金沢市議会6月定例月議会 一般質問
升 きよみ
幾つかお尋ねします。
質問の第1点、
先ずは、市長に、公務員の倫理規程と政治倫理に関して伺います。
近年、政府与党は「行政改革」の名で公務員バッシングをしながら人員削減を進め、一方、天下りや政官業癒着を強める施策をとってきております。我党は政官業の癒着を許さず、公務員制度の民主的改革に向けて努力しているところです。
ところで、市民の方々からよく「このごろ社会もおかしいが、範となすべき、公務員や政治家の倫理はどうなっているのか」と政治不信をいだかせる様な言葉がしょっちゅう寄せられます。そこに、今議会開会中の11日、職務中にて、市職員担当課長補佐の盗撮事件が生じた事、残念の極み。市長就任以来こうした職員不祥事は過去最多ではありませんか。全く市民に言い訳のつかない事態です。あらためて私は、公務員倫理法や政治倫理とは何ぞや、自らも堅持すべき立場から、その内容をひもといてみました。
公務に当たる職員や政治家が当然持つべき規範や道徳が、真に守られているのか、この際、議会人として又、公務にあたる人達にとって、もう一度、国家公務員倫理法や規程を読み返す必要があると思いました。勿論、地方公共団体の首長、議会議員、又、地方公共団体及び特定地方独立行政法人もこの法律の規定にもとづき適用されるもので、地方公務員の職務に係る倫理の保持のために、努めなければならないとしております。
それには、
一、職員は、国民全体の奉仕者であり、国民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について、国民の一部に対してのみ有利な取り扱いを……してはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならないこと。
一、職員は常に公私の別を明らかにし、いやしくもその職務や地位を、自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならないこと。
一、職員は法律により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならないこと。
一、職員は勤務時間外においても、自らの行動が公務の信用に影響を与えることを常に認識して行動しなければならないこと。
となっております。
そして、これを犯した者には、当然罰則処分があります。
市長!職員の人事管理のトップである市長は、この倫理法、倫理規程をどのように認識され、日々職務に専念され又、市職員に指導・教育されておられますか。再発防止にあたり、今問われているのは市職員の指導監督の前に、市長自身が自ら襟を糾すことではありませんか。それなくして綱紀粛正はありえません。
それは、今議会でも糾されましたが、競輪場外車券売場計画をめぐる市長の同意文書押印問題の件に対する処置です。
この問題が、あたかも過去の決着済みの問題の様に、市長はお思いかもしれませんが、市民には古くて新しい問題であり、「次の選挙での判断を」と言って終わる訳にはいきません。
市長は、真摯に反省もし、丁寧に説明したとおっしゃっていますが、それでは市職員にも示しがつきません。どんなに取り繕っても、自らの立場を忘れ、一部の利益団体に便宜供与を図り、署名押印した文書まで渡し、「軽率だった」と済まされるものではなく、倫理規程からみても当然処分の対象となるのではありませんか。率直に言って、この間市長は、自らその反省を形に表されるのかと思っておりましたが、それすら無く、平然とされていることに甚だ疑問を感じます。
市長!市職員に行動規範を求めるには、自らを厳しく律し、高い倫理観をもって行動する事です。市長!真に反省があるなら、どの様に責任をとられ、ケジメをつけられるかを、市民の前に明らかにして下さい。
ところで、政治倫理に関して、私達議員の側にも、あらためて考えねばならない、いや、律しなければならないとの思いを強くします。かつて13年前、業者に設計価格を教えたことで、本市同僚議員が入札妨害事件により逮捕されるという重大事件がありました。議会まで捜査となるなど、その衝撃は尋常なものではありませんでした。その痛恨の思いから政・官・業の癒着を断ち再発防止をすすめるため、本市議会は、政治倫理要綱を制定しました。その倫理要綱と共に、既に議会は、官工事の請負等に係る議員の関与を排除する決議を行っています。それには市民の負託を受けた議員が、より公正な立場で市政の運営に当たると共に、「金沢市との請負契約等に関して」疑惑を招かないようにするためにも、議員等に係る契約締結に直接関与しないことを確かめ合うものとしております。
すなわち、金沢市議会は議員本人または、議員の身内が経営する企業が、市との請負、物品の購入、業務の委託等に係る契約に直接関与しない事を申し合わせ、もって、より清潔な議員活動を行い、尚一層市民の負託に応えていく事を表明するものであると決議したのです。
先日、地元紙で(舗装)業者の方々が寄付をされ、その足で、入札参加資格の緩和を求める要望をされている報道がありました。街でわずかな景品で健康器具や商品等を買わされたとする、おとり商法が消費者泣かせと問題になっていましたが、それにも類した行為の様に見受けられ、そこに同席された議員がいらっしゃったことに、なんとも淋しい思いをしたのは、私一人でしょうか。住民の要求要望を行政当局に届けるならとも角、公共工事の発注への関与や、特定の企業等への便宜供与、まして、議員の家族が関与する企業の簡易工事の発注などは、厳に慎むべき行為と思います。
市長、少なくとも本市はこうした議員への発注や便宜供与はされていないでしょうね。
市長!当時要綱策定の際、議員でしたから、御記憶にあろうかと思いますが、不祥事の再発防止・信頼回復へ向けた決議を含めて、あらためて市長の所感をお伺いするものです。
(質問の第2) 公共事業の入札・発注に関して伺います。
①本市の公共事業の実施率は、国の目標値を上回り、順次それらの入札が進められていますが、昨年度の公共事業の平均落札率は90.86%、最低制限価格での落札は、約3割です。予定価格に対して下限である最低制限価格ぴったりでの落札が前年の22件に対し、その10倍の222件にのぼる等、激しい低価格競争となっていました。そして、抽選は、前年度が14件であったものが、昨年度は127件となり、また入札不調は31件となっております。この入札不調は、全国平均からみて少ないとはいえ、増加傾向にあり、そして、本年に入って、1件、さる5月の鞍月小学校増改築建設工事の入札不調があります。業者全てが「辞退」と電子入札に記載されており、予定価格は事前公表で、2億550万円でしたが、10日後の再入札では、予定価格を2290万円増額(11%アップ)、2億2840万円に変更し、従来の総合評価方式から一般競争入札に変えて実施されました。その結果、4共同企業体が応札し、最終的には2億2250万円で、宏州・フレックス共同企業体が落札となりした。
当局は資材価格の高騰や新学期までの完成を理由にして、早期に再入札を実施されましたが、余りにも早い対応に驚かされます。
最近の公共工事をめぐっては、安倍政権の建設バブルで人手不足と原材料高騰が影響して、受注者が決まらない。即ち入札不調となるケースが例年の2倍と言われ、国もその対応策の一つとして、原材料高騰、人件費アップを考慮する算定を見込んだ価格調整を図ることとしていますが、しかし、本市においては、不調の原因の充分な調査こそ必要ではありませんか。御回答を願います。その調査を通して、政府や関係方面に的確な働きかけができるものと思います。地域における技能労働者の減少が言われますが、実態はどうなっているのか。特に技能労働者の確保・育成が不可欠ですが、その対策への道も真剣に考えなければなりません。
労働単価の引き上げが、真に賃金引き上げに連なっているのか。必要とされる原材料価格との関係で妥当なのか。不調不落時の見積もりの徴収をするとか。いわゆる透明性の確保のために、第三者検証(入札評価委員会)の検証公表が必要と思いますが、それをなさいましたか。
②次に城北市民運動公園屋内プール建設工事の入札が「清水・大鉄・双建の共同企業体が46億4900万円で落札となりました。事前公表の予定価格は46億6500万円、実に99.7%の落札率です。もう一つの共同企業体は、50億2000万円で入札しましたが、予定価格を上回ったため無効となったのですが、辞退ではなく、無効となる事がわかっていながら、予定価格を上回る価格が記載されておりました。二つの業者が話し合ったのか、はたまた、その不満をメッセージにしたものなのか予定価格が低い事への対応だったのか。そうした疑惑に対し調査をされましたか。(断じて談合はなかったと言えますか)
③ともあれ、全国各地では、公正・公平であるべき入札が業者間の談合、議員や市職員等の関与など、様々な問題が起こっています。
本市にあっては、市民の税金で行われている公共事業・発注にあっては、いささかなりとも疑惑を招くことがないよう、厳正、公正な入札、契約制度とするために、どんな具体的改善策をお持ちですか。入札契約手続審査委員会会長の丸口副市長に御所見を伺います。
質問の第3点
介護保険制度と地域包括ケアシステムの推進基本構想についてです。
医療・介護総合確保推進法が国会で、昨日可決となりました。厚労省の法案提案の根拠が崩れる重大ミスの指摘がありましたが、自・公与党によって、介護保険制度の根幹を揺るがす歴史的な大改悪が行われたことに、改めて国民の怒りを買っております。特に、これまでも問題が指摘されておりました、サービスの利用制限や利用者負担増等について、地方自治体をはじめ、関係方面から政府に、その中止を求める声が強く上がっていた事は、周知のとおりです。
「何時でも、何処でも、誰もが利用できる介護保険」と言ってスタートした介護保険制度も、その歌い文句と全くかけ離れて制度改悪がもたらされることに、山野市長はこれまで、国に対し異論を唱えることなく、「国の指針に従っていきたい。」との立場表明をされてこられましたが、市長!
150万人以上の対象者の要支援1.2のサービス給付が削減され、年収280万円以上の所得のある人の利用料が2割に引き上がるとしているこの事態に、市民の医療や介護の充実を願う声に応え、市民に寄り添うなら、国にしっかり意見を申し上げ、改善方を求めることこそ必要なのではありませんか。
扨、今回の制度改正の主な点の、
一つに、要支援1.2の利用者の方の、介護保険本体の給付から訪問介護と通所介護を外し、対応するサービスについて、地域支援事業に移すことにしておりますが、現在の利用実態と今後の対応策についてお示し下さい。政府は、制度廃止に当たっては、現在給付している財源を新たに移すとしておりますが、財源的に手当てされるか、利用者の負担は如何なのか、事業者への給付も維持できるのか。そして廃止を平成27年度から3年以内と言っておりますが、それを本市の地域包括ケアシステム基本構想の介護保険事業計画の中に取り込まれていくのですか。ならば、地域における高齢者の生活支援・介護予防を進めていく柱に、ボランティア、NPO、民間企業等を主体に進めていく事にし、そのシステム構築まで、要支援1.2の介護外しはない、と明言すべきではありませんか。伺うものです。
二つに、通所介護の機能の改革として、特に定員10人以下の小規模型については、地域密着型サービスへ移行させ、今後新たな事業所開設については、保険者の管理下に置く。
三つに、特別養護老人ホームの入所対象者を原則要介護3以上にする等としております。
特養ホーム入所にあたって、認知症の方、要介護2以下の在宅生活が困難な方々への対応はどうなりますか。結局、特養建設を行わず、介護難民を生み出す事態が生じることになり、グループホームやサービス付き高齢者住宅、有料老人ホームはあっても、高い利用料負担となり、入所できません。
低年金の方々への対応策を含め、どの様にされるのですか。
地域密着型サービスとしての、認知症対応通所介護や小規模多機能居宅施設の利用実態と今後の方向も明らかにして下さい。
こうした要支援外しと共に、介護予防、地域包括による生活支援について、健康つくりの担い手づくりに、地域の互助と叫ばれておりますが、民生委員や町会、婦人会の方々からは「高齢化社会にあっては、コミュニティ活動の大切さ、見守りや声かけ、安否確認、等々自分たちの出来ることを進めることは当然ですが、なんでも民生委員や町会と住民互助にとどめず、行政の果たすべき役割があり、その対策の強化を求める声が多くあります。地域の身近な処でのサロン、買物、ゴミ出し支援など、多様な高齢者の生活支援をどうなさるおつもりか伺っておきます。
質問の第4点、
介護保険施設等の指導監督状況に関してです。
地方分権一括法により、平成24年より、これまで石川県が行っていた介護保険施設及び事業者に対する指導監督や指定取り消し等の措置権限が中核市に移譲され、本市もその対応をし、日々その業務に当たっておられます。
ところで、介護保険施設の整備状況は他都市より比較的良いと言っても、最も要求の強い年金収入に合わせて入居できる特別養護老人ホームの整備率は3.38%であり、入居希望者を満足させるものではありません。しかし、近年相次いでグループホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅等の介護施設や事業所が増加してきております。それだけに、市民からは安心して利用できる施設や内容を求め、期待をしているところです。
そこに3年前、株式会社ジェー・ティ・ピーが経営する介護保険事業所、清泉の宿の介護報酬の不正請求事件に衝撃を受けたのは、関係者のみならず、市民の多くでした。利用者の方が大変迷惑を蒙っただけにとどまらず、他の施設や事業所でも誤解等で少なからぬ影響が生じた声等聞かれました。介護事業所や施設では、今日、介護報酬の低さからくる介護現場の人手不足により諸矛盾が施設の経営圧迫や利用者へのサービスの低下を招く事態を作りだしております。だからと言ってそれに悪のりをする。不正を図ることとは別であり、不正は断じて許されません。
当局は指摘の対象施設の監査を行った結果、どの様に指導、改善が図られたのか。又、他の施設、事業所における指導監督実施の結果について公表をされるべきではありませんか。
そのおつもりがないか伺うものです。