お知らせ |日本共産党 金沢市議員団 |5ページ

お知らせ

私は、日本共産党市議員団を代表して、議会議案第2号 共同親権を導入する改定民法の根本的な見直しを求める意見書について、提案理由説明を行います。

当事者から不安と怒りが寄せられる中、本年5月、離婚後も父母の双方が子どもの親権者となる共同親権の導入を柱とする改定民法が成立しました。国会審議でも問題点が次々と指摘され、当事者だけでなく、その支援者、弁護士、医療、教育、福祉の現場からも懸念の声があがっています。

改定民法の最大の問題は、離婚する父母の双方が合意していなくても、裁判所が離婚後の共同親権を決めることができる点です。DVや虐待のおそれがあると家庭裁判所が判断した場合は単独親権にできますが、DVや虐待を立証することは容易でなく、家庭裁判所が的確に判断するという保証はありません。

親権とは、親の権利ではなく、子どもの利益のために監護・教育を行い、子どもの財産を管理するなど、子どもに対する養育の義務・責任のことです。本来親権者は、子どもの居所、教育、医療、財産などの重要事項を子どもの利益にそって決めることになりますが、離婚後共同親権となった場合、子どもに関する重要事項について速やかに決定できないことや、父母の争いが長期化し子どもにストレスを与えること、別居している親による干渉や支配が復活し継続する手段となり、子どもの福祉や権利が損なわれてしまうおそれも出てきます。家庭裁判所で不本意な共同親権が強制されることで、立場の弱い方を追い詰め、子どもの利益が害される危険を否定できません。

当事者間に合意のない「共同」の強制は、「個人の尊重」を最も大切な価値とする憲法にも反します。あるべき法改正は、「合意のない共同親権を認めない」と条文を改めること、問題の根本にある親権の再定義をすることです。あわせて、家庭裁判所の業務負担に対応するため、裁判官、調査官の大幅増員など、家庭裁判所の体制強化も不可欠です。

この意見書は、憲法24条が定めている家庭内での個人の尊厳と両性の平等を実現する民法となるよう、国に対して、改定民法の2年後の施行までに根本的な見直しを行うよう強く求めるものです。議員各位のご賛同をお願いしまして、提案理由説明といたします。

山下明希 議員

-山下議員
 質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として、質問いたします。
 はじめに、子育て施策についておたずねします。今月、厚生労働省が1人の女性が生涯に産む子どもの推計人数を示す合計特殊出生率を発表しました。全国は1.20、石川県は1.34と、どちらも過去最低となり、8年連続の減少です。経済的不安で子育てに希望が持てない、子どもを産み育てられないという訴えは、本市が取り組んだ「次期かなざわ子育て夢プラン策定」の市民アンケートの結果にも同じように表れています。物価高騰のなか実質賃金が減り、子育てにかかる経済的な負担はさらに重くなっています。本市においても、子育て施策の拡充が強く求められているのではないでしょうか。そこで「次期かなざわ子育て夢プラン策定」における市民アンケート調査結果は、本市の子育て施策にどのように活かされていくのか、お聞かせください。

-村山市長
 本市のアンケート調査結果では、子育てにかかる経済的な負担に加えて、育児と仕事の両立に伴う精神的・体力的な負担などを感じている人の割合が増加していると認識しております。子どもを持ちたいと考える人にとって、経済的な不安や仕事との両立が支障とならないように、妊娠・出産から子どもの成長に合わせた切れ目のない子ども子育て施策の充実を、新たにかなざわ子育て夢プランに盛り込まなければならないと考えております。

-山下議員
 市民アンケートでは「行政が行っている子育て支援の満足度」について保護者にたずねています。就学前児童の保護者で「不満」「やや不満」を合わせると57.1%と半数を超えています。小学生の保護者では54.7%、中学生・高校生の保護者では56.7%と、子どもの年齢に関わらず、行政が行っている子育て支援を「不満」「やや不満」と感じる保護者が半数以上です。前回のアンケート結果より割合が増加しています。市長、この調査結果をどのように受け止めますか。

-村山市長
 アンケートにご協力いただいた子育て当事者の声として真摯に受け止めたいと存じます。そのためにも、新たなかなざわ子育て夢プランでは、今回のアンケート調査結果はもちろんのこと、これまで以上に未来を担う若者や子育て当事者の意見を取り入れて、市民ニーズに沿ったサービスの拡充や金沢の特徴を生かした施策を盛り込んで、国の施策と一体となった施策を充実していきたいと考えております。

-山下議員
 ぜひ子育て世帯の実態を、施策に忠実に生かしていただきたいと思います。
 「子育て支援策として、どのような取り組みが重要だと考えるか」という問いに対しては、子どもの年齢に関わらず「子育て世帯に対する経済的支援全般」との回答が7割を超えています。先ほどの満足度を踏まえて考えると、金沢市で子育てをするみなさんは経済的支援が十分でないと感じているとも考えられます。アンケート調査の自由意見の中には、調査をした6つの対象区分のどの保護者、どの年齢層にも「子どもの医療費を18歳まで無償化してほしい」というご意見がありました。これまでも子育て世帯、子どもたち自身からも医療費の負担をなくしてほしいとの声は多く寄せられています。本市が2021年に行った「子どもの生活実態調査」において、「子どもを医療機関に受診させた方がよいと思ったが、実際にはさせられなかった」という問いに「あった」と回答したその理由について、「公的医療保険に加入していたが、医療機関で自己負担金を支払うことができないと思ったため」と回答した割合を年齢別にみてみます。4歳から5歳、小学2年生の保護者で1.0%、小学5年生、中学2年生の保護者で1.7%という割合に対して、16歳から17歳の保護者では10.2%と、高い割合になっています。この差は、16歳から17歳には医療費の自己負担金がかかっていることが影響していると見てとれるのではないでしょうか。3月議会の答弁で、18歳までの完全無償化まであと4億8千万円でできると明らかになりました。本市の一般会計予算規模は1900億円余りです。子どもの受療権を保障するためにも、市長、子どもの医療費助成制度、18歳まで完全無償化することを今、決断するときではないでしょうか。

-村山市長
 なんらかの施策を行うためには、なんらかの施策を削らなければならない、あるいは他のところに財源を求めなければならないということは当然のことかというように思っております。子どもの医療費の助成はこれまでも、予算の選択と集中による施策の重点化を図っていく中で、順次対象年齢の拡大を行ってまいりました。子育て支援については医療費の助成以外にも福祉・保健・教育・文化・スポーツまで多様な施策があります。今年度も新たにこども家庭センターの運営を開始する、あるいは拠点型子ども宅食の本格実施、児童クラブの新設などにかかる経費の助成の拡充など、鋭意取り組んできております。こども医療費の助成のさらなる拡充、現時点では考えておりません。

-山下議員
 ぜひ子育て世帯の経済的支援をというふうに求める声と、子ども医療費の助成制度を拡充してほしいという声にぜひ応えていただきたいと思います。

 次に、保育施設等の整備についておうかがいします。就労についてのアンケートでも「子どもがうまれた場合でも仕事はそのまま続けたい」との回答が圧倒的に多いことをみても、保育施設等の整備は重要です。先月、保育所や認定こども園等の改築・改修費を国が2分の1補助する「就学前教育・保育施設整備交付金」の予算が、第1次申請分で想定の予算に達したということで、第2次以降の申請が打ち切られました。本市では、第2次以降に9施設で申請を予定していたということです。国会の内閣委員会の中で「特に優先すべき一定の案件を対象として、予算執行残額の範囲内で第2回の追加協議をすると各自治体に通知をした」と大臣政務官の答弁がありましたが、追加協議にあたって、申請基準にどのような変更があったのか。その変更によって本市は追加協議ができたのか、現状をお聞かせください。

-安宅こども未来局長
 少し経緯も含めて答弁させていただきます。就学前保育施設整備交付金につきましては、例年複数回の申請協議があります。3月末に国から申請額が予算の上限に達したため、2回目以降の協議を中止する旨の通知がございました。本市では法人の準備期間等を考慮しまして、例年3月末の2回目に申請協議を行っていることになります。この通知を受けまして、協議予定の施設に対しまして速やかに説明を行うとともに、追加予算の確保に向けまして全国市長会等を通じて要望するほか、本市でも国に対しまして直接要望してきたところでございます。それを踏まえまして、5月中旬の追加申請協議の通知におきましては、令和8年4月1日以前の開園予定で、令和6年12月までに着手予定の事業などが対象となる旨が示されておりまして、この条件に該当する施設について協議書を提出したところでございます。

-山下議員
 内示・交付決定されなかった場合、該当の保育所や認定こども園等がこうむる影響、どんなことが考えられるかお聞かせください。

-村山市長
 国からは、協議額通りに内示できないことがあるが、不足額については追加財源の確保に向けて全力で取り組む旨の通知を受けております。今回の追加申請協議で内示がない場合、スケジュール等の変更など施設の整備計画に影響が出ることになりますが、本市としては個別に丁寧に相談に応じていくこととしております。今後の国の追加財源の動向を注視するとともに、次年度以降の施設整備の需要に対応できるよう、国に対して強く要望してまいります。

-山下議員
 第2次申請で内示がでる予定だった園は今、全てがストップしていると聞いています。来年度改築で申請予定をしている園からも「予定通り建て替えができるのだろうか」と心配の声があがっています。今市長から答弁もあったように、ぜひ該当の9施設やこれから申請を予定する園に対しても、丁寧な説明に努めていただきたいと思います。
 市長が予算確保の要望に出向かれて、また中核市市長会も緊急要望しているというとおり、国が責任をもって予算確保を行って内示・交付決定すべきだと考えます。改築・改修を予定していた保育所や認定こども園等が計画を中断しなくてもいいように努めなければなりません。交付決定が得られなかった場合、本市独自での財源確保を求めますがいかがですか。

-村山市長
 本市の保育施設整備につきましては、中長期的な観点に立って計画的に進めております。整備費用については国・市・施設が一定のルールに基づいて負担してきております。建築年数が建て替えの目安を経過している施設が多く、今後も建て替えの要望が見込まれますことから、これまでの費用負担のルールで対応することとして、市独自の財源措置は考えておりません。繰り返しになりますけれども、今後の国の追加財源の動向を注視するとともに、次年度以降の施設整備の需要に対応できるように国に対して強く要望してまいります。
 
-山下議員
 今後、改築や改修・整備を予定している保育所や認定こども園にとっては、改築等の補助をつける元が国なのか金沢市なのかということはそんなに関係ないことです。なので、出来得る限りの方策をとっていただくように求めたいと思います。

 次に、金沢市の女性支援についておたずねします。「困難な問題を抱える女性への支援に関する法律」、いわゆる女性支援新法が、本年4月から施行されました。女性支援新法の目的は、生活困窮、DV被害、性的搾取などに苦しむ女性を公的な枠組みで包括的に支援していくというものです。女性の困難や生きづらさを、個人だけの問題にとどめず、社会の課題として位置づけて支援がすすめられていくことになります。この女性支援新法を受けて、今後金沢市において、女性支援をどのように拡充し取り組んでいかれるのかお聞かせください。

-村山市長
 本市では法律の制定を受けまして、昨年度オンラインによる相談を開始いたしましたほか、女性支援を実践する民間団体との共同で居場所の提供などを行うといった、経済的な不安や孤独・孤立感を抱える女性への相談機能の強化に努めてきております。今後とも困難な問題を抱える女性に寄り添った支援を進めてまいりたいと存じます。

-山下議員
 女性の意思が尊重され、最適な支援を受けることができるよう、福祉と人権の視点にたった公的支援の拡充をぜひお願いしたいと思います。
 法律の施行と新たな女性支援の枠組みにおいて、困難を抱える女性の相談に応じる女性相談支援員は、重要な役割を担います。しかし厚生労働省の報告でも、女性相談支援員の配置状況は約8割が非正規雇用です。本市においては、女性相談支援室の相談員全員が非正規雇用という現状です。労働時間や仕事内容に見合う報酬を得ていないという声もあります。新法では、女性相談支援員の適切な処遇の確保、資質向上のための研修の実施に努めることとしていますが、本市の状況をお聞かせください。

-山下市民局長
 相談員の処遇についてですが、今年度から正規職員に準じて勤勉手当を支給することとしております。このことによりまして、前年度と比べ約30万円の増となるなど、給与面で一定の改善が図られていると考えております。また相談員の資質向上に向けてでございますけれども、国や県等が実施する研修に積極的に参加するほか、関係機関との連絡会議に出席等しております。

-山下議員
 勤勉手当等で給与が上がったということですが、そうした処遇改善にとどまらず、相談員の正規雇用化を求めますが、見解をうかがいます。

-川畑総務局長
 本市では個別分野の相談業務や支援業務に、その分野毎にさまざまな社会経験を積み重ねてきた人材を配置し、こうした経験を活用することが有効と考えておりまして、会計年度任用職員を配置しております。正規化は考えておりません。

-山下議員
 昨年、東京大学大学院の研究グループが「公的部門の最前線で女性支援を行う婦人相談員の全国調査」を行いました。調査によると、DVや貧困などの相談に対して、相談員が心理的な負担を抱えているということが明らかになりました。業務の影響により心身の不調を経験したことがある相談員が、約5割にのぼります。本市の女性相談支援室の相談件数は年間1300件を超えていますし、オンライン相談を開始して新たな業務も増えています。相談員が感じる業務上の負担、また心身の状況を把握しフォローする体制が必要ですが、そうした体制があるのかお聞かせください。

-山下市民局長
 相談員が所属いたしております女性相談支援室には正規職員も兼務いたしておりまして、日頃からコミュニケーションを密にするなど、必要に応じて協議を行いながら相談員をサポートすることで、負担の軽減を図っているところでございます。また相談員を含む全職員を対象に、心身に不安を感じる職員には、心のケアを呼び掛けておりまして、疲労度のチェックや保健室内にある職員相談室の利用を促しております。メンタルヘルスの不調に至らないよう、引き続き対策を講じてまいります。

-山下議員
 相談業務を継続していくためには、ケアに当たっている人をケアするということも重要ですので、引き続きの取り組みをお願いいたします。

 女性支援の最後に、女性安心生活支え合い支援事業についておたずねします。コロナ禍のもとで、不安を抱える女性をサポートするため事業が開始されました。そこで、事業の1つである生理用品の無償配布についておたずねします。2021年の事業開始からこれまでの取り組みの経過と現状をお聞かせください。

-山下市民局長
 生理用品の無償配布につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大長期化によりまして、特に女性の経済的な困難が問題となりました令和3年6月から、本庁舎、福祉健康センターや女性センターなどで配布を実施いたしております。この事業につきましては防災備蓄品を活用していますことから、現在は駅西福祉健康センターのみの配布となっております。

-山下議員
 生理の貧困は単なる経済的な問題にとどまらず、社会の風潮やジェンダー格差などあらゆる問題に関連してきます。女性の健康や尊厳に関わる重要な課題であり、本市がおこなっている生理用品の無償配布は重要な事業のひとつだと思います。新型コロナウイルス感染症が5類へ移行したあとも、女性の困難はなくなったわけではなく、長引く物価高騰や能登半島地震の影響もあるなかで、事業の継続が求められます。ただ、防災備蓄を活用しているということで、備蓄の入れ替えがなければ在庫が不足するという事態が生じていることや、HPでしか周知をされていない状況には課題があると考えます。配布日・配布場所についても、さらに利用しやすくしてほしいとの声も聞いています。防災備蓄の活用だけでなく、生理用品購入費の予算化や、配布日・配布場所の拡充を求めますが、見解を伺います。

-村山市長
 当初、コロナ禍における女性の経済的困難に寄り添うという観点で生理用品を配布しておったものであります。今後についてでありますけれども、単なる生理用品の配布にとどまらない、困難を抱える女性の相談支援と合わせた事業としての手続きの見直しを含めて、検討していきたいと考えております。

-山下議員
 ぜひ検討をよろしくお願いいたします。

 次に、教科用図書の採択についておたずねします。2025年度から中学校で使用される教科書の検定結果が公表されました。小学校教科書の検定と同様、QRコードを読み取るデジタル教材が大幅に増えています。しかしデジタル教材は検定の対象にはなっておらず、「問題のあるコンテンツが生徒の目に触れる可能性がありうる」と文部科学省も認めています。QRコードが多いから子どもの学びが深まるという単純な話ではないと思います。本来の紙の教科書全体で子どもたちに何を伝え、どのような学びを保障しているのか、そうした判断も採択においては必要だと考えますが、見解を伺います。

-野口教育長
 私も採択の委員を担っている一人として、現在教科書を時間を見つけながら読み進めさせていただいて、調査研究を行っているところであります。今ほどありましたけれども、今回採択を進めている教科書は、まさに二次元コードを1人1台学習用端末で読み取り利用できるデジタル教材が、前回に比べて大幅に増えているなということを実感をしています。また加えて、実際にそのQRコード(二次元コード)を読み取ってみますと、例えば英語の音声とか書写の運筆を確かめることができる動画など、紙の教科書では表現しにくい多様な教材が利用できるようになっているなということを感じております。しかしながらデジタル教材につきましては、今おっしゃったとおり教科書の補助としての位置付けでありますので、あくまでも教科書に記載されている内容を元に判断すべきものと考えています。ただ、1点だけ。今回の国からの通知によりますと、中学校の英語の教科書採択におきましては、中学校英語のデジタル教科書を調査し、考慮の一事項とすることができるという通知がありましたので、英語の教科書の研究にあたりましては英語のデジタル教科書において聞くこと・読むこと・話すこと・書くことの基本的な技能を身に着けられるよう、工夫が図られていることについても綿密な調査研究を行い、答申するように選定委員会の方にお願いしているところでございます。

-山下議員
 歴史教科書採択についてお話をします。歴史教科書の採択にあたって、やはりなぜ歴史を学ぶのかということを押さえる必要があると考えます。「どんな日本人をつくるのか」とか、態度や思想を押しつけるような学びでいいのかと。学術的な史実に基づく歴史から、ヘイトやデマが飛びかう現代社会を生きる子どもたちが、多角的・多面的な視野をもち、自分自身も他者も尊重しながら共に生き合うために、歴史から学ぶことは大いにあると思います。教育長は昨年の6月議会で、日本国憲法そして教育基本法の2つが戦後教育の原点であると答弁されました。教育は「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の三原則に基づき、そして不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものであると理解をしています。その上にたって、どのような歴史教科書で子どもたちに学んでほしいとお考えか、お聞かせください。

-野口教育長
 今ほど山下議員がお触れになられたこと、今でもその通りだと思っています。そのうえで、もうひとつ大事なことは、金沢市の子どもの実態、この子どものことを真ん中において、教科書を選ばないといけないと僕は思っています。金沢市の子どもたちには、日本や世界における各時代の政治・経済・文化などが理解しやすく記載されていることに加え、学習を通して歴史上起こった出来事や登場する多くの人物に触れることなどによって、歴史を身近に感じ、意欲的に学習に取り組むことができる歴史教科書で学んでほしいと考えております。

-山下議員
 本市では2016年から2024年で育鵬社の歴史教科書を使用していますが、採択された教科書を実際に使用して、教員や生徒がどのように感じているか、どのように評価をしているか、把握されていますか。

-野口教育長
 現在使用している教科書につきましては、学校訪問の機会などに直接先生方から伺うようにしています。私は誰よりもきっと学校を回って教職員や子どもたちと話しているんじゃないかなと思っておりますけれども、そうした中で、例えば段階的に難易度が上がるにつれて活動例や例題が提示されているため、教科書に沿って進めることで無理なく学習を進めることができる。それから生徒の思考の流れに沿って授業を進めることができるなどの声を、これは先生方からお伺いしています。またたくさん授業を見させていただいています。そうした授業の中では、生徒から意見が出にくいときや自分の言葉でうまくまとめられないなというときには、先生方が教科書の記述や図表、資料などを上手に活用しながら、生徒の思考の一助とするなど、効果的に教科書を活用している様子を多く目にすることができているところでございます。

-山下議員
評価などきちんと把握して、また次の採択にも生かしていただきたいと思います。
 2020年、前回の教科書採択における教科用図書研究委員会の調査研究報告書では、調査研究項目に対し出版社ごとに意見数が表記されています。選定委員会では、保護者や市民が教科書をみることができる展示会場で出された意見書についてほとんど触れられていません。現場の教職員の意見、保護者・住民の声が届いているのか疑問です。教科書採択において、教職員や保護者・市民の意見が尊重されているのかお聞かせください。

-野口教育長
 採択の権限等につきましては教育委員会にあります。採択にあたりましてですが、選定委員会の答申に縛られることなく、やはりきちんと教育委員会の中で議論しながらこれを決定していく、このことがやっぱり大事なことなんだと思っています。教科書採択に際しましては、各教科の専門性の高い教員で構成いたしております教科用図書調査委員会及び各学校の教員で構成する教科用図書研究委員会が調査研究して報告書を作成していただいております。現在行われております教育プラザ富樫の常設展示会や、全市立中学校を会場とした移動展示会では、事前に保護者や地域の方にホームページ・おたより・メール配信等で開設期間を周知しておりまして、すでに様々な意見が集まってきていると報告を受けております。教科用図書選定委員会が教育委員会に答申する報告書は、これらの調査研究結果や市民の方々のご意見、また採択にかかる様々な要望書を踏まえて審議してまとめられており、その答申をもとに教育委員会が採択を行っており、現場の教員の意見や保護者また市民の方々の声は反映されていると捉えております。なお、採択にあたられる教育委員の方々にも、こうした市民の方々のご意見も見ていただいております。また様々な要望書を頂戴しておりますが、それについても見ていただいています。すべてを全部ひっくるめて、我々は審議に臨んでおりますことを申し添えておきます。

-山下議員
 そうしたすべてをひっくるめて考えられているその教育委員会の採択会議について、やはり今、公開を求める署名が先日も教育委員会に提出をされました。小学校の教科書採択においては、発言者名を記載して議事録を公開することとなりました。教育長は「説明責任を果たす観点から」と答弁されていましたが、発言者名がわかるのになぜ会議の公開を渋るのか、非公開にする理由がないとの声があがっています。発言と採択への責任は果たせていないのではないでしょうか。公正で透明性のある会議の運営について市民の要望は、採択会議を傍聴可能な公開にすることです。中学校の教科書採択の教育委員会会議を公開するよう求めますが、見解をうかがいます。

-野口教育長
 今から答弁いたしますが、その中にも触れてございます。教科書採択にかかる会議を公開するかどうかにつきましては、今ほど山下議員がお触れになりましたが、昨年7月の教育委員会議において議論した結果、教科書採択の審議経過については意思形成過程であること、また、ここが一番大事であるんです、静ひつな採択環境の中で自由闊達な議論を行うこと、そして公平性・中立性を保つ必要があること、こうしたことから非公開とすることに決定した次第であります。しかしながら、こうしたこれまでの経緯と国からの通知に示されている静ひつな審議環境の確保等の観点から検討を行い、会議の公開・非公開を適切に判断することや、公表の時期・方法等について不断の改善を図ることを踏まえて、昨年度の小学校用教科書採択時に議事録に発言者名を記載し、公表をするよう改善を図ったところでございます。したがいまして今回の中学校教科用図書の採択にかかる教育委員会議の公開については、公開することは考えてはおりません。

-山下議員
 公開を求める市民の声は引き続いてありますので、ぜひ再度検討を求めます。

 最後に、改定地方自治法についておたずねします。「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」と判断すれば、地方自治体に対して指示ができる「指示権」の枠組みを新たに導入する地方自治法改定案が、昨日の参議院本会議で、私たち日本共産党は反対をしましたが、賛成多数で可決されました。有識者や全国知事会からも懸念が示され、金沢市議会も3月議会において全会一致で「地方自治法改正案の閣議決定を受け、重大事象発生時の運用の明確化と慎重な審議を求める意見書」を国に提出しています。国会の審議の中でも立法事実すら明らかにならず、「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態である災害や感染症以外の「その他の事態」について、具体的な想定が示されず曖昧なままです。3月議会において市長は「適切な改正案であると考えている」と答弁されましたが、現在もその見解に変わりはないですか?

-村山市長
 昨日可決された地方自治法の改正については、国民の安全保護の観点から、感染症や災害などあくまで想定外の重大な事態が発生した場合に限って、国が自治体に対し補助的な指示が行えるとするものであります。想定外の事態ですので、どのようなことを想定したらよいか、我々もこの答弁作成のときに考えました。事態としては映画の中であるような事態しか想定できません。たとえば、今まで見たことのないような生物が現れて、その生物を天然記念物とするのかあるいは保護すべきなのか、殺傷していいのか、そういった事態がある、所管にすらわからないという中にあって、その破壊的な生物に対してどう対応するかということを、我々は実際には決めきれません。そういったことなどもおそらく議論するにも難しい話だというように思います。国・地方を通じて的確かつ迅速な対応を万全期すとの観点からの見直しと捉えております。想定が明示されないということを理由にしてこの仕組み自体を否定するものではないと考えております。

-山下議員
 政府は法改定の理由にコロナなどをあげています。しかし能登半島地震に見るように、災害時に対応がすすまない大きな要因は、地方公務員を減らし地方の財源を削ってきたことです。必要なのは、迅速な対応ができる権限、財源、人を国が自治体に保障することですし、住民に最も近い自治体が、国と対等に協議をし、住民の命や財産、暮らしを守る最善の解決策を見いだすことではないでしょうか。国が「必要だ」と判断すれば、個別の法律に規定がなくても閣議決定で自治体に指示を出し、国の関与を最大限抑制すべき自治事務にまで指示することを可能とすることは、地方自治の侵害です。ときの政府の恣意的判断によって地方自治を侵害するこの改定地方自治法は廃止を、と求めるべきと考えますが、市長いかがですか。

-村山市長
 指示権の発動については、国と地方公共団体が事前に適切な協議・調整を行うということ、また目的達成のために必要最小限の範囲とすることなど、地方として兼ねて要請してきたところであります。法の運用にあたっても地方分権の原則のもと、国において具体の案件ごとに適切な対応がされるものと考えておりまして、制度の廃止について国に求めるつもりはありません。

-山下議員
 参議院委員会の参考人発言でも「指示権」に関する慎重意見が目立ちました。なぜ指示が必要なのか、そして改定の本当の狙いはどこにあるのか明確にするよう、自治体の長として求めるべきだと考えます。現法制下であっても、沖縄県では県民の意思を無視し、米軍辺野古新基地建設が国による「代執行」で強行されています。必ず、国が地方の意思を尊重した運用をすると言えるのか、必要最小限の措置が守られるのか、市長、もっと危機感をもつべきではないですか。

-村山市長
 今回の法改正にあたっては、これは想定し得ない事態を自治体が想定しなければならないということの事務負担をなくすという意味からも、より地方分権を進めるために大切な法案であるというように認識をしております。地方を無視した運用は想定されていないように思いますし、運用面が明らかになる中で、必要があれば引き続き地方六団体等を通じて地方自治の本質に沿った対応を求めてまいりたいと考えております。

-山下議員
 改定地方自治法は廃止と改めて求めて、私の質問を終わります。

森尾よしあき議員

-森尾議員
私は、日本共産党市議員団のトップバッターとして、質問いたします。
 最初の質問は、平和についてです。核兵器禁止条約は、国連において2021年1月発効され国際法となりました。現在、署名国は93か国・地域、批准国は70か国・地域と広がっています。昨年ロシアは、戦術的核兵器をベラルーシに移転しました。そのベラルーシは6月10日、ロシアと戦術的核兵器の演習を開始した事を明らかにしました。アメリカは5月14日、核爆発を伴わない臨界前核実験を実施しました。核兵器使用の危険が高まっています。
 金沢市は、昭和60年(1985年)平和都市宣言を決議しました。この中で「核兵器禁止・廃絶は人類すべての願いであり、われわれはその実現に向けて不断の努力をしていかなければならない」と宣言しました。市長は、核兵器使用をめぐる緊迫した状況をどのように受け止め、金沢市平和都市宣言の具現化を進めていかれるのか明らかにしていただきたいと思います。

-村山市長
 核兵器の廃絶と世界の恒久平和は人類すべての願いであり、我々はその実現に向けて不断の努力をしていかなければならないと考えています。本市では平和都市宣言に基づき、平和への理解を深めるため、毎年夏に「原爆と人間」展を開催しておりますほか、国際理解を進めるため、姉妹都市交流や自治体国際化協会(CLAIR)などを通した海外との自治体間交流や、また民間での海外交流支援などを行っております。今後も継続して実施することで、広く市民に平和の尊さと戦争の悲惨さを伝えてまいりたいと考えています。

-森尾議員
 広島と長崎に人類史上初めて原子爆弾が投下され、21万人の命が奪われました。来年、被爆80年を迎えます。具体的取り組みについて伺います。被爆の実情を広く市民に知らせるとして取り組んできた「原爆と人間」パネル展について、今年と来年の開催について計画内容を伺います。また、広島平和記念資料館の協力のもとで金沢市での展示開催について検討されないのか伺います。

-村山市長
 「原爆と人間」展につきましてはこれまで市立図書館において開催してきたところでありますが、本年度はこれに加え、第2本庁舎と戦没者慰霊式の会場においても展示する予定であります。来年、令和7年は節目の年となりますことから、「原爆と人間」展のさらなる充実を図りたいと考えています。また金沢市遺族連合会や広島平和記念資料館など、関係機関と連携した取り組みについては、現在検討しているところでございます。

-森尾議員
 教育委員会に伺います。来年、被爆80年を迎えます。今年から来年に向けて平和教育の中で、どのような取り組みを計画されているのか伺います。

-野口教育長
 教育委員会では各学校に対しまして、広島や長崎に原爆が投下された日や終戦を迎えた日、東京や富山に大空襲が行われた日などの節目をきっかけとして、年間を通して平和の尊さについて学ぶよう伝えております。また社会科や道徳科等の授業では、国際社会の平和と発展に貢献する態度を身に着けるよう指導してきております。仰せの通り、明年は被爆80周年の節目の年を迎えますが、戦争を体験された金沢市遺族連合会の方々等の高齢化が進み、直接話を伺う機会が年々少なくなってきていることを踏まえ、語り部による戦争体験の話を、例えばすべての学校でオンデマンドでお聞きすることができないかなどについて、検討してまいりたいと考えております。

-森尾議員
 質問の第二に、能登半島地震被害と対策について伺います。能登半島地震が発生し5か月が経過しましたが、珠洲・輪島など能登の被災地での復旧・復興が目に見えて進んでおらず、生活と生業の再建の見通しが立っていません。また上下水道の復旧が進まず、仮設住宅建設促進や、入居後の安全確保、生活再建、さらに公費解体の取り組みなど差し迫った課題に直面しています。昨日、この地震による「災害関連死」として新たに22人の方を認定することが明らかにされました。その結果、死者数は282人となり、2016年の熊本地震による死者数を超える見通しとなりました。市長。現状の認識と、今後の金沢市としての支援について見解を伺います。

-村山市長
 地震の発生から半年近くが経過しております。能登被災地では1日も早い復旧・復興がなされるよう懸命な作業が続いているというものの、地理的な制約から道路やライフラインの復旧等に時間を要していることのほか、公費解体が進まない状況などから被災された方々の生活再建のため、継続した支援が重要であると改めて感じております。県と金沢市として、これから能登地域の復旧・復興に尽力することは必然と考えております。本市では発災当初から消防や応急給水活動、健康観察のほか、事務支援を含めた応援職員を派遣するとともに、被災地への救援物資の受け入れ・搬送や、能登被災地からの避難者の受け入れ、輪島朝市の出張出店などの経済活動や、能登の伝統工芸産業展、地域産品の魅力発信、消費拡大などの経済支援にも取り組んできてございます。引き続き能登の復旧・復興のため、できる限りの支援に努めてまいります。

-森尾議員
 今回の地震により、いまだ、能登被災地では断水が続いています。とりわけ、宅地内配管が破損し、復旧ができていません。県は、業者の手配と経費補助を打ち出しています。金沢市には、登録業者が上下水道でそれぞれ300を超える業者が登録されています。金沢市として独自に業者への支援策を検討し、復旧促進を進めていく考えはないか伺います。

-村山市長
 現在、石川県が能登6市町において被災した住宅における宅内配管、排水管の修繕にかかる事業者の移動に要する燃料代や宿泊代等の掛かり増し経費に対する支援制度を設けておりますので、市独自の支援策までは考えておりません。

-森尾議員
 公費解体について伺います。金沢市で対象となる半壊以上は428件です。これに対し、申し込みは97件で20%台にとどまり、公費解体が完了したのはわずか1件だけです。困難な課題があります。一つは、所有者の全員同意が求められる点です。輪島市では、申請者が誓約書を提出することで公費解体を促進するとしています。もう一つは、家財道具などについて所有者が撤去・処分しなければなりません。金沢市として公費解体がスムーズに進められるために、どのような支援策や相談の強化に取り組まれまするのか、伺いたいと思います。

-越山環境局長
 本市では、今のところ公費解体にあたりまして所有者全員の同意が取れていないといった相談事例はございません。また、家財道具の撤去処分については、原則として所有者の責任において行うこととなりますが、埋め立て処分にかかる手数料については減免の対象としているところであり、引き続き申請者からの様々な相談には丁寧に対応するとともに、速やかに解体工事に着手できるよう努めてまいります。

-森尾議員
 国は全壊などで建物の機能が失われた場合、所有者全員の同意がなくても市町村の判断で解体できるとの見解を明らかにしました。金沢市ではこうしたケースはありますか。伺います。

-越山環境局長
 本市においてはそのようなケースはございません。

-森尾議員
 市としての対応が求められることを改めて指摘しておきたいと思います。
 液状化対策について伺います。金沢市では粟崎地区で発生しました。原因調査と今後の具体的対策を検討するため、ボーリング調査が実施されています。どんな調査で、その結果はいつ頃になるのか明らかにしていただきたいと思います。

-村山市長
 粟崎地内におけますボーリング調査につきましては、概ね15か所程度を想定しております。調査分析にはもうしばらく時間を要しますけれども、可能な限り早急に対策を講じるべく、調査を完了した箇所から順次、液状化対策の検討に反映してまいります。

-森尾議員
 今後の対策として、地盤の改良、地下水を地盤深く下げる、又は地盤をセメントなどで固めるなどが検討されるとのことです。具体的地盤改良について、住民の理解と合意をどのように進めていかれるのか。公費による地盤改良の実施となるのか。明らかにしていただきたいと思います。

-村山市長
 液状化により大きな被害が発生した粟崎地区では、道路等の公共施設と宅地を一体的に整備する、国の宅地液状化防止事業の活用を検討しているところであります。今後、住民の方々のご意見を聞きながら検討してまいりたいと考えています。

-森尾議員
 公費による地盤改良の実施、これを強く求めておきたいと思います。
 地盤改良と建物再建には一定の時間が必要となります。その際に、粟崎をはじめとする市営住宅を仮住まいとして提供する考えはないか、伺います。

-高木都市整備局長
 粟崎町の市営住宅には、すでに粟崎地区の被災住民の3世帯が入居しております。今後申し出があれば、他の市営住宅も含め対応していきたいと考えております。

-森尾議員
 市民生活と営業をめぐる現状と対策について伺います。
 物価の値上げが続き、さらに7月から電気料金の引き上げが打ち出されています。一方、実質賃金は25か月連続で前年同月を下回りました。もう生活できないとの悲鳴が上がっています。安倍政権下での2度にわたる消費税の引き上げ実施と社会保障制度の改悪が国民生活の悪化を引き起こしました。アベノミクスは大企業と一握りの富裕層に巨大な富をもたらし、物価上昇と景気後退が同時進行する最悪の事態を招いてきました。岸田内閣は、6月11日「経済財政運営と改革の基本方針2024」の原案を明らかにし、その中で、防衛費を大幅に増やす一方、社会保障制度の大幅な後退を盛り込みました。市長。市民生活と営業をめぐる現状について、どのように把握されていますか。伺います。

-村山市長
 日本銀行金沢支店および北陸財務局が公表している経済に関する報告によりますと、能登半島地震からの復旧・復興需要や生産の正常化、北陸新幹線の敦賀延伸等の影響により、いずれもゆるやかに持ち直しつつあるとしており、地震で冷え込んでいた経済状況からは回復しつつあると捉えております。一方で、物価高騰が続く中にあって、7月からの電気料金の引き上げが市民生活や企業活動に与える影響については注視する必要があると考えています。

-森尾議員
 私どもは「経済再生プラン」を提言し、その中で政治の責任で大幅賃上げと待遇改善、消費税減税や社会保障の充実、気候変動危機の打開などを実行し、国民生活を守る緊急対策を行うよう求めてきました。そこで市長。この夏、猛暑が予想されています。市民生活と営業を守るために市として財政支援を行うよう求めたいと思います。その対策について伺います。

-村山市長
 現在、市独自の消費喚起策として、商店街が実施するプレミアム商品券の発行を支援しておりますほか、国の定額減税に合わせてその恩恵を受けきれない方に対する調整給付金や、新たに住民税が非課税となる世帯等に対する緊急支援給付金の速やかな給付に努めているところであります。今後とも、物価の推移や国や県の動向を注視しながら、地域経済の安定に向けた対策を講じてまいりたいと考えています。

-森尾議員
 市政運営の基本指針として、昭和50年(1975年)の「金沢市新長期計画」があります。「市民生活の優先」「市民自治の確立と自治権の拡大」「文化伝統の継承・発展と自然環境の保全」「新都市基盤の整備と日本海時代への対応」「平和の擁護と国際交流の推進」の五つの柱を掲げ、その基本は、市民生活を優先し、豊かな人間環境の創造をめざすとしたものです。市長。市民生活と営業を守ることを最優先に進めることが求められると考えますが、市長の見解を伺います。

-村山市長
 市民生活と地域経済を守るということ、これは最優先に考えなければならないというのは当然のことと考えています。先人たちにより磨き高められてきた文化を継承・発展させること、それとともにまちの将来に欠かせない投資となる発展基盤を整備していくこと、これは都市の魅力を高め、地域の活性化や雇用の創出にも繋がり、ひいては市民生活にも寄与するものと考えています。加えて、福祉や教育・環境など、市民生活に密着した施策の充実に配慮することも当然であり、均衡を図りながら取り組むことが大切と考えています。このため、本市の都市像におきましては、魅力づくり・暮らしづくり・人づくり・仕事づくり・都市づくりといった、まちづくりの各般にわたる基本方針を掲げたところであります。誰ひとり取り残さない金沢独自の取り組みを探究し、心豊かで活力ある未来の金沢をすべての人々とともに作り上げたいと考えています。

-森尾議員
 去る5月20日、第1回金沢市都市再生緊急整備地域準備協議会に提出された金沢市からの資料において、これまでの金沢市の都市構想と考えについて明らかにされています。ところが、昭和50年(1975年)に策定された新長期計画が全く欠落されています。それまでの60万都市構想を見直し、当時の岡市政が市民生活を最優先し「保存もまた開発である」ということを打ち出したものです。現在進められている金沢市都市再生緊急整備方針とは正反対の考えです。市長は、今後の市政運営とまちづくりにおいて、市民生活の優先、市民主体を貫いていかれるのか伺います。

-村山市長
 正反対であるとは捉えておりませんが、一方で50年前の計画とは市のおかれた環境、そして今後の将来像としても大きく違ってくるものと認識しております。一方都心軸では、跡地の利活用、民間老朽ビルの再整備が課題となっております。また北陸新幹線の開業やコロナ禍の影響などによって、エリア一帯を取り巻く環境には大きな変化が生じてきていると認識しています。このため、様々な機能が集積し、都市の発展を支える背骨である魅力と活力のあるエリアとして、都心の求心力が高められるよう、都市再生特別措置法を活用して民間の開発気運を醸成して、面的な整備を進めたいと考えています。特措法の活用に必要な地域整備方針の作成に際しましては、まちづくりの規範である保全と開発の調和を継承・発展させるとともに、これまでのまちづくりの方向性や上位計画との整合性を図ってまいります。

-森尾議員
 市民生活の優先、市民主体というのを市政で貫くとともに、先ほど述べたように先人たちが打ち出した保存もまた開発であるという理念と立場をぜひとも深く受け止めていただきたいと思っています。
 市民生活を守る課題として、一つ伺います。学校給食費無償化についてです。【議長の許可を得てパネル提示】かほく市が、この2学期から中学校の給食費無償化を実施することを明らかにしました。その結果、県内11ある市において無償化を実施していないのは、金沢市と野々市市だけです。市長は、この学校給食無償化については実施する考えはないと表明されてきましたが、現況について、市民にどのような説明をされるのでしょうか。伺います。

石川県11市学校給食無償化の現状

-村山市長
 県内自治体の実施状況は承知しておりますが、文部科学省が今月12日に公表した学校給食に関する実態調査の結果によりますと、学校給食費無償化を実施済みまたは実施予定の自治体数は全自治体の約4割であります。さらに人口等が同規模である中核市62市の中での無償化の実施状況は3市にとどまっております。その理由としては多額の恒久的な財源が必要なことがあると認識しております。財政規模が比較的近い団体同士の中でのこういった比率についても、議論の中には加えていく必要があると考えています。

-森尾議員
 説明になっていませんし、市民の多くのみなさんが学校給食の無償化を望んでいるというふうに考えます。したがって県内の11の市での実施状況を考えても、金沢市としての決断が求められるというふうに考えます。ある生命保険会社が行った子育てに関する調査の結果によると、物価高により子育て費用の負担が大きくなったと答えた方が実に9割に上ったとのことです。義務教育は無償であるとの点からも、学校給食費無償化は切実な課題だと考えます。改めて、市長の決断を求めたいと思います。

-村山市長
 学校給食のみではなく様々な施策において、無償化にすべきかどうかと問うた場合は「無償化にすべきだ」という答えが多いのは当然のことだろうというように考えております。本市では保護者の負担を軽減するという目的で、経済的な理由で就学が困難な方については就学援助制度によって給食費の全額を支援しております。また、今ほどおっしゃった物価高騰の課題でありますが、食材費の高騰が続く状況下において、令和4年度以降、給食用食材費と保護者負担分の差額について、これは全額公費で負担する物価高騰特別対策を行っているところであります。学校給食費の無償化については、国の指導の下で全国一律で実施されることが望ましいと考えております。現時点では給食費の無償化は考えておりませんけれども、国では先日公表された調査結果を受けて無償化について引き続き検討するという方針を示しております。その動向を注視してまいります。

-森尾議員
 教育委員会に伺います。学校給食法第11条・経費の負担について、文部科学省は「経費の負担区分の基本的な考え方を示したものであって、保護者が負担する学校給食費を自治体の判断により補助することを妨げるものではない」との見解を示しています。5月17日こども未来戦略会議において、文部科学省は「学校給食費の無償化に向けた実態の把握と課題の整理」との資料を提出しました。教育長は、こうした動きについてどのように受け止めておられるのか見解を伺います。

-野口教育長
 先ほどの市長の答弁とも重なるところがございますけれども、本市におきましては学校給食法の規定される給食の実施に必要な経費の分担の原則から、食材費のみを保護者の方々にご負担いただいているところであります。加えて、物価高騰の状況を受け、令和4年度から食材費の不足分を全額公費で補填しており、保護者の経済的負担の軽減を図っておるところでございます。学校給食費の無償化のことにつきましては、よく教育長が集まった会議の中でも話題になります。特に私が会長を務めておりました中核市教育長会、また今私は立場的には常任理事という立場になりますけれども、全国都市教育長協議会、こうした場の中でこの話題が出るときによく出るのが、やはり自治体によって対応が異なっているなということになります。その自治体での対応の異なりを見ながら、私もこれは全国一律で実施されることが望ましいと考え、それで自分の方からも国の方にぜひ要望してほしいということで2つの会に対していろいろとお願いしながら国に要望しました。中核市教育長会では、学校給食費の無償化のための財政措置を織り込んでください、また全国都市教育長協議会では、学校給食費無償化に向けた財政措置の創設をお願いしたい。このことをお願いしてまいりました。これを行う場合には、やはり恒久的に多くの財源を要しますので、全国都市教育長協議会、また中核市教育長会などを通しながら、これからも引き続いて国に対して無償化に向けた財政措置を要望してまいりたいと考えております。

-森尾議員
 質問の最後に、金沢市観光協会、金沢文化スポーツコミッションについて伺います。
 金沢市は昨年度、金沢市観光協会に対し31事業1億3777万円を委託しました。そのすべてが随意契約であります。事実上の丸投げ状態となっています。金沢市観光協会の年間の委託事業を見ると、金沢市からの委託事業が9割を超え、金沢市の出張所のような実態です。金沢市観光協会の役員体制を見ると、副理事長に金沢市副市長、理事に金沢市経済局長、監査に金沢市会計管理者が就任しています。さらに副理事長と事務局長に金沢市幹部職員を退職した方が名を連ねています。市長。金沢市と金沢市観光協会との関係について説明を求めたいと思います。

-村山市長
 金沢市観光協会は、金沢市を中心とする観光事業の健全な振興を図ることにより、金沢市の魅力を高め、国内外の人々との交流を促進し、もって産業経済の発展と地域文化の向上発展に寄与することを目的とした法人であり、金沢市も特別会員になっております。観光に関する事業について、市が直接行うか、あるいは観光協会のような外郭団体に委託するか、こういったことは他の自治体でも非常に課題になっているところでありますけれども、金沢市はその中では外郭団体にこれを任せているということになります。そして、金沢市観光協会は、地域の観光関係団体・企業・行政等と連携して観光・地域づくりを戦略的に推進する観光まちづくり団体である日本版DMOとして国の認定を受けた市内唯一の団体であります。観光協会とこうした事業を連携していくということは、必要不可欠ととらえております。

-森尾議員
 先ほど述べた事業の委託、役員体制、こうしたこと状況からみると、金沢市と金沢市観光協会が癒着した関係にあるんじゃないですか。市長の見解を求めます。

-村山市長
 金沢市観光協会は、DMO、観光地域づくり法人として、観光地域づくりの司令塔としての役割を果たしております。金沢市としても人的・財政的支援を行うことは国の方針に沿ったものであります。また、市内唯一の地域DMOとして観光事業の効果的な実施を図るうえで、知見や実績、人材ネットワークを有していることは、多くの事業を受託している理由でありまして、これまでも適切に実施をしております。癒着関係と言われることは非常に心外だと思います。

-森尾議員
 金沢市観光協会の総会が今月予定されているとのことです。現在、副理事長は山田副市長です。この4月から所管の変更がありましたから、今回、新保副市長が金沢市観光協会の副理事長の任に就任されるのですか。見解を伺います。

-新保副市長
 金沢市観光協会副理事長には、観光協会が一般社団法人となった平成26年から所管の副市長が就任をしておりますが、法人化前にも副市長が副会長として就任しておりました。先月開催された理事会におきまして、次期理事候補として承認をいただいているところでありまして、今月24日に開催されます総会と理事会で承認をいただければ、副理事長に就任し、その職責を果たしてまいります。

-森尾議員
 経済局長に伺います。局長は先の経済環境常任委員会において、引き続き金沢市観光協会理事の任に就任する意向が表明されましたが、局長はどういう見解でしょうか。

-上寺経済局長
 金沢市観光協会理事は、観光協会が一般社団法人となった平成26年から経済局長が就任しております。法人化前には経済局長が常任理事に就任しておりました。先月開催された理事会において、次期理事候補として承認をいただいているところでありまして、今月24日に開催される総会でのご承認をいただければ、理事に就任をいたします。

-森尾議員
 これだけではありません。金沢市観光協会に3名の現職金沢市職員が派遣されています。そのうち2名が金沢文化スポーツコミッションに配置されています。職員の派遣を定めた条例には、派遣先が明記されています。金沢市観光協会は記載されていますが、金沢文化スポーツコミッションは明記されていません。ですから、金沢市職員を金沢文化スポーツコミッションには派遣できません。したがって、これは派遣職員の横流しではありませんか。職員派遣を定めた条例に違反していませんか。見解を伺います。

-村山市長
 公益的法人等への職員の派遣等に関する条例等で、一般社団法人金沢市観光協会は職員を派遣することができる団体として定められております。金沢文化スポーツコミッションは、一般社団法人金沢市観光協会内の部門でありますので、法令に基づき派遣を行っているものであります。

-森尾議員
 金沢文化スポーツコミッションについてです。平成30年(2018年)に設立されました。当時、東京オリンピック関連事業推進室が設けられ、設置提案がされたものです。したがって、東京オリンピック開催に合わせ、限定的なものかと思いきや、今日まで7年間継続されています。一般社団法人・金沢市観光協会の一つの部門としていますが、このコミッションの代表は金沢市局長待遇として年間1340万円の報酬、副代表は、年間970万円の報酬となっています。さらに2名の金沢市職員が配置されています。市長。これはあまりにも特異的な状況ではありませんか。見解を伺います。

-村山市長
 金沢文化スポーツコミッションは、東京オリンピック・パラリンピックと同時期の設置ではありましたけれども、設立の当初目的ではシティプロモーションの推進と地域社会・地域経済の活性化、文化・スポーツの振興、こういった当初の設立目的は現在も変更なく続いております。現在の体制を維持するものと考えております。

-森尾議員
 市長。この金沢文化スポーツコミッションが事実上の金沢市部局としての扱いを今後とも続けていかれるのでしょうか。行政から見るとその指揮系統もあいまいであり、多額の予算を執行し続ける特別の待遇を持って行われているというのは、到底市民の理解を得られないというふうに考えます。見直す考えはありませんか。

-村山市長
 金沢文化スポーツコミッションは、当初の目的通り設置からこれまでの間、大会の誘致をはじめ効果的なコンテンツの開発など大きな成果を上げてきております。本市のスポーツ文化のさらなる振興を図るうえでも、現在の体制を見直すことは考えておりません。

-森尾議員
 局長に伺います。スポーツ振興課の横にある金沢文化スポーツコミッション、たびたび足を運びますが、代表にも副代表にもお会いしたことがありません。一体この方々は何をされているんですか。コミッションの方へ足を運んでおられるのでしょうか。管理はどのようにされているのでしょうか。伺います。

-津田文化スポーツ局長
 金沢文化スポーツコミッションの職員の関係につきましては、基本的に先ほど市長が申しました通り、大会の誘致という部分において主な業務を行っております。従いまして、外に出て大会の誘致等を積極的に行っているものです。また勤務の部分につきましては、責任ある一法人であります観光協会におきまして勤務の方は管理しているというふうになっております。

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 日本共産党市議員団を代表して、議会議案 第33号 ジェンダーの視点での災害支援の強化を求める意見書について、提案理由説明を行います。

 能登半島地震は、未曽有の大災害となり、発災当初は避難者数が3万人にのぼりました。発災からまもなく3カ月となる今も、1次、1.5次、2次避難所の各避難所のほか、避難所に指定されていない自主避難や車中泊など、多くの方が避難生活を余儀なくされています。
自然災害は、年齢や性別を問わず、全ての人に突然おそいかかってきますが、ジェンダー格差の大きな国ほど女性の被害が甚大になるという研究報告もあります。災害に遭った時、被災者が性別に関わらず、安全と安心を確保できる環境を整備するためにも、自治体においては、普段から男女共同参画の視点が不可欠です。
 内閣府の男女共同参画局が2020年に策定した「災害対応力を強化する女性の視点~男女共同参画の視点からの防災・復興ガイドライン~」では、平常時からの男女共同参画の推進が防災・復興の基盤となると明記されています。また、女性の視点から、女性と男性が災害から受ける影響の違いなどに十分に配慮された災害対応が行われることが、防災や減災、災害に強い社会の実現にとって必須だとし、「男女の人権を尊重して安全・安心を確保する」といった7つの基本方針が掲げられました。このように、女性の視点が大事であると強調されてきたにも関わらず、能登半島地震の避難所においても、「仕切りがなく着替えができない」「下着を干せない」「配布担当が男性なので生理用品をもらいに行きづらい」「食事づくりは女性が担当している」など、避難所生活において女性に対する配慮に欠ける実態があります。
 全国の自治体を対象とした調査によると、2023年、防災・危機管理部局に女性職員が配置されている割合は、都道府県平均で12.8%、石川県はその半分以下の4.3%にとどまっています。全国1741の市区町村でみると、女性職員がまったくいない自治体は900を超え半数以上にのぼっています。本市もそのひとつです。自治体の防災会議においては、女性委員の比率を30%にすると目標を定めましたが、30%を超えたのはわずか8都県にとどまりました。災害時の多様なニーズやリスクに対し適切に対応するためにも、防災現場や意思決定の場に女性を増やすことが重要です。
 この意見書は、国に対して、防災分野のジェンダーギャップの解消と、性別によって災害時にさらなる弱者を生まない環境づくりのために、ジェンダーの視点での災害支援の強化を国に求めるものです。議員各位のご賛同をお願いしまして、提案理由説明といたします。

森尾よしあき議員(パネルを持つ山下議員)

-森尾議員
私は、日本共産党市議員団の会派として連合審査会での質問を行います。
 最初の質問は、金沢市都市像・未来共創計画と新年度予算についてです。この都市像に基づく10年間にわたる未来共創計画が打ち出され、その具現化の初年度にあたる新年度予算が提案されました。私は昨年12月議会で金沢市都市像について質問し、その中で、三つの課題が欠落したり、不十分であることに触れました。その三つの点について具体的に伺いたいと思います。
 まず、平和擁護についてです。金沢市平和都市宣言が行われ、来年40周年を迎えます。広島、長崎に原爆が投下され、来年80周年を迎えます。この歴史的節目を迎え、市長の所信を伺います。

-村山市長
 世界の恒久平和は人類すべての願いであり、我々はその実現に向けて不断の努力をしていかなければならないと考えております。平和都市宣言は、本市固有の歴史・文化を発信し、世界の人々と友好関係を深める中で、恒久平和に貢献していくということを宣言したものであり、これからも機会をとらえて平和都市宣言の基本理念を呼び掛けていきたいと考えています。

-森尾議員
 金沢市平和都市宣言では、「核兵器の全面禁止・廃絶の実現に不断の努力をしていく」と述べられています。この立場から、核兵器禁止・廃絶の実現に向け、今年から来年に向けてどのように取り組んでいかれますか。市長の決意と金沢市の行動計画について明らかにしていただきたいと思います。

-村山市長
 核兵器の廃絶ということでありますが、原爆投下から80年ということであります。金沢市ではこれまでも毎年夏に市立図書館で原爆に関するポスター展を開催してきたところであります。明年度はこれに加えて、本庁舎と戦没者慰霊式の会場においてもこのポスター展を開催する予定であります。また令和7年はそうした節目の年となります。引き続きどのような取り組みができるか、関係する方々ともお話をしながら検討していきたいと考えています。

-森尾議員
 次に、ジェンダー平等についてです。セクハラ、パワハラをなくし、誰もが人として尊重され、自由に生きていく社会の実現が期待されています。そしてジェンダー平等に向け、一人ひとりの努力が求められています。先日、都道府県版ジェンダー・ギャップ指数が発表されました。各分野で「課題は依然多い」との指摘がありました。そこで、金沢市役所における女性の管理職登用について伺います。まず、金沢市の現状について明らかにしてください。

-青木・人事課長
 本市の管理職に占める女性の割合は年々増加しております。令和3年度が13.3%、令和4年度が14.0%、令和5年度が15.5%となっております。女性活躍推進法に基づきます第2期金沢市特定事業主行動計画に定めた令和7年度までの目標であります15.0%を上回っている状況となっています。

-森尾議員
 北九州市では、2030年までに職員に占める女性の管理職登用を30%まで引き上げるとして、女性役職者の長期的・計画的育成を掲げています。市長。金沢市は、目標すら掲げていません。あなたの掲げた未来共創計画の中にもありません。見解を伺います。

-村山市長
 金沢市役所として特に民間企業に率先して女性の管理職への登用を行っていかなければならないという認識を非常に強く持っております。また、市政を運営する中で、女性もそうですけれども例えば若い世代も含めて様々な方々と協議をしながら進めていく、これが基本姿勢であります。一方、しかしながら管理職として登用していくためには係長の試験に合格し、さらには管理職に向けた試験、そういったものもございます。そういったことをクリアしていただくということもある中で、取り組んできたという実態があります。これまでも女性幹部職員の養成のためには、熱意と意欲のある女性職員を自治大学校や市町村アカデミーなどの研修機関に派遣してまいりました。そしてキャリア形成の支援として、例えば国等への派遣や配置部署の拡大も図っています。管理職としてふさわしい能力、意欲のある女性職員を育成するとともに、権限と責任を持ち、そしてロールモデルとなるような女性管理職を積極的に登用していきたいというふうに考えております。

-森尾議員
 32歳以上の主任が主査試験を受けることができます。女性の場合、この年齢時期は、妊娠・出産による産休・育休により職場を休むことになります。さらに主査を8年、課長補佐5年間の経験を経て課長の管理職試験を受けることができます。女性にとって、妊娠・出産があり、仕事をしながら自らの成長を重ねていくことは多くの苦労があります。機構改革と共に、金沢市として女性役職者の長期的・計画的育成をどのように取り組んでいかれるのか。担当課長に伺います。

-青木・人事課長
 女性の妊娠・出産といった大きなライフイベントでございます。主査の承認考査の時期に重なることが多いことを踏まえまして、令和3年度の試験より産休・育休を取得することで受験することができなかった回数を繰延する措置を講じております。管理職に進むための門戸を広げているほか、女性職員のキャリア支援として産休・育休復帰後のワークライフバランス、こういったものも実施しているところでございます。今後とも、管理職としてふさわしい能力・意欲のある女性職員の育成に向けて長期的・計画的な取り組みを進めてまいりたいと思います。

-森尾議員
 3つ目に、気候変動・地球温暖化対策についてです。金沢市地球温暖化対策実行計画において、2030年度までに温室効果ガス排出量を2013年度比50%削減する目標を掲げています。現状は、18.7%にとどまっています。目標の50%削減を2030年度までに達成する実行計画はどのようになっていますか。伺います。

-加藤・環境局長
 本市では昨年度条例を制定させていただきまして、再生可能エネルギー発電設備の設置に関するルールを明確化することとしまして、その整備促進を図っておるところでございます。明年度からは東山・主計町地区全体におきましてCO2排出量ゼロの電力を使用するということで、地域全体の脱炭素化を図る事業に着手をしてまいります。この事業をモデルといたしまして、今後地域における脱炭素化の検討を進めてまいりますとともに、製品プラスチックごみの分別、資源化の推進、また公共施設でのPPA等の事業手法などを用いた太陽光発電設備の整備、電気自動車の積極的な導入等々、新たな取り組みを通じまして、目標の達成に向けましてさらなる削減率の向上を図ってまいりたいと考えております。

-森尾議員
 金沢市は、2050年度までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを掲げています。ところが、打ち出された未来共創計画にはこのことが明記されず、2030年度までに50%削減実現も掲げられていません。その途中の目標が記載されています。金沢市が本当に掲げた目標を実現するのか、本気度があるのか、問われています。見解を伺います。

-永井・環境政策課長
 地球温暖化対策実行計画の目標を達成するために、計画期間内に一定の中間目標を設定することは、進捗を把握するためにも必要であると捉えておりまして、今回未来共創計画で設定した目標を地球温暖化対策実行計画における中間目標とすることといたしました。今後、地球温暖化対策実行計画の見直し等の機会に合わせ、計画に位置付けてまいります。

-森尾議員
新年度予算では、「人と自然が共生する地球にやさしい生活環境の形成に向けて」ということで、20事業2億6千万円の予算が盛り込まれています。先ほどの到達点からしても、事業と予算を2倍3倍に引き上げない限り達成できないと考えます。市長。本当に目標達成する決意はありますか。伺います。

-村山市長
 これまで再生可能エネルギー設備や省エネルギー機器等の導入のほか、市民や事業者と協同した食品ロス削減やごみの削減など、必要な経費を予算化し取り組んできております。これらに加えて、明年度予算には地域の脱炭素化や製品プラスチックごみの分別収集、ふらっとバスへの電動バスの導入等の新規事業にも必要な経費を盛り込みました。私はかつて仙台市役所で勤めたときに、環境都市推進課長を務めました。そのときの経験ではありますけれども、環境教育であったり地球温暖化対策の啓発、そういったものもこれから大事になってまいります。民間企業、そして市民の方々に対してどのように呼び掛けていくかというのが次の段階で必要になるというように考えております。そうした中で、本市の豊かな自然環境を守り、そして美しい景観を守って金沢の価値を高めていく、その取り組みをさらに加速していくという中で、今回ゼロカーボン推進室を格上げしてゼロカーボンシティ推進課を新設したところであります。国の動向、新たな技術開発等の動向も注視しながら、これから加速化して対策を進めてまいりたいと考えております。

-森尾議員
 能登半島地震は甚大な被害をもたらしました。2ヶ月が経過してもライフラインが復旧できていません。上下水道の被害が深刻です。上水道では、浄水場や主要な送水管の破損により6県で最大約14万戸の断水が発生しました。県内では3月に入っても、断水戸数は約1万7千戸に上っています。下水道では、県内17市町で、総延長の27%で、汚水を流す機能を失ったり、マンホールが地上に浮き上がったりしたとの報告です。市長。今回の地震による上下水道への被害と影響についてどのように受け止めておられますか。見解を伺います。

-村山市長
 被災地で復旧にあたっている本市を始めとした自治体の職員からは、これまでの地震では被害の見られなかった浄水場や配水池、基幹管路をはじめ水道施設全般に被害が及んでいることに加えて、道路の寸断などにより復旧作業に支障が生じたことなどが時間を要している理由と聞いております。特に水道だけではなくて下水について非常に甚大な被害があり、そしてその復旧に非常に時間がかかるということが判明してまいりました。改めてライフラインの大切さを痛感したところです。今回の震災から得られた知見をもとに、本市におきましても耐震化をどんどんと進めていきたいと考えております。

-森尾議員
 今回の能登半島地震では、上水道における管路の被害は、1㎞あたりの被害発生個所数は能登町で2.66、輪島市で2.63と報告されています。管路1㎞あたり3カ所で被害発生が起こったという報告です。金沢市の上水道の総延長は約2500㎞ですから、今回の能登半島地震による被害発生個所に照らして考えると約7500ヵ所で被害が発生するということになります。金沢市地域防災計画では、どのような被害予測をされていますか。

-中村・企業局建設課長
 金沢市の地域防災計画では、上水道・下水道ともに1kmあたりの被害は0.9箇所と想定しております。

-森尾議員
 地震規模マグニチュード7以上を想定したのが金沢市地域防災計画です。この被害予測では、約2000ヵ所で被害が発生すると予測しています。先ほどの能登半島地震の実態からみると、極めて小さいことがわかります。地域防災計画の地震被害想定について見直しが求められていると考えますが、企業管理者に見解を伺います。

-松田・公営企業管理者
 先ほどの数字、輪島市と能登町を例に挙げておっしゃられました。あのときの資料、国の会議の資料なのですが、その際には穴水町の数字も出ております。穴水町はちなみに、0.9です。水道化の耐震化の状況は自治体によって異なっております。ですから、本市におきましても同様の被害が発生するとは考えてはおりません。また地域防災計画の策定から本市の水道管の耐震化もだいぶ進んでおります。そういったことから、明年度地域防災計画の見直しが予定されておりますことから、今回の能登半島地震の被害状況を踏まえ、被害想定につきましては検証していきたいと考えております。

-森尾議員
 金沢市上下水道の耐震状況について、パネルを見ていただきたいと思います。2020年度末の段階で、上水道では、浄水場87%。配水池68%、基幹管路60%となっています。下水道は、処理場69%、ポンプ場100%、重要な幹線65%となっています。そこで伺います。上水道についてです。先に発表された金沢市水道施設再整備基本構想では、末浄水場の緩速ろ過施設は現役の水道施設として維持していきます、と述べています。急速ろ過施設は、令和20年を目途に更新します、と明記されています。本会議の答弁で公営企業管理者は、「末浄水場の緩速ろ過施設は耐震化が困難」と述べました。耐震化しなければ水道施設として維持できないではありませんか。公営企業管理者に見解を伺います。

-川江・企業局上水課長
 末浄水場の緩速ろ過施設につきましては、名勝としての本質的価値への配慮から、耐震補強が困難であるため、水道施設再整備基本構想においては適切な維持修繕を行い、現役の水道施設として保全するものの、施設能力としましては予備力として位置づけたところでございます。

-森尾議員
 基本構想では、急速ろ過施設の更新も14年後との方針です。これは見直しが必要ではありませんか。見解を伺います。

-松田・公営企業管理者
 末浄水場の急速ろ過施設は、既に耐震化を終えております。そのため、水道施設再整備基本構想では、施設更新の基準年数である、建設より73年、これを迎えます令和20年を目途に施設を更新するとしているものでございます。

-森尾議員
 上水道の基幹管路の耐震化率は、令和3年度末で60.4%です。管路全体の耐震化率は30.3%にとどまっています。どのように耐震化率を引き上げていかれますか。また、今回の地震では、耐震化した水道管も破断したとの報告がございます。どのように受け止めておられますか。伺います。

-沖津・企業局維持管理課長
 今回の能登半島地震では、土砂災害によって耐震化された管路が破断したと聞いております。こうした特殊な場合を除き、管路の耐震化は震災対策として有効でありますことから、引き続き優先順位を定め計画的に耐震化を進めてまいります。

-森尾議員
 公営企業管理者に伺います。末浄水場について、現役の水道施設として維持していくという企業局の方針は、変わりませんか。

-松田・公営企業管理者
 先ほど上水課長が答弁いたしました通り、適切な維持修繕により現役の水道施設として保全するものの、施設能力としては予備力と位置づけているところでございます。

-森尾議員
 金沢市地域防災計画について、今回の地震を教訓にその見直しを行うとしています。上下水道においても、見直しを図る必要があると考えます。第1に、金沢市水道施設再整備基本構想が策定されましたが、今回の地震発生以前のものです。地震対策を踏まえ、見直しが必要だと考えます。第2に、災害等の発生に対応する下水道の業務継続計画の策定が必要です。見解を伺います。

-市村・企業局次長
 水道施設再整備基本構想は、地震など非常時も想定したうえで必要な施設規模を定めたものであり、今回の能登半島地震により耐震基準の見直しなどがあれば個別に施設の対策を行っていきます。また下水道の業務継続計画でございますけれども、管路と処理場でそれぞれすでに作成されておりまして、今回の地震を受け必要があれば見直していきたいと考えております。

-森尾議員
 粟崎地区での液状化対策についてです。基礎部分の傾きなどによる被害が発生し、早急に復旧工事を進めることが1つ。もう1つは、面的に再発防止を進める液状化対策を一体的に進めることが求められているのではないかと考えます。下水道も水道施設も、同じく対応が必要だと考えます。国会でのわが党の井上参議院議員の質問に対して岸田首相は、液状化被害に対して近く支援策を行うと表明されました。今後の取り組みについて市長から答弁を求めたいと思います。

-村山市長
 地震の液状化現象による被害につきましては、明年度危機管理課に被災地区復旧推進室を設置し、被災メカニズムの究明に必要となる調査分析を行うとともに、有識者からなる技術検討会議の意見を反映した復旧工法等を検討することとしております。上下水道の対策についてもその中で検討してまいります。今回の能登半島地震では液状化により広範囲かつ甚大な被害があったことから、国も重く受け止めていると認識しています。今後国の動向を注視したいと考えています。

-森尾議員
 最後に、学校給食費無償化と安全対策について伺います。県内の11の市での学校給食費無償化の実施状況について、パネルを見ていただきたいと思います。7つの市が無償化を実施するに至っています。白山市では中学校ですでに無償化実施、かほく市では市長が実施することを表明しました。野々市市は要望を重く受け止めると市長が議会答弁で述べています。では、金沢市はどのように対応されますか。市長の見解を伺います。

-村山市長
 本市では保護者の負担を軽減するため、経済的な理由で就学が困難な場合について就学援助制度により給食費の全額を支援しております。その他、食材費の高騰が続く状況下において、令和4年度以降、給食費食材費と保護者負担分の差額について全額公費で補填する物価高騰特別対策を行っております。給食費の無償化は考えてはございません。

-森尾議員
 『周回遅れのトップランナー』という言葉があります。一番前にいたけれど周回遅れだということには、気づいていなかった。教育環境整備は進んでいたと思っていたら、学校給食費の無償化は、最終の自治体となっていた。市長は、どのように思いますか。

-村山市長
 周回遅れのトップランナーと表現するときには、例えばICT化が遅れていたけれども最新技術を導入することができたことによってトップになる、そのようなときには使うことができるのかなと思っておりました。県内自治体の実施状況は存じ上げておりますけれども、人口等が同規模である中核市、すなわち財政的に類似団体という言い方をする団体における無償化の実施は、全体で2市にとどまっております。その分多額の恒久的な財源が必要ということが、同規模の財政状況にある市で進まない理由のひとつであるというように思っております。学校給食の無償化につきましては国主導のもとで全国一律で実施されることが望ましいと考えております。先月の衆議院予算委員会において、全国ベースの実態調査結果を6月までに公表すると、そして実施状況の違いや法制面を含めた課題を整理し、結論を出したいということを国は方向性を示しております。引き続き国の動向を注視してまいります。

-森尾議員
 市長、もう一度パネルをご覧ください。金沢市では学校給食費無償化を実施しなくともよいのかと、市民から指摘があります。一体なぜ金沢市は学校給食費無償化をしないのかという市民からの声もあります。もう一度、市長、どう向き合いますか。

-村山市長
 学校給食費の無償化、先ほど同レベルの財政状況にある市の比較を申し上げました。金沢市で申し上げますと年間21億円以上のお金がかかるというように試算をしております。今後食材費の高騰、あるいは人件費の高騰などによってこれも高騰する可能性もあるというように考えておりますけれども、そういったことの中で財源の捻出ができないということであります。さらにこのような課題については国全体でとらえるべき課題だということも認識しておりまして、そうした意味で金沢市として給食費の無償化は考えてはおりません。

-森尾議員
 学校給食の安全対策について伺います。先日、学校給食で出されたウズラの卵をのどに詰まらせ、児童が死亡するという事件が起こりました。金沢市教育委員会の対応について伺います。

-貞廣・学校指導課長
 福岡県みやま市での学校給食における窒息事故をうけまして、市教育委員会では文部科学省の通知を踏まえ、学校給食における安全対策として、食べ物を食べやすい大きさにしてよく噛んで食べること、早食いは危険であること、給食の際は学級担任等が注意深く児童生徒の様子を観察すること、食べ物を噛んで飲み込む能力には個人差があり、個別の対応が必要な児童生徒については全教職員で共通理解を図ることなどについて、各学校に通知いたしました。引き続き、給食時における安全に配慮した指導を徹底してまいります。

-森尾議員
 学校給食における食物アレルギーによる発症について、金沢市での状況を報告していただきたいと思います。

-貞廣・学校指導課長
 本年度の学校給食における食物アレルギーの発症件数は18件であり、その内訳は、誤食が14件、食後の運動誘発が1件、新規発症が1件、その他体調不良時の突発的な発症が2件となっております。

-森尾議員
 最後に教育長に伺います。本市における食物アレルギーの発症状況をお聞きしますと、だいたい年間20件前後の食物アレルギーの発症が報告されています。児童生徒の健康といのちに関わるというだけに、学校給食の安全対策というのは非常に重要だというふうに思います。教育委員会としてどのように取り組んでいかれるのか、最後に伺います。

-野口・教育長
 本市教育委員会ではこれまでも本市で作成いたしました学校における食物アレルギー対応指針に基づいて、各学校に対しまして学校給食におけるアレルギー事故防止の取り組みを推進するよう繰り返し求めてきております。具体的には校長会議において、誤食を防ぐために保護者が除去食の記載を忘れていないか、急な対応等が生じても複数職員による確認ができる体制になっているか、児童生徒本人に確認を行っているか、などについて周知をいたしております。引き続き食物アレルギーの発症を防ぐために、保護者から提出される学校生活管理指導表を活用し、その未然防止に最大限努めるように指導してまいります。あとしばらくで人事異動が行われます。職員も替わります。しっかりと学校の方で統制が図れるように指導してまいりたいと思っています。

山下明希議員

-山下議員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党 市議員団の一員として、以下質問いたします。

 本市の2024年度一般会計当初予算案では、市税による歳入が845億円となりました。市民のみなさんからお預かりした税金が、地方自治の本旨に基づき、住民福祉の向上に広くいかされることをまず冒頭に求め、質問に入ります。

 はじめに、災害対策基本法に基づく、本市の取り組みについておたずねします。

 人命や日常生活に甚大な被害をもたらす自然災害に対して尊い命が失われないよう防ぐ役割が、この間、政治に大きく求められてきました。私たちはこれまでの災害の教訓や課題を共有してこれたのか、能登半島地震を教訓にしていけるのかが問われます。

 まず、福祉避難所についてお伺いします。

 福祉避難所は、災害対策基本法 施行令のなかで、災害対策基本法による避難所の指定基準の一つとして規定されています。災害時に高齢者や障害者、妊産婦、乳幼児その他の特に配慮を要する方の2次被害を避け、いのちを守るためにも、福祉避難所は重要な役割を担います。そこで、本市には市保有の福祉避難所がいくつあり、どれだけの民間施設と協定を結び、どの程度の避難所開設訓練を行ってきたのか、現状をお聞かせください。

-山口福祉健康局長

 本市の福祉避難所につきましては、市有施設で6施設、協定を締結している施設は81施設でございます。開設の訓練につきましては平成29年度から開始しておりまして、これまでに市有施設では延べ7施設、協定締結施設では延べ92施設で実施をしております。

-山下議員

 私も今回の地震で初めて一般避難所である学校の体育館に行きました。わかるだけで、要配慮者が数名いらっしゃいました。そのうちのおひとりは福祉避難所への移動を希望されましたが、受け入れ先が決まらず、ご家族と自宅へ戻られるということがありました。そこでおたずねしますが、今回の地震災害で、市内では福祉避難所は開設されたのかお聞かせください。

-山口健康福祉局長

 今回の地震発災後、輪島市から避難してきた要介護高齢者等を受け入れるために福祉避難所を3施設開設いたしまして、受け入れの準備を行っておりましたが、要配慮者の状況等を踏まえまして通常の施設入所というかたちに至りましたことから、結果的には福祉避難所としての利用はございませんでした。

-山下議員

 ある福祉関係者の方から、要介護の利用者を福祉避難所に連れていきたかったけれども、市内のどこが福祉避難所なのかわからず自宅避難せざるをえなかったという状況をお聞きました。本市は、福祉避難所を公表しているのでしょうか。公表していないのであれば、その理由をあきらかにしてください。

-村山市長

 市有施設の6か所については、災害対策基本法に基づき指定福祉避難所として告示をしております。その他の施設はあらかじめ公表すると受け入れ準備が整う前に避難者が集中するなど運営に支障をきたすことが懸念されるため、現在は公表しておりませんが、明年度予定している個別避難計画の作成に合わせて福祉避難所の公表の在り方についても検討してまいります。

-山下議員

 ぜひ公表の在り方を検討していただきたいと思います。

 要配慮者は、一旦、一次避難所に避難をして、そこから医師や保健師などが判断をして必要な方が福祉避難所に移動をするという取り決めになっています。知的障害があるお子さんを持つ保護者の方は、一般避難所では心配なので福祉避難所へ直接避難したいというふうに話されていました。また災害によっては、リスクのある中ふたたび移動を強いられることは、要配慮者にとって大きな負担にもなります。要配慮者が直接、福祉避難所へ避難できるような仕組みが必要だと考えますが、見解をうかがいます。

-村山市長

 一部繰り返しになりますけれども、明年度から避難行動要支援者名簿に記載された方を対象に避難予定の場所や避難する際に必要な支援などを記載した個別避難計画の作成に着手をいたします。要配慮者が確実に避難できるように体制を整備する予定であります。計画の作成にあたっては、避難予定の場所の選定等においても留意したいと考えております。

-山下議員

 要配慮者が安全に避難できるような、そうした運営・仕組みをぜひ考えていただきたいと思います。

 次に個別避難計画の作成についておたずねします。

 東日本大震災では、亡くなられた方の6割が60才以上の高齢者であり、また、障害者の死亡の割合は被災住民全体と比較して2倍以上だったと言われています。こうした状況を受けて、2013年、災害対策基本法を改正し、避難に手助けが必要な要支援者の名簿作成を市区町村の義務としました。さらに、2021年の改正では要支援者の個別避難計画作成も市区町村の努力義務となっています。能登半島地震では、亡くなられた方の7割が60才以上、個別避難計画の作成については、能登の6市町で、要支援者全体の1割の作成率だったということです。個別避難計画の作成は喫緊の課題ではありますが、作成自体が困難だったということも聞いています。本市においても、個別避難計画を作成するにあたり、考えられる課題をお聞かせください。

-村山市長

 作成にあたっての課題につきましては、要支援者から作成についての同意をいただく必要があるということ、さらに避難する際に必要となる支援者を確保すること、心身の状況を記載するための福祉専門職の参画が必要であること、こういったことが課題であると捉えております。

-山下議員

 本市は今年度、個別避難計画作成検討会をもち、優先的に計画を作成する対象者の範囲や計画作成にあたっての体制づくりなど検討してきました。市内4カ所をモデル区域とした計画の作成や、福祉専門職による計画作成のモデル事業にも着手しています。避難の実行性も問われるこの個別避難計画ですが、これまでの事業から見えた課題も含め、今後の取り組み方針についてお聞かせください。

-村山市長

 個別避難計画では、これまで実施したモデル事業の経過等を踏まえて、今年度個別避難計画作成検討会において計画の様式や関係者の協力体制等をとりまとめたところであります。計画の作成にあたっては民生委員や自主防災組織などの地域の支援者、ケアマネジャーなどの福祉専門職の協力を得て取り組んでいく予定であります。今般の能登半島地震を踏まえた課題等についても関係者と検証しながら、ひとりひとりの要支援者に寄り添った計画となるよう意を用いてまいります。

-山下議員

 計画を作成するにおいては、本市職員の体制、また医療・福祉の専門職員、地区社協や町会、民生委員などマンパワーが必要不可欠となっています。その業務にあたる職員の確保と、専門職や町会等に財政的な支援も必要と考えますが、見解を伺います。

-山口福祉健康局長

 個別避難計画の作成にあたりましては、専任の職員の配置をいたしますとともに、各校下・地区・町会連合会が主体となる自主防災組織に対しましては計画作成1点当たり3千円の作成費に加えまして、1団体当たり5万円の事務費を支給させていただきますほか、ケアマネジャーや相談支援専門員には計画1件あたり7千円の作成費を支給する予定でございます。明年度予算においてお諮りをしているところでございます。

-山下議員

 早急な計画の作成も求められていると思いますが、ぜひ地域の合意も含めて丁寧な作成をお願いしたいと思います。

 つぎに、介護保険制度についておたずねします。

 介護保険制度は「介護の社会化」そして「地方分権の試金石」とうたわれ2000年に導入されてから、保険者である自治体の役割が変容しています。公的介護保障であった措置制度から契約という申請主義を導入し福祉の市場化が進む中で、自治体が自ら、高齢者の困難を把握し、求められる支援が何かを考える福祉行政の現場感覚と専門性が失われたという指摘もあります。今回の地震における避難者への対応でも、現場からは「丸投げすぎる」との声もあり、そのことが露呈したと言わざるを得ません。自治体の福祉行政がいかにして住民の生存権保障のための役割を果たしていけるのか、福祉の最終的な責任は行政にあります。保険者としての役割をどのようにお考えか、うかがいます。

-村山市長

 介護保険制度につきましては、サービスを必要とする高齢者が心身の状況に応じて必要なサービスを適切に受けられることが大切であると考えております。制度が安定的に運営されるよう、適正なサービス提供について事業者へ指導・助言すること、また介護人材不足の中でさらなるサービスの質の向上を図るための人材の確保や定着に取り組むことなどにより、必要なサービスが切れ目なく提供され、地域包括ケアを推進するということが保険者としての役割と考えています。

-山下議員

 保険者として適切な役割を果たしていただきたいと思います。 

 来年度の介護報酬改定率は+1.59%、3年平均では+1.54%のプラス改定だと言われますが、訪問介護においては基本報酬が2%から3%引き下げられる予定です。市民や介護関係者からは抗議と撤回を求める声が相次いでいます。訪問介護はこの間、サービス時間は短縮され、介護報酬も削られてきました。同じ介護職でもとりわけ低賃金で、職員不足、さらには職員の高齢化が進む事業所にとって、報酬の引き下げが実施されれば、事業継続する未来が見えません。本市が2022年に実施した在宅介護実態調査では、在宅介護している方へ施設等を検討しているかという問いに、「検討していない」との回答が 72.5%と最も高く、多くの方が在宅生活を望んでいることがわかりました。その在宅を支えるのが訪問介護です。この在宅介護の崩壊とも言われる改定が、市内の介護事業所、または利用者にどのような影響をおよぼすと考えますか。お聞かせください。

-山口健康福祉局長

 今回の介護報酬の改定につきましては全体でプラスとなっておりますけれども、サービスごとの経営状況も踏まえまして、一部サービスにつきまして基本報酬は引き下げられたというふうに認識しております。一方では、介護現場で働く方々の処遇改善を着実に行いますために、ベースアップに確実につながる処遇改善加算が見直され、ご指摘の訪問介護につきましては他のサービスに比べて高い加算率とされているところでございます。報酬の改定につきましては基本報酬だけではなく全体でみることも必要というふうに考えております。今後改定の影響を注視していきたいと思っております。

-山下議員

 全国でもヘルパーステーションの赤字経営、廃業が相次いでいます。また、家族の介護を理由に離職する方が全国で10万人を超える現状があります。その中でさらに追い打ちをかけるような今回の介護報酬改定です。介護保険制度の保険者として、制度を維持し、高齢者の命や生活、またその家族の生活を守るためにも、この介護報酬改定は撤回をと、国に強く求めていただきたいと思いますが、市長、見解を伺います。

-村山市長

 今回の報酬改定につきましては、介護保険制度の安定性・持続可能性を高め、すべての世代にとって安心できる制度を構築するということとともに、介護人材不足のなかでさらなる介護サービスの質の向上を図るため、処遇改善や生産性向上による職場環境の改善を推進するものと捉えております。国に撤回を求めることは考えてはおりません。

-山下議員

 介護事業所の存続が問われる現状です。ぜひ撤回を求めていただきたいと求めて、次にうつります。

 市営住宅についておたずねします

 「住まいは人権」と言われるように、住まいは憲法によって保障されている権利です。現在における公営住宅の役割についておうかがいます。

-村山市長

 公営住宅は住宅に困窮する低額所得者に低廉な家賃で住宅を提供することで、生活の安定・社会福祉の増進に寄与することを目的としております。住宅のセーフティネットとして重要な役割を担っていると認識しています。

-山下議員

 本市においても、被災し避難を余儀なくされた方に、市営住宅の空き室を整備し提供しています。整備の要望が強かった風呂釜、給湯器、ガスコンロを設置したことは、たいへん喜ばれています。本市は所有も管理も直営で行っているからこそ、被災者ひとりひとりの悩みに寄り添いながら住居を提供し、生活の安定を保障できたと考えます。ただ国の住宅政策をみると、2006年からの住生活基本法のもとで5万戸も公営住宅が減少しました。さらには、2007年の閣議決定によって、入居収入基準が政令月収20万円から15万8千円と大幅に引き下げられ、安定した住居の供給の推進ではなく、削減の推進が続く実態があります。資本主義的な政策の下で住宅確保を自己責任としてきた結果、空き家の増加や、入居者の高い高齢化率で町会役員の担い手がいないなど、地域コミュニティの維持においても課題が山積しています。

 今回の予算案には、学生による入居のモデル事業が盛り込まれました。昨年、石川県が県営住宅に学生の入居募集を始めたところですが、本市は、どのような目的で事業をすすめていくのかお聞かせください。

-村山市長

 議員のおっしゃる通り、市営住宅で入居者の高齢化が進んだことによって町会活動の担い手が不足している、これが大きな課題となっております。そこで学生が市営住宅に入居し、町会の一員として地域活動に参加することで、多様な世代間での交流が生まれ、町会活動が活性化することを期待して、まずはモデル事業として取り組むこととしております。

-山下議員

 市営住宅の活性化やコミュニティーの再生につながっていくことを期待したいと思います。ただやはり公営住宅の根幹は、住居のセーフティネットという役割です。昨今、非正規雇用の拡大にもみられる雇用情勢の悪化など、住宅困窮に陥る世帯は高齢者だけではありません。若年層、中高年の単身世帯でも公営住宅の要求は強くなっています。60才以下の単身世帯が入居できるよう、対象を拡充する検討を求めますが、見解を伺います。

-坪田都市整備局長

 市営住宅への単身入居につきましては、高齢者、障害のある方、生活保護受給者等、民間賃貸住宅への入居が比較的難しい方を対象に、特に配慮し認めているところでございまして、60才未満の単身世帯を対象とした制度拡充につきましては現時点では考えてはおりません。

-山下議員

 ぜひ広く制度の拡充を考えていただきたいと思います。

 市営住宅の整備をどのように行っていくのかということは、まさに本市のまちづくりの考え方がここに表れてきます。本市が整備や管理もこのまま直営で責任をもって「安心して住める公営住宅」を維持することを求めて、次の質問に移ります。

 次期金沢型学校教育モデルについてお尋ねします。

 次年度、新たな金沢型学校教育モデルの構築にともない、小中学校において「デジタル科」の新設に向けたカリキュラムに編成すると、予算案にもりこまれました。なぜいま、デジタル科の新設が必要なのか、デジタル科で何を学ぶのか、誰が指導し、誰がどう評価するのかお聞かせください。

-野口教育長

 社会全体でデジタル化が進展する中で、新たな時代を生きていく子どもたちにはIOTやビッグデータ、AI等の技術革新に触れ、主体的にデジタル社会と関わる力の育成が不可欠であると考えています。新設するデジタル科におきましては、小学校では現行のプログラミング学習をもとにドローンを活用した学習を行うことに加え、生活を豊かにしたり地域の課題を解決したりする学習を、また中学校ではデータを活用して地域や社会の課題を解決する探究学習を行うことに加え、大学・企業と連携しVR、メタバース等の先端技術を体験する学習を想定しております。授業や評価につきましては、基本、学級担任または教科担任が担うことになりますけれども、評価につきましては数値的な評価ではなく子どもたちの学習の状況や成果、学習に対する意欲や態度などについて文章で記述することを予定しております。

-山下議員

 次期金沢型学校教育モデルでは、「デジタル力」「読解力」「コミュニケーション力」を基盤に、児童生徒の創造力を育むということで、この3つの力をつけるため重点的に各教科の教育課程に位置付けることは一定の理解ができます。ただ、なぜデジタルだけを特化して教科化する必要があるのかということは疑問です。教科化することによる授業時間数への影響や、教員の負担について、どうお考えかお聞かせください。

-野口教育長

 デジタル科の新設にあたりましては、関連する既存の教科で実施をするということ、また複数の教科で年間3時間程度減じて教育課程を編成できる国の授業時数特例校制度の活用によって、各学年の年間総授業時数は増加をいたしません。加えて授業では、ICT支援員に技術面でのサポート、また先端技術の体験学習等につきましては大学や企業のご協力をいただき実施していくことを考えており、教員と子どもたちが共に体験する、今回新しく先端技術を一緒に体験していただきたいと思っております。そうした中で、共に学び高め合っていけるような授業づくりを今後提案していきたいと考えております。

-山下議員

 授業数は増加をしないということでしたが、教員の負担は増えるのかなというふうにも感じます。デジタル科を、総合の時間に上乗せて位置付けることを検討しているとお聞きしました。総合的な学習の時間は本来、人権や環境、平和など従来の教科枠にはまることなく、子どもたちの意欲によってすすめられる教科であり、「なにを学びなさい」と押しつけられる教科ではありません。今回の位置付けは、この「総合的な学習の時間」の学びの趣旨に反することにならないか、お伺いします。

-野口教育長

 総合的な学習の時間に上乗せをする理由でありますけれども、デジタル科での学習は教科横断的な視点に立った資質・能力の育成や、探究的な活動の充実に資することが求められている総合的な学習の時間の目的に合っていること、また本市の小学校ではすでに総合的な学習の時間を中心としてプログラミング学習を行っていること、また中学校で先端技術を体験する学習やデータを活用した探究的カリキュラムを編成し、実施する学習に際しては、総合的な学習の時間を活用することが適していることなどがあります。なお、現在総合的な学習の時間において取り組まれております金沢ふるさと学習、また環境教育、キャリア教育などにつきましては、その時間数を減ずることはせず、現行のまま継続することにしております。

-山下議員

 本来であれば、カリキュラムの構築というのは、子どもの関心や興味に即したことから教育的価値を見出し、目の前にいる児童生徒との関係の中で、子どもたちとともに作られていくべきではないでしょうか。今回あまりにも拙速すぎるデジタル科新設について再検討を求めますが、見解をうかがいます。

-野口教育長

 GIGAスクール構想に基づく学習によって、現在の子どもたちはデジタル機器を有効に使い学びを深めています。そうした子供たちがこれから生きていく社会におきましては、大きく変化する技術革新に触れながら新しい価値や最適解を見出す創造力を育成することが求められていると考えています。そのためにも、主体的にデジタル社会と関わるデジタル力はその重要な要素のひとつであると捉えております。

-山下議員

 次に市独自の学力調査についておたずねします。

 予算案に、市独自の学力調査を実施する「学力到達度調査費」がもりこまれました。金沢市はすでに、全国学力・学習状況調査、石川県の基礎学力調査を実施しています。市独自の学力調査がなぜ必要なのか、誰が必要と感じて実施するのか、お聞かせください。

-野口教育長

 児童生徒の学力の実態や経年変化を把握することで、児童生徒のつまずきを解消し、自信をもって日々の授業に臨めるように授業改善を図ることは、教員の大切な仕事のひとつであると私は考えています。特に児童生徒がつまずきやすい、そして戸惑いを抱くとされる小学校3年生の算数と、中学校1年生の英語について、本市独自で調査を行っていきたいと考えています。その理由でありますけれども、小学校の算数では3年生までに数や図形の概念、計算の意味や技能と基礎的・基本的な知識及び技能を獲得する内容が多く含まれていること、もっと端的に言いますと私が小学校の教員をやっているときに4年生を担任することが多かったんですが、担任をして3年生の授業をしてみるとわり算ができない。わり算ができないということは3年生の授業でわり算がしっかりできていないから、4年生になってそれができていない。そのことが4年生に入ってから小数のかけ算・わり算に影響していったり、そのあとの分数のかけ算・わり算等にも影響していくということになります。こういったことに非常に危惧をしています。それから中学校の英語なんですが、中学校の先生といろいろな話をしておりますと、小学校の英語では話す・聞くという活動が中心なんですが、中学校に入りましたら読むと書くの活動が増えることから学習が難しくなっている。そうすると中学校に入ってからこの2つの分野が入ってくることになって英語学習が異常に子どもたちに馴染みづらくなっているということをお伺いしています。したがってこのふたつの教科によって本市独自の調査を行いながら、児童生徒の学力向上に繋げていきたい、早期につまずきを解消してあげたいと思っています。

-山下議員

 もう少し詳しく聞きます。調査のためのテストは、誰がつくり、誰が採点し、誰が分析するのか、あきらかにしてください。

-野口教育長

 委託業者が学力調査の問題作成と、その採点・分析を行うこととしております。その作成段階にあたりましては教育委員会の指導主事等が加わって相談させていただきたいと思っています。

-山下議員

 さきほど、小学校3年生の算数と中学校1年生の英語ということでしたが、全員実施となるのか、そして調査の結果はどのように公表するのか明らかにしてください。

-野口教育長

 先ほど触れましたが、小学校では3年生の全学級で算数、中学校では1年生の全学級で英語の調査を、現在のところでありますが12月に1週間程度の期間を設けて、学校が選択した日に実施をする予定としております。採点・分析後、各学校には市全体と当該校の結果に加え、各設問における正答等の状況を記載した個人票を提供し、子どもたちのつまずきの解消に役立てていくことにしております。なおこれ以上の公表は行わないことといたしております。

-山下議員

 つまずきの解消や授業の改善を図るということでしたが、全国で行われている学力テストでは、学習指導要領通りに指導できているか、教員に対するチェックや管理につながること、また都道府県別の平均正答率が公表となり、正答率をあげることが最重要課題となって競争を助長し、教員、児童生徒への強力な圧力につながっていると、調査自体が問題視されています。ある学者は、平均正答率が高いとしても、それが指導や政策による効果なのか、それとも家庭環境、保護者の学歴や年収などの社会的要因によるものなのか区別できない、調査であれば、全員実施ではなく抽出方式で可能だと指摘をしています。定着の度合いを知るということであれば、日々のテストで可能ではないでしょうか。教育政策にいかす調査であれば、全員が同じテストを受ける必要がなく抽出方式で十分です。市独自の調査をすすめる場合、国や県の学力調査はどうされるのでしょうか。参加をしない考えはあるのでしょうか。

-野口教育長

 本市独自の学力調査と表現されておりますけれども、今回予算計上させていただいているこの調査とその目的と、国や県の調査の目的は、私は違っていると思っています。市の方でやる今回の学力調査は、あくまでもその当該学年の特定された教科のつまずきや戸惑いについて、それを解消しながら改善を図って、そして子どもたちが自身をもって授業に臨めるためにやるものであります。一方、国や県の学力調査の目的は、これも何回もこの議場でやり取りをさせていただきましたけれども、あくまでも義務教育の機会均等と、その水準の維持・向上の観点から、あくまでも指導力の充実とか学習状況の改善に役立てていること、このことを我々はしっかりと守ってきたつもりでいます。このことを観点におきながら、今後もその目的に則って参加をしていくつもりであります。

-山下議員

 子どもたちにとって、おそらく初めて経験する大きな震災後の新年度です。心に大きな負担を感じている子どもたちは少なくないはずです。東日本大震災、熊本地震では学力テストを中止しました。まず本市がやるべきことは、子どもたちの声をていねいにきく。そのことが重要ですし、そこにぜひ注力していただきたいと思います。国や県に対しても、学力テストの中止を求めるのが、本市の立ち位置ではないでしょうか。市独自の学力調査の実施についても強く見直しを求めます。改めて見解をお願いします。

-野口教育長

 繰り返しになりますけれども、あくまでも市の学力調査というか、子どもたちの勉強の力を調査するのは、つまずきを発見して早期に解決をして、自信をもって次の学年で勉強してもらうため、ここにあります。そして国や県の調査というのは、あくまでも先生方の授業力の向上とか、また学習状況の改善をするために行うものであります。いろんな震災等がございましたが、その影響下にあっても今子どもたちがどのような状況にあるのかをしっかり把握して、それを次に役立てて改善をしていく必要はあると思っていますので、これについては継続をしてやっていきます。

-山下議員

 つまずきを改善するという意味では、私は日々の授業やテストの中でも可能ではないかというふうに思います。今回の予算案には、不登校対策推進費としていくつか新事業も盛り込まれました。本来ならば学校は安心して学ぶことができて、安心して友だちや先生と繋がれる場であるということが求められている中で、今回教員の負担が増えて点数主義が助長するのではないかというふうを危惧します。不登校対策と相反するものではないかと考えます。改めて市独自の学力調査の中止を求め、次にうつります。

 就学援助制度についておたずねします。

 就学援助制度は、憲法26条の「教育を受ける権利」「義務教育無償の原則」に基づき、小中学生がお金の心配なく学校へ通えるように、保護者に対して必要な援助を行うものです。就学援助制度の意義について、どうお考えかお聞かせください。

-上寺教育次長

 就学援助制度は経済的な理由により就学が困難な児童生徒の保護者に対して小中学校で必要な学用品費や給食費等の支援を行い、経済的な負担を軽減することによりまして、義務教育の円滑な実施を図ることを目的としており、子どもたちの学びを保証する重要な制度でございます。

-山下議員

 ぜひこの制度を多くの保護者の方に利用していただきたいというふうに思います。ただこの間、消費税が10%に増税になったことに加え、長引く物価高騰は子育て世帯にも大きな影響を与え、保護者の就学にかかる経済的負担も大きくなっています。そこで、支給対象基準を引き上げた自治体や、給食費のみ認定をするという区分を新たに設けた自治体もでてきました。本市においても、就学援助の支給対象基準を従来の生活保護基準の1.5倍に引き上げる、または給食費のみ認定する区分を設けるなど、制度の拡充を求めますが、見解を伺います。

-上寺教育次長

 就学援助制度が一般財源化されました平成17年度以降、認定基準を引き下げる自治体がある中、本市では世帯の所得額の基準であります生活保護基準の1.3倍未満を維持してきており、引き続き基準の維持に努めていきたいと考えております。ご指摘の基準引き上げや新たな区分の設定については考えておりません。

-山下議員

 対象となる世帯にはぜひ漏れることなく利用していただきたいと考えます。ところがこの間、制度を知らずに4年間も過ごしていたという保護者の方がいらっしゃいました。制度の周知の徹底には工夫が必要です。制度を知っていても、子どもになにか不利な影響が働くのではないかと申請をためらったという話も聞きます。保護者が制度を認知し、ためらわず申請できるよう、受給を希望するしないの希望調査票もふくめた全員提出に切り替えてはどうかと考えますが、見解をうかがいます。

-上寺教育次長

 就学援助の申請は任意提出でありまして、ご指摘の申請希望の有無を含めた全員提出への切り替えは考えてはおりません。なお、毎年4月当初に全小中学校の児童生徒の保護者に対して就学援助制度の案内チラシを配布しております。今後とも支援を必要とする世帯に制度がいきわたるよう、わかりやすい周知に努めてまいります。

-山下議員

 だいぶわかりやすい周知になってきているとは思いますけれども、やはりまだ届いていない方がいらっしゃいますので、ぜひ周知の方法を工夫していただきたいというふうに思います。

 最後に、市立病院の再整備についておたずねします。

 市立病院は公立病院として、利益最優先ではなく不採算の政策医療である「感染症医療」や「災害医療」を担い、市民の命と健康を守るためになくてはならない医療機関です。そこでおたずねします。予算案では、「再整備に向けて平和町公園を候補地とする」と新病院の候補地が明らかとなっています。候補地を平和町公園に決定した理由を明らかにしてください。

-村山市長

 移転候補地を平和町公園にしたことについては、本市の南部地区の中核病院として果たすべき役割や、あるべき姿を踏まえて、周辺地域での連携登録医療機関の数や公共機関など、患者の利便性に加え、能登半島地震を踏まえた緊急輸送道路までの距離など、大規模災害時の緊急輸送対応や浸水・土砂災害・液状化リスク等の土地の安全性などを総合的に判断いたしました。

-山下議員

 新たな場所では病床数を減らすのではなく十分確保するため、敷地を拡充する選択ができるのか、また住民の合意を得ての移転が大前提となりますが、現病院跡地の活用をするなど新たな公園を整備する見通しがあるのかお聞かせください。

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