日本共産党市議員団を代表して、議会議案第27号 高等教育の無償化に向けた取組を求める意見書について、提案理由説明をおこないます。
いま大学の学費が国立大学、私立大学を問わず値上げされようとしており、学生の学ぶ権利が脅かされています。日本経済新聞社の全国国公私立大学の大学長を対象に実施した調査では、2025年度以降の授業料引き上げについて、536校のうち4割にのぼる215校が、すでに引き上げを実施したか検討中であると回答しています。
私立大学の納付金は平均約148万円、国立大学でも約82万円となっており、今でさえ世界と比較し、高い日本の大学学費が値上げされれば、すでにアルバイトと奨学金で学業と生活をやりくりしている学生とその家族は、さらなる負担を強いられます。
欧州の国々では、学生の学びで利益を受けるのは社会全体であり、社会が費用を負担するのは当たり前と考え、教育費が無償化されています。その一方で日本は「受益者負担」が根強く、高等教育予算はOECDの中でも長期にわたり最低水準であり、国立大の授業料への公的負担の割合は32%と、OECD加盟36カ国中ワースト2位となっています。
9月、東京大学が年間約11万円の授業料値上げを発表しました。大学が学費値上げに踏み切らざるを得ない原因は、大学ではなく政治にあります。20年間で国立大学の運営費交付金は1600億円も削減され、私立大学においては、私学助成を経常経費の1割以下に抑制したままです。今日の相次ぐ学費の値上げは、国が高等教育の責任を投げ捨て、大学側に押しつけている結果だと言えます。
日本国憲法には「教育を受ける権利」がうたわれています。そして、教育基本法は「教育の機会均等」のなかで、どのような経済的条件でも平等に教育を受ける権利を保障しています。
また、日本も批准している国際人権規約では、「高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること」としています。学費を値下げして無償化にすすむことは、日本政府の国民と国際社会への公約であり、未来を担う世代に対する公約です。
先の総選挙では、主要政党の全てが高等教育の学費無償化や負担軽減などを公約に掲げました。石破首相も自民党総裁選で「国立大学・高専の無償化」を公約しています。
いまこそ高等教育の無償化へと踏み出すときです。
この意見書は、国に対し、国の責任で高等教育の予算を増やし、ただちに学費を半額にするとともに、世界に例のない日本独特の入学金を廃止し、奨学金を借金ではなく給付型中心に改めるなど、高等教育の無償化をすすめるよう強く求めるものです。
議員各位のご賛同をお願いしまして、提案理由説明といたします。