金沢市議会 |日本共産党 金沢市議員団

金沢市議会

-森尾議員

私は、日本共産党市議員団の一人として、質問します。

 最初の質問は、物価高騰に伴う市民生活応援の対策についてです。わが党は全国で、暮らしの不安や要望をお聞きする「要求アンケート」に取り組んでいます。寄せられた約1万のアンケートによると、暮らしの実態について「不安がある」との回答が86.7%にのぼっています。その中から、30代の方は「食料品の値段が上がって本当に困っている。大好きなお米が食べられない」、40代の方は「物価高、インボイス制度などフリーランスに厳しい現状」だと、60代以上に印をつけられた方は「夫が具合が悪くても自営業で助け合って働いている。60年続けてきた自転車店は私たちの代で閉じる」、50代の方は「子ども1人が進学し、次の子の進学を控えている。希望をかなえてあげたいが不安」など声が寄せられています。市長は、市民生活と営業の実態についてどのように受け止めておられるのか伺います。

-村山市長

 物価高、そしてこれに伴う実質賃金の減少が市民生活の安定、そして地域経済の成長の足枷となっていると認識しております。その影響が長期化していることに大変危惧をしているところであります。加えまして、米国の関税措置に伴い、経済情勢の不確実性が高まっております。今後輸出企業だけでなく幅広い業種に影響が見込まれるなど、企業や市民の不安が広がっているということから、いち早く、賃金の上昇が物価上昇を上回る、賃金と物価の好循環を実現させ、これを定着させることが重要であると考えております。

-森尾議員

 県内の自治体が暮らし応援の対策について打ち出しています。

・小松市は、19歳から64歳の市民に5千円相当のキャッシュレス決済のポイントを付与する。

・内灘町は、70歳以上を対象にコミュニティーバスの無料パスポートを交付する。生田町長 は、2学期から小学校学校給食費無償化することを打ち出し、「物価高騰や米価上昇で家庭の経済負担が増しており、子育て世帯の負担を軽減する」と述べました。

・輪島市は、物価高緩和、被災者支援として6月から4か月間の水道料基本料金を無償化する。

・かほく市は、昨年9月から中学校で学校給食費無償化、小学校は今年4月から実施する。

・能登町は、小中学校給食費無償化し、物価高の影響を受ける家庭の負担軽減を図り、子育てしやすい環境を整える。

 県内の各自治体で、くらし応援の対策を打ち出しています。市長は、市民生活応援の対策についてどのように考えておられるか伺います。

-村山市長

 実質賃金の減少が続く状況下にありましては、時勢をとらえた対策を講じることで企業や市民の不安を払拭していくことが重要と考えております。今般、追加交付される国の重点支援地方交付金を最大限活用し、低所得世帯や福祉施設に対する光熱費の一部助成や、事業者の電気料金等に対する支援など、市独自の物価高騰対策を取りまとめて、追加でお諮りした次第であります。

-森尾議員

 具体的に伺います。学校給食費無償化についてです。県内11の市では、実施していないのは野々市市と金沢市だけとなっています。市長はこの間、この制度は国が行うべきであるとして、市民の願いを拒否し続けています。一方、県内の自治体の多くは、住民の願い実現に取り組み、学校給食費無償化を実現しています。市長、くらし応援、子育て支援からも学校給食費無償化を決断すべきではありませんか。見解を伺います。

-村山市長

 本市では保護者の負担を軽減するため、経済的な理由で就学が困難な場合について、就学援助制度によって給食費の全額を支援しております。また、昨年度開催した学校給食費懇話会の意見を踏まえて、保護者負担を据え置いて、給食用食材費との差額については全額公費で負担、補填をする物価高騰特別対策について、当初予算で必要な増額を盛り込み、継続することといたしました。学校給食費の無償化につきましては、自治体間で格差が生じないよう、国の主導によって全国一律かつ恒久的に実施されることが望ましいと考えております。加えて、恒常的に多額の財源を要するという中で、本市独自の給食費無償化は考えておりません。引き続き国が進めている検討の状況を注視してまいりたいと考えています。

-森尾議員

 市長の答弁は常に「考えていない」「国の動向を注視する」、この言葉に終始しています。市民生活の現状や、県内の状況をしっかりと見たうえで、学校給食費の無償化の実現を決断するよう、強く求めておきたいと思います。

 この夏、猛暑が予想されます。この対策として3点伺います。

 1つは、水道料金基本料金の無償化の問題です。東京都に続き、大阪市が打ち出し、大阪府下の自治体に広がってきています。県内では輪島市がすでに実施しました。東京都では「物価高騰下の光熱費を下支えすることで、エアコンの使用などを促し、熱中症予防につなげる」としています。わが党の広田市議の提案に対し、金沢市では実施しないという答弁でしたが、家庭用水道料金基本料金を無償化することは、市民生活応援を力強くすすめる施策だと考えますが、市長の見解を改めて見解を伺います。

-村山市長

 電気・ガス・ガソリンなど、全国民の生活に影響のあるエネルギー価格の引き上げ対策を国が行っております。そうした中で本市ではこれまでも物価高騰の影響を特に強く受ける低所得世帯や地域経済を担う中小企業等に対して、重点的に対策を講じてまいりました。金沢市に限らず、地方公共団体の基本的な財源は税収であります。税金をいただきながら、我々公務員としても、その住民福祉サービスを如何に向上するか、それを税金をいただきながら、給料をいただきながら、知恵をしぼって考えていっている中であります。そして議会からもご指摘をいただき、議論を深めながらこの施策を進めてきているところであります。様々な無償化施策、それは、行われれば喜ばれるものだと思いますけれども、一方で財源を伴う、その代わりにできない業務も出てくる、機会費用の損失というところになってきます。その中で、如何にどのような財源を用いて、そして効果的な行政を行うか、そのようなことを考えていきたいと思っております。無償化というものについては、やっていくときにはその行政効果が必要になると考えています。適格な効果が得られるように、今年については第2子の3歳未満児の保育料の無償化を行いました。これは少子化対策という明確な効果を求めて、その無償化に対しての一番効果的な政策として打ち出させていただきました。財源に限りがある中で、水道料金の無償化のご提案もいただきましたけれども、多額の財政需要も見込まれる、全市民を対象とした支援策については、実施することが難しいと考えております。

-森尾議員

 地方自治体の役割は、そこに住む住民の福祉向上にあると、これが地方自治体の役割です。住民の願いをどう具現化するかということは、地方自治体の長としての大きな役割だと考えます。他の自治体での積極的な施策に学んで、市長、決断を求めておきたいというふうに思います。

 もう1つが、エアコン設置への助成です。名古屋市では、経済的な理由によりエアコンを設置できず、自宅で熱中症にかかるリスクが高まっている高齢者に対し、エアコン設置などの費用の一部を助成することを打ち出しました。この点について、実施する考えはないか。見解を伺います。

-村山市長

 高齢者世帯へのエアコンの設置補助について、これは効果的な支援のあり方、あるいは市民間の公平性などの考慮の必要があると思っておりまして、現時点では考えてはおりませんが、ご指摘のように助成を行っている自治体があることは承知しております。今後の他都市の動向を注視していきたいと考えています。

-森尾議員

 3つ目に、公共施設などでのクーリングシェルター設置と共に、給水スポットの設置が有効だと考えます。その具体化について、伺います。

-村山市長

 公共施設に開設いたしましたクーリングシェルターでは、環境省のモデル事業を活用して一部の施設に給水スポットとしてウォーターサーバーを設置いたしましたが、ほとんどの施設には給水機や自動販売機などがあるため、給水スポットを増設する予定はありません。こまめな水分補給等の重要性など、熱中症対策については、さらなる注意喚起に努めていきたいと考えています。

-森尾議員

 質問の第2に、5歳児健診の実施について伺います。

 日本小児科学会の専門家が作成した「5歳児健康診査マニュアル」では、その意義について次のように述べています。「5歳児健診の特徴は、個人の成長、発達の診察と社会的な発達の状況を把握することにあります。発達障害等のスクリーニングにつながり、遊びや人間関係の豊かさ、地域社会とのつながりなどを把握することにあります。」こう述べています。5歳児健診の意義について見解を伺います。

-山口福祉健康局長

 今森尾議員がおっしゃったように、国が作成したマニュアルにおきまして、5歳児の健康診査は、精神発達の状況であったり言語障害の有無であったり、社会性の発達などの評価が重要とされております。健診結果に所見がある場合や、保護者の不安が大きい場合には、専門相談や医療・福祉・教育などのフォローアップに繋げることで、行動の改善、社会生活への適応が期待できるというふうにされております。またこの時期は、睡眠や食事などの生活習慣が安定するような時期でもありますことから、こういった基本的生活習慣を身に着けるための保健指導を行う上でも、5歳児健診というものは重要な機会というふうに考えております。 

-森尾議員

 5歳児健診を実施している松山市では「5歳児健康診査は、お子さんの成長発達を確認していただく大切な機会です」と受診を呼びかけています。松山市では、一次健診は質問等を実施し、その中から二次健診が行われます。心理関係の専門家により、こどもさんの発達状況の確認と相談が行われ、必要な対応が検討されます。山形市では、誕生月ごとに集団健診が行われ、その後の相談と対応が進められています。金沢市としての5歳児健診実施へのプログラムを明らかにしていただきたいと思います。

-山口福祉健康局長

 国のマニュアルでは、5歳児健康診査につきましては、集団健診方式で実施することを推奨しておりまして、保健センター等を会場に行う方法のほか、専門職チームが保育所等を巡回する方法、そしてこれらを組み合わせて実施する方法などを提示しております。本市におきまして、どのようなかたちで5歳児健康診査を実施するかは定まっておりませんけれども、医師・保健師・管理栄養士・心理士などの様々な専門職の確保に加えまして、健診後の継続的なサポート体制を強化する必要があると考えております。これまで培ってきた支援体制を生かした本市独自の5歳児健康診査のあり方について、検討を進めてまいります。

-森尾議員

 去る4月30日、市民福祉常任委員会で5歳児健診の実施について質問した際に、駅西保健所所長は「5歳児健診だけでワンポイントキックするわけではなく、療育ということの仕組みも同時に整えておかなければいけない」と述べました。子どもさんの発育・発達過程で、何かが指摘されたからと言って、お薬を飲めば治るとか、手術をすれば回復するというものでなく、相談や療育体制が大事だとの指摘でありました。市長はこの議会の答弁の中でもこの点を強調されたかと思います。5歳児健診の内容や相談、療育体制についてどのように考えておられますか。

-村山市長

 5歳児健診、国の方では令和10年度までに全国の市町村での開始を目指しているという中であります。ここに向けて、今医師会など関係機関などと協議しながら進めていきたいと考えております。

-森尾議員

 再度伺います。子どもさんのすこやかな発育・成長にとって大変意義のある5歳児健診です。市長が述べられたように、金沢市医師会からも5歳児健診の実施が要望されています。関係者との話し合いを通じて実施への取り組みが求められていると思います。その具体策と方針について、再度、市長から明らかにしていただきたいと思います。

-村山市長

 令和10年度からの導入に向けて、医師・保健師・管理栄養士・心理士などの様々な専門職の確保、そして健診後の継続的なサポート体制の強化が必要であると捉えております。5歳児健診の開始までにその体制を整えていきたいと考えています。

-森尾議員

 質問の第3に、片町・プレーゴの閉鎖と金沢商業活性化センターについて伺います。片町にある商業施設「プレーゴ」について、地権者との借地権契約の継続ができなかった。さらに用地取得もできず、来年3月末を持って閉鎖するということであります。この施設は、金沢市の中心商店街である片町・竪町と香林坊の活性化を目的に、2001年3月に開業し、金沢商業活性化センターが担ったものです。金沢市は現在、このセンターに対し50%を出資しています。このセンターの目的と金沢市の役割について改めて明らかにしていただきたいと思います。

-村山市長

 金沢商業活性化センター(TMO)でありますけれども、中心市街地の活性化を目的に平成10年に設立されたというものであります。今後とも中心市街地の活性化の役割が担われているというように捉えております。

-森尾議員

 このセンターの経営状況について調べてみました。令和6年度~令和10年度までの第4期経営改革実施計画書が明らかにされました。それによると「経営基盤事業の収益向上」について次のように記載されています。「コロナ禍の影響により、弊社の基盤事業である「プレーゴ」「まちバス」「まちP」の売り上げがコロナ前に回復しないことから、各事業の売り上げ拡大を重点に推進する必要がある。プレーゴは、令和8年度にプレーゴの土地所有者との事業用定期借地権契約の満了を迎えるため、市、商店街等と連携して対応する」と方針を打ち出しました。結果は、プレーゴの閉鎖でした。このセンターの6年度決算と7年度予算について、経営状況を明らかにしていただきたいと思います。

-上寺経済局長

 TMOの経済状況につきましては、毎年議会に法人の経営状況を報告しているとおり、健全な経営がなされ、黒字経営が続いております。令和6年度につきましては、株主総会の開催前であり、詳細な内容はお答えできないものの、経常利益が出ているとお聞きいたしております。

-森尾議員

 財務状況を見ると、令和6年4月1日現在、令和6年度予算で、差引収支額が20万円なんです。正味財産額は1億64万円です。プレーゴが閉鎖、まちバスがなくなり、もはや、このセンターの存続は難しいのではありませんか。見解を伺います。

-村山市長

 プレーゴの運営管理事業、また、まちバス運行事業の廃止によりまして、TMOの収益への影響が避けられないと思いますが、今年度から新たに商店街サポートサロンの運営、また金沢駅前広場の利用受付業務などにも取り組むことから、ただちに経営が困難になるとは考えておりません。

-森尾議員

 じゃあプレーゴの閉鎖について、今後どうするかと。来年3月末を持って閉鎖すると。テナントとの契約を解除し、土地を更地にして土地所有者へ返還するとしています。こうした費用を賄えるのでしょうか。1億円足らずしかない資産なんですよ。50%出資している金沢市がその費用を負担することとならないでしょうか。市長の見解を伺います。

-村山市長

 プレーゴの解体について、これはプレーゴの所有者がTMOでありますので、その解体工事はTMOが行うということになりますが、現在TMOにおいて必要経費を精査しているところであります。TMOの利益剰余金の状況も踏まえて、本市としての対応を検討してまいりたいと考えています。

-森尾議員

 今後、プレーゴの閉鎖に伴って土地を更地にしなければなりません。その費用をどう賄うかということをお聞きしたんです。先程の経営実態の状況から見たって、1億円足らずしかない資産であるという状況からみると、このプレーゴ閉鎖に伴い土地所有者に更地にして返還するという費用を誰がどのように賄うのかということを聞いておるんです。50%出資している金沢市がその費用を負担することにならないのかと。もう一度答弁をお願いします。

-村山市長

 現在TMOで必要経費を精査しているところであります。

-森尾議員

 否定されませんでした。事は重大だと考えます。改めて、中心商店街の活性化に向けてこのセンターを設立し、片町にプレーゴ設置を主導的に進めてきたのは金沢市ではありませんか。その役割は終えたというふうに考えるんでしょうか。今後のセンターの運営方針について、改めて伺いたいと思います。

-村山市長

 金沢商業活性化センター(TMO)は、各種のイベントの企画・運営、まちなかの賑わい創出を図るための様々な事業を実施しておりまして、これからもその必要性は変わらないというように考えております。中心市街地活性化基本計画を実践していく中で、中心商店街の活性化、まちなかの賑わいの創出、これは本市にとっても最も重要なテーマのひとつと捉えております。これまで大きな成果を上げてきたTMOの運営方針は変わるものではありません。一方で、中心商店街をとりまく経済・社会情勢の変化にも対応し、都心軸の再興にも取り組んでいくという中でも、都市再生緊急整備地域の指定も見据えたさらなる賑わいの創出、商店街振興が必要になると考えております。引き続きTMOと連携を図りながら、そのために必要な施策を展開していきたいと考えています。

-森尾議員

 質問の最後に、金沢中央卸売市場のリニューアルについて伺います。基本計画に基づく基本設計の段階で市場関係者との合意が得られず、基本設計を昨年9月までとの計画を今年2月までに延期しました。しかしそれも不可能となり、来年2月まで延期となったうえに、基本計画も検証するという事態となっています。市長の責任は重大だと考えます。そこで、金沢市は基本計画のポイントとして3つだと説明されました。その内容は、1つに一体型総合市場 2つに工期10年以内、3つに現在地建て替えというものです。この3点について、経済環境常任委員会に出席し、説明をされた新保副市長に、この3つのポイントは現在も変わらいないのか。伺います。

-新保副市長

 私自身、今年度に入りまして3回、市場関係者の方々と議論させていただいております。その中で、基本計画で示されておりますこの3つのポイントを基本に、他の用地を活用した様々な選択肢について検討しているところでございます。

-森尾議員

3つのポイントのうちの1つ、一体型総合市場について、これを取りやめて、水産と青果を分離して設置するという方向へ転換したんじゃないですか。新保副市長、お答え願いたいと思います。

-新保副市長

 青果・水産合同ワーキングの中で、他の用地を活用した様々な選択肢について検討しているところでございます。現状、市場事業者からの要望・意見を丁寧にお聞きをし、さらに真摯にお答えしながら、検討を進めているところでございます。

-森尾議員

 委員会のやり取りの中で、現在地建て替えを不可能だと、昨年5月に判断したわけです。したがって、仮設であれ本設であれ、別途地になんらかの形で分離して、仮設なり本設なりを移設したいという意向が検討されたと。しかし、その用地である金沢港近くの県有地については合意はされていないと、新保副市長が委員会で述べたと。その後、この金沢市近くの県有地への仮設であれ本設であれ移設するという検討は進められているんじゃないですか。お答え願いたいと思います。

-新保副市長

 現在、他の用地を活用した様々な選択肢について検討しております。まずは、市場事業者との合意のもと、整備手法を固めていきたいと考えております。

-森尾議員

 様々な選択肢の中にあると。しかし、現在地でのローリング方式による建て替えは難しいと判断したのは昨年の5月だと、新保副市長、あなたが述べた。しかし一方で、「県の用地については合意に至っていない」と、こうも述べました。その県の用地、ご承知のように金沢港に近いだけに、強風、塩害もあり環境的に適地とは言い難い。用地購入とすれば市場関係者の要望である使用料金が抑えられず、現在よりも相当高くなってしまうという問題がある。そう簡単ではない。一体、どうされるんでしょう。選択肢の中にあるとしたら、この県有地への仮設であれ本設であれ、移転計画というのはそう簡単じゃないんじゃないですか。どうでしょう。

-新保副市長

 現在、青果・水産合同ワーキンググループの中で様々な選択肢に基づく事業費、それから使用料などのデータをご提示をしながら、議論をしているところでございます。ただ予断を持った議論としたくないため、様々な選択肢の内容については発言を控えさせていただきたいと思っておりますけれども、真摯に丁寧に議論をしているところでございます。

-森尾議員

 では、市長に伺います。令和17年度末までに完成させるとすると、あと7年(建設期間)で作らなきゃならない。そうすると、一体型総合市場という方針を転換し、水産と青果を分け、金沢港近くの県有地を活用して進めていく。この方針でうまくいくと考えておられますか。

-村山市長

 市場再整備の整備手法につきましては、青果・水産合同ワーキンググループの中で市場事業者からの要望・意見などを調整しながら、他の用地を活用した様々な選択肢についても検討しているところであります。引き続き丁寧に協議を進めることで、市場事業者との合意のもとで、基本設計を取りまとめていきたいと考えております。

-森尾議員

 では市長、伺います。去る6月12日、本議会が開会されているさなかに、市長自ら中央卸売市場に出向いたと。市場関係者に伝えたのはどんな内容でしたか。

-村山市長

 先日、中央卸売市場に出向きまして、市場事業者との意見交換を行ってきました。様々な意見・ご要望も直接伺ってきたところであります。その中で、市場事業者からの提案を受けて検討を進めている一部の機能を他の用地に移転する手法も含めて、意見を交わしてきたところであります。引き続き、市場事業者と丁寧に協議を進めていきたいと考えています。

-森尾議員

 市場関係者に伝えた内容は、金沢港近くの県有地への仮設であれ本設であれ、水産と青果を分離して設置したいという内容を、市長自らお伝えになったんじゃないですか。

-村山市長

 市場関係者との間では、今意思形成過程であります。そして、市場の各事業者に対して様々な意見・要望について聞くとともに、こちらでもその手法を含めて意見交換をしてきたところであります。

-森尾議員

 市場関係者に伝えた内容は、私の質問を通じて議会には言えないと。これは、答弁拒否なんですよ。議長。市長にちゃんと答弁するよう促していただきたい。

-村山市長

 各市場事業者についてもそれぞれの今後のご商売、事業運営に向ける大切な判断になっております。そうした中で、各事業者の合意を得たいという中で、ご意見を丁寧に伺っているというところであります。

-森尾議員

 では、角度を変えて伺います。この金沢中央卸売市場の将来像について、再整備基本計画を作られた。この中に「金沢の豊かな食と文化を支え北陸のハブ拠点となる。一体型総合市場」と明記しています。市長は、この市場の将来像は、一体型総合市場でなくとも可能だと考えていらっしゃるんですか。

-村山市長

 この市場の基本計画については、この基本設計を進めていく中で合わせて検証を進めるということをしております。その結果について、適切に議会に報告させていただきたいと考えております。

-森尾議員

 これも答えない。答えられない、隠したい、ということですか。みなさんが取りまとめた市場の基本計画は、令和5年1月にまとめたんですよ。その中に、先程紹介したように今後の将来像については「金沢の豊かな食と文化を支え北陸のハブ拠点となる。一体型総合市場」なんだと。これが金沢市の市場の将来像なんだと、打ち出したじゃないですか。であるならば、転換するなら転換するだけの理由が必要だと思うんです。簡単に転換していいんですか。市場関係者との協議を続けると、こう言いながら、議会には報告も説明もしない。答弁については拒否すると、こんなことあってはなりません。改めて、もう一度伺います。基本計画の中で打ち出した金沢の市場の目指す将来像は「金沢の豊かな食と文化を支え北陸のハブ拠点となる。一体型総合市場」なんだと。この見解について伺います。

-村山市長

 何より、これから市場を担っていただく卸・仲卸等、市場関係者の意向が重要であると考えております。持続可能に市場が運営できるように、少しでも汗をかいていきたいと考えています。

-山下議員

 発言の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として質問いたします。

金沢市は今年度、子ども・子育て支援の基本計画「金沢こどもまんなか未来プラン」を策定しました。真に「子どもを真ん中にした社会」を実現するためには、子どもの権利保障とともに、子ども関連予算の抜本的な増額が求められます。そこで、未来プランにかかげられた計画について、市民から寄せられた声をもとに3点伺います。

 ひとつは【病児保育事業】についてです。少子化が進む中でも、共働き世帯やひとり親世帯の増加により、病児保育の利用は年々増加しています。子どもが病気になった時に安心して預けられる場所を求める声は、市が実施したアンケートにも寄せられています。病児保育は、保護者の就労継続と安心を支えると同時に、病気の子どもが保育士や医療専門職のサポートによって、安心して過ごす場として重要な役割を果たしています。今補正予算案では、新たな病児保育施設が追加され、市内の施設数は8カ所から9カ所に増える予定です。新たな施設の追加により、病児保育の定員はどれだけ拡充されるのでしょうか。今でもキャンセル待ちや利用を断られる状況があると聞いていますが、拡充された定員数で、保護者のニーズに十分応えられるのか伺います。

-安宅子ども未来局長

 病児保育の新たな施設の定員数について、病児保育は地域偏在が課題となっておりましたが、今回、未設置でありました西部地区において定員3名で開設する予定でございます。病児保育は、仕事と子育てを両立するためには大変重要な保育サービスであるというように認識しております。保護者のニーズに応えられますよう、引き続き医療機関等と協議してまいります。

-山下議員

 病児保育の整備・拡充には、保育士や看護師などの職員確保が不可欠です。保育士の給与は全産業平均よりも低く、常に賃金の引き上げが求められています。特に病児保育では、通常の保育よりも高度な知識と対応力、医療的ケアの知識が必要とされます。やりがいを持って働き続けられる環境づくりのためにも処遇の改善が必要です。2024年度より処遇改善加算Ⅱに準拠するかたちで基本単価の引き上げが行われました。しかし、直接的に十分な賃上げとはいえません。病児保育の保育士や看護師のさらなる処遇改善を国に求めるとともに、市独自でも支援を行うべきと考えますが、見解をうかがいます。

-村山市長

 病児保育施設職員にかかる令和6年度からの基本単価の引き上げについてでありますが、病児保育に従事する保育士の業務内容が適切に評価されたもので基本単価の引き上げがあったというように承知しております。さらなる処遇改善につきまして、市独自に実施する考えはありませんが、国の動向は引き続き注視してまいりたいと考えております。

-山下議員

 保育料の無償化が進む中で、病児保育では利用料として自己負担が必要となっています。本市においては利用料の助成制度がありますが、近年では全国的に病児保育の無償化を進める自治体も増えています。利用料の負担軽減は、安心して子どもを産み育てられる環境づくりの一環であり、保護者にとっての大きな支えになります。本市でも病児保育の利用料の無償化を求めますが見解を伺います。

-村山市長

 病児保育について、子どもを中心として考えた場合、まずは各職場において看護休暇を取得できる機運の醸成が必要であり、次に病児保育の環境整備であると考えております。病児保育における経済的負担の軽減につきましては、すでに低所得者世帯やひとり親世帯などにかかる利用料の助成を行っており、無償化については考えておりません。

-山下議員

 2点目は、【こども誰でも通園制度】についてです。同制度は、保護者の就労状況に関係なく、0歳から2歳の未就園児が月10時間まで保育施設を利用できるもので、2026年度から本格実施の予定です。「子どもの育ちへの応援と保護者の育児負担の軽減」が目的とされていますが、試行的事業を通して、「子どもの育ちを支えるには10時間では足りない」「特に配慮が必要な家庭の支援につながらない」「子どもの安心安全が確保できるか不安」などといった課題が浮き彫りとなり、公的保育の質の確保が問われています。

 今議会に、設備と運営にかかる条例案が提出されました。本市の通常の保育事業と同等の基準となっていますが、通常保育でも現場からは配置基準引き上げの要望が出されている現状があるなかで、短時間の乳幼児を受け入れるには保育士の配置をさらに手厚くする必要があると考えます。そこで条例案の基準は、乳幼児の安心安全と保護者の安心を保障するものとなっているのか伺います。

-安宅子ども未来局長

 今回お諮りしている条例案では、現状の保育と同様、国の基準を上回る配置基準や居室面積としております。安心・安全な保育環境を確保できるものととらえております。

-山下議員

 同制度は、保育事業の実績のない営利企業でも施設の基準を満たせば実施可能としています。2024年8月時点で試行的事業をはじめた800事業所のうち、85事業所が株式会社立となっています。市場原理を優先するとコスト削減が重視され、保育の質の低下を招き、それは子どもの成長や発達に大きく影響を及ぼします。本市では、この事業実施をどのような施設で想定しているのか伺います。

-安宅子ども未来局長

 保育士の配置基準を保育士のみとしていることや、居室の面積について、国基準を上回る内容となっておりますため、モデル事業といたしましては現在認可を受けています保育所、それから認定子ども園が実施施設となります。本格実施に向けて、モデル事業の実施状況を検証していきたいと存じます。

-山下議員

 先日、本市のLINE公式においてモデル事業の案内が行われました。未来プランの計画では、今年度は延べ300人、本格実施の2026年度は600人の利用を見込んでいます。保育士不足が深刻化している中で、乳幼児を受け入れる保育所等を確保できるのでしょうか。自治体の役割として市立保育所での実施検討も考えられますが、どのように受け入れ体制を整えていくのか、市の方針をお聞かせください。

-安宅子ども未来局長

 今年度実施しますモデル事業では、保育の提供区域すべてにおきまして、私立の施設が受け入れを希望しておりまして、市立保育所では行わない予定でございます。本格実施については、区域ごとの利用者の状況を把握したうえで、受け入れ枠が不足する区域につきましては、市立保育所での受け入れも検討してまいります。

-山下議員

 市長は3月議会において「モデル事業を実施していく中で、保護者や実施施設の意見なども聞きながら、効果検証を行う」と答弁されました。十分な検証と、安心安全な保育制度の構築を国へ提言するためにも、モデル事業の課題を検証する検討会等の設置を求めますが、見解をうかがいます。

-村山市長

 モデル事業におきます利用者や受け入れ施設からの意見を聞きながらさらに検証して、令和8年度からの本格実施につなげる予定であります。これを踏まえてつなげる予定でありまして、検討会の設置までは考えておりません。

-山下議員

 空き定員があるところに「誰でも通園制度」を取り込むのではなく、ゆとりを持った職員配置に改善し、子どもが豊かに育つ権利を保障する保育制度を求め、次の質問に移ります。

 3点目は【発達に特性のある子どもと保護者への支援】についてです。本市の子ども・子育て施策における共通の課題として、必要な支援を必要な人に届けるための情報発信の強化があげられています。必要な支援が届き活用されるまでを手厚くサポートすることは重要であり、特に困難を抱える子どもと保護者への支援の充実、情報発信は欠かせません。そこで、発達に特性のある子どもと保護者が相談や支援につながるよう、どのような周知・活動が行われているのかお聞かせください。

-野口教育長

 教育プラザにおきましては、幼児教育センター、こども相談センター、学校教育センター、特別支援教育サポートセンターの4つのセンターにおいて、教育と福祉が連携をして、子どもや保護者などに対するきめ細やかな相談・支援を実施するとともに、相談体制の強化に取り組んできております。発達に特性のある児童・生徒やその保護者の方々が、支援を必要とされた際に早期に相談につながりますよう、校長会議、教職員研修や関係者連絡会等におきまして、教育プラザの相談機能の周知を図りますとともに、情報がより多くの方々に届くよう、ホームページやポータルサイトでの発信、様々なパンフレットや電話相談カードなどを配布するなどして、情報発信の強化に取り組んできております。

-山下議員

 発達障害者支援法の改正を受けて、2019年に石川県が、保護者の声をもとに「つなぎ つながり手帳 ライフブック」を作成しています。このライフブックは、保護者と医療、教育、福祉などの関係者が、子どもの特性やこれまでの支援内容を共有し、切れ目のない支援を行うことで、発達に特性のある子どもの健やかな育ちを保障するためのツールとなっています。しかし、実際にライフブックに記入したものの「関係機関の職員がその存在を知らず活用できなかった」という保護者の声もあります。未来プランで掲げている「きめ細やかな連携」は、保護者や子どもがつらい思いを抱えないためにたいへん重要です。福祉、教育など関係機関への周知や研修を充実させ、子どもや保護者へのきめ細やかな支援体制をさらに充実していくことを求めますが、いかがですか。

-野口教育長

 発達に特性のある子どもの支援につきましては、ひとりひとりの保護者のニーズに柔軟に丁寧に応じ、保護者と保健・教育・福祉・医療等の関係者が、子どもの個性や特徴、それぞれの機関・施設で行われた支援等について情報を共有し、切れ目のない一貫した支援を行うことが重要であると考えています。そのためにも、学校や教育機関等に対する研修と、支援体制の充実に引き続き取り組んでまいりたいと思っております。

-山下議員

 次に【不登校について】うかがいます。現在、小中学生の不登校は全国で34万人を超え、この10年でその数は小学生で5倍に、中学生は2.2倍に増加をしています。

5月23日、日本共産党は「不登校についての提言」を発表しました。提言では、不登校をいのちの問題と捉え、「不登校は子どもや親のせいではない」「安心して休んでいいんだ」と示したことは、私自身不登校の子を持つ保護者としてとても救われるものでした。不登校が子どもの「怠け」や親の「甘やかし」と誤解されることなく、子どもの心の傷を癒し、安心して休める環境を整えることが重要だと考えます。

 6月9日の参院決算委員会で、我が党の吉良よし子参院議員が石破首相に「つらいときには学校を休むことが必要だとメッセージを発するべきだ」と求めたところ、首相は「子どもの人権が尊重されるために学校を休むことも必要だ」と答弁しました。そこで教育長にうかがいます。金沢市の子どもや保護者に向けて、「つらいときには学校を休むことが必要だ」とメッセージを発信していただけませんか。

-野口教育長

 国からの「不登校児童生徒への支援の在り方について」という通知文には、学校に登校するという結果のみを目標にするのではなく、児童・生徒が自らの進路を主体的にとらえて、社会的に自立することを目指す必要があること、加えて、児童・生徒によっては不登校の時期が休養や自分を見つめなおすなどの積極的な意味を持つことが示されております。この通知文を各学校にお示ししてあります。またこれに加えまして、あべ俊子文部科学大臣からの「いのちよりも大切なものはありません。学校に行くことが苦しくなったときにも、教室以外でも安心して勉強できるように頑張っています」などとしたためられたメッセージなども合わせて通知をいたしております。この阿部大臣のメッセージには私も共感しておりまして、まずはメッセージにしたためられたことに取り組んでいきたいと考えております。

-山下議員

 私たちの提言では、不登校の支援を「子どもの心の傷への理解と休息・回復の保障」を基本に据えることを提案しています。教育委員会として、不登校をいのちの問題として捉え、子どもたちの心の回復を最優先にする考えがあるか、見解をうかがいます。

-野口教育長

 教育委員会は、不登校を「いのちの問題」としてとらえております。そのために、各学校には本市で作成をいたしました不登校の未然防止・初期対応ガイドブックを積極的かつ有効に活用することや、不登校対策連絡会等で児童・生徒のエネルギーの回復等に向けて、登校を強く促すこと、勉強の不安を喚起することがないように配慮することを伝えております。また令和6年度より導入いたしました心の健康状態を把握する「ここタン」を有効に活用して、メンタルヘルスの悪化や児童・生徒の発するSOSの早期発見、早期支援につなげていくように各学校に指導をいたしております。

-山下議員

 また、子どもの休息と回復を支えるには、保護者への支援を手厚くし、保護者の安心を増やすことが欠かせません。提言では、情報提供や相談支援の拡充、給食費やフリースクール、交通費の負担軽減、保護者のつながりへの支援など提案しています。精神的にも経済的にも負担を抱える保護者に対して適切な支援がなければ、保護者自身が疲弊し、子どもへの対応が難しくなることもあります。不登校の子どもを支える保護者への支援の重要性を、教育委員会としてどのように認識しているかうかがいます。

-野口教育長

 不登校児童・生徒の保護者への支援につきましては、児童・生徒自身への支援と並んで大変重要であると考えております。具体的には、保護者と信頼関係を作ることや、気軽に相談できる体制を整えることによって、そのご家庭の状況を把握し、相談や福祉・医療等の関係機関と連携を図りながら対応することが不可欠であると捉えております。各学校では、先にも触れましたが、不登校の未然防止・初期対応ガイドブックに基づいて、保護者の心情に寄り添いながら、求めに応じてスクールカウンセラーや関係機関等につないでおります。今後もきめ細やかで専門的な相談や支援が行われますよう、各学校に対して指導・助言をしてまいります。

-山下議員

 子どもの不登校は、保護者の仕事にも大きく影響します。仕事を休んだ、正規職員からパート職員にかわった、仕事を辞めた、など身近にこうした実態があります。今年1月、厚生労働省が介護休業の対象を「引きこもりや不登校の状態にある対象家族」にも適用できるよう見直しました。こうした国の動向を受けて、本市でも企業への周知や、市職員への適用を進めていくことを求めますが見解をうかがいます。

-村山市長

 本年4月に改正育児・介護休業法が施行されまして、常時介護を必要とする状態に関する判断基準が見直されましたことから、今後本市ホームページにその情報を掲載し、周知を図ることとしております。また、職員の介護休暇の適用につきましては、個々具体のケースに応じて、不登校の子が判断基準に適合するかどうかを確認する必要がありますが、今後相談等がございましたら、丁寧に対応してまいりたいと考えております。

-山下議員

 「学びの多様化学校設置検討委員会」で、「子どもたちが行きたくなる学校に」という意見が出されました。いま学校に行きづらいと感じているのは子どもだけではありません。この20年間で精神的な理由で休職した教員は6倍に増えており、「忙しすぎる学校」が教員にも負担をかけています。この状況を改善するためには、教育政策を根本から見直す必要があるのではないでしょうか。私たちは不登校の提言の2つめの柱に、教員の多忙化を解消し自由を保障すること、過度な競争と管理を見直し、子どもを大切にする学校づくりを提案しています。子どもも教員も通いたくなる学校への改革を求めますが、見解をうかがいます。

-野口教育長

 私は常々、子どもたちが通いたくなる学校とは、すべての子どもたちが楽しいと感じ、互いの個性や多様性を認め合いながら、安心して学校生活を送ることができる学校であると考えています。また、教員が通いたくなる学校とは、様々なことに挑戦しながら成長していく子どもたちの姿を通して、教員としての喜びや充実感を感じられる学校であると考えております。私も36年間学校に勤務いたしましたが、その間、子ども同士の対話や子どもと教員との対話、教員同士の対話が日々交わされる中で、それぞれひとりひとりの存在が大切にされる、そんなことをしっかりと感じられるような学校づくりを行ってきたつもりであります。子どもたち、そして先生方も通いたくなる学校づくりに向けて、そのために必要だと思っているコミュニケーション力を身につけることができますように、新金沢型学校教育モデルを通してしっかりと取り組みを進めてまいりたいと考えております。

-山下議員

 次に【中学生のキャリア教育】についてうかがいます。社会の変化が急速に進み、将来の職業や生き方が多様化する中で、義務教育においても、子どもたちが自らの将来を主体的に考える力を育む「キャリア教育」の重要性が高まっています。様々な分野で活躍する人たちと出会い、価値観や仕事への姿勢にふれることは、子どもたちにとっても貴重な経験だと考えます。一方で体験先の調整には多くの労力がかかることや、体験活動が重視されるあまり、日々の学習とのつながりが薄れてしまうという課題もあると聞いています。そこで、本市における職場体験学習の現状や、実施にあたっての課題についてお伺いします。

-野口教育長

 中学校における職場体験は、小学校での職場見学から高等学校でのインターンシップへと体験活動を系統的に繋げていく意味において大変重要な役割を持っていると考えております。多くの学校では、主に中学2年生が平日に2日間から3日間、事業所に行って職場体験を行っております。校区によっては子どもが自宅から通える事業所が少ないこと、子どもが希望する職種と受け入れ先事業所の職種の需要と供給のバランスが一致しないこと、コロナ禍以降、受け入れ先の事業所数が減少していることなどが課題であると捉えております。

-山下議員

 市内の中学校における職場体験において、自衛隊が受け入れ先として選ばれていると伺いました。自衛隊石川地方協力本部によると、6、7月は市内11校で予定されており、今後増える可能性もあるとのことです。自衛隊が受け入れ先として選ばれた経緯や、その体験内容について教えてください。

-野口教育長

 職場体験の受け入れ先につきましては、各学校におきまして、事業所や地域との深い連携、協力関係のもとに選定されており、自衛隊もその中のひとつとして、学校での協議と学校長の判断で選定をされております。自衛隊での主な体験内容は、テント張り体験、災害時に役立つロープワーク、AEDの操作や心臓マッサージを含む応急救護など、社会貢献に関するものになっております。

-山下議員

 自衛隊は、災害時の派遣や人命救助など重要な役割を担っていますが、一般の公務員では扱わない武器を取り扱う組織です。そのため、体験に参加する中学生が恐怖や不安を感じたり、過度に関心を持つ可能性も考えられます。中学生は心身ともに発達途上にある大切な時期です。自衛隊の体験学習において、生徒への十分な配慮がなされているのか伺います。

-野口教育長

 職場体験にあたりましては、各学校は受け入れ先に対して中学校段階での職場体験の狙いを説明し、十分にご理解いただいたうえで、活動内容や活動時間等について調整をしたうえで実施をいたしております。子どもたちに対しましては、3年間見通した計画的・系統的なキャリア教育の一環として、自分の適性や将来設計について考え、職場体験の狙いを十分に理解をし、ご家族や先生、上級生などからの情報も踏まえながら、主体的にこの職場体験に臨むように事前指導の中で指導をさせていただいています。

-山下議員

 また、保護者の中には「危険なことをするのではないか」といった心配の声もあると聞いています。そうした保護者に対して、丁寧な説明や配慮がされているのかもお聞かせください。

-野口教育長

 職場体験に対する保護者のご理解は、生徒の成長と体験の質を高めるうえで非常に重要であると考えております。子どもたちが体験先を選択する際の、保護者からの情報提供、またアドバイスのほかにも、体験中の相談や励まし、送迎などのサポートを得ることが期待でき、職場体験がより充実するものに繋がっているものと捉えております。そのため、各学校では事前にお便りで職場体験の狙いについて周知をし、学年懇談や個人懇談の際にはスライドなどを用いて受け入れ先や活動内容の詳細を伝えるなど、丁寧な説明によって保護者のご理解と協力を得ることができるように努めております。

-山下議員

 日本が加盟する国際刑事裁判所に関するローマ規定や、批准する子どもの権利条約においては、子どもと武力との関わりについて慎重な対応が求められています。全国には、戦車に乗せる、武器に触らせるといった体験が行われたことに批判の声も寄せられています。本市においては、そのような体験が行われないよう、明確な方針をもって対応すること、また職場体験のあり方については、教育基本法に基づく教育の目的を踏まえ、改善・工夫を重ねていくことを求めて、この質問を終わります。

 最後に【高齢者の在宅生活を支える施策について】うかがいます。本市においても、高齢者の独り暮らしや高齢者のみの世帯が増加しています。家族形態や地域コミュニティーの変化の中で、特に独居の高齢者が抱える孤立や孤独死という課題がより一層深刻化し、当事者からも不安の声を聞いています。高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けるためには、見守り支援は不可欠であり、命に関わる重要な取り組みだと言えます。そこで、本市が高齢者の見守り支援に取り組む意義についてお聞かせください。

-村山市長

 高齢者世帯の見守りについてであります。本市ではひとり暮らし高齢者や高齢者のみの世帯について、地域ぐるみで見守り活動が行われております。支援が必要な方の早期発見・早期対応につなげるために、大変重要な役割を果たしております。本市としてはこの住民相互の支え合い活動が促進されるよう支援をし、誰もが住み慣れた地域で安心して生活することができる環境を創出していきたいと考えております。

-山下議員

 「ひとり暮らし高齢者緊急通報システム」について伺います。本市の緊急通報システムは、緊急時の通報や相談対応に加え、火災報知器や人感センサーとの連動機能を備えることで、高齢者の見守り体制を強化してきました。しかし、現行のシステムは固定電話回線を前提としており、近年、詐欺対策などの理由から固定電話を解約する高齢者も増える中で、制度を利用したくても利用できないケースが生じています。実際に、民生委員から「独居高齢者に勧めたくても、携帯電話しかなく、不安の解消につながらない」との声も寄せられています。こうした現状を踏まえ、携帯電話型や無線型の緊急通報システムの導入が必要だと考えますが、見解を伺います。

-山口福祉健康局長

 緊急通報システムにつきましては、75歳以上の独居高齢者等を対象に実施しております。携帯電話の回線を利用するシステムを導入することにつきましては、今のところ費用面での課題がございまして、現時点では考えておりません。

-山下議員

 次に【在宅ねたきり老人等介護手当金】について伺います。本市では、65歳以上のねたきりや重度の認知症の高齢者を在宅で常時介護する方に、月額5,000円の手当金を支給しています。近年、介護を取り巻く環境は大きく変化し、介護費用の増加、介護者の高齢化、介護離職の問題など介護者への負担は一層重くなっています。これらの状況をふまえ、介護手当金制度の見直しが必要だと考えます。

 まず第一に、支給額についてです。1989年の制度開始以来、支給額は据え置かれたままです。消費税の増税や物価高騰など介護に伴う経済的負担は増加しています。所得や介護の実情にそった支給額の引き上げを求めますがいかがですか。

 第二に、支給要件についてです。近隣に住みながら日常的に介護する「別居介護」も増えています。同居でないことを理由に対象外とするのは、制度の趣旨に照らしても見直すべきです。他自治体では、半日以上介護している別居家族を同居とみなす例もあります。実質的に介護を担う別居家族も支給対象とするよう見直しを求めますがいかがですか。

-山口福祉健康局長

 本市の介護手当金は、現にねたきりまたは重度の認知症の高齢者と同居し、常時介護する者であって、生計を一にしている配偶者または3親等内の親族に対して、その労をねぎらうために支給をしております。このため、常時介護者への慰労金の性格が強いものでございますことから、手当額の引き上げであったり、別居の介護者を支給対象者に加えるといったことは考えておりません。

-山下議員

 第三に、手続きについてです。現在、申請には民生委員の訪問、確認が必要とされ、支給は現金での手渡しであり、介護者にとって心理的・実務的負担となっています。プライバシーの問題や手続きの手間などが制度利用のハードルとなっている可能性も考えられます。電子申請や口座振込など、より簡素でかつ尊厳を守る申請と支給方法への見直しを求めますがいかがですか。介護者の実情に寄り添った対応を求めます。

-山口福祉健康局長

 介護手当金の支給の申請にあたりましては、民生委員がねたきり高齢者等や介護者の支給要件を満たされているかというようなことを確認することとなっております。そして、介護手当金の支給は民生委員が対象世帯に持参することとなっております。この持参する場において、ねたきり高齢者等やその家族の状況を確認できるひとつの機会となっておりますので、申請方法であったり支給方法を変更することは考えておりません。

-山下議員

 最後に【訪問介護事業所への支援】についておたずねします。国が2024年4月の介護報酬改定において、訪問介護の基本報酬を2~3%引き下げたことにより、全国でも事業縮小や廃業が相次いでいます。とりわけ小規模事業所が大きな打撃を受けています。訪問介護事業所は、介護を必要とする人のいのちと生活を守るうえで欠かせません。訪問介護事業所の危機的な状況を受けて、世田谷区では基本報酬引下げに伴う事業所の減収分の補填として、一律88万円の独自支援にふみ出しました。品川区でも、事業規模に応じ1事業所あたり年間12万円から240万円を支給する補正予算案を6月議会に提出するとのことです。本市においても、こうした自治体独自の支援策を参考に、減収分の補填など訪問介護事業所を支える対策を緊急的、臨時的に講じるべきです。市長の見解をうかがいます。

-村山市長

 介護保険制度は、サービス内容や要介護度等に基づいて介護報酬を決定し、全国統一で運用しているものでありますので、現時点で訪問介護事業者への本市独自の支援は考えておりません。なお、報道等によりまして、訪問介護事業者の経営が厳しいということは理解しております。全国市長会が3年に1度の報酬改定を待たずに、臨時改定を行うように国に要望しております。その対応について注視をしております。

<追加質問>

-山下議員

 不登校について伺います。教育長は大臣のメッセージに共感するということでしたけれども、ぜひ教育長の言葉で発信をお願いします。

-野口教育長

 これまでもコロナ禍におきましても、学校に行くことについて子どもたちに私の方から直接メッセージを発信をさせていただいております。やはりメッセージを出すということは、そのタイミングがとても大事だと思っておりまして、そのタイミングというものを見計らいながら、これからメッセージを出すことについて考えていきたいと思っております。

-広田議員

 わたしは、日本共産党市議員団の一員として以下質問いたします。

市民のくらしと地域経済をどう守るか

消費税の負担と減税の必要性について

-広田議員

 市長、物価高騰で、市民生活はかつてないほど厳しい状況です。とりわけ、消費税の負担は所得が低い方ほど重く、グラフで示したようにわが党の試算では、年収1,000万円を超えてようやく、所得税の負担率が消費税を上回る水準です。つまり中間所得層も含め、実質的には消費税の逆進性が市民生活を直撃しているのです。家計構造調査では、金沢市における年収1,000万円以下の世帯は82%にも上ります。市長は市民の消費税の負担状況についてどうお考えでしょうか。

-村山市長

 昨今報道されております消費税の減税をはじめとして、消費税のあり方については様々な意見があることは承知しております。物価の高騰や実質賃金の減少が続く中で、これまで以上に消費税の負担感が増しているということが減税を求める声に繋がっていると理解しております。一方で、国家財政全体を見たときに、少子高齢化が急速に伸展しているという現状において、消費税が社会保障制度を維持・継続させるために必要不可欠な財源であるともとらえております。

-広田議員

 市長もご認識のとおり、本来は所得税などで応能負担となるべきが、今、消費税で低所得者から搾り取っている状況だということです。だからこそ、かってない消費税減税・廃止の声が高まっていると言えます。

 消費税導入と度重なる増税、一方で法人税・所得税減税とのセットは、財界の強い要求で実施されました。消費税率は1989年の導入当初の3%から現在の10%に引き上げられましたが、法人税の実効税率は1990年度の52%から2023年度にはおよそ30%にまで引き下げられ、所得税の負担率では所得1億円を超えると下がってしまう状況となっています。結果、国の一般会計では消費税が最多の税収です。累計では消費税導入から37年間で571兆円もの税収に達していますが、かたや大企業の法人税や富裕層の所得税などの減税は605兆円にも及んでおり、消費税はこの減収の穴埋めに使われたにすぎません。よって、市長もおっしゃる「消費税が社会保障の財源」という説明は成り立ちません。市民の負担を減らす、税の累進性を機能させる、そして社会保障制度の財源を確保するためにも、消費税減税と同時に、大企業や富裕層への税率を増やす必要がありますが、市長、この点についてどうお考えでしょうか。

-村山市長

 消費税を始めとした税の体系は、低所得者への配慮はもちろんのこと、景気への影響や世代間の公平性など、様々な観点から総合的に判断されたうえで、国が責任を持って構築すべきものであると考えております。人口減少社会を迎えまして、国家予算の根幹をなす国税や社会保障の制度設計は、何よりも将来世代が安心して暮らせる持続可能な仕組みであるということが重要ととらえております。


地域経済と中小企業への支援

-広田議員

 市長、法人税を減税しても賃上げや設備投資、下請け支援などには回らず、巨額の内部留保が積みあがりました。いまや大企業の内部留保は564兆円と過去最大となる一方で、中小企業や労働者の賃金は物価高に追いついていません。金沢市では市税が増加しているかもしれませんが、税率が変わっていない以上、それは物価の上昇などによるもので、市民の実質賃金や生活が改善しているとは言えません。このような状況の中で、都市再生緊急整備によってプレーゴの土地をはじめとした地域資産が県外大手資本に買収されている実態は見過ごせません。市民生活や地元経済を支えるのではなく、むしろ中央資本に偏重する政策の結果と考えます。今回の予算案では中小企業への対策も盛り込まれましたが、市長、地域経済活性化のためには、これまでの大手企業呼び込み型のまちづくりではなく、市民と地元中小企業を支える施策に転換することが必要ですがいかがでしょうか。

-村山市長

 地元中小企業に対しまして、今回の補正予算におきましても、米国の関税措置を受けて、資金繰りや新たな海外ファンドの開拓を支援するとともに、物価高騰対策として電気料金の一部を助成するほか、公共事業費の確保に努めたところであります。加えまして、継続的な中小企業等の振興を図るための条例の制定作業を現在進めておりまして、引き続き時勢をとらえたきめ細やかな支援に取り組んでいきたいと考えております。

 一方で、工業団地への企業立地はもちろんのこと、金沢駅周辺や都心軸沿いのビルなどにおいて、積極的な民間開発が行われるということ、これについては地元企業への発注や雇用が創出されるという効果もございます。地域経済の活性化に繋がると考えております。


物価高騰への支援策拡充を

-広田議員

 物価高騰や電気代の上昇により、熱中症予防で大切なエアコンの使用すらためらう家庭もあります。東京都や大阪市、県内では輪島市など、他自治体では水道代基本料金の無償化を通じて命を守る対策を進めています。本市でも非課税世帯等への福祉光熱費支援の予算案が出されましたが、先程示したとおり、今の消費税や物価高騰は中間層にも深刻な影響を与えています。市民全体を対象とした支援が必要です。水道基本料金の無償化を求めます。金沢市では4カ月間で約8億2,200万円の財源が必要との試算ですが、私は市民全体に対して命と生活を守るために必要だと考えますが、いかがでしょうか。

-村山市長

 電気・ガス・ガソリンなど、全国民の生活に影響があるエネルギー価格の引き下げ対策を国が行っているという中で、本市ではこれまでも物価高騰の影響を特に強く受ける低所得世帯や地域経済を担う中小企業等に対して、重点的に対策を講じてきたところであります。夏場のエアコンについては、ぜひ躊躇なく使っていただいて、そして健康を守っていただくということが大事だというように思いますが、財源には限りがあります。水道料金の基本料無償化など、多額の財政需要が見込まれる全市民を対象とした支援策について実施するというのは難しいと考えております。

-広田議員

 市税が過去最高という今こそ、私は市民全体にこうした施策が必要だと考えます。


医療・福祉・介護分野の支援強化を

-広田議員

 市長、物価高騰の中、医療・福祉・介護分野は物価高騰や消費税を患者さんや利用者さんに転嫁できません。経営努力と職員の処遇をおさえてなんとか成り立っています。医療機関では経営が深刻で、全国病院の約7割が赤字との報告もあります。本市にも先程報告がありましたけれども、市立病院がありますが、中核市市長会は政府に対し5月末に、物価高騰に見合った医療機関への緊急財政支援などを求める提言を出しています。介護についても、介護報酬が引き下げられた訪問介護で廃業が相次いでいる状況です。県も含め、これらの分野への物価高騰支援が出されていますが、私はそもそも、医療・介護危機の大本には、診療報酬・介護報酬を抑えてきた国の責任があると考えます。国へ、実態にあった早急な改善を求めるべきですがいかがですか。

-村山市長

 ご指摘いただきました医療・介護サービス等、これは公定価格によって定められておりますので、物価高騰を適時報酬に転嫁できない仕組みとなっております。こうしたことから、社会経済情勢等に応じて報酬の改定時期を待たずに必要な見直しを行うなど、柔軟に対応していただくように、全国市長会から国へ緊急要望をしているところであります。国の動向を注視してまいりたいと考えています。

-広田議員

 このままでは身近な地域医療や訪問介護がなくなってしまいます。ぜひ、引き続きしっかり求めていただきたいと思います。

被災者支援の継続について

被災者の医療費窓口負担・介護利用料の免除の延長を求める

-広田議員

 被災者の医療費窓口負担・介護利用料の免除についてですが、これは6月末まで延長されることになったのですが、その後は市町の判断となっています。金沢市では、国保で400名、広域の領域になりますが後期高齢で433名、介護サービスで179名が対象です。月平均で、国保は200万円、介護も200万円の実績とお聞きしています。医療・介護の支援は命を守る基盤です。さらなる延長を求めますがいかがでしょうか。

-村山市長

 能登半島地震の被災者に対する国民健康保険の負担金や、介護保険のサービス利用料の免除であります。これは本市については、国の財政支援の対象外でありますが、被災者が多い能登の市町においても、現時点で免除を延長する動きがみられてはおりません。そのため、期間を延長することは考えてはおりません。

-広田議員

 市長、多くの被災者が今後の見通しも立たない状況で次々に制度が打ち切られていくというのは、あまりに冷酷です。アンケートでは、この支援がなくなれば「影響が出る」という方は8割を超え、「生活費を切り詰め医療費に回す」とか「受診回数を減らす、我慢する」と答えている方、中にはがん治療の方もいます。そして金沢市には、能登で医療を受けられないという理由で避難してきている方もいるんです。そんな方々の命や介護の支援を、市長、本当に切り捨てるんでしょうか。いかがでしょうか。

-村山市長

 今ほど申し上げたとおり、本市は国の財政支援の対象外である中で支援を行っているということでありますが、被災者が多い能登の地域でも延長するという動きがみられないということを受けて、今回延長することは考えていないということであります。

-広田議員

 市長のお気持ちはどうなんでしょうか。あとであわせてお答えいただきたいですが、市の財源が打ち切られている、それは私も存じています。そして国保について、私は石川県が「市町の判断だ」と報道で述べ、とても他人事のように言っていますけれども、もう都道府県化されているんですよね。責任を持つべきだと思います。そして、被災者は県内を移動しています。国は9月末まで延長すると言ったんですよ。だけどもさきほどおっしゃったように、金沢市もそうですが、被災者の数によって国からの財源が削減されるというのはおかしいと思いますし、そうでないところでももっと支援が必要です。市長、6月末以降も続けられるように、県が主体的に国と協議し、財源の確保など含め調整を図るよう、市としても求めていただきたい、そして市長のお気持ちも聞かせていただきたい、お願いします。

-村山市長

 先程財源の状況、能登の状況についてお話をさせていただきました。そうした中で、県を通じて国に対して財源の確保などについてはこれまでも要望を行ってきたところであります。

 被災された方々には、ぜひ医療について、あるいは介護について、遠慮せずに受けていただきたいというように思っています。

-広田議員

 本当は行政のみなさん、そう思っていると思うんですよ。ところが国・県が責任を持たない。「だったら市がやろう」という心意気をぜひ私は市長に見せていただきたいですし、ぜひ今言った国・県の調整も行っていただきたいと思います。

保険証の廃止に関する混乱と対応

資格確認書の一斉交付を求める

-広田議員

 国保の多くの方が7月31日で現行の保険証が失効します。本市の場合は資格確認書が全員に交付されるのは後期高齢者医療保険の75歳以上のみです。それ以下の方には、紐づけしていない方のみに限定して配られます。よって本市の国保では、7万1千名のうち紐づけしている4万8千名、68%の方に「資格確認書」は届きません。一方で、マイナ保険証の利用率は3月時点で27.3%と低いほか、5年ごとの電子証明がこれから増加し、本市では今年度6万9千名の方が対象です。しかし、保険証の失効をめぐり様々な混乱がすでに起きています。私にも今週、有効期限が切れ、どうしたらよいかわからず、受診を何日も控え、救急搬送となるご相談がありました。渋谷区や世田谷区では、受診機会を確保するため、国保加入者全員に「資格確認書」の一斉交付を行うとしました。事務負担の軽減になるとの見方もあり、本市も行うよう求めたいと思いますがいかがですか。

-村山市長

 資格確認書については、国民健康保険法において被保険者がマイナ保険証により電子資格確認を受けることができない場合に交付するとされておりますので、被保険者全員に交付することは考えておりません。マイナ保険証を私も利用しておりますけれども、利用に対して戸惑うことはありませんでした。また様々なデータを紐付けしていただくことによって、過去の診療履歴なども確認することができる、非常に便利なものであると思っております。引き続き、制度の周知を図るとともに、市独自のコールセンターを設置するなど、市民に対する丁寧な説明に努めたいというように思っております。電子証明書の更新の仕方がわからないときには、ぜひ相談窓口にご相談いただければというように思います。

-広田議員

 先程の方は、具合も悪くなっているんですよね。救急車で運ばれて、もう相談する余裕もないんですよ。そういう方を生まないように、資格確認書が手元に来れば、すぐに躊躇なく病院に行ける。そういう体制を整えてほしいというお願いです。

 そして市長は法律のことを出しますけれども、6月6日の厚生労働大臣の答弁で「資格確認書の交付は自治体の事務であり最後は自治体の判断である」と、事実上一斉交付を容認しています。市長、市長の判断で可能なんです。市長の判断で、市民の命が左右されます。いかがですか。

-村山市長

 私としては、全員に対して資格確認書を交付することは考えておりません。

-広田議員

 なぜそこまで頑ななのかなと思うんですよね。国会でも事実上容認しているのに、何を守らなければいけないのか。私には事例がいくつも届いています。市長にもお声が届いているんじゃないでしょうか。市長の判断でいけますから、資格確認書の一斉交付、求めておきたいと思います。

金沢方式と地元負担の見直しについて

公民館運営費の地元負担

-広田議員

 今年度、公民館運営費の地元負担割合が軽減されました。しかし、現場にお話を伺いますと、これまでも消費税や物価高騰分は地元で吸収してきた経緯があり、なかなか地元負担の軽減にはならないという声も聞かれます。まず実態をどう把握されているのか、お答えください。

-堀場教育次長

 今般の金沢方式の見直しは、地元負担を軽減することを目的に、市からの公民館運営委託料の負担割合を一律75%から、世帯数に応じて80~90%に引き上げたものでございます。一方で、実際の地元負担の金額につきましては、実情に応じてそれぞれの地域で決定されるものであり、すべての地域において検証したかについては必ずしも一様ではないと思っております。

-広田議員

 そうなんですよね。市側が負担割合を上げたからといって、地元負担が下がったかは一律ではないと。しかし市民からはすでに、地元負担の割合が下がったからには、各町会1世帯あたりの負担が減らなくては意味がないというふうなお声が届いています。ただ解明していくと、なぜそうならないかというと、市は委託費として4/5を渡しているだけで、地元負担分はあくまで理論値なのです。実態は、ただ委託料を減らしているというだけに過ぎないんじゃないかと考えますがいかがですか。

-堀場教育次長

 公民館への委託料につきましては、金沢市の負担割合に応じた分をそれぞれの公民館に指定管理料として委託して支払いしているものでございます。その他の、地域が負担する分については、様々な要因があり地域で決めるものだと思っております。

-広田議員

 指定管理者制度に則ってですけれども、ただその中で、市がみる分と地元負担がみる分を提案してもらって選考しているというふうに聞いています。だから最初から、金沢市は4/5しか出さないと言っているだけであって、1/5がどういうふうに集められているのか、もしくは本当に1/5で足りているのかということは、実態がわからない状況ですよね。その点、いかがですか。

-堀場教育次長

 繰り返しになりますが、それぞれの地域の実情に応じてそれぞれの地域で負担額を決めていると思っております。

-広田議員

 そこで今回補正予算にも出てきました、激変緩和措置に関わる算定方法の見直しについてです。これも深く掘ってみると不思議なことをしていて、激変緩和として計算上で30万円の差し引きをしているということなんですけれども、まずこの30万円というのはどういう根拠があるのかという点と、そもそも委託費の算出が2年前の決算ベースになっている。私はこのことからも、事業の中身もよくわからないし、未来をこれから始めるのに、決算ベースでいいのかというふうに思うんですけれども。他の指定管理者制度ではもちろん予算ベースが採用されております。せめてまず、予算ベースで行うように求めますがいかがですか。

-堀場教育次長

 激変緩和調整は、地区公民館運営費の急激な増減を抑制することで、事業計画が立案しやすくなり、公民館運営の安定性・継続性確保につながることから行っております。現行の激変緩和調整につきましては、平成17年度の指定管理者制度導入の際に変更したもので、従前50万円で調整していた際の実績の額に基づき、現行の30万円としております。また、公民館の運営委託料につきましては、人件費は現配置職員の所要額に基づいて算定し、管理費及び事業費は、額が確定している直近の決算額に基づき算出し、これに激変緩和調整を加味し、算定を行っております。年度当初に速やかに各公民館に委託料を支払いするため、額が確定している決算額により算定しており、特段このことにつきまして公民館側からの変更を求める要請はなく、変更は考えておりません。

-広田議員

 しかし現に、地元負担を引き下げられないというふうに言っている公民館があるんですから、私は実態をちゃんと反映していないというふうに考えます。引き続き精査を求めたいと思いますが、教育長、いかがですか。

-野口教育長

 今お求めになりました精査につきましては、しっかりとやっていきたいと思っております。

-広田議員

 お願いします。


消防分団機械器具置き場の地元負担について

-広田議員

 材木分団の機械器具置き場の移転・建て替えが行われようとしていますが、土地と工事費を合わせた地元負担が3月議会の予算上では3,186万円とされており、地元では1世帯1万円の負担を求められています。一方、同時期に移転補償などによって少額負担で済んでいる地域もあり、市長の地域ですね、市の施設としての公平性に疑問の声が上がっていますがどのようにお考えでしょうか。

-村山市長

 公共事業のために支障となって移転を余儀なくされた場合について、国土交通省が定める「公共用地の取得に伴う損失補償基準」に基づいて保障費を算定して、地元に保障している、その部分が反映されているものだと捉えております。

-広田議員

 支障は他にも出ているんですよ。それでは材木消防分団ですけれども、現在、九人橋川という用水上にあり、昭和48年に建てられ、老朽化もしています。用水上ですので、5年ごとの占用許可の更新をしていますが、地震・水害へ耐えられるのか常に住民から懸念されています。そして同地は金沢城下町遺跡でもあり、文化財保護の観点からも課題があります。まずは移転整備ということになっていますけれども、なぜ現在は建設許可が得られず、当時は得られたのか、あきらかにしてください。

-油消防局長

 材木分団機械器具置き場は昭和48年当時、地元建設委員会が建築し、本市に寄附しておりますが、どうして着手することができたかまでは把握してございません。

-広田議員

 今建てようと思うと同地では認められないんです。だけども建設経緯もわからない、これは、地元への説明がつきませんよ、みなさんお金を集めようとしたって。それで私は言いたいんですね、そういう歴史的な経緯も含めて、やっぱりこれは市の市有施設ですから、市有施設としての責任で、構造的にも歴史的にも不適格な場所に建てたということで、市が責任をもって移転するべきだと思いますが、いかがですか。

-油消防局長

 当時の河川敷の管理者が許可を出していますが、ただ昭和48年本市でこの建物の確認をしておりますが、建設当時の基準には適っておったということは認められております。

-広田議員

 用水の管理者は許可を出したというんですけれども、証拠書類は出てきたんですか。お願いします。

-油消防局長

 当時、用水敷の管理者が県であったことを把握し、その旨で許可を出したということは確認が取れております。ただ、そこから県の方で意思形成がなされて許可が出された詳細についてはわかりかねております。

-広田議員

 私は証拠書類を見つけてほしいと思います。求めておきます。


消防分団の制度的矛盾

-広田議員

 消防分団は市の組織であるにも関わらず、施設整備では地元を事業主体として扱うことに制度的矛盾があると、これはかねがね申し上げてきました。そのため手続きの中で、機械器具置き場を市有財産条例に基づき、地元組織として消防分団に「譲渡」するという例があるとお聞きしていますが、なぜ市から市が設置する消防分団にこのことが可能なのか、法的にどう整理されているのか、明らかにしてください。

-油消防局長

 当該財産の寄附者が消防分団であれば、市有財産条例第7条第3号に基づき寄附者に譲与は可能であると考えております。

-広田議員

 まず、「寄附者が消防分団」というのもおかしな話なんです。消防分団は、消防署などと一緒で市が設置し、かつ中で働く消防分団員さんは特別地方公務員なんですよね。すべて市の組織と市の職員であるにもかかわらず、なぜ寄附をし、また譲渡するということが成り立つのか。おかしいんではありませんか。再度お願いします。

-油消防局長

 これまで金沢方式にかかる予算は、市政の長い歴史の中で毎年事業をお認めいただいていた経緯があるものであります。消防分団の施設整備の事業主体は地元であるため、移転整備に合わせ地元に譲与するものであります。

-広田議員

 認められてきたら通るというのが、この金沢方式の何の根拠もないルールということになるんですよね。

 それでは、消防分団に譲渡するということは所有権が消防分団に移るということになります。そうすると先程の移転補償がある場合は、その消防分団にその費用が支払われるということで、それでよろしいでしょうか。

-油消防局長

 地元主体で作られた消防分団でありますので、建設後、市の方に寄附をいただき譲渡するということになってございます。

-広田議員

 移転補償というのは、お金になるんですね、移転補償費。それを消防分団に渡すのかという確認をしています。

-油消防局長

 消防分団の移転補償のお話でございますが、お渡しする先になりますのは地元消防団の設置にあたって、例えば期成同盟であるとか、専従して設立に直接的な事務を担う、そちらの方に支払うことになります。

-広田議員

 所有権はあくまで消防分団に移ったわけですから、本来そちらに払われるべきなんですけど、これ、お金になると渡せないって言うんですね。それで、期成同盟会や建設委員会ということにしているようですが、まとめますけれども、私はこの間、金沢方式の実態を調べ思うのは、この金沢方式を遂行するにあたり、さまざまな面で辻褄合わせを起こしているということです。しかし、民主主義と法令根拠のうえではもう市民に説明がつかない限界に来ていると考えます。市長、見直しを求めますがいかがですか。

-村山市長

 これまで金沢市議会でずっとお認めいただいてきた金沢方式について、この金沢方式を今後どうするかというあり方の検討をずっと行ってまいりました。その中で、これまで地域が地元のものとして地元が運営するんだということ、それを大事にしてきたというのがこの金沢方式の本質ではないかというように思っております。今後とも継続できるように、今回の負担率の見直しをさせていただきました。金沢市の文化のひとつとして大事に継承すべきものだと考えております。

-広田議員

 継続するために法令根拠を見失ってはいけませんよ。ぜひ一緒に変えていきましょう。

公募委員のあり方について

-広田議員

 現在、市の審議会や委員会は109ほどありますが、そのうち約2割で公募委員が選任されています。しかし一部では、募集の際に市職員から前任者に事前に声をかける実態もあり、市民から「公平・公正ではない」とのお声が寄せられています。また、前任の方が引き続きという実態もあり、選考基準の明確化を求めるお声もあります。

 市長まずは、募集方法のあり方について改善を求めますがいかがですか。

-南市民局長

 公募委員の募集についての在り方のお尋ねがございました。委員の公募にあたりましては、市広報、ホームページへの掲載、報道機関への資料提供など、広く市民に周知しているところでございます。審議会によりましては極めて応募が少なく、選任が難しいということもございますので、現任の公募委員にお声がけしているというケースはございますけれども、選考にあたっては再応募された方も含め厳正かつ公平にとり行っておる次第でございます。

-広田議員

 声かけをやめないということなんですか。そこをはっきりお答えください。

-南市民局長

 どうしても、「声をかける」ということは「ご案内する」ということでございますので、必要に応じてそれは行うこともあろうかと思っております。

-広田議員

 今現に、それを知ってしまった応募した委員から「やらせじゃないか」という声も聞かれるわけですよ。声をかけられた方はそれが普通だと思って応募されているので、別になにも悪意はないと思いますけれども、みなさんの方は、やはり誤解を招きますよ。そして私が思うに、「周知する」って言っていますけれども、前任者が一番次公募するって知っているじゃないですか。だからその人に声かけする必要は一番ないんですよ。むしろ何も知らない一般の人々に声をかけるべきです。声かけやめてください、お願いします。

-村山市長

 委員への公募についてですけれども、様々な形で公募に応じられる方がいらっしゃると思います。声かけということについても、もちろん声がかかって応募される方もいると思いますし、それは様々な方法で公募に応じられるんだというふうに理解しております。

-広田議員

 私は特に「前任者の」と言っているんですよ、最初から。前任者に改めて公募の声かけをする必要はないでしょと、これは誤解を招きますよと、それを払拭してほしい、改善してほしいということなんです。お願いします。

-村山市長

 前任者にも当然応募の権利はあるということは前提としてお話させていただきたいと思いますけれども、そのきっかけについては様々な媒体があるというように承知をしております。 

-広田議員

 そりゃ、結果的にいろいろなところから声がかかることはあるかもしれないけれども、今、市職員から催促まであったということを聞いているんです。それだからやめてほしいと、誤解を招くと。じゃあ一般的に申し込んだ人たちは何だったんだと思うじゃないですか、真剣に申し込んでいるのに。だからそれをやめてくださいと。つまり一本釣りという感じですよね。

-村山市長

 仮に一本釣りをするのであれば公募という形ではなくてその委員に声をかけるというように思っておりますが、その詳細でどのようなことが行われたのかということは私は承知をしていないので、今的確な答弁が難しいということをご承知いただければと思います。

-広田議員

 いや、調べたうえで質問しているんですけれども。認めないのならあれですけれども。

 さいごに、公募委員の選任は2割にとどまっているので、条例に基づいて拡大を求めますがいかがですか。

-村山市長

 公募委員を増やしていくことによって、より幅広いご意見がいただけるように取り組んでいきたいと考えております。

新年度予算を中心にお話しします。

みなさんのご意見もうかがいます。

私は、日本共産党市議員団を代表して、反対討論を行います。

 わが党は、提出された議案62件のうち、議案第65号、議案第67号、議案第71号、議案第72号、議案第75号、議案第76号、議案第81号、議案第85号、議案第88号、議案第94号、議案第100号、議案第101号、議案第104号、議案第123号の以上14の議案に反対であります。

 その主な理由を述べます。

 市民生活と営業をめぐる状況は、一段と厳しい状況を迎えています。厚生労働省が行った国民生活基礎調査で生活が「苦しい」と回答した世帯は約6割にのぼっています。また、中小企業をめぐっては、諸経費の値上がりが続き、業績改善は容易ではなく、今後は倒産、廃業が増加する事態となっています。こうした中、「政治とカネ」をめぐる問題で政治不信が極限まで高まっています。石破首相の10万円商品券配布問題は、厳しい世論が沸き起こっています。高額療養費引き上げをめぐって国民の批判の高まりの中、実施凍結に追い込まれました。

 共同通信社が、今月の22日23日に実施した世論調査によると、石破内閣に対する支持率が1か月前に実施した調査から12.0ポイント急落し、27.6%だったことが報道されました。

 石破内閣は、国民の信頼を失っています。

 新年度国の予算において、9兆円にも上る防衛費計上は、まさに暮らしと平和を壊す政治そのものとなっています。こうした中、金沢市新年度予算が一般会計で初めて2000億円を超える規模となりましたが、わが党は、市民生活と営業を守る上で市政の転換を求めるものです。

 第1に、市民の願いにこたえた予算となっていません。まず、市民負担を増やすことには、反対です。

 その1に、国民健康保険料を引き上ることです。前年度に比べ平均で12.5%引き上げられ、金額で1万3942円の増加となります。中には、45歳の夫婦で、夫だけの収入、中学生と高校生の子ども二人の世帯では、年間の引き上げ額が7万円を超える保険料の引き上げとなります。

 かつてない大幅な保険料の引き上げです。今でさえ、負担感の強い国民健康保険料が

これだけ引き上げられると加入者の負担感はさらに高まります。保険料の引き上げを中止し、支払える保険料にすることを求めるものです。

 その2に、予防接種の自己負担が増えます。高齢者コロナ感染症予防接種料の個人負担が2300円から5200円へ。高齢者インフルエンザ予防接種の個人負担が1400円から1500円へ増えることに反対です。

次に、市民生活にかかわる課題にこたえたものとなっていません。

 その1に、学校給食費無償化の実施です。国は、2026年度から小学校から学校給食費の無償化を検討するとしています。こうした中、県内の自治体では、それに先がけて無償化実施を打ち出し、実行しています。一方、市長は、かたくなに無償化実施を拒否し市民の願いに背を向けている姿とは対照的です。

 その2に、子ども医療費助成制度について、通院も18歳まで対象を広げ、無料とすることを強く求めます。18歳まで対象を拡充していないのは、金沢市だけとなっています。子育てのしやすい金沢市をめざすというならば、まず、この制度の拡充に取り組むべきです。

 その3に、保育料の引き下げ実施です。今回、3歳未満児を対象に二人目の子どもさんの保育料を無償化するとしています。負担感の強い、保育料の引き下げ実施を強く求めます。

 その4に、高齢者の補聴器購入にあたっての助成制度の創設です。誰もが年を重ねと身体機能の低下が起こってきます。耳が聞こえにくくなることへの不安をなくし、自分らしい生活水準を維持していく上でこの制度の創設への願いにこたえることを求めます。後期高齢者医療制度は、75歳を持って別の医療制度に移行すると共に、高齢者の一部負担が増やされていくことには、反対です。

 今議会に、用水路上に立地する市所有の既存不適格建築物である材木消防分団機械器具置場について、住民負担を伴わない至急の適正化を求める地域住民11名の方々から陳情が提出されました。わが党は、この陳情に賛成であります。

 したがって、こうした地域住民の要望が予算に反映されないことから予算措置に対して同意できないことを表明いたします。

 なお、金沢方式の見直しをめぐって、様々な角度から意見が交わされてきました。今回、公民館や消防分団関係に関する住民負担の軽減が打ち出されたものの、住民負担をなくすという立場からの検証や考え方の見直しがされたものではありません。引き続き、検証と検討を求めておきたいと思います。

 第2に、大型開発事業には反対です。

 その1に、金沢港湾事業です。この事業は、38豪雪を経験したことから、金沢港からの輸送ルートを確保する必要があるとして、整備事業が始まりました。しかし、大きな転機となったのが、大手企業のコマツが進出し、大型機械の輸出するために、大浜ふ頭を大深水岸壁に改良する事業が始まったことです。そして、クルーズ船を金沢港に呼びこむとして無量寺岸壁などの改良事業です。その結果、金沢港湾事業の全体事業費は、2006年から2026年の20年間で、464億円となり、そのうち、金沢市負担が88億円にのぼり、新年度予算では、7億6370万円が計上されています。市民の理解を得らないことから反対です。なお、代表質問で取り上げましたが、金沢港を「特定利用港湾」に指定する問題です。これは、自衛隊や海上保安庁が訓練等に円滑に利用できるよう指定するものです。金沢港が軍事利用される恐れがあり、戦争する国づくりへと進めるものだとして批判が広がっています。金沢港を「特定利用港湾」に指定することに反対であります。

 その2に、都市再生緊急整備地域の指定を受け、金沢駅周辺から武蔵地区、香林坊、片町地区の都心軸にそった開発事業が進められようとしています。これまで、市民と共に作り上げてきたまちづくりと高さ制限などの景観方針を覆し、市民の理解と合意のないまま進められようとする開発事業には反対です。

 第3に、市民の理解と合意なしに進められている事業について反対です。

 その1に、マイナンバー制度を国民に押し付け、次々に制度の拡大が進められています。マイナ保険証は、昨年12月2日から従来の保険証が廃止され、国民に押し付けられてきています。しかし、医療機関からも批判が続き、従来の保険証の継続が求められています。

 その2に、市民からの電話による対応についてです。保健所でのAIによる電話対応が拡大され、納税窓口では、相談窓口や、電話による対応を民間に委託化し、国民健康保険業務での電話対応が民間に委託化されます。行政が責任を持って、市民からの対応に当たるべきです。

 第4に、教育行政に関して、

 その1に、学校給食についてです。南部共同調理場建設と設置に関する条例に反対です。今年、9月から供用開始となります。わずか4か所あった小学校の単独調理場がなくなり、中規模の共同調理場が統廃合され、一日8000食にのぼる大型共同調理場がつくられました。しかも、調理の民間委託方式が採用されます。全国的には、単独校方式が半分、共同調理場方式が半分であることから金沢市がすべて共同調理場方式となり、特異的な対応となっています。同意することは、できません。

 その2に、小中学校にデジタル化新設に1億円を超える予算、学習用末端の活用等によるGIGAスクール環境の充実に6億円の予算が投じられようとしています。また、金沢市独自の学力テストが引き続き予算化されました。子どもたちに寄り添う教育の実践からはかけ離れたものであり、同意できません。

 第5に、職員の定数に関して、64人が増員され、54人が減員される内容となっています。その減員には、技能職員の定年による退職者不補充や保育所給食調理業務の委託化よる職員の削減が行われます。このことから反対です。

 第6に、水道事業と工業用水道事業に反対です。水道事業において、自己水の4倍も高い県水を膨大に受け入れ、安くておいしい自己水を3割程度しか利用していません。

 県水受水契約により、契約水量の6割が押し付けられ、年間の県水受水費用は、年間24.5億円と経常費用に占める割合は30%にのぼります。安くておいしい自己水を基本とする水道行政に転換すべきです。

 工業用水道事業は、森本にあるテクノパーク工業用地に立地した企業に供給するものです。発足以来、給水料金では賄えず、赤字額を一般会計から補填し続けています。新年度予算では、3400万円にのぼります。市民の理解を得られるものなく、反対です。

 第7に、議案第81号は、金沢市一般職の任期付職員の採用及び給与に関する条例制定です。金沢市職員は、正規職員を基本として採用すべきです。現在、金沢市役所職員の内、会計年度任用職員が1579人と全体の35.6%にのぼります。正規職員の採用こそ拡充すべきであり、同意できません。

 議案第88号は、職員の配偶者扶養手当の廃止が盛り込まれていることから、

 議案第100号は、保育事業に規制緩和が行わることからいずれも、反対です。

 議案第104号は、金沢市城北市民運動公園について、指定管理導入のための条例であり、議案第123号は、金沢駅東駐車場及び武蔵地下駐車場について、民間の大手企業に指定管理を行うものです。金沢市が直接管理運営することを求め、いずれの議案にも反対です。

 次に、陳情・請願についてです。

 請願第7号高額療養費改定の一旦凍結を求める請願は、石川県社会保障推進協議会の代表委員から提出されました。ガンを患いながら、生活を送っている患者団体から悲痛の叫びと反対の声が広がり石破首相は、引き上げを凍結へと変更に追い込まれました。患者団体は、高額療養費引き上げを行わないよう求めています。その実現をめざし、奮闘する決意を込めて、賛成いたします。

 陳情第17号は、用水路上に立地する市所有の既存不適格建築物である材木消防分団機械器具置場について、住民負担を伴わない至急の適正化を求めるもので、地域住民から提出されました。審議された常任委員会で、一般会計予算が採択されたことから一時不再議をもってこの陳情が不採択としましたが、市民から提出された陳情について、十分審議され、採決が行われるべきと考えます。わが党は、この陳情に賛成です。

 陳情第18号は、政務調査費領収書ネット公開についての陳情で、市民オンブズマン石川の代表幹事から提出されました。政務活動費の領収書は、公開されていますが、ネット公開することを求めるこの陳情に、賛成です。

 よって、以上の請願・陳情について、審議された各常任委員会と議会運営委員会での否決に対し、反対であります。以上で反対討論を終わります。

私は提出者を代表して、議会議案第37号「米の安定供給の保障を求める意見書」について、提案理由説明を行います。

 日本の食卓に欠かせないコメの値上がりが止まりません。昨年夏のコメ不足・価格高騰に対し政府は「新米が出回ればコメ不足は解消し値段も下がる」と繰り返し述べてきました。新米が出荷されると、店頭などの品不足はなくなりましたが、価格はその後も上がり続けています。3月21日に総務省が発表した2月の全国消費者物価指数では、コメ類は前年同月比80.9%上昇し、5カ月連続で過去最大の上昇率を更新しました。1年前店頭では、5キロ当たり2000円台だったものが、4000円台と平均価格が2倍近くに達し、家計を直撃しています。政府は備蓄米の放出を決定し、コメの価格が下がることを期待しますが、これは一時的な対策にすぎません。

 長引く米不足と価格高騰の背景には、消費量が毎年減少することを前提に米の生産量をぎりぎりに抑え、流通や価格を市場に委ねてきた米政策があります。米農家は2000年以降、175万戸から約3分の1に減少し、70歳以上の生産者が約6割を占めます。帝国データバンクの調査では24年の米農家の倒産、廃業件数は過去最高となるなど、米の生産基盤は著しく弱体化しています。米価が回復してきたとはいえ、長年の低米価に苦しんできた米農家には、資材の高騰や過去の赤字の穴埋めで余裕はありません。米の価格高騰によって消費者の米離れが進めば、再び米価が下落するのではないかという不安も広がっています。 

 いま求められるのは、国民のくらしや疲弊する生産現場を直視し、米政策を抜本的に転換することです。国は、需給と価格の安定に責任を持ち、ゆとりある需給見通しのもとで生産と備蓄を拡大すべきです。様々な要因で需給バランスが崩れた際には、過剰時には備蓄米を増やし、不足時には放出する仕組みを強化することが必要です。そして何より、生産者が将来にわたり安心して生産に励める環境を国の責任で整え、生産基盤の弱体化に歯止めをかけることが急務です。

 この意見書は、国に対して、コメの安定供給の保障のために、農業関連予算を大幅に増額し、再生産を可能にする価格保証や所得補償を抜本的に充実させるよう強く求めるものです。議員各位の賛同をお願いしまして提案理由説明といたします。

 わたしは、提出者を代表して議会議案第36号「消費税の減税を求める意見書」の提案理由説明を行います。

 現在国会では、所得税の課税最低限の引き上げが議論され、それが税制の中心課題であるかのようになっています。もちろん、長年据え置かれてきた課税最低限を引き上げることは必要なことです。しかし一方で、消費税は逆進性のため、税全体の累進性、すなわち所得の多い人ほど厚く負担するという所得再配分の基礎が失われています。消費税の負担にメスを入れることが重要です。

 消費税の負担割合についてみると、年収900万円以下の世帯までは所得税より消費税の負担割合のほうが高く、年収に対する税全体の負担率も10%前後で推移し累進性がありません。

 つまり、中間所得層も含め最も重い税金は消費税であり、低所得になればなるほど消費税によってくらしが追い詰められています。年収200万円以下では所得税の負担率は0.6%、消費税は10倍以上の6.3%になり、年間12万6000円もの負担です。

 しかし、その一方で、大企業や富裕層には減税が行われてきました。

 1989年に消費税が導入され、この37年間で571兆円もの税収に達していますが、かたや大企業の法人税や富裕層の所得税などの減税は605兆円にも及んでおり、消費税はこの減収の穴埋めに使われたにすぎません。

 応能負担の原則に立ち返り、大企業の法人税をアベノミクス以前の税率に戻し、「1億円の壁」と呼ばれる富裕層への税優遇を是正すれば、15兆円の税収が見込まれ消費税を5%引き下げることが可能です。金沢市でも多くの市民が年収900万円以下の世帯です。ぜひ、金沢市からも消費税減税の意見書をあげていきましょう。みなさんのご賛同をお願いして提案理由説明といたします。

金沢方式について

総意の確認の仕方

-広田委員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として質問いたします。

 まずは、金沢方式にかかわってです。

 本会議で市長は、材木消防分団の機械器具置場整備について、両町会連合会の合意が得られたとしました。しかし、住民から出された「市の設置を求める」要望書には町会長の名前もあります。

 そして、そもそもなぜ町会連合会の合意なのかと疑問の声も寄せられています。

 そこで、先日の総務常任委員会で確認したところ、予算を作成した財政部局は、担当課である消防局にて地元合意の確認をし予算化したとのことで、財政部局は要望書は見ていないそうです。

 では、消防局の方で町会連合会の合意が得られているという根拠をお持ちなのか、なにか書類が出ているのなら、いつ、どなたが出したのかあきらかにしてください。

-蔵消防局長

 材木消防分団の機械器具置場の建設に関しましては、材木・味噌蔵両地区の町会連合会において合意が得られたうえで、材木消防分団分団長から令和6年11月18日付で補助要望書の提出がありました。

-広田委員

 今、言葉では両町会の合意が得られたうえでとおっしゃいましたけれども、書面はあくまでも材木分団からということです。となると、はっきりとした根拠としては、「町会・町連の同意」というのは違うのではないですか。

-蔵消防局長

 材木消防分団からの提出にありましては、材木・味噌蔵両地区の町会連合会において合意が得られたものと承知をしており、そのことを踏まえて発言させていただいたものでございます。

-広田委員

 分団から出された書類のどこに、そのことが明記されているんでしょうか。

-蔵消防局長

 要望書の中には、町会連合会等の名前は記載されておりません。

-広田委員

 あくまで、客観的に見た根拠というのはその書類しかありませんから、消防分団が出したもの、ということに他なりません。

市長、町会連合会からとおっしゃいましたけれど、いかがかということと、私聞いていて思ったんですけれど、消防分団から市長に書類を出すというのは、同じ市の組織なのにそんな提出の仕方があるんでしょうか。

-蔵消防局長

 消防分団長から提出される要望書につきましては、あくまでも地域の合意を得たうえでの提出だというふうに、こちらの方では捉えておるところでございます。

-広田委員

 あきらかな証拠としては、とても弱いというふうに思いますし、消防分団は市長の管理下にある組織ですよ。その組織から市長宛に出された、まぁ内部文書ですよね、はっきり言って。地域の意見が反映されている根拠とはなり得ないと思いますが、市長、いかがですか。

-村山市長

 これまでも消防分団の機械器具置場の整備についての要望というのは、各分団からいただいているというものでありますので、特段、材木分団から提出されたものに対しての疑いというか、疑義は生じないものと考えております。

-広田委員

 重ねて申し上げますけれども、消防分団は市長の管理下であり、市の内部組織です。そこから市長に出された文書が、地域の意見を反映しているとは到底言えませんし、慣例・慣習で地域の意見が出され、まとまったら消防さんが出すということにしていたのならば、それは多くの市民に説明がつきませんから、改めるべきです。 

 どちらにせよ、「市の設置を求める要望書」が出されたのはそのあとの2月21日です。総務常任委員会では、市長は見られているという秘書課からのご答弁でした。同日、消防局へわたったとのことですが、この機械器具置場は市の所有・管理物件であり、消防組織・施設の管理責任は、くどいですが市長にあります。市長から何と言って消防局へお渡しになったのでしょうか。

-蔵消防局長

 消防局には、内容についてしっかりと確認するよう市長より指示を受けております。なお、陳情書の趣旨につきましては、住民負担を伴わない整備と理解しており、地域による一定の負担を含め、地域主導・ボランティアといった本市の地域コミュニティの特徴は今後も継承すべきだというふうに考えているところでございます。

-広田委員

 市長から確認しなさいと言われたけれども、金沢方式は地元負担が必要なので、確認されなかったということですか。この要望書に関して、出された方々に確認や、町会連合会の方にもう一度お話を聞くという確認はされずに終わったということですか。

-蔵消防局長

 要望書の提出を受けた時点で、町会連合会の会長さん並びに分団長さんにもその内容について確認をさせていただきました。先ほど言いましたように、その趣旨については地元負担を全くなくする、金沢方式というもの自体をなくするという趣旨でありましたので、こちらの方ではそれは違うというふうに考えまして、対応したところでございます。

-広田委員

 それは金沢方式という政策の話であって、消防局長が判断する話じゃないですよね。あくまで担当課は、合意が得られているかという金沢方式の仕組みにおいてしっかり確認しなければいけなかったんですよ。そこが抜けてますよね。それは認めますか。

-蔵消防局長

 あの要望書をいただいたのちに、両町会連合会の会長さんにもしっかり確認をさせていただきました。これについては町会連合会の役員等もすべて出席している会議ということで、地元の総意というふうに言ってもらっても結構ですというふうに答えをいただいているところでございます。

-広田委員

 これまで繰り返し、「総意」ってなんなんだろうということが議会でも議論になってきたわけですけれども、役員の方が総意だと言えば総意だということが、この金沢方式の実態であることがわかってきました。

要望書を、市民のみなさんがお名前も住所も書いてハンコも押すというのは、相当な勇気が要ることです。前に出て「私は納得がいかない」ということを表明するんですよ。相当な勇気ですよ。それなのに、この方々に話も聞かず、役員の方々でもって総意としてしまえば、金沢方式はもうこれから長くはないですね。

私は、本当に要望書の扱いについてずさんだと、この件について感じておりますし、金沢方式は地域の総意をもとにすすめるというより、地域の分断を招くと、実態を見て言わざるを得ません。

市長、実態としては地域の声はまとまっていません。補助金の申請についてはこれからです。ぜひ地元への確認と、地域での丁寧な話し合いを促していただくよう求めますがいかがですか。

-村山市長

 この金沢市議会でも様々な議案について、一部反対の声がありながらも議決をいただく案件もあります。すべての住民の意見という形になっていくと、進むべき施策も進まなくなるということは、民主主義の中では起こりうることだというように思っております。

今回は町会連合会の方からも合意もいただいたという中であります。地元の町会連合会の中から、今回の合意について再度確認したいという申し出がございましたら話を聞きたいと思っております。

-広田委員

 本当に残念な発言だと思います。それでは誰も町会に入らなくなるんじゃないですか。全国では考えられないやり方だということがまず金沢方式であるにも関わらず、その中の合意形成はあまりにもずさんだったということです。

これは私は、ひとえに役員の方々の問題ではなく、みなさん方市側があまりにも地域任せにしているという金沢方式の実態があるからだと思います。

そして今、地域の総意がないと市長が認めてしまえば、今予算に上程された地元からの寄附は、自発的だとは言えなくなるので、ご答弁できないというのもわかっております。合意形成について無責任だということを述べ、次に移りたいと思います。

整備事業費について

 次は整備事業費についてです。表でまとめてみました。今予算では積算単価を引き上げ、按分率も1/5にしました。これについては評価できるものかと思います。しかし実際の金額は、地元負担は1/5とは到底なりません。というのも、合計額を按分する単純な計算にはなっていないからです。 

そして市には国からの交付もあります。

もうひとつの表を見てもらうと、もし金沢方式を適用せず国の交付を最大限活用すれば、工事費については5761万円のうち全体で1729万円の負担となるのですが、実際は(金沢方式では)市が補助する3260万円について起債するので、市の負担は実質978万円と安くなりますが、地元負担はなんと2501万円となるのです。

さらに負担割合について国交付を加味して割り出すと、47%も地元負担となるわけです。市長、この、国の交付金も得ないで、市民負担を増やすというのは、適切な予算執行と言えますか?

-蔵消防局長

 消防分団における整備費の一部を地元に負担をいただくことで、住民自治の意識が高揚し、地域住民が主体的に参画することに繋がっているというふうに認識しております。なお地元負担の軽減につきましては、消防分団機械器具置場の整備にかかる補助単価の大幅な引き上げを議会でお諮りしているところでございます。

-広田委員

 仮に市の事業として公民館のようにやるならば、まず交付税全部得られてのちの(地元からの)寄附金になるわけですから、地元負担は少なくなるんですよ。そうした方法すら考えずに、ずっと消防の場合は補助要領でやっている、そのことも併せて私は言っています。

そして、この消防分団の事業は地元の事業であるばかりに、設計や工事の業者選定については、合い見積もりだけでよいということになっています。

しかしこれでは、地域の中で事業の透明性が保てるとは到底言えません。

そして、先程来言っている合意の確認というのも、公民館整備の場合は市の事業として行うため、各町会長の捺印が要るのに対し、消防分団事業は補助事業なので要らないとなっている。

私は以上の点からも、まずは消防分団の事業については市が行うべきというふうに思いますし、そののち地元負担をなくすというふうにやっていただきたいと思いますがいかがですか。

-村山市長

 今般、金沢方式の見直しを行ったというのは、人口減少・少子高齢化・町会加入率の減少・建築単価の上昇などの経済社会情勢の変化がありました。これまで市議会が全会一致で、しかもこれまで金沢方式のなくすべきだという議論は行われてこなかったというように思いますが、そのような中で、こうしたまちづくりの文化としてこれまで市議会が全会一致で認めてきたこの金沢方式を次に繋げて行くためにはどうしたらいいかということで、今回地元の負担割合を引き下げ、また消防分団の機械器具置場の補助基準単価も大幅に引き下げたということであります。

このきっかけで、私の方で金沢方式の見直しを申し上げたところでもあります。

金沢市も予算の非常に長い歴史の中で毎年各事業を認めていただいた経緯があるという中で、今回については改めて地域コミュニティの意義を見直すきっかけとなるものというように思いますし、今後も持続可能なものとするために行ったものであることはご理解いただければというように思います。

今ほどご指摘いただきました消防分団の施設整備にかかる事業主体についてでありますが、こちらについては消防団や町会連合会のご意見も伺いまして今後の研究課題とさせていただきたいと存じます。

-広田委員

 ぜひ研究していただきたいと思います、まずは。法律に即すこと、そして市民の負担を減らすことが私は行政の役割だと思っています。

市長は金沢方式を文化とまでおっしゃいますけれども、実際懇話会で町連の会長は「限りなくゼロにしてほしい」と求め、これは金沢方式の地元負担の是非が問われていると考えます。地元負担解消を求め、次へ移ります。

補足

 消防分団は金沢市の管理下にあり、多くの機械器具置き場(消防小屋)も市の所有・管理です。よって、他都市では市が整備や修繕を行うのが普通ですが、金沢市では金沢方式で地元負担があります。

さらに、公民館や児童館の整備も金沢方式なのですが、市が整備など事業を行いその後に地元からの負担(寄附)を入れる方法です。

一方、消防分団は地元が整備などの事業を行うことになっており、市は補助金を入れる仕組みです。なので、最初から最後まで消防分団や地元が行わなくてはならず相当な負担です。

除雪・消融雪について

 次は、除雪・消融雪について伺います。今シーズンは2月に2回の大雪で、職員のみなさん、委託業者のみなさん、本当にお疲れさまでした。

今回はじめてGPSが活用され、本会議でも「除雪の進捗状況がリアルに把握でき、市民の問い合わせに即応でき、業者への指示・応援依頼がスムーズだった」など利点が報告されました。

一方、GPSを活用する他都市では、除雪の進捗状況がホームページで見られます。金沢市でも今後行う予定はあるのでしょうか。

あわせて、表にありますように、福井市のように除雪路線の表示も求めますがいかがですか。さらに市がどの路線に指示を出したかもあわせて表示されるともっと有効だと思いますがいかがでしょうか。

※画像をタップすると福井市のホームページにとびます。

-伊藤道路管理課長

 本市では現在、石川県広域データ連携基盤の利用による除雪情報の公開について検討を進めております。なお、除雪開始指示の情報につきましては、市民から除雪作業本部へ問い合わせが増え、除雪作業に混乱を来す可能性が高いことから、公開する予定はございません。

-広田委員

 広域連携でデータを公開をする検討をしているということですね。

一方で、GPSをつけても残念ながら除雪路線が増えるわけではなく、現在4割の除雪路線の拡大は急務です。1次路線と2次路線は同じ積雪10㎝の基準ですが、1次路線は業者の自主出動に対し、2次路線は市の指示です。

本会議で市長は「1次路線の作業状況を踏まえ2次路線の指示が迅速化された」と述べていました。私も今般の除雪の進捗を見ていてそう感じました。

でしたら、カメラやGPSがそなわった今、ぜひ2次路線を1次路線のような自主出動にできないのか伺います。

-伊藤道路管理課長

 2次路線は積雪10cmを超え、さらに降雪が予想される場合、除雪作業本部が気象予報を参考にし、出動を指示していますことから、2次路線を自主出動とすることは現時点では考えていません。

しかしながら、今年度はGPSを搭載しました1次路線の除雪機械の作業状況や、積雪監視カメラの映像、気象台等の降雪予測をもとにしまして、地域の状況に応じた2次路線の迅速な作業指示を行うことができたと捉えております。

明年度以降、除雪管理システムに蓄積されましたデータを検証・分析するとともに、除雪業者へのアンケート結果や他都市の事例を参考にいたしまして、引き続き効率的な除雪作業について研究してまいります。

-広田委員

 ぜひ、GPSを導入されたんですからいろんな工夫をして、除雪路線の拡大にこそ活かしていただきたいと思います。

 つぎに、雪捨て場がない問題についてです。これは地域でよくあがっている声ですけれども、市は2018年の大雪の際には臨時で公園などを解放したことがありますが、ぜひ解放の基準をきちんと設けて仕組みとして確立していただけないでしょうか。

-伊藤道路管理課長

 排雪場の運営管理上の一番の課題としましては、アスファルトガラなどのがれきや、木くずなどの廃棄物等が圧雪した雪に多く混在していますことから、使用した施設の安全上の懸念や清掃等にかかる費用などが挙げられます。このようなことから、常設と臨時の排雪場を指定しておりまして、公園や公共空地を常設の排雪場として使用することは考えてはございません。

-広田委員

 除雪計画では、市民に協力を呼び掛けているんですよね。本来法律で、市が管理する道路は市がやらなければいけないところを、法律度外視で協力を呼び掛けているにもかかわらず、捨てる場所すらないんです。駐車場を埋め尽くし車を停める場所がなくなると、職場においてこなきゃいけない。そんな声まで聞いています。ぜひ検討を求めておきたいと思います。

 つぎに、地域除排雪活動費補助についてです。今シーズンの利用件数はのべ425団体だったと報告がありましたが、金額と除雪実績をあきらかにしていただきたいのと、この補助金は年々増えており、コミュニティ基金活用の多くを占めるようになりましたが、本来は道路管理費を充てるべきものです。

しかし今年は、除雪費用として除排雪特別交付税の申請にも入れたそうです。来年度の検討によっては、ごみ袋の製造費が上がると聞いており、使える基金が減るんじゃないでしょうか。よって、基金ではなく一般財源を充て、町会負担もなくすべきと求めますが、いかがですか。

-伊藤道路管理課長

 広田委員のご質問につきまして、まず私の方から利用実績の方についてお答えさせていただきます。今冬の地域除排雪活動費補助制度につきましては、2月上旬と下旬の長期の寒波によりまして、2回の適用期間がございました。

1回目の申請件数は約300件、除雪距離は約580km、補助金額は約7,300万円でございます。また、2回目の申請件数は約110件、除雪距離は約240km、補助金額は約1,800万円でございます。

-佐野財政課長

 私からは地域コミュニティの活性化基金の関係を述べさせていただきます。今冬の大雪、2度雪害対策本部を設置いたしましたが、その対策に多額の経費を要しましたことから、今ほどの地域除排雪活動費の補助を含めまして、国に特別交付税の申請を行っております。

理論上、この計算式なんですれども、一定の額を上回る経費の1/2が加算されるということとなっておりますが、特別交付税はあくまでも一般財源でありますので、引き続き地域コミュニティ活性化基金の充当事業としております。

なお、この地域コミュニティ活性化基金の充当事業につきましては、基金の残高の状況などを含めまして、地域コミュニティ活性化推進審議会の意見も踏まえながら、毎年度対象事業全体の中で検討していくこととしております。

-広田委員

 今年度9,100万円にものぼりました。多くの距離をこの地域除排雪でやっているということは、これはコミュニティ基金とは言えなくなっている性格です。ぜひ、一般財源で町会負担をなくすよう求めます。

 つぎに消融雪施設について伺います。本会議では、公共の消融雪については水が出にくい箇所など修繕計画を作成すると答弁がありましたので、これは早めの修繕を求めておきたいと思います。 

民間消融雪については、調査やアンケートの結果、これまで把握していた90か所を上回る140か所を台帳にし、官民連携による持続可能な運営手法を検討していくとのことです。老朽化、高齢化などの課題を言われていましたが、わたしもいくつか伺っています。

「管理が大変で埋設型に更新しようとしているが、工事費があがっており補助金をあげられないか」「設置後の管理運営費の負担は全額地元負担であり、電気代や部品の交換などでかなりの出費がある、支援の新設はできないか」「高齢化で担い手もいない、管理を請け負う業者さんも見つからないので市管理への移行ができないか」などです。

これからの運営手法の検討の中で、こうした実態を視野に支援の検討を行うよう求めますがいかがですか。

-木谷土木局長

 民間消融雪施設につきましては、今年度、民間消融雪施設の管理団体へアンケート調査を初めて実施し、現在約140施設が稼働していることを確認するとともに、消融雪施設のデータや管理状況などを元にして施設台帳を作成し、民間消融雪施設の実態を把握したところであります

。明年度がアンケート調査結果から把握した施設の老朽化や管理者の高齢化などの課題を分析することとしており、民間消融雪施設の維持管理をするために、支援方法や持続可能な運営方法について検討してまいりたいと考えております。

-広田委員

 私は今回の民間の消融雪施設調査は非常に重要だったと思うんです。金沢市は市民の協力をベースにしていただけに、地域によって雪対応が本当に様々です。

今言った消融雪のところや、独自で機械除雪しているところ、機械除雪したくても業者さんが捕まらないところ、そしてロードヒーティングを入れているところ、また何もできないところなど。私は今後除雪消融雪路線を拡大するために、こうした地域の実態をくまなく調査し、何が有効か対策を練り、業者と連携すべきと考えますし、そのための体制拡充が必要だと考えますがいかがですか。 

-木谷土木局長

 民間消融雪施設の管理運営についてでございますが、現時点では民間消融雪施設の管理を市がやることは考えてはおりませんが、明年度以降、施設の老朽化や管理者の高齢化など、様々な課題を分析して持続可能な運営手法を検討してまいります。

 地域の実態調査についてでございますが、毎年10月下旬に開催している金沢市道路除雪会議において、金沢市町会連合会や校下婦人会連絡協議会など、地域の方に出席いただき、ご意見をお伺いしております。また、金沢市の町会連合会理事会では、道路除雪計画や除雪等に関する各種制度を説明して、ご意見も伺っているところであります。今後ともこれらの活動を通して地域からの相談に丁寧に対応していきます。

-村山市長

 除雪にかかる体制の強化についてのご質問をいただきました。今年度からGPSを活用した新システムを導入しました。市民からの除雪作業に対する問い合わせに対しまして迅速に対応ができたということ、また、支払い事務の省略可などによりましても除雪業務の効率化が進んだというように考えています。

12月から3月までの冬期間については、従来除雪作業本部を設置いたしまして、気象状況に応じて24時間体制で土木局の全職員が一丸となって従事しておりまして、雪対策に特化した独立の組織というかたちでは現在のところは考えてはおりません。

引き続き、除雪業者の掘り起こしやオペレーターの確保に取り組みまして、除雪体制の維持・強化に努めてまいりたいと考えております。

-広田委員

 除雪シーズンになると本当に残業が増えている実態などをお見かけしております。体制の拡充を求めておきたいと思います。

カラスとの共存と対策について

 さいごにカラスについて伺います。ご存じの通り、カラスは生態系の中でなくてはならない生き物です。しかし、人間生活と密接であるがゆえに摩擦も生じています。

今予算で、まちなかのカラス対策の強化に関する予算が5倍で計上され今議会でも多くとりあげられました。ここでは、まちなかや住宅街のカラスと共存するうえで、現状の把握と必要な対策について伺います。

専門家の調査では、ご存じの通りだと思いますけれどもカラスの増減は、人間の生活スタイルやごみの量とごみの環境変化が影響するとされています。

東京都心の調査では、1980年代の飽食の時代に生ごみの増加とともにカラスが急増しましたが、どんどん減りましてコロナ禍ではさらに激減、飲食店の休業、テイクアウトの増加が関連しています。

グラフのように、本市の金沢城公園をねぐらとするカラスの個体数も、2003年をピークに減少傾向が続いています。一方、被害に対して捕獲を求める声もありますが、環境省は捕獲の効果は限定的としており、ごみなど食物の量が多いままなら、ほかの場所から流入するので数は減らない。

個体数の管理はあくまで食物の量を減らすのが効果的としていますが、金沢市はカラスの増減や捕獲についてどのようなお考えか、あきらかにしてください。

-越山環境局長

 本市では金沢城公園をねぐらとするカラスの個体数について、委員もグラフでお示しの通り、平成10年度から調査を実施しておりまして、平成15年の約1万羽をピークに増減を繰り返しながら、ここ5年間は概ね3500羽から5000羽まで減少しているという状況でございます。

捕獲については鳥獣保護管理法において、カラスなどの野生鳥獣は、狩猟により捕獲する場合を除いて原則としてその捕獲や殺傷が禁止されているため、カラスの被害への対策は、原則追い払いを基本としております。

一方、例外として生活環境、農林水産業、または生態系に対して被害が生じている場合などには、許可を受けて捕獲などをすることが認められていることから、金沢城公園内で檻による捕獲を行っているところでございます。

-広田委員

 本会議で市長は、まちなかではねぐらに戻らず電線や公園の木にいるカラスに特殊なLEDライトで追い払いをするとしました。一

方、環境省のマニュアルでは、「現状を客観的に認識し科学的に対応し、腰をすえて取り組む必要がある。対症療法ばかりでは問題を繰り返す悪循環から抜け出せない」としています。カラス追い払いについても「一時的で限定された場所での方法となり、移動先で新たな問題となる可能性もあり根本的な解決にならない」としています。

よってまず、なぜねぐらに戻らないのか調査がされているのか、これからするのか。本来のねぐらである金沢城公園の樹木の伐採とは関係がないのか、ということを教えてほしいと同時に、もし調査が進んでいないのであれば、私は今回のLEDライトは緊急対策として位置づけ、あわせて専門家の方も調査されるということなので、ぜひこちらに重きを置き、丁寧な調査をし、根本原因を突き止めるよう求めますがいかがですか。

-川端環境政策課長

 近年まちなかでカラスの糞害が顕著となったのは、夜間にねぐらである金沢城公園に戻らず、街路樹や電線などにとどまるカラスが増えてきたためと推察しておりまして、LED光線による追い払いに合わせて、夜間におけるカラスの実態を調査することとしております。

お尋ねにありました金沢城公園の樹木の伐採の影響についてですが、金沢城公園を管理する石川県からは、近年まとまった樹木の伐採は行っていないと聞いております。また、明年度実施する行動調査では、糞害の多い地点を固定カメラで定点観測し、カラスの行動を分析するほか、専門家による現地調査を行うこととしております。

-広田委員

 ぜひ調査をしっかり行っていただきたいと思います。

 最後に、先程も申し上げたとおり、人間のごみにアクセスできなければ自然とカラスの個体数は減り、摩擦は解消するとされています。カラスがごみにアクセスできているかの指標が、住宅街でのごみの散乱状況だと考えます。地域の美化のうえでもカラスへのえさを増やさないうえでも、カラスがごみにあり付けない対策が有効です。

そこで表を見ていただきますと、金沢市が貸与しているカラスネットというものは激減しており、かわりにケージ型という箱型の、カラスが近づきにくいものが申請としては増えております。よって、カラスネットに加え、ぜひこのケージ型の貸与を求めたいと思いますがいかがでしょうか。

-越山環境局長

 市内には様々なゴミステーションがございます。ケージ型の器材は、カラスネットに比べその設置場所が限られるなどの課題があると考えています。

また、器材の設置を希望する町会からの相談には丁寧に対応するとともに、整備費用の3/4を助成するなど支援に努めているところでございまして、ケージ型器材の貸与までは考えてはおりません。

-広田委員

 カラスの目的はごみを散らかすことではありません。目当ての食べ物を探るために、内容物を引き出し、食べないものは置き去りにする結果、ごみが散らかるのです。

いつまでも感情的にカラスの責任にしていても問題は解決しませんので、ぜひ人間側が、カラスからごみを物理的に遮断する方法をとっていただくよう求めます。

さいごに情報をぜひ一元化して、カラスの情報というのは好き嫌いも含めていろんなところからいろんな形で入ってくると思いますけれども、しっかりそれを一元化することでカラスの生態をつかみ、適切な対応をすることができると思いますので、求めて質問を終わりたいと思います。

私は、日本共産党市議員団を代表して、反対討論を行います。

私どもは、上程された議案16件のうち、議案第127号、議案第135号、議案第141号の

議案3件について反対します。その主な理由を述べます。

まず、議案第127号 令和6年度 金沢市一般会計補正予算についてです。

港湾費で3億7,370万円が盛り込まれています。この最終補正によって今年度の本市負担分は11億3,310万円、全体事業費としては53億5,890万円にも上ります。

大手企業コマツの工場誘致やクルーズ船誘致のために、岸壁改良工事や施設整備に多額の税金投入が続いています。港湾整備事業の全体事業費合計額は2006年から2026年の20年間でおよそ464億円であり、そのうち本市の負担金は88億円にものぼる予定です。市民の暮らしが厳しさを増す中で、一部の大手企業のために多額の税金投入が行われることは認められません。

次に、議案第135号 令和6年度 金沢市中央卸売市場特別会計補正予算についてです。

金沢市中央卸売市場再整備事業に関して、基本設計に関わる3,500万円が最終補正に計上されました。当初8,900万円で契約した基本設計は、2024年9月末に完了する予定でした。しかし、2025年2月末まで延長するとの方針を打ち出し、今度はさらに1年延長するというものです。市当局は5か月延長の方針を出した際も、期日通りに進行すると繰り返し説明してきました。期日通り完了していれば3,500万円は不要だったのではないですか。この間、どんな話し合いが行われ、何が問題となったのか議会に報告もないことや進め方の不透明さを厳しく指摘しなければなりません。

また、本来終了すべき年度内の基本設計契約が変更され、次年度への繰越しが行われることも問題です。新年度で新たに契約を結ぶ措置を取るべきではありませんか。

これらのことから、今回の補正予算に同意することはできません。

次に、議案第141号 事業契約の締結についてです。

公共施設LED照明導入推進事業として、本市で初めてのPFI方式による事業契約です。

PFI方式とは、民間の資金と経営能力、技術力を活用し、公共施設等の整備や維持管理、運営を行うものとされています。今回の事業は、PFI方式により公共施設の照明をLEDに換え、10年間にわたって民間に管理運営を任せるというものです。初期費用もかからず、コストも下げられると言われていますが、PFI方式にはリスクも伴います。民間事業者が利益を追求することで、サービス内容が低下すること、管理運営においても民間が主体となるため、公共性が後退します。また、長期契約により、市場の変化や災害時の対応、事業者自体の倒産や合併など、環境の変化に対応できない場合が生じます。市民のための公共施設管理にはそぐわないため、反対です。

以上、討論といたします。

質問の機会を得ましたので日本共産党市議員団の一員として金沢方式について質問いたします。 

金沢方式あり方検討懇話会と予算編成

「金沢方式」は、市の施設である公民館や児童館、消防分団などの運営や施設整備に対して地域住民が一定の負担をする金沢市独自の仕組みです。

 試算によると、地元負担の金額は、公民館だけで過去20年間で47億円、今後20年間で80億円にものぼるとされてきました。

 しかしその実態は、法令上の根拠もなく、寄附の強制ではないかなど議会や地域でたびたび問題視されてきました。

 今年度は「金沢方式あり方検討懇話会」を通じて議論が行われました。懇話会メンバーは金沢方式の利害関係者ばかりで、公募も市民へのアンケートもなく、ちゃんと市民の意見が反映されるのかという批判の中からのスタートでした。懇話会の当初は金沢方式を肯定的に捉える意見が多かったものの、「移住者からは理解されない」「地方財政法に反するのではないか」といった意見が出されるようになりました。

 最終回では、金沢市町会連合会の会長からも「地域住民の負担が大きくなることで、住民が町会から離れる、町会が町会連合会から離れ、地域を根底から崩す課題となりうる」との懸念が示されるに至りました。しかし最終的な報告書では、地域負担の軽減を求めるものの、地域の自主性や連帯意識を醸成するために「一定の負担は継承すべき」とまとめられたのです。

 これは、懇話会の中で交わされた「金沢方式そのものに理解ができない市民がいる」という実態と矛盾しています。そもそもこの委員会の議事進行や資料作成は金沢市ですから、はじめから地元負担を温存しようとする姿勢が透けて見えるものでした。ところが、傍聴者も多く、市民や議会からも意見も寄せられ、地元負担を継続するかどうかの議論に踏み込む流れもできつつありました。しかし、時間の制約を盾に、拙速に今回の報告書に至ったのです。

 座長が市長に報告書を手渡す際「委員も市民もさまざまな意見をお持ちであり、これで終わりとせず今後も議論してほしい」と求めたのは、十分に議論を尽くせなかった苦悩だと受け止めました。

 ところが市長は、報告書を受け取った直後に、一定の地元負担を継続する姿勢を示したそうです。市長、懇話会の開催の仕方や市長の姿勢から、市は最初から結論ありきだったのではないかと疑問の声が寄せられています。

 市長、どのような姿勢で見直しに臨んだのかあきらかにしてください。また、市の見直しでは地元負担を5%削減するとしましたが、その理由をあきらかにしてください。また、地元負担の解消を少しも検討されなかったのか伺います。 

-村山市長

 まず初めに、金沢方式を「まちづくりの文化」というように定義をさせていただきました。これは規範と言ってもいいかもしれません。毎年度の予算において、金沢方式を含めた予算についてお諮りをさせていただいている中で、ここ40年以上、これは金沢方式ができたというのを昭和30年代にするのか27年にするのかわかりませんが、それだとすればもう60年以上の間、金沢市議会でお認めをいただいてきた、これはまちづくりの規範と言ってもいいかというように思っております。それを尊重した中での金沢方式のあり方の検討を行ってきたというものであります。そういった中で、今般、人口減少・少子高齢化の進展とともに、町会加入率が減少するなど、地域を取り巻く環境が変化する中で、地元負担の見直しが必要と考え、あり方検討懇話会を立ち上げて検討を重ねてきたものであります。

 懇話会では地元負担の見直しだけではなく、金沢方式自体の周知・広報、また地域活動における担い手にかかる今後の方向性など、持続可能な地域コミュニティのあり方について幅広く議論いただいたと思っております。この懇話会では、委員からの意見を受けまして、持続可能な負担のあり方について様々なシミュレーションを行いまして議論をしてきたところであります。これらの議論を踏まえて、これまで40年以上変わっていない地元負担の割合について見直すということ、ここに一歩踏み出して勇気を持って見直しを行いました。

 そして地域コミュニティのさらなる強化に資する地元負担の軽減にかかる予算案について、本議会にお諮りしたところであります。具体的には施設整備に関して地元負担を4分の1から5分の1に軽減する、これは5%という形になりますけれども、軽減をさせていただくという一歩を踏み出させていただきました。

また施設解体や長寿命化にかかる経費、こちらについては全額市の負担といたします。

また、消防分団機械器具置場の補助基準単価の引き上げも行わせていただきました。

 また地区公民館の運営にかかる負担についても、4分の1から5分の1への引き下げを行うのと合わせて、施設整備と同様にこの運営についても世帯数に応じた軽減措置を導入するということで、金沢方式を持続可能な形でどのように承継していくか、そのような手立てを講じさせていただいたものであります。

 金沢の地域コミュニティについて、自分たちの地域は自分たちで守り育て、運営していくという基本的な考えのもと、地域主導、ボランティア、地元による一定の負担で成り立っております。継承していくべきまちづくりの文化だと捉えております。

 懇話会におきましては、地元住民はもとより、町会長や公民館役員であっても知らない方が多いといったご意見がございましたので、地域活動の内容や日常生活との関係性など、正確な情報を若い世代や移住者などを含め、改めて広く市民に周知・広報していく必要があると考えておりまして、本会議に関連する予算を計上させていただいたところであります。

-広田議員

 一方で、座長や議会からも議論の継続や市民からの意見聴取が求められていますが、担当部署は今後どこになるのかあきらかにしてください。

-村山市長

 懇話会から報告がございました、市民への周知・広報の強化、あるいは地元負担の軽減、担い手不足への対策強化など、今後取り組むべき施策の方向性につきましては、地域コミュニティにかかわる部署が相互に連携をし、情報共有を図りながら、地域コミュニティの醸成に向けて取り組みを進化させていくことが必要であります。今後更なる社会環境の変化等を踏まえつつ、まちづくりミーティングなどを通じて、地域の声をお聞きしながら、持続可能なコミュニティを支える基盤の強化に向けまして議論を重ねていくことも大切だと感じております。

-広田議員

 金沢方式の周知について予算化されています。概要だけではなく、各施設の地元負担の仕組みをあきらかにするとともに、地元からの「負担」ではなく「寄附」であることを明確に周知するよう求めますがいかがですか。

-村山市長

 懇話会におきましては、金沢方式を知らない方が多いといったご意見があったことから、改めて地域活動の内容や日常生活との関係性などの情報を広く市民に周知・広報していく必要があると考えております。明年度、市民の地域活動への参加意識を醸成させるため、地域コミュニティの特徴と合わせまして、町会、公民館活動を紹介するパンフレットなどを作成し、こちらは結ネット等も活用しながら広く市民に周知してまいりたいと考えています。

-広田議員

 さらに、第4次協働推進計画策定や、町会加入促進強化に向けた市民アンケート調査を実施する予算が計上されていますが、金沢方式についての質問を盛り込むべきですがいかがですか。また、計画のパブリックコメントはいつ頃実施されるのかあきらかにしてください。

-村山市長

 第4次協働推進計画の策定にかかる基礎資料といたしまして、市民の地域活動・市民活動に関する意識調査を行うこととしております。今後、有識者や地域団体などで構成する協働を進める市民会議の中で、新たな担い手の育成など、市民協働を推進する上で必要な調査項目について検討してまいります。また、策定に伴うパブリックコメント手続についても、明年1月をめどに、実施する予定であります。

総意について

-広田議員

 報告書には重要な指摘も加わりました。「各地域での施設整備の際、正確な情報が地域住民に示された上で、丁寧な議論や合意形成等が望まれる。」というものです。市長ご自身も、「設置を望む地域の総意を最大限に尊重する。地元負担が生じることを了承していただいたうえで事業を進めており、その了承がない限り市は事業に着手しない」とまで述べています。

 では、今予算に金沢方式にもとづく事業がいくつか計上されていますが、みな総意を得たものなのでしょうか。消防分団の機械器具置き場についての予算が2件あります。しかし、材木分団については、地元住民から市長や議会へ今議会に対し「住民負担をともなわない整備を求める」陳情が提出されています。市長、地域の総意を尊重するとしながら、この予算を計上されたのは矛盾しませんか。

-村山市長

 いくつかの地区公民館や消防分団、機械器具置場の建設等にかかる地域の合意形成につきましては、こちらがはかられたため、額公民館、東浅川公民館、材木分団機械器具置場、芳斉町分団機械器具置場、こちらについて、その他、本議会に関する予算を計上しているところであります。

この中の材木消防分団の機械器具置場の整備についてご指摘がございました。こちらにつきましては、材木・味噌蔵両地区の町会連合会において、合意が得られたことから、当該予算を計上したものであります。

-広田議員

 また、公民館・児童館整備事業などで、住民の議論が継続しており、予算化に至らない事業もいくつもあるとお聞きしています。どのような状況か理由も含めてあきらかにしてください。

-村山市長

 公民館、児童館の建設につきましては、検討を進めてはおりますけれども、まだ全体の合意形成までには至っていない地域が数ヶ所あることは把握をしております。これらの地域を含めまして、建設について地域からのご相談がございましたら、今回の金沢方式の見直しの内容などを説明するなど丁寧に対応してまいりたいと存じます。

金沢方式の歴史と意義について

-広田議員

 金沢方式の歴史や意義についての市の説明も再検討が必要です。資料にもあります通り、これまで金沢市は「昭和27年に地元負担も含め住民が要望した」と説明しています。

 しかし、過去の資料や歴史的事実を再調査した結果、この仕組みは住民の要望ではなく、市が財政負担を回避するために設けたものであることがうかがえます。

 市長は、金沢市教育委員会と公民館連絡協議会が発行した金沢市公民館50周年記念誌を読まれましたか?

 こう書いてあります。「昭和24年に社会教育法が施行、金沢市公民館設置条例が制定された。昭和27年までに8公民館を設置したが、設置できなかった校下には、学校や善隣館の一部を事務所に「公民教育委員」が委嘱され、一律補助を行っていた。

 しかし、公民館がある校下との補助額に大きな違いが生じ、その差を放置しておくことが困難な状況となり、政治判断で昭和27年に全市の校下で公民館を設置することを決断した。その前提には、町内会が復活し、財政的援助を期待できると踏んでの決断ではあったと思う。」と書かれています。

 昭和27年は町会が復活した年です。戦後GHQが大政翼賛会の組織下であった町会等を禁止していたのですが、昭和27年にGHQが引き上げた際に復活したのです。

 しかしその後、市の直営にすべきだという声があがります。昭和35年頃から公民館連絡協議会が陳情運動を行い、「市が設置するという社会教育法の通り、市の直営にしてほしい」と求めたと記されています。

 その動きに対し昭和38年、市はあらたな計画を発表。8つの直営公民館を設置するので、これまでの地区公民館へは今後、委託・補助はしないとしたのです。当然、直営を求める運動は収束します。各地区の公民館建設についてはその後のことですから、建設についても地元負担ありきで進まざるをえなくなっていったと考えられます。

 つまり、昭和27年の金沢方式のはじまりは町会復活に乗じた市の政策的判断であり、直近の歴史では、市民は法律通り市の責任による運営を求めていたことがわかりました。市長、この歴史をどのように受け止めますか?

-村山市長

 公民館50 周年記念誌につきましては、これは読む人によって解釈が違うんだなということを感じた次第であります。

 昭和27年までに8公民館を設置したが、公民館がある校下と公民教育委員会があった校下とでは、市からの補助額に違いが生じ、その差を放置しておくことが困難な状況になりつつあったということ、これは議員のご指摘のとおりであります。その他に、市が実際に公民館を設置し始めると、各校下に一つずつ公民館が欲しいという要望があったということも記載されております。

 さらに昭和27年には、地区公民館職員の服務管理が市から地区公民館長に変更となる金沢市公民館設置条例の改正があったことなどの記載がございました。こうしたことを総合的に勘案しますと、金沢方式については、多少の地元負担を伴ってでも公民館の設置を求めるという金沢方式、この方式については、昭和27年頃に始まったと推察できるのではないかと考えております。もちろん、この呼称に決まったかどうかというのはこの頃ではないということも承知をしております。

-広田議員

 そもそも、町会は藩政時代から存在し、自らの経費で行政の仕事を請け負い、戦後でも小中学校の建設負担金を拠出したり、川や用水、橋の改修を自ら行うなど自治組織と行政の役割が曖昧でした。

 その歴史は他の自治体にも共通し、過去に金沢市同様、公民館の住民負担があった自治体もあります。福井市では昭和30年代、公民館建設に2分の1の地元負担があったそうですが、市民の批判を受け、全額市負担に改善したとのことです。

 消防分団においても、住民負担があった名古屋市では検討会を開き、「消防団に要する費用は市費により負担されるべきである」と市長へ答申されています。

 市長、他都市では市民の声を受けて公民館整備や消防分団の住民負担を解消させている例がある中、金沢市だけが地元負担を維持している特異な状況ではないですか。

 この特異な状況について金沢市は、金沢方式の意義としてこう説明しています。「地域が一定の負担をしながら自主的運営を行うことは、活動の自主性・自立性を担保することで地域の連帯・連携を強めて協同をはぐくむ」。

 しかし、これも歴史的には住民ではなく、市側の理屈として読み取れます。50周年記念誌に「市教育委員会としては、金沢方式は、住民が自主性をもって公民館を運営することは、市が直接運営するよりもよい方式であるという認識と、社会教育法の条文通りの公民館運営を求める公民館連絡協議会との間に妥協点を見いだせぬ対立があった」とあります。

 市長、金沢方式は法律にも条例にもなく、唯一のよりどころは歴史です。しかし、金沢方式の歴史は、市側がその意義づけも含め、財政負担を回避するために編み出した仕組みなのではないですか。

 意義については、「負担があることで町会を離脱する」というのが現実であり、役員の方も大変ご苦労されています。地域活動を自主的に取り組むことと、住民の金銭的負担は分けて考えるべきですがいかがですか。

 さらに金沢市は、中核市平均より公民館などが多く、特別なので、地元負担が必要だという説明も行ってきました。

 しかし、社会教育法に基づく公民館を中核市で比較してみると、表のように小学校区単位の規模で設置している市は15市ほどありますし、公民館数の対人口比では金沢市は10番目、対小学校比で7番目です。上位のほうではありますが、さらに上位の都市があり、それらの自治体では地元負担はないのです。金沢市が特別多いわけではなく、特別なのは地元負担があることですがいかがですか。

-堀場教育次長

 他都市の状況からみて、公民館の建設等にかかる住民負担は特異な状況ではないか、また、金沢方式は法律にも条例にもなく、市が財政負担を回避するための施策ではないかとのお尋ねがございました。

 金沢方式は、多少の地元負担を伴っても校下ごとに公民館がほしいという地域住民の強い要望を受け、一校下に一公民館の設置を目指してきたものでございます。また、公民館等の整備は、建設工事などに地元負担が生じることを了承の上、地域の方々と協議しながら、本市独自の方式で進めてきたものでございます。

 地域が一定の負担をしながら自主的運営を行うことは、活動の自主性・自律性を担保することで地域の連携を高め、協働を育むための大きな役割を果たしてきたものと認識しております。

-村山市長

 公民館等の整備については、建設工事等に地元負担が生じることを了承のうえで、地域の総意により、進められております。地元負担の集め方につきましては、地域によってさまざまな方法があると思っております。

今回の地元負担の見直しにあたりましては、今後の人口減少を見据えて、世帯数に応じた軽減措置を拡充するとともに、運営費につきましても同様の措置を導入して負担軽減を図ったところであります。このことも含めまして、金沢方式が「自分たちの地域は自分たちで守り、育て、運営して行く」という考え方のもとで成り立っているということを周知してまいりたいと存じます。

-広田議員

 そして本市は、児童館・消防分団についても公民館の金沢方式が採用されたとしていますが、消防分団には明治からの別の歴史がありますし、児童館などは公民館と併設が多く、必然的な地元負担とも言えます。見解をあきらかにしてください。

-蔵消防局長

 消防分団の金沢方式については、明治からの別の歴史があるのではないかというお尋ねがございました。本消防団の原型となる民間消防は、万治2年(1659年)金沢に18組の町火消が組織されたことを起源として、廃藩置県が行われるまで長く受け継がれてまいりました。明治以降、昭和23年消防組織法が施行されるまでの間、その組織体制は幾度も変遷を重ねることとなりますが、金沢方式についてはその当時に独自に存在していたかどうかについては定かではございません。

-安宅こども未来局長

 児童館建設について、児童館の歴史についてお尋ねがございました。地区児童館は、昭和40年に長町地区で公民館と併設して開館したのが始まりでございます。その後、他の地区においても公民館との併設館として整備されたことから、公民館同様の金沢方式が取られております。以上です。

-広田議員

 ところで、今予算では「老人憩の家」についても地元負担の軽減が示され、どうやら金沢方式のようです。しかし、国からの通知でこの施設は、市町村が設置および運営主体とするほか、利用は原則無料とまでしています。しかも、この通知が発出されたのは昭和40年であり、市内どの施設もそれ以降の施設です。どういう経緯で金沢方式を導入したのでしょうか。また、ほかにも金沢方式の事業があるのならばあきらかにしてください。

-山口福祉健康局長

 老人憩の家に関しましてお尋ねがございました。老人憩の家は、昭和54 年から開設いたしまして、現在15箇所ございますが、いずれも公民館や児童館と併設しておりまして、地域において一体的に運営しておりますことから、同様の運用等が行われております。

-村山市長

 金沢方式が適用されている施設ということであります。先ほど申し上げた通り、地元が一部負担してでも各地域に設置を望む住民の要望を受けて、身近な地域活動の拠点として地区公民館を設置したということに始まった仕組みであります。地区公民館に加えまして、児童館や消防分団、老人憩の家におきまして、この方式による整備・運用が行われております。

法的問題について

-広田議員

 つぎに法的な問題についてです。金沢方式は住民に負担を割りあてる形となっており、地方財政法に反しています。市は、寄附が自発的なものであると主張しつつも、市自らが、今予算でも計上している通り、負担割合を事前に決めて、寄附の歳入など具体的な金額を予算書に組み込んでいます。つまり、地元住民にはじめから寄附を割り当てていることにほかならず、地方財政法第4条の5に反するのではないですか。

-村山市長

 本市におきます公民館等の整備については、地元負担が生じることを了承の上で予算計上しております。地元負担相当分については、整備完了後に地元からの寄附申し出に基づき、寄附金として採納する予定でありまして、地元負担を強制しているという形ではありません。なお、地方財政法第4条の5におきまして、自発的な寄附は何ら禁止するものではないと解釈されておりまして、問題ないと考えております。

行政の役割について

-広田議員

 そして金沢市は、行政として重大な視点が欠落しています。資料にもある通り、社会教育法や消防組織法においては、住民の寄附を前提とした施設整備を認めているわけではありません。本来、市民の命を守ったり、社会教育を普及させるために、自治体が設置するものとして制度設計されています。住民が要望して負担もしなければ建て替えないなどという状況はありえないのです。

 にもかかわらず、市長のこれまでの答弁では「市の方で老朽化の度合いは把握しているが、整備計画は持っていない」とし、住民の総意がなければ事業は着手しないという態度です。つまり、児童館や公民館も、お金が集められる地域組織かどうかで建て替えができるかどうか差が出ることになりませんか。

 消防に関しては地域住民の命に関わります。市長、社会教育法や消防組織法はそのような地域格差を是認しているのですか。お答えください。

 しかも、この地元負担は町会加入者だけに負担を負わせるものです。しかし、消防や公民館は地域住民全体の安全、社会教育に貢献する公共施設です。一部の住民にのみ税外負担を求めるのは、受益と負担の公平性に欠けませんか、お答えください。

-村山市長

 消防分団における整備費の一部を住民が負担することで、こちらについては住民自治の意識が高揚し、地域住民が主体的に参画することに繋がっていると認識しております。

※答えていない

財政面について

-広田議員

 財政面からも伺います。前段で述べたように、国が法律で規定しているからこそ、財政支援も行われています。

 しかし金沢市は、金沢方式にとらわれるばかり、国から得られるはずの財源も得られていません。たとえば、消防分団の機械器具置き場は、緊急防災・減災事業債で100%充当でき、地方交付税算定率は70%です。

 つまり、1億円の事業ならば3000万円の市の負担で済むわけです。しかし、消防分団関係の事業主体は地元であり、市は補助する立場のため、1億円の事業のうち仮に5000万円が地元負担とするならば、国の支援が受けられるのは市が補助する5000万円に限られます。5000万円の70%つまり3500万円が国となり、残り6500万円は、市が1500万円、地元負担は5000万円となります。

 本来3000万円で済む事業が6500万円となり、そのうち5000万円は住民の税外負担であるという矛盾が生じるわけですが、いかがですか。

 さらに、児童館は国の交付金措置を活用していますが、それによって減額となるのは本市だけです。地元負担はあくまで全体額の4分の1となりますが、地元にはこのような説明はなく不公平ではないですか。

-村山市長

 児童館に限らず、事業の実施にあたっては、財政の健全性を堅持するために、できる限り国・県の補助金など財源の確保に努めております。

-広田議員

 また今回の予算にもありますが、市が移転補償を行う場合があります。たまたま市がすすめる公共施設の建築にあわせて整備事業を行った場合、地元負担はかなり少額で済みます。どういう仕組みかあきらかにしてください。市の都合という点では、材木消防分団の機械器具置き場も用水のうえに存在し、現地で建て替えが許可されません。市の施設であり、法令上移転が必要なのならば、市が移転補償すべきですがいかがですか。

-村山市長

 消防団機械器具置き場の関係で、移転補償についての質問がございました。公共事業のため支障となって移転を余儀なくされた場合、この場合には国土交通省が定める公共用地の取得に伴う損失補償基準に基づいて保障費を算出し、地元に保証しているところであります。公共事業により支障となり、移転を余儀なくされた場合が移転補償という考え方は適用できますけれども、材木分団機械器具置き場については、そのような経緯ではありませんので、適用の対象外となっております。

地元負担の解消を求める

-広田議員

 市長、金沢方式の地元負担の解消を決断すべきです。これまで述べてきた通り、金沢方式という仕組みのもと、住民に税外で負担を転嫁する正当性はまったくありません。

 もし財政的な問題があるならば、前段で示した直営で行っている他都市との比較を行い、どうすれば地元負担がなくても維持できるのか、できないならどうするのか、市民とともに検討すべきと考えます。

 質問初日に市長は、「金沢方式はまちづくりの文化だ」とまでおっしゃいました。文化だと受け止める方もいらっしゃるかも知れません、しかし文化というのは決まりがあるわけでなく、あくまでも個人の価値観や受け止めです。多様性を重んじる市長はいろいろな考え方も尊重されるはずです。

 そして、その多様な文化を議論し「条例や規則」に落とし込むのが我々議会の役割であり、その条例や規則にそって仕事をしていくのが行政の役割です。条例にも規則にもできない「寄附金」を予算に当てはめることは、地方財政法に違反する「寄附金の割当」にほかなりません。

 もし「寄附金」の文化を重んじるのであれば、予算に計上するのでなく、寄附される志を持つ個人のみなさん宛てにお願いをし、結果として集まった寄附金を採納していただくことが行政の役割です。ご決断を求めます。

-村山市長

 金沢の地域コミュニティは、改めてでありますけれども、長きにわたり自分たちの地域は自分たちで守り、育て、運営して行くという基本的な考え方のもとで、地域主導、ボランティア、地域による一定の負担といった、金沢の地域コミュニティの特徴と一体となって、地域の自主性や連帯意識の造成に大きな役割を果たしておるものであります。今後も本市独自の方式として継承すべきものと捉えております。

【再質問】

-広田美代議員

 ご答弁ありがとうございます。市長、金沢方式の地元負担が、地域の自主性どころか地域の分断すら生んでいる現状がこれまで明らかにされてきているのに、市長のご答弁は現実を直視できずに、逆にこれまで以上に金沢方式に固執したものになっているように感じました。

 まず、町会で分断が生まれている実態について、どう受け止めているのか明らかにしてください。

 そして、ちょっと答弁で踏み込んでいませんでしたので、何点か。負担ではなく、寄附であることを明確に周知するよう求めること。

 そして、材木分団においては、町連においての合意が取れているということでしたけれど、明らかに地元住民からの陳情が出されているんです。その方々も町会連合会に属しているんですよね。その方々の思いは、総意ではないんですか。市長のいう総意とはそういったレベルなのか。明らかにまずしてください。

-村山市長

 まず、この金沢方式について議論をするというのは非常に思い切った決断でありました。それまでであったならば地域の負担が4分の1のままであり、そしてその他にも今回改正させて頂いた長寿命化であったり、解体費であったり、そういったところに踏み込んだというのは大きな一歩だったというふうに思っております。一方で地域の分断が生まれるのではないかというようなご指摘も、確かにあたるかというように思っています。

 一方で、これは私の住まう町会の話になりますけれども、昨年の4月に公民館、児童館が新しくなりました。この中にあっては、さまざまな議論がありました。この地区の校下の中の一番端のところに位置するのは、私の住まいしているところでありましたので、その中で金沢方式をどういった形で考えていくべきかというのは議論もありました。そうした中で、やっぱりこの金沢方式に協力して行く、そして今後の公民館、児童館の使い方を一緒に考えていくという形になりまして、分断よりも結束が生まれたというのは結果でありました。こうした事例なども参考にしていただければというように思っております。

 そして、広報についてでありますけれども、金沢方式が自分たちの手で守り育て、運営していくという考え方のもとで、地域主導、ボランティア、地元による一定の負担で成り立っているということ、そして今回の負担軽減など見直し内容を周知するということで、今回、負担ではなく寄附金ということを明記するという必要は生じてないというように考えております。

 また、陳情の内容ということでありますけれども、今回、材木・味噌蔵両地区の町会連合会から合意が得られたというようにお話をいただきました。陳情はさまざまな形でいただくことはあるかと思いますけれども、この両町会連合会の方で進めたいということ、これをもって今回予算化させていただいたところであります。

-広田美代議員

 懇話会でも正確な情報を提示するという意見が出されたわけです。ちゃんと寄附であることを明記すべきです。もう一度お願いします。

 そして、総意はそういったとらえ方なのですね。それじゃあもう住民の中の合意作りは既定路線ということになりませんか?もう一度お願いします。

 最後に財政健全性を主張されましたけど、先ほど消防分団の事例では、市は3000万から1500万になるかもしれないですけど、住民は5000万の負担のままですよ。住民の財政健全性が保たれないです。明らかにしてください。

-村山市長

 市の歳入の方法としてどこにあたるかという話と実態ということは、全く違う話だというように思っておりますので、こちらについてはこれまで通り周知をして行きたいと考えております。

 また、一人でも反対をすればというようなことにもつながる話かと思いますけれども、総意ということについては、どういうことで認めていくべきかということ、大変難しいと思いますが、町会連合会のほうでの合意が得られたということ、これは非常に大きな地元の意思だというように捉えさせていただきたいというように思っております。

 さまざまな方式の中で、この金沢方式を運営しております。また、地元の負担については今回、4分の1から5分の1ということで明らかに小さくなったということを踏まえていただければと思います。

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