私は、日本共産党金沢市議員団を代表して反対討論を行います。
わが会派は、提出された議案20件のうち、議案第3号と、議案第10号の2件に反対です。
その理由について述べます。
議案第3号「金沢市児童福祉法に基づく乳児等通園支援事業の設備及び運営に関する基準を定める条例制定」についてです。
国は、子育て支援の一環として「子ども誰でも通園制度」を2026年度から本格実施するとし、本市では7月からモデル事業として実施にあたり今回の条例化となりました。
この制度は保護者の就労を問わず、保育所などに通っていない生後6か月から2歳の子どもを対象に、月に10時間まで、保育所や認定こども園で預かりを行うというものです。
この条例では、設備運営基準が定められています。金沢市は国の基準を一部上回るとしていますが、現行の保育基準と同等です。
配置基準については現状でも、保育士が、休憩時間、職員会議、休んだ職員をカバーできない、能登半島地震を目の当たりにし、保育中に地震が起きたら子どもの命と安全を守れるのかと、現場は危機感を募らせています。
やりがいはあってもその厳しい環境と処遇の低さが理由となり、保育士資格を持ちながら、働いていない保育士は有資格者の6割を超え、現場は常に人手不足です。
そこに、新たな子どもが短時間、日替わりで来るとなれば現場の負担はさらに増えます。アレルギーや発達状況など必要な情報が把握されず命にかかわる事故が起きかねません。慣れない環境に置かれる子どものストレスも懸念されます。
しかも、保護者と事業者との直接契約で実施され、公的責任が後退することにつながりかねません。
まずは保育士の処遇改善と配置基準の抜本的改善、公的保育の拡充にこそ力を入れるべきですし、親の就労にかかわらず子どもを受け入れる環境をつくるというのなら、公が責任を持って保育施設や体制を整えるべきです。よってこの条例に反対いたします。
議案第10号「金沢市公園条例の一部改正」についてです。
これは卯辰山にある千寿閣の健康温浴施設の使用料について、6歳未満は50円から70円に、12歳未満は130円から150円に、60歳未満は490円から500円に値上げするものです。今回、60歳以上についてはふれあい入浴券との整合性から引き上げは行われません。
この施設は昭和44年、金沢市で最初の老人福祉センターとして設置されましたが、平成16年に現在地へ移転・新築され、公園施設として財源を取り込むために健康交流センターとなりました。これまで温浴施設の使用料をめぐっては議論もありましたが、今回の12歳未満の引き上げは開館以来はじめてです。公衆浴場入浴料金の改定に合わせた形ですが、市が運営する市民の健康交流施設である性格上、引き上げには反対です。
次に、陳情についてです。
陳情第19号は、あはき・柔整広告ガイドラインの適正かつ積極的な運用を求める陳情です。いわゆる、あはき・柔整広告ガイドラインが、令和7年2月に厚生労働省から出されました。利用者に適切な施術所等を選択するために必要な情報が正確に提供されることにより、その選択の支援と利用者の安全向上を図るとともに、あはき・柔整に関する広告の適正化の推進を図ることを目的とされています。この陳情は、このガイドラインが適正かつ積極的に運用されることを求めるものであり、賛成です。
陳情第20号は、国民健康保険の「資格確認書」をすべての加入者に交付することを求める陳情です。
国は、マイナ保険証をすすめるとして、昨年12月2日から従来の保険証の交付をやめました。ところが、マイナ保険証の利用率は未だ2割台にとどまるほか、マイナ保険証の有効期限が切れて受診が遅れる事例なども発生しています。国は75歳以上の方には全員に資格確認書を交付するとしましたが、渋谷区や世田谷区などでは受診機会を確保するため国保加入者すべてに交付するとしています。厚生労働大臣も「資格確認書の交付は自治体の事務であり最後は自治体の判断である」と認めています。よって、市民の命を守るため、国民健康保険の「資格確認書」を全ての加入者に交付することを求めるこの陳情に賛成です。
陳情第21号は、用水路上に立地する市所有の既存不適格建築物である材木消防分団機械器具置場について、市による住民に対する正確な説明を求める陳情書についてです。
消防分団機械器具置場は市の市有財産としており、消防組織法では費用負担を含め市が責任をもつべき建物です。しかし、金沢方式によって地元が主体で、かつ負担もして建て替えや改修を行うこととしてきました。
現在、材木分団の機械器具置場の移転・建て替え事業が取り組まれていますが、用水路上にある既存不適格の実態や負担金の額や性格など住民ひとり一人に知らせる必要があります。市は地元から説明するものだとしますが、市が責任をもつ建物であり、市による住民に対する正確な説明を行うのは当然のことだと考え賛成です。
陳情第22号は、地域コミュニティの区域再編における行政の積極的な関与を求める陳情です。これまでの政治によって、地域の衰退と崩壊が進み、市内中心部や山間部では小学校の統廃合も進められました。それにより、地域団体や市の地域施設において、ずれや偏りが見られ、議論が行われてきた地域もあります。地域コミュニティを維持し、安心して住み続けられるまちづくりのためにも、住民と行政が連携することは重要であり、この陳情に賛成です。
以上の各陳情について、審議された各常任委員会の否決に対し、反対であります。以上で反対討論を終わります。