
-山下議員
発言の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団の一員として、議案第56号 令和7年度金沢市一般会計補正予算(第6号)、および議案第57号令和7年度金沢市水道事業特別会計補正予算(第2号)について質疑を行います。
まず初めに、物価高騰の影響と補正予算編成についてです。
国は11月、「強い経済」をかかげた総合経済対策を閣議決定し、その裏付けとなる2025年度補正予算案が12月11日、衆議院を通過しました。歳出総額が18兆3034億円、新型コロナ後最大の規模であり、その歳入の6割を国債の追加発行に依存しています。この「強い経済」の中身は、国民が選挙で示した消費税減税や最低賃金の抜本的引き上げといった暮らしの願いには応えていません。社会保障費や医療費を抑制する一方で、過去最大となる8472億円もの防衛費を計上している点は重大であり、生活者支援との乖離が明らかです。国は、重点支援地方交付金として2兆円を計上し、自治体が地域の実情に応じて活用できるとしています。推奨事業には、学校給食の無償化やお米券、中小企業支援などが示されています。
そこで市長に伺います。今議会の追加補正予算案は、いま臨時国会で議論されている補正予算案に伴うものです。市長は国の補正予算案をどのように受け止め、長引く物価高騰に対し、市としてどのような課題認識を持ち、市民45万人の生活をどう支えるべきと考え、予算編成にあたったのかお聞かせください。
-村山市長
今回の国の補正予算は、食料品などの物価高騰対策に加え、賃金の引上げ環境の整備、成長分野への投資など、我が国の未来を見据えた緊急対策などの多岐に渡る政策が盛り込まれており、一定の評価をしております。
物価高騰の影響を特に強く受ける市民や子育て世帯を重点的に支援するとともに、現下の物価高騰が市民生活や企業活動に広く影響を及ぼしている状況に鑑み、全ての市民が利用する水道等の基本料金の無償化に加え、地域経済への波及効果が期待できる商店街の商品券事業を実施することといたしました。加えて、地域の経済・福祉を担う中小企業者や福祉施設などの冬季の電気料金を支援するなど、市民生活の安心の確保と地域経済の活性化に向けて、なし得る限りの対策を講じた次第であります。
-山下議員
国の重点支援地方交付金の拡充の通知においては、推奨事業メニューの検討にあたっての留意事項に、地域の実情を踏まえつつ、物価高騰対策として特に必要かつ効果的な分野などについて有効に活用するようにとあります。また、事業実施に当たっては、事務コストの削減や速やかな支援の実施が図られるよう工夫するようにも求められています。追加補正では10事業が提案されていますが、これらの事業を選択した理由と、それぞれの事務費の割合はどうなっているのかうかがいます。
-村山市長
今回お諮りする物価高騰対策についてはその効果をできるだけ早く地域経済に波及させたいとの思いから、本市がこれまでに培ったノウハウを最大限に活用し、迅速かつ幅広い支援策を講じることとした次第であります。繰り返しとなりますが、市民生活の安心の確保と地域経済の活性化に向けて、なし得る限りの対策を講じた次第であります。
-川畑総務局長
今回お諮りした事業の事務費の割合は、住民税非課税世帯物価高騰支援給付金事業が5.7%、物価高対応子育て応援手当支給事業が1%、中小企業電気料金等高騰特別対策事業が16.4%、金沢の買い物応援商品券事業が商店街の事務費を含め25.2%、水道基本料金の無償化が4.9%となっており、その他の事業は対象者が限られ郵送代など少額であることから、事務費の割合はごくわずかでございます。
-山下議員
学校給食の無償化やお米券といった推奨事業を選択しなかった理由もお聞かせください。
-村山市長
学校給食費の無償化については、自治体間で格差が生じないよう国の指導により全国一律かつ恒久的に実施されることが望ましく、加えて恒久的に多額の財源を要することから、本市独自で給食費を無償化することは考えてはおりません。またお米券につきましては、購入品目や取り扱い店舗が限られることや、お米券の額や購入方法など現時点で国から詳細が示されておらず、支給までの時期が見通せないということから、利用が限定されない現金給付や、経済波及効果も期待されるプレミアム商品券によって、本市独自の物価高騰対策を講じることとした次第であります。
-山下議員
国は、各地方公共団体別の交付限度額について、補正予算成立を待って正式に通知するとしています。今回の追加補正は、歳入に重点支援地方交付金37億6650万円を計上していますが、これは予算通り交付される見込みなのかうかがいます。
-川畑総務局長
本市の交付額につきましてはまだ国から正式な通知はありませんが、国の補正予算規模から試算すると、今回の対策に充当した交付金の額は交付されると見込んでおります。
-山下議員
歳入は、重点支援地方交付金と物価高対応子育て応援手当支給事業費補助、水道基本料金無償化特別交付金といった、国県支出金のみとなっています。金沢市独自の財源を投入して、物価高騰対策を検討されたのか、お聞かせください。
-村山市長
市独自の財源に関しまして、今回の補正予算につきましては、国の補正予算では重点支援地方交付金の推奨事業メニュー分として過去最大の2兆円規模が確保されていることから、これを最大限活用することで、できるかぎりの対策を講じたところであります。
-山下議員
次に、生活者支援についてうかがいます。
まず、住民税非課税世帯物価高騰支援給付金事業費についてです。対象は53,000世帯とされていますが、本市全世帯数の24%にすぎません。給付金事業において、支援対象の拡大の検討をされたのか伺います。給付額は1世帯当たり3万円となっていますが、どの程度の期間の負担軽減を見込んでいるのか、給付額を3万円とした理由をうかがいます。
-村山市長
住民税非課税世帯に向けまして、今年1月の緊急議会でお諮りした物価高騰対策では、国において示された低所得世帯の食料品等にかかる物価高の影響のうち、賃上げや年金額の改定等で賄いきれない部分を概ねカバーできる水準として、1世帯あたり3万円を給付したところであります。現在も物価高騰が続いておりますことから、今回は国の重点支援地方交付金を活用し、食料品価格等の物価高騰対策として本市独自に3万円を給付することとしたものであります。
-山下議員
さらに、これから年末年始と、寒さの厳しい季節を迎えます。支給予定が3月中旬から順次となっています。できるだけ速やかな支給が求められると考えますが、そうした検討がされたのかお聞かせください。
-山口福祉健康局長
住民税非課税世帯物価高騰支援給付金につきまして、できる限り速やかな支給を検討したのかとのお尋ねにお答えいたします。補正予算の議決後、速やかにシステム改修等に取り掛かることとしておりますが、準備に一定程度の期間を要することになると思っております。なお昨年度の緊急支援給付金を支給した世帯のうち、世帯構成等に変更のない世帯につきましては申請手続きを要しないプッシュ型で支給するなど、できる限り早期に支給できるように取り組んでまいります。
-山下議員
次に、物価高対応 子育て応援手当支給事業費についておたずねします。
物価高騰が長期化する中、特に負担が大きい子育て世帯の生活を支援するため、国が一律2万円を支給する手当に加えて、市が独自で1万円を上乗せし、子ども一人当たり3万円の給付となっています。子育て世帯の生活支援として十分な額となっているのかお聞かせください。
-村山市長
子育て応援手当支給事業について、今般の国の総合経済対策に盛り込まれた物価高の影響を強く受けている子育て世帯に対し、子どもたちの健やかな成長を応援するため、既存の児童手当を活用するかたちでの2万円の応援手当につきまして、本市として国交付金の食料品の物価高騰に対する特別加算に呼応するとともに、今後進級・進学などで経済的負担がさらに高まる時期を迎えることを考慮し、市独自に1万円を上乗せすることといたしました。予算の範囲内でできる限りの手立てを講じたところであります。
-山下議員
また、2026年3月31日までに出生した児童も対象とされていますが、申請期限が十分に確保されているのかうかがいます。
-安宅こども未来局長
現在児童手当の受給を受けている世帯につきましてはプッシュ型で支給することになりますが、支給確認を行う必要があり、現時点で支給時期は3月上旬になると考えております。また10月1日以降に出生した子どもの世帯につきましては、順次申請手続きの案内を送付し、その返送を受け取り次第支給することになりますが、本事業の繰越明許費を合わせてお諮りしておりますので、適正な申請期間を確保していくつもりでございます。
-山下議員
次に、金沢の買い物応援商品券事業費についておたずねします。
商品券事業は、金沢市においても物価高騰対策として繰り返し行われてきましたが、市議会の中では、経費の増大や不正利用の可能性、商品券の買い占めや転売、消費の偏りなど、事業の課題が指摘され続けています。そのような中で今年度、金沢市内の商店街組合による補助金の不正受給が明らかとなりました。そこで、過去に不正が発生した事業を、再び実施すると判断した理由を明らかにしてください。
-村山市長
プレミアム商品券につきましては、商店街がこれまで培ってきた運営ノウハウを活用できるとともに、食料品等の物価高騰が続く中で、直接消費を喚起できるなど、事業としての実効性や即効性が高いことから、消費を拡大しながら家計負担を軽減できる最適な手段であると考えています。なお事業の実施にあたりましては、参加を希望する商店街を対象とする説明会を来月開催いたしまして、会計事務の適正化の徹底を図っていきたいと考えています。
-山下議員
2つの課題についてもおたずねします。対象となる店舗は、商店街組合に加盟している店舗だけでなく、非加盟店舗でも対象となり得るということですが、これまでどれだけの非加盟店舗が事業参加できたのでしょうか。消費の偏りを改善できる事業となるのかうかがいます。また、商品券を購入できる市民と購入できない市民が生じ、不公平だとの指摘もあります。公平性や機会の均等を確保する改善策はあるのかうかがいます。
-上寺経済局長
初めに、商店街に加盟していない店舗での利用についてお答えをいたします。商店街に加盟していない店舗であっても、商店街が認めれば商品券事業に参加できることとしておりまして、これまでも多くの商店街で加盟店以外の店舗が参加しております。今回の事業の実施にあたりましても、来月開催の説明会を通して、なるべく多くの店舗が参加できるよう商店街に働き掛けてまいります。
次に、購入できる方と購入できない方がいる現状の改善についてお答えをいたします。今回の商品券事業では、限られた予算の中で前回を上回る16万4千セットの発行数を確保したうえで、購入セット数に上限を設けるなど、希望する市民に商品券が行き渡るよう制度設計を行ったところであります。また購入セット数の上限につきましても、その範囲内で各商店街が柔軟に設定できることを説明会において周知してまいります。
-山下議員
次に、水道事業についてうかがいます。
私ども会派は、幅広い市民の暮らしを支援するため、事務経費を抑え、即効性のある支援策として水道料金の引き下げを求めてきました。今回追加補正で、水道、簡易水道基本料金の減免を盛り込んだ理由をうかがいます。あわせて、下水道基本料金の減免は検討しなかったのか、うかがいます。石川県が一般家庭向け水道基本料金を、来年の2月、3月の2か月分減免するとしています。金沢市独自で減免を2カ月間追加し、対象期間を4カ月とした理由をうかがいます。
-村山市長
今回、地方自治体の裁量で自由に活用できる国の重点支援地方交付金の予算規模が大幅に拡大されたことに加えまして、県が水道基本料金の無償化を打ち出したことから、市民に広くより一層物価高騰対策の効果を波及させるため、簡易水道を含めて全ての水道使用者を対象に、期間を2倍に延長する市独自の支援策を対策に盛り込んだものであります。なお県の支援策が水道の基本料金の無償化でありましたことから、下水道料金の減免までは行わないことといたしました。
-山下議員
次に、事業者支援についてです。
中小企業電気料金等高騰特別対策費は、県支援金の交付決定を受けた事業者を対象としていますが、金沢市独自に支援対象の拡大を検討したのか、うかがいます。またこの事業が、賃上げ促進税制を活用できない中小企業の賃上げを後押しする効果があると考えるか、お聞かせください。
-村山市長
中小企業電気料金等高騰対策につきまして、県では国の電気・ガス料金負担軽減措置の対象とならない特別高圧やLPガスを使用する中小企業等に加え、国の支援が講じられている高圧電力を使用する企業の中でも売上高に対する電気代の割合が高い中小企業等に対して支援金を支給することとしております。市としては県の支援対象企業の範囲は適正であると考えております。市独自で対象を拡大することは考えておりません。また、本事業はエネルギー価格高騰の影響を受ける中小企業等の経営を支援するもので、賃上げの後押しを目的とするものではありませんけれども、企業の負担軽減により結果として賃上げを促すことにも繋がるのではないかと思っております。
-山下議員
次に、福祉施設光熱費物価高騰特別対策費についてです。
本年6月の補正では、助成金額が1施設当たり7千円~30万円だったものが、今回は対象月が1月~3月という冬期期間にも関わらず、6千円~26万円と減額されています。その理由をうかがいます。
-山口福祉健康局長
福祉施設光熱費物価高騰特別対策費の補助単価につきましては、一般家庭における電気・灯油・ガス料金ごとの令和6年4月の価格と令和7年12月との直近の実績の差額をもとに算出して施設の利用定員数等に応じまして6千円から26万円まで10段階に設定いたしました。この算出方法ですが、前回であったり昨年度と同様でございます。ただ国が行っていますエネルギー支援価格の違い等がございまして、結果として助成額が減額となったものでございます。
-山下議員
福祉施設食材料費物価高騰特別対策費については、食材料費の補助単価が6月補正よりも引き上げられていますが、依然として高騰し続けている食材費に見合った単価設定となっているのかうかがいます。
-山口福祉健康局長
福祉施設食材料費物価高騰特別対策費につきまして、今回の補助単価については今年度の6月補正で計上した対策費の単価に消費者物価指数の上昇値2.4%を乗じて算定したものでございます。
-山下議員
さらに、この2つの物価高騰特別対策費について、医療機関や保育施設、児童館や公民館、児童クラブを対象施設に含める検討がされたのかうかがいます。
-山口福祉健康局長
医療機関につきましては県が地域の実情に応じて医療提供体制の確保を行うこととなっております。本市として支援することは考えてはおりません。
-安宅こども未来局長
保育施設については、当初予算に1年分の光熱費及び食材費の物価高騰分を予算計上し、支援を行っております。また児童館や児童クラブなどについても、同様に当初予算に1年分の光熱費上昇相当分を運営費に加算する措置を講じており、今回は追加計上はしておりません。














