私は、日本共産党市議員団を代表して、反対討論を行います。
共同通信社が行った世論調査によると、石破首相の退陣が自民党の信頼回復につながるかとの問いに対し、「つながらない」と答えた方が、76.4%にのぼりました。やってほしい課題について聞いたところ、物価高対策が最も多く、30.7%に達しました。今の政治に対する国民の厳しい声が反映していると考えます。そして、物価高対策が切実なものとなっています。この9月補正予算は市民が求めている暮らしを守る課題にどのようにこえたかが問われました。
わが党は、提出された議案16件のうち、議案第22号、議案第30号、議案第31号の3件に反対です。
その主な理由について述べます。
第一に、議案第22号、令和7年度金沢市一般会計補正予算(第3号)に反対です。
都市再生緊急整備地域に金沢駅東地域がこの7月2日国に指定され、今回の補正予算に関係事業が計上されました。
国の認定を受けた民間都市再生事業は、2015年から166件、都市再生緊急整備地域には、この7月2日、金沢市を含めて55事業が指定されています。そして、大都市をはじめ、各都市で民間大企業、大手不動産、ディベロッパーなどが大規模な開発事業を進めています。
こうした特定の大手事業者に対し、容積率の緩和、高さ制限の撤廃をはじめ、税制措置においては、所得税・法人税、登録免許税、不動産取得税や固定資産税・都市計画税の減免など優遇措置が行われています。その額は、2020年から2024年の5年間で総額583億円にのぼっています。
超高層複合タワーが建設され、上層階のマンションが、海外からの投資対象となり、夜間には部屋の明かりがつかないなど住民が住み続けるまちづくりとはかけ離れている実態となっています。また、超高層複合タワーの周辺では、ビル風、太陽の光の遮断など周辺住民への被害も発生しています。さらに、災害に対しても、長周期地震動、火災、電源喪失などの危険リスクが指摘されています。
今回補正予算には、都市再生緊急整備地域に金沢駅東地域が指定されたことに伴い、本市独自の様々な支援が盛り込まれています。今後、事業進捗によってさまざまな支援が行われ、その予算規模は限りなく拡大することが予想されます。
また、店舗出店やオフィスの進出に伴い、様々な支援が行われ、地域の商店街や事業所との連携や協調とは関係なく制度運用がされることになります。全国展開する大手資本の「稼げるビル」「儲かるまちづくり」であって、地域経済の発展にはつながりません。今議会で提案されている中小企業・小規模企業振興条例制定の主旨とも矛盾することを指摘しておきたいと思います。
金沢市では、かつて、駅西区画整理事業、金沢駅東広場整備事業、金沢駅・武蔵北地区再開発事業、武蔵地区再開発事業、香林坊地区再開発事業と香林坊地下駐車場建設などに駅西から都心軸中心の大型再開発事業が行われてきました。
総事業費は、3200億円、金沢市は870億円を超える予算を投入してきました。
その背景には、アメリカからの強い要求に基づき、10年間で430兆円の公共事業投資計画と実行がありました。
一方で、金沢市は、市民の願いと運動を背景に、金沢らしい街並みを守り、建築物の高さ制限、地区計画導入など景観の保全と住み続けられるまちづくりを進めてきました。
わが党は、市民参加で、住み続けられるまちづくりにこそ、未来があると考えます。よって、大手事業者を優遇しすすめられる都市再生緊急整備事業に基づく一連の支援事業には反対です。
第二に、議案第30号金沢市税賦課徴収条例の一部改正に反対です。
都市再生緊急整備地域に金沢駅東地域が指定されたことに伴い、建設された建築物で、公共施設等の用に供した場合、その分の固定資産税を4割、5年間にわたって軽減するというものです。都市再生緊急整備地域として金沢駅東地域が指定され、この地域だけを対象とするものです。結局、再整備事業を進める大手事業者等への利便を図るもので反対です。
第三に、議案第31号 金沢市介護保険法に基づく介護院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準を定める条例の一部改正について、反対です。
これは、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の一部改正に伴い関係規定を改正するものです。
この法律改正には、わが党は、反対しました。その理由は、第1に、医薬品のコンビニ販売の規制を緩和することです。さらに、薬剤師が確実に対応できる対面販売の要件まで緩和することは安全性の後退につながるものです。第2に、医薬品の承認制度を見直し、条件付き承認制度を拡大することは、その安全性を後退しかねないことです。第3に、医療費削減のために、後発薬品の製造能力を無視し促進したことで、医薬品不足を招いたことです。さらに、医療費の4兆円削減、11万ベットの削減が進められていることにいのち守る立場から反対であります。よって、この法律改正に伴うこの条例改正に反対いたします。
陳情第24号、消防分団の施設、設備の全額公費による整備を求める陳情で、生活目線で金沢方式を考える会の方から提出されました。
消防組織法第8条は、「市町村の消防に要する費用は、当該市町村がこれを負担しなければならない」と明記しています。ことから、この陳情は、消防分団の施設、設備の全額公費による整備を求めます。
わが党は、この陳情に賛成です。
よって、審議された文教消防常任委員会での不採択に反対いたします。 以上で反対討論を終わります。