私は、日本共産党市議員団として、議会議案第17号外国人の国民健康保険料及び住民税に係る未納対策を求める意見書について質疑いたします。
この意見書に記載のある以下三点について果たして根拠あるものなのかただしておきたいと思います。
第1点は、この意見書の前半の文章に次のような記載があります。
「外国人による国民健康保険料の納付率が日本人を含めた全体の納付率より大幅に低い旨の調査結果が厚生労働省によって示された」との記載です。
いつ、どのような場所で、どんな内容として示されたのか。伺います。
第2点は、この意見書は、先の文章に続き、次のような記載があります。
「徴収されるべき住民税についても、出国した外国人等に係る未納が確認されている」 との記載があります。
一体、どんなところで、どんな内容として確認されているのか。伺います。
第3に、この意見書は、先に示した二つの記載に続き、次のような認識に立ち、外国人の国民健康保険料及び住民税に係る未納対策を求める意見書としています。
「外国人に係るこれら公租公課の未納への対策は重要な社会的課題となっている」
としています。
果たして、こうした状況にあるのか。こうした認識に至った経緯について明らかにしていただきたいと思います。
答弁(自民党・上田雅大市議)
まず初めに、この意見書に記述されている「外国人による国民健康保険料の納付率が日本人を含む全体の納付率より大幅に低い旨の調査結果が、厚生労働省により示された。」いつ、どんな内容として示されたのかとのお尋ねでありました。
本年4月22日に行われた、自民党内の外国人材等に関する特別委員会及び在留外国人に係る医療ワーキンググループの合同会議において、厚生労働省より、外国人による国民健康保険料の納付率は、データのある約150自治体の平均が63%で、日本人を含む全体の平均の93%より低いという説明がなされたとお聞きをしております。
次に、「徴収されるべき住民税についても、出国した外国人等に係る未納が確認されているところであり、とはどんな内容か、お示しいただきたい」とのお尋ねでありました。
本市において、令和6年度の外国人に対する市税等について、執行停止、いわゆる未納の実績として、海外退去によるものが80件で、696万7000円であることを本市所管課に確認しております。
最後に、「外国人に係るこれら公租公課の未納への対策は重要な社会的課題となっている」との記述について説明をいただきたいとのお尋ねでございました。
税の原則としまして、税は公平でなければならず、また、国民健康保険料についても、その負担は公平の確保が必要です。これは日本人だけに限らず、外国人をも含め、広く日本社会の構成員に当てはまるものでなければいけないものです。これらの制度、そして、その公平性を維持していくために、外国人に係る公租公課への未納対策が、今日の重要な社会的課題であると考えております。
以上です。
再質疑(日本共産党・森尾嘉昭市議)
この意見書が記載している内容は、適切なものなのか。という点が最大の問題点です。
今、説明のあったように、自民党内での会合の席上で出された資料だと、いうことが答弁の中で示されました。では、国会の場では、どういうやり取りと答弁があったのか、という点を指摘しておきたいと思います。
政府は、今年5月20日衆議院の質問主意書に対する答弁書の中で、「厚生労働省が提示した資料は一部の自治体を対象にした調査である」として、「国民健康保険料の納付率は、外国人が日本人を大幅に下回っていることが明らかとなったとは考えていない」と述べています。これが、政府の見解です。
第2に、住民税についても、今年5月13日参議院行政監視委員会において、政府答弁において、「外国人に限った個人住民税の滞納額、滞納件数については、総務省では現時点で把握していない」こう述べています。
では、答弁のあった、本市はどうでしょうか。金沢市総務局納税課によると令和6年度の外国人に対する市税等の執行停止実績について、海外退去によるものが、80件・696万7千円とのことです。これは、金額では執行停止全体の約4%です。
では、なぜ、こうした事態が起こったのか。
住民税は、前年度所得により確定し、納付書が送られます。しかし、納付書が送られた時、すでに転居しており、あらたな住所がわからないことが出てきます。そうした場合、やむを得ず、執行停止をせざるをえない現状があります。
答弁者、こうした事態を認識し把握しているのでしょうか。外国人の住民税未納だけが特段問題だとする理由があるのでしょうか。改めて答弁をお願いいたします。
答弁(自民党・上田雅大市議)
森尾議員に再度、答弁をいたします。今ほど自民党のワーキンググループによる説明をさせていただきましたが、令和7年5月19日の参議院予算委員会におきましても、厚生労働省より答弁がなされております。「被保険者の支え合いで成り立っております医療保険制度におきまして、外国人の方にも適切に保険料を納付していただくことが重要だというふうに考えております。」ご指摘の外国人の国民健康保険料納付率は、自治体のシステムにより、外国人の保険料の収納状況が把握可能な自治体、約150自治体に対し、1人集計した結果、納付率が63%というデータが出ております。引き続き、システム改修等が必要になって参りますが、全国的な実態調査の実施に向けて、調整を進めるとともに、保険料を適切に納付していただけるよう取り組んでいく必要があるというふうに考えておりますという答弁でございました。
また住民税につきましては、今ほど80件、696万7000円という回答させていただきましたが、件数におきますと、約300件の執行停止件数があります。この80件の件数を%で計算しますと、約27%の執行停止の率があるということであります。実際に696万7000円の未納があるということでありますので、ここがやはり一番問題だということであります。税は公平な制度でございますので、未納というようなことはやはり問題すべき内容だというふうに考えておりまして、自民党として、意見書を今回、この議会で提出させていただくということで問題意識を強く持っております。
以上です。
再々質疑(日本共産党・森尾嘉昭市議)
政府公式見解として、先ほど指摘しました質問主意書に対する答弁書が、直近での政府の見解です。
その中に、次のようなくだりが述べられています。
「厚生労働省が提示した資料における調査については、いずれも一部の自治体を対象にした調査であるところだ。」こう述べた上で、「把握可能な自治体、こちらのところについてよくお聞き取りを行い、その結果を踏まえた分析を、速やかに進めていきたい。」という答弁を述べ、「現時点では、必ずしも国民健康保険料の納付率は外国人が日本人を大幅に下回っているっていうことが明らかになったとは考えていない。」これが、数字からも、政府が述べた答弁と現状となっています。
この事実をしっかりと受けとめなければならないと考えています。
そしてまた、今度の意見書が述べている「外国人に係るこれら公租公課の未納への対策は重要な社会的課題となっている。」いうことについて、答弁がありませんでした。
一体、事実に基づいて、国保料のみの住民税の未納が、外国人に関わって、重要な社会問題になっている。一体、何を根拠に述べているのでしょうか。
まともな資料と根拠がないまま、外国人をターゲットに、こうした意見書が作られることは全く根拠がないと考えています。意見書として成り立たない。この点について、再度答弁を求めたいと思います。
答弁(自民党・上田雅大市議)
再度、森尾議員にお答えいたします。社会的問題となっているというふうなことに答弁が不足しているということでありましたが、財政負担、給付の公平性として、未納が増えますと、自治体の歳入が減少し、国保や福祉サービスの財源が圧迫され、納付している他の住民との負担の不均衡が生じる可能性があること。また、医療福祉の安定性からも、国保料の未納が広がると、被保険者負担の隔たりや給付抑制の圧力が高まり、地域医療や福祉サービスの質や持続可能性が損なわれるおそれなどがあることにより、今日の重要な社会的課題だと考えております。よって我が自民党会派といたしましても、意見書を提出させていただいてるところでございます。
また再度繰り返しになりますが、納付につきましても、今、現状把握可能な自治体、約150自治体に対し、聞き取り集計した結果が、納付率が63%というデータが出ております。このデータは厚労省が発表しているデータでございますので、正確なデータだというふうに認識をしております。我が会派といたしましては、この内容で問題はないというふうに考えており、それぞれの見解の相違かと存じます。