お知らせ |日本共産党 金沢市議員団 |9ページ

お知らせ

森尾よしあき議員

-森尾議員

 私は、日本共産党市議員団の一人として以下、質問します。

 最初の質問は、物価高騰による市民、子どもへの影響と学校給食費の無償化実施についてです。物価高騰によるひとり親と子どもたちへの影響について、この10月シングルマザーサポート団体全国協議会が調査を行いました。2805人から回答があり、その報告が発表されました。それによると、9月の収入が12万5千円を下回った方が半数にのぼりました。「主食の米が買えない」と答えた方が56%、「くつや衣類を買えないことがあった」と答えた方が81%など、生活実態の厳しさが報告されました。市長は、物価高騰による市民生活への影響についてどのように把握されておられるのか、まず伺います。

-村山市長

 エネルギー資源や食料価格等の高騰は、子育て世帯や低所得世帯などの家計へ与える影響はもとより、国の公定価格に光熱費上昇分が反映されない福祉施設の運営や、経営基盤の弱い中小企業また肥料価格の高騰を受ける農業者などへの影響があるものと考えております。

-森尾議員

 子どもたちへの影響も深刻です。先の調査報告によると、子どもが学校で使うノートや鉛筆を買うのも遠慮する。必要なものなのに大人の顔色を見て欲しいと訴えることをがまんする。さらに学校の集金日や部活動で必要なお金を支払うことができず、集金日には体調不良で休む。小さくなったクツで、足が痛くてもがまんする。高校生がいる家庭からは、修学旅行に行けなかった、弁当が作れず学校を休ませたなど、悲痛な訴えが報告されています。教育長に伺います。学校現場での子どもたちの様子はいかがですか。物価高騰による子どもたちへの影響はありませんか。実態把握がされていましたら明らかにしていただきたいと思います。

-野口教育長

 少し午前中の喜成議員の答弁にも重なるところがございますが、物価高騰による児童生徒への影響につきましては、民間による調査結果が報道されましたことから、本市におきましても全小中学校の校長に聞き取り調査を行いました。その結果、物価高騰に伴って児童生徒の成長の様子につきましては変化を感じているという校長はおりませんでしたが、一方で、学年集金の納入、学用品費や教材等の購入、制服や体操服のリユースなどによって変化を感じているとした校長がおりました。今後も児童生徒の生活の様子につきましては注視していく必要があると認識をしております。

-森尾議員

 教育長。子どもたちの声が聞こえますか。校長からの聞き取りを行ったとのことですが、是非、子どもたちと家庭の実態把握、調査を行うことを求めたいと思いますが、見解を伺います。

-野口教育長

 今ほども答弁させていただきましたけれども、これからも校長を通して、また私自身も学校を回りながら、こどもの変化の様子につきましては把握してまいりたいと思っております。

-森尾議員

 もう一つ実態調査報告があります。子どもの貧困に取り組むNPOが、食料支援プログラムに登録している子育て世帯を対象に調査を行いました。回答のあった1846世帯から調査結果が明らかにされました。家計を維持するために食費を減らしている世帯が84%。日々の食事では外食やおやつ、肉や魚を減らした。その結果、必要な栄養がとれていないと答えた世帯が70%にのぼりました。少しでも出費を減らすために、暖房をつけないようにしている、入浴回数を減らした、トイレを流す回数を減らした、などが報告されました。そして訴えからは、学校関連のものを無償化してほしい、学校給食費の無償化を求めています。教育長に伺います。学校関連のものを無償化して欲しいとの訴えをどのように受けとめますか。学校は、家庭の負担軽減にどのように取り組んでおられるのか伺います。

-野口教育長

 まず学校で使用するドリルやワーク、またテスト代などの補助教材につきましては、その有益性や保護者負担を考慮しながら選んだうえで、学校長が教育委員会の方に届け出ることになっています。学校では保護者の負担軽減に向け、例えばさんすうセットの中身について、保護者には使用頻度の高い教具のみを購入していただき、使用頻度の低いものにつきましては学校で準備をしたり、また国語辞典や漢字辞典は家にあるものや学校図書館に常備されているものを使ったりするなどして工夫をいたしております。今後も各学校が教材等を購入する際にはその有益性や保護者負担等を考慮しながら選ぶよう、校長会議等を通じて引き続き周知徹底を行いますとともに、今回配備いたしました一人一台学習用端末に備えられておりますドリルを活用するなどして、さらなる保護者の負担が軽減できないか検討していきたいと考えております。

-森尾議員

 学校給食費の無償化は切実な願いとなり、全国で広がっています。小中学校とも学校給食費の無償化実施は、2017年76自治体でした。現在は224自治体へと広がり、この5年間で三倍となっています。県内では、穴水町が小中学校で、小松市、輪島市が中学校で、羽咋市が中学2年3年生で、加賀市ではこの2学期から小中学校で実施するなど、県内でその実施が広がっています。未来ある子どもたちが心配することなく成長して欲しいとの考えが実施を後押ししています。市長。学校給食費の無償化実施の決断を求めます。見解を伺います。

-村山市長

 全国的な物価高騰の中で、本市の学校給食費につきましては保護者への経済的負担の軽減を図るため、6月の補正予算に加えて本定例月議会でも食材費の不足分を全額市で補填する、学校給食費物価高騰特別対策費をお諮りしております。また経済的な理由で就学が困難な場合につきましては教育費の負担軽減や子育て支援の観点からも就学援助制度によって給食費の全額を支援しておりますことからも、現時点で学校給食費の無償化については考えてはおりません。

-森尾議員

 自治体の判断で学校給食費の無償化を行うことについて、岸田首相は「自治体が補助することを妨げるものではない」としています。市長。学校給食費の無償化実施を決断するよう強く求めたいと思います。

 質問の第二に、旧統一教会に対する本市の対応についてです。旧統一教会などによる霊感商法による被害、資金集めに高額献金などの実態、信者二世の被害など反社会的集団・カルト集団としての実態が日々明らかとなっています。去る11月22日文化庁は、旧統一教会に対して宗教法人法に基づく質問権をはじめて行使し、組織運営、収支報告と財産などに関する書類や帳簿の提出を求めました。行為の組織性、悪質性、継続性を示す証拠を集め、解散命令請求を視野に取り組んでいく考えであることが報じられました。市長はこうした一連の動きについてどのように受け止めておられますか。伺います。

-村山市長

 先般、国において質問権が行使されたということ、また法が制定されたということでありますが、まず質問権についてはその回答に基づく国の動向を注視していきたいと思いますし、また施行された法律の運用を見守っていきたいと考えております。

-森尾議員

 日本弁護士連合会がこの9月5日から10月27日までに寄せられた相談について報告が行われました。それによると309件の旧統一教会に関する相談があり、財産に関する相談が82%の253件。被害額として1千万円以上が41%にあたる128件。驚くべきことに1億円以上の被害が17件あったとのことです。私はこの間、この旧統一教会について住民アンケートに取り組んできました。その中に被害にあった方からの悲痛な訴えがありました。2つ紹介いたします。60歳代の方からは「わが家の母が壺をはじめあらゆる品を買わされ、何百万円と聞いています。家庭圧迫だ。」と。50歳代の方からは「私の姉です。乳がん治療をせず、お布施に検査費用としてあげたのにそれを教会に持って行ってしまいました。治療を一回しか受けず、享年53歳でなくなりました。心優しい姉だったのでくやしい思いがします。」胸が痛む訴えです。これ以上被害を広げてはなりません。市長。被害救済とともに、ありとあらゆる努力で市民のいのちと財産を守るために取り組むことが求められています。市長の見解を伺います。

-村山市長

 先般国の方で悪質な献金等による被害者の救済と再発防止の観点から、国会で審議されていた消費者契約法などの改正と被害者救済を図る新法が成立いたしました。今後法に基づく国の対応を見極めていきたいと考えております。

-森尾議員

 私の地元、浅野町校下には、この旧統一教会の施設があります。現在の名称は世界平和統一家庭連合金沢家庭教会です。この旧統一教会が、令和元年7月、本市公園里親事業に申請し、本市と合意書を交わしました。浅野町第三児童公園を活動区域とし、清掃などを行うとしたものですが、その活動実態は本市として把握していないとのことです。本市は、申請のあった時点において、この団体が旧統一教会とは知らなかったとのことです。旧統一教会は、霊感商法や、合同結婚式、信者からの高額献金、信者の養子縁組など社会的問題を引き起こしている反社会的団体です。これ以上の被害を起こしてはなりません。本市としてこうした反社会的団体とは関係を断ち切ることが求められています。市長。一刻も早く、先の合意書を解除し、旧統一教会との関係を絶つべきです。見解を伺います。

-村山市長

 こちらは9月の議会でもお答えした通りでありますけれども、公園等里親制度は身近な公共空間である公園・緑地等の利用及び美化を促進し、まちづくりに対する市民の意識の高揚を図ることを目的としておりまして、里親となっている団体の清掃活動のみを支援するものであります。一方で、社会的な影響が大きい当該団体との関係につきましては、市民の不信感を招くことのないよう対応する必要があるとも考えてございます。国が質問権を行使し、その結果どのような判断をするかなども含め、引き続き国の動向を見極めて慎重に対応してまいりたいと考えております。

-森尾議員

 市長は国の動向を注視し対応すると述べてきましたが、国の動向ははっきりしてるんじゃないでしょうか。本市はこの旧統一教会と交わした合意書を解除する決断が求められていると思います。再度、市長の判断を求めたいと思います。

-村山市長

 国が質問権を行使したということは承知しておりますけれども、現段階におきましては団体として法的な措置を受けた、あるいは受ける予定と断定するに至っていないと判断してございます。引き続き国の動向を見極めて対応してまいりたいと考えております。

-森尾議員

 では、国が宗教法人法に基づく解散命令申請を行った場合、初めてその時点で決断されるというのが市長の見解なんですか。

-村山市長

 仮定に基づいたご質問ですので、こちらはお答えできないと思います。

-森尾議員

 市長は個人的には好きではないと述べたんですが、今の段階では仮定ではないんです。国は進行中なんです。私は、国自身が宗教法人法に基づく解散命令を視野に入れて取り組んでいる状況を踏まえて、市としての決断を改めて求めておきたいというふうに思います。

 質問の第三に、金沢市における再生エネルギー発電設備の適正な設置及び管理に関する条例制定について伺います。この条例制定のきっかけとなったのが、本市御所町の住宅地に隣接する山林での太陽光パネルの設置でした。民間業者の計画では、約1ヘクタールの山林に太陽光パネル3200枚を設置するというものです。軟弱地盤の上に、傾斜が30度以上の場所もあり、雪や雨によって雪崩や土石流などが発生し、住宅地に被害が及ぶ恐れがあるとして地域住民が反対を表明してきました。計画はストップしていますが、現状はどのようになっているのか。この条例制定によって問題が解決するのか、伺います。

-坪田都市整備局長

 令和3年12月に事業者は国に対しまして計画地を当初の住宅地に隣接した斜面から、住宅地から離れた勾配のゆるい箇所に変更する旨の申請を行いました。しかしながら国から事業計画の不備を指摘され、その対応に時間を要したことから、変更の申請がいまだ認定されていない状況となっております。本市としても住民の不安を払拭するため、事業者と連絡を密に取り合い動向を注視しているところでございます。

-村山市長

 条例の制定により問題は解決するのかという部分もご質問いただきました。条例案をお認めいただければ、関係する事業者に対して条例の趣旨や内容、本市の対応等について明確に伝えるとともに、適切な安全対策の実施や住民の十分な理解を得るよう引き続き国等と連携して指導してまいりたいと考えております。条例の制定によって本市の状況に応じた再生可能エネルギー発電設備の適正な設置が図られるものと考えております。

-森尾議員

 これまでの本市の見解と対応について改めて伺っておきたいと思います。本市と専門家による現地調査を行いました。その結果、急斜面で軟弱地盤である、場所によっては35度の傾斜があり、浅い杭で施行すると非常に危険である。従って、まちづくり条例に基づく最終的な了解となる通知文は出さない。これが本市の見解でした。この対応は変わりはありませんか。

-坪田都市整備局長

 その対応には変わりはございません。

-森尾議員

 この条例案について、本市環境審議会やパブリックコメントを通じて様々なご意見が寄せられたとのことです。そこで、条例提案に対して主な点について見解を伺います。第一に、再生エネルギー推進計画がない中、いわばその規制内容を盛り込んだ条例制定を先行したことは、本市が再生エネルギー推進に消極的とも受け止められかねません。問題となっている太陽光発電について限定する条例提案とすべきではありませんか。見解を伺います。

-村山市長

 令和2年度に策定した金沢市地球温暖化対策実行計画において、再生可能エネルギーの利用推進を基本方針に掲げて取り組みを進めておりますが、ゼロカーボンシティかなざわの実現にはさらなる再生可能エネルギーの利用拡大に取り組む必要がありますことから、自然環境や景観、住民生活への影響等、本市の状況に応じた適正な発電設備の整備が図られるよう、位置環境や手続きを明確化する条例を今回お諮りしたものであります。再生可能エネルギーの利用拡大は脱炭素社会の実現に不可欠であり、安定した電力供給が行われるためにも風水力やバイオマスなど他の発電設備の設置も考えられることから、将来的な立地の可能性も考慮して太陽光発電以外の施設も対象とすべきと判断いたしました。

-森尾議員

 第二に、条例案には明記されず、規則で定めるというものが二つあります。一つは、対象となる再生可能エネルギー発電設備についてです。二つは、抑制区域についての項で、市長の許可を必要とする区域について規則で定める、としています。「規則で定める」内容とはどんな内容なのか、明らかにしていただきたいと思います。

-加藤環境局長

 今ほど森尾議員から「規則で定める」ことの内容についてのお伺いをいただきました。まず条例の対象となる設備のことでございます。規則では住宅や事業者社屋等の屋根などに設置をされている太陽光発電設備や、支柱の高さが15メートル以下の風力発電設備は、維持管理等の責務に関する規定を除きまして周辺住民の生活や環境への影響が軽微なものとして条例の適用外としたいと考えているところでございます。このほか、発電出力20kw未満の太陽光及び風力発電設備や、100kw以下の水力発電設備につきましても、その規模から同様に条例の適用外としたいと考えております。また設備の設置にあたりまして、市長の許可を必要とする抑制区域でございますが、自然環境・景観・生活環境の保全、文化財保護等の観点から、自然環境保全区域や景観形成区域、宅地造成工事規制区域、史跡・名勝・天然記念物にかかる区域、都市計画法に基づく住居系地域、商業系地域などを考えているというところでございます。

-森尾議員

 本市景観審議会は、去る11月28日に開かれ、この条例提案について議論が交わされました。景観を守る立場から、今回の条例制定について、どんなことを望むのか。この条例制定によって、景観面での指導方針がかわるのか。景観を担当する都市整備局に伺います。

-坪田都市整備局長

 再生可能エネルギーの利用の促進は現在、世界的に取り組むべき課題でありまして、本市においても今回条例を制定し推進していくこととしております。そのことを踏まえまして、景観を保全する立場としましては、再生可能エネルギーの発電設備が設置される場合には、景観審議会の意見を伺いながら事業者に景観への配慮を求めることで再生可能エネルギーの利用促進と本市の魅力である景観の保全が調和したものとなるように進めていきたいというふうに考えております。今後の指導方針でございますが、これまでも太陽光発電設備等の設置につきましては景観計画で定める基準に照らしまして設置の仕方でありますとか公共空間からの見え方等について設置者等と協議し、周辺環境に調和するよう指導してきたところでございます。条例制定後におきましても指導方針に変わることはなく、これまで同様慎重かつ丁寧な審議のうえ、指導していきたいというふうに考えております。

-森尾議員

 では、この条例提案の担当局である環境局に伺います。先の景観審議会で、景観形成区域については禁止区域とする方がよいとの意見が出されました。条例提案では抑制区域となっています。見解を伺います。

-加藤環境局長

 景観審議会のご意見のことのお尋ねをいただいております。景観審議会の委員からご指摘の意見があったことは私共も承知しておるところでございます。景観形成区域におきまして、再生可能エネルギー発電設備の設置申請があった場合には、まずは景観形成区域を所管する部局で関係条例や各種基準、専門家等の意見に基づいて検討が行われることが適切というふうにとらえているところでございます。再生可能エネルギーの利用推進といった観点も含め、市長の許可が必要な抑制区域としたものでございます。

-森尾議員

 市長。今のやり取りをお聞きして、景観行政と環境行政との見解と対応が異なっています。協議が十分行われないまま条例提案となったのではありませんか。市長はどのように受け止めていますか。

-村山市長

 ただ今の都市整備局長と環境局長の答弁は整合性がとれていると把握しております。

-森尾議員

 11月28日に開かれた本市景観審議会で、この条例提案の内容について審議されました。しかしその時点では条例提案の内容が決まった後でした。景観審議会を軽視してはいませんか。この景観審議会から、景観形成区域については抑制区域ではなく禁止区域とする方がよいとの提案が行われています。一体、どういう対応をされるのでしょうか。

-村山市長

 景観審議会の中でご指摘の意見があったというのは承知をしております。ただこれが景観審議会の決定だということではないというように思っておりますので、意見は自由にあげていただいて構わないものだというように承知しております。

-森尾議員

 ちょっと市長の答弁としては問題じゃありませんか。要は、十分な市民の合意が必要だということを私は強調したかったんです。専門家のご意見については十分検討が必要だと思います。とりわけて、景観審議会との議論は、過去幾多にわたって本市のまちづくりや景観について様々な提案も受けて、本市はそれを尊重してきた立場なんです。市長の答弁は軽率だと私は思います。したがって、今回の条例提案について議論を尽くすべきだと私は考えます。市長の決断と判断が必要だと考えますが、改めて答弁を求めます。

 

-村山市長

 先ほどの答弁ですけれども、景観形成区域内において再生可能エネルギー発電設備の設置申請があった場合は、まず景観形成区域を所管する部局で関係条例や各種基準、専門家等の意見に基づいて検討が行われるというように承知しております。再生可能エネルギーの利用推進といった観点も含めて、市長の許可が必要な抑制区域となっております。条例案につきましては先行する他自治体の例も参考にして、パブリックコメントの実施なども通して寄せられた市民の意見、あるいは専門家の意見等を可能な限り反映して、また本市の自然環境等の保全、また住民生活等への影響に関係する他の条例とも整合性を十分に考慮して今回上程させていただいたものであります。ご意見の中にはより早い制定を望む、そして速やかな運用を望むという声も多くありました。お認めいただければ今後寄せられる様々な意見も参考にして、条例の適切な運用に努めてまいりたいと考えております。

-森尾議員

 質問の最後に、森本地区・三ヵ所での地元スーパー閉店に伴う対策と地域の公共交通の確保について伺います。森本地区の地元スーパーがこの11月末をもって相次いで閉店となりました。地域住民の間では、日々の買い物が困難となり不安が広がっています。先日、地元から対策を求める要望書が市長宛に提出されました。市長はこうした事態と地域住民の要望について、どのように対応されるのか見解を伺います。

-村山市長

 森本地区のスーパーが三店舗同時に閉店ということは、地域住民の生活に大きな影響があるといように理解しております。報道によると閉店後の計画については後継事業者が検討しているということであります。早期に地域住民の生活に配慮した事業計画を示していただきたいというように思っております。引き続き推移を注意深く見守っていきたいと思います。

-森尾議員

 地域のスーパーの閉店だけではありません。森本地区でのJRバスの運行が廃止となりました。薬師地区での地域運営交通も、この6月末をもって廃止しました。そこで、この7月から高齢者等の日中の移動手段を確保するとしてジャンボタクシー2台を運行する民間による「チョイソコ」と呼ばれる試験運行が始まりました。現状と課題について、明らかにしていただきたいと思います。

-村山市長

 7月から試験運行を開始した地域運営交通「チョイソコ」につきましては、徐々に認知度が高まって会員登録者や利用者には増加傾向が見られます。住民からのアンケートによれば利用者の大半から「満足している」との回答がございますが、今後より多くの方に利用していただくことが重要と考えております。

-森尾議員

 チョイソコは午前8時から午後3時までという利用時間の制限があります。予約制となっています。行き先についての制限があります。片道一回300円です。足の確保がなくなってしまうことからすればがまんの範囲かなあ~という率直な住民の声もあります。このチョイソコは、本格運行はいつから予定しているのか。課題の解決に本市はどのように係わっていかれるのか伺います。

-村山市長

 市としては来年度のできるだけ早い時期からの本格運行に向けて地元の皆様と協議を重ねているところであります。本格運行におきましては、地元の皆様のニーズを十分踏まえながら、より多くの方にチョイソコを利用していただけるよう取り組んでいきたいと考えています。

-森尾議員

 現時点において、このチョイソコの本格運行はいつから予定しているのか、市としての課題はどのように問題解決に臨んでいかれるのかということを伺ったんですが、回答を求めたいと思います。

-村山市長

 いつからというところは、来年度のできるだけ早い時期からということで協議を重ねております。また課題解決でありますけれども、地元の皆様のニーズを十分踏まえて、より多くの方に利用していただくということが大事だというように思います。その利用者を増やしていくというところに今取り組んでいきたいと考えています。

-森尾議員

 本市の地域交通施策の失敗と無策ぶりがこの地域に集中的に現れたと考えます。都心軸での新しい交通システム導入検討が進められましたが、その導入は事実上破綻しました。郊外での地域交通は地域住民にお任せ。内川、大浦で運行されたものの、それ以外では広がりませんでした。北鉄バス、JRバス路線の縮小・廃止が打ち出されると新たな民間交通頼みとなっています。いったい、本市の地域公共交通の構築をどのように進めていかれるのか、伺っておきたいと思います。

-村山市長

 このコロナ禍で公共交通の利用者が大きく減ってしまった、これがひとつ各地域での公共交通の路線廃止あるいは縮小につながっていったというように捉えております。交通が不便な地域の交通手段を確保するためには、それぞれの地域の実情に応じて地域運営交通を導入して進めていくことが重要であるというように考えております。制度の周知に努めるとともに、地元の意見をしっかり聞きながら、持続可能な交通ネットワークの形成につなげていきたいと考えております。

-森尾議員

 ちょっと踏み込んで、じゃあ本市の地域公共交通の構築に向けて具体的な課題の解決は一体どこで議論され、どのような方針で臨んでいかれるのですか。

-村山市長

 現在、第三次の金沢交通戦略を策定しているところであります。民間の事業者、現在公共交通として提供していただいている事業者の方のご意見も伺いながら、また地元の方々のご意見も伺いながら、新たな交通戦略を策定してまいりたいと考えています。

-森尾議員

 最後に、今後の森本地区の発展をどのように進めていくのか伺っておきたいと思います。この間の政治によって、森本地区では次のような事態が進行しています。第一に、米作りを担ってきた農村部で、農業が継続できず、農協も統廃合が進んできました。里山での農山村が過疎化と高齢化によって荒廃が進んでいます。第二に、追い打ちをかけるように本市は小学校の統廃合、今度は保育所の統廃合を進めてきました。第三に、地域住民の生活を支える地域交通の縮小、JRバス路線の廃止、さらには東金沢駅と森本駅の無人化を2024年に実施するとしています。今度は地域スーパーの閉店によって、地域丸ごと買い物難民という事態をむかえています。安心して住みつづられるまちづくりに向けて、農業などの地域経済の振興、学校や保育所など生活の環境整備、医療・介護などの充実、そして何よりも、地域コミュニティーの充実・発展が欠かせないと考えます。市長。未来ある展望を森本地区の方々にどのように示されるのか伺っておきたいと思います。

-村山市長

 市長として就任して以来、また就任する前からですが、市内の各地を回って、また北部地域も回って、様々な実情を拝見してきたところであります。先般、森本市民センターで開催したまちづくりミーティングでは、定住人口の増加策や移住の促進のほか、地域運営交通への支援、農業振興、ふるさとづくりに向けた思いなど、皆様方の切実な声をお聞きしたところであります。これまで開催した他の地域のまちづくりミーティングにおいても、森本地区と同様に地域活性化について多くのご意見をいただいておりますが、新たな都市像の策定を進める中で検討していきたいと考えております。

-森尾議員

 市政の直面する課題に具体的に全力をあげると共に、市民一人一人がこの町で暮らしてよかったと言える展望を具体的に示されることを求めて、質問を終わります。

広田美代議員

〇物価高騰から市民を守る施策について

-広田議員

物価高が市民のくらし、中小業者の経営を直撃する中、今月2日「総合経済対策」の裏付けとなる第2次補正予算案が成立しました。わが党の反対理由は、最も急がれる物価高騰から暮らしを守る点で全く不十分な一方、緊急性がない多額の予備費や基金、軍事費などを計上しており、暮らしの実態からも財政法に照らしても認められないというものです。この経済対策やこの間の情勢について、数点市長のお考えを伺います。

インボイス制度について

-広田議員

 まず、政府の物価高騰対策は、大手石油元売りや電力・ガスの独占企業を救済する、部分的な価格抑制策であり、不十分です。全ての物価を引き下げる消費税の減税こそ最も効果的です。小規模事業者やフリーランスの方々に深刻な負担増をもたらすインボイス制度は中止すべきです。このインボイス制度ですが、全国免税事業者のうち161万業者が新たに課税事業者になり、平均15万4千円、合計で2480億円もの増税になると財務省は試算しています。課税事業者を選べば負担が増え、免税事業者を選べば仕事がなくなる。この制度は、小規模事業者やフリーランスの方々に増税か廃業かという地獄の選択を迫るものです。本市の地域経済のためにも、インボイス制度の中止を国に求めるべきですがいかがですか?

-村山市長

 インボイス制度は消費税の複数税率下において適正な課税を行うことを目的として、平成28年に導入の決定が行われたもので、国が令和5年10月の開始に向けてすでにインボイス発行事業者の登録を開始するなど、全国で導入準備が進められております。現在、全国市長会においても国に対し中小企業への配慮などの必要な措置を講じるよう要望を行っておりまして、今後の動向も注視しながら適切に対応してまいりたいと考えております。なお、制度の中止を要望することは考えておりません。

賃上げについて

-広田議員

賃上げについてです。雇用の7割を支える中小企業全体の賃上げ支援策が必要です。中小企業への社会保険料・税負担軽減策の要望に応え、最低賃金の引き上げ、非正規雇用拡大政策の転換を行うことが必要です。その財源は、アベノミクス以降積みあがってきた大企業の内部留保への課税です。その課税には賃上げ分を控除して賃上げを促進する。こうした、中小企業全体を支援する「構造的な賃上げ」が必要です。市長は、提案理由説明の中で、「政府の構造的な賃上げ」にお触れでしたが、どのようにお考えでしょうか。

-村山市長

 物価高に対しましては、国は総合経済対策において、経済の持続的な成長と分配の好循環を達成するため、中小企業や小規模事業者の生産性向上の支援等により、賃上げの促進に全力で取り組むこととしており、本市としても地域経済の活性化には継続的な賃上げの実現が必要であると考えております。一方、賃上げ対策につきましては一義的に国が行うべきものであり、本市としては中小企業の資金繰りや雇用の確保等に対する支援を通じて、国の対策に呼応してまいりたいと考えております。

電気代の値上げについて

-広田議員

光熱費の高騰に関してですが、先月末には北陸電力が記者会見を行い、来年4月に家庭向け電気料金を平均45.84%値上げする計画を経済産業省に提出したとしています。これは標準的家庭でおよそ2700円もの値上がりになるとされており、市民からは不安の声が相次いでいます。しかも本市の優良な水力発電を譲渡したばかりです。この件について、市長に北陸電力からはご相談などはあったのでしょうか。市民生活に配慮を求めるつもりはありませんか。

-村山市長

 電気料金の値上げにつきましては、国の電力・ガス取引監視等委員会等で値上げについての妥当性が審査されることから、改めて本市として配慮を求めることまでは考えておりません。なお、報道内容につきましては説明を受けてございます。

軍拡と負担増について

-広田議員

政府はまともな外交努力も行わずに、敵基地攻撃能力の保有を自民党、公明党が合意したとのことです。これまで憲法上持てないとしてきた攻撃型の兵器の保有解禁の説明もなく、集団的自衛権の行使としての発動も排除しないとします。さらにアメリカへのトマホーク購入打診などすでに結論を先取りしています。際限のない軍拡競争に突き進む危険な大転換は絶対に許されません。さらに岸田首相は来年度から5年間で43兆円の軍事費増額を指示し、増税もさけられないとしています。市長は軍拡と国民への負担増の議論についてどのようにお考えですか?

-村山市長

 我が国の安全保障に関する問題についてでありますが、国民の安全や暮らしを守る観点からも、国において十分な議論を重ねたうえで適切に対応されるものと認識しております。

〇本市独自の取り組みについて

住民税非課税世帯等緊急支援給付金について

-広田議員

 つぎに、このような中で本市独自の取り組みを求め、数点伺います。

現在、住民税非課税世帯等に5万円の給付が行われていますが、もっと幅広い市民に給付すべきと考えます。住民税非課税世帯であっても扶養控除をされている方や、均等割りのみの方などぎりぎりでもらえない方が多くいます。単身の場合で総所得が45万円以下という均等割りのみ課税世帯などにも、対象拡大を行う考えはありませんか。

-村山市長

 住民税非課税世帯等に対する緊急支援給付金の対象につきましては、令和4年度に住民税が課税されている世帯であっても、本年1月以降に家計が急変し非課税世帯と同様の状態にあると認められる場合には支給対象となることから、市独自に対象を拡大することは考えておりません。なお、家計急変世帯に対する支給については申請が必要でございますので、引き続き市民に対する周知に努めていきたいと考えております。

上下水道料金の減額について

-広田議員

本市が以前行った上下水道料金の減額は市民のみなさんに大変好評でした。水道事業は令和3年度の決算で、7億9600万円もの黒字が確認されています。これは本来市民に還元すべきものです。上下水道料金の減額を検討すべきですがいかがですか。

-平嶋公営企業管理者

 上下水道料金の減額についてお答えいたします。今回お諮りしております補正予算案におきまして、エネルギー価格高騰に伴います上下水道施設の光熱費などの経費の増額をお諮りしており、水道事業また下水道事業におけます当年度予定利益も減少する見込みとなるなど厳しい経営環境にございます。現時点におきまして基本料金の減額等を行うことは考えておりませんが、これまでも療養援護を受けている方を対象に基本料金相当額の減免制度を適用しておりますほか、上下水道料金の支払いが困難な方には事由の把握に努め、分割納付や支払い期限を延長するなどきめ細やかに対応しております。なおご指摘がありました令和3年度決算にかかる黒字、いわゆる未処分利益剰余金でございますが、将来の老朽管更新対策や企業債償還の財源として積み立てることをお諮りしているところであり、ご理解願いたいと思います。

子どもの医療費助成18歳まで対象拡大について

-広田議員

そして、市民のみなさんと長年取り組んできた、子どもの医療費助成制度。私たちは18歳までの対象拡大と窓口無料化を求めています。この2か月あまりで1374筆もの署名が市長に届けられ、今も署名は続いています。このくらしが大変なとき、早急に実施を決断するよう求めますがいかがですか?

-村山市長

 こども医療費につきましては、県では来年度からこども医療費助成の市町に対する補助を拡大することとしておりますが、これに伴う本市の負担減少分の使途については、県から子育て施策に活用するよう要請がきていることを踏まえ、どのような施策に活用するか、明年度の当初予算の編成作業の中で検討してまいりたいと考えています。

〇歌劇座の建て替えについて

-広田議員

こんなに市民生活が大変なときに、歌劇座の建て替え検討が進められてきました。さらに先月22日の報道では、日銀跡地での建て替えがむずかしいので、歌劇座はそのままにして、日銀跡地にあらたな演劇施設をつくる提言が経済同友会から出され、市長は「ニーズを調査し、検討する」と発言。来年度、県も含む検討組織を立ち上げるともしています。大変驚きました。現在、市のほうで歌劇座について現地か日銀跡地かで建て替えの検討が行われている段階であり、まだ議会としては結論のご報告も受けていません。にもかかわらず、あらたな検討組織の立ち上げをおっしゃられたのでしょうか?市民と議会軽視であり問題ではないですか?そもそも、歌劇座の建て替えは市民が求めたものではなく、山野前市長が経済同友会の要望に応え、検討をはじめたものです。それが破綻したら「次は日銀跡地に別の施設を」とはとんでもありません。一度、歌劇座の建て替えも含め白紙に戻すよう求めますがいかがですか。

-村山市長

 日本銀行金沢支店の跡地につきましては、市の主体的な関わり方を早期にお示しすることが肝要との思いから、明年度にも活用の方向性を検討する組織を立ち上げたいと考えております。歌劇座の建て替えにつきましても、建物の機能向上を含めた検討を重ねているところであります。いずれも都心の風格や賑わいに関わる必要な施策であり、引き続き検討を進めてまいりたいと思います。なお、施策の推進に当たりましては議会に対する説明の重要性は十分に認識しておりまして、これからも留意してまいりたいと考えております。

〇除雪について

-広田議員

 除雪についてです。気象庁によれば、今冬の気温は全国的に平年より低く、西日本の日本海側の雪は平年並か多くなる予想です。これまで、わが党は市道に対し市が行う除雪範囲をもっと広げるよう求めてきました。それに対し、本市は「必要な路線については、計画路線の指定を検討していく」としていましたが、今シーズンの計画でも市道の4割を超えていません。この4割は平成17年から17年間ずっと変わらないままですが、なぜなのか、あきらかにしてください。

一方で、道路法第42条で、『道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つ義務』が定められています。この法律のもと、近隣市町、たとえば富山市は8割、福井市は85%、小松市85%、白山市は73%の除雪計画を立て除雪を行っています。本市の4割は低すぎます。まずは、今冬の対策をどうするのか。そして、来年度に向けて大幅に除雪基準、予算を見直し、計画路線の拡大検討を行うよう求めますがいかがですか。

-坂本土木局長

 除雪につきまして2点ご質問がございました。最初に除雪計画についてでありますが、毎年通学路など新規除雪路線の追加や除雪委託業者並びにオペレーターの確保を図るなど見直しを行いながら、金沢市道路除雪計画を策定してきております。今年度も除雪委託業者は微増減があるものの5社の増で、昨年並みの除雪体制となりますことから、市道における除雪作業を迅速かつ的確に行うことは限界があります。市道の除雪延長は海側幹線など約6.5kmの微増となりますが、除雪路線の現状に大きな変化はございません。

 次に今冬の対策、除雪範囲の拡大についてであります。除雪委託業者やオペレーターなどには限りがあります。現状では大幅に除雪路線を拡大することは困難であると考えております。今後も除雪委託業者やオペレーターの確保に努めるほか、道路状況に応じて優先順位を見極め、必要な路線を選定しており、ご理解願います。市民生活の安全安心を確保すべく、今冬の除排雪体制も職員とともに一丸となって全力で取り組んでいきます。

〇コロナウイルスとインフルエンザウイルス感染症対策について

-広田議員

コロナウイルスとインフルエンザ感染症対策について伺います。県内では、10月下旬以降、コロナ感染症の増加が顕著であり、病床使用率も増加しています。さらに、今シーズンはインフルエンザの同時流行も懸念されている状況です。まずは、コロナウイルスに関しては、9/26を皮切りに、全数届け出はやめ、報告についても、年齢だけであり、市町村別や所属など詳細な感染情報が少なく、医療機関などでも感染傾向がつかめず大変苦労しているとのことです。現在、本市では予測も含め、どのような感染傾向があるのか、そして対策を考えているのかあきらかにしてください。

-村山市長

 新型コロナウイルス感染症につきましては、市内の医療機関からの患者数の報告は10月下旬から増加傾向が続いております。またインフルエンザにつきましては、定点把握による発生動向調査によると、現時点で市内における流行の兆しは見えておりません。今後年末年始にかけて人と人との交流の機会が増えることから、新型コロナ感染者の増加とインフルエンザの流行が懸念されます。このため本市では、感染者が発生した高齢者入所施設等に対して早期に保健師を派遣し、感染拡大防止対策を指導・助言する体制を整えたところであります。また市民の皆様に対しては引き続き3つの密の回避、こまめな手洗い、効率的な換気など、基本的な感染防止対策の徹底と新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの積極的な接種をお願いしていきたいと思っております。

-広田議員

つぎに、コロナ第8波の到来とインフルエンザの同時流行に備え、医療機関では、両ウイルスを同時に検査できるキットを用い対応をしていると聞いていますが、2種類の感染対応が必要となります。現在、スタッフにも感染が広がり、人手不足の中必死の医療が行われています。このような医療現場に経費面など経済的支援が必要ですがいかがですか。

-村山市長

 本市では現在、発熱外来を設置する休日当番医に対して、通常より委託料を上乗せして支援するとともに、金沢広域急病センターで発熱外来を臨時的に日中開設し、医療機関の負担軽減に努めているところであります。医療機関の強化や財政的支援については全国的な課題であり、一義的には国が対応すべきものだと考えております。医療機関の経営の安定化に資する財政措置など、引き続き全国市長会を通じて要望してまいりたいと考えております。

〇保育・学童保育の人員拡充について

-広田議員

 保育園や学童保育の人員拡充についてです。

 本予算案では、保育園や認定こども園の送迎バスの安全装置導入について国補助が予算化されています。これは、園児が通園バス車内に置き去りにされる事故が相次いだことから創設されたものです。わが党は他党とともに、法案を共同提出しており、その中の安全装置の全額補助が実現したものです。しかし、これらの事故は、通園バスでの置き去りだけではなく、散歩中やプール、午睡中の事故、災害時の避難についても現場では大変心配されています。その大本には、職員の配置基準が低すぎる問題があり、現場からは改善が強く求められてきました。今回のバスの件でも、保育士の同乗が余裕をもって可能となるように、現場での配置基準の引き上げを行うお考えはありませんか?

-村山市長

 市内の保育所等が運行する送迎バスにつきましてはすでに複数人の職員が同乗しております。なお保育士の配置基準につきましては、本市独自ですでに国基準を上回る配置を行っておりますことから、今のところ見直すことまでは考えておりません。今後国から安全対策にかかるガイドラインが示されることから、その内容を注視してまいりたいと考えております。

-広田議員

 学童保育についても、人員体制の拡充は切実な要望です。10月に金沢市学童保育連絡協議会のみなさんから市長へ要望が提出されました。待機児解消の整備計画も必要ですし、現場の実務的なご苦労として会計や労務管理を指導員や保護者が担っている実態が報告され強く改善が求められました。この点については、国の補助事業を活用して改善できないでしょうか、伺います。

-藤木こども未来局長

 放課後児童クラブの会計労務等の職員につきまして配置のご質問がございました。本市では令和2年度に放課後児童クラブが専門家に会計や労務管理の指導・助言を受ける場合の支援制度を創設いたしまして、これまで令和2年度に19件、令和3年度に2件、本年度は11月末現在で12件のクラブが制度を活用しております。会計・労務管理が放課後児童クラブの運営にとりまして負担となっていることは承知をいたしておりまして、支援員が児童と接する時間を十分確保するためにも、どのような方策がよいか研究してまいりたいと考えております。

〇加齢性難聴に対する補聴器購入公費補助について

-広田議員

つぎに、9月議会でも取り上げました加齢性難聴に対する補聴器購入の公費補助についてです。市長が質問に対し、高齢者の生活の質の改善に言及し、「研究する」と踏み込んだ答弁をしていただき、大きな反響と期待の声が寄せられています。また、署名も取り組まれ、10日分の第1次分で891筆が市長のもとへ届けられました。そこで、「研究する」とされた後、なにか進展はありますか。期待の声と同時に、補聴器をご利用の方やご家族から、改めてその負担の大きさが寄せられています。たとえば、「補聴器がほんとうに高く、片耳で数十万円。それも、基本5年の保証期間だが、湿気などで3年で買い替えが必要な場合もある。電池の交換も必要で負担。毎月定期チェックにお店に行くが、その交通費もかかり、生活が圧迫されている。補聴器の購入補助だけでも本当に助かる」というお声です。ぜひとも早めに研究を進め、実施に向けて取り組むよう求めますがいかがですか。

-村山市長

 加齢性難聴者を対象とした補聴器購入補助制度について、中核市の状況を調査したところ、補助制度を持っているのは62市中5市と少ない状況であります。高齢者が補聴器を利用することは社会参加の促進や生活の質の向上に資するものと理解しております。一方で、本来は国の補装具の給付で対応すべきものであると思っておりまして、引き続き国や他都市の状況を注視しながら研究してまいりたいと思っております。

〇聴力検診の拡充について

-広田議員

つぎに、聴力検診についてです。わたしの質問を通じて、初めて聴力検診を受けた方から、「耳鼻咽喉科でとても丁寧に調べてもらえた。難聴ではなかったが、毎年変化も確認できるし、予防もしていこうと思え、受けて本当によかった」とご報告がありました。しかしながら、対象が65から74歳までであり、来年は受けられないというお声もお聴きします。検診開始当初とは、高齢者の社会参加も変化しています。また、受診もせず、あわない機械を買ってしまった事例もあります。専門医らによってフォローする仕組みもある本市のすこやか検診の聴力検査対象を、75歳以上へも拡大すべきではないでしょうか。見解を伺います。

-村山市長

 加齢性の難聴は一般的に65歳を超えると増加すると言われており、早期に発見し難聴による認知症予防などに取り組むことが重要であると考えております。まずは現在の対象年齢の方に対する受診率の向上に努めてまいりたいと考えております。

〇マイナンバー制度について

健康保険証廃止について

-広田議員

マイナンバー制度について伺います。

 まずは健康保険証の廃止についてです。10月中旬、「健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化させる」と河野デジタル大臣が表明しました。一方、国会で岸田首相は「カードを取得しない人には、別の制度を用意する」と述べるなど、「保険証廃止」は政府内の議論も法的根拠も全く不十分であり、市民も現場も混乱をしています。しかし、病院にかかれなくなる心配から、カードを取得するつもりのなかった方が慌てて窓口へ来られる姿もあります。マイナポイントなど3兆円もつぎこんでそれでも交付が伸びないからといって、次は保険証を人質にして交付率を伸ばそうなどとは行政がやるべきことではありません。まず伺いますが、マイナンバーカードの取得については、マイナンバー法上なんの規定もなく「取得は任意」とされています。健康保険証を廃止してマイナンバーカードに統合することは事実上の強制であり法律に反します。カード交付者である市長としては、市民にはどのようにご説明するのか伺います。健康保険証廃止は誰も望んでいません。保険証はたとえば国民健康保険証ですと、期日が切れる前に自動であたらしい保険証が届き、紛失しても即日発行が可能です。一方、マイナ保険証だと、5年に1度窓口での更新が必要です。急病で病院に行ったら未更新で使えない、紛失しても1か月以上発行にかかるとすれば安心して受診ができるでしょうか。しかも、マイナ保険証の使える医療機関も少なく、本市では身近な医科の診療所では28%に過ぎないのです。

さらに昨今、医療機関でのランサムウェア、市内医療機関でも不正アクセスの被害などセキュリティ上の問題が起きており、今後マイナンバーとの連携を本格化することに課題があります。個人情報保護委員会の年次報告でも21年度までの5年間で5万6千人ものマイナンバー情報が紛失し、不正アクセスの被害もあったとのことです。石川県保険医協会からは、「保険証廃止とオンライン資格確認体制整備の義務化の撤回を求める」声明が出されました。医療機関では来年4月から同カードによる資格確認の整備が義務化されますが、整備にかかるコストやスタッフの問題、情報漏洩など不安が出されている、とのことです。さらに、整備が義務化によって、廃業せざるを得ない医療機関もあるなど、地域医療に大きな影響を及ぼすとし、保険証廃止の撤回を求めています。市長は、健康保険証の廃止をこのまま進めてよいとお考えですか。金沢市の医療と市民の受診権を守るために国に中止を求めていただきたいと思いますがいかがですか。

-村山市長

 マイナンバーカードと健康保険証の一体化の制度設計につきましては、国において関係府省による検討会が設置される等、今後十分な検討が行われていくと認識しておりまして、国の動向を注視していきたいと考えております。またマイナンバーカードの保険証利用により、診療時に過去の検診結果や薬剤情報が共有でき適切な医療に繋がるといった市民の利便性が非常に高まるということが考えられます。国においてはこうしたメリットなどを考慮して健康保険証を廃止していく方針が出されたものと認識しております。本市として中止を求めることは考えておりません。なお、全国市長会から国に対し、健康保険証の廃止にあたっては国民への十分な周知徹底を図るとともに医療関係者等の理解や協力が得られるよう必要な支援を行うことなどについて要望しているところであります。

政府のねらいについて

-広田議員

さいごに、マイナンバー制度は、運転免許証、銀行預金、学業成績まで紐づけるという話もされ、経団連が望む、国に個人情報を一元化して社会保障給付の見直しという可能性も否定できません。市民にとっては便利どころか、よくわからぬまま、強引に進められ、国への不信は募るいっぽうです。マイナポイント取得について今回、さらに相談窓口が予算化されていますが、これは原則本人が行うものとされています。マイナンバーカードは第3者に安易に見せてはいけないし、暗証番号なども必要だからです。しかし、高齢者をはじめ、できない方が多いため、相談窓口まで予算をかけて必要となっています。マイナポイント取得が困難な段階の方が、マイナポータルやマイナ保険証の利用は可能だという制度設計なのでしょうか、大変疑問です。このような状況でも、自治体はカード交付率を競わされ、デジタル化交付金を申請するには、カード申請率が全国平均以上でないとダメなど、ムチを用いるやり方を強いられているのは問題です。自治体は国の下請け機関ではありません。あくまでも市民のための機関です。撤回を求めるべきではないでしょうか?

-村山市長

 マイナンバーカードはデジタル社会を形成する上で必要となるツールのひとつであり、できるだけ多くの市民の方々にカードを所有していただきたいと考えております。交付金の交付要件に限らず、引き続き市民の方々へのカードの交付に万全を期してまいりたいと考えております。なお、デジタル田園都市国家構想交付金の要件につきましては、国から示された通り対応していきたいと考えております。

~~追加質疑~~

-広田議員

 まず歌劇座の建て替えについてですけれども、新聞報道ではもう歌劇座を日銀跡地で建て替えることが難しいから日銀跡地には新たな施設を、そして市長が検討組織をという流れで見受けられたんですね。ところが議会ではまだ歌劇座が現地で建て替え可能なのか日銀跡地でどうするのかという結論も全く報告は受けていないんですね。なので議会の外でそうやって勝手に決めている印象を持ったから、今回議会を軽視しているんじゃないかという質問をしたわけです。その点についてやっぱりそこは順序がおかしいんじゃないでしょうか。改めて見解を求めます。

 もうひとつ、こどもの医療費助成制度ですけれども、午前中も答弁ありましたが、私はあとは市長の決断だと思います。6月議会で粟森議員の質問に対して、市長はこの対象年齢を引き上げたくないという話ではないとはっきりおっしゃったわけですよね。予算の面の話をされていましたけれども、今本当に物価高騰で大変な中、そして子育て世帯が特に苦しんでいるという、国もそういう見解をもって大きな施策方針を出しているわけですけれども、金沢市が躊躇していて良いのかと思うわけです。3月を前に、私は早く市長が決断をすることで金沢市民、子育て世帯が安心して子育てができると思いますけれども、決断を求めたいと思います。

-村山市長

 2件ご質問をいただきました。初めに日銀の跡地あるいは歌劇座の建て替えということについてであります。現在歌劇座の候補地として現地の建て替えあるいは日銀跡地での建て替えと、それぞれでどのようなものだったら建設できるのかということを検討しております。元々歌劇座がどのようにあるべきかというような検討をした中で、それのサイズでははまりきらない、あるいは工法として難しいというところが出てきたので、その2か所での検討ということをしております。一方で、金沢経済同友会での議論があった中で、日銀跡地をどうするかということ、これに対して県に対しての問いかけが、私のときとは別のときに県知事との懇談会でありました。その中で県知事の方から、要請があれば県の方も議論に関わっていくということをおっしゃっていただいていたわけですけれども、それに対してどう答えるのかということの質問がありました。今後、日銀跡地でどう作るかとかできるかということの結論は私の中ではまだ出ておりません。ですので報告はできませんけれども、日銀跡地をどうするのかということに県が加わるのかどうかということに対して、そこについては今後これは歌劇座のホールとして使うこともあると思うんですけれども、その中でどのようにしていったらいいかというときに、県が議論に加わっていただくということについてお答えを申し上げた、これが記事に載ったということであります。

 もう一点、こども医療費の助成についてです。県の方で今回市町に対する補助の拡大ということを行っていただくというように発表されました。これについては全国平均でみて進んでいるという状況の県の補助ではないというように思っています。いずれにしてもこども施策の充実に対しては用いていきたいと考えておりますけれども、それをどのように浮いた分の財源を使っていくかということについて、財源の規模もかなり議員にご提案いただいたものとは大きくかけ離れていますので、そういったところも検討しながらどうあるべきかということは明年度の予算編成の中で検討していきたいと考えております。

-広田議員

 歌劇座ですけど、今はっきり現地で建て替えるのか日銀跡地で建てるのかの検討は終わっていないと、まだ報告も市長も受けていないという段階なのに、記事によるともう日銀での建て替えが難しいので新たな別の施設を日銀跡地で建てるための検討を始めるという流れになっちゃっているわけですよね。それが誤解だというならしっかり言っていただきたいと思いますし、もし本当であれば日銀は今歌劇座にとっての一連の話のひとつであって、別の施設を建てるなんていうのは寝耳に水なんですよ。どっちが目的なのって疑いたくなっちゃうくらいです。なのでそこの話の順序がおかしいんであればしっかり、まだ結論を見ていないのであればそう言っていただきたいですし、日銀跡地に手を付けるのであればちゃんと歌劇座の話を整理してからではないかと思います。そもそも私たちは歌劇座の数百億円もするかもしれない建て替えには反対ですけれども。その点しっかり整理していただきたいと思います。

 そしてこどもの医療費は、県の基準をこどもの医療費で上げて市の負担分が減ったんですから、当然その分は金沢市のこどもの医療費の助成制度に使うべきなんです。その方向性だけでも明らかにすべきです。お願いします。

-村山市長

 歌劇座についてでありますが、もう使用を始めてから50数年経っております。耐用年数は65年という建物ですので、建て替えについては考えなければいけない。それをどこの土地で建てるかということの結論を今検討しているところであります。その中で新聞報道があったわけですけれども…(時間切れ)

 2つご質問いただきましたけれども、適切に対応を考えていきたいと思います。

(クリックするとPDFが表示されます。)

日本共産党金沢市議員団 左から 大桑はつえ議員 広田みよ議員 森尾よしあき議員

2022年10月18日

金沢市議会議長 高岩 勝人 様

本市議会議員と旧統一教会との関わりについての申し入れ

日本共産党金沢市議員団
森尾 嘉昭
広田 美代
大桑 初枝

 岸田首相は、17日旧統一教会(世界平和統一家庭連合)について、宗教法人法による質問権を行使し、調査するよう指示しました。同法が規定する「質問権」が行使されるのは初めてで、政府は、組織の業務や管理運営の実態を調べ、裁判所への解散命令請求の適否を判断する方針とのことです。この間、明らかとなったのは、以下の点です。

第一に、旧統一教会は、霊感商法や集団結婚式などによる被害を引き起こし、社会的批判を受けてきた反社会的集団・カルト集団であることが明確になってきたことです。

全国霊感商法対策弁護士連絡会によるとこの旧統一教会による被害は、1987年から2021年までに、3万4537件、被害総額約1237億円にのぼっています。さらにその被害は「信仰二世」にも及ぶなど現在も続いています。

第二に、岸田内閣と自民党との癒着が次々と明らかとなっています。

岸田内閣の閣僚が旧統一教会との関係について次々に明るみとなり、自民党が党所属の国会議員に報告を求めたところ、追加報告を合わせ、接点があった国会議員は180人にのぼりました。

2015年の名称変更に絡む自民党政権との疑惑、憲法改正や、ジェンダー平等などへの政策的影響をもたらしたとの指摘がされています。

本市議会においては、坂本前副議長が、旧統一教会が関係するイベント「ピースロードin石川」のYouTubeに登場し、選挙においても人的支援を受けていたことを自ら明らかにしました。高市議は、旧統一教会が関係するイベント「ピースロードin石川」のYouTubeに登場し、このイベントに参加しています。野本市議は、旧統一教会の関連団体である、天宙平和連合により、任命された平和大使によって組織された平和大使協議会の「石川平和大使協議会顧問」と、ご自身のホームページに記載がありました。

岸田首相は、10月5日旧統一教会をめぐり、政治への信頼回復に向け、自民党との関係を断絶する考えを表明し、地方議員も含め徹底するとしました。

第三に、旧統一教会が、表裏一体の国際勝共連合とともに、反共謀略活動を繰り広げてきたことです。

以上のことから、議長におかれては、議長自らをはじめ、各議員が統一協会や関連団体との関係について自ら調査し、その内容を市民に公表するとともに、関係を断絶するよう呼びかけることを再度、要請いたします。

高岩議長は、「議員それぞれが自らを律する話であって、議会として何かすることは考えない」と回答しました。

しかし私からは、「全国の自治体で問題となっているのは、社会的に問題となっている旧統一協会との関係は、一議員が選挙応援を受けただけではなく(それも適切ではないが)、政策立案や決定にまで影響を及ぼした可能性があるということです。議会として、市民に対しそのようなことがなかったのかあきらかにする必要がある。よって、議員個人としてではなく、議会として行動することに意義がある。富山市議会ではそれを行うことになった。」と発言しました。

(クリックするとPDFが表示されます。)

議長へ申し入れ文書をわたすところ

2022年10月5日

金沢市議会議長 高岩 勝人 様

議長就任祝賀会における発言の取り消しと陳謝を求める申し入れ

日本共産党金沢市議員団

森尾 嘉昭

広田 美代

大桑 初枝

 去る9月24日、高岩議長の就任祝賀会が開かれ、その席上で、次のようなあいさつをされたと報じられています。

 高岩氏はあいさつで日本の教科書問題に触れ、友人の娘が留学先で日本を「韓国と中国で国民を虐殺した悪い国」と話したところ、「友達がいなくなった」とのエピソードを紹介した。その上で、「(友人の娘は)自国を悪く言う人は『両親が共産党かテロリスト』と言われたそうだ」と指摘し、教科書の見直しを訴えた。

 この発言は、重大な問題があります。

第一に、日本の教科書問題に触れて、引用された事例について、どこの国への留学なのか。高校生なのか。大学生なのか。そして、いつの時代の話なのか。根拠あるものとは到底言えるものではありません。

第二に、「(友人の娘は)自国を悪く言う人は『両親が共産党かテロリスト』と言われたそうだ」との発言を行ったことです。共産党とテロリストを一緒に扱い、非難した発言を取り上げるのは、間違った印象を与えるものです。

どこの国の共産党なのか不明ですが、日本共産党は、結党以来100年の歴史を持ち、日本の平和と民主主義、くらしを守って活動を続けています。テロリストとは、全く関係ありません。

以上のように、議長就任祝賀会での発言としては、問題があり、議長として責任が問われるものです。

よって、その発言を取り消し、陳謝するよう求め、申し入れます。

この申し入れに沿って、やりとりをし、高岩議長からは以下の発言がありました。

〇留学先はどこの国なのか?

👇

・友人の娘さんはオーストラリアに留学して、いろんな国の方と接する中で、どこの国の方からかわからないがそのように言われた。

・日本共産党のことを言っているわけではない。

〇金沢市議会議長として適切な発言をしてほしい。

👇

・今後、気をつけたい。

加齢性難聴について

-広田議員

 まずは、加齢性難聴について伺います。「難聴」とは、聞こえにくい状態のことをいい、加齢性難聴とは、文字通り加齢による難聴のことです。加齢による聴力低下は一般的に高音域から始まり、40歳代、50歳代と低下、60歳代になると、「軽度難聴」レベルまで低下する音域が増え、聞こえの悪さを感じる人が急激に増えていきます。65-74歳では3人に1人、75歳以上では約半数が難聴に悩んでいると言われています。日本老年医学会雑誌に掲載された調査では、65歳以上の難聴高齢者数は約1655万3千人と推定されるとし、一方で日本補聴器工業会の調査では、難聴を感じている人の補聴器所有率は14.4%と低い状況です。まず、本市ではすこやか検診において、65歳以上の聴力検診を行っていますので、本市の加齢性難聴や補聴器使用の傾向についてあきらかにしてください。

-高柳福祉健康局長

 本市における加齢性難聴や補聴器使用の状況についてでございます。本市では昨年度のすこやか検診の結果によりますと、65歳から74歳までで難聴の傾向がある方は、軽度低下の方が482名で受診者数の32.2%、中等度障がいの方が79名で5.3%、高度障がいの方が2名で0.1%となっています。そのうち新たに補聴器の装用が必要であるとされた方は90名で、受診者数の6.0%となります。

-広田議員

 さきほど述べた、65歳以上で推定1655万人強という数字は、実に国民の13%以上にあたります。しかし、難聴ははた目にはわかりづらく、人に会うのが億劫になり引きこもってしまっているケースもあります。さらにコロナ禍では、マスク着用により、もっと聞こえにくく、また感染対策から外出も減り、ひきこもりがちな高齢の方がより増えている可能性もあります。難聴によってコミュニケーションが困難になると、家族や社会から孤立し、生活の質や生きる意欲まで低下します。認知症の約8割は難聴の放置が背景にあるとも言われ、とても深刻な問題です。2017年医学雑誌ランセットに掲載されたのは、認知症発症リスク要因のうち、一番大きな要因として難聴が挙げられたというものです。聞こえづらくなると、会話に消極的になります。会話の機会が減ると、脳の情動と思考を司る部分が衰えて認知機能が低下すると考えられています。また、聴覚から入った音の刺激は、脳神経において複雑な神経伝達回路をたどっており、聴覚刺激が減ること自体、脳の萎縮につながる可能性も指摘されています。そして、そもそも聞こえは生活に直結する問題であり、重要な情報が聞こえなければ交通事故や災害時の逃げ遅れなど、生死を左右する可能性もあります。市長は、加齢性難聴と生活の質や安全、認知症との関係についてどのようにお考えでしょうか。

-村山市長

 加齢性難聴と生活の質、認知症との関係についてご質問いただきました。難聴は、日常的な会話を困難にし、生活の質を落とす大きな原因となるだけでなく、コミュニケーションが減ることで引きこもりや認知症の要因ともなると言われおり、高齢者の方には定期的に検診を受けていただき、難聴の傾向を早期に発見することが大切だと考えております。

-広田議員

 WHOは、平均41デシベル以上しか聴き取れない方に補聴器の使用を推奨しています。本市の聴力検診でも、「正常」を除く40デシベル以下を「軽度低下」、40~70デシベルで、「中等度障がい」、70デシベル以上を「高度障がい」とし、軽度低下以上の方に対し医師が補聴器などの推奨や治療、経過観察などを行っています。このように、補聴器使用に至るまでには、検診などのスクリーニングを通じて客観的に難聴を発見し、ご本人に治療や補聴器の装着をお勧めすることがまず重要です。厚生労働省の令和2年度の老人保健健康増進等事業として行われた、「自治体における難聴高齢者の社会参加等に向けた適切な補聴器利用とその効果に関する研究」の中で、本市の聴力検診がとりあげられています。というのも、自治体で聴力検診をしているのは、この研究ではわずか0.4%に過ぎず、その中に本市が入っているからです。本市の聴力検診は、1998年に金沢市耳鼻咽喉科医会から実施要望が出され、2000年よりすこやか健診の中で65歳から74歳までの方を対象に実施することになりました。特徴として、医師会が中心となり、耳鼻咽喉科で実施し、検査後、経過観察が必要になった方のフォローも行っています。しかしながら、聴力検診の受診率は全対象者のうち3%前後と低くなっているのが現状です。まずは受診率の低さの原因をどう分析しているのか、そのもとで本市の聴力検診における受診率向上にどのように取り組むのか、明らかにしてください。

-村山市長

 すこやか検診で聴力検診の受診率が低いのは、耳鼻咽喉科で実施しているため、特定健康診査やがん検診など他の検診と同時に受診できないことや、がんのように生命に直結する疾患でないことが原因だと思われます。受診率が低いのは課題であると感じております。これまでも検診を案内するパンフレットの全戸配布や、対象者への受診券の個別送付などを行っておりますが、本年度は金沢市医師会と協力して聴力検診の受診を促すポスターを更新いたしました。引き続き聴力検診の受診率向上に取り組んでいきたいと考えております。

ポスターの更新について👇

2021年度まで
2022年度から

-広田議員

 また、研究の中で本市があげた今後の課題として、本当は難聴だが本人が自覚していない「隠れ難聴の人」もいるとしています。検診率向上も必要ですが、耳鼻咽喉科まで行けないなどお声もあります。身近な場所でのアンケート、たとえば「からだとこころのチェックリスト」の項目に難聴について追加するなどしてはいかがでしょうか。

-村山市長

 「からだとこころのチェックリスト」については、早いうちから介護予防に取り組むことを目的に、セルフチェックで自身の生活機能を確認するものであり、質問項目と評価の方法が国により定められていることから、独自の質問項目を加えることはできません。医療機関以外の場所でのスクリーニングについては、その方法が確立されていないと聞いており、現状では課題が多いと考えております。

-広田議員

 検診後のフォローに関する課題についてはこう書いてあります。「聴力検診実施から約20年近く経過しているが、補聴器装用率は低く、高めることが課題。2019年の実績では、聴力検診を受診し、補聴器の装用が必要と報告のあった高齢者は65名いるが、実際に補聴器を装用した高齢者は7名(10.8%)にとどまった。満足度は7名中7名がほぼ満足と回答しており、補聴器をつければ生活の質が上がるのは確実なのだが、補聴器を購入するまでがかなりハードルが高いと見受けられる。購入価格の問題もあるが、補聴器に対するイメージもあると考える」としています。まずは、直近の2021年の検診結果から、難聴とされた方にどのようなフォローが行われ、補聴器購入などに至った件数、割合はどれだけあったのか、明らかにしてください。

-高柳福祉健康局長

 すこやか検診の結果、難聴と診断された方に対するフォローと、補聴器の購入に至った件数と割合についてです。検診の結果補聴器の装用が必要とされた方に対しましては診断した医師がご本人に対して補聴器の装用を改めて勧めているほか、検診の3カ月後を目途に経過観察を行っております。その結果、補聴器の装用が必要とされた90名のうち、補聴器の装用に至った方は11名で12.2%となっております。

-広田議員

 本市の課題にある通り、補聴器の使用が進まない大きな要因のひとつは、補聴器が高額なことにあります。にも関わらず、日本で補聴器購入の補助が受けられるのは、身体障がい者として認定される、「両耳とも平均70デシベル以上しか聴き取れない」などに限定されています。一方で、ヨーロッパなどでは手厚い公的補助があります。そのため、加齢性難聴者の補聴器使用率はイギリス47.6%、フランス41%などとなっています。

 こうした実態や要望を受けて、自治体独自の公費補助制度が広がっています。今年7月29日現在で105の自治体が実施。多くは良いほうの聴力で40デシベル以上とする割合が多く、65歳以上の対象とする自治体が多いですが、年齢制限がない自治体も17%あります。議会からも、意見書ではあるものの、公的補助制度の創設を求めるものが、昨年9月21日時点で180も採択され、石川県議会でも、そして本市議会でも平成31年の3月議会で全会一致で可決されました。また、本市では2013年に18歳未満について補助制度が創設されました。聴覚に障がいがあっても身体障害者手帳の取得要件に満たない方の補聴器の購入又は修理費の一部を助成するというものです。なぜ、18歳以上の成人や高齢者にはこうした制度がないのでしょうか。成人、高齢者の場合も、生活を守るうえで、そして介護や認知症予防のためにも、助成制度が必要です。本市独自で加齢性難聴に対する補聴器購入の公費補助制度を創設すべきではないでしょうか。市長の奏でるハーモニーを住民のみなさんに届けるためにも必要です。市長のお考えを伺います。

-村山市長

 本市の補聴器購入の支援制度でございますが、幼児期や学齢期に補聴器を装用することで、言語習得や学習への適応促進に一定の効果が期待できる18歳未満の児童・生徒を対象とした制度であり、拡充することは考えてございません。なお現在、高度難聴者を対象としている補装具費の給付について、軽度・中等度の難聴者にも対応するように全国市長会を通じて国に対して要望を行っているところであります。

地域公共交通について

-広田議員

 次の質問は地域公共交通についてです。

 金沢市の地域公共交通をめぐっては、現在、法定協議会において、第3次金沢交通戦略が議論されているところです。その中では、都心軸等への「新しい交通システム」の導入も含まれ、それとの整合性を図ってこれまで進められてきました。その新交通システムについて、先月29日に検討委員会が提言案について議論されたとのことです。「バスの利便性向上なくしてつぎに進めない」といった内容と感じましたが、まずは、議論の内容についてあきらかにしてください。

-村山市長

 先月の新しい交通システム導入検討委員会では、コロナ禍や燃料価格高騰により公共交通が厳しい状況にある中で、公共交通の需要の回復を図ることが急務であり、まずは現状のバスの運行形態を活かし、バスのサービス水準向上に取り組むことが議論されたと承知しております。

-広田議員

 これまで、都心軸にLRTかBRTかという議論を繰り返してきたわけですが、都心軸の交通はむしろ充実しており、バスを利用する市民からは、どこへ行くにも一度、駅やまちなかを経由する必要があり不便だというお声や、観光重視の路線づくりでなく、住民生活を基本にした路線づくりをしてほしいといった声が届いています。厳しい民間の運営状況では困難があるかもしれませんが、もちろん国にも財政措置を求めつつ「バス利便性向上」は市民生活のためのもとして、まちなか中心ではなく、市内全体を網羅した地域交通計画にシフトするべきですが市長、いかがでしょうか。また、金沢市第2次交通戦略の策定時点に比べても、地域社会における高齢化が急速に進行しており、自動車運転免許の返納者・希望者も増大しています。地域における公共交通のあり方の改善、市が運営するかどうかは別にしても、ふらっとバスのようなコミュニティバスの導入促進の必要性について市長はどのようにお考えでしょうか。

-村山市長

 第3次金沢交通戦略につきましては、路線バスのほか、ふらっとバス、公共シェアサイクル、地域運営交通など、様々な移動手段を組み合わせ、過度に自家用車に依存せずに暮らせるまちづくりを進めるという視点で検討を行ってございます。バス事業者におかれましては、高齢者などの市民ニーズに対応するため、すでに病院や公共施設を経由するバス路線を運行しており、また地域運営交通においても同様のルート設定となっております。第3次金沢交通戦略の議論におきましても、特に車を運転できない高齢者等の移動手段を確保する視点を大切にしていきたいと考えております。

-広田議員

 予算の面でみると、LRTの整備にかかる費用は数百億円規模の可能性が指摘されてきましたが、現実路線に切り替えた今、そこまでの投資は要らないふらっとバスのようなコミュニティバスを各地域で運行する検討も行うべきではないでしょうか。

-村山市長

 新しい交通システムにつきましては、いまだ議論の途上であります。中期財政計画においても整備財源の措置を行っておりません。すなわち、ここから財源が生じるということではありません。その財源をどうするかということは考えられないところであります。

-広田議員

 次に第3次金沢交通戦略の骨子案に示された点に沿って伺います。まずは、めざすネットワークとして、まちなか、居住誘導区域、郊外、とゾーンをわけて、主に公共交通重要路線、その他のバス路線、フィーダー交通を描いていますが、ゾーンとの関係があいまいです。具体的な構想をあきらかにしてください。

-新保都市政策局長

 第3次交通戦略における3つのゾーンの考え方についてお尋ねがありました。3つのゾーンの区分でありますが、金沢市中心市街地活性化基本計画で定める区域をまちなか区域、金沢市集約都市形成計画に定める居住誘導区域のうち、今ほどのまちなか区域を除いた区域を居住誘導区域、それ以外を郊外区域として設定することを想定しております。

-広田議員

 わたしが、7月の検討委員会を傍聴して感じたのは、市内中心部、中間部、郊外とそれぞれの交通に関する課題があり、住民の要望があるにも関わらず、中心部や観光についての議論が多く、バスの便が減り切実な地域の実態や、通学や買い物、病院に行けないといった住民生活に即した議論がほとんどされていなかったことです。すでに骨子案の段階ですが、新交通システムの方向性も形になった今、再度、地域や住民、学生の実態にもとづいた議論を行い具体化するべきですがいかがでしょうか。

-村山市長

 第3次金沢交通戦略につきましては、金沢市交通まちづくり協議会における都市交通戦略・地域公共交通計画策定分科会で検討を行っております。分科会には町会連合会やPTA協議会、身体障害者団体連合会、老人連合会、金沢まちづくり学生会議などの市民団体に参加いただいております。今後住民へのアンケート結果やパブリックコメント、住民への説明会などを予定しており、様々な場面において丁寧な議論を行っていきたいと考えております。

-広田議員

 さらに、そのネットワークの中で示されているフィーダーバスは、地域運営交通などを指すとしていますが、他にも種類があるのか、またその設置目標数や計画は、現時点でどのような想定がされているのかあきらかにしてください。

-村山市長

 現在の第2次金沢交通戦略においては、まちなかと郊外をつなぐ公共交通重要路線と、郊外から公共交通重要路線に接続するフィーダー交通を組み合わせながら公共交通ネットワークを構築することとしておりまして、地域運営交通がこのフィーダー交通の役割を担っております。なお地域運営交通は、地域における合意のもと住民が主体となって運行するものでございます。公共交通が不便な地域における導入が進むよう、制度の周知には努めてございますが、現在のところ導入を目指す具体的な地区までは定めてはおりません。

-広田議員

 6月議会でも市長から答弁があったように、金沢市地域運営交通運行費補助金制度の見直しが行われています。改めて、何のために、どのような方向で行われるのかあきらかにしてください。

-村山市長

 近年、コロナ禍によるバス路線の見直しなど、社会情勢が大きく変化している中、地域運営交通につきましては制度の趣旨に鑑み、現状の在り方も含めて、第3次金沢交通戦略の議論の中で整理しているところであります。 

-広田議員

 この地域運営交通運行費補助制度は、地元負担があります。それでも導入しようとするのですから、それだけ強い住民の要望が存在します。にも関わらず、見直しによってあらかじめ制度の適用地域を限定したり、地域によって適用内容に差を設けることは、公共交通利用上の格差を拡大することにつながりませんか。見解を求めます。そして、切実な地域要求があっても、住民のみなさん自身で路線の調整や採算面の検討、地元の理解を得るなど、大変な労力が必要です。市が全面的に関わり、地元の経済的負担をなくす必要がありますが、市長いかがでしょうか。

-村山市長

 地域運営交通は地域における合意のもと住民が主体となって運行するものであります。現状、地元負担をなくすことは考えてはおりません。

本市の各種相談員、支援員、ケースワーカーのあり方について

-広田議員

 最後に、本市の各種相談員・支援員、ケースワーカーのあり方について伺います。

 まず本市は、中核市62市の中で全体的に正規職員が少ない都市です。特に一般行政職は人口当たりワースト1位。今回取り上げる福祉部門は少ない方で上から4番目、職種別では生活保護のケースワーカーは12番目となっています。こうした福祉部門の定数を押し下げる要因のひとつに、市民の困難事例に対応する各種相談員・支援員が、すべて会計年度任用職員で賄われている実態があります。ここでは、女性相談員、近江町消費生活センター相談員、母子・父子自立支援員、子どもソーシャルワーカーについて言及します。前提として、現在の相談員・支援員の資質を問うものではなく、こうした相談支援を担当する職種は、本来は正規職員であって専門職がふさわしいという立場からの問題提起です。まず、会計年度任用職員はあくまでも正規職員の補助的業務とされていることはご存じだと思います。とはいえ、寄せられた市民からの相談を全面的にこの相談員・支援員が引き受け対応しているのが実態です。しかし、非常勤的な立場ゆえ、庁舎内で他部署と対等に連携したり、外部とのやりとりも難しいと聞いています。また、相談者の大変プライベートな部分に触れ、困難解決に向けて業務を行う以上、責任が重い立場であり、業務の補助という立場でそれが任されているというのは適切とは言えません。また、どの方も熱心に相談に当たっていただいてはいますが、やはり給与面や短期の雇用は生活を不安定にさせ、安定した相談支援が難しくなると指摘されています。さらに、即戦力として個人の力量や経験に任されている部分があり、組織内での統一した見解や対応が行われるのか、実践されたケースワークが組織として蓄積され活かされていくのか疑問です。まずは、なぜこうした相談職を非常勤の職として、会計年度任用職員をあてているのかあきらかにしてください。

-松田総務局長

 相談・支援業務に非常勤の職である会計年度任用職員をあてている理由でございますが、本市では個別分野の相談業務や支援業務に、その分野毎に様々な社会経験を積み重ねてきた人材を配置し、こうした経験を活用することが有効と考え、会計年度任用職員を配置しているものでございます。

-広田議員

 過去5年間の状況について調べました。特筆すべきは、すべて女性であるということです。採用時の年齢は、女性相談員は60代がほとんどで、平均58歳。消費生活相談員は50代60代が半数以上で平均54歳です。退職時の勤続年数については、通常5年まで勤務できるところ、女性相談員も、消費生活相談員も平均3年となっています。特例で、女性相談員と消費生活センターの相談員は5年を10年に延長できますが、延長された方は、おひとりのみです。一方、子どもソーシャルワーカーは、各年代にわたり、平均47歳と若い傾向がありますが、退職時の勤続年数は1年8か月と短く、今年度は年度途中の欠員が出ています。母子父子自立支援員は、50代60代がほとんどで平均56歳。退職時の勤続年数は3年7か月ですが、こちらも今年度途中の欠員が出ています。いずれも資格職採用のところは資格職で補っていますが、望ましいとしている職は、そうでない方も雇用されています。以上の状況から言えるのは、本市の相談員・支援員の職は、市・働く側双方にとって、非常勤であり短期雇用であることを前提とした働き方になっているのではないかということです。本市の見解を伺います。また、中には社会福祉士など資格があり働き続けたい意欲があっても、5年で雇用が打ち切られる場合もあります。そして、相談員の中には10年へ延長が可能な職とそうでない職があり、整合性がとれていません。改善する必要があるのではないでしょうか。

-松田総務局長

 すべて女性で年齢が高く短い勤務年数であるという状況についてどう考えているのか、また相談員の中でも任用期間に5年と10年の違いがあり、整合性がはかられていない、改善すべきではないかというお尋ねでございました。募集にあたって、性別や年齢の要件はございません。必要な資格や経験などを明示したうえで公募しておりまして、面接等を経て任用した結果でございます。会計年度任用職員の任期は原則5年でございますが、高い専門性や育成に時間を要するなど人材の確保が難しい、限られた一部の職種に限り、改めて能力の実証を行うことを前提に再度の任用を認めて10年としているものでございます。

 

-広田議員

 一方、公立保育士は会計年度任用職から正規職への道が開かれましたが、相談員・支援員はそうなっていません。本市で積み上げたスキルと経験を今後も活かしていただくためにも、正規への登用が必要ですがいかがでしょうか。そして、対市民へのソーシャルワーク業務が必要とされ、各課で配置が増えている今、会計年度任用職ではなく正規で専門職の採用に切り替えていくべきと考えますがいかがでしょうか。

-松田総務局長

 正規職員の採用にあたっては、地方公務員法上、競争試験によることが原則とされていることをご理解願いたいと思います。相談業務につきましては行政内部の経験だけではなく、民間を含めた様々な経験や人脈を有する人材が適切であり、専門職としての正規化は考えておらず、正規職員との連携や専門性を高める研修等を充実させていきたいと考えております。

-広田議員

 生活支援課のケースワーカーについてです。社会福祉法第16条では、本市のような都市ではケースワーカー1人に対して、生活保護世帯80世帯の受け持ちを標準数として定めています。それでも過剰と感じますが、本市では80世帯をはるかに超えて、現在1人当たり90世帯を受け持ち、そのほかに医療や介護、法外援護などの事務的な対応も行っており、さらにこのコロナ禍では自立支援給付金や住居確保給付金なども併行して行っている状況です。また他の課にはある庶務係がなく、ケースワーカーが服務管理も行っているのが現状です。まず、中期人事計画では、少ない福祉部門の計画的増員を行うとしていますが、今年度は生活支援課の増員はありませんでした。計画がどうなっているのか明らかにしてください。法律に基づく標準数を超えている現状を打開するため、早急にケースワーカーの増員が必要ですがいかがでしょうか。

-村山市長

 福祉部門の増員についてでございます。現在の中期人事計画の期間である令和3年度以降、2年間ではありますが49名の増員を行いました。またケースワーカーにつきましては、これまでも被保護世帯数の状況等に応じて、ここ10年で9名増員するなど、対応してきたところであります。今後とも社会状況等の変化を踏まえ、必要に応じ適切な措置を講じて参りたいと考えております。

-広田議員

 本市は福祉職採用という方法はとっていませんが、先ほどの相談員・支援員も含め、ソーシャルワークを専門に行う専門職を計画的に増やし、行政として人を育て、ノウハウを蓄積していくべきと考えますが、見解を伺います。

-村山市長

 福祉の専門職としては事務職の一部として社会福祉士や児童福祉士を採用しており、こうした専門職だけでなく、様々な行政経験を積み重ねてきた一般の事務職が連携することで組織体制が強化され、質の高い福祉サービスの提供につながっていくものと考えております。これまでも計画的な採用と増員に努めており、職種を問わず全体的として年度毎の状況を踏まえて対応していく予定でございます。

再質問

-広田議員

 相談支援員のことについてですが、今の局長の答弁で10年にできる人もいるという点では、先ほどの整合性がとれない職種のひとつに子どもソーシャルワーカーと母子父子自立支援相談員、こちらはまだ5年までなんですね、10年に延長できない。でもさきほどの局長の考え方からすれば、10年に延長する職種に加えても良いのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

-松田総務局長

 現時点ではそういった、先ほど申し上げましたように高い専門性や育成にかなりの時間を要するなど人材の確保が難しい、限られた一部の職種と考えてはおりませんけれども、今後の状況を見ながらそういったことは考えていきたいと思っています。

-広田議員

 今言った子どもソーシャルワーカーと母子父子自立支援相談員は、とても高い専門性が求められると思います。今、ヤングケアラーの問題であるとか次々にいろんな課題が、国からも含めて押し寄せているわけですから、早急に10年の延長を、そして私はやはり正規専門性の職種として求めていきたいと思いますが、再度市長、お願いします。

 直近の聴力検診ですけれども、90名に補聴器が必要だけれども結局11名しか装用に至っていない、12.2%、たいへん低いですよね。その方々は不自由な生活を強いられている、災害時の逃げ遅れとかも本当に心配です。そして、ランチタイムコンサートを定例化する、文化に力を入れる、そして音楽ですよね、市長。その市長のハーモニーが聞こえない。とても残念ではないでしょうか。全国市長会に要望しているのはわかりましたが、全国では自治体独自でもう補助制度が始まっていますから。ぜひその検討を、市長のハーモニーを聞いてもらうというお気持ちで、ご検討をお願いしたいと思います。

-村山市長

 先ほどの任用期間のことについてまず回答したいと思います。高い専門性を有するというところは様々な判断があるかというように思います。今後どのようにしていくか、これは人材確保の観点も考えながら検討することになると思いますけれども、現状での問題認識としては持っておりません。ただ、今後研究していくべき内容だというように思っております。

 加齢性難聴についての答弁でございますけれども、議員が質問の中でご指摘いただいた通り、本市での検診を行っているということ、これを評価いただいているというように思います。一歩一歩進めなければならない内容だと思いますけれども、生活の質の確保あるいは認知症への影響なども考慮していくと、何とか考えなければならないかなというようにも思っております。様々な方の生活の質を向上していくというのは、ひとつの私の責務だというように思っておりますので、それに向けてどのようなことができるかということは研究していくべき課題だというように思っております。

 議会議案第13号 女性デジタル人材育成を強力に推進するための支援を求める意見書について、日本共産党市議員団を代表して反対の立場から討論いたします。

 岸田政権は、女性の経済的自立をうたい、首相がかかげる新しい資本主義の中核として「女性デジタル人材プラン」の実行を位置づけています。その内容は、コロナ禍で厳しい就業や所得向上に直結するデジタルスキルを身に着けた女性デジタル人材の育成を加速させ、2030年にはIT分野における人手不足は約80万人と言われている慢性的なデジタル人材不足の解消に充てようとしているものです。しかし、その実態は臨時の労働力を確保するものに他ならないのではないでしょうか。

 新自由主義社会がもたらした弊害として、労働者派遣法の改悪など雇用のルールを壊し、非正規雇用が就業者全体の4割を占めるという状況をつくっていることも問題です。なかでも女性の非正規雇用者は54%を上回り、パート勤めの女性を中心に、コロナ禍においては厳しい労働環境に置かれています。こうした労働環境を改善し、正規雇用の割合を増やすような施策を行ったり、最低賃金1000円以上に引き上げたりすることから取り組むべきではないでしょうか。

 もちろん、就業の困難を抱えている女性に雇用の準備や、環境を手助けすることは重要であり、結婚、妊娠、育児、介護などの制約を解決することこそ求められています。

 しかし、この様な問題解決を政府に求めることを抜きにして、「女性の経済的自立」「テレワークの定着・促進に向けての全国的な導入支援制度」を求めることに実効性はありません。よって、「女性デジタル人材育成を強力に推進するための支援を求める」意見書には、賛成できない事を表明して討論といたします。

わたしは、提出会派を代表し、議会議案第11号「原発依存から決別し、省エネルギー政策と再生可能エネルギー拡大の取組を求める意見書」の提案理由を述べます。

 岸田首相は8月24日、エネルギー政策を検討する政府の会議で、次世代型原発の開発・建設を検討する方針を表明しました。政府はこれまで既設原発の再稼働を推進する一方、新増設・建て替えは「想定していない」としてきました。また、昨年決定したエネルギー基本計画では、原発は「ベースロード電源」で「必要な規模を持続的に活用」するとし、2030年度の原発の電源構成比率を20~22%にすると決めました。ただ、世論の批判を意識して、新増設の明記を見送り、「再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する」とも記述しました。今回、この立場を完全に投げ捨てたことは重大です。

 さらに首相は「既設原発の最大限の活用」を図るため、すでに再稼働したことのある10基に加え、2023年夏以降、新たに7基を順次再稼働させることも強調しました。

7基の中には、地元自治体の同意が得られていない東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)や日本原子力発電 東海第2原発(茨城県)も含まれています。

 柏崎刈羽原発は昨年、侵入者を検知する設備の故障などの問題が判明し、規制委員会が事実上の運転禁止命令を出しています。福島第1原発事故への反省もなく、不祥事が後を絶たない東京電力に対して原発に携わる資格そのものを問う声が上がっています。東海第2原発は、30キロ圏内に国内の原発では最多の約94万人が暮らしており、避難計画づくりは困難を極めています。昨年3月、水戸地裁は、実現可能な避難計画が整えられていないとして同原発の運転差し止めを命じる判決を言い渡したところです。

 他の4基についても、周辺住民の反対の声が相次いでいます。民意もリスクも無視して再稼働を推し進めることは、あまりに乱暴です。新方針で最長60年としてきた運転期間の延長を検討するとした、老朽原発の延命策も安全の置き去りです。

 東京地裁は7月、東京電力旧経営陣に13兆円超の賠償を命じた判決で、原発事故が起これば「国土の広範な地域や国民全体にも甚大な被害を及ぼし、地域の社会的・経済的コミュニティーの崩壊や喪失を生じ、ひいてはわが国そのものの崩壊につながりかねない」と指摘しました。

 首相は原発活用の理由として、電力・エネルギーの安定供給、脱炭素を挙げています。

しかし、電力不足などの根本的な背景には、原発と石炭火力を「主力電源」と位置付け、再生可能エネルギーを後回しにしてきた問題があります。

 2020年の日本の総発電量に占める再エネの割合は22%にすぎませんが、ドイツでは48%、イギリスは43%、アメリカのカリフォルニア州は2019年53%にのぼります。さらに、2030年に向けた目標も、日本の36~38%に対し、ドイツは65%、カリフォルニア州は60%で、日本は世界から大きく立ち遅れています。

ところが岸田首相は、「安定して安価なエネルギーを確保しなければいけない」などと述べ原発を主力電源とする姿勢を示しています。

そのため、再エネ発電量が過剰になると、太陽光や風力で発電された電力を送電網への接続から外す出力制御が行われています。2018~21年では九州電力管内だけで250回も実施。今年に入り四国電力、東北電力、中国電力、北海道電力管内でも行われました。

原発頼みの政府の政策が再生可能エネルギーの普及を妨げてきている証です。

 しかも、太陽光と風力発電の導入コストは原発よりも安価となっており、コストを理由にした再エネ軽視の主張は成り立ちません。

 さらに、世界的な資源価格高騰とアベノミクスによる円安で電力価格が上昇するなか、再エネ導入の遅れは家計を圧迫しています。

100%国産の再エネの大規模な普及こそ、エネルギー安定供給の切り札です。

日本も参加する再エネの国際機関「IRENA」(アイリーナ)が3年前に発表した報告「新たな世界」は、「化石燃料輸入国は、石油・ガス輸出国で発生しうる政情不安やテロ攻撃、武力衝突によるエネルギー供給停止や、価格変動といったリスクに対し脆弱だ」と警告していました。

ロシアによるウクライナ侵略は、化石燃料に依存する国の弱点を浮き彫りにしています。

また、国内の電力消費量の約70%を産業部門と業務部門が占めます。一方、家庭部門は約30%(「エネルギー白書2022」)。電力需給の厳しい局面では、節電や電力の大口需要者への需要調整、蓄電システムでの対応とともに、産業部門の大幅な省エネや建物の断熱化、電力利用の効率化が不可欠です。

こうした省エネルギー政策と再生可能エネルギー拡大を真剣に追求してこそ打開の道が開けます。

よって、原発依存から決別し、省エネルギー政策と再生可能エネルギー拡大の取組を求めるこの意見書を国に届けるべく、本市議会のみなさんのご賛同を求めて提案説明を終わります。

日本共産党市議員団を代表し、議会議案第10号「国葬を直ちに中止することを強く求める意見書」の提案理由説明をおこないます。
 岸田首相は、今月9月27日に安倍元首相の「国葬儀」を今月9月27日に行うと共に、その費用の概算は、16億6千万円であるとしました。
 安倍元首相の在任期間が憲政史上最も長かったことなどを理由に挙げると共に、その法的根拠について、内閣府設置法をあげています。この設置法は、平成11年・1999年7月16日交付されたもので、内閣府の設置、その任務などを定めたものです。岸田内閣は、この設置法第4条第3項第33号に「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること」が明記されことを根拠に、閣議決定をもって国の儀式として安倍元首相の国葬儀を行うとしました
 戦前、国葬令が存在し、国葬が実施されてきましたが、現憲法の下では、廃止され、国葬を規定する法律はありません。従って、内閣府設置法を根拠に国の儀式として国葬儀としたものです。しかし、これとて、国の儀式に、国葬が対象となるか明記されていません。
以下、述べる際に、国葬との表現を使います。
 国葬に対する各種世論調査では、賛成を上回り、反対との表明が50%をこえ、6割、7割近くにまで反対世論が広がっています。
 反対世論として、一人の人間が亡くなったことに対して、それぞれが弔意を示せばよいのであって、国葬という方法で国民に弔意を求めるのはいかがなものかとの意見です。しかも、コロナ禍のもとで、人々は、ごく親しい方と家族だけでお見送りしています。そのことを考えると、安倍元首相に対して、国葬を行い、税金16億6千万円を使うのには納得できないというものです。
 さらに、今問題となっている旧統一協会と安倍元首相の関係が深かった事実が明るみとなってきていることです。これを見過ごすことはできません。解明が求められています。また、森友・加計問題や「桜を見る会」開催をめぐる疑惑などもあり、国葬によって、こうしたことが曖昧にされることへの強い疑念の声が多くあります。
 わが党は、安倍元首相の国葬は、「法の下の平等」を定めた憲法14条。そして、「思想及び良心の自由」を明記した憲法19条に反するとの見解を明らかにしています。
この意見書は、法的根拠のないまま、国会決議もなく、閣議決定によって、多額の税金を投入しての国葬は、直ちに中止することを強く求めるものです。

議員各位の賛同を求め、意見書の提案理由の説明を終わります。

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