議会議案第3号教育基本法第14条第2項の運用方針及び認定基準の明確化を求める意見書の反対討論 森尾議員

私は、日本共産党市議員団を代表し、議会議案第3号教育基本法第14条第2項の運用方針及び認定基準の明確化を求める意見書の反対討論を行います。                          

沖縄辺野古沖での小型船転覆事故は、研修旅行中の高校生と船長がなくなり、高校生たちがけがをされるという重大事故となりました。ご遺族をはじめ関係者の皆様に心から哀悼の意を表します。事故原因の徹底究明を行うと共に、二度とこのような事故が起こらないよう対策を講ずることが求められます。

一方、今回の事故を受け、去る5月22日文部科学省は、研修旅行の学習内容が教育基本法第14条第2項に反するとして学校側を指導しました。この意見書は、このことに係って提出されました。

そもそも、教育基本法は、日本の教育に関する根本的・基礎的な法律であり、教育に関するさまざまな法令の運用や解釈の基準となる性格を持つことから「教育憲法」と呼ばれる場合もあります。憲法が制定された1947年(昭和22年)同じ年に公布・施行されました。そして、現在の教育基本法は、2006年(平成18年)12月22日、改正されたものです。

その前文では、「たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願う」とした上で、この理想を実現するために教育を推進するとしています。

この教育基本法は、18カ条で構成され、第1章から第4章までに分けられており、それぞれ「教育の目的及び理念」「教育の実施に関する基本」「教育行政」「法令の制定」について規定されています。

こうした内容をもつ教育基本法は、戦前の教育が軍国主義のもとで戦争へ子どもたちを送り出していったことへの深い反省のもとで、自主的で自由闊達な主権者を育てることを目的に制度化されたものです。

したがって、教育基本法第1条では、「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」と教育の目的について明記しています。

今回の事故を受け、文部科学省は、研修旅行の学習内容が教育基本法第14条第2項に違反するという対応を行いました。

この点について、元文部科学省事務次官の前川喜平氏は、「文部科学省が個別の学校の、個別の教育活動に直接指導するのは越権行為だ」と指摘し、「教育権の独立」は戦後民主教育にとって大切であり、文部科学省は教育内容に対し国家的な介入は抑制的であるべきだとの見解を示しています。

私どもは、この文部科学省の対応は、「教育内容に対する行政による介入」であり、許されることではないと見解を明らかにしています。

なお、2006年5月小坂文部科学大臣は、国会答弁の中で、「私は教育内容に対し国家的な介入については、政党政治ということでありますからこれは抑制的であるべきだというふうにおもっております」と述べています。

この意見書は、今回の事故を受け、文部科学省が、研修旅行の学習内容について教育基本法第14条第2項に違反するとの見解について「今回の認定の撤回を求める声もある」とし、あいまいにしたうえで、教育基本法第14条第2項の運用方針と認定基準の明確化を求めるに至っています。

教育基本法は教育の目的やあるべき姿を明記したものであり、この法に違反したかどうか判断し、罰則することを目的にしたものではありません。したがって、この法律の運用方針や認定基準は必要ありません。

戦後の教育は、二度と戦争はしないとの決意のもと、教育の自主性、教育権の独立を築いてきました。

よって、文部科学省は教育内容への国家的な介入については抑制的であるべきです。

教育基本法第16条は、「教育は、不当な支配に服することなく」と明記し、国、行政による教育への「不当な支配」を禁じています。

今回の文部科学省の判断について、上方平和教育研究所共同代表の平井美津子さんは、「教育基本法第16条が禁じている不当な支配ともいえる文部科学省の判断だ」と抗議の声をあげています。

一方、この意見書は、この法律の運用方針や認定基準を明確化することを要望しています。仮に、政府の思い通りの運用指針や認定基準が設けられると、国家による教育への介入を拡大する恐れがあります。

この意見書の内容は、教育基本法の求めている内容ともかけ離れ、教育関係者をはじめ、国民の願いに沿ったものではありません。

最後に、提案説明の中で、4人に1人が亡くなった沖縄戦の教訓から二度と戦争を起こしてはならない。との決意を述べられました。

戦前の教育が軍国主義のもと戦争へ子どもたちを送り出したことの反省から教育基本法がつくられました。今回の文部科学省のとった対応は、まさに国家的介入であり、断じて許さない立場を明らかにすべきです。

ところが、この意見書は、そうした立場とはかけ離れ、運用方針などを求めています。その点をあえて述べておきたいと思います。以上で反対討論を終わります。

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