
-山下議員
発言の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団の一員として質問いたします。
最初の質問は、日本銀行金沢支店跡地についてです。今回の補正予算に、整備範囲を拡大するという追加予算が計上されました。これは当初の計画と大きく異なるものです。利活用の方向性はもとより、財政負担についても、市民に十分な説明がなされているとは思えません。そこで、これまでの経緯も踏まえながら、数点お聞きします。
金沢市は、2023年に「日銀跡地のあり方懇話会」を設置し、市民や有識者から寄せられた意見を踏まえながら、日銀跡地に求められる機能などを整理してきました。懇話会の取りまとめでは、「金沢市が跡地を取得し、早期の利活用を検討する必要がある」と示されています。全国の日銀跡地の活用状況を見ると、民間事業者による開発や、県による取得、支店ごとに取得から活用にいたるまで様々です。今回、金沢市が設置をした懇話会には、石川県副知事や経済界代表も参加されていましたが、金沢市が跡地を取得すると判断した理由について、お聞かせください。
-村山市長
日本銀行金沢支店跡地につきましては、令和5年度に開催した「日本銀行金沢支店跡地あり方検討懇話会」の中で、「魅力・品格」「回遊・交流」「多様・滞留」「文化・活動」という4つの機能がまとめられ、早期の利活用にも言及されました。これらの機能は総じて、公共性・公益性が高く、これを具現化するためには市が跡地を取得し、早期の利活用を図っていくことが、本市の果たすべき責任であると考え、昨年10月、日本銀行による取得要望の受け付け開始に合わせ取得の申し出を行ったところであります。
-山下議員
さらに取りまとめでは「本格整備に着手するまでの間、現建物の暫定利用も視野に入れた整備手法について検討する必要がある」と示されました。これを受けて、今年度当初予算に改修整備費が計上されたものと理解しています。先の9月議会において、改修規模について問われた際、市長は「早期の開放と利用者の安全性を確保するためには改修範囲は限定される」と答弁しています。提案説明でもふれられていましたが、なぜ当初の限定的な改修から拡大へと方針が変わったのか、その経緯を詳しく説明してください。
-村山市長
当初、取得後の先行利活用に向けて現在の施設に最小限の改修を行って速やかに活用することを目指しておりました。その後、様々なご意見もいただきました。地元の町会であるとか、商店街、あるいは若い方々からもご意見をいただく機会をいただきました。また、金沢21世紀美術館が令和9年5月から休館するということに合わせて、その21世紀美術館の休館中のあり方についても検討することも行っておりました。そうした中で、金沢21世紀美術館の仮移転先としての活用、また地下金庫室の公開といったご意見をいただきましたので、改めて整備スケジュールや建築基準法等への適合の観点から検証を重ねた結果、追加の改修工事で対応できるということが確認できましたので、必要な設計費等について今回お諮りさせていただいた次第であります。
-山下議員
市長、今回の方針転換について、市として重大な問題であるとの認識をお持ちでしょうか。21世紀美術館の仮移転場所など、市民や検討会の意見を踏まえたということですけれども、9月議会での市長答弁の翌日には、地元紙が「地下金庫非公開」と報じ、その翌日には「金庫一転 何とか公開」と一面で大きく取り上げられました。市民からみれば、市長は外部からの発言に影響を受けたのではないか、今後の整備が進む中で、誰の判断が優位になるのか、市長の姿勢に大きな不安と疑問が生じています。県知事や経済界などの外部からの発言や要望があるたびに、市が定めた方針が揺れ動くようでは、この日銀跡地の整備、先行利活用、さらには本格整備にいたるまで、市民の理解と信頼を得ることはできません。本来、公共施設の整備にあたっては、市民の利益と地域の将来像をふまえた方針のもと、透明性のある手続きと、市民への丁寧な説明が不可欠です。それが今、適切になされていると言えますか?うかがいます。
-村山市長
取得後の先行利活用につきましては、9月に開催した地域住民や若い世代との意見交換をはじめとし、金沢21世紀美術館まちなか賑わい創出検討会での提案、これに伴う結果など、様々な機会を通じてご意見やアイデアをお聞きしております。なるべく可能な限り取り入れたいと思っておりまして、私個人の思いだけではなく、地域の方々それぞれの思いを結集したより良いものができあがっていくというのが、より理想的な姿かというように思っております。そのためには、ご意見をお聞きし、より良いものが取り入れられるようであれば、そこについて検討していくという姿勢で取り組んでまいりたいと考えております。
-山下議員
その進め方に、ぜひ透明性と信頼を得る進め方を求めたいと思います。
では、今後についてもお聞きします。懇話会の取りまとめは、跡地の「早期利活用」が強調されています。他都市の日銀跡地では、移転から売却までに3年程度の期間を要している、それでは批判が出るのではないかという発言もありました。駅前の旧都ホテル跡地が長年放置されてきたことがよぎれば、日銀跡地については「できるだけ早く活用を」というふうになるのはわかります。しかし、早期利活用を急ぐあまり、市民への説明や合意を欠いた、場当たり的な事業の進め方は認められません。加えて、方針が揺らげば、今回追加予算となったように、財政負担の見通しも定まりません。日銀跡地については、取得費用すら未だ明らかになっていない状況です。そこで伺います。本格整備に至るまでに必要となる総事業費は、どの程度見込んでいるのか。今後、どれだけの税金を投入することになるのか、市民に対して明らかにしてください。
-村山市長
今後の経費について、改修設計費については今回お諮りしている追加分を含めて約2,800万円となる見込みであります。工事費につきましては、この設計が完了していないため、現時点ではお示しできないことをご理解いただければと存じます。また、現在日本銀行との間で取得に向けて協議をしております。取得にかかる費用につきましては、然るべき時期に議会にお諮りさせていただきます。
-山下議員
さらに今後について、懇話会の取りまとめでは「求められる機能を実現するうえで、機能の複合化や整備範囲、官民連携手法について検討する必要がある」と示されています。「まちなか賑わい創出検討会」では、しいのき迎賓館のように民間事業者へ管理を委託する指定管理制度についての発言がありました。もし施設管理に官民連携手法が用いられれば、市が多額の税金を投じて整備した施設を、民間事業者が管理しながら利益を得る構造になります。これは到底納得できるものではありません。公共施設である以上、利益よりも公共性の確保が優先されるべきと考えます。利活用の段階で、施設管理の主体をどのように考えているのか、お聞かせください。
-村山市長
取得後の先行利活用に向けましては、年度内に協議会を立ち上げることとしておりますが、その中で施設管理のあり方も含めて、継続的な賑わい創出などについて様々な分野の方々からご意見をいただきながら議論してまいりたいと考えています。
-山下議員
利益よりも公共性の確保を、ぜひ優先していただきたいと思います。
年度内に協議会を立ち上げるということでした。現在、21世紀美術館の休館にあたっては「まちなかにぎわい創出検討会」が設置され、日銀跡地の利活用についても議論されています。今回のように方針が揺れることがないように、日銀跡地利活用の取りまとめにどこが責任を持つのか明らかにしてください。また、市民や議会への説明を今後どのように行っていくのかについても示してください。
-村山市長
協議会での議論を踏まえまして、市民をはじめ事業者や各種団体などからも利活用のニーズやアイデアを募集し、実践していくことで、まちなかの賑わいの創出に繋げていきたいと考えております。もちろん取得する以上、利活用については本市の方が責任を持って行っていくものになりますけれども、今後につきましても本会議や常任委員会において適宜適切に説明してまいりたいと考えております。
-山下議員
繰り返しになりますけれども、市民への丁寧な説明と、理解と合意のもとで、再整備の検討を進めていただきたいと思います。
次に南部地区教育・福祉施設再整備事業についておたずねします。
2024年度に「再整備基本構想」が策定され、再整備の方向性や想定されるスケジュールが示されました。今年度は施設機能について調査検討されています。
今回の再整備で指摘したいのは「南部地区の教育・福祉施設を一体的」と一括りにしたことで、教育プラザ富樫については、本来必要であった利用者や市民全体への説明・議論がすっぽり欠落しているという点です。私ども会派は常任委員会においても、教育プラザ富樫の性質上、移転ありきではない慎重な検討をと求めてきました。改めてこれまでの経緯と現状を確認させていただきます。
2023年度9月の補正予算で、郵政跡地を先行取得し、並行して再整備検討調査を実施しました。公的施設は市内に様々あるなかで、郵政跡地の活用を「南部地区の教育・福祉施設」と限定した理由をお聞かせください。
-村山市長
日本郵便金沢有松社宅跡地につきましては、約9000平方メートルに及ぶ広大な土地であります。また周辺にはいずれも築50年以上が経過し老朽化が課題となっております三馬小学校、三馬保育所、教育プラザ富樫といった、本市の教育・福祉施策の推進に重要な施設が位置しておりますことから、当該跡地をこの施設の再整備に活用すべく、議会に予算等をお諮りしたうえで先行取得したものであります。
-山下議員
再整備検討調査とは、どんな調査で、なにが明らかになったのでしょうか。
-村角都市政策局長
令和5年度に実施しました検討調査では、三馬小学校、三馬保育所、教育プラザ富樫を対象施設といたしまして、それら施設を所管する部署と企画調整課による庁内横断プロジェクトにおきまして、各施設の現状調査と再整備に向けた課題整理を行ったところでございます。そうした結果、施設の老朽化に加えまして、三馬小学校におきましては現地で建て替えする場合、工事中の教育環境の確保が課題となるほか、教育プラザ富樫では機能や規模の整理に留意する必要があることなどの課題を把握したところでございます。
-山下議員
再整備の方向性が示されてから、南部地域にお住いの方、そうでない方も含め様々にご意見を聞いてきました。三馬保育所の移転整備については、もともと地元の強い要望があったことから、期待の声が聞かれています。三馬保育所、三馬小学校は地域に密着した教育・福祉施設として整備がすすむことは理解できます。しかし教育プラザ富樫は性質が違います。教育プラザ富樫が設置された経緯と、利用等も含めた施設の現状をお聞かせください。
-堀場教育次長
教育プラザ富樫は、平成13年のいわゆる「金沢子ども条例」の制定を受け、教育と福祉が連携を図り、乳幼児から中学生までの子どもたちの健全育成を一貫して推進する目的で平成15年7月に開館いたしました。加えて平成18年には、児童虐待の早期発見・早期対応を図るため、中核市として全国で初めて児童相談所を併設し、そののち一時保護所を開設し、相談体制の強化を図ってきております。現在、学校教育センター、子ども相談センター、幼児教育センターの3つの部署があり、子どもにかかわる総合的・専門的な相談支援や、学校教育・幼児教育に関する研修実施のほか、保育所や学校等の子どもに関わる施設との連携や、児童虐待等への迅速な対応などにあたっております。研修室や体育館、子育て広場などを配し、主に子育てサークルなど子どもに関わる団体に貸し出ししており、年間10万人を超える市民に利用されております。
-山下議員
今、教育次長からお話があったように、教育プラザ富樫は「金沢子ども条例」のもと、教育と福祉が専門性をもって連携し、子どもの健やかな育ちをサポートする施設として設置されています。南部に位置しますが、市内全域から利用がある施設であり、地元の施設という位置付けではありません。教職員等の研修の場としても重要な役割を果たしているということです。
再整備については、教育プラザ富樫内で働くある方は「移転改築を新聞で知った」と言われ、利用している方々からは、「隣に公園があり駐車場も広い。あの環境の中だからこそ利用しやすい」「相談に行くにも、他の利用者と顔を合わせなくてもいい構造になっているから安心する」という声も伺っています。中学生からは「同級生と遊ぶのに体育館が利用しやすい」など、施設が現在地にあることの利点が多く語られています。「どうして移転の必要があるのか」と、多くの疑問の声が寄せられています。
こうした声が、これまでの調査検討のなかで議論されてきたのでしょうか。教育プラザ富樫として、この再整備事業においてどのような意見を述べてきたのか、また、市民アンケートや利用者アンケートなど実施したのか、お聞かせください。
-堀場教育次長
教育プラザとしては市民や利用者に対するアンケートなどは実施しておりませんが、庁内横断プロジェクトチームにおいては施設の充実を図り、不登校や不適応、発達障害のある児童生徒とその保護者等が、現在と同様に安心して利用できるように配慮すること、学校教育センター、こども相談センター、幼児教育センターの3つの部署が密接に連携し、教育・保育課題を実現する新たな研修や、年々増加する相談件数に対応した相談体制の強化を図ること、施設利用者の目線からの利便性を確保することなどについて意見を述べてまいりました。
-山下議員
先程、教育プラザ富樫も老朽化が著しいということでしたが、現地改修は検討されたのか、お聞かせください。
-村山市長
教育プラザ富樫では、不登校や不適応、発達障害など、細心の配慮が必要な児童生徒の通所受け入れを行っております。現地で建て替える場合は、これらの児童生徒が毎日を過ごす環境への影響が避けられないということから、現地建て替えは困難と判断いたしました。昨年度策定した「南部地区教育・福祉施設再整備基本構想」におきまして、その結果、三馬小学校移転後の跡地に移転整備することとしたものであります。
-山下議員
私はやはり、南部地区と強調するあまり、教育プラザ富樫がもつ立地も含めた本来の役割と再整備の進め方に問題があるということは否めません。10日の答弁では、三馬小学校跡地の整備について、来年度に懇話会を設置するというふうにありました。先程も教育プラザ富樫については機能規模の整理というふうにありましたけれども、移転ありきで、これまで教育プラザ富樫が果たしてきた機能や役割が縮小されるような再整備になってはいけないというふうに思います。専門家も含めた広く多様な意見を聞いた調査検討が必要だと考えますが、見解を伺います。
-村山市長
今年度、庁内におきまして、市全体における教育・福祉機能の配置状況などを整理しつつ、子育て支援や幼保小連携などの機能について調査検討を進めているところであります。その結果等も踏まえながら、明年度にも有識者や地元関係者などからなる懇話会を設置いたしまして、三馬小学校跡地における新たな施設の基本構想を策定したいと考えております。現在の教育プラザ富樫の機能強化等についてもあわせて検討してまいります。
-山下議員
懇話会もそうですけれども、ぜひ市民アンケートや利用者アンケートも実施をしていただきたいと思います。
次に、介護保険制度についてうかがいます。
介護保険制度が創設されて今年で25年、四半世紀の節目を迎えました。制度は「介護の社会化」をかかげてスタートしました。高齢化が進む中で、介護保険制度が市民生活に根付いてきましたが、果たして「家族が介護から解放されたのか」また、「自己決定によるサービスの選択が実現できているのか」そのことが改めて問い直される必要があると考えます。市長、保険者として、制度創設時の理念が実現できているとお考えでしょうか。うかがいます。
-村山市長
介護保険制度の創設時の理念でありますが、「高齢者が住み慣れた地域で継続して自立した生活を送り、自らが必要な介護サービスを選択し、それを社会全体で支援する」ということにあります。本市では在宅介護サービスの多機能化や、地域密着型介護施設の拡充によりまして、高齢者が可能な限り住み慣れた地域で、安心して生活を続ける体制づくりに努めてまいりました。今後とも介護人材の確保や地域包括ケアシステムの構築を推進して、市民が安心して暮らせる社会の実現を目指し、理念の具現化に向けた取り組みを推進していきたいと考えています。
-山下議員
介護の現場は大変厳しい状況にあります。2027年度の制度改正に向けて、厚生労働省は社会保障審議会に、介護利用料2割負担の対象を拡大する所得基準案を提示しました。物価高騰のなかでの負担増に対して、審議会の委員からは、慎重・反対意見が続出しています。さらに厚労省は、ケアマネジメントの有料化、要介護1、2の生活援助サービス等の保険外しを狙っています。このような改正がすすめば、必要な介護が受けられない状況がさらに加速していきます。市長、この三大改悪についてどのように認識されていますか。国に対してこうした改悪を行わないよう強く求めるべきだと考えますが、見解を伺います。
-村山市長
ご指摘がございました介護保険制度に関する諸課題につきましては、国の社会保障審議会介護保険部会において審議が行われ、要介護1および2の生活援助サービスの総合事業における市区町村事業への移行は見送りとされたと承知しています。また利用料の2割負担対象者の拡大、そしてケアマネジメントの有料化につきましては、現段階でも議論されておると、そして年内に方向性を示すとされていると承知しています。なお、利用者の負担増となる事項につきましては、全国市長会を通じて、課題や影響を十分に調査・分析し、利用者や自治体の意見を踏まえたうえで慎重に対応するように要望しているところであります。
-山下議員
それでは、第10期介護保険事業計画に向けてお伺いします。
介護保険料は、制度開始以降引き上げが続いています。金沢市においても制度開始当初は基準月額3,150円だった保険料が、第9期では6,590円と2倍以上に引きあがっています。さらなる保険料の引き上げが行われれば、高齢者のみならず、現役世代にも大きな影響を及ぼすことは明らかです。保険料の設定については、市として十分な検討を行い、国にこれまで以上の財源確保を求めるとともに、市独自の減免制度や、所得段階の設定、基金の活用など、保険料の引き上げとならないよう求めますが、いかがですか。
-村山市長
次期介護保険事業計画の開始年度である令和9年度からの介護保険料につきましては、明年度の予算編成時に計画期間中に必要なサービスの給付量を適切に見込んで、その費用に見合った額を設定するということになります。市民の負担に考慮いたしまして、介護給付費準備基金については有効な活用をしていくこととしております。
-山下議員
ぜひ、保険料が引きあがらないようにお願いいたします。
介護現場の人手不足は深刻さが増しています。金沢市においても介護従事者の確保に向けて、第10期の計画にどのように盛り込んでいくかということが問われます。今年度、金沢市独自で、新規採用の職員に対して奨学金の助成制度が創設されました。該当する方には漏れることなく活用していただきたいというふうに思います。しかし介護に従事する労働者の傾向を見ても、他の職種から転職してくる方、また一定の年齢を超えて就業する方も多い職種であります。幅広く介護従事者の処遇改善につながるような施策が必要だと考えます。国に対して大幅な処遇改善を求めるとともに、処遇改善の上乗せや夜勤手当の補助など、さらなる金沢市独自の施策を求めますが、いかがですか。
-村山市長
本市では、県外からの転居費用等に対して助成するUJIターン介護職員就業支援制度、そして今ほど議員がご指摘の奨学金返還支援事業など活用して、人材確保、定着に向けた施策を進めておりまして、市独自の支援策も講じているところであります。現在、国が介護職員の処遇改善のために介護報酬の改定時期を前倒しして臨時改定を行うと報道されておりますので、その動向も注視しているところであります。
-山下議員
国もやはり今の介護の人手不足ということの深刻さをわかってのことだと思いますが、1万円では到底足りません。ぜひ市でも上乗せの施策をお願いします。介護現場からは温かい介護をしたくても人手が足りなくてできないと、本当に悲痛な訴えがあります。ぜひそういう声も市長、直接聞いていただいて、処遇改善をしていただきたいと思います。
2024年度の訪問介護の報酬引き下げが国から提案された際、現場からは撤回を求める強い声が上がってました。それにもかかわらず、国はこれを押し切って実施しました。その結果、訪問介護事業所の廃業が相次ぎ、2027年度の改定を待たずに臨時の報酬改定を行うという事態となっています。当初から現場の声を真摯に受け止めていれば、このような混乱は生じなかったはずです。こうした点からも、介護現場や利用者の声を丁寧に聞き、計画に取り入れていくことが求められます。第10期介護保険事業計画の策定にあたっては、利用者や介護現場の実態と要望を丁寧に取り入れ、計画に反映できる仕組みを求めますが、見解をうかがいます。
-村山市長
第10期の介護保険事業計画の策定にあたりましては、利用者や介護現場の実態・要求を反映していくということは非常に重要なことと捉えております。今後、有識者や公募委員からなるワーキングを立ち上げ、明年度概ね月1回の会議を開催し、これまでの施策の評価、次期計画に向けての課題などについてご意見をいただくこととしております。また市民フォーラムや市民アンケートによりまして、介護従事者やサービス利用者のご意見を直接伺います他、新たな計画案についてパブリックコメントを実施するなど、市民の意見を幅広くお聞きし、計画に反映していくこととしております。
-山下議員
介護保険制度はこの25年間、給付の削減と保険料の負担増が繰り返し行われてきました。制度や財源の土台に公的責任をなくしては、制度の持続はありえません。利用者や家族、そして介護従事者、誰もが安心できる制度構築を引き続き求めていきたいと思います。
最後の質問は、市営住宅についてです。市営住宅の役割は、低所得者や高齢者、障害者などの住まいの確保だけではありません。能登半島地震に見られたように、被災者の住まいの確保に大きな役割を果たしています。そこで市長に伺います。災害被災者や住宅困窮者に対し、市営住宅の必要性をどのように認識しているか、お聞かせください。
-村山市長
市営住宅につきましては、議員ご指摘いただいたとおり、地震や火事などによる被災者も含めて、住宅に困窮する方に低廉な家賃で住宅を提供することで、生活の安定、社会福祉の増進に寄与することを目的としておりまして、住宅のセーフティネットとして重要な役割を担っております。
-山下議員
その重要な役割を果たすには、やはり整備もきちんと進めなければいけないと思います。市営住宅の整備については、立地条件や交通の利便性、バリアフリー化など、地域の課題や生活実態に即した整備が求められています。現在、再整備計画は、2017年策定の緑住宅再整備計画の下で進んでいます。緑住宅は最終の第7期完了が2031年の予定です。市営住宅の再整備には、構想から完了まで長い年月を要し、短期的な対応では市民の安心した住まいの確保につながりません。そこで、一部の住宅の整備計画だけではなく、長期的な展望のもとに、全市的な整備計画の策定が必要だと考えますが、見解を伺います。
-村山市長
本市には耐震化されていない市営住宅が4棟残っております。まずはこれらの建て替え計画を着実に進めて、令和13年度に全て耐震基準を満たすということを目指しているところであります。市営住宅は、先程申し上げたとおり住宅のセーフティネットとしての役割も担っており、今後全市的な市営住宅のあり方については検討していきたいと考えています。
-山下議員
市民のみなさんの安心にもつながりますので、ぜひ全市的な整備計画の策定をお願いいたします。
能登半島地震から2年が経とうとしています。先日、輪島市にある仮設住宅でお話を伺ってきました。消極的、積極的意向は様々ですが、災害公営住宅の入居を希望している方がほとんどでした。金沢市でみなし仮設住宅にお住いの方、特に高齢世帯の方からは、家賃が低廉な公営住宅の入居を希望する声が多く聞かれています。
そこで、現在金沢市において、市営住宅への目的外使用や、みなし仮設住宅に入居している能登半島地震被災者の世帯数はどのくらいあるかお聞かせください。
-高木都市整備局長
能登半島地震で被災して、市営住宅に一時的に入居されている世帯数は、12月1日時点で18世帯でございます。また、本市のみなし仮設住宅に入居された世帯数につきましては、県が取りまとめておりまして、1,123世帯でございます。
-山下議員
被災者の生活再建は必ずしもみなさん順調というわけではありません。恒久的住まいの確保が困難な世帯もあります。住まいのセーフティネットとして、市営住宅の整備と入居者枠の拡充が必要だと考えます。金沢市ではどのように検討されていますか。市営住宅への入居を希望する一般の市民に加えて、みなし仮設住宅や目的外使用をしている被災者の入居希望に応じられる戸数の確保ができる見通しがあるのか伺います。
-高木都市整備局長
今年4月に石川県が公表した被災者に向けた住まい再建にかかる意向調査の結果によりますと、県内全域におけるみなし仮設住宅の入居世帯2,682世帯のうち、4.2%が住まい再建の方法として公営住宅を希望しているということ、また5.7%が再建の方法を決めかねているということがわかっております。これらを合わせた9.9%が公営住宅を希望する可能性があると想定しまして、本市のみなし仮設住宅に入居している世帯数にあてはめますと、111世帯となります。これに市営住宅に一時的に入居している18世帯を加えますと、129世帯となりますが、現在市営住宅には約600戸の空き住戸があることから、一般の入居も含め被災者の入居希望には十分応じられると考えております。
-山下議員
空き住戸が十分あるということですので、入居を希望される方が入居できるような整備も含めてお願いをいたします。
生活再建していくうえで、住まいの安定は何よりも重要です。しかしいま、目的外利用の期限がせまり、住み慣れた環境から再び退去を迫られることは、入居者に大きな不安を与えています。被災者の目的外使用において、県営住宅は同じ部屋で継続して入居できると聞いています。しかし市営住宅は、正式に入居する際、別の部屋へ転居する必要があります。金沢市でも県と同様に、希望者には同じ部屋で継続して住み続けられるよう求めますが、見解を伺います。
-村山市長
能登半島地震の被災者に目的外使用で提供した住戸の多くについては、すぐ生活を始められるように備え付けの設備に加えて給湯設備や照明器具、ガスコンロなどを市で設置し、特別に整備されたものであります。これら設備については応急的に市で設置したものでありますので、他の入居者との公平性確保の観点を踏まえて、目的外使用期間が終了した際に、別の住戸への転居をお願いしているところではありますが、県の取り扱いを参考にいたしまして、入居者の意向を考慮したうえで、同じ部屋に住み続ける方策を今後検討していきたいと考えています。
-山下議員
ぜひ意向を汲んで、同じ部屋でも住み続けられるような対応をお願いしたいと思います。可能な限り転居の負担が生じない対応を求めます。
恒久的住まいの見通しがたたない世帯に対しては、みなし仮設住宅、目的外利用を延長すること、また、新たな住まいとして市営住宅を選択する世帯には、入居費用や転居費用の補助、敷金の免除など対象となる制度をしっかりと周知していくことを求めて、私のすべての質問を終わります。














