2023年9月議会 一般質問 森尾議員(9月13日)

-森尾議員
 私は、日本共産党市議員団の一人として以下、質問いたします。
 最初の質問は、浅野川線・石川線の存続と公共交通をめぐる課題と対策について伺います。先の8月30日に行われた本市市長を含めた首長会議において、引き続き鉄道として浅野川線・石川線の存続が確認されたとのことです。これまでの議論の中で、鉄道存続の3つの方向が示されました。第一は、現行スキームの継続。第二に、上下分離方式により用地のみ自治体等へ譲渡した場合。第三に、上下分離方式により用地、線路、電路、車両、施設を自治体等へ譲渡した場合。この3つが想定されていましたが、いずれの方向が示されたのでしょうか。説明を求めます。

-村山市長
 先日の沿線自治体の首長会議では、特に厳しい状況に置かれている石川線について、鉄道としての存続か、またはBRT化するのかについて議論し、鉄道としての存続が合意されたものであります。どのような形態で存続するかについては、今後、沿線自治体や北陸鉄道と特定事業計画の策定作業を進める中で検討していくこととなります。

-森尾議員
 浅野川線・石川線を鉄道として存続した場合の自治体負担についてです。令和7年度~17年度の11年間にわたる自治体負担が示されました。国の補助率3分の1とした現行スキームの継続では、県、本市、白山市、野々市市、内灘町の自治体負担の合計は89億円です。一方、北陸鉄道は22億円の赤字との予想です。上下分離方式の場合の2つのケースでは、どのような負担が予想されますか。伺います。

-村山市長
 7月の法定協議会では、国の新たな支援制度を活用した場合の施設整備などに要する費用の試算が示されております。用地のみ自治体等へ譲渡する場合の自治体負担は約67億円。公設型上下分離の場合は約91億円となっております。一方で鉄道線の持続可能性を確保するためには、維持運営費や利便性向上策の支援が別途必要となるものと想定しております。そのことに対する行政のかかわり方については、特定事業計画策定に向けた議論に合わせて検討してまいります。

-森尾議員
 自治体負担が伴うだけに、それぞれの自治体の住民の理解と合意なくして進めることはできません。その点での努力を求めておきたいと思います。
 この議論の中で、今後の検討課題として、JR線へのアクセスや香林坊までの延伸などの意見が表明されたとのことです。金沢港から金沢駅、香林坊から片町、野町・有松までのLRT構想は、当面の課題としては遠のきました。野町から香林坊への軌道敷設可能性について、現段階で想定される課題について、見解を伺います。

-村山市長
 北陸本線への乗り入れや香林坊延伸については、石川線の公共交通としての存在価値を高める取り組みのうちで、中長期的な検討をする必要があるひとつの選択肢として示されたものであります。あわせて課題も提示されておりまして、犀川大橋には単線でしか軌道が敷設できないこと、あるいは軌道の敷設によって路線バスや一般車両の走行空間が制約を受けることなどが挙げられているところであります。課題につきましては、現時点で必ずしも解決策が見いだせていない論点もございますことから、沿線自治体などとの合意のもと、必要に応じて研究することになると考えています。

-森尾議員
 この項の最後に、ふらっとバスの拡充についてです。現在、市内中心部に4つのルートのふらっとバスが運行されています。駅西地区をはじめ、市内各地域からふらっとバス導入の要望が出されています。今後、検討会などを設置し、議論をはじめることが求められています。市長の見解を伺います。

-村山市長
 ふらっとバスについては、街中の公共交通不便地域を巡り高齢者等の生活の足となるとともに、来街者の移動手段にもなることで、中心市街地の活性化や自動車の流入抑制にも寄与しております。他方、街中以外の地域における公共交通不便地域では、住民の移動手段の確保という目的に特化し、地域の実情に応じた公共交通として地域運営交通の活用を促進しているところであります。ふらっとバスに関しての要望をたくさんいただいていることは承知しておりますけれども、限られた財源の中で、先に述べた考えのもとで、公共交通環境を整備・支援しているということをご理解いただければと思います。

-森尾議員
 ふらっとバスへの市民の要望にしっかり応えて、具体的な検討を進めることを強く求めておきたいと思います。
 質問の第二に、整備中の金沢スタジアムを視察し、その課題・対策について伺います。去る8月24日整備中の金沢スタジアムの見学会に参加いたしました。9月末には完成し、来年2月にはオープンするとのことですが、このスタジアムは未完成のままオープンしてしまうのかと危惧するものです。Jリーグスタジアム基準2023年度用では入場可能数について、J1は15,000人以上、J2は10,000人以上とのことです。現在、ツエーゲン金沢がかろうじてJ2に留まっています。金沢スタジアムは10,000人規模としてスタートし、5,000人のスタンドを追加するということです。したがって金沢スタジアムは未完成のスタジアムとしてスタートすることとなります。いったいなぜ、こうした未完成のスタジアム建設に至ったのか。伺います。

-村山市長
 ツエーゲン金沢は現在J2でございまして、10,000人規模のスタジアムで足りるという中でありますが、J1に昇格をした場合15,000人の収容能力が必要となります。その際、北側のスペースに観客席の増設を検討できるよう、限られたスペースと予算の中で、将来を見据え最も効果的なレイアウトとしたものであります。北側には現在、300席程度の立見席の設定が可能であります。アウェーサポーターエリアとすることも検討していることから、スタジアムの一体感を損なわないで運用できると考えております。

-森尾議員
 5,000人のスタンド増設計画の場所が空いたままとなっており、ここに大型ビジョンを設置するという計画です。したがって、スタジアムの一体感が損なわれています。アウェーチームのゴールポストの後ろにこの大型ビジョンが位置しています。シュートによる損壊の危険があります。また、ネットが低く、ボールが施設の外に出てしまわないか危惧されます。見解を伺います。

-東文化スポーツ局長
 大型映像装置につきましては、サッカーボールが当たった際の破損の可能性は低いと聞いております。またネットの高さが低いことは認識しており、ボールがネットを超えた場合は隣接するスポーツ交流広場などに落ちることから、利用者への注意喚起などの対策を検討していきたいと存じます。

-森尾議員
 観客席についてです。屋根付きのメインスタンドは約3,000席、バックスタンドが約5,000席、合計で8,000席は座席が整備されています。ところが、南スタンド約2,000席は立見席となっています。座席がありません。しかも鉄製のパイプとなっており、雨や雪の場合、冷たくて素手では触れません。サッカーの試合は1時間半から2時間に及びます。試合の最後までずっと立っていなければなりません。子どもたちは、選手のプレイを見ることが困難になることも予想されます。改善が必要だと考えますが、見解を伺います。

-東文化スポーツ局長
 ホームサポーターは試合中立ち上がって応援することから、座席の有効的な配置を検討する中で、南側のスタンドを立見席といたしました。また、立見席にはハーフタイム等の休憩時に座ること、腰掛けることができる手すりを設置するなど、利用者に配慮したスペースとしているものでございます。

-森尾議員
 もうひとつあります。バックススタンド側のグラウンド・ピッチと観客席との間に幅約4m、長さ119mにわたって通路があり、コンクリートのような固い素材で整備されています。選手とサポーターとの交流が行われることもあります。選手のスパイクに対応するためにも陸上競技場のグラウンド使用の素材にかえていただきたいと思います。見解を伺います。

-東文化スポーツ局長
 フィールド内のアスファルト舗装部分につきましては、金沢市サッカー協会からサッカー用具等を台車で運搬する際の舗装仕様の整備が必要とのご意見をいただきまして、ツエーゲン金沢とも協議したうえで設置したものであります。使用目的を考慮した場合、現状の仕様でも問題はないと考えております。

-森尾議員
 金沢スタジアムは、本体事業費として約82億2千万円を投じて建設される施設です。よって本市の施設であることから、本市が直接運営に責任を持つべきです。指定管理者制度を導入し第三者に任せるべきではありません。本市の責任を明確にすべきと考えます。市長の見解を伺います。

-村山市長
 本市では、地方自治法の「公の施設の管理に民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を図ることを目的とする」という趣旨を踏まえまして、公の施設の管理・運営は原則、指定管理者制度により行うこととしております。金沢スタジアムにつきましても他のスポーツ施設と同様、民間の創意工夫が発揮されやすい施設であると考えておりまして、この方針には変わりはありません。

-森尾議員
 金沢スタジアムが選手にとっても観客の方々にとっても安全・安心の施設として整備される必要があると考えていますし、問題点を指摘しました。並びに本議場でも、これからの運用にかかわる交通問題、周辺の環境問題など、重要な問題が提起されていると思っています。そして指定管理にかかわっても問題を提起しました。市長、さいごに、この施設について、市の施設なんです。しっかりした整備と運用方針を貫くと、責任は市長にあります。改めて見解を求めておきたいと思います。

-村山市長
 市として整備した金沢スタジアムであります。この運用にあたりましては遺漏のないよう指定管理者あるいは大会の実施者とともに考えていきたいというふうに思います。また民間の創意工夫が生かされて、より金沢市民に愛されるようなスタジアムとなるように、市としても努力をしていきたいというように思います。

-森尾議員
 質問の第三に、森本地区新保育所建設事業についてです。薬師谷、双葉、宮野保育所を廃止し、新しい保育所を塚崎町地内の森本こどもグラウンド地内に建設することを打ち出しました。市長は昨年の9月議会において、次のように説明されました。「森本地域の市立保育所の再整備は、土砂災害警戒区域にある立地を解消するとともに将来の保育需要を見据え、薬師谷、双葉、宮野を統合して、安全な場所で新たに建設する」と述べました。しかし、新しい保育所を建設する場所は安全な場所ではありません。予定地は森下川に近く、ハザードマップによると0.5mから3mの浸水被害地域にあります。市長の説明とは異なります。住民と議会に虚偽の説明をしたこととなりませんか。見解を求めます。

-村山市長
 新しい保育所の建設予定地は、浸水想定が1000年に1回の降雨で最大3mの区域にございます。2階建てであれば、避難階への浸水を回避できると判断いたしました。垂直避難により児童の安全を確保することに加え、地震や風水害などの災害が発生した場合は、救援基準に基づき救援等の措置をとることとしております。こどもたちの命・安全を最優先に取り組んでまいります。

-森尾議員
 この問題の指摘は、担当する委員会でもやり取りがあったと聞いています。そこで、市長の答弁には十分な説明がないと思いますので、改めて伺います。子ども未来局は、昨年6月15日市民福祉常任委員会において、新しい保育所の移転候補地として森本こどもグランドであることを報告しました。では市長に対して、この移転候補地が浸水被害想定地域にあることを伝えましたか。答弁をお願いします。

-藤木こども未来局長
 委員会報告の前に市長の方には報告をしております。

-森尾議員
 では市長に伺います。報告を受けたのが6月前。9月の議会で安全な場所だと言ったのはどういう真意なのですか。

-村山市長
 地域の近くに存在する土地の実情、そして浸水被害の状況について、それを回避するためにはどのようにすればよいかということも考えたうえで、立地が可能というふうに判断しました。

-森尾議員
 市長にもうひとつ。薬師谷保育所は不動寺小学校に隣接し、現在52名の子どもさんが通っています。双葉保育所は森本駅前商店街や近くの住宅街からなる吉原町に位置し、現在61名の子どもたちが通っています。宮野保育所は三谷小学校に隣接し、現在は利用する子どもさんがいないとのことですが、森本地区の山間部を形成する地域の文教施設の中心に位置しています。欠かすことができない施設となっています。森本地区が本市に編入する際に、森本地区の将来を見据え、保育所の設置と運営に本市が責任を持つということでこれまで運営されてきました。市長。こうした歴史的な経過と今回の方針について、地域住民にどのように説明されましたか。新しい保育所の役割や機能、さらには周辺の道路、雪対策など環境整備について、一体どのように説明されましたか。伺います。

-村山市長
 今回の保育所の統合再整備につきましては、森本地区町会長全員協議会からの要望を踏まえるとともに、保護者や地域の方々からは1日も早い保育所の開設とあわせて森本地区の活性化に期待する声も寄せられております。新しい保育所は森本地区を中心とした北部地区の子育て家庭を支援するため、保護者同士の交流や保育士による育児相談ができる環境を整備するなど、地域の子育て拠点施設としての機能も加えることとしています。また周辺道路につきましては除雪の対応を検討していることや、渋滞防止のために保護者の送迎ルートを指定するほか、十分な台数の駐車場を確保することなどを丁寧に説明してまいりました。

-森尾議員
 地域の方々、とりわけて移転先の周辺の方々は、十分な説明を受けて理解していない、様々な疑問や意見があるというふうに聞いています。こうした現状にしっかり向き合って対応を求めたいと思っています。同時に、私は改めて市長に伺いたいと思っているのですが、「将来の保育需要を見据えて」3つの保育所を廃止し、新しい保育所を建設すると市長は述べたんです。しかし振り返ってみると、森本地域の山間部の4つの小学校を廃止し、新しい三谷小学校を建設しました。次々に山間部の小学校廃校としてきました。市長。森本地区の人口減少と過疎化は住民に責任があるのですか。行政としてそこに住む住民の福祉向上に責任を果たさなければならないと考えます。地元スーパーが閉店に追い込まれ、地域交通も次々に廃止・縮小し、農協の統廃合が続き、農業の衰退が深刻となっています。森本地区への希望と未来へのビジョンが必要だと考えています。森本支所を拠点とする施設づくり、森本駅前でのまちづくりにあたって、図書館や複合的福祉施設、保育や介護などの施設づくりなど具体的提案が求められていると考えますが、市長の見解を伺います。

-村山市長
 今般の保育所あるいは小学校等の統合・再編につきましては、人口減少・少子高齢化が急速に進展する中にあって、こどもたちの適正な保育・教育環境を確保するために必要な取り組みであるというように考えております。一方で森本地区、特に森本駅近くの地域につきましては、金沢駅までのアクセスも非常に便利であり、そして公共交通を用いたこれからの社会にとって必要な地域であるというようにも思っております。森本地区などの郊外部を含む地域の活性化についてという大きな括りで申し上げると、移住の促進や関係人口の増加に取り組むとともに、民間事業者や高等教育機関、学生・若い世代の視点や活力を生かしたまちづくりを進めるということで、活力ある地域の未来を創っていきたいと考えております。今般提言を受けた新たな都市像の中でも、その基本方針の中で人と活力の還流による地域の再生、あるいは跡地等の有効活用も掲げられております。今後策定する行動計画の中でそうした視点も反映してまいりたいと考えております。

-森尾議員
 質問の最後に、水道施設再整備基本構想と民営化について伺います。本市企業局は人口減少社会をみすえ、今後の水道施設再整備基本構想について、この12月までには打ち出そうとしています。そこで、本市の水道事業の現状と課題について伺いたいと思います。本市水道事業の水源は、末・犀川浄水場での自己水と手取ダムからの県水を額配水場で受水し、利用しています。ところが、末・犀川浄水場では、一日20万5千トンの配水量の能力がありながら、30%しか使われていません。なぜ、こうした事態となったのか伺います。

-松田公営企業管理者
 本市の水道水でございますが、末浄水場と犀川浄水場、県営水道によってまかなっておりまして、このうち責任水量制により受水量が決まっている県営水道分を除きますと、昨年度の浄水場の平均稼働率は37%で、最大稼働率は74%でございました。節水機器の普及などから年々水道の使用料が減少していることが、平均稼働率が低くなっている理由であると考えております。

-森尾議員
 県水受水を始めた昭和55年度を見ますと、ほとんどが自己水でまかなわれていたものが、現況は半分半分になりました。この原因は、自己水の単価に比べ4倍も高い県水を膨大に受け入れ、安くておいしい自己水を減らし続け、市民が利用している水の半分が自己水、半分が県水となったわけです。その上に、この県水受水契約により県水受水量が膨大な上に、その6割を支払うという責任水量制が今日の時代を生んでまいりました。これからどうなるか。仮に県水受水契約が変更されないとすると、8年後(令和17年)には自己水が2割、県水が8割という事態になろうかと思います。本市企業局は、本市水道事業について、県水を基軸としていかれるのですか。それとも、末・犀川浄水場の自己水を引き続き重要な水源として位置付けていくのか。見解を伺います。

-松田公営企業管理者
 まず県営水道のことですけれども、これまで他の受水市・町と連携し、県に対しまして機会あるごとに受水負担の軽減を求めており、その成果として受水単価や責任水量の引き下げが行われたほか、平成8年度以降、1日最大受水水量、いわゆる協定水量ですが、この引き上げは凍結されております。今令和2年度の数値が出ておりますけれども、これは凍結された、変更になった後の数値でございます。今後とも他の受水市・町と連携を図り、さらなる受水軽減の要望を継続して行ってまいりたいと思います。加えまして、この夏の犀川ダムの貯水量の大幅な減少がございました。報道等にもございました。これを踏まえますと、改めて県営水道の必要性を認識したところでございます。現在策定しております水道施設再整備基本構想におきましては、災害等のリスク、それから今年の夏のような状況、こういったことに備える観点から、引き続き末浄水場・犀川浄水場、県営水道の3水源を確保するとともに、人口減少社会の進行を見据えた水需要予測に基づき、施設規模の適正化を図っていきたいと考えております。

-森尾議員
 平成8年から9年にかけて本市の「水道地震対策計画策定調査」が実施されました。27年前です。震度6の地震が発生した場合を想定し、耐震一次診断では「末浄水場は壊滅的打撃をこうむる」とし、末浄水場は機能停止するとの判断がされました。その結果、緩速ろ過施設は、耐震化事業から除外されてきました。本市企業局は、緩速ろ過施設についてどのように耐震化されるのか、伺っておきたいと思います。

-松田公営企業管理者
 末浄水場の緩速ろ過施設は、建設より92年以上が経過しております。水道地震対策計画におきましても、耐震化ではなく更新することが適当と判断されたものでございます。一方で、平成13年に登録有形文化財に登録され、平成22年には国指定名勝に指定されております。こうしたことから、大規模の改変には文化庁の許可が必要であり、また著しい外観の変更は文化的価値を損ねる恐れがありますことから、現在策定しております水道施設再整備基本構想におきまして今後の方向性を検討することとしております。

-森尾議員
 末浄水場には急速ろ過と緩速ろ過の施設がございます。この緩速ろ過が極めて重要な施設として、平成22年に国の名勝に指定されました。緩速ろ過施設は、薬品に頼らない浄水機能を持つ施設として歴史的・文化的価値あるということで、本市の誇るべき場所となっています。では市長に伺いたいと思いますが、これを引き続き本市として守っていくという基本方針が、平成22年に名勝に指定され、翌年3月に本市と本市企業局が末浄水場園地の保存管理計画書を作成しました。ここに、本市としてこの施設は守っていくんだということが示されたと思います。では、末浄水場一帯の価値保全と浄水施設機能の調和をどのように進めていくかということになろうかと思います。現状の変更は認めないというのがこの計画書の基本方針ですが、浄水施設の機能維持・向上を目的とした行為は認めるものとしています。末浄水場の緩速ろ過施設を更新することと、この保存管理計画との調整はどのように考えていらっしゃるのか伺います。

-村山市長
 末浄水場園地保存管理計画の中では、抜本的な修理を行う際には名勝としての価値を損なわないように行うとしています。これに基づいて現在策定している水道施設再整備基本構想におきまして、今後の方向性を検討してまいります。

-森尾議員
 この末浄水場の緩速ろ過施設を象徴するように、本市企業局はおいしい金沢の水を象徴するペットボトル『金沢の水』を製造販売されてきました。本市企業局は、販売減少を理由にこの『金沢の水』の製造販売を打ち切るということを表明しました。おいしい金沢の水を内外にアピールする、そして末浄水場の緩速ろ過の施設が極めて重要な施設だということをアピールするためにも、この『金沢の水』を存続することこそ、企業局は果たすべきではないでしょうか。伺います。

-松田公営企業管理者
 昨今のプラスチックごみ問題、それから本市が推進するゼロカーボンシティかなざわに向けた取り組みなど、事業を取り巻く環境が大きく変化してきたこと、また販売本数がピーク時の2割程度まで減少している現状を踏まえまして、今回販売を終了することとしたものでございます。ご理解を賜りたいと存じます。

-森尾議員
 ペットボトル『金沢の水』は本市のおいしい水を象徴するものとして好評をいただいてきたと聞いています。市内のホテル・スーパーでの利用が7割近くを占め、市役所本庁舎、企業局庁舎での自動販売機でも好評いただいていると聞いています。本市と企業局が協同し、その利用と活用を今後とも積極的に行う方向こそ必要だと考えます。その知恵と方向性を企業局として集めて検討すすめるべきだと思いますが、再度伺います。

-松田公営企業管理者
 今ほどおっしゃられましたように、宿泊施設等でウェルカムドリンクとして活用していただいておりました施設がございました。そういった、たくさん利用していただいていた施設につきましては、職員が1件1件すべて回りまして、回ったうえで、これまでのご利用に深く感謝を申し上げますとともに、先ほど説明しましたように今回廃止に至りました事情を説明したうえでご理解を賜ったところでございます。繰り返しになりますが、昨今のプラスチックごみ問題や本市が推進するゼロカーボンシティかなざわに向けた取り組みなど、取り巻く環境が大きく変化しております。そうしたことを踏まえての廃止ということをご理解いただきたいと思います。

-森尾議員
 おいしい水の活用を、ぜひ知恵を集め工夫もし、取り組んでいただきたいと思っています。
 県水は、本市をはじめ9市4町に対し水需要にあわせ、一日24万4千トンを供給するとして施設整備が行われてきました。本市は、水道施設再整備基本構想の内容として、県水について利用している周辺の自治体との共同利用・運営を進めることは検討されているんですか。また、施設管理と運営について、民間企業への委託化ということも検討しているんでしょうか。伺います。

-松田公営企業管理者
 広域化ということに関しましては、現在石川中央都市圏の4市2町におきまして上下水道事業広域連携推進協議会を設置し、これまで合同災害訓練や広域職員の研修の実施、給排水設備施工業者指定等事務の一元化など、経営基盤の強化に向けた取り組みを進めてきたところでございます。ただご指摘のありました県水受水の9市4町による共同利用や運営、施設管理における指定管理者制度の導入や民間への業務委託につきましては考えてはおりません。

-森尾議員
 市長に最後に伺います。今年3月議会で私の質問に対し「水道事業の民営化については考えてはおりません」と答弁されました。現在の企業局による水道事業を継続していくとの見解だと受け止めております。改めて、その見解は変わらないか、伺っておきたいと思います。

-村山市長
 水道事業の民営化は考えておりません。

-森尾議員
 以上で質問を終わります。

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