
-山下議員
発言の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として質問いたします。
金沢市は今年度、子ども・子育て支援の基本計画「金沢こどもまんなか未来プラン」を策定しました。真に「子どもを真ん中にした社会」を実現するためには、子どもの権利保障とともに、子ども関連予算の抜本的な増額が求められます。そこで、未来プランにかかげられた計画について、市民から寄せられた声をもとに3点伺います。
ひとつは【病児保育事業】についてです。少子化が進む中でも、共働き世帯やひとり親世帯の増加により、病児保育の利用は年々増加しています。子どもが病気になった時に安心して預けられる場所を求める声は、市が実施したアンケートにも寄せられています。病児保育は、保護者の就労継続と安心を支えると同時に、病気の子どもが保育士や医療専門職のサポートによって、安心して過ごす場として重要な役割を果たしています。今補正予算案では、新たな病児保育施設が追加され、市内の施設数は8カ所から9カ所に増える予定です。新たな施設の追加により、病児保育の定員はどれだけ拡充されるのでしょうか。今でもキャンセル待ちや利用を断られる状況があると聞いていますが、拡充された定員数で、保護者のニーズに十分応えられるのか伺います。
-安宅子ども未来局長
病児保育の新たな施設の定員数について、病児保育は地域偏在が課題となっておりましたが、今回、未設置でありました西部地区において定員3名で開設する予定でございます。病児保育は、仕事と子育てを両立するためには大変重要な保育サービスであるというように認識しております。保護者のニーズに応えられますよう、引き続き医療機関等と協議してまいります。
-山下議員
病児保育の整備・拡充には、保育士や看護師などの職員確保が不可欠です。保育士の給与は全産業平均よりも低く、常に賃金の引き上げが求められています。特に病児保育では、通常の保育よりも高度な知識と対応力、医療的ケアの知識が必要とされます。やりがいを持って働き続けられる環境づくりのためにも処遇の改善が必要です。2024年度より処遇改善加算Ⅱに準拠するかたちで基本単価の引き上げが行われました。しかし、直接的に十分な賃上げとはいえません。病児保育の保育士や看護師のさらなる処遇改善を国に求めるとともに、市独自でも支援を行うべきと考えますが、見解をうかがいます。
-村山市長
病児保育施設職員にかかる令和6年度からの基本単価の引き上げについてでありますが、病児保育に従事する保育士の業務内容が適切に評価されたもので基本単価の引き上げがあったというように承知しております。さらなる処遇改善につきまして、市独自に実施する考えはありませんが、国の動向は引き続き注視してまいりたいと考えております。
-山下議員
保育料の無償化が進む中で、病児保育では利用料として自己負担が必要となっています。本市においては利用料の助成制度がありますが、近年では全国的に病児保育の無償化を進める自治体も増えています。利用料の負担軽減は、安心して子どもを産み育てられる環境づくりの一環であり、保護者にとっての大きな支えになります。本市でも病児保育の利用料の無償化を求めますが見解を伺います。
-村山市長
病児保育について、子どもを中心として考えた場合、まずは各職場において看護休暇を取得できる機運の醸成が必要であり、次に病児保育の環境整備であると考えております。病児保育における経済的負担の軽減につきましては、すでに低所得者世帯やひとり親世帯などにかかる利用料の助成を行っており、無償化については考えておりません。
-山下議員
2点目は、【こども誰でも通園制度】についてです。同制度は、保護者の就労状況に関係なく、0歳から2歳の未就園児が月10時間まで保育施設を利用できるもので、2026年度から本格実施の予定です。「子どもの育ちへの応援と保護者の育児負担の軽減」が目的とされていますが、試行的事業を通して、「子どもの育ちを支えるには10時間では足りない」「特に配慮が必要な家庭の支援につながらない」「子どもの安心安全が確保できるか不安」などといった課題が浮き彫りとなり、公的保育の質の確保が問われています。
今議会に、設備と運営にかかる条例案が提出されました。本市の通常の保育事業と同等の基準となっていますが、通常保育でも現場からは配置基準引き上げの要望が出されている現状があるなかで、短時間の乳幼児を受け入れるには保育士の配置をさらに手厚くする必要があると考えます。そこで条例案の基準は、乳幼児の安心安全と保護者の安心を保障するものとなっているのか伺います。
-安宅子ども未来局長
今回お諮りしている条例案では、現状の保育と同様、国の基準を上回る配置基準や居室面積としております。安心・安全な保育環境を確保できるものととらえております。
-山下議員
同制度は、保育事業の実績のない営利企業でも施設の基準を満たせば実施可能としています。2024年8月時点で試行的事業をはじめた800事業所のうち、85事業所が株式会社立となっています。市場原理を優先するとコスト削減が重視され、保育の質の低下を招き、それは子どもの成長や発達に大きく影響を及ぼします。本市では、この事業実施をどのような施設で想定しているのか伺います。
-安宅子ども未来局長
保育士の配置基準を保育士のみとしていることや、居室の面積について、国基準を上回る内容となっておりますため、モデル事業といたしましては現在認可を受けています保育所、それから認定子ども園が実施施設となります。本格実施に向けて、モデル事業の実施状況を検証していきたいと存じます。
-山下議員
先日、本市のLINE公式においてモデル事業の案内が行われました。未来プランの計画では、今年度は延べ300人、本格実施の2026年度は600人の利用を見込んでいます。保育士不足が深刻化している中で、乳幼児を受け入れる保育所等を確保できるのでしょうか。自治体の役割として市立保育所での実施検討も考えられますが、どのように受け入れ体制を整えていくのか、市の方針をお聞かせください。
-安宅子ども未来局長
今年度実施しますモデル事業では、保育の提供区域すべてにおきまして、私立の施設が受け入れを希望しておりまして、市立保育所では行わない予定でございます。本格実施については、区域ごとの利用者の状況を把握したうえで、受け入れ枠が不足する区域につきましては、市立保育所での受け入れも検討してまいります。
-山下議員
市長は3月議会において「モデル事業を実施していく中で、保護者や実施施設の意見なども聞きながら、効果検証を行う」と答弁されました。十分な検証と、安心安全な保育制度の構築を国へ提言するためにも、モデル事業の課題を検証する検討会等の設置を求めますが、見解をうかがいます。
-村山市長
モデル事業におきます利用者や受け入れ施設からの意見を聞きながらさらに検証して、令和8年度からの本格実施につなげる予定であります。これを踏まえてつなげる予定でありまして、検討会の設置までは考えておりません。
-山下議員
空き定員があるところに「誰でも通園制度」を取り込むのではなく、ゆとりを持った職員配置に改善し、子どもが豊かに育つ権利を保障する保育制度を求め、次の質問に移ります。
3点目は【発達に特性のある子どもと保護者への支援】についてです。本市の子ども・子育て施策における共通の課題として、必要な支援を必要な人に届けるための情報発信の強化があげられています。必要な支援が届き活用されるまでを手厚くサポートすることは重要であり、特に困難を抱える子どもと保護者への支援の充実、情報発信は欠かせません。そこで、発達に特性のある子どもと保護者が相談や支援につながるよう、どのような周知・活動が行われているのかお聞かせください。
-野口教育長
教育プラザにおきましては、幼児教育センター、こども相談センター、学校教育センター、特別支援教育サポートセンターの4つのセンターにおいて、教育と福祉が連携をして、子どもや保護者などに対するきめ細やかな相談・支援を実施するとともに、相談体制の強化に取り組んできております。発達に特性のある児童・生徒やその保護者の方々が、支援を必要とされた際に早期に相談につながりますよう、校長会議、教職員研修や関係者連絡会等におきまして、教育プラザの相談機能の周知を図りますとともに、情報がより多くの方々に届くよう、ホームページやポータルサイトでの発信、様々なパンフレットや電話相談カードなどを配布するなどして、情報発信の強化に取り組んできております。
-山下議員
発達障害者支援法の改正を受けて、2019年に石川県が、保護者の声をもとに「つなぎ つながり手帳 ライフブック」を作成しています。このライフブックは、保護者と医療、教育、福祉などの関係者が、子どもの特性やこれまでの支援内容を共有し、切れ目のない支援を行うことで、発達に特性のある子どもの健やかな育ちを保障するためのツールとなっています。しかし、実際にライフブックに記入したものの「関係機関の職員がその存在を知らず活用できなかった」という保護者の声もあります。未来プランで掲げている「きめ細やかな連携」は、保護者や子どもがつらい思いを抱えないためにたいへん重要です。福祉、教育など関係機関への周知や研修を充実させ、子どもや保護者へのきめ細やかな支援体制をさらに充実していくことを求めますが、いかがですか。
-野口教育長
発達に特性のある子どもの支援につきましては、ひとりひとりの保護者のニーズに柔軟に丁寧に応じ、保護者と保健・教育・福祉・医療等の関係者が、子どもの個性や特徴、それぞれの機関・施設で行われた支援等について情報を共有し、切れ目のない一貫した支援を行うことが重要であると考えています。そのためにも、学校や教育機関等に対する研修と、支援体制の充実に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
-山下議員
次に【不登校について】うかがいます。現在、小中学生の不登校は全国で34万人を超え、この10年でその数は小学生で5倍に、中学生は2.2倍に増加をしています。
5月23日、日本共産党は「不登校についての提言」を発表しました。提言では、不登校をいのちの問題と捉え、「不登校は子どもや親のせいではない」「安心して休んでいいんだ」と示したことは、私自身不登校の子を持つ保護者としてとても救われるものでした。不登校が子どもの「怠け」や親の「甘やかし」と誤解されることなく、子どもの心の傷を癒し、安心して休める環境を整えることが重要だと考えます。
6月9日の参院決算委員会で、我が党の吉良よし子参院議員が石破首相に「つらいときには学校を休むことが必要だとメッセージを発するべきだ」と求めたところ、首相は「子どもの人権が尊重されるために学校を休むことも必要だ」と答弁しました。そこで教育長にうかがいます。金沢市の子どもや保護者に向けて、「つらいときには学校を休むことが必要だ」とメッセージを発信していただけませんか。
-野口教育長
国からの「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知文には、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童・生徒が自らの進路を主体的にとらえて、社会的に自立することを目指す必要があること、加えて、児童・生徒によっては不登校の時期が休養や自分を見つめなおすなどの積極的な意味を持つことが示されております。この通知文を各学校にお示ししてあります。またこれに加えまして、あべ俊子文部科学大臣からの「いのちよりも大切なものはありません。学校に行くことが苦しくなったときにも、教室以外でも安心して勉強できるように頑張っています」などとしたためられたメッセージなども合わせて通知をいたしております。この阿部大臣のメッセージには私も共感しておりまして、まずはメッセージにしたためられたことに取り組んでいきたいと考えております。
-山下議員
私たちの提言では、不登校の支援を「子どもの心の傷への理解と休息・回復の保障」を基本に据えることを提案しています。教育委員会として、不登校をいのちの問題として捉え、子どもたちの心の回復を最優先にする考えがあるか、見解をうかがいます。
-野口教育長
教育委員会は、不登校を「いのちの問題」としてとらえております。そのために、各学校には本市で作成をいたしました不登校の未然防止・初期対応ガイドブックを積極的かつ有効に活用することや、不登校対策連絡会等で児童・生徒のエネルギーの回復等に向けて、登校を強く促すこと、勉強の不安を喚起することがないように配慮することを伝えております。また令和6年度より導入いたしました心の健康状態を把握する「ここタン」を有効に活用して、メンタルヘルスの悪化や児童・生徒の発するSOSの早期発見、早期支援につなげていくように各学校に指導をいたしております。
-山下議員
また、子どもの休息と回復を支えるには、保護者への支援を手厚くし、保護者の安心を増やすことが欠かせません。提言では、情報提供や相談支援の拡充、給食費やフリースクール、交通費の負担軽減、保護者のつながりへの支援など提案しています。精神的にも経済的にも負担を抱える保護者に対して適切な支援がなければ、保護者自身が疲弊し、子どもへの対応が難しくなることもあります。不登校の子どもを支える保護者への支援の重要性を、教育委員会としてどのように認識しているかうかがいます。
-野口教育長
不登校児童・生徒の保護者への支援につきましては、児童・生徒自身への支援と並んで大変重要であると考えております。具体的には、保護者と信頼関係を作ることや、気軽に相談できる体制を整えることによって、そのご家庭の状況を把握し、相談や福祉・医療等の関係機関と連携を図りながら対応することが不可欠であると捉えております。各学校では、先にも触れましたが、不登校の未然防止・初期対応ガイドブックに基づいて、保護者の心情に寄り添いながら、求めに応じてスクールカウンセラーや関係機関等につないでおります。今後もきめ細やかで専門的な相談や支援が行われますよう、各学校に対して指導・助言をしてまいります。
-山下議員
子どもの不登校は、保護者の仕事にも大きく影響します。仕事を休んだ、正規職員からパート職員にかわった、仕事を辞めた、など身近にこうした実態があります。今年1月、厚生労働省が介護休業の対象を「引きこもりや不登校の状態にある対象家族」にも適用できるよう見直しました。こうした国の動向を受けて、本市でも企業への周知や、市職員への適用を進めていくことを求めますが見解をうかがいます。
-村山市長
本年4月に改正育児・介護休業法が施行されまして、常時介護を必要とする状態に関する判断基準が見直されましたことから、今後本市ホームページにその情報を掲載し、周知を図ることとしております。また、職員の介護休暇の適用につきましては、個々具体のケースに応じて、不登校の子が判断基準に適合するかどうかを確認する必要がありますが、今後相談等がございましたら、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
-山下議員
「学びの多様化学校設置検討委員会」で、「子どもたちが行きたくなる学校に」という意見が出されました。いま学校に行きづらいと感じているのは子どもだけではありません。この20年間で精神的な理由で休職した教員は6倍に増えており、「忙しすぎる学校」が教員にも負担をかけています。この状況を改善するためには、教育政策を根本から見直す必要があるのではないでしょうか。私たちは不登校の提言の2つめの柱に、教員の多忙化を解消し自由を保障すること、過度な競争と管理を見直し、子どもを大切にする学校づくりを提案しています。子どもも教員も通いたくなる学校への改革を求めますが、見解をうかがいます。
-野口教育長
私は常々、子どもたちが通いたくなる学校とは、すべての子どもたちが楽しいと感じ、互いの個性や多様性を認め合いながら、安心して学校生活を送ることができる学校であると考えています。また、教員が通いたくなる学校とは、様々なことに挑戦しながら成長していく子どもたちの姿を通して、教員としての喜びや充実感を感じられる学校であると考えております。私も36年間学校に勤務いたしましたが、その間、子ども同士の対話や子どもと教員との対話、教員同士の対話が日々交わされる中で、それぞれひとりひとりの存在が大切にされる、そんなことをしっかりと感じられるような学校づくりを行ってきたつもりであります。子どもたち、そして先生方も通いたくなる学校づくりに向けて、そのために必要だと思っているコミュニケーション力を身につけることができますように、新金沢型学校教育モデルを通してしっかりと取り組みを進めてまいりたいと考えております。
-山下議員
次に【中学生のキャリア教育】についてうかがいます。社会の変化が急速に進み、将来の職業や生き方が多様化する中で、義務教育においても、子どもたちが自らの将来を主体的に考える力を育む「キャリア教育」の重要性が高まっています。様々な分野で活躍する人たちと出会い、価値観や仕事への姿勢にふれることは、子どもたちにとっても貴重な経験だと考えます。一方で体験先の調整には多くの労力がかかることや、体験活動が重視されるあまり、日々の学習とのつながりが薄れてしまうという課題もあると聞いています。そこで、本市における職場体験学習の現状や、実施にあたっての課題についてお伺いします。
-野口教育長
中学校における職場体験は、小学校での職場見学から高等学校でのインターンシップへと体験活動を系統的に繋げていく意味において大変重要な役割を持っていると考えております。多くの学校では、主に中学2年生が平日に2日間から3日間、事業所に行って職場体験を行っております。校区によっては子どもが自宅から通える事業所が少ないこと、子どもが希望する職種と受け入れ先事業所の職種の需要と供給のバランスが一致しないこと、コロナ禍以降、受け入れ先の事業所数が減少していることなどが課題であると捉えております。
-山下議員
市内の中学校における職場体験において、自衛隊が受け入れ先として選ばれていると伺いました。自衛隊石川地方協力本部によると、6、7月は市内11校で予定されており、今後増える可能性もあるとのことです。自衛隊が受け入れ先として選ばれた経緯や、その体験内容について教えてください。
-野口教育長
職場体験の受け入れ先につきましては、各学校におきまして、事業所や地域との深い連携、協力関係のもとに選定されており、自衛隊もその中のひとつとして、学校での協議と学校長の判断で選定をされております。自衛隊での主な体験内容は、テント張り体験、災害時に役立つロープワーク、AEDの操作や心臓マッサージを含む応急救護など、社会貢献に関するものになっております。
-山下議員
自衛隊は、災害時の派遣や人命救助など重要な役割を担っていますが、一般の公務員では扱わない武器を取り扱う組織です。そのため、体験に参加する中学生が恐怖や不安を感じたり、過度に関心を持つ可能性も考えられます。中学生は心身ともに発達途上にある大切な時期です。自衛隊の体験学習において、生徒への十分な配慮がなされているのか伺います。
-野口教育長
職場体験にあたりましては、各学校は受け入れ先に対して中学校段階での職場体験の狙いを説明し、十分にご理解いただいたうえで、活動内容や活動時間等について調整をしたうえで実施をいたしております。子どもたちに対しましては、3年間見通した計画的・系統的なキャリア教育の一環として、自分の適性や将来設計について考え、職場体験の狙いを十分に理解をし、ご家族や先生、上級生などからの情報も踏まえながら、主体的にこの職場体験に臨むように事前指導の中で指導をさせていただいています。
-山下議員
また、保護者の中には「危険なことをするのではないか」といった心配の声もあると聞いています。そうした保護者に対して、丁寧な説明や配慮がされているのかもお聞かせください。
-野口教育長
職場体験に対する保護者のご理解は、生徒の成長と体験の質を高めるうえで非常に重要であると考えております。子どもたちが体験先を選択する際の、保護者からの情報提供、またアドバイスのほかにも、体験中の相談や励まし、送迎などのサポートを得ることが期待でき、職場体験がより充実するものに繋がっているものと捉えております。そのため、各学校では事前にお便りで職場体験の狙いについて周知をし、学年懇談や個人懇談の際にはスライドなどを用いて受け入れ先や活動内容の詳細を伝えるなど、丁寧な説明によって保護者のご理解と協力を得ることができるように努めております。
-山下議員
日本が加盟する国際刑事裁判所に関するローマ規定や、批准する子どもの権利条約においては、子どもと武力との関わりについて慎重な対応が求められています。全国には、戦車に乗せる、武器に触らせるといった体験が行われたことに批判の声も寄せられています。本市においては、そのような体験が行われないよう、明確な方針をもって対応すること、また職場体験のあり方については、教育基本法に基づく教育の目的を踏まえ、改善・工夫を重ねていくことを求めて、この質問を終わります。
最後に【高齢者の在宅生活を支える施策について】うかがいます。本市においても、高齢者の独り暮らしや高齢者のみの世帯が増加しています。家族形態や地域コミュニティーの変化の中で、特に独居の高齢者が抱える孤立や孤独死という課題がより一層深刻化し、当事者からも不安の声を聞いています。高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、見守り支援は不可欠であり、命に関わる重要な取り組みだと言えます。そこで、本市が高齢者の見守り支援に取り組む意義についてお聞かせください。
-村山市長
高齢者世帯の見守りについてであります。本市ではひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯について、地域ぐるみで見守り活動が行われております。支援が必要な方の早期発見・早期対応につなげるために、大変重要な役割を果たしております。本市としてはこの住民相互の支え合い活動が促進されるよう支援をし、誰もが住み慣れた地域で安心して生活することができる環境を創出していきたいと考えております。
-山下議員
「ひとり暮らし高齢者緊急通報システム」について伺います。本市の緊急通報システムは、緊急時の通報や相談対応に加え、火災報知器や人感センサーとの連動機能を備えることで、高齢者の見守り体制を強化してきました。しかし、現行のシステムは固定電話回線を前提としており、近年、詐欺対策などの理由から固定電話を解約する高齢者も増える中で、制度を利用したくても利用できないケースが生じています。実際に、民生委員から「独居高齢者に勧めたくても、携帯電話しかなく、不安の解消につながらない」との声も寄せられています。こうした現状を踏まえ、携帯電話型や無線型の緊急通報システムの導入が必要だと考えますが、見解を伺います。
-山口福祉健康局長
緊急通報システムにつきましては、75歳以上の独居高齢者等を対象に実施しております。携帯電話の回線を利用するシステムを導入することにつきましては、今のところ費用面での課題がございまして、現時点では考えておりません。
-山下議員
次に【在宅ねたきり老人等介護手当金】について伺います。本市では、65歳以上のねたきりや重度の認知症の高齢者を在宅で常時介護する方に、月額5,000円の手当金を支給しています。近年、介護を取り巻く環境は大きく変化し、介護費用の増加、介護者の高齢化、介護離職の問題など介護者への負担は一層重くなっています。これらの状況をふまえ、介護手当金制度の見直しが必要だと考えます。
まず第一に、支給額についてです。1989年の制度開始以来、支給額は据え置かれたままです。消費税の増税や物価高騰など介護に伴う経済的負担は増加しています。所得や介護の実情にそった支給額の引き上げを求めますがいかがですか。
第二に、支給要件についてです。近隣に住みながら日常的に介護する「別居介護」も増えています。同居でないことを理由に対象外とするのは、制度の趣旨に照らしても見直すべきです。他自治体では、半日以上介護している別居家族を同居とみなす例もあります。実質的に介護を担う別居家族も支給対象とするよう見直しを求めますがいかがですか。
-山口福祉健康局長
本市の介護手当金は、現にねたきりまたは重度の認知症の高齢者と同居し、常時介護する者であって、生計を一にしている配偶者または3親等内の親族に対して、その労をねぎらうために支給をしております。このため、常時介護者への慰労金の性格が強いものでございますことから、手当額の引き上げであったり、別居の介護者を支給対象者に加えるといったことは考えておりません。
-山下議員
第三に、手続きについてです。現在、申請には民生委員の訪問、確認が必要とされ、支給は現金での手渡しであり、介護者にとって心理的・実務的負担となっています。プライバシーの問題や手続きの手間などが制度利用のハードルとなっている可能性も考えられます。電子申請や口座振込など、より簡素でかつ尊厳を守る申請と支給方法への見直しを求めますがいかがですか。介護者の実情に寄り添った対応を求めます。
-山口福祉健康局長
介護手当金の支給の申請にあたりましては、民生委員がねたきり高齢者等や介護者の支給要件を満たされているかというようなことを確認することとなっております。そして、介護手当金の支給は民生委員が対象世帯に持参することとなっております。この持参する場において、ねたきり高齢者等やその家族の状況を確認できるひとつの機会となっておりますので、申請方法であったり支給方法を変更することは考えておりません。
-山下議員
最後に【訪問介護事業所への支援】についておたずねします。国が2024年4月の介護報酬改定において、訪問介護の基本報酬を2~3%引き下げたことにより、全国でも事業縮小や廃業が相次いでいます。とりわけ小規模事業所が大きな打撃を受けています。訪問介護事業所は、介護を必要とする人のいのちと生活を守るうえで欠かせません。訪問介護事業所の危機的な状況を受けて、世田谷区では基本報酬引下げに伴う事業所の減収分の補填として、一律88万円の独自支援にふみ出しました。品川区でも、事業規模に応じ1事業所あたり年間12万円から240万円を支給する補正予算案を6月議会に提出するとのことです。本市においても、こうした自治体独自の支援策を参考に、減収分の補填など訪問介護事業所を支える対策を緊急的、臨時的に講じるべきです。市長の見解をうかがいます。
-村山市長
介護保険制度は、サービス内容や要介護度等に基づいて介護報酬を決定し、全国統一で運用しているものでありますので、現時点で訪問介護事業者への本市独自の支援は考えておりません。なお、報道等によりまして、訪問介護事業者の経営が厳しいということは理解しております。全国市長会が3年に1度の報酬改定を待たずに、臨時改定を行うように国に要望しております。その対応について注視をしております。
<追加質問>
-山下議員
不登校について伺います。教育長は大臣のメッセージに共感するということでしたけれども、ぜひ教育長の言葉で発信をお願いします。
-野口教育長
これまでもコロナ禍におきましても、学校に行くことについて子どもたちに私の方から直接メッセージを発信をさせていただいております。やはりメッセージを出すということは、そのタイミングがとても大事だと思っておりまして、そのタイミングというものを見計らいながら、これからメッセージを出すことについて考えていきたいと思っております。