2013年12月
金沢市議会12月議会 一般質問
日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭
私は、日本共産党市議員団のトップバッターとして以下質問致します。
平和と民主主義、人権までも奪うとして、批判の声が広がる中、去る6日深夜、秘密保護法が、参議院本会議で、自民・公明の強行採決によって、成立しました。
審議すればするほど憲法と相いれないこの法律の本質が明らかとなり、国内外から批判の声が広がる中での暴挙であり、断じて許すことはできません。
安倍政権の強さの表れではなく、世論の広がりに追い詰められた中での強行であり、大義は国民のたたかいの側にあります。
ある地元紙は、「世論は屈しない」という論説を掲げました。その中で、「政治が民意、世論とかけ離れるのなら、国家運営は早晩行き詰まる。これほど広範な世論は決して屈することなどあるまい」と述べています。
この法律による「特定秘密」が、政府にゆだねられている上に、10年以下の重罰などによる弾圧法であり、言論・表現の自由を脅かし、民主主義の土台を掘り崩すことになるとして批判が相次ぎました。ノーベル賞を受賞した益川敏英さん、日弁連会長の山岸憲司さん、元内閣官房長官の武村正義さん、慶応大学教授の小林節さん、アニメの宮崎駿監督、そして、女優の大竹しのぶさん、吉永小百合さんなど各界各方面から多くの方々が反対・慎重審議を求める声が広がりました。本市議会にも、石川憲法会議をはじめ、6団体から制定に反対する請願が提出されました。短期間で急速にこうした声が広がったことは、平和と民主主義を求める巨大なエネルギーを示しています。まさに、たたかいは、これからです。この法律の施行は、一年後です。憲法違反の秘密保護法の撤廃に向け奮闘する決意です。
この法律が明記する「特定秘密」とは、「防衛」「外交」「特定有害活動。いわゆるスパイ活動」そして、「テロリズムの防止」に関する4つの分野だとしています。この点だけでも、本市には、自衛隊基地もあり、小松の自衛隊基地、志賀原発もあります。こうした情報は日々、行政や市民生活にも関わってきます。
市長!市民生活にとっても、地方行政にとっても、情報公開や基本的人権の尊重というのは、何よりも大切であります。政府が国家権力を勝手に使い、都合の悪いことは秘密にし、重罰を持って弾圧するというのは歴史の歯車を戦前に戻そうとするもので絶対に許してはなりません。
市長!この法の持つ危険な問題点について、どのように受けておられるのか。そして、反対や慎重な審議を求める国民の圧倒的な世論に対して、強行に進めている安倍政権の暴走に対してどのような見解をお持ちか。伺うものです。
質問の第二に、消費税増税、医療・介護制度の後退に対して、市民の暮らしと営業をどのように守っていくか。伺います。
安倍政権は、国民に8兆円もの新たな負担を増やす消費税大増税を進め、その一方で、医療や、介護など社会保障制度を次々に後退させ、実施プログラムを進めるとしています。8月から実施された生活保護費の引き下げ、10月から実施された年金引き下げ、電気料金やガソリンなどの値上げが続き、来年4月からの消費税5%から8%への引き上げが暮らしと営業を直撃します。
労働者の雇用実態は、非正規雇用が増え続け、1964万人にのぼり、雇用者全体の38%と過去最高となっています。さらに、ブラック企業を広めるような労働法制の大改悪が打ち出されています。
こうした安倍内閣の暴走は、国民生活や地域経済とはかけ離れ、その矛盾が一層広がっています。
市長!こうした状況の下で、地方自治体がやるべきことは市民のくらし、福祉の向上を図るという本来の役割を大いに発揮することではありませんか。その見解を伺うものです。
ところが市長!あなたの提案説明には、市民の暮らし、営業を応援する施策がありません。
本市全産業2万6千471の内、従業員が1人から9人という小規模事業所が2万776と全体の8割を占めています。本市産業、経済を支えているのです。ここへの支援策がありません。伝統産業も半分以下にまで減少するなど深刻です。
一方、あなたがやろうとしていることは福祉の見直し、切り捨てばかりです。
高齢者の祝い金の見直し、記念品の廃止、授産施設であることぶき作業所の廃止です。こども医療費助成にいたっては、通院助成の対象が小学3年生というのは、県内最低となっています。その制度を充実するのではなく、所得制限を検討するというのです。
市長!やるべきことが間違っていませんか。その見解を伺うものです。
第二に、市民生活に直接関係する公共料金についてです。若い共働き世代にとって、保育料の負担は重く、その引き下げが求められています。国民健康保険料は、その計算方式を変更したため大幅な引き上げとなり、経過措置が行われました。しかし、来年度も引き上げとなります。保険料の引き下げや軽減措置の拡大が必要です。また、総務省は、来年の消費税引き上げに合わせて公共施設の利用料金にまで適正に引き上げるよう要請しています。新たな負担を押しつけるべきではありません。その見解を伺います。
第三に、来年度予算編成にあたって、市長は、提案説明の中で、「交流拠点都市具現化策の本格実施の年」と位置づけ、積極的な施策展開を図るとしています。
ところで、その都市像の小冊子では、「くらしつぐり」というテーマに「災害に強いまちづくり」「健やかな暮らしを支えるまちづくり」が書かれていたのですが、重点施策ではなくなってしまっています。
市長!あなたが掲げた「市政刷新」はもうとうに消え失せてしまい、これからの金沢の発展に向けた都市づくりには、災害に強いまちづくりも、安心して暮らしを支えるまちづくりも消えてしまっては、市民は戸惑うばかりです。
市長!あなたには、新幹線が来ることに期待をかけるしかないのでしょうか。交流拠点都市などいうなにか、薄っぺらなものは、やめて、自然と文化が花咲く、住みやすさ日本一の金沢とか。県内一の福祉、医療制度が整い、安心して暮らせるまちをめざすとか。具体的目標を持つことが大切ではありませんか。その見解を伺います。
第四に、差し迫った介護制度について伺います。
安倍政権は、訪問介護と通所介護について、介護保険制度から外し、市町村に丸投げするとしています。これに対して、地方自治体は、「ボランティアを含め、安上がりな介護サービスの提供などできるわけがないし、受け皿はとてもない」との声が相次いでいます。
これに対して、国は、新たなガイドラインを策定し、費用の削減目標と計画を市町村に持たせる方針を打ち出しています。結局、サービスの切り捨てと費用負担を自治体と利用者に持たせようというのです。
市長!市民に安全・安心の介護サービスを提供できますか。今回の国の方針をやめるよう求めるべきです。今後の対応と併せその見解を伺うものです。
質問の第三に、あいつぐ土砂崩れと橋土台の耐震性不足についてです。
去る11月17日から5日間で、金沢市内は雷、あられ、雨が続き、その雨量は、300ミリを超えました。各地で、土砂崩れなどが相次ぎました。被害に見舞われた方々にお見舞い申し上げるとともに、今後の対策について伺います。
まず、夕日寺地区東長江町での土砂崩れです。団地の裏山の斜面が高さ約30m幅20mにわたって崩れ、駐車していた車2台が土砂で押し流されました。すぐ横には、高田団地から通学路となっている階段があります。安全対策が必要です。
次に、神谷内町で斜面が崩落し、児童公園内に土砂が流れ込み、設置されていたトイレの施設がつぶれ、横の民家にまで流れ込みました。今回崩落した反対側の斜面はすでにがけ地対策がおこなわれており、住民からは今回の斜面もしっかりした防災対策を求める声が寄せられました。
森本方面の桐山町です。川岸の斜面が崩落し、民家2軒の地盤が30~40㎝沈下し、家が傾いてしまいました。危険だとして2軒6人が避難を余儀なくされています。現地に行ってみるとこの斜面の防災対策を県が実施したのですが、今回はしなかった場所で地滑りのような崩落が起こっていました。住民からは、水の多い場所やし、コンクリートで擁壁をつくっただけではだっちゃん。水の対策をせなぁと。ご意見を伺いました。今後の対策が求められます。
市長!本市の土砂災害の危険場所についてどのような対策を行うのか。今回の被害のあった地域での対策と併せ伺うものです。
次に、橋土台の耐震性不足についてです。
会計検査院が指摘したもので、自治体や国が橋の耐震補強のため実施した工事で、橋を支える柱を補強したため、柱の重さが増し、土台部分の耐震性が不足しまったという問題です。橋全体の耐震性にとって重大な問題です。
市長!本市の場合、具体的にどの橋なのか。今後の対策はどのように講ずるのか明らかにしていただきたいと思います。
質問の第四に、片町にある旧大和デパートであるラブロを中心として計画されている再開発事業についてです。
今回の補正予算でこの事業の実施設計等を支援するとして1980万円の予算が計上されました。この予算が内示された二日前には、この再開発事業を請け負う特定業務代行者に大手ゼネコンの清水建設が決まったと報じられました。いまだ、組合も設立されておらず、事業認可もされていないまま、清水建設がすべての事業を行うことが決まったわけです。組合による再開発事業とは名ばかりで、組合はトンネルで、清水建設が行うビル建設に市民の税金を直接投入するものではありませんか。市長から説明を求めるものです。
この再開発事業は、金沢駅武蔵北地区再開発事業や香林坊での再開発事業とは大きく異なった点があります。
第一に、道路等の整備事業はなく、現存のビルを建てなおすという事業となっていることです。県や市が権利者として加わることはありません。しかも、現在の土地所有者はそのままにするとのことです。その所有関係の8割を大和が占めています。
第二に、この再開発事業は、57億円規模となり、国、県、市からの公的支援が通常の3分の2から拡大され、5分の4が投入されるとしています。
第三に、特定業務代行方式が導入されたことです。これは、民間業者が再開発ビルの建設や建設に伴う一連の業務や床の取得など事業完了まですべてを代行するというものです。
そこで、市長に伺います。
第一に、事実上古いビルの立て直しと言える事業であり、その所有の8割が大和となっています。しかも、この事業のすべてを大手ゼネコンの清水建設が行うとしています。いったい市は、どのような関わり方を持ち、巨額の税金を投入するのか。市民に納得できる説明を求めるものです。
第二に、この事業対して、当初予算で基本設計に対して、5126万円が投入され、今回実施設計等を支援するとして1980万円が計上されました。次は、取り壊しと、建設事業にも補助金を予算化するとしています。いったいどこまで税金投入するのか明らかにしていただきたいと思います。
質問の最後に、米の生産調整(減反)の廃止、TPPへの参加で農業、米づくりは守れるのか。伺います。
「守るべきものは守る」といってTPPへの参加を強行した安倍首相でしたが、実際交渉では、重要5項目を含む全品の関税撤廃を求められ、日本側は、95%前後の自由化率を提示する方針にまで至ったと報じられています。「例外なき関税撤廃」がTPPへの参加であることが明瞭になってきました。
そして、安倍首相は「農業所得の倍増」を打ち出す一方で、米の生産調整(減反)を5年後には廃止し、米の需給と価格を市場にゆだねることを打ち出しました。農家と農民の声を聞かずに財界などの身勝手な方向で暴走する安倍内閣の姿を浮き彫りにしています。
本市農業も深刻な事態に直面しています。平成2年5576戸の農家は、平成22年3212戸と4割にまで減少しています。販売農家は、半分以下となり、農業人口は、平成2年6638人が平成22年3157人へと半分以下にまで減少しています。そして、65歳以上の高齢者が全体の64%と高齢化が進んでいます。29歳以下の従事者は、わずか93人にすぎません。さらに、「販売額300万円未満」の小規模農家が全体の85%を占め、耕作放棄地も平成12年270haだったものが、平成22年568haと2倍にまで広がっています。
市長!本市農業の現状をどのように受け止めておられるのか、伺うものです。そして、国の打ち出している方針で、本市の農家と農業が守られ、発展していくと考えられますか。その見解を伺うものです。
本市の農業産出額は、平成18年度の資料しかありませんが、年間で71億円です。そのうち、米は29億円と4割を占めています。米作りが本市農業を支えています。
今回、国が打ち出したコメの生産調整の廃止方針は、米の需給や価格安定に対する国の責任を放棄するものにほかありません。農家経営の大規模化や大幅な生産コスト削減に結びつかない補助金制度を廃止するという財界の意向にそったものです。しかも、これは、TPPへの参加による関税撤廃、農産物輸入の一層の自由化を見越した方策でもあります。
生産調整の廃止による本市農業への影響について、明らかにしていただきたいと思います。
農業を基幹的産業として位置づけ、食料の自給率向上に向け、米の需要と供給に責任を持ち、農業の振興に努めなければなりません。それは、政治の責任です。
市長!小規模家族経営という特徴をいかし、農家が安心して農産物をつくることができるように振興策を進めること。そして、TPP交渉から即時撤退を国に求めるべきであります。市長の見解を伺いまして、私の質問を終わります。