9月議会質問
金沢市議会議員 大桑 はつえ
- 介護保険制度について
介護保険制度がスタートしてから15年が経過しました。「みんなで支える老後の安心」を合言葉に介護保険料を支払い、いざとなった時には公的介護保険制度で充分な介護が受けられるはずでした。
しかし、その実態はどうでしょうか。相次ぐ介護保険制度の改悪で、スタート時の方針はどこかへ消え、「保険料は死ぬまで払い続けても、なかなか必要なサービスが受けられない」というのが、国民や市民の声ではないでしょうか。
そして本年8月から開始されたさらなる改悪によって、介護保険制度発足以来、なんとか守られてきた定率1割負担の原則までをも崩されてしまいました。
本市では2割負担となった方は7月末の時点で2500名で、加入者の1割以上となっています。
わたしたち日本共産党は、大きな痛みを伴うこの改悪にはきっぱり反対し、誰もが安心して暮らせる仕組みをつくるべきだと主張しています。
さて、特養や老健などの介護施設に入居する、低所得者やショートステイなどを利用する方に対して、食費や部屋代の一定額を補てんする「補足給付」がありますが、今年8月からその対象要件が厳しくなりました。配偶者については世帯分離しても、戸籍上夫婦であれば、配偶者が住民税課税の場合は対象としない、低所得でも預貯金などが一定額あれば対象としない、という厳しい内容となっています。
預貯金調査については、タンス預金までをも含む、資産状況を申請書とともに通帳の写しなども併せ申告しなければならなくなりました。
本市の調査対象者は、4000名で、
そのうち現在3000名の申請が、されたところですが、当事者や関係者からは、不安や怒りの声があがっています。「預貯金の写しまで、提出するのはいやだ」という声、
「預貯金の中身を知られたくなかった」というのは、金額が多くても少なくても同様に出され、特に「貯金が少ないのを、周りの人に知られて情けない」という悲痛な声もあります。
預貯金の写しや、金融機関調査の同意書、までをも求め、高齢者の資産を調査するのは、個人情報の管理や、プライバシーを侵す点で、問題が大きいと考えますが、市長はどのように考えていますか?
そして、本人が認知症などで通帳の管理ができず、しかも頼る家族が近くにいないという場合は、施設職員やケアマネが通帳を預かり、本人に代わってコピーする、というようなことも起きていますが、これでは情報やプライバシーが守られませんし、のちのち、いらぬ誤解を生む可能性もあります。市はその現状に対してどのような指導と対策をとっていますか。
また、介護保険課でも、業務が増えていることかと思いますが、ケアマネなど、現場の方の事務量や、多大な負担に対してはどう対応しておられるのでしょうか。
そして、もう一点うかがいます。
国会において、私ども日本共産党の小池晃参議院議員が、この補足給付の資産調査についてとりあげました。「なぜ、生活保護の申請よりも、厳しい資産調査を行うのか」「本来、給付が受けられるはずの方が、申請断念に追い込まれる。これは、補足給付の水際作戦と言われても仕方がない、冷たいやり方であり、やめるべきだ」と迫りました。
これに対して塩崎厚労大臣は、「丁寧にやらなければならないというのはその通り」とし、「やむをえない事情で、書類提出が申請期限に間に合わなくても、補足給付対象者であると保険者が認める場合には、さかのぼって、補足給付を支給することが可能」と答弁。また「認知症などにより、自ら預貯金等の残高や、通帳の所在を確認できず、親族の助けも望めないと、保険者が認めた場合は、いったん支給決定しても差し支えない」ともしています。
そしてこの場合、後日預貯金などが上回っていても、不正の意図がない場合には、加算金の対象としないとしています。
本市では、これらの方にどのように対応されているのでしょうか。国会答弁通りされているのか、あきらかにしてください。
また、具体的に補足給付が、外された方への対応について伺います。
さきほど述べた3000名のうち、本市では現時点で、170名の方が給付を外されることになりました。
私へも、ご相談がありました。
介護度4で、夫と世帯分離をして、特養に入所している80代の方からです。
年金は月5000円程度しかもらえません。特養への支払いは月6万3000円ですが、他の施設に入所している夫とは、世帯分離となっていたため、今までは夫婦の年金内で、なんとか支払いができました。しかし、この改悪で補足給付の対象から外され、月の利用料は63000円から13万円にはね上がり、年間80万円もの負担増になります。当然年金からの支払いができなくなり、同居の子ども世帯も大きな不安を抱えております。
市長、これは特別な例ではありません。
これから、このような利用料金が支払えず、施設を退所せざるをえない高齢者、また、サービスの利用量を減らさざるを得ない高齢者も出てくるのではないでしょうか。こうした事態にどう対応されるのかあきらかにしてください。
- 国民健康保険料について
本市で国民健康保険料の算定方法が、住民税方式から旧ただし書き方式に変更されて3年目になります。
約6万4千世帯の加入者のうち、約4割に相当する2万4千世帯の保険料が引き上がっているところです。
今年度、一般世帯は、予定していた最高額に達し、また来年度は、障害のある方の世帯などが最高額に達します。住民税方式に比べると、2倍以上にもなるなど、保険料の負担が大きく、依然として払えない世帯があとをたちません。
私の許には「保険料を払いたくても払えない」という相談があいついでいます
夫婦2人と障害のあるお子さんと3人暮らしの自営業の方は、旧ただし書き方式への変更により保険料が年間35万円もの増加、増加率は223%です。
夫婦2人とお子さん2名の4人暮らしの、やはり自営業の方は月4万円だった保険料が、6万円に値上げになりました。消費税の増税もあり、どうやって払っていくか、頭をかかえています。
国民健康保険の加入者は、かつては自営業や農林水産業者が主でしたが、ここ十数年にわたる労働法制の改悪によって、派遣社員やアルバイト・パート従業員の方の加入も増え、若い方々の相談も増加しています。
誰もが払える保険料とすることが、今求められています。
本市にも減免制度があるのですが、失業や業績悪化で所得の減少した人などに限られ、恒常的な低所得の方が相談に行っても、窓口で「対象にならない」と言われ、なかなか使うことができません。障害者や母子家庭、多子世帯、世帯主や家族の病気、生活困窮者など特別な理由がある場合、細かく保険料を減額する条例を持ち運用している市、町もあります。
減免制度によって、「払いたくても払えない」という方は少なくなり、それが保険料の収納率の向上にもつながるはずです。保険料の収納率が上がれば、さらなる財源を捻出することも、可能ではないでしょうか。
市長、持続可能な制度とするため、本市独自の減免制度を拡充し、保険料を誰もが払えるようにするべきではないですか。市長の見解を伺います。
そして、高すぎる健康保険料を、納めきれない市民に対して、保険証を取り上げ、病院の窓口で全額支払いを求める資格証明書が、発行されている世帯は1200世帯です。
この間たびたび交渉を重ね、資格証明書を発行されていても、医療機関を受診すれば、短期保険証に切り替え、受診できるようになっています。
そして、国民皆保険制度のもとで、市町村は、加入者すべてに保険証を発行する責任があります。保険料を納付できない個別の事情をしっかり把握し、国民皆保険制度の理解を得て、保険料の納付と対策をすすめれば、資格証明書の発行は必要なくなります。
資格証明書の発行はやめて、国民健康保険証を加入者全員に渡すべきですが、見解をあきらかにしてください。
次に、国保の都道府県化について伺います。
平成30年から、国保の財政運営を都道府県に移管する改革案、いわゆる国民健康保険の都道府県化が、国会で可決をされています。
市町は医療費の見込み額をたて、市町ごとの納付金の額を決定し、県に納めることになります。都道府県が運営するといっても実務にあたるのは市町で、保険料の徴収は市町が引き続き行うことが想定されています。
県は市町に対して、一年間の決めた保険料の支払いを求め、市町は求められた分賦金を100%納めなければなりません。市町は不足する分を保険料に上乗せをする・県から示された賦課総額を高めに設定することになり、すなわち保険料を上げていくことにつながりかねません。
市町がこれまで以上に、収納を強化し、滞納に対する保険証の取り上げや、財産の差し押さえが、ひどくなるのではないか、という懸念があります。
保険料が現在よりも増えていき、市民は、医療費を減らすか、負担を増やすかの選択を求められ、とどまるところを知らない、医療費の削減政策が進められていく、といわれています。
国保の都道府県化に対して、本市はどのようにのぞむのか。見解をあきらかにしてください。
- 子ども新制度について
子ども・子育て支援新制度がはじまってから半年が経ちました。保育料の計算などにおいて、システムの構築が間に合わず手作業で行ったという他都市の話など、まだまだ本市の職員や現場での、混乱・業務負担の拡大が続いています。
10月には、すでに保育園や認定こども園などの、来年度の申し込みがはじまります。今年度のように兄弟バラバラになるのではないか、という心配をされる声もありますが、議会質問でも出されたように入所調整についてはどのように是正がされるのでしょうか。
また、本来なら認定こども園は直接契約であり、市が申し込み事務を行う立場にないのですが、国からは、市が保育園と一緒に入所調整を行うようにとされ、本市もそうしているところです。
しかし、そうすることで認定こども園と、保育園の違いがわからないまま利用者が申し込み、入所に至ることも予想されます。利用される方に、施設の違いをあきらかにしながら、入所調整を行うべきと考えますがいかがですか。
また、学童保育についてですが、新制度がはじまり、
19時以上の開所時間の延長について、人件費分が充当されることとなりました。保護者のニーズに応えるものとなっています。しかしながら、国の基準にはない土曜の時間延長について、現場からは土曜延長を要件にするのは人員的に厳しいのではないか、と声があがっていることをお伝えして最後の質問にうつります。
在宅育児家庭 通園保育モデル事業について伺います。県が国の事業にしたいと力を入れているものですが、今回、本市の補正予算に組まれた事業です。これは0歳から2歳児の、幼稚園も保育園も対象ではないお子さんや保護者のためにと、県が考え出した事業です。家庭でお子さんと二人きりで、悩みながらすごす親御さんにとっては、
支援となる事業です。
ただ問題は、既存の認定こども園に通園させるという点です。
今回は、定員に満たしていない園を、うけいれの対象にするということですが、たまたま定員を満たしていないため、その通園保育モデルのお子さんを受け入れたとしても、その後、年度の途中で保育の必要なお子さんが入りたいと思っても、定員がいっぱいで、入れないという事態が起きるかもしれません。そうしたときに、どう対処するのか。 また、保育士や園にとっても、午前中だけいて、しかも毎日は来ないお子さんに対し、うまく信頼関係を築き、安全に保育をすることができるのかも疑問です。見解を伺います。
基本的には、保育の必要なお子さんが、まずは保育園や認定こども園に入ることを保障する。そして、該当しないお子さんについては、金沢市のすすめる地域サロンや夢ステーション、一時預かりなどを活用することが望ましいのではないでしょうか。あきらかにしてください。
以上で質問を終わります。