2014年6月
金沢市議会6月定例月議会 一般質問
広田 みよ
質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の1人として質問を行います。
①就労支援事業
まずはじめに、就労支援事業についてです。
先月発表されました国の労働力調査によると、完全失業率は横ばい、正規雇用労働者は昨年の同時期と比較して58万人減少する一方で、非正規雇用労働者が100万人も増えています。有効求人倍率も多少あがったとは言え、正社員に対する倍率は1をはるかに下回り低いままです。非正規雇用は労働者全体の3分の1を超え、過去最高の水準で、特に若者の2人に1人、女性では3人に2人は非正規雇用という低賃金・不安定な状況です。正社員であっても異常な長時間労働を強いられるなど、労働者は心身ともに疲弊しています。石川や金沢も数字は違えど、深刻な状況です。
●市長は全国的なこのような現状で、本市の今の就職難や雇用環境の悪化の原因をどうとらえ、解決するためにはどのような対策が必要だと考えているか。お考えを伺います。
●今回、「雇用拡大・賃上げ促進」という目的をかかげた国の「地域人づくり事業費」を使い、本市でも若者や女性等の就労支援を行う予算案が組まれました。
内容を見ますと、スキルアップや、即戦力としての、人材を育てることに重きが置かれているように見えます。就労支援においてスキルアップもたしかに大事ですが、そもそも未就職の方々に能力や資格がないから仕事に就けない、というわけではなく、安定した仕事を求めても、正規の求人倍率が低い現状であること。またブラック企業などと言われるように、会社間の過当競争の中で労働者が無法に働かされ、心身ともに疲れてやめざるをえない、やめさせられるということが横行している現状だという認識が必要です。
よって、就労支援が活きるには、就労支援だけではなく、はたらき口が必要で、それは将来にわたり安定した賃金が得られ、労働者の働きやすい場所であることが重要です。
市長!市内の企業に対して、非正規から正規への転換を支援したり、余裕のある会社は雇用を増やすよう働きかけるなどの職場の確保、そして労働法制の周知や、妊娠・出産した女性も職場で活躍できるよう、本市としても取り組む必要があると考えますがいかがですか。
●とは言え、中小企業は大変です。中小企業については、競争力をつけることができる会社だけを支援して淘汰をはかるのではなく、地元で地域や住民に向き合い必死でがんばっている企業を応援する姿勢こそ、ひいては地域の就労の場所となり地域経済活性化にもつながると考えますが市長の見解を伺います。
●そして、今回本市が提案した就労支援はそのどれもがその方の人生に携わる事業ですから、丁寧に行うべきですし、特にひきこもりの若者などには、きめ細かい対応が必要です。
先日、石川県が行っている、若者サポートステーションに行ってお話を伺ってきました。そこではまず、親御さんにあなたたちの時代と今とでは雇用環境が違う、仕事につけないのはお子さんの責任ではないし親御さんの責任でもないことをご説明をするそうです。心理相談員などのカウンセリングもあり、各々の対応が必要だといいます。
心配をかかえる親御さん、悩んでいる若者にいかに寄り添うかが問われます。
この事業に限らず、本市が取り組む就労支援事業に関しては、市が積極的に関与することはもちろんですが、委託する事業者や関わる方々についての選定にあたって、社会的な背景を理解し、悩んでいる若者や女性、失業者に寄り添う視点をもちあわせており、当事者に寄り添ってきた実績をもった方々を、適正な審査で選ぶべきと考えますがいかがですか。
●そして、このような自治体や企業の努力が報われなくするような国の労働政策の改悪は決して許されません。今安倍政権が打ち出している、残業代ゼロ、地域限定正社員、永久に派遣社員にできるという改悪では本市の労働者、ひいては地域経済を守ることができないと考えますが、市長の認識をお聞かせください。
②子ども子育て支援新制度
次に、子ども子育て支援新制度についてです。
●保育園や幼稚園の仕組みが大きく変わるこの新制度について、国ではまだ問題点も指摘されながら議論が続いています。それでも市町村は10月に行う来年度の申し込みまでに国の省令をもとに条例化する予定と聞いています。残された時間はわずかですが、拙速に議論を進めるのではなく、現場や保護者に知らせ、あがってきた声を十分に吸い上げ議論を尽くすことが子どもたちの安全のために必要です。
●そのために行ったニーズ調査の結果分析について伺います。全国水準を上回る働く女性の増加や、駅西や南部・西部の児童数が多いと言われている地域偏在のこと、今年度160名が希望の保育所に入所できなかったことを踏まえ、このニーズ調査をどのように分析・活用し、制度について周知していくのでしょうか。
新制度を視野に入れたところから事業計画を立てるのではなく、まずは既存の認可保育園を基本にすえ考えるべきですがいかがですか。
○次に条例化の中身について伺います。
●現在、国から基準が示されたものとして「幼保連携認定こども園の設備や運営基準」について、特に議論がされていると聞いています。この場でも何度も、市長の答弁において「新制度で金沢市の保育水準は引き下げない」という確認をしてきていますが、認定こども園の場合も本市が条例化するうえでは、子どもの安全安心のために責任を果たすべきです。施設の面積基準や保育士の配置基準、給食などについて、本市の水準を下げることのないよう再度求めますがいかがですか。
○また保護者からの要望について条例化にどう取り組むのか伺います。
●要望の中でも特に多いのが、育児休業時の対応です。2番目のお子さんが生まれ育児休業を取得した場合に、上の子が3歳以上児でなければ、退所をしなければいけないという厳しい決まりがあります。全国的にみても本市は特に厳しいと聞いています。このこともぜひ緩和する方向で制度づくりをすることが女性が働きながら産み育てることの支援につながると考えますがいかがですか。
●学童保育について
学童保育についても新制度の議論の対象です。
まずは、開所時間の延長については、今年度国からの補助が示されたのにも関わらず本市から現場には提案がなかったことに対し疑問の声があがっています。新制度に移行するうえでは、開所時間の延長は大事な議論となります。現場の声を聴きながら補助金創設の検討も含め進めていくべきと考えますがいかがですか。
●また、小6のお子さんまで受け入れる方針が示されましたが、事業者任せにせず、増設の促進や施設整備について補助の改善は行われるべきですし、かねてから運営側のみなさんが切望している耐震化への補助も強めるべきと考えますがいかがでしょうか。
③ 市営住宅
続いて市営住宅についてです。ファミリー層が多い時代から移り変わり、ご高齢者や外国の方の増加、経済的に困窮している世帯など多種多様な方々が混在している市営住宅。コミュニティを形成するうえでご苦労を抱える団地が多いのが現状です。
例えば、外国の方が割合として多い団地では、言葉や文化、生活習慣の違いなどにより、結果としてゴミだしルールなどの徹底が難しいと聞いています。町会長はじめ役員の方々は精一杯、ご説明をしたり、誤って出されたゴミに対して分別などを日々行っている状況ですが、根本的な解決にはいたっていません。
まずはそのような現状について、本市はどのように受け止めておられるのか伺います。
そして、改めて公営住宅という視点に立ち返り、建てたら終わりではなく、そこに暮らす人々のくらしや困難に寄り添う責務が本市にはあるんだということを確認したいと思います。住民任せではなく、地域コミュニティをどう形成していくのか、今一度他部署とも連携し、支援策に取り組むべきですが市長のお考えを伺います。
④学校教育
次に学校教育について数点質問いたします。
●まずは統廃合や移転についてです。
「味噌蔵町小学校と材木町小学校の統廃合校を小将町中学校の校舎へ移転し、小将町中学校を中央地区へ移設する」という説明がはじめに材木小学校の育友会でなされたという報道がありました。またしても新たな提案で、しかも今度は中学校区のステージも加わり、地域の方々はじめ保護者も驚いています。パズルとしては都合よくできているのですが、地域の拠点として学校を見れば、小学校と中学校、そして地域的にもステージの異なる提案で前代未聞です。まずはどのような経過でこの案が出てきたのかご説明ください。
●味噌蔵町小学校と材木町小学校の統合については、平成22年学校の規模適正化の話が出てからの長年の懸案事項です。しかし未だ、統合についてさえも両校・育友会・地域の正式な合意が得られたわけではありません。
決まってもいないのに、建物や場所については複数の案が教育委員会側から示され、住民は翻弄されています。
しかし忘れてならないのは、このふたつの小学校が抱えている最大の課題は、子どもたちの命と安全を守るための耐震化です。急ぐべき課題である耐震化と、時間をかけて議論されるべき課題である統廃合。このふたつの課題が一緒に論じられてきたことが、地域や保護者の判断を混乱させてきたのではないでしょうか。そして両校とも耐震化するのはもったいないから急いで統廃合もすすめるというのでは、住民は納得できません。
地域にあった学校をそのときの気分感情でなくしてしまっていいのか。子どもたちにとっての教育や地域にとっての学校はどうあるべきなのか。
まずは住民がじっくり考える場を提供することが教育委員会の役割であり、まちなかの活性化、定住促進をすすめようとする本市行政です。
例えば、いったん両校とも耐震化を済ませてしまってから考えることも選択肢のひとつとも言えるのです。
今回の提案では、ひとつの小学校とひとつの中学校、あわせてふたつの学校が兼六園下の地域から消えるという学校だけの問題でない地域のまちづくりにとっても大きな問題です。小将町中に通っていた子どもたちはどうなるのか、中央地区の中学校はどんな中学校になるのか。さまざまな声がいっぺんにあがっています。
保護者に説明をしたことが新聞で大きな記事となり、さも決まったかのように進んでいくようなやり方では住民はついていけませんし、建物ありきの議論では後々禍根を残します。効率や予算ばかりを強調し、子どもたちの教育や安全、地域づくり、まちづくりを後回しにするような統廃合や移転のやり方は改めるべきと考えますがいかがですか。
●小中一貫教育について
次に「小中一貫教育」についておたずねします。
まずは、本市が25度から全市一斉で本格的にすすめている小中一貫教育の現状と今後の進め方について伺います。
小中一貫教育は、中1ギャップを減らすためと言われて取り組まれた「小中連携」とは質が異なり、9年間を一体として捉えたもので、教育課程や組織そのものを大きく変えてしまうものです。
そして文科省では先頃、小中一貫教育からさらに、「小中一貫校を制度化して自治体に権限を与える」方針を固めました。
わが党は、小中連携については小学校と中学校のかけはしとなる取り組みで反対をするものではありません。しかし安倍政権の教育再生会議の流れを汲む小中一貫教育は、学校の序列化や早期のうちにエリートを選別し大企業に役立つ人材を育てる目的、統廃合など効率化や予算を減らすためのものです。各地で反対の声もあがっています。このような小中一貫教育および小中一貫校にはわが党では反対です。
●小中連携とはかけ離れた安倍政権の教育再生に向けた小中一貫教育や小中一貫校について本市ではどのように認識しているのか見解を伺います。
●わが党は、どの子にも豊かな成長をめざしこどもたちひとり一人が生きる力を身につけるための楽しい学校づくりをすすめることを願っています。そのために大事な予算を小中一貫教育にまつわる事業や一貫校など大規模校の建設にさくのではなく、今現在、現場や保護者からも求められている少人数学級の実現や耐震化、正規の教師を増やす方へ傾けるよう提案をしていますが、市長と教育長の見解を伺います。
●さいごに小立野小学校で起こった侵入事件についてです。
被害に遭われた子どもたちのことを思うと胸が痛みますし、犯人を取り押さえられた保護者のみなさまには敬意を表します。
わたしも連絡を受けたあとかけつけましたが、運動会は続行されている傍らで、マスコミ報道関係が敷地にはいりこみ、カメラをまわし、保護者が取材に応じているというなんともいびつな状態でした。校長先生が毅然と運動会を終わらせたあと、話を聴いて回ると、事件現場から離れた場所にいた教師や保護者、子どもはなにが起きたのかも知らないままだったこともわかりました。今回、運動会などイベント最中の危機管理体制やマニュアルは有効に働いたのか、対応は適切だったのか。など、どのような総括をされ、今後、子どもの命と安全を守る取り組みにいかすのか伺います。
●ちょうど翌日は教育委員会の定例会議でしたので、わたしも傍聴させていただきました。委員さんからこの事件について「このことで地域から学校を閉ざす方向ではなくむしろ、いっそう地域と連携することが必要だ」というようなことが語られたのが印象的です。開けた学校と防犯は相反する課題ですが、だからと言って閉ざせば問題が解決するわけではありません。わたしは、地域にお住いの方々みなさまが他者や自分を傷つけようというベクトルへ向かないような社会づくりに今一度目をむける必要があると考えますし、このような危機を学校だけでなく子どものいのち、心身を守る安全な学校づくりをすすめるために、学校、保護者、地域住民が共同して取り組んで行くことが大切と感じますが教育長のお考えを伺います。
再質問
統廃合の件で、再度質問致します。
昨日の答弁で、学校の耐震化率は今年度で88.4%となることが報告されました。しかし、全国的には92.5%であり、石川県でも90%を超えてるわけです。金沢市の耐震化の遅れの要因のひとつにこの統廃合が絡んでいます。今、1番優先すべきはお子さまの命と安全であることは言うまでもなく、統廃合よりも耐震化をまずはすすめていくという方針を教育行政としてもそうですし、本市の行政としても舵を切る必要があるのではないかと思いますが、教育長と市長に再度伺いたいと思います。