりなんですか。伺います。

-村山市長

 先程おっしゃった文書については、その後日存じ上げたところでもあります。あくまで私の立場とすれば、しっかりと市場の再整備を進めていくということ、それを責任を持って行っていくということが、私の立場であります。そしてそのためには、基本計画に示す内容について、またそれを含めて仕上げていくという必要があるというように思っております。今後とも市場関係者と真摯に向き合って、市場再整備をしっかりと進めていきたいと考えております。

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