私は、日本共産党市議員団を代表して討論を行います。
わが党は、上程された議案20件のうち、議案第12号、議案第14号、議案第15号、の議案3件について、反対であります。
その主な理由について述べます。
金沢駅西広場周辺歩行環境整備事業は、金沢駅西口広場横での外資系ホテルの建設と合わせ、その周辺で行なわれている事業であり、今回二つの工事請負の案件が提案されました。
この事業は、外資系ホテルが建設される周辺に於いて、鉄道路線に沿った市道路の一部廃止を予定し、ホテルに隣接する駅西広場を拡張するなど整備するものです。さらに、金沢駅西口への出入り口からこのホテル入り口までの163mにわたって、屋根付きで融雪装置を敷設した歩道を整備する。そして、その通路の途中に大屋根のシェルターを設置し、このホテルの周辺道路に新たに融雪装置を敷設するというものです。
これらの事業費は、総額約7億円にのぼります。
市長は、駅西区域に外資系ホテルを誘致することを打ち出しました。そして、東京に本社があるオリックス株式会社が、アメリカの企業で、世界的事業展開しているハイアット関連のホテルを建設する事業として進められてきました。
二つの建物が建設されます。地下1階地上14階の建物には、250室のホテル。もう一つは、地下1階地上15階で、長期滞在型ホテル90室とマンション114戸が建設され、共通部分には、商業施設、会議室などが予定され、開業は、2020年6月としています。
本市は、この事業のために、250台の駐車場として活用していた本市が所有する用地を安く業者に売却し、さらに、金沢駅西広場周辺歩行環境整備事業だとして広場を拡張し、屋根と融雪付きの歩道を整備、周辺道路に融雪装置の敷設など現時点で、約7億円の税金を投ずるとしています。さらに、今後、観光対策として、欧州の富裕層をターゲットとして誘致事業を推進するとしています。
建設される外資系ホテルのために様々な利便をはかり、税金を投ずることは、行政がやるべきことではありません。
議案第12号は、家庭的保育事業等に係るものです。
この家庭的保育事業等は、民間事業者が0歳から2歳児を対象に小規模で行う保育事業です。待機児童の解消とともに、過疎化が進み、保育機能の確保が困難な地域での普及をねらいとしています。しかし、果たして幼児の安全が確保できる施設であるのか。保育士を常時配置することができるのか。問題が指摘されています。保育を継続していく上で、連携施設の確保が大切です。法令改正で、5年までに確保しなければならないものが、10年に延長される等、保育の規制緩和がすすめられもので、この議案には反対です。
次に、請願についてです。
請願第1号マクロ経済スライドの実施中止を求める請願として、全日本年金者組合金沢支部の代表から提出されました。
公的年金だけでは不足し「老後に2000万円貯蓄が必要」との金融庁の報告書が老後への不安を広げています。そして、減り続ける年金の仕組みがマクロ経済スライドです。
安倍首相は、この仕組みの廃止は「ばかげた案」だと拒否し、その理由として、この制度を廃止するには、「7兆円の財源が必要」と述べました。国民が受け取るはずの年金が、マクロ経済スライドによって、7兆円規模で削減することを認めたことになります。これは、重大です。年金制度の安定どころか、7兆円も削減するとはとんでもありません。
減り続ける年金制度を中止し、低すぎる年金の底上げこそ行わなければなりません。そのためには、高額所得者優遇の保険料・給付の見直しで年金財政の収入を1兆円ふやす。約200兆円にのぼる年金積立金を活用する。何よりも、労働者の賃上げと正規雇用を増やすことで、保険料収入と加入者を増やし、年金財政を安定化させることが可能であり、その実行で、年金制度を充実させていくことこそ政治の責任です。
こうした立場から、この請願に賛成です。
陳情第1号金沢市の子ども医療費助成制度の拡充を求める陳情書で、新日本婦人の会金沢支部の代表から提出されました。
県内にある19の市と町で、この制度の対象が中学校卒業までとしているのは、本市だけとなりました。本市以外の県内の自治体では、18歳まで対象が拡充されています。
さらに、医療機関の窓口で、完全無料化が実施されていない自治体は、本市を含め、わずか4つの市です。
したがって、この陳情は、本市が他の自治体と比較して制度の内容が遅れていることから、一刻も早く、この制度の助成対象を18歳まで引き上げるとともに、医療機関の窓口での完全無料化を実施することを求めています。私どもは、賛成です。
請願第1号、陳情第1号、いずれも付託されました市民福祉常任委員会において不採択となりました。この不採択に対して反対するものです。以上で討論を終わります。