2019年度3月議会 最終補正予算・反対討論 森尾議員 3・17

私は、日本共産党市議員団を代表して討論を行います。

わが党は、上程された議案17件のうち、議案第122号令和元年度金沢市一般会計補正予算について、反対であります。

その主な理由について述べます。

学校教育施設ICT教育環境事業費

今回、大型の補正予算として計上された学校教育施設ICT教育環境整備事業費です。補正予算には、18億3000万円が国の補正予算に伴い、計上されました。内容は、児童生徒への一人一台学習用端末の配備に向けて、全小中学校及び市立工業高校で校内LAN環境の整備を前倒しする予算です。

文部科学省は、新学習指導要領で、「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けられたことや、学校でのICTを活用した学習活動の充実の明記を受け、GIGAスクール構想を打ち出しました。具体的には、2023年度までにすべての国公私立の小学校、中学校、特別支援学校の校内LANの整備と児童生徒一人に一台のPC端末の整備を一体的に進めるとして、国の補正予算で2318億円が計上されました。

なお、教育のICT化に向けた環境整備5ヶ年計画(2018年~2022年)に基づき、地方財政措置が単年度1805億円で進められています。したがって、この予算と合わせると予算規模は、4123億円と大規模なもので、一大国家プロジェクトとなっています。

教育のICT化は、より効果的な学習や、遠隔地、病児・特別支援教育などの学習環境整備などメリットがあるのは事実ですが、公教育への企業参入をいっそう進め、集団的な学びの軽視、教育の画一化につながる恐れがあるとの問題が指摘されています。

今、なぜ教育のICT化を急がなければならないのか。莫大な規模の予算を投ずる教育のICT化が最優先課題なのか。教育現場からも疑問の声が上がり、国民的な理解と合意がありません。

いじめをなくし、学校に通えない子どもへの取り組み、教師の長時間労働をなくす取り組みなど教育をめぐって、解決が求められる課題に直面しています。それだけに、教職員などを増員するための教育予算を抜本的に増やし、少人数学級など教育環境の整備が求められています。

したがって、こうした課題にこそ、優先して取り組まなければなりません。よって、わが党は、この予算に反対であります。

なお、第5世代移動通信システムと呼ばれる高速、大容量でリアルタイムの次世代通信が実用化されようとしています。新たな技術革新が進み、すぐに新しい機種や機能への対応が求められることになります。したがって、今後新しい導入の際に、地方自治体や保護者の負担が予想されるだけに慎重な検討が求められることを指摘しておきたいと思います。

金沢港建設事業費

補正予算の中で、金沢港建設事業費です。

この事業は、大浜岸壁では、大型船が着岸できるようにと水深10メートルから13メートルにするための改良事業としてすすめられています。この岸壁の横に大手企業のコマツが、大型土木機械の製造工場を建設し、中国や東南アジアへと製品を船で輸送することを打ち出しました。これに合わせて港の改良事業が打ち出されたものです。

事業費は、336億円が投入され、本市の負担は57億円にのぼっています。

また、金沢港にクルーズ船を誘致するとして無量寺岸壁改良事業が進められています。この事業費が63億円、施設整備などの合わせると104億円で、本市の負担が27億円にのぼります。合わせて金沢港建設事業費の総額は、440億円の規模となり、本市の負担は、84億円です。なお、新型コロナウイルスによる影響で次々にクルーズ船の入港が中止となり、この事業そのものが問われる事態となっています。

宿泊税にかかわる補正予算

次に、昨年4月から導入された宿泊税にかかわる補正予算です。

一カ月遅れで納入されることから、今年度は、11カ月予算となっていますが1億300万円が増え、今年度の宿泊税総額は、7億6300万円とです。

その内訳は、一人、一泊の宿泊料2万円未満の方から徴収される宿泊税が200円で、税収は、7億3869万円となり、全体の97%です。宿泊料2万円以上の方から徴収される宿泊税が500円で、税収は、2431万円となり全体の3%です。

宿泊税の導入をめぐって、ビジネスホテルや小規模の宿泊業者から一人一泊3000円や3500円の方から200円の宿泊税徴収はやめてほしいとの意見が寄せられました。

本市では、宿泊税が導入されていない周辺の自治体との価格競争から宿泊料金の引き下げを迫られる事態となっています。宿泊業者からは、廃業せざるを得ない事態に追い込まれているとの切実なご意見が、議会と市民との意見交換の中でも寄せられました。

また、特別徴収義務者として登録すると事務交付金が交付されますが、いまだ15%の方が登録していないことも業界関係者に十分理解を得られていないことを示しています。

税金の累進課税という考え方から、東京、大阪では、1万円や1万5千円未満の宿泊料金には、宿泊税を課税していません。また、京都市では、修学旅行生の宿泊料金には、課税しないこととしています。本市での改善が求められています。

なお、新型コロナウイルスによる影響で、宿泊者が大幅に減り、深刻な状況となっています。宿泊税の中止、減免などの対応が必要だと考えるものです。 以上で、討論を終わります。

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