私は、日本共産党市議員団を代表し、反対討論を行います。
わが党は、上程された議案17件のうち、議案第47号 令和6年度金沢市一般会計補正予算、議案第52号 金沢市行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行条例の一部改正について 議案第53号 特別職の職員の給与に関する条例等の一部改正について 議案第55号 金沢市職員退職手当支給条例等の一部改正について 議案第57号金沢市就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律に基づく幼保連携型認定こども園の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正について。以上5件について反対です。その主な理由を述べます。
第1に、デジタル科教材整備費として9900万円の債務負担予算が計上されました。来年4月から小中学校における「デジタル科」を新設に向け事前準備するというものです。内容としては、プログラミング学習用機用材の調達、メタバース体験に必要な独自のコンテンツの作成としています。
「デジタル科」を新設し、デジタル教育推進によって、教育現場に悪影響がもたらされていることが明らかとなっています。
IT先進国といわれるスウェーデンでは、18年前から学校に学習用端末の「一人一台」配備が始まり、デジタル教材による教育が行われてきました。ところが、昨年紙による教科書や手書きを重視する「脱デジタル」へと大きく転換しました。その理由として、子どもたちの集中力が続かない。考えが深まらない。長い文章の読み書きができない。画面ばかりに目が向くなど教育現場からの声が大きくなったことからでした。
教育のデジタル化が果たして教育現場になじむのか。実態をよく把握すべきだとの声が上がっています。佐藤学・東大名誉教授は、次のように述べています。
「教育のデジタル化は、教師がいない授業が可能になるリスクをはらむ。コンピューターによる教育効果は乏しく、深い学びにならないことを認識すべきだ」と指摘しています。現場の教師からも「児童が静かに端末に向き合う教室はまるでオフィスのようだ。教師とのコミュニケーションも減った」と訴えています。
教育のデジタル化がもたらす影響を考えるとデジタル科教材整備費として9900万円の債務負担予算には同意することはできません。
第2に、人事院勧告及び石川県人事委員会の勧告による金沢市職員の給与を引き上げることには、賛成ですが、市長、教育長、議員など特別職に対する引き上げには物価高騰などによる市民生活の現状から同意することはできません。
第3に、金沢市職員退職手当支給条例についてです。
雇用保険法改定に伴い金沢市職員の退職に伴う支給内容が改正される内容となっています。その一つは、退職後、不安定な仕事に就職した場合に支給される就業手当が廃止されます。もう一つが、就業促進定着手当の内容が後退することです。再就職したが以前より給与が低くなった場合、低下した賃金の6か月間分が支給されていましたが、40%上限が20%上限に下げられます。よって、こうした内容を盛り込んだ条例改正には反対です。
第4に、マイナ保険証への切り替えが強行にすすられています。従来の保険証発行の中止によって、各種医療費助成制度を利用する場合、保険証で保険者の確認ができなくなる状況が発生するため、マイナンバーの利用が必要となり、行政業務の煩雑化を招くもので反対です。
第5に、幼保一元化に伴う条例改正です。幼稚園と保育所を一体化するとして始まったのですが、職員の配置基準を低い方にしたり、施設要件などを後退させたりするなど問題となってきました。今回の内容は、職員の幼稚園教諭と保育士資格に関して、資格要件の特例が設けられてきましたが、さらに、2年間延長するものです。現場との矛盾があらわになった結果だと言えます。子どもたちにふさわしい保育・教育の内容や環境の充実に向け、当面、幼稚園には、保育機能を、保育所には教育的機能を拡充・強化して、教育・保育の内容の接近を図ることが求められており、働く職員の待遇改善と体制の充実こそ改善をはかるべきです。
次に、陳情についてです。
陳情第12号は、政務活動費領収書等のネット公開についての陳情書です。市民オンブズマン石川の代表幹事から提出されました。
政務活動費の領収書その他の支出に係る事実を証明する書類について、すでに見ることができるが、さらに、ネットでの公開を求めるもので、賛成です。
陳情第13号金沢市におけるコミュニティーバスの導入促進に関する陳情書です。金沢市にコミュニティーバスを走らせる会の代表から提出されました。
金沢市の郊外地域において、コミュニティーバスのさらなる導入・充実を行うことを求めるもので賛成です。
陳情第14号は、金沢市の子ども医療費を通院について18歳まで完全無料化するよう求める陳情書で、新日本婦人の会金沢支部支部長から提出されました。
金沢市の子どもの医療費助成制度の対象年齢を、通院についても18歳までに拡充すること。窓口負担を、通院についても無料にすることを求めるもので、賛成です。
陳情第15号は、金沢市内の消防分団機械器具置場(消防分団小屋)の移転新築について全額公費負担による至急の整備を求める陳情書で、生活者目線で金沢方式を考える会の代表から提出されました。
老朽化の著しい市内の消防分団小屋の現況から、一日も早く全額公費により整備し災害に備えることが必要であるとして金沢市内の消防分団機械器具置場の移転新築について全額公費負担による至急の整備を求めるもので、賛成です。
以上いずれの陳情も審議した常任委員会、議会運営委員会で否決されました。その結果に反対し、それぞれの陳情に賛成することを表明するものです。
以上で討論を終わります。