私は日本共産党市議員団を代表して、議会議案第6号「持続可能な高額療養費制度になるようさらなる議論を求める意見書」に対し、反対の立場から討論を行います。
高額療養費制度は、がんや難病など長期にわたる治療や高額な医療費が必要となる患者やその家族にとって、安心して治療や療養を受けるための、まさに命綱とも言える重要な制度です。
政府は、今年8月から2027年にかけて、この制度の自己負担限度額を段階的に引き上げる方針を示していました。しかし、がん患者や難病患者、医療関係者から、引き上げに対する強い懸念と怒りの声があがり、世論の大きな反対のうねりを受けて、石破首相は3月7日に8月の引き上げ方針を見送ると表明しました。
しかしながら、政府が掲げる「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋」には、2028年度までに高額療養費制度の自己負担限度額の見直しが盛り込まれたままです。石破首相も「秋までに改めて検討する」「引き上げないとは断言しない」と述べており、負担増が完全に撤回されたわけではありません。
全国がん患者団体連合会が実施したアンケートには「今の状況でも収入が減り、生活が厳しく引き上げはとんでもない」と多くの声が寄せられました。金沢市だけをみても、2023年度に国民健康保険で8万4721件もの高額療養費制度の利用があり、この制度が多くの市民の生活を支えていることは明らかです。負担上限額の引き上げが実施されれば、その影響は計り知れません。むしろ患者や国民が求めているのは、今でさえ厳しい自己負担額のさらなる軽減です。命と健康を脅かすような制度改定は決して認められません。
財源や予算のあり方の議論も必要です。政府が進めようとした負担増の規模は約100億円ですが、国の新年度予算では1機あたり200億円にもなるF35戦闘機を11機購入するとしています。こうした税金の使い方を見直せば、高額療養費制度を持続させる財源は十分確保できるはずです。
本意見書は、持続可能な制度となるようさらなる議論を求めるとしていますが、「制度見直しの影響を丁寧に検討するなど」と、自己負担限度額の引き上げを否定していません。金沢市議会として、患者にとって命綱とも言える高額療養費制度の自己負担限度額の引き上げは白紙撤回するよう国に強く求めるべきです。よって、本意見書に反対いたします。