お知らせ |日本共産党 金沢市議員団 |10ページ

お知らせ

広田美代議員

〇物価高騰から市民を守る施策について

-広田議員

物価高が市民のくらし、中小業者の経営を直撃する中、今月2日「総合経済対策」の裏付けとなる第2次補正予算案が成立しました。わが党の反対理由は、最も急がれる物価高騰から暮らしを守る点で全く不十分な一方、緊急性がない多額の予備費や基金、軍事費などを計上しており、暮らしの実態からも財政法に照らしても認められないというものです。この経済対策やこの間の情勢について、数点市長のお考えを伺います。

インボイス制度について

-広田議員

 まず、政府の物価高騰対策は、大手石油元売りや電力・ガスの独占企業を救済する、部分的な価格抑制策であり、不十分です。全ての物価を引き下げる消費税の減税こそ最も効果的です。小規模事業者やフリーランスの方々に深刻な負担増をもたらすインボイス制度は中止すべきです。このインボイス制度ですが、全国免税事業者のうち161万業者が新たに課税事業者になり、平均15万4千円、合計で2480億円もの増税になると財務省は試算しています。課税事業者を選べば負担が増え、免税事業者を選べば仕事がなくなる。この制度は、小規模事業者やフリーランスの方々に増税か廃業かという地獄の選択を迫るものです。本市の地域経済のためにも、インボイス制度の中止を国に求めるべきですがいかがですか?

-村山市長

 インボイス制度は消費税の複数税率下において適正な課税を行うことを目的として、平成28年に導入の決定が行われたもので、国が令和5年10月の開始に向けてすでにインボイス発行事業者の登録を開始するなど、全国で導入準備が進められております。現在、全国市長会においても国に対し中小企業への配慮などの必要な措置を講じるよう要望を行っておりまして、今後の動向も注視しながら適切に対応してまいりたいと考えております。なお、制度の中止を要望することは考えておりません。

賃上げについて

-広田議員

賃上げについてです。雇用の7割を支える中小企業全体の賃上げ支援策が必要です。中小企業への社会保険料・税負担軽減策の要望に応え、最低賃金の引き上げ、非正規雇用拡大政策の転換を行うことが必要です。その財源は、アベノミクス以降積みあがってきた大企業の内部留保への課税です。その課税には賃上げ分を控除して賃上げを促進する。こうした、中小企業全体を支援する「構造的な賃上げ」が必要です。市長は、提案理由説明の中で、「政府の構造的な賃上げ」にお触れでしたが、どのようにお考えでしょうか。

-村山市長

 物価高に対しましては、国は総合経済対策において、経済の持続的な成長と分配の好循環を達成するため、中小企業や小規模事業者の生産性向上の支援等により、賃上げの促進に全力で取り組むこととしており、本市としても地域経済の活性化には継続的な賃上げの実現が必要であると考えております。一方、賃上げ対策につきましては一義的に国が行うべきものであり、本市としては中小企業の資金繰りや雇用の確保等に対する支援を通じて、国の対策に呼応してまいりたいと考えております。

電気代の値上げについて

-広田議員

光熱費の高騰に関してですが、先月末には北陸電力が記者会見を行い、来年4月に家庭向け電気料金を平均45.84%値上げする計画を経済産業省に提出したとしています。これは標準的家庭でおよそ2700円もの値上がりになるとされており、市民からは不安の声が相次いでいます。しかも本市の優良な水力発電を譲渡したばかりです。この件について、市長に北陸電力からはご相談などはあったのでしょうか。市民生活に配慮を求めるつもりはありませんか。

-村山市長

 電気料金の値上げにつきましては、国の電力・ガス取引監視等委員会等で値上げについての妥当性が審査されることから、改めて本市として配慮を求めることまでは考えておりません。なお、報道内容につきましては説明を受けてございます。

軍拡と負担増について

-広田議員

政府はまともな外交努力も行わずに、敵基地攻撃能力の保有を自民党、公明党が合意したとのことです。これまで憲法上持てないとしてきた攻撃型の兵器の保有解禁の説明もなく、集団的自衛権の行使としての発動も排除しないとします。さらにアメリカへのトマホーク購入打診などすでに結論を先取りしています。際限のない軍拡競争に突き進む危険な大転換は絶対に許されません。さらに岸田首相は来年度から5年間で43兆円の軍事費増額を指示し、増税もさけられないとしています。市長は軍拡と国民への負担増の議論についてどのようにお考えですか?

-村山市長

 我が国の安全保障に関する問題についてでありますが、国民の安全や暮らしを守る観点からも、国において十分な議論を重ねたうえで適切に対応されるものと認識しております。

〇本市独自の取り組みについて

住民税非課税世帯等緊急支援給付金について

-広田議員

 つぎに、このような中で本市独自の取り組みを求め、数点伺います。

現在、住民税非課税世帯等に5万円の給付が行われていますが、もっと幅広い市民に給付すべきと考えます。住民税非課税世帯であっても扶養控除をされている方や、均等割りのみの方などぎりぎりでもらえない方が多くいます。単身の場合で総所得が45万円以下という均等割りのみ課税世帯などにも、対象拡大を行う考えはありませんか。

-村山市長

 住民税非課税世帯等に対する緊急支援給付金の対象につきましては、令和4年度に住民税が課税されている世帯であっても、本年1月以降に家計が急変し非課税世帯と同様の状態にあると認められる場合には支給対象となることから、市独自に対象を拡大することは考えておりません。なお、家計急変世帯に対する支給については申請が必要でございますので、引き続き市民に対する周知に努めていきたいと考えております。

上下水道料金の減額について

-広田議員

本市が以前行った上下水道料金の減額は市民のみなさんに大変好評でした。水道事業は令和3年度の決算で、7億9600万円もの黒字が確認されています。これは本来市民に還元すべきものです。上下水道料金の減額を検討すべきですがいかがですか。

-平嶋公営企業管理者

 上下水道料金の減額についてお答えいたします。今回お諮りしております補正予算案におきまして、エネルギー価格高騰に伴います上下水道施設の光熱費などの経費の増額をお諮りしており、水道事業また下水道事業におけます当年度予定利益も減少する見込みとなるなど厳しい経営環境にございます。現時点におきまして基本料金の減額等を行うことは考えておりませんが、これまでも療養援護を受けている方を対象に基本料金相当額の減免制度を適用しておりますほか、上下水道料金の支払いが困難な方には事由の把握に努め、分割納付や支払い期限を延長するなどきめ細やかに対応しております。なおご指摘がありました令和3年度決算にかかる黒字、いわゆる未処分利益剰余金でございますが、将来の老朽管更新対策や企業債償還の財源として積み立てることをお諮りしているところであり、ご理解願いたいと思います。

子どもの医療費助成18歳まで対象拡大について

-広田議員

そして、市民のみなさんと長年取り組んできた、子どもの医療費助成制度。私たちは18歳までの対象拡大と窓口無料化を求めています。この2か月あまりで1374筆もの署名が市長に届けられ、今も署名は続いています。このくらしが大変なとき、早急に実施を決断するよう求めますがいかがですか?

-村山市長

 こども医療費につきましては、県では来年度からこども医療費助成の市町に対する補助を拡大することとしておりますが、これに伴う本市の負担減少分の使途については、県から子育て施策に活用するよう要請がきていることを踏まえ、どのような施策に活用するか、明年度の当初予算の編成作業の中で検討してまいりたいと考えています。

〇歌劇座の建て替えについて

-広田議員

こんなに市民生活が大変なときに、歌劇座の建て替え検討が進められてきました。さらに先月22日の報道では、日銀跡地での建て替えがむずかしいので、歌劇座はそのままにして、日銀跡地にあらたな演劇施設をつくる提言が経済同友会から出され、市長は「ニーズを調査し、検討する」と発言。来年度、県も含む検討組織を立ち上げるともしています。大変驚きました。現在、市のほうで歌劇座について現地か日銀跡地かで建て替えの検討が行われている段階であり、まだ議会としては結論のご報告も受けていません。にもかかわらず、あらたな検討組織の立ち上げをおっしゃられたのでしょうか?市民と議会軽視であり問題ではないですか?そもそも、歌劇座の建て替えは市民が求めたものではなく、山野前市長が経済同友会の要望に応え、検討をはじめたものです。それが破綻したら「次は日銀跡地に別の施設を」とはとんでもありません。一度、歌劇座の建て替えも含め白紙に戻すよう求めますがいかがですか。

-村山市長

 日本銀行金沢支店の跡地につきましては、市の主体的な関わり方を早期にお示しすることが肝要との思いから、明年度にも活用の方向性を検討する組織を立ち上げたいと考えております。歌劇座の建て替えにつきましても、建物の機能向上を含めた検討を重ねているところであります。いずれも都心の風格や賑わいに関わる必要な施策であり、引き続き検討を進めてまいりたいと思います。なお、施策の推進に当たりましては議会に対する説明の重要性は十分に認識しておりまして、これからも留意してまいりたいと考えております。

〇除雪について

-広田議員

 除雪についてです。気象庁によれば、今冬の気温は全国的に平年より低く、西日本の日本海側の雪は平年並か多くなる予想です。これまで、わが党は市道に対し市が行う除雪範囲をもっと広げるよう求めてきました。それに対し、本市は「必要な路線については、計画路線の指定を検討していく」としていましたが、今シーズンの計画でも市道の4割を超えていません。この4割は平成17年から17年間ずっと変わらないままですが、なぜなのか、あきらかにしてください。

一方で、道路法第42条で、『道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つ義務』が定められています。この法律のもと、近隣市町、たとえば富山市は8割、福井市は85%、小松市85%、白山市は73%の除雪計画を立て除雪を行っています。本市の4割は低すぎます。まずは、今冬の対策をどうするのか。そして、来年度に向けて大幅に除雪基準、予算を見直し、計画路線の拡大検討を行うよう求めますがいかがですか。

-坂本土木局長

 除雪につきまして2点ご質問がございました。最初に除雪計画についてでありますが、毎年通学路など新規除雪路線の追加や除雪委託業者並びにオペレーターの確保を図るなど見直しを行いながら、金沢市道路除雪計画を策定してきております。今年度も除雪委託業者は微増減があるものの5社の増で、昨年並みの除雪体制となりますことから、市道における除雪作業を迅速かつ的確に行うことは限界があります。市道の除雪延長は海側幹線など約6.5kmの微増となりますが、除雪路線の現状に大きな変化はございません。

 次に今冬の対策、除雪範囲の拡大についてであります。除雪委託業者やオペレーターなどには限りがあります。現状では大幅に除雪路線を拡大することは困難であると考えております。今後も除雪委託業者やオペレーターの確保に努めるほか、道路状況に応じて優先順位を見極め、必要な路線を選定しており、ご理解願います。市民生活の安全安心を確保すべく、今冬の除排雪体制も職員とともに一丸となって全力で取り組んでいきます。

〇コロナウイルスとインフルエンザウイルス感染症対策について

-広田議員

コロナウイルスとインフルエンザ感染症対策について伺います。県内では、10月下旬以降、コロナ感染症の増加が顕著であり、病床使用率も増加しています。さらに、今シーズンはインフルエンザの同時流行も懸念されている状況です。まずは、コロナウイルスに関しては、9/26を皮切りに、全数届け出はやめ、報告についても、年齢だけであり、市町村別や所属など詳細な感染情報が少なく、医療機関などでも感染傾向がつかめず大変苦労しているとのことです。現在、本市では予測も含め、どのような感染傾向があるのか、そして対策を考えているのかあきらかにしてください。

-村山市長

 新型コロナウイルス感染症につきましては、市内の医療機関からの患者数の報告は10月下旬から増加傾向が続いております。またインフルエンザにつきましては、定点把握による発生動向調査によると、現時点で市内における流行の兆しは見えておりません。今後年末年始にかけて人と人との交流の機会が増えることから、新型コロナ感染者の増加とインフルエンザの流行が懸念されます。このため本市では、感染者が発生した高齢者入所施設等に対して早期に保健師を派遣し、感染拡大防止対策を指導・助言する体制を整えたところであります。また市民の皆様に対しては引き続き3つの密の回避、こまめな手洗い、効率的な換気など、基本的な感染防止対策の徹底と新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンの積極的な接種をお願いしていきたいと思っております。

-広田議員

つぎに、コロナ第8波の到来とインフルエンザの同時流行に備え、医療機関では、両ウイルスを同時に検査できるキットを用い対応をしていると聞いていますが、2種類の感染対応が必要となります。現在、スタッフにも感染が広がり、人手不足の中必死の医療が行われています。このような医療現場に経費面など経済的支援が必要ですがいかがですか。

-村山市長

 本市では現在、発熱外来を設置する休日当番医に対して、通常より委託料を上乗せして支援するとともに、金沢広域急病センターで発熱外来を臨時的に日中開設し、医療機関の負担軽減に努めているところであります。医療機関の強化や財政的支援については全国的な課題であり、一義的には国が対応すべきものだと考えております。医療機関の経営の安定化に資する財政措置など、引き続き全国市長会を通じて要望してまいりたいと考えております。

〇保育・学童保育の人員拡充について

-広田議員

 保育園や学童保育の人員拡充についてです。

 本予算案では、保育園や認定こども園の送迎バスの安全装置導入について国補助が予算化されています。これは、園児が通園バス車内に置き去りにされる事故が相次いだことから創設されたものです。わが党は他党とともに、法案を共同提出しており、その中の安全装置の全額補助が実現したものです。しかし、これらの事故は、通園バスでの置き去りだけではなく、散歩中やプール、午睡中の事故、災害時の避難についても現場では大変心配されています。その大本には、職員の配置基準が低すぎる問題があり、現場からは改善が強く求められてきました。今回のバスの件でも、保育士の同乗が余裕をもって可能となるように、現場での配置基準の引き上げを行うお考えはありませんか?

-村山市長

 市内の保育所等が運行する送迎バスにつきましてはすでに複数人の職員が同乗しております。なお保育士の配置基準につきましては、本市独自ですでに国基準を上回る配置を行っておりますことから、今のところ見直すことまでは考えておりません。今後国から安全対策にかかるガイドラインが示されることから、その内容を注視してまいりたいと考えております。

-広田議員

 学童保育についても、人員体制の拡充は切実な要望です。10月に金沢市学童保育連絡協議会のみなさんから市長へ要望が提出されました。待機児解消の整備計画も必要ですし、現場の実務的なご苦労として会計や労務管理を指導員や保護者が担っている実態が報告され強く改善が求められました。この点については、国の補助事業を活用して改善できないでしょうか、伺います。

-藤木こども未来局長

 放課後児童クラブの会計労務等の職員につきまして配置のご質問がございました。本市では令和2年度に放課後児童クラブが専門家に会計や労務管理の指導・助言を受ける場合の支援制度を創設いたしまして、これまで令和2年度に19件、令和3年度に2件、本年度は11月末現在で12件のクラブが制度を活用しております。会計・労務管理が放課後児童クラブの運営にとりまして負担となっていることは承知をいたしておりまして、支援員が児童と接する時間を十分確保するためにも、どのような方策がよいか研究してまいりたいと考えております。

〇加齢性難聴に対する補聴器購入公費補助について

-広田議員

つぎに、9月議会でも取り上げました加齢性難聴に対する補聴器購入の公費補助についてです。市長が質問に対し、高齢者の生活の質の改善に言及し、「研究する」と踏み込んだ答弁をしていただき、大きな反響と期待の声が寄せられています。また、署名も取り組まれ、10日分の第1次分で891筆が市長のもとへ届けられました。そこで、「研究する」とされた後、なにか進展はありますか。期待の声と同時に、補聴器をご利用の方やご家族から、改めてその負担の大きさが寄せられています。たとえば、「補聴器がほんとうに高く、片耳で数十万円。それも、基本5年の保証期間だが、湿気などで3年で買い替えが必要な場合もある。電池の交換も必要で負担。毎月定期チェックにお店に行くが、その交通費もかかり、生活が圧迫されている。補聴器の購入補助だけでも本当に助かる」というお声です。ぜひとも早めに研究を進め、実施に向けて取り組むよう求めますがいかがですか。

-村山市長

 加齢性難聴者を対象とした補聴器購入補助制度について、中核市の状況を調査したところ、補助制度を持っているのは62市中5市と少ない状況であります。高齢者が補聴器を利用することは社会参加の促進や生活の質の向上に資するものと理解しております。一方で、本来は国の補装具の給付で対応すべきものであると思っておりまして、引き続き国や他都市の状況を注視しながら研究してまいりたいと思っております。

〇聴力検診の拡充について

-広田議員

つぎに、聴力検診についてです。わたしの質問を通じて、初めて聴力検診を受けた方から、「耳鼻咽喉科でとても丁寧に調べてもらえた。難聴ではなかったが、毎年変化も確認できるし、予防もしていこうと思え、受けて本当によかった」とご報告がありました。しかしながら、対象が65から74歳までであり、来年は受けられないというお声もお聴きします。検診開始当初とは、高齢者の社会参加も変化しています。また、受診もせず、あわない機械を買ってしまった事例もあります。専門医らによってフォローする仕組みもある本市のすこやか検診の聴力検査対象を、75歳以上へも拡大すべきではないでしょうか。見解を伺います。

-村山市長

 加齢性の難聴は一般的に65歳を超えると増加すると言われており、早期に発見し難聴による認知症予防などに取り組むことが重要であると考えております。まずは現在の対象年齢の方に対する受診率の向上に努めてまいりたいと考えております。

〇マイナンバー制度について

健康保険証廃止について

-広田議員

マイナンバー制度について伺います。

 まずは健康保険証の廃止についてです。10月中旬、「健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化させる」と河野デジタル大臣が表明しました。一方、国会で岸田首相は「カードを取得しない人には、別の制度を用意する」と述べるなど、「保険証廃止」は政府内の議論も法的根拠も全く不十分であり、市民も現場も混乱をしています。しかし、病院にかかれなくなる心配から、カードを取得するつもりのなかった方が慌てて窓口へ来られる姿もあります。マイナポイントなど3兆円もつぎこんでそれでも交付が伸びないからといって、次は保険証を人質にして交付率を伸ばそうなどとは行政がやるべきことではありません。まず伺いますが、マイナンバーカードの取得については、マイナンバー法上なんの規定もなく「取得は任意」とされています。健康保険証を廃止してマイナンバーカードに統合することは事実上の強制であり法律に反します。カード交付者である市長としては、市民にはどのようにご説明するのか伺います。健康保険証廃止は誰も望んでいません。保険証はたとえば国民健康保険証ですと、期日が切れる前に自動であたらしい保険証が届き、紛失しても即日発行が可能です。一方、マイナ保険証だと、5年に1度窓口での更新が必要です。急病で病院に行ったら未更新で使えない、紛失しても1か月以上発行にかかるとすれば安心して受診ができるでしょうか。しかも、マイナ保険証の使える医療機関も少なく、本市では身近な医科の診療所では28%に過ぎないのです。

さらに昨今、医療機関でのランサムウェア、市内医療機関でも不正アクセスの被害などセキュリティ上の問題が起きており、今後マイナンバーとの連携を本格化することに課題があります。個人情報保護委員会の年次報告でも21年度までの5年間で5万6千人ものマイナンバー情報が紛失し、不正アクセスの被害もあったとのことです。石川県保険医協会からは、「保険証廃止とオンライン資格確認体制整備の義務化の撤回を求める」声明が出されました。医療機関では来年4月から同カードによる資格確認の整備が義務化されますが、整備にかかるコストやスタッフの問題、情報漏洩など不安が出されている、とのことです。さらに、整備が義務化によって、廃業せざるを得ない医療機関もあるなど、地域医療に大きな影響を及ぼすとし、保険証廃止の撤回を求めています。市長は、健康保険証の廃止をこのまま進めてよいとお考えですか。金沢市の医療と市民の受診権を守るために国に中止を求めていただきたいと思いますがいかがですか。

-村山市長

 マイナンバーカードと健康保険証の一体化の制度設計につきましては、国において関係府省による検討会が設置される等、今後十分な検討が行われていくと認識しておりまして、国の動向を注視していきたいと考えております。またマイナンバーカードの保険証利用により、診療時に過去の検診結果や薬剤情報が共有でき適切な医療に繋がるといった市民の利便性が非常に高まるということが考えられます。国においてはこうしたメリットなどを考慮して健康保険証を廃止していく方針が出されたものと認識しております。本市として中止を求めることは考えておりません。なお、全国市長会から国に対し、健康保険証の廃止にあたっては国民への十分な周知徹底を図るとともに医療関係者等の理解や協力が得られるよう必要な支援を行うことなどについて要望しているところであります。

政府のねらいについて

-広田議員

さいごに、マイナンバー制度は、運転免許証、銀行預金、学業成績まで紐づけるという話もされ、経団連が望む、国に個人情報を一元化して社会保障給付の見直しという可能性も否定できません。市民にとっては便利どころか、よくわからぬまま、強引に進められ、国への不信は募るいっぽうです。マイナポイント取得について今回、さらに相談窓口が予算化されていますが、これは原則本人が行うものとされています。マイナンバーカードは第3者に安易に見せてはいけないし、暗証番号なども必要だからです。しかし、高齢者をはじめ、できない方が多いため、相談窓口まで予算をかけて必要となっています。マイナポイント取得が困難な段階の方が、マイナポータルやマイナ保険証の利用は可能だという制度設計なのでしょうか、大変疑問です。このような状況でも、自治体はカード交付率を競わされ、デジタル化交付金を申請するには、カード申請率が全国平均以上でないとダメなど、ムチを用いるやり方を強いられているのは問題です。自治体は国の下請け機関ではありません。あくまでも市民のための機関です。撤回を求めるべきではないでしょうか?

-村山市長

 マイナンバーカードはデジタル社会を形成する上で必要となるツールのひとつであり、できるだけ多くの市民の方々にカードを所有していただきたいと考えております。交付金の交付要件に限らず、引き続き市民の方々へのカードの交付に万全を期してまいりたいと考えております。なお、デジタル田園都市国家構想交付金の要件につきましては、国から示された通り対応していきたいと考えております。

~~追加質疑~~

-広田議員

 まず歌劇座の建て替えについてですけれども、新聞報道ではもう歌劇座を日銀跡地で建て替えることが難しいから日銀跡地には新たな施設を、そして市長が検討組織をという流れで見受けられたんですね。ところが議会ではまだ歌劇座が現地で建て替え可能なのか日銀跡地でどうするのかという結論も全く報告は受けていないんですね。なので議会の外でそうやって勝手に決めている印象を持ったから、今回議会を軽視しているんじゃないかという質問をしたわけです。その点についてやっぱりそこは順序がおかしいんじゃないでしょうか。改めて見解を求めます。

 もうひとつ、こどもの医療費助成制度ですけれども、午前中も答弁ありましたが、私はあとは市長の決断だと思います。6月議会で粟森議員の質問に対して、市長はこの対象年齢を引き上げたくないという話ではないとはっきりおっしゃったわけですよね。予算の面の話をされていましたけれども、今本当に物価高騰で大変な中、そして子育て世帯が特に苦しんでいるという、国もそういう見解をもって大きな施策方針を出しているわけですけれども、金沢市が躊躇していて良いのかと思うわけです。3月を前に、私は早く市長が決断をすることで金沢市民、子育て世帯が安心して子育てができると思いますけれども、決断を求めたいと思います。

-村山市長

 2件ご質問をいただきました。初めに日銀の跡地あるいは歌劇座の建て替えということについてであります。現在歌劇座の候補地として現地の建て替えあるいは日銀跡地での建て替えと、それぞれでどのようなものだったら建設できるのかということを検討しております。元々歌劇座がどのようにあるべきかというような検討をした中で、それのサイズでははまりきらない、あるいは工法として難しいというところが出てきたので、その2か所での検討ということをしております。一方で、金沢経済同友会での議論があった中で、日銀跡地をどうするかということ、これに対して県に対しての問いかけが、私のときとは別のときに県知事との懇談会でありました。その中で県知事の方から、要請があれば県の方も議論に関わっていくということをおっしゃっていただいていたわけですけれども、それに対してどう答えるのかということの質問がありました。今後、日銀跡地でどう作るかとかできるかということの結論は私の中ではまだ出ておりません。ですので報告はできませんけれども、日銀跡地をどうするのかということに県が加わるのかどうかということに対して、そこについては今後これは歌劇座のホールとして使うこともあると思うんですけれども、その中でどのようにしていったらいいかというときに、県が議論に加わっていただくということについてお答えを申し上げた、これが記事に載ったということであります。

 もう一点、こども医療費の助成についてです。県の方で今回市町に対する補助の拡大ということを行っていただくというように発表されました。これについては全国平均でみて進んでいるという状況の県の補助ではないというように思っています。いずれにしてもこども施策の充実に対しては用いていきたいと考えておりますけれども、それをどのように浮いた分の財源を使っていくかということについて、財源の規模もかなり議員にご提案いただいたものとは大きくかけ離れていますので、そういったところも検討しながらどうあるべきかということは明年度の予算編成の中で検討していきたいと考えております。

-広田議員

 歌劇座ですけど、今はっきり現地で建て替えるのか日銀跡地で建てるのかの検討は終わっていないと、まだ報告も市長も受けていないという段階なのに、記事によるともう日銀での建て替えが難しいので新たな別の施設を日銀跡地で建てるための検討を始めるという流れになっちゃっているわけですよね。それが誤解だというならしっかり言っていただきたいと思いますし、もし本当であれば日銀は今歌劇座にとっての一連の話のひとつであって、別の施設を建てるなんていうのは寝耳に水なんですよ。どっちが目的なのって疑いたくなっちゃうくらいです。なのでそこの話の順序がおかしいんであればしっかり、まだ結論を見ていないのであればそう言っていただきたいですし、日銀跡地に手を付けるのであればちゃんと歌劇座の話を整理してからではないかと思います。そもそも私たちは歌劇座の数百億円もするかもしれない建て替えには反対ですけれども。その点しっかり整理していただきたいと思います。

 そしてこどもの医療費は、県の基準をこどもの医療費で上げて市の負担分が減ったんですから、当然その分は金沢市のこどもの医療費の助成制度に使うべきなんです。その方向性だけでも明らかにすべきです。お願いします。

-村山市長

 歌劇座についてでありますが、もう使用を始めてから50数年経っております。耐用年数は65年という建物ですので、建て替えについては考えなければいけない。それをどこの土地で建てるかということの結論を今検討しているところであります。その中で新聞報道があったわけですけれども…(時間切れ)

 2つご質問いただきましたけれども、適切に対応を考えていきたいと思います。

(クリックするとPDFが表示されます。)

日本共産党金沢市議員団 左から 大桑はつえ議員 広田みよ議員 森尾よしあき議員

2022年10月18日

金沢市議会議長 高岩 勝人 様

本市議会議員と旧統一教会との関わりについての申し入れ

日本共産党金沢市議員団
森尾 嘉昭
広田 美代
大桑 初枝

 岸田首相は、17日旧統一教会(世界平和統一家庭連合)について、宗教法人法による質問権を行使し、調査するよう指示しました。同法が規定する「質問権」が行使されるのは初めてで、政府は、組織の業務や管理運営の実態を調べ、裁判所への解散命令請求の適否を判断する方針とのことです。この間、明らかとなったのは、以下の点です。

第一に、旧統一教会は、霊感商法や集団結婚式などによる被害を引き起こし、社会的批判を受けてきた反社会的集団・カルト集団であることが明確になってきたことです。

全国霊感商法対策弁護士連絡会によるとこの旧統一教会による被害は、1987年から2021年までに、3万4537件、被害総額約1237億円にのぼっています。さらにその被害は「信仰二世」にも及ぶなど現在も続いています。

第二に、岸田内閣と自民党との癒着が次々と明らかとなっています。

岸田内閣の閣僚が旧統一教会との関係について次々に明るみとなり、自民党が党所属の国会議員に報告を求めたところ、追加報告を合わせ、接点があった国会議員は180人にのぼりました。

2015年の名称変更に絡む自民党政権との疑惑、憲法改正や、ジェンダー平等などへの政策的影響をもたらしたとの指摘がされています。

本市議会においては、坂本前副議長が、旧統一教会が関係するイベント「ピースロードin石川」のYouTubeに登場し、選挙においても人的支援を受けていたことを自ら明らかにしました。高市議は、旧統一教会が関係するイベント「ピースロードin石川」のYouTubeに登場し、このイベントに参加しています。野本市議は、旧統一教会の関連団体である、天宙平和連合により、任命された平和大使によって組織された平和大使協議会の「石川平和大使協議会顧問」と、ご自身のホームページに記載がありました。

岸田首相は、10月5日旧統一教会をめぐり、政治への信頼回復に向け、自民党との関係を断絶する考えを表明し、地方議員も含め徹底するとしました。

第三に、旧統一教会が、表裏一体の国際勝共連合とともに、反共謀略活動を繰り広げてきたことです。

以上のことから、議長におかれては、議長自らをはじめ、各議員が統一協会や関連団体との関係について自ら調査し、その内容を市民に公表するとともに、関係を断絶するよう呼びかけることを再度、要請いたします。

高岩議長は、「議員それぞれが自らを律する話であって、議会として何かすることは考えない」と回答しました。

しかし私からは、「全国の自治体で問題となっているのは、社会的に問題となっている旧統一協会との関係は、一議員が選挙応援を受けただけではなく(それも適切ではないが)、政策立案や決定にまで影響を及ぼした可能性があるということです。議会として、市民に対しそのようなことがなかったのかあきらかにする必要がある。よって、議員個人としてではなく、議会として行動することに意義がある。富山市議会ではそれを行うことになった。」と発言しました。

(クリックするとPDFが表示されます。)

議長へ申し入れ文書をわたすところ

2022年10月5日

金沢市議会議長 高岩 勝人 様

議長就任祝賀会における発言の取り消しと陳謝を求める申し入れ

日本共産党金沢市議員団

森尾 嘉昭

広田 美代

大桑 初枝

 去る9月24日、高岩議長の就任祝賀会が開かれ、その席上で、次のようなあいさつをされたと報じられています。

 高岩氏はあいさつで日本の教科書問題に触れ、友人の娘が留学先で日本を「韓国と中国で国民を虐殺した悪い国」と話したところ、「友達がいなくなった」とのエピソードを紹介した。その上で、「(友人の娘は)自国を悪く言う人は『両親が共産党かテロリスト』と言われたそうだ」と指摘し、教科書の見直しを訴えた。

 この発言は、重大な問題があります。

第一に、日本の教科書問題に触れて、引用された事例について、どこの国への留学なのか。高校生なのか。大学生なのか。そして、いつの時代の話なのか。根拠あるものとは到底言えるものではありません。

第二に、「(友人の娘は)自国を悪く言う人は『両親が共産党かテロリスト』と言われたそうだ」との発言を行ったことです。共産党とテロリストを一緒に扱い、非難した発言を取り上げるのは、間違った印象を与えるものです。

どこの国の共産党なのか不明ですが、日本共産党は、結党以来100年の歴史を持ち、日本の平和と民主主義、くらしを守って活動を続けています。テロリストとは、全く関係ありません。

以上のように、議長就任祝賀会での発言としては、問題があり、議長として責任が問われるものです。

よって、その発言を取り消し、陳謝するよう求め、申し入れます。

この申し入れに沿って、やりとりをし、高岩議長からは以下の発言がありました。

〇留学先はどこの国なのか?

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・友人の娘さんはオーストラリアに留学して、いろんな国の方と接する中で、どこの国の方からかわからないがそのように言われた。

・日本共産党のことを言っているわけではない。

〇金沢市議会議長として適切な発言をしてほしい。

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・今後、気をつけたい。

加齢性難聴について

-広田議員

 まずは、加齢性難聴について伺います。「難聴」とは、聞こえにくい状態のことをいい、加齢性難聴とは、文字通り加齢による難聴のことです。加齢による聴力低下は一般的に高音域から始まり、40歳代、50歳代と低下、60歳代になると、「軽度難聴」レベルまで低下する音域が増え、聞こえの悪さを感じる人が急激に増えていきます。65-74歳では3人に1人、75歳以上では約半数が難聴に悩んでいると言われています。日本老年医学会雑誌に掲載された調査では、65歳以上の難聴高齢者数は約1655万3千人と推定されるとし、一方で日本補聴器工業会の調査では、難聴を感じている人の補聴器所有率は14.4%と低い状況です。まず、本市ではすこやか検診において、65歳以上の聴力検診を行っていますので、本市の加齢性難聴や補聴器使用の傾向についてあきらかにしてください。

-高柳福祉健康局長

 本市における加齢性難聴や補聴器使用の状況についてでございます。本市では昨年度のすこやか検診の結果によりますと、65歳から74歳までで難聴の傾向がある方は、軽度低下の方が482名で受診者数の32.2%、中等度障がいの方が79名で5.3%、高度障がいの方が2名で0.1%となっています。そのうち新たに補聴器の装用が必要であるとされた方は90名で、受診者数の6.0%となります。

-広田議員

 さきほど述べた、65歳以上で推定1655万人強という数字は、実に国民の13%以上にあたります。しかし、難聴ははた目にはわかりづらく、人に会うのが億劫になり引きこもってしまっているケースもあります。さらにコロナ禍では、マスク着用により、もっと聞こえにくく、また感染対策から外出も減り、ひきこもりがちな高齢の方がより増えている可能性もあります。難聴によってコミュニケーションが困難になると、家族や社会から孤立し、生活の質や生きる意欲まで低下します。認知症の約8割は難聴の放置が背景にあるとも言われ、とても深刻な問題です。2017年医学雑誌ランセットに掲載されたのは、認知症発症リスク要因のうち、一番大きな要因として難聴が挙げられたというものです。聞こえづらくなると、会話に消極的になります。会話の機会が減ると、脳の情動と思考を司る部分が衰えて認知機能が低下すると考えられています。また、聴覚から入った音の刺激は、脳神経において複雑な神経伝達回路をたどっており、聴覚刺激が減ること自体、脳の萎縮につながる可能性も指摘されています。そして、そもそも聞こえは生活に直結する問題であり、重要な情報が聞こえなければ交通事故や災害時の逃げ遅れなど、生死を左右する可能性もあります。市長は、加齢性難聴と生活の質や安全、認知症との関係についてどのようにお考えでしょうか。

-村山市長

 加齢性難聴と生活の質、認知症との関係についてご質問いただきました。難聴は、日常的な会話を困難にし、生活の質を落とす大きな原因となるだけでなく、コミュニケーションが減ることで引きこもりや認知症の要因ともなると言われおり、高齢者の方には定期的に検診を受けていただき、難聴の傾向を早期に発見することが大切だと考えております。

-広田議員

 WHOは、平均41デシベル以上しか聴き取れない方に補聴器の使用を推奨しています。本市の聴力検診でも、「正常」を除く40デシベル以下を「軽度低下」、40~70デシベルで、「中等度障がい」、70デシベル以上を「高度障がい」とし、軽度低下以上の方に対し医師が補聴器などの推奨や治療、経過観察などを行っています。このように、補聴器使用に至るまでには、検診などのスクリーニングを通じて客観的に難聴を発見し、ご本人に治療や補聴器の装着をお勧めすることがまず重要です。厚生労働省の令和2年度の老人保健健康増進等事業として行われた、「自治体における難聴高齢者の社会参加等に向けた適切な補聴器利用とその効果に関する研究」の中で、本市の聴力検診がとりあげられています。というのも、自治体で聴力検診をしているのは、この研究ではわずか0.4%に過ぎず、その中に本市が入っているからです。本市の聴力検診は、1998年に金沢市耳鼻咽喉科医会から実施要望が出され、2000年よりすこやか健診の中で65歳から74歳までの方を対象に実施することになりました。特徴として、医師会が中心となり、耳鼻咽喉科で実施し、検査後、経過観察が必要になった方のフォローも行っています。しかしながら、聴力検診の受診率は全対象者のうち3%前後と低くなっているのが現状です。まずは受診率の低さの原因をどう分析しているのか、そのもとで本市の聴力検診における受診率向上にどのように取り組むのか、明らかにしてください。

-村山市長

 すこやか検診で聴力検診の受診率が低いのは、耳鼻咽喉科で実施しているため、特定健康診査やがん検診など他の検診と同時に受診できないことや、がんのように生命に直結する疾患でないことが原因だと思われます。受診率が低いのは課題であると感じております。これまでも検診を案内するパンフレットの全戸配布や、対象者への受診券の個別送付などを行っておりますが、本年度は金沢市医師会と協力して聴力検診の受診を促すポスターを更新いたしました。引き続き聴力検診の受診率向上に取り組んでいきたいと考えております。

ポスターの更新について👇

2021年度まで
2022年度から

-広田議員

 また、研究の中で本市があげた今後の課題として、本当は難聴だが本人が自覚していない「隠れ難聴の人」もいるとしています。検診率向上も必要ですが、耳鼻咽喉科まで行けないなどお声もあります。身近な場所でのアンケート、たとえば「からだとこころのチェックリスト」の項目に難聴について追加するなどしてはいかがでしょうか。

-村山市長

 「からだとこころのチェックリスト」については、早いうちから介護予防に取り組むことを目的に、セルフチェックで自身の生活機能を確認するものであり、質問項目と評価の方法が国により定められていることから、独自の質問項目を加えることはできません。医療機関以外の場所でのスクリーニングについては、その方法が確立されていないと聞いており、現状では課題が多いと考えております。

-広田議員

 検診後のフォローに関する課題についてはこう書いてあります。「聴力検診実施から約20年近く経過しているが、補聴器装用率は低く、高めることが課題。2019年の実績では、聴力検診を受診し、補聴器の装用が必要と報告のあった高齢者は65名いるが、実際に補聴器を装用した高齢者は7名(10.8%)にとどまった。満足度は7名中7名がほぼ満足と回答しており、補聴器をつければ生活の質が上がるのは確実なのだが、補聴器を購入するまでがかなりハードルが高いと見受けられる。購入価格の問題もあるが、補聴器に対するイメージもあると考える」としています。まずは、直近の2021年の検診結果から、難聴とされた方にどのようなフォローが行われ、補聴器購入などに至った件数、割合はどれだけあったのか、明らかにしてください。

-高柳福祉健康局長

 すこやか検診の結果、難聴と診断された方に対するフォローと、補聴器の購入に至った件数と割合についてです。検診の結果補聴器の装用が必要とされた方に対しましては診断した医師がご本人に対して補聴器の装用を改めて勧めているほか、検診の3カ月後を目途に経過観察を行っております。その結果、補聴器の装用が必要とされた90名のうち、補聴器の装用に至った方は11名で12.2%となっております。

-広田議員

 本市の課題にある通り、補聴器の使用が進まない大きな要因のひとつは、補聴器が高額なことにあります。にも関わらず、日本で補聴器購入の補助が受けられるのは、身体障がい者として認定される、「両耳とも平均70デシベル以上しか聴き取れない」などに限定されています。一方で、ヨーロッパなどでは手厚い公的補助があります。そのため、加齢性難聴者の補聴器使用率はイギリス47.6%、フランス41%などとなっています。

 こうした実態や要望を受けて、自治体独自の公費補助制度が広がっています。今年7月29日現在で105の自治体が実施。多くは良いほうの聴力で40デシベル以上とする割合が多く、65歳以上の対象とする自治体が多いですが、年齢制限がない自治体も17%あります。議会からも、意見書ではあるものの、公的補助制度の創設を求めるものが、昨年9月21日時点で180も採択され、石川県議会でも、そして本市議会でも平成31年の3月議会で全会一致で可決されました。また、本市では2013年に18歳未満について補助制度が創設されました。聴覚に障がいがあっても身体障害者手帳の取得要件に満たない方の補聴器の購入又は修理費の一部を助成するというものです。なぜ、18歳以上の成人や高齢者にはこうした制度がないのでしょうか。成人、高齢者の場合も、生活を守るうえで、そして介護や認知症予防のためにも、助成制度が必要です。本市独自で加齢性難聴に対する補聴器購入の公費補助制度を創設すべきではないでしょうか。市長の奏でるハーモニーを住民のみなさんに届けるためにも必要です。市長のお考えを伺います。

-村山市長

 本市の補聴器購入の支援制度でございますが、幼児期や学齢期に補聴器を装用することで、言語習得や学習への適応促進に一定の効果が期待できる18歳未満の児童・生徒を対象とした制度であり、拡充することは考えてございません。なお現在、高度難聴者を対象としている補装具費の給付について、軽度・中等度の難聴者にも対応するように全国市長会を通じて国に対して要望を行っているところであります。

地域公共交通について

-広田議員

 次の質問は地域公共交通についてです。

 金沢市の地域公共交通をめぐっては、現在、法定協議会において、第3次金沢交通戦略が議論されているところです。その中では、都心軸等への「新しい交通システム」の導入も含まれ、それとの整合性を図ってこれまで進められてきました。その新交通システムについて、先月29日に検討委員会が提言案について議論されたとのことです。「バスの利便性向上なくしてつぎに進めない」といった内容と感じましたが、まずは、議論の内容についてあきらかにしてください。

-村山市長

 先月の新しい交通システム導入検討委員会では、コロナ禍や燃料価格高騰により公共交通が厳しい状況にある中で、公共交通の需要の回復を図ることが急務であり、まずは現状のバスの運行形態を活かし、バスのサービス水準向上に取り組むことが議論されたと承知しております。

-広田議員

 これまで、都心軸にLRTかBRTかという議論を繰り返してきたわけですが、都心軸の交通はむしろ充実しており、バスを利用する市民からは、どこへ行くにも一度、駅やまちなかを経由する必要があり不便だというお声や、観光重視の路線づくりでなく、住民生活を基本にした路線づくりをしてほしいといった声が届いています。厳しい民間の運営状況では困難があるかもしれませんが、もちろん国にも財政措置を求めつつ「バス利便性向上」は市民生活のためのもとして、まちなか中心ではなく、市内全体を網羅した地域交通計画にシフトするべきですが市長、いかがでしょうか。また、金沢市第2次交通戦略の策定時点に比べても、地域社会における高齢化が急速に進行しており、自動車運転免許の返納者・希望者も増大しています。地域における公共交通のあり方の改善、市が運営するかどうかは別にしても、ふらっとバスのようなコミュニティバスの導入促進の必要性について市長はどのようにお考えでしょうか。

-村山市長

 第3次金沢交通戦略につきましては、路線バスのほか、ふらっとバス、公共シェアサイクル、地域運営交通など、様々な移動手段を組み合わせ、過度に自家用車に依存せずに暮らせるまちづくりを進めるという視点で検討を行ってございます。バス事業者におかれましては、高齢者などの市民ニーズに対応するため、すでに病院や公共施設を経由するバス路線を運行しており、また地域運営交通においても同様のルート設定となっております。第3次金沢交通戦略の議論におきましても、特に車を運転できない高齢者等の移動手段を確保する視点を大切にしていきたいと考えております。

-広田議員

 予算の面でみると、LRTの整備にかかる費用は数百億円規模の可能性が指摘されてきましたが、現実路線に切り替えた今、そこまでの投資は要らないふらっとバスのようなコミュニティバスを各地域で運行する検討も行うべきではないでしょうか。

-村山市長

 新しい交通システムにつきましては、いまだ議論の途上であります。中期財政計画においても整備財源の措置を行っておりません。すなわち、ここから財源が生じるということではありません。その財源をどうするかということは考えられないところであります。

-広田議員

 次に第3次金沢交通戦略の骨子案に示された点に沿って伺います。まずは、めざすネットワークとして、まちなか、居住誘導区域、郊外、とゾーンをわけて、主に公共交通重要路線、その他のバス路線、フィーダー交通を描いていますが、ゾーンとの関係があいまいです。具体的な構想をあきらかにしてください。

-新保都市政策局長

 第3次交通戦略における3つのゾーンの考え方についてお尋ねがありました。3つのゾーンの区分でありますが、金沢市中心市街地活性化基本計画で定める区域をまちなか区域、金沢市集約都市形成計画に定める居住誘導区域のうち、今ほどのまちなか区域を除いた区域を居住誘導区域、それ以外を郊外区域として設定することを想定しております。

-広田議員

 わたしが、7月の検討委員会を傍聴して感じたのは、市内中心部、中間部、郊外とそれぞれの交通に関する課題があり、住民の要望があるにも関わらず、中心部や観光についての議論が多く、バスの便が減り切実な地域の実態や、通学や買い物、病院に行けないといった住民生活に即した議論がほとんどされていなかったことです。すでに骨子案の段階ですが、新交通システムの方向性も形になった今、再度、地域や住民、学生の実態にもとづいた議論を行い具体化するべきですがいかがでしょうか。

-村山市長

 第3次金沢交通戦略につきましては、金沢市交通まちづくり協議会における都市交通戦略・地域公共交通計画策定分科会で検討を行っております。分科会には町会連合会やPTA協議会、身体障害者団体連合会、老人連合会、金沢まちづくり学生会議などの市民団体に参加いただいております。今後住民へのアンケート結果やパブリックコメント、住民への説明会などを予定しており、様々な場面において丁寧な議論を行っていきたいと考えております。

-広田議員

 さらに、そのネットワークの中で示されているフィーダーバスは、地域運営交通などを指すとしていますが、他にも種類があるのか、またその設置目標数や計画は、現時点でどのような想定がされているのかあきらかにしてください。

-村山市長

 現在の第2次金沢交通戦略においては、まちなかと郊外をつなぐ公共交通重要路線と、郊外から公共交通重要路線に接続するフィーダー交通を組み合わせながら公共交通ネットワークを構築することとしておりまして、地域運営交通がこのフィーダー交通の役割を担っております。なお地域運営交通は、地域における合意のもと住民が主体となって運行するものでございます。公共交通が不便な地域における導入が進むよう、制度の周知には努めてございますが、現在のところ導入を目指す具体的な地区までは定めてはおりません。

-広田議員

 6月議会でも市長から答弁があったように、金沢市地域運営交通運行費補助金制度の見直しが行われています。改めて、何のために、どのような方向で行われるのかあきらかにしてください。

-村山市長

 近年、コロナ禍によるバス路線の見直しなど、社会情勢が大きく変化している中、地域運営交通につきましては制度の趣旨に鑑み、現状の在り方も含めて、第3次金沢交通戦略の議論の中で整理しているところであります。 

-広田議員

 この地域運営交通運行費補助制度は、地元負担があります。それでも導入しようとするのですから、それだけ強い住民の要望が存在します。にも関わらず、見直しによってあらかじめ制度の適用地域を限定したり、地域によって適用内容に差を設けることは、公共交通利用上の格差を拡大することにつながりませんか。見解を求めます。そして、切実な地域要求があっても、住民のみなさん自身で路線の調整や採算面の検討、地元の理解を得るなど、大変な労力が必要です。市が全面的に関わり、地元の経済的負担をなくす必要がありますが、市長いかがでしょうか。

-村山市長

 地域運営交通は地域における合意のもと住民が主体となって運行するものであります。現状、地元負担をなくすことは考えてはおりません。

本市の各種相談員、支援員、ケースワーカーのあり方について

-広田議員

 最後に、本市の各種相談員・支援員、ケースワーカーのあり方について伺います。

 まず本市は、中核市62市の中で全体的に正規職員が少ない都市です。特に一般行政職は人口当たりワースト1位。今回取り上げる福祉部門は少ない方で上から4番目、職種別では生活保護のケースワーカーは12番目となっています。こうした福祉部門の定数を押し下げる要因のひとつに、市民の困難事例に対応する各種相談員・支援員が、すべて会計年度任用職員で賄われている実態があります。ここでは、女性相談員、近江町消費生活センター相談員、母子・父子自立支援員、子どもソーシャルワーカーについて言及します。前提として、現在の相談員・支援員の資質を問うものではなく、こうした相談支援を担当する職種は、本来は正規職員であって専門職がふさわしいという立場からの問題提起です。まず、会計年度任用職員はあくまでも正規職員の補助的業務とされていることはご存じだと思います。とはいえ、寄せられた市民からの相談を全面的にこの相談員・支援員が引き受け対応しているのが実態です。しかし、非常勤的な立場ゆえ、庁舎内で他部署と対等に連携したり、外部とのやりとりも難しいと聞いています。また、相談者の大変プライベートな部分に触れ、困難解決に向けて業務を行う以上、責任が重い立場であり、業務の補助という立場でそれが任されているというのは適切とは言えません。また、どの方も熱心に相談に当たっていただいてはいますが、やはり給与面や短期の雇用は生活を不安定にさせ、安定した相談支援が難しくなると指摘されています。さらに、即戦力として個人の力量や経験に任されている部分があり、組織内での統一した見解や対応が行われるのか、実践されたケースワークが組織として蓄積され活かされていくのか疑問です。まずは、なぜこうした相談職を非常勤の職として、会計年度任用職員をあてているのかあきらかにしてください。

-松田総務局長

 相談・支援業務に非常勤の職である会計年度任用職員をあてている理由でございますが、本市では個別分野の相談業務や支援業務に、その分野毎に様々な社会経験を積み重ねてきた人材を配置し、こうした経験を活用することが有効と考え、会計年度任用職員を配置しているものでございます。

-広田議員

 過去5年間の状況について調べました。特筆すべきは、すべて女性であるということです。採用時の年齢は、女性相談員は60代がほとんどで、平均58歳。消費生活相談員は50代60代が半数以上で平均54歳です。退職時の勤続年数については、通常5年まで勤務できるところ、女性相談員も、消費生活相談員も平均3年となっています。特例で、女性相談員と消費生活センターの相談員は5年を10年に延長できますが、延長された方は、おひとりのみです。一方、子どもソーシャルワーカーは、各年代にわたり、平均47歳と若い傾向がありますが、退職時の勤続年数は1年8か月と短く、今年度は年度途中の欠員が出ています。母子父子自立支援員は、50代60代がほとんどで平均56歳。退職時の勤続年数は3年7か月ですが、こちらも今年度途中の欠員が出ています。いずれも資格職採用のところは資格職で補っていますが、望ましいとしている職は、そうでない方も雇用されています。以上の状況から言えるのは、本市の相談員・支援員の職は、市・働く側双方にとって、非常勤であり短期雇用であることを前提とした働き方になっているのではないかということです。本市の見解を伺います。また、中には社会福祉士など資格があり働き続けたい意欲があっても、5年で雇用が打ち切られる場合もあります。そして、相談員の中には10年へ延長が可能な職とそうでない職があり、整合性がとれていません。改善する必要があるのではないでしょうか。

-松田総務局長

 すべて女性で年齢が高く短い勤務年数であるという状況についてどう考えているのか、また相談員の中でも任用期間に5年と10年の違いがあり、整合性がはかられていない、改善すべきではないかというお尋ねでございました。募集にあたって、性別や年齢の要件はございません。必要な資格や経験などを明示したうえで公募しておりまして、面接等を経て任用した結果でございます。会計年度任用職員の任期は原則5年でございますが、高い専門性や育成に時間を要するなど人材の確保が難しい、限られた一部の職種に限り、改めて能力の実証を行うことを前提に再度の任用を認めて10年としているものでございます。

 

-広田議員

 一方、公立保育士は会計年度任用職から正規職への道が開かれましたが、相談員・支援員はそうなっていません。本市で積み上げたスキルと経験を今後も活かしていただくためにも、正規への登用が必要ですがいかがでしょうか。そして、対市民へのソーシャルワーク業務が必要とされ、各課で配置が増えている今、会計年度任用職ではなく正規で専門職の採用に切り替えていくべきと考えますがいかがでしょうか。

-松田総務局長

 正規職員の採用にあたっては、地方公務員法上、競争試験によることが原則とされていることをご理解願いたいと思います。相談業務につきましては行政内部の経験だけではなく、民間を含めた様々な経験や人脈を有する人材が適切であり、専門職としての正規化は考えておらず、正規職員との連携や専門性を高める研修等を充実させていきたいと考えております。

-広田議員

 生活支援課のケースワーカーについてです。社会福祉法第16条では、本市のような都市ではケースワーカー1人に対して、生活保護世帯80世帯の受け持ちを標準数として定めています。それでも過剰と感じますが、本市では80世帯をはるかに超えて、現在1人当たり90世帯を受け持ち、そのほかに医療や介護、法外援護などの事務的な対応も行っており、さらにこのコロナ禍では自立支援給付金や住居確保給付金なども併行して行っている状況です。また他の課にはある庶務係がなく、ケースワーカーが服務管理も行っているのが現状です。まず、中期人事計画では、少ない福祉部門の計画的増員を行うとしていますが、今年度は生活支援課の増員はありませんでした。計画がどうなっているのか明らかにしてください。法律に基づく標準数を超えている現状を打開するため、早急にケースワーカーの増員が必要ですがいかがでしょうか。

-村山市長

 福祉部門の増員についてでございます。現在の中期人事計画の期間である令和3年度以降、2年間ではありますが49名の増員を行いました。またケースワーカーにつきましては、これまでも被保護世帯数の状況等に応じて、ここ10年で9名増員するなど、対応してきたところであります。今後とも社会状況等の変化を踏まえ、必要に応じ適切な措置を講じて参りたいと考えております。

-広田議員

 本市は福祉職採用という方法はとっていませんが、先ほどの相談員・支援員も含め、ソーシャルワークを専門に行う専門職を計画的に増やし、行政として人を育て、ノウハウを蓄積していくべきと考えますが、見解を伺います。

-村山市長

 福祉の専門職としては事務職の一部として社会福祉士や児童福祉士を採用しており、こうした専門職だけでなく、様々な行政経験を積み重ねてきた一般の事務職が連携することで組織体制が強化され、質の高い福祉サービスの提供につながっていくものと考えております。これまでも計画的な採用と増員に努めており、職種を問わず全体的として年度毎の状況を踏まえて対応していく予定でございます。

再質問

-広田議員

 相談支援員のことについてですが、今の局長の答弁で10年にできる人もいるという点では、先ほどの整合性がとれない職種のひとつに子どもソーシャルワーカーと母子父子自立支援相談員、こちらはまだ5年までなんですね、10年に延長できない。でもさきほどの局長の考え方からすれば、10年に延長する職種に加えても良いのではないかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

-松田総務局長

 現時点ではそういった、先ほど申し上げましたように高い専門性や育成にかなりの時間を要するなど人材の確保が難しい、限られた一部の職種と考えてはおりませんけれども、今後の状況を見ながらそういったことは考えていきたいと思っています。

-広田議員

 今言った子どもソーシャルワーカーと母子父子自立支援相談員は、とても高い専門性が求められると思います。今、ヤングケアラーの問題であるとか次々にいろんな課題が、国からも含めて押し寄せているわけですから、早急に10年の延長を、そして私はやはり正規専門性の職種として求めていきたいと思いますが、再度市長、お願いします。

 直近の聴力検診ですけれども、90名に補聴器が必要だけれども結局11名しか装用に至っていない、12.2%、たいへん低いですよね。その方々は不自由な生活を強いられている、災害時の逃げ遅れとかも本当に心配です。そして、ランチタイムコンサートを定例化する、文化に力を入れる、そして音楽ですよね、市長。その市長のハーモニーが聞こえない。とても残念ではないでしょうか。全国市長会に要望しているのはわかりましたが、全国では自治体独自でもう補助制度が始まっていますから。ぜひその検討を、市長のハーモニーを聞いてもらうというお気持ちで、ご検討をお願いしたいと思います。

-村山市長

 先ほどの任用期間のことについてまず回答したいと思います。高い専門性を有するというところは様々な判断があるかというように思います。今後どのようにしていくか、これは人材確保の観点も考えながら検討することになると思いますけれども、現状での問題認識としては持っておりません。ただ、今後研究していくべき内容だというように思っております。

 加齢性難聴についての答弁でございますけれども、議員が質問の中でご指摘いただいた通り、本市での検診を行っているということ、これを評価いただいているというように思います。一歩一歩進めなければならない内容だと思いますけれども、生活の質の確保あるいは認知症への影響なども考慮していくと、何とか考えなければならないかなというようにも思っております。様々な方の生活の質を向上していくというのは、ひとつの私の責務だというように思っておりますので、それに向けてどのようなことができるかということは研究していくべき課題だというように思っております。

 議会議案第13号 女性デジタル人材育成を強力に推進するための支援を求める意見書について、日本共産党市議員団を代表して反対の立場から討論いたします。

 岸田政権は、女性の経済的自立をうたい、首相がかかげる新しい資本主義の中核として「女性デジタル人材プラン」の実行を位置づけています。その内容は、コロナ禍で厳しい就業や所得向上に直結するデジタルスキルを身に着けた女性デジタル人材の育成を加速させ、2030年にはIT分野における人手不足は約80万人と言われている慢性的なデジタル人材不足の解消に充てようとしているものです。しかし、その実態は臨時の労働力を確保するものに他ならないのではないでしょうか。

 新自由主義社会がもたらした弊害として、労働者派遣法の改悪など雇用のルールを壊し、非正規雇用が就業者全体の4割を占めるという状況をつくっていることも問題です。なかでも女性の非正規雇用者は54%を上回り、パート勤めの女性を中心に、コロナ禍においては厳しい労働環境に置かれています。こうした労働環境を改善し、正規雇用の割合を増やすような施策を行ったり、最低賃金1000円以上に引き上げたりすることから取り組むべきではないでしょうか。

 もちろん、就業の困難を抱えている女性に雇用の準備や、環境を手助けすることは重要であり、結婚、妊娠、育児、介護などの制約を解決することこそ求められています。

 しかし、この様な問題解決を政府に求めることを抜きにして、「女性の経済的自立」「テレワークの定着・促進に向けての全国的な導入支援制度」を求めることに実効性はありません。よって、「女性デジタル人材育成を強力に推進するための支援を求める」意見書には、賛成できない事を表明して討論といたします。

わたしは、提出会派を代表し、議会議案第11号「原発依存から決別し、省エネルギー政策と再生可能エネルギー拡大の取組を求める意見書」の提案理由を述べます。

 岸田首相は8月24日、エネルギー政策を検討する政府の会議で、次世代型原発の開発・建設を検討する方針を表明しました。政府はこれまで既設原発の再稼働を推進する一方、新増設・建て替えは「想定していない」としてきました。また、昨年決定したエネルギー基本計画では、原発は「ベースロード電源」で「必要な規模を持続的に活用」するとし、2030年度の原発の電源構成比率を20~22%にすると決めました。ただ、世論の批判を意識して、新増設の明記を見送り、「再生可能エネルギーの拡大を図る中で、可能な限り原発依存度を低減する」とも記述しました。今回、この立場を完全に投げ捨てたことは重大です。

 さらに首相は「既設原発の最大限の活用」を図るため、すでに再稼働したことのある10基に加え、2023年夏以降、新たに7基を順次再稼働させることも強調しました。

7基の中には、地元自治体の同意が得られていない東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)や日本原子力発電 東海第2原発(茨城県)も含まれています。

 柏崎刈羽原発は昨年、侵入者を検知する設備の故障などの問題が判明し、規制委員会が事実上の運転禁止命令を出しています。福島第1原発事故への反省もなく、不祥事が後を絶たない東京電力に対して原発に携わる資格そのものを問う声が上がっています。東海第2原発は、30キロ圏内に国内の原発では最多の約94万人が暮らしており、避難計画づくりは困難を極めています。昨年3月、水戸地裁は、実現可能な避難計画が整えられていないとして同原発の運転差し止めを命じる判決を言い渡したところです。

 他の4基についても、周辺住民の反対の声が相次いでいます。民意もリスクも無視して再稼働を推し進めることは、あまりに乱暴です。新方針で最長60年としてきた運転期間の延長を検討するとした、老朽原発の延命策も安全の置き去りです。

 東京地裁は7月、東京電力旧経営陣に13兆円超の賠償を命じた判決で、原発事故が起これば「国土の広範な地域や国民全体にも甚大な被害を及ぼし、地域の社会的・経済的コミュニティーの崩壊や喪失を生じ、ひいてはわが国そのものの崩壊につながりかねない」と指摘しました。

 首相は原発活用の理由として、電力・エネルギーの安定供給、脱炭素を挙げています。

しかし、電力不足などの根本的な背景には、原発と石炭火力を「主力電源」と位置付け、再生可能エネルギーを後回しにしてきた問題があります。

 2020年の日本の総発電量に占める再エネの割合は22%にすぎませんが、ドイツでは48%、イギリスは43%、アメリカのカリフォルニア州は2019年53%にのぼります。さらに、2030年に向けた目標も、日本の36~38%に対し、ドイツは65%、カリフォルニア州は60%で、日本は世界から大きく立ち遅れています。

ところが岸田首相は、「安定して安価なエネルギーを確保しなければいけない」などと述べ原発を主力電源とする姿勢を示しています。

そのため、再エネ発電量が過剰になると、太陽光や風力で発電された電力を送電網への接続から外す出力制御が行われています。2018~21年では九州電力管内だけで250回も実施。今年に入り四国電力、東北電力、中国電力、北海道電力管内でも行われました。

原発頼みの政府の政策が再生可能エネルギーの普及を妨げてきている証です。

 しかも、太陽光と風力発電の導入コストは原発よりも安価となっており、コストを理由にした再エネ軽視の主張は成り立ちません。

 さらに、世界的な資源価格高騰とアベノミクスによる円安で電力価格が上昇するなか、再エネ導入の遅れは家計を圧迫しています。

100%国産の再エネの大規模な普及こそ、エネルギー安定供給の切り札です。

日本も参加する再エネの国際機関「IRENA」(アイリーナ)が3年前に発表した報告「新たな世界」は、「化石燃料輸入国は、石油・ガス輸出国で発生しうる政情不安やテロ攻撃、武力衝突によるエネルギー供給停止や、価格変動といったリスクに対し脆弱だ」と警告していました。

ロシアによるウクライナ侵略は、化石燃料に依存する国の弱点を浮き彫りにしています。

また、国内の電力消費量の約70%を産業部門と業務部門が占めます。一方、家庭部門は約30%(「エネルギー白書2022」)。電力需給の厳しい局面では、節電や電力の大口需要者への需要調整、蓄電システムでの対応とともに、産業部門の大幅な省エネや建物の断熱化、電力利用の効率化が不可欠です。

こうした省エネルギー政策と再生可能エネルギー拡大を真剣に追求してこそ打開の道が開けます。

よって、原発依存から決別し、省エネルギー政策と再生可能エネルギー拡大の取組を求めるこの意見書を国に届けるべく、本市議会のみなさんのご賛同を求めて提案説明を終わります。

日本共産党市議員団を代表し、議会議案第10号「国葬を直ちに中止することを強く求める意見書」の提案理由説明をおこないます。
 岸田首相は、今月9月27日に安倍元首相の「国葬儀」を今月9月27日に行うと共に、その費用の概算は、16億6千万円であるとしました。
 安倍元首相の在任期間が憲政史上最も長かったことなどを理由に挙げると共に、その法的根拠について、内閣府設置法をあげています。この設置法は、平成11年・1999年7月16日交付されたもので、内閣府の設置、その任務などを定めたものです。岸田内閣は、この設置法第4条第3項第33号に「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること」が明記されことを根拠に、閣議決定をもって国の儀式として安倍元首相の国葬儀を行うとしました
 戦前、国葬令が存在し、国葬が実施されてきましたが、現憲法の下では、廃止され、国葬を規定する法律はありません。従って、内閣府設置法を根拠に国の儀式として国葬儀としたものです。しかし、これとて、国の儀式に、国葬が対象となるか明記されていません。
以下、述べる際に、国葬との表現を使います。
 国葬に対する各種世論調査では、賛成を上回り、反対との表明が50%をこえ、6割、7割近くにまで反対世論が広がっています。
 反対世論として、一人の人間が亡くなったことに対して、それぞれが弔意を示せばよいのであって、国葬という方法で国民に弔意を求めるのはいかがなものかとの意見です。しかも、コロナ禍のもとで、人々は、ごく親しい方と家族だけでお見送りしています。そのことを考えると、安倍元首相に対して、国葬を行い、税金16億6千万円を使うのには納得できないというものです。
 さらに、今問題となっている旧統一協会と安倍元首相の関係が深かった事実が明るみとなってきていることです。これを見過ごすことはできません。解明が求められています。また、森友・加計問題や「桜を見る会」開催をめぐる疑惑などもあり、国葬によって、こうしたことが曖昧にされることへの強い疑念の声が多くあります。
 わが党は、安倍元首相の国葬は、「法の下の平等」を定めた憲法14条。そして、「思想及び良心の自由」を明記した憲法19条に反するとの見解を明らかにしています。
この意見書は、法的根拠のないまま、国会決議もなく、閣議決定によって、多額の税金を投入しての国葬は、直ちに中止することを強く求めるものです。

議員各位の賛同を求め、意見書の提案理由の説明を終わります。

世界平和統一家庭連合(旧統一協会)と本市との関係について

本市の対応と市長の見解

-森尾議員
 私は、日本共産党市議員団の一人として以下、質問します。
 最初の質問は、世界平和統一家庭連合、いわゆる旧統一協会と本市との関係についてです。私ども市議員団は、去る8月31日、市長に対して申し入れを行いました。その内容は、①旧統一協会及び関連団体と本市との関係を明らかにし、その関係を止めること。 ②本市関連の外郭団体においても統一協会及び関連団体との関わりがないか、調べ、明らかにすること。 ③霊感商法など被害に関する相談を行うと共に、本市に対策協議会を設置すること。 この三点について、市長の見解を求めます。

-村山市長
 本市におきましては、雪かきボランティアや公園等里親制度への参加が確認されておりますが、社会的に問題が指摘されている団体との関係については市民の不信感を招くことのないよう対応する必要があると考えています。今後国の動向等も見極め対応してまいりたいと考えています。また外郭団体についても市に準じて適切に対応するよう求めていきたいと思います。なお、本市ではこれまでも消費者トラブルなどに関する相談は近江町消費生活センターで受け付けているところであります。また現在国において、霊感商法等の悪質商法への対策検討会を開催し、議論がなされているところから、対策協議会を本市で設置する考えはありません。

-森尾議員
 具体的な内容は以下伺ってまいりますが、その際、この申し入れを行ったときに市長はわが党市議員団との面会を拒否されました。親和力を掲げる市長が、テーマや団体を区分けして対応をされることは、あってはならないと。ましてや議会を構成する議員団に対しての対応としては問題があると。そしてそれは市長の任務放棄ともいえるものだと考えますが、見解を伺います。

-村山市長
 これまでも各種の要望や面会等の依頼につきましては、これは要件の内容や他の日程等も踏まえて秘書課において応接者を総合的に判断してきております。ただ、案件は数多くあります。極力対応したいとは考えておりますけれども、すべての案件に対応できていないことはご理解いただければと思います。なお、いただいた申し入れの内容につきましては承知してございます。

-森尾議員
 承知するなんてのは当然です。市長と議会は二元代表制だと、あなたもそれは尊重すると表明してきました。市民に選ばれ、活動を行っています。従って市長は、二元代表制を尊重するというならば、議会会派からの要請に応えるのは当然だと。また、お会いする、お話を聞くというのは当然だと考えるものです。面会を拒否するということはあってはなりませんし、二度とないよう求めておきたいというふうに思います。
 具体的な内容について伺います。市長は、この旧統一協会についてどのような認識をお持ちですか。そしてどのような対応が必要だと考えておられますか。この旧統一協会は、信者からの多額の寄付による家庭崩壊や、霊感商法や合同結婚式などによる被害を引き起こし、社会的批判を受けてきた反社会的集団・カルト集団です。従って、この集団と行政や政治家が様々な形で関係をもち、その活動に参加・支援し、容認することは、統一協会が社会的に承認され、問題のない団体であるという「お墨付き」を与え、さらなる被害拡大につながりかねません。こうした認識について、市長はどう考えますか。

-村山市長
 私個人的にということであれば、学生時代には私の部活の先輩がオウム真理教に行って帰ってこなかったという経験もあります。その同時期に統一教会は様々な問題が取り沙汰されていた団体というように把握しております。好ましいかというと、好ましいと思っていないということになりますが、また市としてどのように対応することになるかというと、現在報道等で社会的に問題が指摘されている団体だというように認識しています。ですので、国の動向を踏まえながら対応してまいりたいというように思っております。

-森尾議員
 その国の動向について。岸田首相はこの旧統一協会について、「今後、国民の不信を招くことがないよう社会的に問題が指摘されている団体との関係を持たないことを党の基本方針として徹底していきたい」との見解を表明しています。市長は、社会的に問題が指摘されている団体、こういう認識を持ったと。すなわち旧統一協会との関係を持たないと、明確な態度表明できませんか。

-村山市長
 岸田総裁が自民党として関わりを持たないことを宣言されたということは承知しております。私も個人としては関わりを持たないというように考えております。

-森尾議員
 南野・九州大学教授、憲法学の専門家は、次のように述べています。「旧統一協会は、他の宗教団体とは異なります。宗教であることを隠して近づく手法や、家族や知人との接触を断ち切っての洗脳・教化、霊感商法や法外な金額の献金強要など、多くの違法行為・不法行為が裁判で認定されています。」こう述べ、旧統一協会との問題は、不法行為を繰り返す団体の問題であると理解して対応するべきと、こういう見解を述べています。これを受けて多くの皆さんが、この団体との関係は問題があるという認識に立っていますので、先ほど市長もそういう認識に立っているというのならば、この旧統一教会との関係は絶つべきという認識に立つのではないですか。改めて伺います。

-村山市長
 私もかつて大学の教授を務めていたことがありますけれども、一学識経験者の考えということで、先ほどの憲法学者の方のお話は認識させていただきます。自分がどうしたいかということと、市の行政がどう関わるべきかという問題は全く別だというように考えています。

-森尾議員
 では、市の行政はどうあるべきかについて伺います。私の住む浅野校下・東大通り沿いに旧統一協会の施設がありました。その隣にはオウム真理教の施設が当時あり、撤去を求める取り組みを行い、撤退しました。その後、新たな名称で浅野校下の別の場所で事務所を構えています。一方、旧統一協会は、2015年名称を変更すると共に、施設を浅野校下の別の場所に移動し、現在も活動を行っています。実際、被害を受けたことのある住民がいるだけに、地域からは不安の声が続いています。去る9月3日、元町福祉健康センターで市長との「まちづくりミーティング」が開かれました。この会で意見表明された浅野校下の代表は、市長にこのように述べました。「校下には、旧統一協会があり、オウム真理教もいました。安心安全のまちづくりを進めるには、安全が担保されなければならない。市としても努力してほしい」という発言でありました。市長はどのように受け止め、対応されるのか。見解を伺います。

-村山市長
 このまちづくりミーティングの場で宗教団体について非常に心配をおかけしており、厳しく見ていかなければならないというようなお話をさせていただきました。市民の安心・安全を確保していくためにも、まずそうした声を担当部局でも十分把握したうえで対応・検討することが大切であると考えております。

-森尾議員
 地域からこれだけ不安の声が出され、直接市長もその声を聞いたと。責任ある対応をしなければならないと考えます。地域住民の安心・安全を届けるのが、市長としての責任ではありませんか。ここは明確に述べていただきたいと思います。

-村山市長
 市民の安心・安全を確保していくということは、市長の責務であるというように考えております。

本市公園里親事業において、本市が世界平和統一家庭連合金沢家庭教会と交わした合意書を解除することについて

-森尾議員
 では具体的に伺います。本市公園等里親事業において、本市が世界平和統一家庭連合金沢家庭教会と交わした合意書を解除することについて伺います。令和元年7月、世界平和統一家庭連合金沢家庭教会が、浅野本町第三児童公園を活動区域とする公園ボランティア活動である本市公園等里親事業に申請しました。本市はこれを許可し、合意書を交わしました。活動実態は、市としては把握していないということです。地域では全く知らないことです。去る9月8日、この合意書の解除を求める要請書が、浅野校下住民146名の署名を添えて、市長に提出されました。市長はどのように受け止められたのか。今後の対応と合わせ、伺います。

-村山市長
 公園等里親制度でございますが、身近な公共空間である公園・緑地等の利用および美化を促進し、まちづくりに対する市民の意識の高揚を図ることを目的としておりまして、里親となっている団体の清掃活動のみを支援するものであります。住民の方々からの署名をいただいたということでございますけれども、町会から直接こちらに対して申し入れがあったということではないと承知しております。一方で、社会的な問題が指摘されている当該団体との関係につきましては、市民の不信感を招くことのないよう、対応する必要があると考えております。繰り返しになりますけれども、国や他自治体の動向なども見極めて対応してまいりたいと考えております。

-森尾議員
 市長は、去る8月19日の記者会見において、「地域の人からやめてほしいということがあれば検討する必要がある」と述べたことが報道されました。こうしたことから地域住民は「合意書の解除を求める要請書」を校下住民の署名と共に、市長へ提出したのです。先の市長の見解、そして地域から署名が提出され解除してほしい、この事実の経過はどう市長として判断されるのですか。

-村山市長
 地域の方々の署名をいただいたというのは事実として承っておりますけれども、また町会の方々から直接いただくという形ではないというように思います。地域でどのような判断かということは尊重してまいりたいと考えております。

-森尾議員
 市長自らの発言に責任を持たなければいけないと思うんです。「地域の人からやめてほしいということがあれば、検討する必要がある」と述べたんですよ。これは、自らの発言に責任を持って対応しなければならないんじゃないですか。なお、金沢市公園等里親事業実施要綱では、その第5条に合意の解除というのが明記されています。その2項(4)その他市長が特に必要があると認めるときは解除できる、と書かれています。自らの判断をもって、解除する必要があるんじゃないですか。伺います。

-村山市長
 署名をいただいたということの思いは受け止めました。また今後どう対応していくかということは国の動きも見極めながら対応してまいりたいというように申し上げました。これは検討しているということにも当たると思います。一方で、地域の中には様々な意見があるというようにも思います。署名を書かれた方とそうでない方がいらっしゃると思いますので、地域の方々の総意であるかどうか、またそのあたりも意見を伺いながら対応してまいりたいと考えております。

-森尾議員
 ここは、市長の見解をもって、地域の方々が146名の署名を持って解除を求めたという経過からして、判断をしなければならないというふうに思っているんです。ここは明快に述べなければいけないと思いますよ。自らが「地域の方々がやめてほしいということがあれば検討する必要がある」と述べたじゃないですか。そして、地域の方々が146名の署名を持って解除してほしいと市長宛に要請書が出された。ここはどうですか。再度、私は決断を求めたいというふうに思いますが、明快に述べていただきたいと思います。

-村山市長
 最初から申し上げている通り、私は旧統一教会が好きではありません。これと、146名の方の署名をいただきましたけれども、その方々が住まわれている地域の他の方々がどう思われているかということも、これは考えなければいけない内容だと思います。市の対応としてどうするべきかというところは、その判断基準が必要だというように思っております。ですので、国の動向を見極めながら対応してまいりたいと思っています。

国際勝共連合と本市庁舎内での政党機関紙購読・配布について

-森尾議員
 市長から「好きでない」という発言はびっくりしましたが、旧統一教会が反社会的集団であるという認識のもとに立って、住民の声も聞いて、市長としての判断を行うよう、今回の要請に従って解除を行うよう強く求めておきたいと思います。
 もうひとつ、この旧統一協会のもう一つの顔が国際勝共連合です。旧統一協会の教祖、文鮮明(ムン・ソンミョン)が1968年韓国で創設し、すぐに日本でつくられ、旧統一協会と一体となって活動しています。その関連会社が世界日報社で、発行する新聞が『世界日報』です。この『世界日報』2019年6月16日には、「金沢市庁舎内の政党機関読者が大幅減」と題する記事が掲載されました。記事はつぎのように報じました。「金沢市は今年2月下旬、課長補佐級以上の一般職667人に対して、政党機関紙の購読勧誘に関する無記名調査を行った」と報じ、続いて「調査から3ヶ月がたったが、この問題を平成27年の議会から取り上げてきた坂本泰広市議によれば、坂本氏と市の両方の調査で『パワハラ勧誘』の実態が明らかになったことと、市長の『是正』文書により職員が政党機関紙購読を断る根拠となり、既購読者の解約が進み、購読者数は大きく減った」という記事です。市長は、この報道をご存じですか。

-村山市長
 承知しておりません。

-森尾議員
 お渡ししてありますのでまたご覧になってください。国際勝共連合がその機関紙とも言える世界日報で「金沢市庁舎内の政党機関読者が大幅減」と報じ、その5ヶ月後の11月6日には「世界の交流拠点都市」へ邁進する 石川県金沢市長 山野之義氏 と題するインタビュー記事が掲載されました。山野前市長は、市長室でこの世界日報の記者からインタビューを受けたこと。そして、旧統一協会の関連団体である認識はあったことを認めています。国際勝共連合は、旧統一協会を母体として韓国の文鮮明(ムン・ソンミョン)を教祖とし、KCIAによって組織育成され、反共謀略宣伝や活動を繰り広げてきました。本市において、一部の議員と共に、山野前市長が反共の旗を振りかざし、本市行政を歪めたとすると重大です。市長。この点について、調査する考えはないか見解を伺います。

-村山市長
 私は議員がおっしゃるような問題認識はありませんので、調査をするつもりはありません。

-森尾議員
 政党機関紙に関して、平成27年6月議会、坂本市議は、次のように本会議質問を行いました。また平成30年12月にもこの問題は取り上げられました。「係長以上の職員からランダムに選んだ100名に電話調査を実施。課長以上の職員87%が政党機関誌を購読。一般市民は『なんだ。市役所の幹部は真っ赤っかじゃないか』と思いますよ。」と発言されました。山野前市長は答弁の中で「この資料は重たく受け止めている」そして「市役所庁舎内での政党機関紙の購読斡旋行為が本市庁舎等管理規則の禁止行為である」との見解を表明し、今度は課長級補佐以上の一般職667人を対象に政党機関紙の購読勧誘に関するアンケート調査を実施しました。憲法で保障された思想信条の自由に触れるような電話による調査、アンケート調査が行われ、本市庁舎等管理規則を持ち出し、市役所庁舎内での政党機関紙の購読斡旋行為が禁止行為であるとの見解まで表明しました。明らかに本市行政を歪めたのではありませんか。その構図が今回明らかになった。市長。調査する必要はないですか。

-村山市長
 ただいま議員が質問の中でおっしゃられたように、その新聞報道から5ヶ月経ってのインタビューとのことも関連付けが難しいと思いますし、ここが問題になったという旧統一教会関係誌とのつながりがあるとも関連性が薄いと思っています。ですので、そのような事実という問題認識がまずありません。

本市中央卸売場市場再整備について

-森尾議員
 憲法第99条は、国会議員や公務員に対して憲法を尊重し養護する義務を負う、と明記されています。市長は、憲法を守り、生かしていく立場にあることを改めて申し述べておきたいと思います。
 質問の第二に、本市中央卸売市場再整備について伺います。昨年6月に「再整備基本構想」が策定され、8月にはその策定業務委託が実施されました。ところが、計画策定の履行期間が二度にわたって延長されました。市長は今年3月に選挙によって選出されましたが、この二度にわたる履行期間の延長、これはいつ、どのような説明を受けたか伺います。

-村山市長
 当時、所管の副市長として今年1月の令和3年度補正予算並びに令和4年度当初予算の編成過程で、民間活力の導入に関する聞き取り調査の実施について議論をし、4月上旬には市長として改めて説明を受けております。また7月には市場内の事業者による検討をさらに深めるため、再度延長することが必要だというように説明を受けております。

-森尾議員
 この事業は、新しく市場を現在地に建設するという方針で進められています。100億円かかるのか、150億円かかるのか、こういう事業です。この建設について言わば最後の段階ともいえる基本計画策定が二度にわたって延期されると。一体、どこで、どのような議論がされたのか。市民と議会には報告がありません。説明を求めます。

-山森農林水産局長
 整備内容につきましては、市場内事業者の経営に関わる事項もございまして、議論の内容を広く公開できないことはご理解いただきたいと存じます。先般、一定の方向性が明らかになりましたことから、8月の経済環境常任委員会におきまして再整備基本計画の中間報告をさせていただきました。なお、今年3月の経済環境常任委員会における予算説明におきましても、繰り越しと期間延長についてご報告をさせていただいているところでございます。

-森尾議員
 本市の事業について、議論を報告できない、公開できない。これは、許されません。市長、この事業は、本市の税金をもって行う本市の事業ですよ。その内容を報告できないなんていうのは、どういうことですか?

-村山市長
 事業者の経営内容に関わる部分があります。ですので、そこをつぶさにしてしまうということは、逆にこれは難しいというように思っております。

-森尾議員
 議論の内容や、ここに至った経緯について、市民と議会に明らかにするよう強く求めておきたいと思います。
 ここで、議長の許可をいただきグラフをお示ししたいと思います。

各議員のタブレットからも見ることができます。本市中央卸売市場における水産部の取扱量を年次毎に示したものです。一目瞭然で、減少傾向がずっと続いています。ところが、再整備基本構想における計画量は、現状の125%を想定しています。青果部も同じ傾向です。取扱高の金額を見ると、市場の水産部は1000億円の取扱高が400億円にまで減少し、青果は300億円の取扱高が240億円を下回ってきています。再整備基本計画策定の履行期間が二度にわたって延長されました。こうした市場での取扱量の減少傾向が続いている中で、125%をも想定して市場の建設を進めてきたと。これについてどう説明されるのでしょうか。

-山森農林水産局長
 令和3年度に行っております基本構想で掲げた目標取扱数量は、令和元年度に開催しました再整備の在り方検討会のときに掲げた数字でございます。ご指摘ある通り現状の取扱高と比較して大きな乖離が生じてきておりますことから、現在改めて市場内事業者が主体となって取扱数量の将来予測について精査しているところでございます。

-森尾議員
 花き市場は深刻な課題を抱えたままとなっています。それは、民間と公設市場との統合が進んでこなかったことです。今日の経済状況を大きく反映し、経営自体も大変な事態に直面しています。昨年の決算の中では、この取扱高は民間が55%、公設が45%となっています。コロナ感染の拡大や物価の上昇が進んでいる中、新しく建設される市場に入ることで、民間との競争を考えるとますます花き市場を民間に奪われることが予想されます。奪われるどころか、その前に倒産しちゃうという危機感が大いにあったと思います。民間と公設市場の統合問題、そして花き市場をどうしていくのか、市長から見解を伺いたいと思います。

-村山市長
 花き市場の統合の問題は、公設市場の開設当時からの課題というように認識しております。今後も引き続き本市からの働き掛けも必要であると認識しております。ただし、それぞれの市場内で営業する企業の意思も考慮しながら対応していくこととなりますので、そちらをご理解いただければと思います。

-森尾議員
 市長、今回の問題をいろいろ説明を受けたんですが、結局、多少の手直しで新しい市場建設をすすめてよいのか、ここに私はたどり着きました。改めて、建設計画を一からやり直すことが必要ではありませんか。あれやこれやの手立てでこの計画を進めることはできません。根本的に一から計画を見直し、新しい市場をどうするのか、これは議会とも大いに議論しましょう。どうですか。

-村山市長
 先ほどお示しいただいたグラフは、右肩下がりになってきております。これは令和2年のコロナ禍での外食需要あるいは観光での客の落ち込みなども含めてなってきております。一方で、コロナ後でどのような食の需要になるのかも再検討しなければならない中ではありますけれども、その中で現在の中央卸売市場はかなり老朽化してきているというのも事実です。今回の再整備計画は、市場を取り巻く環境の変化、これはHACCP対応も含めて、柔軟に対応できる施設となるように市場内の事業者と議論をしながら進めてきております。策定中の基本計画については年内を目途に取りまとめていきたいと考えております。

埋蔵文化包蔵地・高尾城跡と国史跡チカモリ遺跡公園において法違反が見つかったことについて

-森尾議員
 最後の質問に移ります。
 埋蔵文化財包蔵地・高尾城跡と国史跡チカモリ遺跡公園において、文化財保護法に違反する事案が見つかったことについてです。なぜこうした事案を起こしてしまったのか、改めて市長に見解を求めたいと思います。

-村山市長
 それぞれの場所におきまして、工事担当課の職員が手続きに関する知識が不足していたこと、また庁内の連絡体制が不十分であったことが原因と考えております。再発防止の徹底を図るため、このことに関する庁内研修会を9月1日に開催しました。直接私からも注意を喚起したところでございます。

-森尾議員
 去る8月30日、本市文化財保護審議会が開かれました。今回の件について、専門家の皆さんからはどのような指摘があったのか伺います。

-東文化スポーツ局長
 文化財保護審議会では、これまでも指摘されている庁内の連絡体制の評価や、文化財に対する意識の醸成などについて委員からご意見をいただきました。真摯に受け止め対応していきたいと思っております。

-森尾議員
 今後の対策についてです。このチカモリ遺跡は、今から35年前の昭和62年に国の指定史跡となりました。縄文時代の後期から晩期の遺跡ということです。3000年から2300年前にあった大集落の遺跡とのことです。大変貴重な遺跡であり、直径80cmに達するような巨大な木柱根(もくちゅうこん)が40本にも及ぶ数が発見されたという点でも、非常に貴重な遺跡です。今後、このチカモリ遺跡公園の保存活用計画を策定し、後世に伝えていく責任があると思いますが、最後に市長から見解を伺いたいと思います。

-村山市長
 文化財毎に定める保存活用計画は、史跡等の指定を受けて、それらを後世に確実に継承するために守るべきルールを定めるもので、チカモリ遺跡公園につきましては現在、保存活用計画は定めておりません。今回の事案を受けて市としてもその必要性を感じているところであり、今後国・県の指導を踏まえたうえで、保存活用計画の策定について検討してまいりたいと考えています。

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