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2024年1月16日


金沢市長 村山卓 様

2024年能登半島地震対策についての要望(第1次)


日本共産党金沢市議員団
森尾嘉昭
広田美代
山下明希

 元日に発生した能登半島地震は県民、市民に甚大な被害をもたらした。市内では未だ避難されている方もおり対策が急がれる。さらに、能登方面からの避難者受け入れが行政、個人レベルでも行われており、本市としても県と連携して取り組みを進めることが不可欠である。そのための具体的な要望項目を以下に記す。


避難者
・田上新町と山の上町の一部、堀切町に避難指示が出され、住民が避難されている。早期の復旧と避難解除
に努めるとともに、避難生活上の要望解決に取り組むこと。
・被災者用市営住宅に早急に浴室設備と給湯器を設置すること。
・宿泊施設への避難者に対し、駐車料金や食事代など自己負担が生じないよう取り組むこと。
・市内にご家族・ご親戚を頼って避難されている方々の状況を把握し、生活や今後についての相談窓口を設けること。また、住居費や物資面などの支援が受けにくいため、個別に支援を行うこと。

医療、介護
・被災者を受け入れた事業所に対して、人的・財政的支援を行うこと。
・能登からの高齢者・要介護者の被災者について、介護施設受け入れの調整担当窓口を設置すること。
・県や市が管轄しない、単独避難した高齢者や要介護者に対しても、きめ細やかな対応がなされるよう、地域包括や事業所ケアマネのマンパワー等の支援を行うこと。
・被災した要介護者を受け入れるために臨時ベッドを要望する施設には、公的に増設すること。

上下水道
・粟崎地区では約200世帯で断水が発生し、解消までに10日間程度を要した。上下水道施設の復旧に努め
るとともに、上下水道料金の減免を行うこと。

住宅
・本市内で被害が多くみられる、がけ地やブロック塀に関する補助制度や住宅周りの支援を拡充すること。
・災害救助法に基づく被災住宅の応急修理について、対象範囲を広げ、資力の制限をなくし、上限額の上乗せも行うこと。
・本市等が行う住宅の安全調査について、対象を広げ、個別にも応じるなど、取り組みを拡充すること。

広報
・金沢市民の被災された方を対象にした広報はもちろんだが、金沢に避難された方また避難しようとされて
いる方、ご家族等にもわかりやすい広報を強化すること。                  

以上

 私は、認定第1号令和4年度金沢市歳入歳出決算認定および、認定第2号令和4年度金沢市公営企業特別会計決算認定について、認定できないことを表明し、主な理由を述べます。

 新型コロナウイルス感染症は、令和2年1月に日本ではじめて感染が確認され、猛威を振るい続け、令和4年度の第7波は一日あたりの感染者数が過去最多となりました。また、物価高騰もあり、市民のくらしは苦しさを増しました。
 一方で、市民税が令和3年度から4年度にくらべ、納税義務者数、納税額とも増えていますが、日本ではこの30年間実質賃金が減り続け、さらにこの物価高騰で追い打ちをかけており、実態としては、多くの市民にくらしのゆとりはありません。
 その対応として、金沢市は地方創生臨時交付金を活用した支援事業も行いましたが、片方でくらし大変な市民のためとは言えない、不要不急の大型開発である、市民サッカー場の新築移転整備における実施設計や歌劇座の建て替え検討、金沢港の開発事業などが進められました。市民サッカー場建設は、令和4年度は工事期間であり、資材高騰の増額もあって本体と周辺工事あわせ31億9190万円の決算額で、46億3662万円の繰越となりました。全体工事費およそ120億が見込まれています。金沢港の令和4年度の開発工事も国県市をあわせ総額47億4626万円のところ金沢市は8億7852万円の負担です。この開発は平成17年から大手企業コマツの進出のためにはじまり、18年にわたって多額の事業費で続けられてきた事業です。こうした不要不急の開発は、市民のくらしの困難に応えたものとは言えません。

 さらに、市民のくらしを守る金沢市の職員数(正規現員数)については他自治体にくらべ少なく、コロナ禍でその影響が浮き彫りになりました。中でも、保健師が中核市で人口あたり最も少なく7名という配置が浮き彫りになり、かねてから私たちも要望していた通り、令和4年度は保健師等が19名まで増員され、そのことは評価しています。
また、非正規率については正規職員が少なく、非正規率が伸び続け、令和4年度4月で1,507名、およそ32.1%をしめています。正規職員の補助業務と言いながら、窓口対応や女性、子育て、消費者、などの相談業務にも当たっています。しかも、女性が多く1,173名と77.8%に及んでおり、官製ワーキングプアを生み出しています。
専門職をはじめとして正規化を求めますし、給与や任用期間の延長など処遇の改善を求めます。
 また、技能労務者について金沢市は、退職者不補充という方針があり、校務士の配置を減らし委託化を進め問題となっています。そして、令和4年度は市立保育園5園で自園調理をやめ、外部調理委託化がはじまりました。土木、企業局、ごみ収集の分野でも大幅に機能労務者を退職者不補充にて減らし委託化を進めています。ごみ収集では、現在7割が民間委託となっています。
技能労務職不補充の方針は撤回し、本市職員が直接従事し、市民サービスを充実させるべきです。

 そして、これらのことは、監査委員の意見書に示された経常収支比率の内訳にあらわれています。人件費では、中核市平均が23.5%であるのに対し、金沢市は18.9%と大変低く、局長のご答弁でも平成17年からの行革で250人削減をしてきたことを認めています。また、委託費などを多く含む物件費については、16.9%であり、中核市平均の14.4%より高くなっており、前で述べた状況を表しています。

 次に、コロナ禍にあって、商店街の施策がどうだったかという点です。
かねてからその有効性を指摘してきました、中心市街地のフォローアップ事業について令和3年度、4年度で新規出店が50件あったところ、7件が約束の2年を待たずに撤退しています。コロナ禍の厳しい状況は理解しますが、それ以前から営業自体の確認不足や報告書の提出もないなど問題点がありましたので、効果的な商店の継続支援を求めてきました。
さらに、県内をみわたすと、外回りに環状線道路をつくり、郊外型大型店舗を進出させている状況の中で、県との連携も必要です。

 次に、玉川図書館、子ども図書館の駐車場有料化についてです。
令和4年度4月に玉川子ども図書館の改築オープンを迎えると同時に、駐車場が有料化となりました。歳入で、当初3030万円の駐車場料金収入を見込んでいましたが、決算では226万3,800円と大きく落ち込みました。教育委員会のご答弁では、コロナ感染症や県立図書館の影響をあげますが、それだけでは説明がつきません。なぜなら、ほかの市立図書館は令和3年度と令和4年度の入館者数を比較しても横ばいか増えている状況ですが、玉川図書館だけは85%に減りました。玉川子ども図書館は建替えていたのでコロナ禍前の平成30年度と比較してですが、改築オープンであるにも関わらず47%の減少です。それに伴い駐車場の利用は、新しい地下駐車場だと73台の用意があって、一日63台の利用です。駐車場有料化の影響は明白です。図書館無料の原則に従い、誰もが図書館を利用できるよう、駐車場の有料化見直しが必要です。

 学校給食については、共同調理場化が進められてきました。令和4年度は、泉本町でこれまでで最大規模の8000食の共同調理場を建設すべく約4533万円の実施設計などと用地取得の交渉が行われました。この調理場の完成によって現在残っている4校の自校式調理場が廃止されます。安全安心、顔の見える食育、地産地消をかなえる自校式への転換を求めます。

 次に、検診についてです。聴力検診について、以前から受診率が低いことを指摘してきましたが、令和4年度も2.7%にとどまっています。当局はコロナ感染症の影響を言いますが、それ以前も3%台と低めです。「耳鼻咽喉科の専門医と金沢市とで受診率向上について毎年意見交換をしており、今後さらに取り組んでいきたい」というご答弁もありましたので、取り組みを進めるよう求めます。

 ふるさと納税についてです。ふるさと納税は2008年から始まり、2016年には企業版にも拡大しました。昨年度、全国の状況では個人の分では、開始時の100倍となる8300億円寄付。今年度は1兆円を超えるとされいます。しかし、その中身は、自治体間の“返礼品競争”が過熱化せざるを得ない状況に陥っています。そして、本来住民税などの地方税は、自治体の行政サービスの費用を住民や企業が負担し合う仕組みであるべきなのにそのシステムが崩れています。   
金沢市では、個人と企業版どちらも寄付を得る一方で、他都市への寄付による控除ほうが上回っています。
 国は、国庫補助負担金の削減や地方交付税、税源移譲を含む国と地方の税源配分を見直し、地方財源を削ってきており、こうした中で、ふるさと納税によって自治体に競争をあおり、自分で稼げと言わんばかり。このような制度は見直しを求め、国がどの自治体にも責任をもつ財政措置こそ求めるべきです。

 次に、特別会計についてです。

国民健康保険については、被保険者数の減少で医療費総額は減っていますがひとり当たりの医療費は若干増えている状況です。そして基金については、当初5億5000万円の取り崩しを予定していましたが、減額して使わずに、4,900万円を積み増すこともできました。
 国民健康保険は、公的な医療保険であり、市民の命と健康を支える最後の砦です。しかしながら、高齢者が多いため医療費も多くかかるだけでなく、被保険者も高齢者や自営業者、非正規雇用の方々でなりたっており、とても脆弱であるにもかかわらず、国からの負担金が減らされ、ほかの医療保険とくらべ2倍近くの保険料水準となっています。
よって、高くて払うことができず、金沢市では被保険者の15.2%が滞納を余儀なくされています。そして、高齢化などにより今後も保険料の引き上げが危惧されていますが、金沢市の基金は、令和4年度では31億6790万円積みあがっており、保険料の引き下げに使うよう求めるとともに、すでに求めているとのことですが、国へ国庫負担の割合の引き上げをさらに求めることが必要です。

 介護保険についてです。当初予算で基金を3億3千万円取り崩す予定でしたが、7100万円に圧縮されました。介護保険制度は、公的負担と保険料負担の割合が決められており、高齢者の増加で介護の利用が増えると、保険料が増える仕組みになっています。2000年度の制度発足時から基準月額はおよそ2倍以上へと跳ね上がり、高齢者からは、年金が減る中引き下げを求める声があがっています。国へ負担割合を増やすよう引き続き求める必要がありますが、同時に本市としては、基金が令和4年度末は28億4618万円積みあがっており、次期計画の保険料の引き下げに使うよう求めます。

市街地再開発事業については、令和4年度はライブ1で15区画の保有に対し、11区画が入居し、リファーレについては4区画保有のうち、全て入居している状況です。
しかしながら、40年前からはじまった事業故、両建物とも一定の年数が経ち、修繕負担金などの施設管理費が増えており、2800万円もの一般会計を繰り入れています。
そして、仮に保有区画を全部貸し出すことができたとしても、およそ800万円の一般会計繰り入れが必要だということもあきらかになりました。再開発事業の破綻であり、一刻もはやく市民の負担が減るよう求めておきます。

 ふたつの決算会計についてです。
金沢市ガス事業・発電事業が令和4年4月1日をもって、金沢エナジー(株)へ売却され、それに伴いこの二つの会計を清算する決算会計が設けられました。
 コロナ感染拡大と生活の変化、気候温暖化とエネルギー危機など大きな変化の中、エネルギー事業の役割とその価値が増大しており、金沢市ガス事業、発電事業を民間に300億円で売却したことが問われてきました。
 当時のコンサルによる調査報告書では、発電事業について、事業評価は、472億円から1098億円というものでした。水力発電によるクリーンな電力の評価は高く年間の利益は15億円に上るとされました。仮に、1000億円さらに、それ以上の事業評価があるもの300億円で売却すると含む利益として700億円に上る利益を民間企業にもたらすしたことになります。100年余にわたって公営事業として運営されてきた金沢市ガス事業・発電事業を引き続き、公営事業として運営することの大切さが改めて浮き彫りとなりました。
また、金沢市企業局は、金沢市発電事業を売却伴い、北陸電力へ電力を売却していた契約を残り4年間前倒し契約解除するとしました。そのために、北陸電力へ電力受給契約解除に伴う解約補償金として12億3720万円を支払いました。
ところが、金沢市企業局は、北陸電力との話し合いの記録も報告書もないとしてきました。さらに、この決算委員会でメールや電磁機器によるデーターなどの関係書類の提出を求めたところ一切ありませんと回答しました。この支払の正当性がないことを告白するもので、金沢市企業局としての説明責任を放棄するものです。厳しく指摘しておきます。

 次に認定第2号令和4年度金沢市公営企業特別会計決算認定についてです。

水道事業は、令和4年度決算で、6億6,078万円余の黒字となりました。県水の契約水量や責任水量制が引き下げられたことによるもので、水道料金の引き下げを実施し、市民に還元すべきです。
 本市水道事業は、自己水に比べ4倍も高い県水を契約水量の6割を受け入れる責任水量制によって受け入れる一方、安くておいしい自己水を配水能力の3割しか使っていません。膨大な県水を受け入れる現状を改め、安くておいしい自己水を基本とする水道行政に切り替えれば大幅に水道料金を引き下げることは可能です。

工業用水道事業についてです。
市内森本地区に先端産業を立地するとして造成された工業用地・金沢テクノパークは約30年が経過していますが、15区画の分譲の内いまだ1区画約2万7千㎡が残っています。金沢市営陸上競技場に匹敵する面積が残っていたままです。
このテクノパークの工業水道は、供給開始から26年が経過していますが、開設以来45円/㎥の料金はかわらず、収支の赤字を一般会計から補填し続け、令和4年度決算では、2,506万円に上ります。この工業水道の利用実態は1社です。多額の税金を1社のために補填し続けていることになります。市政の失敗ともいうべき事業に対して、市民の税金をもって補填し続けることは許されることではありません。

以上で、討論を終わります。

 わたしは、日本共産党市議員団を代表し議会議案第22号「大阪・関西万博の開催意義の理解促進につなげる取り組みを求める意見書」について、反対であることを表明し討論を行います。
 大阪の維新 府・市政が推進し、自公政権が後押しして「夢洲(ゆめしま)」で開催しようとしている2025年大阪・関西万博は、どこからみても中止しかありません。

 まず、万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」としながら「いのち」を軽んじています。
 海外パビリオンの建設が遅れており、日本建設業連合会の宮本会長は11月27日の記者会見で「もうデッドラインは過ぎていると思ってもいい」と強い危機感を示しました。
 海外パビリオンをめぐっては、資材や人件費の高騰、人手不足で、各国と建設業者との契約が進まない状況にあるほか、24年4月からは時間外労働規制が建設業にも適用されます。
 そこで博覧会協会は政府に万博建設には適用除外とするよう要請したと報じられました。
新国立競技場の建設工事において、下請け会社の新人社員が自死したのは月約190時間の残業が原因だとし労災認定されました。いのちを軽んじ法律を破らないとできない万博はやめるべきです。

 つぎに、国民が物価高騰で苦しんでいる時に、会場建設費だけでも当初の1250億円から2350億円、1.9倍となり、11月の世論調査でも「万博開催不要」がおよそ7割に上っています。
 中でも目玉の会場を囲む木造リング「大屋根」は344億円。5mで1億円にもなります。
 会場建設費は国、大阪府・市、経済界が3分の1ずつ負担するため、府民でも国民でもある大阪市民は最も負担をすることになります。大阪市議会での説明は一人当たり1万9千円の負担とされましたが、報道機関が同じ計算方法で計算し直すと、10万7千円に上ったとのことです。

 負担はこれだけではありません。当初809億円とされていた運営費が1160億円に増額となる方針も示されました。そのことから、万博関連事業費は少なくとも8900億円を上回ることになります。

さらに、会場の「夢洲」は、建設残土や廃棄物の処分場として整備されてきた埋立地であり、軟弱地盤です。アクセスルートは橋と地下トンネルの2つだけで、上下水道や電気も整備されていません。
インフラ整備にいくらかかるか、政府と府・市もあきらかにしていませんが、例えば淀川左岸線の2期整備は万博会場までのシャトルバスルートとされていました。しかし、土壌汚染や軟弱地盤対策が必要となり、事業費は当初想定の2.5倍、2957億円に膨れ上がりました。しかも完成は32年度に先送りされ、万博期間中は約50億円かけてシャトルバス専用の仮設道路を整備する計画です。
インフラ整備計画の総事業費は89あり、この調子では予算がどれだけ増えるかわかりません。

そもそも、なぜ万博会場を「夢洲」にする必要があったのでしょうか。それは「夢洲」がカジノリゾートを中心とする統合型リゾート(IR)の予定地だったからです。当初、候補地にも名前があがっていなかった「夢洲」を提案したのは当時の松井一郎知事であり、大阪府・市はIRの先行開業をもくろみ「IRと万博の相乗効果」を政府に売り込みました。結局、IRは万博後の2030年秋ごろの開業をめざすことになりましたが、万博・カジノ・夢洲開発事業をあわせると判明分だけで1.2兆円を超えるとされますが、万博が終わればパビリオンも大屋根もすべて撤去され、カジノだけが未来永劫営業を続けることになります。大阪・完成万博のレガシーは「カジノ」ということになり、そのために1.2兆円を超える税金が使われることを国民が納得するはずはありません。

傷は浅いうちにやめたほうがよいと考えます。
日本政府が中止を決断すれば、博覧会国際事務局総会の3分の2以上の賛成で中止が決定されます。
開催予定日から1年前の来年4月12日までに中止を決定すれば、日本政府が支払う補償金は350億円であり、大屋根とほぼ同額です。
4月13日以降に決断すると830億円です。決断がはやいほうが国民の負担は少なく済みます。国民の生活が大変なとき、万博の理解促進ではなく適切な決断こそ求めるものであり、わが党はこの意見書に反対です。

私は、日本共産党市議員団を代表して、今議会に提出された諸議案の内、反対の議案及び提出された陳情について態度の表明を行います。
わが党は、上程された議案20件のうち、議案第43号、議案第50号、議案第57号の3件について、反対であります。
その主な理由について述べます。
 日本銀行が今年10月「生活意識に関するアンケート調査」の結果を発表しました。今年8月に全国の20歳以上4千人を対象に行い、2016人から回答を得たものです。
 その中で、現在の物価に対する実感として1年前に比べ「上がった」と答えた人の割合は、9割に達しています。現在の暮らし向きについて、1年前に比べ「ゆとりがなくなってきた」との回答は6割近くとなっています。
 暮らし向きの悪化が急速に進んでいることがこの調査からも明らかです。賃金の引き上げ実施、消費税減税実施、中小企業への抜本的な支援策など経済対策が求められています。
 こうした中、公務員に対する給与など引き上げることを求めた人事院勧告が行われました。これを受けて、本市職員と会計年度任用職員の給与・報酬の引き上げと会計年度任用職員の勤勉手当の規定が追加されることとなりました。
こうした対応には賛成ですが、特別職に関しては市民の理解と合意は得られないもので、議案第43号に反対であります。
 議案第50号 金沢市都市像の策定について反対です。
 「未来を拓く共創文化都市 金沢」と題し、今後10年間の金沢市の方向を盛り込んだものです。
 市長が都市像と共に、真っ先に打ち出したのが、金沢の都心軸エリアを集中して行う大型開発事業計画です。
市長は、今月中に都市再生特別措置法に基づく都市再生緊急整備地域の候補地とするよう国の内閣府に申請すると表明しています。その候補区域は金沢駅、武蔵、香林坊、片町としています。
 この方針は、金沢駅前の旧都ホテル跡地での開発、武蔵ヶ辻での再開発、そして、旧日銀跡地での開発、片町での再開発、この4つの区域での開発事業を進めるというものです。金沢市が進めた都心軸中心の大型再開事業には、2500億円にも及ぶ財政投資で進められました。したがって、これから進めようとする開発事業には、数千億円ともいえる事業費の投入が予想される大型開発事業計画です。
 この間の経緯の中で、旧都ホテル跡地をめぐる開発問題を入口に、特措法の適用を掲げて、都心軸エリアでの開発事業にまで拡大したことが明らかとなりました。
 その手法が問題です。市民参加と合意づくりがありません。
 候補地域に指定されると国、県、経済界で構成される準備協議会が設置され、ここで、開発事業内容が検討され、素案を経て国が都市再生緊急整備地域に指定することになります。まさに、国と県、経済界が主導で開発事業が進められていくこととなります。また、特措法の適用によって、高さ制限など規制緩和を可能とするもので、これまで金沢市が市民と共につくり上げてきたまちづくりを根底から覆しかねないものです。
 さらに、提案された都市像には、大切な課題が盛り込まれていません。
一つは、平和の課題です。
 金沢市平和都市宣言は、世界の恒久平和と核兵器の全面禁止・廃絶の実現への決意を述べ、金沢市が永遠の平和都市となることを宣言しています。
 二つに、ジェンダー平等です。
 人類がこの地球で暮らし続けていくために、2030年までに達成すべき目標・SDGs目標の5つ目が、ジェンダー平等を実現しよう。です。セクハラ、パワハラをなくし、誰もが尊重され、自由に生きていくことの大切さ。男女の格差をなくし、誰もが尊重される社会の実現に向け取り組んでいくことが求められます。
 三つに、気候変動への取り組みです。
  現状では、パリ協定で掲げられた「今世紀の気温上昇を1.5度抑える」目標の達成が難しく、今世紀の気温は、2.1度~2.8度上昇が予想される事態を迎えています。したがって、CO₂排出の削減と実行が求められるとして、国連気候変動枠組み条約第28回締結国会議・COP28が世界に発信しました。金沢市としてのCO₂排出の削減の取り組みについて、新たな都市像の中で明記することが求められます。
 なお、本会議での質問で明らかにしましたが、市民が主人公の立場から、くらしと営業、地域経済を守り、発展させていくことを柱とすること。
 もう一つは、100年にわたる百姓が持ちる国づくりから500年にわたって培かわれてきた金沢市の文化と伝統を継承し、次の世代に引きつくことが求められていることを指摘しておきたいと思います。
 議案第57号金沢市手数料条例の一部改正について反対です。
 戸籍法の一部改正により、来年3月より本籍地以外の市区町村に於いて戸籍証明書の交付が可能となるなど複数の交付手続きが追加されることとなり、その手数料に関する条例改正です。
 令和元年5月に戸籍法の一部改正が行われ、来年3月より、施行が行われます。その内容は、(1)行政手続きにおける戸籍証明書の添付省略(2)戸籍届における戸籍証明書の添付省略(3)本籍地以外での戸籍証明書、電子証明書提供用識別符号の発行等(4)戸籍記載事項にふり仮名を追加
というものです。
 戸籍は究極の個人情報です。
東日本大震災での被災を契機に法務省に戸籍副本データー管理システムが導入され、この間、国民のあらゆる戸籍情報が国の法務省にデーター管理・運用が行われてきました。マイナンバー制度のためにつくられた情報提供ネットワークシステムを通じて戸籍関係情報を確認することが可能となったものです。したがって、全国、すべての戸籍情報が管理・蓄積され、国民が知らないうちに検索され、処理されることとなりました。
国民一人一人の個人情報が保護され、人権尊重がされるのか重大な問題を含んでいます。さらに、マイナンバーカードとひも付きされると情報漏洩、流出等のリスクは高まります。こうした点から反対です。
 次に、陳情について態度表明を行います。
  陳情第5号は、「政務活動費条例の改正についての陳情」です。
これは、市民オンブズマン石川の代表幹事から提出されおり、政務活動費をめぐって、透明化をすすめ、市民の理解を進めていく上で求められる対応だと考え、この陳情に賛成です。
 陳情第6号は、「金沢市におけるコミュニティーバスの導入促進に関する陳情」で金沢市にコミュニティーバスを走らせる会の代表から提出されました。
 市民から市内中心部の4つのルートで走る「ふらっとバス」を拡充してほしい。市の郊外地域で、コミュニティーバスを走らせてほしいとの要望が高まっています。この陳情は、こうした市民の声にこたえたもので、賛成です。よって、付託された委員会での否決に対し、反対を表明いたします。
  以上をもって、討論を終わります。

 昨年11月のしんぶん赤旗のスクープが契機となり、自民党の主要5派閥の政治資金パーティー券・裏金問題が政界を揺るがす、大問題に発展しています。
 今回の問題は、政治家の政治資金収支報告書と、政治団体の政治資金収支報告書を照らし合わせた結果、発覚したものです。
 2018年から2021年までの政治資金パーティーにおける収入合計 5千万円を、政治資金収支報告書に記載していなかった疑惑について、東京地検特捜部が捜査をしていることが明らかになりました。この問題をめぐり、パーティー券収入によるキックバック、巨額の裏金づくりが組織的に行われていたことも明らかとなり、安倍派の閣僚も含め15人が更迭、辞職との報道もあったところです。国民には負担を押しつける一方で、こうした私欲の政治腐敗に、国民の怒りが広がっています。
 政治資金規正法は、1回につき20万円超のパーティー券購入者の名前と金額を、政治資金収支報告書に記載することを義務付けています。ところが、自民党の主要5派閥は大口購入者の名前を記載していませんでした。
企業・団体献金は、政治家個人に対するものだけは禁止になりましたが、「2つの大きな抜け穴」が残されました。ひとつは、政党や政党支部への企業・団体献金は容認されました。ふたつは、企業・団体によるパーティー券購入という事実上の企業・団体献金の大穴が残されました。この大穴によって底知れない腐敗の構造がつくりだされています。こうした抜け道をなくすことが不可欠です。
 世論調査では、81%の方が「政治資金のルールを厳しくすべき」だと答えています。そして、収支報告書への不記載には重い刑罰があり、「事務的なミス」と訂正して済む話ではありません。
 国民一人ひとりが、自ら支持する政党に寄附することは、主権者として政治に参加する「国民固有の権利」です。選挙権を持たない企業が献金することは国民主権と相いれず、国民の参政権を侵害するものです。営利を目的とする企業が、個人をはるかに超える強大な財力、カネの力で政治に影響をあたえ自己の利益をはかれば、政治は大企業、財界に向けたものになってしまうことは明らかです。政党は本来、国民の中で活動し、国民の支持を得て活動資金をつくるのが基本です。
 この意見書は、国に対して、「カネの力」で政治の腐敗を許さず、国民の政治不信を回復し、国民主権を貫くためにも、政治資金パーティー、企業・団体献金の禁止を強く要望するものです。議員各位のご賛同をお願いしまして、提案理由説明といたします。

-広田議員

 質問の機会を得ましたので、共産党市議員団の一員として以下質問いたします。

広田みよ

目次 

1 会計年度任用職員の処遇について

1.1 人勧引き上げ分の遡及について

1.2 勤勉手当について

1.3 正規職員との均等待遇について

2 保育・子育て支援について

2.1 保育士給与の引き上げについて

2.2 配置基準について

2.3 子育て支援について

3 学童保育について

3.1 支援員不足の実態について

3.2 人件費について

3.3 加算について

4 加齢性難聴について

4.1 検診の意義と強みについて

4.2 対象拡大について

4.3 補聴器購入補助制度を含めた難聴対策について

会計年度任用職員の処遇について

-広田議員

まずは、会計年度任用職員の処遇についてです。会計年度任用職員制度は、非正規職員の法的地位を明確にし、処遇を「改善」するという趣旨で2020年に創設されましたが、その趣旨が生かされているでしょうか。そもそも新自由主義台頭のもとで公共の役割と責任が縮小され、業務の民間委託と公務員の大幅削減がすすめられてきました。しかし行政への住民ニーズが減少したわけではなく、正規公務員削減の代わりに非正規公務員の増員が行われてきました。その結果、現在、公務員全体の約3割が非正規であり、多くの方が年収200万円未満の「官製ワーキングプア」と言われる低賃金で働いています。金沢市は、就職が厳しかった2005年からの集中改革プランで正規職員を250人余り削減し、全国比でも正規職員は少ない状況です。そして会計年度任用職員の比率は年々増加し、今年度は1,542名、32.4%となっており、なくてはならない存在です。特に女性が78%を占めており、正規との賃金格差だけではなく、男女の賃金格差をも生んでいます。このことを深く反省し、金沢市が率先して非正規雇用の待遇改善をすすめるべきです。

金沢市作成

人勧引き上げ分の遡及について

そこで伺います。今議会で、人事院勧告の見直しにより金沢市の職員についても給与の改定案が出されました。具体的には、給料月額、期末手当、勤勉手当が増額となります。さらに4月まで遡って増額分が支給されるとのことです。一方、会計年度任用職員についても、給料月額、期末手当が増額となると聞いていますが、4月までの遡及についても正規職員と同様に行われるのかあきらかにしてください。

-川畑総務局長

 今回の条例改正によりまして、正規職員に準じて現在期末手当を支給しております任期が6ヵ月以上で週29時間以上勤務する会計年度任用職員を対象に、本年4月まで遡及し報酬額を改定することを予定しております。

-広田議員

 29時間以上の職員を対象にということですけれども、市長、国の取り扱いでは、相当短い勤務時間の職員のみを除いて支給するとしています。金沢市も幅広く遡及するべきではないですか。

-川畑総務局長

 令和2年3月までは非常勤職員として任用していた時期でした。そのときまでは、改定があった場合、翌年度実施としておりましたが、令和2年4月の会計年度任用職員制度の導入以後、最初の改定があった令和2年度に当年度の12月から実施することといたしまして、以後一昨年・昨年と、減額・増額に関わらず12月実施としてきました。今年度に入りまして、国からの通知において、正規職員に準じた取り扱いを基本とすることがより明確化されたことから、正規職員と同様に今回から4月遡及を予定しておりますが、その通知におきましては具体的な取り扱いについては各地方公共団体の実情を踏まえ適切に設定することとしており、本市においては正規と同様に期末手当を支給している週29時間以上の職員を対象とする予定でおります

勤勉手当について

-広田議員

 つぎに、今回、会計年度任用職員について勤勉手当を支給する条例改正案が出されました。大変歓迎すべきことですが、課題がありますので伺います。

 まず、総務省のマニュアルでは、期末手当や勤勉手当は、連続して6カ月以上、週15.5時間以上勤務の方を対象とするよう求めています。しかし現在、金沢市では期末手当は週29時間以上を対象としています。今回、勤勉手当ということですが同様になるのでしょうか。金沢市では週15.5時間以上29時間未満の職員については特別支援教育支援員など255名もいると伺っています。期末手当、勤勉手当とも、この方々も対象に含めるべきですがいかがですか。

-川畑総務局長

 国のマニュアル等におきましては、具体的な支給方法については、常勤職員やフルタイム会計年度任用職員の取り扱いとの均衡等を踏まえ、各自治体の実情や任用の実態等に応じて定めるものとされています。本市におきましては、常勤職員との均衡等を踏まえながら、週29時間をひとつの基準として期末手当の支給対象としておりますことから、今のところ週15時間30分の職員まで拡大することは考えておりませんが、他都市の状況と取り扱い等につきましては確認してまいりたいと考えております。

-広田議員

 その他都市の状況ではずいぶん進んでいるようなんですね。参議院の総務委員会でもこのことが議題となっており、公務員部長は「週15.5時間以上よりも狭い対象範囲にしている地方公共団体は383団体」、1800ほどある自治体の中で383団体とし、「制度の趣旨に沿わない取り扱いをしている団体には適切な対応をするよう促す」と言っているんです。金沢市は促されているのではないのですか。明らかにしてください。

-川畑総務局長

 本市におきましては、会計年度任用職員制度導入以前から週29時間を境に月額、そして時給の支給を明確に区分してきております。また常勤職員である再任用短時間勤務職員におきましても週29時間が下限としておること、また県内各地の大半もほぼ同様の取り扱いをしておりますことから、現時点においては見直すことは考えてはおりませんが、先ほど申し上げた通り、他都市の取り扱い等につきましては状況を確認してまいりたいと考えております。

地方自治法の一部を改正する法律について(会計年度任用職員制度関係)
000889532.pdf (soumu.go.jp) から引用

-広田議員

 他都市の多くもやっているということを先ほどお見せしましたし、総務省は遡及であるとか期末手当についても「(財源が)地方財政計画上で不足する場合、追加の財政措置をとる」とも国会で答弁しています。財源も含め「ある」というふうに認識していますけれども、もし不十分なら国にしっかり求め、他都市もぜひ調査して実施に踏み切るよう求めておきたいと思います。

 つぎに、期末手当支給のときのように給料月額を減らしたり、期末手当そのものを減らしたりすることなく勤勉手当を実施するよう求めますが、いかがですか。

-川畑総務局長

 会計年度任用職員の期末手当の支給割合につきましては、現時点では勤勉手当が今支給されていないということを考慮しまして、正規職員より高い支給率としております。ただ今は勤勉手当の支給開始に合わせまして、期末手当と勤勉手当双方の支給割合を正規職員と同じ月数とするということで整理をしております。これによりまして期末手当の支給月数は、現在会計年度任用職員が年間2.55月ですが、今の正規職員と同じ年間2.45月にはなりますものの、新たに会計年度任用職員でいいますと勤勉手当が年間2.05月分支給されますので、年間トータルでは1.95月分増加することとなります。手当の削減等は考えてはおりません。なお給与につきましては、今回の給与改定、勤勉手当の支給も含めますと給料のベースアップも反映されますので、かなり大幅な増額になるものというふうに見込んでおります。

-広田議員

 そのように削減のないように求めておきたいと思います。

 市長、先日打ち出した任用期限の廃止については、昨日のご答弁にもあったように正規職員と同様の待遇に近づける努力のひとつであってほしいと考えますし、さらなる正規職員との均等待遇に向けて拡充するよう求めますがいかがですか。

正規職員との均等待遇について

-村山市長

 会計年度任用職員は、競争試験を実施している正規職員とは異なり、面接等の選考により採用しているということのほか、職務給の原則、あるいは均衡の原則などを定めた地方公務員法の適用も受けますことから、従事する職務の内容や責任の程度、職務経験などの要素を考慮して、国のマニュアル等に基づいて処遇を設定してございます。加えて、今回お諮りしている条例改正により、給与水準は全体的に大きく引き上げられますことから、市独自のさらなる処遇改善までは考えてはおりませんが、期末手当や遡及時期について、県や他都市の状況なども確認して今後研究してまいります。

-広田議員

 どの委員会でも「会計年度任用職員は競争試験をクリアしていない」というようなご答弁で、差をつけるんだと言われますけれども、私も就職氷河期ですが、時代の波によってどうしても、大学を卒業しても新卒で正規職員がなく、一旦正規職員の道を外れると非正規職員しか道がないという人生を歩んだ人もたくさんいるんですね。その方々も含めて時代が、失われた30年と私たちは呼んでいますけれども、その方々をこれまで政府の政策でなかなか救ってこなかったということも踏まえて今、均等待遇というふうに国が打ち出しているわけですから、ぜひそれに歩調を合わせて金沢市も引き上げていただくように求めておきたいと思います。

保育・子育て支援について

-広田議員

次に、保育・子育て支援について伺います。保育士確保が困難な状況が続いています。保育士不足と言いますが、保育士自体が不足しているのではなく、働きたくても続けられないなどの「潜在保育士」が7割にのぼっている状況です。その理由として、やはり全産業平均から見ても低すぎる給与と配置基準のことが指摘されています。先日も、毎年申し入れを行っている現場のみなさんから1425筆の、給与や配置基準の改善を求める署名が市長に提出されました。

保育士給与の引き上げについて

 まず給与について。現場の若い保育士からは「子どもの頃お世話になった保育園に就職した。子育てしながら大変だけど、保育園も守りたいし、保護者の応援団でありたい。だが給与が低く、自分の家族を守れるか不安です」と、そういったお声が出たんです。国は一昨年、月額9千円増額措置を行いましたが低いままなんです。運営費のもととなる公定価格が実態にあっていないと指摘されており、市長も3月議会のわたしへの答弁で「保育士確保のため、さらなる処遇改善が必要であり、公定価格加算について財政支援を国に要望している」としましたが、一体どうなりましたでしょうか。

-村山市長

 保育士等の処遇改善につきましては、今年度の人事院勧告に伴い、令和5年4月に遡り公定価格の引き上げを行うということとされました。本年度も全国市長会を通じて、国に対しさらなる処遇改善を要望しております。

-広田議員

 人事院勧告のアップで公定価格も遡及されると。これはしっかり人件費に使うように徹底していただきたいと思います。そして国へ要望をということですけれど、公定価格の人件費の積算が地域ごとに異なることが2年ほど前から発表されています。金沢市は8ブロックのうち7番目になっています。なぜ地域で違うのかと思いますけれども、ぜひこうした観点からも増額を求めていただきたいと思います。

 ただ市長、金沢市の公立保育園でも会計年度任用職員の欠員が埋まらないというふうに聞いています。国への要望も大切ですが、市独自でも保育士の人件費に対し早急な対策を検討するべきじゃないですか。

-村山市長

 これまでもキャリアアップの取り組みに応じた人件費の加算や、職員に対する3%程度の賃金改善を行うなど、国の方針に沿って対応を行ってきているところでございます。市として独自に処遇改善をする考えはありません。

-広田議員

 それでは足りないから言っているんですね。先ほどの若い保育士のお声を聞きましたか。保育園も守りたいし保護者の応援団でもありたいけど、自分の家族が守れるか不安だと。いつまで現場を犠牲にしてやっていくのかと、私は本当に思うんです。ぜひ、金沢市も独自で人件費に対して対策をとるよう求めておきます。

配置基準について

 そして配置基準についてです。国による配置基準は低く、特に4,5歳児については戦後76年変わってきませんでした。現場からの運動と声が広がり、やっと政府が4,5歳児の「配置規準の引き上げ」を打ち出しました。一昨日のこども未来戦略案で、2024年度から4、5歳児について保育士一人につき子ども30人から25人へ、さらに3歳児の加算対応だった部分についても20人から15人へ基準を引き上げるという案が盛り込まれました。3月議会で市長は国の配置基準について、国の動向を注視するとしていましたが、まずは今回の配置基準の引き上げ案についてどう受け止めますか。

広田作成

-村山市長

 本市ではすでに、独自に配置基準の引き上げを行っております。今般の国のこども未来戦略案に保育士の配置基準の引き上げが示されたということは、一定の評価がされるものと思っております。

-広田議員

 本市は現場の様子、現場の声を聞いて、足りないと自覚し引き上げてきたわけですから、今回の配置基準はお互いに喜ぶべきことだと思います。ただ、当面は経過措置が設けられ、人件費も加算ということになるようです。しかし加算ですと、3歳児がそうであるように、人件費として足りていないというお声もあるんです。そして今回、国が「加算」とした理由は、「人材確保に困難を抱える保育現場に混乱が生じないよう」というふうにしていますが、先ほど市長がおっしゃったように、自治体や園の努力ですでに国の配置基準を超えて保育士を配置しているんです。金沢市では、まさに3,4,5歳は国のこれから引き上げる基準に既に引き上げられています。そして国の調査では、私立保育所では規準の1.4倍の保育士が配置されている状況もあきらかです。ただ、国が言うように不足する園があるのなら、国が責任をもって保育士給与を引き上げるなどして、保育士確保をすすめ、早急に公定価格に反映していくことこそ必要じゃないかと考えますがいかがですか。

-村山市長

 当分の間として加算対応となる経過措置が取られたということは、保育士の確保の面など全国の状況を見た中で地域の実情に配慮したものと捉えております。保育士の確保及びさらなる処遇改善につきましては、引き続き国に要望してまいります。

-広田議員

 引き続き要望していただくと同時に、やはりもう早急に公定価格を引き上げるということを主張していただきたいと思います。

 そして市長、国が基準を改善すれば、金沢市は財源的にも市独自のさらなる基準の改善が理論的には可能となります。現場では今回の改定でもまだまだ足りないという声があがっています。検討に踏み出すべきではないですか。

-村山市長

 一昨日、子ども未来戦略の案に保育士の配置基準の引き上げが示されたところでございます。今後の国の動向を注視してまいりたいと考えています。

幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 令和元年度幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 職員配置の状況 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口 (e-stat.go.jp)から引用
井上さとしオフィシャルサイト
保育士の基準改善迫る | | essay つれづれぐさ|日本共産党・井上哲士参議院議員ONLINE (inoue-satoshi.com)参考

-広田議員

 案がぽしゃるということはないでしょうから、ぜひとも早めに検討を進めていただくように求めておきたいと思います。

子育て支援について

 つぎに、9月議会で県内市町へ金沢市の0~5歳児世帯がこの10年でおよそ3500世帯も流出している実態をあきらかにしました。保育園でも子育て支援の差を理由に、市外に転出される世帯を間近にみています。そしていよいよ街なか周辺の園でも、少子化の影響で定数に満たない状況を危惧するお声があがっています。これは子育て施策全体の問題であり、保護者や園からも近隣都市とせめて同等に子育て支援をというお声が強まるのも当然です。まずは保育料の第2子の無料化です。県内でも中核市でも広がってきています。金沢市も第2子無料化を実施すべきではないですか。お答えください。

-村山市長

 子育て世帯が居住地を決める理由としましては、持ち家志向が高いという中にあって、地価などの居住環境や通勤手段も含めて保育料以外の要因も大きいものと考えております。本市の第2子の保育料についてでありますが、保護者の所得制限を撤廃するとともに、きょうだいの年齢や生計同一に関わらず半額とした負担軽減制度の大幅な拡充をすでに実施しております。現時点ではこれ以上の引き下げは考えてはおりません。

-広田議員

そして子ども医療費助成ですね。入院について10月から18歳まで対象となり大変喜ばれています。しかし外来については、やはり県内で唯一15歳までにとどまり、子育て世帯は年齢拡大を本当にまだかまだかと待ち望んでいます。18歳まで拡充の決断を求めますがいかがですか。

-村山市長

 子育て支援医療費助成につきましては、予算の選択と集中による重点化を図っていく中で、順次これまでも対象年齢の拡大等を行ってきたところであります。ご指摘の通り今年10月からは、医療費以外にも費用がかかる入院分について対象年齢を18歳までに拡大するとともに、自己負担を無料化したところであります。現時点ではこれ以上の拡充は考えてはおりません。

-広田議員

 まさにこうしたことに予算を集中してほしいと思うんです。都市像にあたって「世界に選ばれる都市」を繰り返していますが、まずは「市民に選ばれる都市」でないとわたしは意味がないと考えるものです。

学童保育について

支援員不足の実態について

-広田議員

つぎに、放課後児童クラブ、いわゆる学童保育について伺います。学童保育は、正規の支援員の不足が続いています。とあるクラブでは、本来正規職員2人配置が必要なのに、正規1名とアルバイトで運営。その正規の方1名がお休みするとクラブを開くことが認められないので、わが子の行事やイベントにも参加せず、なんとか運営を維持してきましたが、コロナ禍で感染し休まざるを得ず、クラブ自体もお休みという事態に陥ったのです。市長、市内の学童保育のこのような実態をご存じでしたか。

-村山市長

 放課後児童クラブは、子どもが放課後安心して過ごすために欠かせない大切な地域の居場所でありまして、日頃から子どもたちのために懸命に働いていらっしゃる放課後児童支援員のみなさまには心から感謝をしております。一方で、平成27年の制度改正に伴って、放課後児童支援員資格を有する職員を1人以上配置することが義務化されたことから、規模の小さい放課後児童クラブなどで職員配置に苦慮されているということは承知しております。

人件費について

-広田議員

 本当に苦慮しているんですね。そしてその支援員の不足は、給与の低さが大きな要因です。全産業平均の年収が426万円に対し、285万円となっています。金沢市は運営費の交付にあたり人件費の積算根拠を示していますが、行政職1級11号をベースに時給にして972円です。さらに、午後からお子さんがいる時間帯ということで1日6時間と設定し、月額145,800円としていますが、実際は午前から準備や事務作業もしています。市長、今ではどこでも時給1000円を超えています。金沢市の学童保育委託料における人件費の積算根拠を引き上げるべきではないですか。

-村山市長

 放課後児童クラブの安定的な運営に向けましては、放課後児童支援員の雇用を確保するということはとても重要なことと認識をしております。本市ではこれまでも支援員資格取得者に対するキャリア加算に加え、支援員が有給休暇を取得する際の人件費の補填、また職員1人あたり9000円の賃金引き上げなど、処遇改善費用を委託料に加算しております。今後も安定運営に向けた制度の充実に努めてまいります。

-広田議員

 積算根拠だと972円なんですね、時給が。そこを引き上げる努力が必要です。

 そして今おっしゃられた加算についても、まだまだ工夫が必要ですので伺います。

加算について

 国が行う「放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業」ですが、金沢市は第1段階までの活用にとどまっています。現場からは「経験年数5年以上」の第2段階のメニューも活用してほしいと声があがっています。市の負担は1/3で、月額にしておよそ1万円の加算ができるんです。活用すべきではないですか。お答えください。

-村山市長

 ご指摘の通り、これまでも国の制度を活用するなど支援員の処遇改善を実施してきたところであります。放課後児童クラブの人材を確保するうえで、どのような支援策を講じればよいかということ、これは他都市の例も参考にしながら引き続き検討してまいりたいと考えております。

図表1-2-74 放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業|令和4年版厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保-|厚生労働省 (mhlw.go.jp) から引用

-広田議員

 ぜひ検討をお願いします。

 つぎに、「金沢市放課後児童クラブ開所延長支援加算」というものもあります。国の事業名で言うと平成27年度に「放課後児童支援員等処遇改善等事業」となり、その趣旨は「支援員の賃金を増やす経費に充てられる」としています。その条件として国は「18時半を超えて開所すること」としていますが、金沢市は「19時以上の開所」を条件としており、金沢市106クラブのうち56クラブしか実施がされていません。国の基準と趣旨にそった条件に変更し、より多くのクラブが加算を受けられるよう、また保護者のみなさんからも開所時間延長の要望がたくさん出ていますので、その点にも応じるよう求めますが、お答えください。

-村山市長

 本市では保育所と開所時間の乖離を縮小するとともに、子どもの安全・安心な居場所を確保することを目的に開所時間の延長支援を行っております。これにつきましては働く保護者のニーズを考慮して、市内保育所の開所時間に合わせて19時まで開所するクラブを対象としていることをご理解願います。

内閣府資料

-広田議員

 保護者のニーズに合わせて19時というのは正しいのですけれども、この延長加算を使うとなると、18時半を超えなくてはいけないということで、ピッタリ19時までやらなくてもという概念で、他の自治体では工夫し開所時間延長を決めております。ぜひそうした観点からも工夫をして要望に応じるように検討を引き続き求めておきたいと思います。

加齢性難聴について

検診の意義と強みについて

-広田議員

 つぎに、加齢性難聴について伺います。金沢市は全国ではめずらしく、高齢者の聴力検診を実施している貴重な自治体です。わが会派は、その受診率向上や「加齢性難聴の補聴器購入の補助制度」創設を求めてきました。昨年市長は、「難聴は日常的な会話を困難にし、生活の質を落とす大きな原因となるだけでなく、コミュニケーションが減ることでひきこもりや認知症の要因ともなると言われており、高齢者の方には定期的に検診を受けていただき、難聴の傾向を早期に発見することが大切だ」と重要性を認めていただきました。しかしここ10年みても、受診率は2~3%台、直近だと令和4年度はポスターをリニューアルもしたのですが2.7%に減りました。受診率の低さについて「内科検診と一緒に受けられない」とか「命に直結しない」という、これまでのご答弁もありましたが、わたしはまず、この検診の意義と強みをしっかり伝えるべきだと考えます。

まず、意義についてです。高齢者の難聴については、「高齢だし仕方がない」とご本人やご家族からあきらめのお声も伺います。しかし、市内の専門医のお話では「難聴は高齢による脳の老化ではない。加齢によって、音を増幅する細胞が減ってはいくが、個人差もある。また、耳の奥に耳垢が詰まっていて聞こえないケースや別の病気が潜んでいる場合もあるので、とにかく病院、検診に来てほしい」とおっしゃっていました。つまり、難聴は高齢だから仕方ないのではなく、あくまで耳の機能の問題であることや、病気の場合は早期治療で改善できることを市民に周知することが必要だと考えますがいかがですか。

-山口福祉健康局長

 聴力低下の要因は様々なものでありますことから、治療による改善の可能性につきましては医師が診断を行って対象者に伝えるものであるというふうに考えております。本市といたしましては何らかの症状がある場合にはすこやか聴力検診の受診など早めに耳鼻咽喉科専門医に相談するように、そういったことを呼び掛けていきたいというふうに考えております。

-広田議員

 呼び掛けていただくということですので、ぜひホームページやポスター、またリニューアルされるかわかりませんけれども、いろんな媒体でご高齢者が集まる機会などもとらまえて、ぜひ積極的に呼び掛けていただきたいと思います。

さらに強みについてですが、金沢市の聴力検診は検診だけでは終わりません。フロー図のように、医師の診断で、病気ならもちろん治療へ、病気がなくても40㏈以上なら補聴器のお勧めをし、経過観察まで行うことが一連の流れとなっています。専門医によれば、医療機器として認定されるのが「補聴器」なのですが、似たような「集音器」などの機械が通販でも売られ、分からずに買ってしまう方がいるといいます。さらに国民生活センターでは、こうした補聴器などのトラブルがここ最近増加傾向とのことです。そういった中で、金沢市の検診は検診を受けたら終わりではなく、医師が補聴器が必要かどうかも判断、お勧めし、その後経過観察も行う、とても有効な仕組みであることをもっと周知するべきだと思うのですが、いかがですか。

※経過観察は3か月後お電話で
金沢市聴力検診フロー図
令和2年度老人保健健康増進等事業 自治体における難聴⾼齢者の社会参加等に向けた適切な補聴器利用とその効果に関する研究 (pwc.com) から引用

-山口福祉健康局長

 これまでも、一人でも多くの市民に検診を受診していただけますようパンフレットの全戸配布であったり対象者への受診券の個別の送付、ホームページ・新聞・テレビ・ラジオによる広報など、様々な手段により受診の勧奨を行ってきたところであります。引き続き受診率の向上に向けて医師会とも連携しながら、ご指摘のあった本市の聴力検診の特徴なども含めて一層周知してまいりたいと思います。

-広田議員

 ぜひとも一層の周知を、受診券を送る際にこうした流れであると説明書きを入れるであるとか、いろんな工夫をしていただきたいと思います。

対象拡大について

 そして前回も伺いましたが、検診の対象範囲もいよいよ見直す必要があると考えます。国立長寿医療研究センターの「老化に関する長期縦断疫学研究」によると、難聴の有病率は65歳から急激に増加することは確かなんですけれども、グラフを見ると75歳からも増加が見られ、わたしは重要なタイミングだと考えます。よって、75歳からも検診の対象にするべきではないでしょうか。

-村山市長

 加齢性難聴につきましては、難聴による認知症予防などに取り組むためにも早期に発見することが重要と考えております。ご評価いただいた聴力検診につきまして、65歳から74歳までとなっている現在の対象年齢の方への受診率の向上に努めてまいりたいと考えています。

国立長寿医療研究センター・老化疫学研究部:知的な能力と難聴の関連(https://www.ncgg.go.jp/ri/lab/cgss/department/ep/topics/33.html) より引用

-広田議員

 今は結構、65歳を過ぎても働いていたり活発に動いていたりの間の中で検診を知ることもなく、気が付いたら74歳でしたと。いよいよ75歳から「あれ、聞こえづらい」というようなことが起きるという声も聞いています。この有病率の出方を見ましても、75歳からやる意義も私はあると思います。引き続き検討を求めておきたいと思います。

補聴器購入補助制度を含めた難聴対策について

-広田議員

さいごに、今の仕組みをより拡充する提案です。金沢市の検診では、先ほど言いましたように医師が必要な方に補聴器の装用をおすすめし、そのうち補聴器を装用した方の人数や割合を市にしっかり報告もされておりますが、ご覧の通り十数パーセント台で推移をし、直近の昨年度では残念ながら8.8%に下がっています。

これは本当に医師会のみなさんが懸命に努力をされているかと思うんですが、昨年の議会でお示しした調査結果では、この割合につきまして、金沢市は「補聴器購入へのハードルがある」「購入価格の問題もある」としているんですね。しかし加齢による難聴は、補聴器の装用によって改善します。この取り組みを発展させるために、補聴器の購入補助による経済的な後押しがどうしても必要となってまいります。先日、制度創設を求める署名が累計で2900筆あまり提出されました。さらに現在全国では18歳以上を対象とした補聴器購入補助制度を実施している自治体は152にのぼっています。そのうち中核市でもモデル事業も含め7都市がすでに実施しているというものです。中でも山形市では、聴こえくっきり事業と銘打ち、補聴器購入費への補助だけではなく、専門機関、職種とともに①普及啓発、②早期発見、③早期対応、④フォローアップ、⑤データ分析の5つの要素をパッケージ化しており、難聴対策事業の好循環を図るというものです。金沢市でも、補聴器購入というハードルを軽減し、こうした好循環を生み出すためにも、補聴器購入補助制度を含んだ事業へ発展させるよう求めますがいかがでしょうか。

山形市聴こえくっきり事業案内
山形市聴こえくっきり事業|山形市公式ホームページ (yamagata-yamagata.lg.jp)
PowerPoint プレゼンテーション (yamagata-yamagata.lg.jp) より引用

-村山市長

 本市のすこやか聴力検診では、診断した医師が必要に応じて補聴器の装用を勧め、経過観察を行っております。補聴器購入に対する補助制度の創設につきましては、全国市長会から国に対して要望を行っているところであります。今、山形市の事例もご紹介いただきました。引き続き国や他都市の動向なども注視しながら研究していきたいと考えています。

-広田議員

 研究していくということですが、全国市長会を通じて国へ求めているわけですよね。つまり金沢市も、やはり補聴器購入にはハードルがあり、その補助制度が必要だと、どこがやるかはおいても、必要だということは認識されているということでよいですか。

-村山市長

 全国市長会を通じて要望しております。全国的な課題であり、そして高齢社会に向けたひとつの大きな制度であるというように認識しております。そういった意味から、国全体での検討が必要ではないかということで要望しているところであります。

-広田議員

 ただ金沢市は本当に珍しい、自治体検診として聴力検診を行っている自治体なんですね。その意義を生かさないわけにはいかないと思うんです。山形市は一気に始めたかもしれませんけれども金沢市はすでに聴力検診をやっていて、早期発見・早期対応・フォローアップまでやっているんですから、その間を早期対応の点で、経済的な後押しをするということで、とても循環が回るというふうに思います。山形市は先ほども言いましたけれども、データ分析では大学なども関わってやっているわけです。金沢市もたくさん大学があって専門家のみなさんもいらっしゃいますから、そういう方も巻き込んでぜひ好循環な制度実現を求めたいと思いますが、市長、引き続きいかがですか。

-村山市長

 引き続き、国や他都市、そして金沢市の特徴も踏まえてどのようなことができるのかということを研究していきたいと考えております。

-広田議員

 前回も言ったかもしれませんけれども、ランチタイムコンサートですとかお昼の音楽が最近流れていますよね。難聴の方には聴こえているのだろうか、その音色が届いているのだろうか。そして、この間も火災があったんですけれども、本当にサイレンが聴こえて類焼などからの被害から逃げることができるんだろうかと。市長も生活の質という点で言っておられますから、そうしたいのちと生活、そして文化を守るという意味でも、ぜひこの加齢性難聴への補助制度を実現していただくよう求めまして、質問を終わります。

-山下議員
 質問の機会を得ましたので、日本共産党 市議員団の一員として、以下質問いたします。

【子どもの権利を保障する施策の充実について】

 はじめに、子どもの権利を保障する施策の充実についておたずねします。

①部活動の地域移行について
まず1点目は、部活動の地域移行についてです。部活動の地域移行は、2022年6月にスポーツ庁から「まずは段階的に休日の部活動を地域のスポーツクラブなどに移行していく」という提言がされました。その提言後、全国市長会が、人材や施設の確保、費用負担の問題など条件をどう整えるか、学校、教員、生徒、保護者との合意形成など課題が山積するなかで、期間を限定せずに地域の実情に応じた移行になるようにと緊急意見を提出しています。全国市長会、さらには現場からの声もあり、2022年12月に公表されたガイドラインでは、当初、2023年度から2025年度までの3年間を「改革集中期間」としていたものが、「改革推進期間」と訂正され、達成時期の目標が修正された形です。多くの課題を抱えるのは金沢市も同様ですが、金沢市における地域移行の方針と取り組みの現状をお聞かせください。

-村山市長
 金沢市総合教育会議におきまして、7月に教育委員会が行った調査結果の分析を報告するとともに、指導者や活動場所の確保、費用負担の在り方などの課題が挙げられたところであります。これらの内容を整理したうえで方向性を検討してまいります。

-山下議員
 学校の部活動は自発的で自治的な活動であることによって、人格形成を豊かにする積極的な意義をもってこれまでも取り組まれてきました。まずは部活動の意義や基本的性質を整理し、子どもの権利の観点から、子どもたちの意見をこの改革に位置づける必要があるのではないでしょうか。金沢市は今年度「休日の部活動の地域移行に関する調査」を行いましたが、市の方針に子どもたちの意見が十分反映されているの言えるでしょうか。お伺いします。

-村山市長
 7月に教育委員会が行った調査は、市内の全小中学校の児童生徒や保護者にニーズ、教員の意向などを把握するために行った調査であります。国のガイドラインでは部活動の地域移行にあたっては地域の子どもたちは学校を含めた地域で育てるという意識のもと、地域の実情に応じて多様な環境を一体的に整備することが明記されております。生徒の望ましい成長が保障できるよう、取り組んでまいります。

-山下議員
 部活動の地域移行は、学校教育の民営化だという指摘もあります。子どもたちにとって、スポーツや文化にふれる権利を保障する場であったものが、地域移行によって権利ではなく対価を伴うサービスになりかわってしまうのではないでしょうか。費用負担の心配は、保護者からも子どもたちからも寄せられています。実際に経済産業省の研究会では、受益者負担が提案されています。そこで、金沢市はこれまで通り部活動を権利としてしっかり保障していくのかお聞かせください。

-村山市長
 中学校の部活動は、生徒がスポーツや文化・芸術などに親しむ機会を確保するとともに、自主的・主体的な参加による活動を通じて人間関係が構築され、自己肯定感が得られるなど、教育的な意義が大きいと考えています。部活動の地域移行に伴う費用負担につきましては、国は困窮家庭への支援とともに可能な限り低廉な会費等の実費程度が望ましいとしております。今後、費用負担の在り方を含め、持続的に活動する仕組みを考えてまいります。

-山下議員
 これまで部活動は、教員の超過勤務によって支えられてきました。国は、教員の長時間労働を知りながら、人員や予算を増やすこともしてこなかった。その点に反省もなく、「部活動をやめれば勤務時間が減る」という短絡的で一番お金のかからない改革を押しつけています。地域移行に賛成か反対か、参加するかしないか、教員や保護者、子どもたちの間で、地域移行が価値観の対立になってはいけないと考えます。子どもの権利の観点から、丁寧な合意形成のもと、土台作りをしていくことを求めたいと思います。

②性教育の充実について
 続いて2点目は、性教育の充実ついておたずねします。本市では、子どもの心と体の健康の保持増進を目指し「金沢市健康教育推進プラン」を策定し、5年毎に見直しをしてきています。今年度は見直しの年にあたり、プラン2024の策定にあたっているところです。子どもたちを取り巻く社会の変化、現状をとらえ、子どもたちが「幸せに生きていく」選択ができる力を育めるよう、行政としても十分な取り組みが必要だと考えます。プランの重点的健康課題のなかに、「性に関する指導(生命尊重)」があります。昨今、芸能界での深刻な性被害を含め、子どもや若者への性暴力が社会問題となっており、性に関する正しい知識を得ることが求められています。また、避妊の失敗や性暴力などによる意図しない妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」の販売が、一部薬局において試験的に開始されました。「性と生殖に関する健康と権利」の重要性が広く認識されていくことも求められています。そこで金沢市は「性教育の重要性」についてどのように考えているか、お聞かせください。

-野口教育長
 性に関する指導につきましては、性的マイノリティに対する考え方の浸透が進んでいること、子どもの安全に関してスマートフォンやSNSの利用を巡るトラブルなど、子どもたちを取り巻く環境が大きく変化しておりますことから、重要性を増していると考えております。今後は今年度改定を進めております「金沢市健康教育推進プラン2024」に基づきまして、各学校で重点的健康課題の一つである性に関する指導について、学校教育全体を通じて系統的に指導をしていくこととしております。具体的には、性に関する不安や悩みへの対処の仕方、性被害の防止や対処などについて理解を深めるとともに、子どもたちの心や身体、人権の大切さなどについて指導を行い、充実を図っていきたいと考えております。

-山下議員
 「性に関する指導(生命尊重)」(案)では、行政の具体的な取り組みとして「生命(いのち)の安全教育について文科省の教材及び指導の手引きの活用を図る」とあります。そこで、金沢市における性教育の現状と、今後どのようにその教材を活用していくのかお聞かせください。また教員の研修やそのフォローアップについてもお聞かせください。

-野口教育長
 各学校には性に関する指導に当たって、生命を大切にする考えや自分や相手を尊重する態度を、発達段階に応じて身に着けるために、仰せの手引きに示されている指導案、動画教材、ワークシートなどを活用するよう周知をしており、引き続き活用を促してまいります。また各学校では、健康教育年間計画に基づきまして養護教諭を中心に校内研修を実施しており、生徒指導委員会等において教材研究や意見交換を行い、組織的な取り組みを推進いたしております。加えて、学校の要請に応じて産婦人科医や助産師等を派遣し、性に関する指導の充実を図っております。なお、今議員がお触れになりました指導の手引きを活用して指導を受けた子どもたちからは、「自分や相手を大切にしたい」「性について正しい判断ができるようになりたい」「いのちの誕生は大変な奇跡であり、自分自身かけがえのない存在であることに気づいた」などの感想があったと聞いており、性に関する理解とともにいのちを大事にする態度や、他者を尊重する態度が育ってきていると捉えております。

-山下議員
 先ほど教育長からもありましたが、いま子どもたちは、スマホやネットを通じて様々な性の情報に触れられる環境にあります。幼児期からそうした情報に触れるという場合も少なくありません。科学的な知識や人権意識がないままゆがんだ情報に触れるということは、性暴力や性犯罪の被害者に、もしくは加害者になってしまうという危険が高まります。性暴力の被害や加害について知るには、性行為がどういうものなのかわからなければ、被害に気づけません。ただ現在、学習指導要領には、小学5年の理科と中学1年の保健体育で、人の受精や妊娠の過程は取り扱わないとする「はどめ規定」があり、授業で科学的な知識を獲得する妨げになっていると指摘がされています。子どもの身体の権利を守る点からも、日本の性教育が遅れているという認識はおありでしょうか。

-野口教育長
 学習指導要領の「受精・妊娠を取り扱うものとし、妊娠の経過は取り扱わないものとする」との記載、また中学校の学習指導要領解説保健体育科編には、エイズ及び性感染症の予防、生殖に関わる機能の成熟の2つのテーマに関して、「保護者の理解を得ることや学校全体で共通理解を図ることなどに配慮することが大切である」との記載などの点で、国際的なガイドラインと違いあるものと承知をしておりますが、まずは現行の学習指導要領に基づいて着実な指導に努めていきたいと考えております。

-山下議員
 今日、国際的には「包括的性教育」が推進され、ユネスコが作成した「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」が世界のスタンダードとなっています。「包括的性教育」とは、性のことを性交や妊娠、出産だけに限定せず、発達や年齢に適した知識や態度、スキルを身につける教育であり、自分も他者も尊重しながら適切に行動する力を身につけるという、科学と人権とジェンダー平等に基づく性教育です。人間らしく健康で幸せに生きていくための権利を確かなものにするこの「包括的性教育」が、金沢市においても必要だと考えますが、見解をお聞かせください。

-野口教育長
 本市におきましては、今ほど触れましたが学習指導要領に基づきまして小学校段階から理科や保健体育、道徳等におきまして人間関係や価値観、人権などいのちの尊さやすばらしさ、自分や相手を尊重する態度、ひとりひとりが大事な存在であることなどについて、発達段階に応じて繰り返し学習をしております。今議員がお触れになりましたが、2009年ユネスコが世界保健機関(WHO)などと協力をして発表いたしました、世界の性教育の指針となります国際セクシュアリティ教育ガイダンスでは、身体的な内容だけではなく差別や暴力、ジェンダーの不平等などをなくす方法など、幅広いテーマを包括的に扱うカリキュラムをベースとした教育と学習のプロセスが提唱されていると理解はしておりますけれども、包括的性教育の実施につきましては国の動向も踏まえながら、今後の研究課題とさせていただきたいと思っております。

-山下議員
 私たち大人の多くは、こうした科学的な性教育を受けてきていません。まずは、大人の学びが必要だというふうに思います。包括的性教育の実践後、性行動に慎重になるという結果が出ています。「性は、自分の人生の問題だと思った」という中学生の感想もあります。
国がすすめる「生命(いのち)の安全教育」は、「性犯罪・性暴力」に関して学ぶことはできますが、性をネガティブに受け止めてしまいます。「生命(いのち)の安全教育」では不十分な内容を、この「包括的性教育」で付け加えて、人権教育としての性の学びが金沢市においても推進されることを求めていきたいと思います。

③少人数学級の実現について
 3点目は、少人数学級の実現についてです。不登校の児童生徒数や、いじめの認知件数が過去最多となったことを受けて、文科省が10月に「不登校・いじめ緊急対策パッケージ」を公表しました。「誰一人取り残されない学びの保障」に向けた緊急強化が必要だという内容です。金沢市の2022年度調査結果では、不登校児童生徒数は、小学校で441人、中学校は751人、いじめ認知件数が小学校で253件、中学校では145件という結果です。こうした子どもたちの現状をどのようにとらえていますか。お聞かせください。

-上寺教育次長
 不登校につきましては、保護者の学校に対する意識の変化に加え、コロナ禍の影響で良好な交友関係を築くことが難しかったことなど、これまで以上に不登校の要因は多様化・複雑化していることから、不登校児童生徒数が増加いたしております。令和4年度の本市の不登校児童生徒数は過去最高を記録しておりまして、極めて憂慮すべき状況であると捉えております。いじめにつきましては、部活動や学校行事などの活動制限が緩和され、接触機会が増加したことに加え、各学校におきましていじめの積極的な認知に対する理解が広がったことから、いじめの認知件数は増加傾向にあります。いじめの深刻な被害を防止するために、今後とも積極的な認知と組織的な対応がより一層必要であると捉えております。

-山下議員
 この数値の結果と子どもたちの状況を、学校が安心して学ぶ場所になっていないという子どもたちからのSOSだと受け止める必要があるのではないでしょうか。コロナ禍を経た現在も、子どもたちは不安やストレスをためこんでいます。子どもの気持ちを受け止め、かかえた不安やストレスに共感しながら心身のケアをすすめていくには、時間とマンパワーが必要です。不登校の中学生が「たまに学校に行っても、先生と話す時間もない」というふうに言っていました。不登校やいじめを経験している子どもや、特別な困難をかかえた子どもには、より心理的、福祉的な面も含めた支援、人的配置が求められます。金沢市においても、子どもをケアする、教員も含めた人員体制の強化が必要だと考えますが、見解を伺います。

-野口教育長
 私も、人員体制の強化は必要だと思います。不登校やいじめ等に対応するための人員体制につきましては、石川県から児童生徒支援加配や別室登校支援加配の増員、スクールカウンセラーが配置されており、児童生徒の様々な問題のケアにあたっております。さらに本市といたしましても、不登校児童生徒の対応について、心の絆サポーターを派遣するとともに、心と学びの支援員を配置をいたしております。今後、ますます複雑化・多様化する生徒指導上の諸問題に対応するため、より一層の人員体制の強化に努めていきたいと考えております。

-山下議員
 子どもへのしっかりとした十分な心身のケアは、子どもの学びを保障するうえで大前提だと思います。子どもの尊厳、そして学びを支える教育が今求められている中で、やはり少人数学級の実現が求められ、そのための公的な財政負担が必要だと考えますが、見解を伺います。

-野口教育長
 少人数学級によりまして、教員が一人一人の子どもと向き合う時間をより多く確保できることは大変喜ばしいことだなと受け止めております。少人数学級の拡充に向けましてはさらなる財政負担が必要になりますことから、中核市教育長会や全国都市教育長協議会を通じて引き続き強く国に働きかけていきたいと思っています。なおこのことにつきましては、今年5月に開催されました全国都市教育長協議会の定期総会の決議の中にも加えさせていただいておりまして、すでに国への要望は出させていただいておりますし、同じように中核市教育長会におきましても同様に国の方へ要望いたしております。しっかりと取り組んで行きたいと思います。

-山下議員
 現在の過度な競争にさらされる教育や、理不尽な校則など行き過ぎた管理教育は、子どもを傷つけ、教員も苦しめています。子ども、教員ともに、人間として大切にされる教育政策への転換も求めていきたいと思います。

【重要土地等調査法について】

 次に、重要土地等調査法についておたずねします。この法律は、国が野田町にある陸上自衛隊金沢駐屯地を重要施設と位置づけ、周囲おおむね1キロメートルを注視区域とし、土地等の利用状況を把握するために調査を行い、重要施設に対して「機能阻害行為」があれば土地の使用中止を勧告・命令できる、というものです。我が党は、この法律が住民を監視対象にし、憲法が保障するプライバシー権や財産権などの基本的人権を無視する違憲の法律だと指摘し、廃止を求めています。
そこでおたずねします。注視区域の指定には、同法律の第5条の2に「内閣総理大臣は、注視区域を指定する場合には、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するとともに、土地等利用状況審議会の意見を聴かなければならない」とあります。市長、地方自治体の長として、どんな協議をされたのでしょうか。

-川畑総務局長
 国からは本年5月12日付で区域の実情を把握するとして、区域の範囲についての案が示されました。本市からは区域線にかかる実情と開発行為等の有無に関する情報提供を行いました。
 
-山下議員
 9月議会で総務局長から答弁がありましたが、「市町村や都道府県の担当者を対象としたオンライン説明会が5月19日に開催された」ということです。地方公共団体への意見聴取もあったとお聞きしていますが、その場で金沢市はどんな発言をされたのか、また他の自治体からはどんな意見が出されたのかお聞かせください。

-川畑総務局長
 オンラインの説明会におきましては、まず各自治体からは国の責任で住民説明会等を開催すること、そして調査の実施状況について広く公表するということなどの意見がありました。本市としてはこれらと同様の意見であったことから、改めて意見は述べておりません。

-山下議員
 各自治体からも、やはり住民の権利を守るという視点で意見が出されたかと思います。改めて金沢市としても、住民への説明会等、国へ再度求めるべきではありませんか。

-村山市長
 説明会などで出された意見につきましては、内閣府が地方公共団体に対する意見聴取の結果として、その意見に対する考え方を明確に示しておりますことから、改めて国に働きかける考えはありません。

-山下議員
 指定区域に住む住民からは「長くこの地域に住んでいて、どうして突然調査されなければいけないのか」「監視されているようで怖い」「不動産に影響はないのか」など、疑問や不安の声を聞いています。周辺住民への監視や人権侵害ともいえるこの法律の、市民への影響をどのように考えていらっしゃいますか。

-村山市長
 今おっしゃったような不安であるというご意見があることは承知をしておりますが、この法律は国の安全保障のためのものであります。内容は重要施設等に対する機能阻害行為が確認された場合、その行為をやめるよう勧告・命令する等の措置を行う制度でありますので、一般的な生活や事業活動には影響はないと考えています。

-山下議員
 同法第7条には「内閣総理大臣が必要な場合、土地等の利用者その他関係者に関する情報提供を自治体に要請できる」とあります。いかに法律に基づく国からの要請であっても、地方公共団体が憲法によって国から独立した団体として規定されていることからも、憲法で保障されている住民のプライバシー権を保護しなければなりません。住民基本台帳や戸籍等を提供する可能性があることを広く住民に周知すること、また情報提供の要請にあたっては、当該住民の同意を要件とすることを求めますが、見解を伺います。

-村山市長
 本市ではすでに国からの協力依頼に基づきまして国が作成したリーフレットや新聞広報、SNS、ホームページを活用しまして、制度概要や調査の方法などについて周知を図っております。国から情報提供の求めを受けた場合には、法律に基づきその情報を提供するものとされていますことから、個人の同意を要件とすべきとは考えておりません。

-山下議員
 住民にとっては、自分の情報が自分の知らないところで金沢市を通じて国へ提供される可能性があるわけです。個人の情報は市の持ち物ではありません。この非常に曖昧で危険な法律から、地方自治の本旨に基づいて、住民の生活、そして人権を守る役割を金沢市には果たしていただきたいと思います。市民への周知と説明会の開催を再度求めて、次の質問に移ります。

【金沢スタジアムについて】

①ネーミングライツについて
 最後に、金沢スタジアムについておたずねします。1点目はネーミングライツについてです。多額の税金を投入して建設された公共施設に、コスト優先で特定の企業の宣伝や広告に利用することは公共性に反すると考え、9月議会に引き続きネーミングライツ導入の見直しを求めます。そこでおたずねします。地方自治法 第238条の4 第1項には「行政財産は、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、出資の目的とし、若しくは信託し、又はこれに私権を設定することができない」とあります。ネーミングライツは、金沢スタジアムという行政財産に対して、私権を設定することになりませんか。

-川畑総務局長
 総務省は平成16年に、名古屋市からの質問に対して「ネーミングライツは地方自治法上の私権の設定にあたらない」との見解を示しておりまして、以降、多くの自治体がネーミングライツ事業を実施しているところであります。本市におきましてもこの解釈の通り、私権の設定にはあたらないと考えております。

-山下議員
 金沢スタジアムは、金沢城北市民運動公園の中に位置しています。金沢市公園条例 第5条(7)には、「はり紙若しくははり札をし、又は広告を表示すること」を行為の禁止としています。企業の広告そのものであるネーミングライツは、この金沢市公園条例に違反することになりませんか。

-坪田都市整備局長
 ネーミングライツ優先交渉権者から、具体的表示方法や内容が示されていないことから、公園条例第5条の禁止行為に該当するかの判断はできない状況でございます。今後示される具体案を見て、適切に対応したいというふうに考えております。

-山下議員
 公園条例では禁止行為とされていますので、適切な判断をお願いいたします。
 金沢スタジアムをホームスタジアムとするクラブチームの公式ページに、ホームスタジアムの登録名称決定のお知らせが掲載されました。ネーミングライツの愛称で登録されていましたが、ネーミングライツ自体はまだ契約前です。市は、契約前の登録を許可されたのでしょうか。

-東文化スポーツ局長
 Jリーグは翌年のリーグ戦の開幕カードを12月に発表しておりまして、その前に新ホームスタジアムの登録名称も公表しております。市としましてもすでに金沢スタジアムのネーミングライツ優先交渉権者とその名称を発表しておりまして、新シーズンに向けてホームタウンチームを支援し、市民の応援気運の醸成を図るため、事前に公表することを認めたものでございます。

-山下議員
 あくまでまだ優先交渉権者という段階ですので、契約前のこの判断はいかがなものかと思います。そして、まだ明確になっていないことがあります。ネーミングライツパートナーの会長がインサイダー取引の疑いという8月の報道以降、11月末にも報道がありましたが、社会的信用を損なう行為が否定できない状況にあることは現在も変わっていません。事実確認が現段階で出来ない以上、契約はしないと判断すべきではありませんか?

-東文化スポーツ局長
 現時点では報道以外の情報はなく、不祥事と認定できる根拠もないことから、引き続き状況を注視しつつ、必要に応じてゴーゴーカレーグループにも説明を求めるなど慎重に協議を進めてまいります。

-山下議員
 ぜひ市民の財産を守るためにも、再度ネーミングライツの見直しを求め、次の質問にうつります。

②駐車場について
 2点目、金沢スタジアムの駐車場についておうかがいします。金沢スタジアムの供用開始に伴い、金沢城北市民運動公園周辺の渋滞対策等について「金沢スタジアム等交通渋滞対策連絡会議」が開催されました。金沢スタジアム利用団体から、主催するイベントについて、駐車場利用を有料にしたいという提案がされたわけです。金沢市はその提案に、どのように対応されるのでしょうか。

-村山市長
 ご提案の内容につきましては、駐車場の利用者から費用負担をいただき、その収入を無料シャトルバスの運行などに充てるというものであります。交通渋滞の緩和や公共交通機関の利用促進への有効な対策であるということから、試験的に導入を認めたものであります。

-山下議員
 試験的に認めたということですが、事実上、公園駐車場の有料化になりませんか。公共施設の利用料を変更する場合、条例の改正が必要です。今回の駐車場有料化は、議決事項に該当しないのでしょうか?

-坪田都市整備局長
 今回の料金は、ツエーゲン金沢が渋滞対策として徴収するものでありまして、市へ納入すべき使用料を規定した公園条例の改正は必要ないということでございます。

-山下議員
 クラブチームのHPには、すでに駐車場有料化の概要が掲載されています。南駐車場、駐車台数1313台、駐車料金1000円となっており、ファンクラブ会員には優先対応をするとあります。駐車料金の割引はありませんが、年間駐車券を購入できるというものです。渋滞対策といいながらもファンクラブ会員には駐車場利用の優遇をして、はたして車利用は減るのでしょうか。お金さえ払えば車で来てもよいという仕組みが、はたして渋滞緩和に有効なのか疑問です。見解をうかがいます。

-村山市長
 駐車場の台数を確保することは、利用者の利便性などの観点から一定程度必要であるというように考えております。ツエーゲン金沢さんは、駐車場の利用料金の徴収や事前予約性とすることで、過剰なマイカーによる来場を抑制することとしております。有効な渋滞対策が図られるものと思います。

-山下議員
 そもそもJリーグ規約の中には、理想のスタジアムとして「アクセス性に優れていること」を要件のひとつにしています。そして駐車場に関しては「公共交通機関が充実していない場所では、入場可能数に見合う台数の駐車場を確保すること」としています。金沢スタジアムがこの基準を満たして建設されていなければなりません。渋滞対策という名目で駐車場を有料化した「玉川こども図書館」は、利用しにくいという市民の声があり、無料時間を延長しました。駐車場有料化で図書館利用の減少が見られます。スポーツ観戦するために駐車場を有料にすることは、新たにそのスポーツにふれる機会を遠ざけてしまうのではないでしょうか。他都市の事例を見ると、金沢スタジアムと同じように交通渋滞の課題、受益者負担の考え方で、公園内の駐車場全てが有料になったという自治体があります。開催される試合は年に19日間です。そのわずか19日間の駐車場有料化の容認を前例に、すべての公園利用者に対して駐車料金を取るようになるのではないかと危惧しています。見解を伺います。

-村山市長
 今回の取り扱いは試験的に実施するものであります。また多くの来場者が想定される大型イベントに限って認めるものになっております。なお、大型イベント開催時においても、金沢プールの利用者などイベント来場者以外の方の無料駐車場は確保することとしております。

-山下議員
 今回のこの市民サービスの後退ともいえる駐車場有料化の許可の見直しを強く求め、私のすべての質問を終わります。

-森尾議員
 私は日本共産党市議員団のトップバッターとして、質問いたします。
 最初の質問は、戦争をやめさせ、平和の実現についてです。イスラエルによるガザ地区への侵攻が北部から南部へと拡大し、空爆と地上部隊による激しい攻撃が続けられています。戦闘が始まってから2ヶ月間のガザ地区での死者は1万7千人を超えています。一刻も早く停戦を求めます。市長。政府に対し、イスラエルに即時停戦を要請するよう求める考えはありませんか。まず伺います。

-村山市長
 報道などで戦況の惨状を知るにつけ、心を痛めているところではありますけれども、国際間の紛争におきましては国において十分な議論を重ねたうえで適切に対応されるものと認識しておりまして、国に働きかける考えはありません。本市としては国際社会の現状を知り、そこから世界平和・人類の生存・命の尊さを学び、そのことを後世に伝えていくことが大切であると考えております。

-森尾議員
 イスラエルによるガザ地区への侵攻をやめさせ、即時停戦を求める世論と行動が世界各地で広がっています。事態は深刻です。様々な形で声を上げ、行動が求められます。市長。金沢市は平和都市宣言を発信している立場から、何らかの行動が求められます。検討を求たいと思います。

-村山市長
 平和都市宣言でありますが、本市固有の歴史文化を発信し、世界の人々と友好関係を深める中で、恒久平和に貢献していくということを宣言したものであります。これからも原爆に関するポスター展などの機会をとらえて、平和都市宣言の基本理念を呼び掛けてまいります。

-森尾議員
 質問の第2に、くらしと営業を守る緊急対策について伺います。12月に入って食料品の値上げが続いています。今年2023年1年間で3万2,189品目に上っています。灯油、電気料の値上げなどと相まって、市民生活は深刻です。賃金が上がらず、実質賃金が18か月連続マイナスとなり、物価高騰が家計を圧迫する状況が続いています。地域経済を支えている中小企業は存続継続の危機を迎えています。市長は市民生活と地域経済の状況をどのように把握しておられますか。伺います。

-村山市長
 景気の回復が緩やかに続くということが期待されている一方で、物価高騰や実質賃金の減少が市民生活の安定や地域経済の成長の足枷となっており、その影響が長期化しているということに大変危惧をしております。そのため、国の総合経済対策に呼応し、重点支援地方交付金を活用した本市独自の物価高騰対策や、市民の安全・安心の確保にかかる経費を今回の補正予算でお諮りしているところであります。

-森尾議員
 くらしと営業を守る緊急対策として、第1に、市民生活に直結する金沢市の国民健康保険料、介護保険保険料を引き下げることについてです。国民健康保険会計には約23億円の基金があります。介護保険会計は約29億円の基金があります。介護保険会計は黒字が続き、基金は6年前に比べ3倍に増加しています。こうした基金を活用して保険料の引き下げを実施する考えはありませんか。伺います。

-村山市長
 国民健康保険料につきましては、令和6年度につきましては年明けにも県から示される標準保険料に準拠しつつ、市民生活への影響にも十分配慮し、基金の有効な活用も含め適正な負担となるよう設定したいと考えております。また、令和6年度からの次期介護保険事業計画における保険料につきましては、今後3年間に必要なサービスの給付量を適切に見込んで、その費用に見合った額を設定することにしております。基金につきましては、市民の負担が過大にならないように有効に活用してまいります。

-森尾議員
 ここで、議長の許可をいただいてパネルを示したいと思います。(パネル表示)介護保険会計の黒字が続き、基金が急増しています。来年度からの第9期事業で、この予想される29億円、この基金の財源を活用し、保険料の引き下げ実施を求めたいと思います。市長、いかがでしょうか。

-村山市長
 令和6年度からの次期の介護保険事業計画についてであります。現在基金が、第8期末見込みで29億円というようにグラフを出していただきました。この基金についても有効な活用を考えております。その際には、今後3年間というのが団塊の世代が上の世代になってきますので、その世代、さらにはこれから必要な介護量というところを適切に見込む必要があるというように思っております。ご指摘いただいた資金の有効な活用も含めて、費用に見合った額を設定していきたいと考えております。

-森尾議員
 次に、上下水道料金の減免実施について伺います。水道事業会計の昨年度決算では、約7億円の黒字となっています。下水道会計は14年連続黒字で、昨年度決算では約13億円の黒字となっています。市民生活を守るうえで、上下水道料金の引き下げを実施する考えはないか、公営企業管理者に伺います。

-松田公営企業管理者
 上下水道事業につきましては、今ほどお話もありましたような物価高の影響もありまして経費が増加していることに加え、人口減少による料金収入の減少、施設・管路の更新費用の増加など、現在もそれから今後も、経済環境はより一層厳しくなりますことから、料金の引き下げは考えておりません。なお、令和4年度決算の未処分利益剰余金につきましては、今後の老朽管更新対策や、企業債償還の財源として積み立てることをお諮りしているところでございます。こうしたことによりまして、将来の料金の抑制にもつながることをご理解いただきたいと思います。

-森尾議員
 医療と介護の分野への支援について伺います。厚生労働省の調査によると、特別養護老人ホームと老人保健施設が初の赤字となったとのことです。介護職員の人手不足は深刻です。抜本的な処遇改善が求められています。医療の分野でも、コロナ補助金がなければ7割の病院が赤字という深刻な事態となっています。県は、医療機関への支援を来年3月まで延長するとしています。金沢市として、医療と介護の分野への支援策についてどのように考えておられますか。伺います。

-村山市長
 医療分野につきましては、石川県は光熱費上昇による影響等を算定し、本市を含む県内全域の医療機関等に対しての必要な支援を延長することとしたと聞いております。医療提供体制の確保は地域の実情に応じて県が行うということとなっておりまして、本市として医療機関への支援は考えておりません。介護分野につきましては、介護事業所に対してこれまでの光熱費の支援に加えまして、今般、国より地方自治体に対し給食等の食材料費への支援要請がございましたので、今補正予算に特別対策費を計上しております。

-森尾議員
 中小企業にとって、物価高騰と共にこの10月に始まったインボイス制度実施が深刻な事態を広げています。金沢市内の事業所の実態調査を行う考えはありませんか。国に対し、インボイス制度の廃止を求める考えはないか伺います。

-村山市長
 中小企業の現状や課題の把握につきましては、平素から経済団体等が実施する景況調査や経済指標の他、企業訪問をはじめ中小企業団体や商店街との情報交換を通じて、現状や課題の把握に努めてございます。こうしたことを踏まえ、中小企業の事業継続につきましては経営改善計画策定への市独自の追加支援を始めとして、資金繰りの支援では市制度融資の借り換え時の信用保証料の助成などを行っています。また、今般の補正予算におきましても、中小企業の電気料金等に対する支援金の支給継続や、プレミアム商品券による物価高騰対策をお諮りするなど、時勢をとらえた必要な対策を講じております。なお、インボイス制度につきましては、売り手と買い手が消費税の税率や税額を正確に把握することでミスの防止につながる制度として、すでに制度が開始されております。市として中止を国に求めるつもりはありません。

-森尾議員
 質問の第3に、新しい都市像について伺います。この都市像の中で打ち出さなければならない点について2つ伺います。第1は、市民が主人公の立場から、くらしと営業、地域経済を守り、発展させていくことを柱とすることです。自民党政治のもと、30年の長期にわたって経済が停滞してきました。いわゆる「失われた30年」というべき状況が、市民生活と地域経済に深刻な影響をもたらしています。貧富の格差、くらしの貧困化、非正規雇用の拡大、農業と地域経済の衰退が進み、地域では商店が消え、空き家が目立ち、地域コミュニティーがほころび始め、地域では高齢化と過疎化が急速に進行してきています。新しい都市像ではこうした事態に向き合い、その打開方向を示すことが求められると考えます。市長の見解を伺います。

-村山市長
 新たな都市像では、5つの基本方針の中で「多様な人々が共生し、心豊かに暮らせるまち」を掲げておりまして、市民生活に関わる施策の方向性を示すとともに、「創造・変革により成長するまち」を掲げて経済の活性化に資する施策の方向性も打ち出しております。本来、市民生活や地域経済は直接的な施策のほか、各般に渡る取り組みを総合的に展開することで、創造的に向上していくものであります。これらの方針に基づく各種施策を積極的に推進してまいります。

-森尾議員
 もう1つは、100年にわたる百姓が持ちたる国づくりから、500年に渡って培われてきた金沢市の文化と伝統を継承し、次の世代に引きつくことが求められます。地元紙に「百姓ノ持タル国の百年」をテーマに連載が掲載され、反響を呼んでいます。その最終章で作家の五木寛之氏は、一向一揆100年の歴史には、「生命大事」ヒューマニズムがあると述べています。連載の記事の最後に『「百姓ノ持タル国」の誇るべき歴史は、いわば誰もが当事者なのだ。そんな分厚い基層の上に、加賀百万石という「城」は建っている』と結んでいます。一方、市長の説明には「前田利家入城以来、440年の間に培われた金沢ならではの『文化』」となっています。「百姓の持ちたる百年」が消えています。市長の金沢の文化とはこういう認識でしょうか。伺います。

-村山市長
 「百姓の持ちたる国の百年」の歴史はもちろんのこと、その前の百姓の持ちたる国を作ってきた歴史も含め、そして富樫の時代も含め、先人たちが脈々と作ってきた歴史の上に今があるというように考えております。そうした中で、その伝統や文化を磨き高めることで、金沢の発展につなげていきたいという思いを持っております。歴史を大切にしたうえで文化を礎に多様な人々・主体とともに心豊かで活力ある未来を作り上げていきたいと考えています。

-森尾議員
 であるならば、11月24日の全員協議会で作られたパワーポイントについて、訂正・修正を求めたいと思います。この都市像の中で、重要な課題が盛り込まれていませんでした。3つあります。1つは平和の課題です。金沢市平和都市宣言は、世界の恒久平和と核兵器の全面禁止・廃絶の実現への決意を述べ、金沢市が永遠の平和都市となることを宣言しています。この立場は、今日の世界と日本をめぐる状況を考えると極めて大切なものとなっています。新たな都市像の中で盛り込むことが求めらると考えますが、市長の見解を伺います。

-村山市長
 世界の恒久平和は人類すべての願いであり、我々はその実現に向けて不断の努力をしなければならないと考えております。一方、都市は国とは異なり、国家間の対立や制約からは一線を画すべきものと考えております。都市の個性を磨き高め、その個性と価値を国際舞台でも主張することで、世界の人々に選ばれる共創文化都市を目指してまいりたいと考えています。なお、平和都市宣言は本市固有の歴史文化を発信し、世界の人々と友好関係を深める中で、恒久平和に貢献をしていくということを宣言したものであり、これからも機会をとらえて平和都市宣言の基本理念を呼び掛けてまいります。

-森尾議員
 2つ目はジェンダー平等についてです。人類がこの地球で暮らし続けていくために2030年までに達成すべき目標・SDGs目標の5つ目が「ジェンダー平等を実現しよう」となっています。セクハラ、パワハラをなくし、誰もが尊重され、自由に生きていくことの大切さ。男女の格差をなくし、誰もが尊重される社会の実現。こうした課題を明記し、取り組んでいくことを新たな都市像に取り込んでいく考えはありませんか。伺います。

-村山市長
 本市ではSDGsの目標にも掲げられているジェンダー平等の実現に向けまして、今年3月に策定した「金沢市男女共同参画推進行動計画」に基づきまして、職場における女性活躍の推進や男性の家事育児の参加促進など、各種施策に取り組んでおります。新たな都市像におきましては、性別などに関わりなく多様性を認め合う共生社会や、誰もが活躍でき働き甲斐を感じられる環境の実現を目指すこととしております。さらなる具現化に向けた取り組みを進めてまいります。

-森尾議員
 最後に3つ目は、気候変動への取り組みについてです。先日、国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)が行われました。現状では、パリ協定で掲げられた「今世紀の気温上昇を1.5度抑える」目標の達成が難しい。今世紀の気温は、2.1度~2.8度上昇が予想されるとして、CO₂排出の削減と実行が求められることが確認されました。金沢市としてCO₂排出の削減の取り組みについて、新たな都市像の中で明記する考えはありませんか。伺います。

-村山市長
 豊かな自然や風土を継承していくために、脱炭素社会の実現は極めて大切なことであります。本市におきましても令和2年3月にゼロカーボンシティ宣言を行い、これに向けて様々な取り組みを進めてきております。新たな都市像の中でもゼロカーボンシティ実現に向けた脱炭素化の推進を掲げております。引き続き温室効果ガスの削減に向けて金沢市地球温暖化対策実行計画の着実な実践を図ってまいります。

-森尾議員
 質問の最後に、都心軸エリアの再開発事業について伺います。11月1日地元新聞の一面に『都ホテル跡、再開発合意 金沢市と近鉄グループ 特措法活用し近く国に申請』と大きな見出しで報じられました。11月24日に開かれた金沢市議会全員協議会で、私は金沢市にとって重要な案件を新聞報道で知ることになり、市長から市民と市議会への説明や報告がないとし、市長に説明を求めました。市長からは、説明と報告が新聞報道の後になったことを陳謝されました。ところが、12月1日地元新聞がトップニュースで『日銀跡地取得の意向 金沢市長、年明け活用策まとめ』と報じました。11月30日の金沢経済同友会と市長との意見交換会の内容を伝えたものです。12月1日、報じられた記事を手にしながら金沢市議会本会議で市長の提案説明を聞くことになりました。市長。あなたは先の全員協議会での陳謝は口先だけだったということですか。こうしたことが繰り返されるということは、市長には、市民と市議会に報告・説明し議論を通じて施策を進めていくという考えがないのではないでしょうか。市長に伺います。

-村山市長
 議会と執行部が緊張関係を持ちながらも密接な連携を取るということが何より大切であると考えております。市政の重要な案件につきましてはしっかりと議会に報告させていただきます。

-森尾議員
 10月20日に金沢経済同友会と馳知事との意見交換会が行われ、その内容が翌日の地元紙のトップニュースで報じられました。その中で、金沢都ホテル跡地をめぐり、馳知事は既存の高さ制限を緩和できる国の都市再生特別措置法の活用について述べたとのことです。そして、金沢市が跡地を所有する近鉄グループと特措法による開発に合意し、協力の要請があれば「県の役割を果たしていく」と述べたと報じられました。その11日後の10月31日、市長は馳知事を訪ね、近鉄グループと特措法を活用して開発を進める方針で合意したと報告されたとのことです。翌日の地元紙がトップニュースで報じました。市長。こうした経緯を考えると、市長は馳知事の指示を受け、近鉄グループと合意したものと考えますが、どうなんですか。いったいその合意内容はどんなものなのか、明らかにしていただきたいと思います。

-村山市長
 本年4月以降で新たな都市像を策定するにあたって、中心市街地の活性化とその骨格となる都心軸の再興について検討を進めていく中で、民間開発の気運を高め都心軸エリア全体の面的整備の促進につなげていきたいとの思いから、都市再生特別措置法の活用を検討してきたところであります。こうした中で、本年10月に都市再生特別措置法の活用に向けて法に定める役割を担う石川県に対して、協力を要請するとともに近鉄不動産に対しては特別措置法を活用した開発の意向を確認したものであります。

-森尾議員
 11月30日の金沢経済同友会と市長との意見交換会の内容が、12月1日の地元紙に報じられました。日銀跡地を金沢市が取得し、年明けに活用案をまとめるというものです。市長。一体こうした方針はどこで議論され、決められたのですか。市民からは、金沢経済同友会との話し合いで決められることなのか、唖然とした、という声が出されました。市長から説明を求めます。

-村山市長
 まず初めに申し上げたいところとしては、これは決定事項ということではない、そこで決定したわけではないということをご理解いただければというように思います。日本銀行金沢支店の跡地の利活用を検討するための関係予算につきましては、本年3月の議会においてお諮りをし、認めていただきました。現時点において、日本銀行から跡地の売却時期は示されておりませんけれども、まちの賑わい創出の観点からも、できるだけ早期に跡地の利活用を図る必要があると考えております。年明け早々にもこの検討懇話会を開催いたしまして、跡地に求められる機能の方向性を取りまとめていきたいと考えております。それを踏まえたうえで、跡地の取得を含む市としての責任を果たしていきたいと考えております。なお、それにかかる関係予算につきましては然るべき時期に議会にお諮りいたします。

-森尾議員
 市長は、今月中に特措法に基づく都市再生緊急整備地域の候補地とするよう国の内閣府に申請すると表明しています。その候補区域は金沢駅、武蔵、香林坊、片町としています。この方針は、金沢駅前の旧都ホテル跡地での再開発、武蔵ヶ辻での再開発事業、そして旧日銀跡地での開発事業、片町での再開発事業、この4つの区域での開発事業を進めるというものです。これは、金沢市の都心軸エリアを集中して大改造する大型開発事業計画です。これらの事業は数千億円ともいえる事業費の投入が予想されます。市民生活と営業そのものが困難な状況が続き、その対策と実行が本市の緊急の課題となっています。こうした状況の中で都心軸の大改造を進める、どう市長は説明されるのでしょう。

-村山市長
 都市再生特別措置法では、国から都市再生緊急整備地域の指定を受けることで、その地域内における民間開発事業などに対し金融・税制上の支援措置が講じられるほか、既存の規制にとらわれず自由度の高い計画を定めることができる都市再生特別地区の設定が可能となります。金沢駅から片町に至る都心軸におきましては、都ホテル跡地だけでなく老朽ビルの再整備の課題を解決していくためにも、都市再生特別措置法の活用が必要だと考えております。数千億円の試算については、どういう形に計算できるかわかりませんけれども、こちら全てを市が責任を持って行うということではなく、民間による早期の開発を促したいという趣旨で、この地区の設定をしていきたいと考えています。

-森尾議員
 特措法を持って進めるということを打ち出しています。これは、高さ制限などの規制緩和を可能とするもので、これまで金沢市が市民と共につくり上げてきたまちづくりを根底から覆しかねないものです。しかもその手法が問題です。市民参加と合意づくりがありません。候補地域に指定されると国、県、経済界で構成される準備協議会が設置され、ここで開発事業内容が検討され、素案を経て国が都市再生緊急整備地域に指定するということになります。まさに、国と県と経済界が主導の大型開発事業です。市長の見解を伺います。

-村山市長
 都市再生特別措置法の活用は、都心軸沿線の民間による開発を促進するために導入するものであります。そのうえでまずは、都市再生緊急整備地域の指定に向けた準備段階となる候補地域の設定に向けた国への申請、これを今月中に行います。また、国から候補地域として設定・公表され次第、産学官金で構成する準備協議会を立ち上げ、都市再生緊急整備地域の指定に向けた地域における開発の考え方、また求められる機能などを掲げる地域整備方針を取りまとめることとしております。その中で本市のまちづくりの考え方を反映させていきたいと考えています。

-森尾議員
 市長と金沢経済同友会との意見交換会が頻繁に行われ、その意向に沿った方向が次々に市長から示されてきました。一体なぜこうした事態となってきたのか。市長から説明を求めたいと思います。

-村山市長
 金沢経済同友会と市長との意見交換会は、今から24年前、1999年に初めて開催されて以来、年に1回、本市まちづくりに対して様々な提言をいただいてきたところであります。その場において政策を決定するということではないということをご理解いただければと思います。

-森尾議員
 「村山たかしとともに歩む会」という政治団体から令和4年の収支報告書が県選挙管理委員会に提出されました。収入総額は575万1円で、その収入は寄付となっています。個人の寄付者の中に福光松太郎氏100万円との記載があります。福光屋代表取締役社長であり、金沢経済同友会代表幹事の一人です。100万円の寄付はもう一人、県内の代表的建設会社の代表取締役会長で金沢経済同友会副代表幹事です。市長はご存じですか。

-村山市長
 お二人が経済同友会の関係者であるということは存じ上げています。

-森尾議員
 県選挙管理委員会に提出された「村山たかしとともに歩む会」という政治団体、代表者は市長、あなたです。会計責任者もあなたなんです。支出として、寄付501万7669円となっています。この支出を受けた者は、村山卓(候補者)となっています。先の市長選挙で使われたものと考えられます。金沢経済同友会を代表する方々などから集められた寄付が、代表者村山卓となっている政治団体によって集められ、そこから市長、あなたの選挙資金として使われる。問題ありませんか。

-村山市長
 適正な処理が行われており、問題はないと考えています。

-森尾議員
 福光松太郎氏は、村山卓市長の連合後援会・親和会の会長ということです。市長選挙でお世話になったということで、その意向で市政運営を進めるとしたら重大だと考えますが、見解を伺います。

-村山市長
 「村山たかしとともに歩む会」に対しては、ご指摘いただいた寄付者個人からいただいたというものであります。そして毎年行われる金沢経済同友会との意見交換は、法人の代表的な立場にある経済界の方々と是々非々で議論しておりまして、忌憚のないご意見をいただく場になっていると考えておりまして、個人的な寄付が影響することがありません。

-森尾議員
 あなたが設立した政治団体が500万円を超えるお金を集め、その中には経済同友会の代表幹事や副代表幹事が100万円ずつ寄付をし、集められたお金500万円等が市長選挙の中で支出されると。あなたが代表幹事の政治団体が、あなた自身の市長選挙で使われると。これはどう考えても市長、市民に説明がつくんでしょうか。

-村山市長
 政治資金規正法等の法に則って処理をしておりまして、全く問題がないと考えております。

-森尾議員
 あなたご自身が代表者で会計責任者の政治団体がもう一つあります。このことは承知していると思いますが、この政治団体はどういうところから寄付を得て運営されたものでしょうか。

-村山市長
 政治団体を特定していただいておりませんので、回答することはできないことをお許しいただければと思います。

-森尾議員
 「親和力で奏でる金沢」という政治団体の名称で、あなたが代表者であなたが会計責任者と、この政治団体です。ここでも資金が集められ、使われています。どう考えても、今回の一連の金沢経済同友会での懇談を通じた本市の施策に、こうした背景を考えると、大きな政治力、大きな意見、そしてお世話になったからというかたちで市政に反映していくという方向が作られたのではないでしょうか。改めて伺います。

-村山市長
 政治団体が寄付を集め、それを支出するというのは当然のことだと考えています。

-森尾議員
 金沢経済同友会とこうした資金関係や市長選挙との関係がある以上、これからもまた市長は足繫く金沢経済同友会と意見交換をお進めになられるんですか。

-村山市長
 さきほど答弁申し上げた通り、金沢経済同友会との意見交換会は年1回であります。そして是々非々で議論し、忌憚のない意見交換をさせていただく、貴重な場となっております。

-森尾議員
 金沢市都心軸エリアを中心とする特措法による大規模な開発事業について、再検討されるように求めたいと思います。最後に市長、見解を伺います。

-村山市長
 市内の地域経済を再興させるという意味にあって、特措法は非常に大事な手段であるというように考えております。これにより都心軸の再興を図ってまいりたいと考えています。

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