「慰安婦問題」に関する適切な対応を求める意見書(案)への反対討論
日本共産党金沢市議会議員 広田みよ
ただいま上程されました議会議案第16号「慰安婦問題」に関する適切な対応を求める意見書案について、共産党市議員団を代表し、反対の立場で討論をいたします。
「河野談話」が焦点としているところは、「長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したこと」や「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」だけでなく、「官憲等が直接これに荷担したこともあった」ことを認め、「慰安所における生活は、強制的な状況の下で痛ましいものであった」と、「強制」性について指摘しています。そして、「いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である」とし、「政府は、この機会に改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦としてあまたの苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる」というものです。
日本軍「慰安婦」問題の最大の問題は、日本帝国主義の侵略戦争と植民地支配のもとで軍の統制・監督下におかれた「慰安所」で女性たちが多数の兵士の相手を強制させられたという軍「慰安所」における強制使役の事実そのものにあります。
このことこそ、女性の人権を無視し、じゅうりんした性奴隷制度にほかなりません。ここに国際社会から厳しく批判されている問題の核心があります。
「慰安婦」とされる過程についての一部報道に誤報があったからといって、日本軍がこの重大犯罪を犯したという事実を歴史から消し去ることはできないのです。
一部に「河野談話」を弱めたり、撤回しようという「河野談話」否定の議論がありますが、これは「慰安婦」問題の本質と実態を隠し、重大な戦争犯罪を行った勢力を免罪するものです。
そして、10月3日の衆議院予算委員会では菅官房長官が吉田証言について「他の証言と比較して信用性が低かったから河野談話に反映されてなかった」ことを述べ、安倍首相自身も認めています。「河野談話」が政府見解であることもあきらかです。
また、先週25日には、自民党も民主党も含む与野党の国会議員でつくる日韓議員連盟と韓日議員連盟は、ソウルで合同総会を開き、閉会総会で共同声明を全回一致で採択。日本側が「河野談話」と「村山談話」を継承することを再確認したと述べたうえで、議連として「談話の精神にふさわしい行動を取ることにした」と明記しました。
人間としての尊厳を踏みにじった歴史の真実に対して、「性奴隷」への加害の事実を認め被害者への謝罪、賠償の責任を果たすことこそ求めるべきで、国に「新たな談話」を求めることはふさわしくありません。
よって、この議案に賛成することはできません。
以上で討論を終わります。