金沢市議会 |日本共産党 金沢市議員団 |3ページ

金沢市議会

山下あき議員

-山下議員
 質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として質問いたします。
 1点目は、建設中の「金沢スタジアム」についておたずねします。まず、端的にお伺いします。来年2月に供用開始となる金沢スタジアムは、誰のためのスタジアムでしょうか。市長、明確にお答えください。

-東文化スポーツ局長
 金沢スタジアムは市民のためのスタジアムであります。アマチュアの全国大会等、一般市民の利用のほか、ツエーゲン金沢のホームスタジアムとしての利用を想定しているところでございます。
 
-山下議員
 市長にも見解をお伺いしたかったのですが、市民のためのスタジアムだということでお伺いできましたので安心をしております。
 では、金沢スタジアムが建設に至った経緯から、改めて質問いたします。「市民サッカー場」は当初、改修の計画でしたが、この改修計画が移設再整備になったのはなぜでしょうか。

-東文化スポーツ局長
 当初は現在の市民サッカー場での改修を予定しておりましたが、観客等へのおもてなし空間の確保やJリーグ基準にも対応するため、スポーツ推進審議会での審議を経て施設整備計画を変更し、城北市民運動公園内での移転再整備としたものでございます。

-山下議員
 スポーツ審議会の審議を経てということでしたが、当時、常任委員には口頭での報告であり、議会での十分な議論や、市民的な合意形成がたいへん不十分であったと感じております。ツエーゲン金沢は、石川県全域をホームタウンとしています。現在、ツエーゲン金沢のホームグラウンドは、県西部緑地公園陸上競技場です。その陸上競技場は、観客席は2万席あり、芝のはり替えや大型映像装置などの更新工事を行なっています。こうした環境があったなかで、金沢市が単独で、J リーグ基準を満たすスタジアムをつくる必要があったのでしょうか?県や周辺市町との協議は十分に行われたのか、お聞かせください。

-東文化スポーツ局長
 Jリーグ基準に適合したサッカー場の建設にあたりまして、県西部緑地公園陸上競技場は、本来の用途が陸上競技であり、観客席を覆う屋根がないなど、Jリーグの基準を満たさない部分もあることから、県や県・市のサッカー協会、ツエーゲン金沢とも協議を重ねるとともに、議会および市民の皆様の理解を得ながら進めてきたところであります。

-山下議員
 Jリーグ基準を満たすという前提があることから、やはりこの金沢スタジアムの建設にあたって、市民を置き去りにしてきた事業の進め方だと指摘をしなければなりません。金沢市スポーツ文化推進条例第4条には、「基本理念にのっとり、スポーツ文化の推進に関する総合的かつ計画的な施策を策定、実施し、その施策の実施にあたっては市民、事業者及びスポーツ関係団体の意見を十分に反映させることに努める」と市の役割としてあります。ここに市民が含まれるということを十分念頭に置いて、今後の駐車場整備やジュニア用サッカーコートの移転新築もありますので、大きな事業費が110億円から120億円に膨らむ予定です。ぜひこの一連の事業を市民の合意のもと進めていただきたいと思います。
 次に、指定管理についてお伺いします。金沢スタジアムの指定管理者の募集は、2023年4月3日から始まり、応募締切は6月9日でありました。5月10日には応募者説明会が行われています。説明会には何団体参加され、応募は何団体あったのでしょうか?

-東文化スポーツ局長
 説明会には12者が参加し、そのうち1者の応募がございました。

-山下議員
 この間、指定管理を募集しても応募が1団体しかないという状況が続いています。選定会でもこれは課題とされてきましたが、今回も1団体だったというわけです。今議会で指定管理者の指定について、市長から提案がされていますが、選定された共同事業体の構成団体をお聞かせください。

-東文化スポーツ局長
 株式会社石川ツエーゲン、株式会社ケィ・シィ・エス、公益財団法人金沢市スポーツ事業団の3社による共同事業体でございます。

-山下議員
 ツエーゲン金沢を運営する「株式会社石川ツエーゲン」も構成団体ということです。株式会社石川ツエーゲンというと、市長は2022年4月から取締役に就任されていましたが、現在は退任されています。いつ退任されたのでしょうか。そして、退任した理由をお聞かせください。

-村山市長
 ただいま、2022年4月からということでおっしゃりましたけれども、その前、副市長だった時代にも株式会社石川ツエーゲンの取締役となっておりました。その後、市長に就任してから再度取締役に就任したわけですけれども、今年4月19日に辞任届を株式会社石川ツエーゲンに提出いたしまして、4月25日の定時株主総会で承認されました。市長が取締役である株式会社石川ツエーゲンが指定管理者公募に参加を希望する場合、取締役を継続すべきではないと判断し、退任いたしました。

-山下議員
 市長が直前まで取締役を務めていた会社が含まれる共同事業体が、応募1者という状態で選定されました。透明性を疑われかねない状況ではないでしょうか。公平性、中立性の確保という視点で見ると、たいへん歪な選定とはいえませんか。市長、いかがでしょうか。

-村山市長
 金沢スタジアム共同事業体の応募資格については、指定申し入れ書の提出日にすべて応募者が満たされているということを事務局が確認し、外部員を含めた指定管理者選定会でも了承されております。選定会におきましては書類審査と面接審査の2段階で厳正に審査が行われ、その結果を受けて選定しているということから、過程を含めて問題があったとは考えておりません。

-山下議員
 過程を含めて問題がないということでしたが、指定管理で応募された方が1団体ということは、評価はできても比較はできないという状況があると思います。やはり応募される方が増えるという状況も金沢市は作っていかなければならないかと思います。今回の指定管理は、ツエーゲン金沢によるツエーゲン金沢のための運用にならないかと思っております。公共性を保ち、利用者、そして市民の声が反映される公平、中立な運営が担保されるのか懸念されます。指定管理制度には様々な問題が指摘されていますので、公共施設の管理運営は行政が責任を持って行うことを求めます。
 次に、ネーミングライツの導入についておたずねします。近年、全国の自治体において、公共施設の名称に、企業や団体等が愛称の命名権を購入するネーミングライツが導入されています。本市においては、金沢スタジアムへのネーミングライツが初の導入となりますが、何を目的に導入されたのかお聞かせください。

-東文化スポーツ局長
 新サッカー場の完成を契機に、ホームタウンチームの支援や応援気運を高めるとともに、新たな財源を確保し施設の良好な管理・運営を維持することを目的としております。

-山下議員
 先行自治体では、ガイドラインを作成している自治体や、個別条例を制定していたり、議会基本条例でネーミングライツに議会の承認を必要としている自治体もあります。本市では、何を基準に進めているのでしょうか。

-東文化スポーツ局長
 昨年12月にネーミングライツの導入可能性調査をした際に、すでにネーミングライツを導入しているスタジアムのうち、ガイドライン等が策定されていない施設が7割の状況であり、導入済みの自治体の募集要項等を参考に進めたものであります。

-山下議員
 ガイドラインも作成せずに進めているということは、大変大きな問題かと思います。先行自治体では、市民や議会の合意を得ていないと市民が反対署名を提出した事例や、裁判となり自治体が損害賠償を支払ったという事例もあります。また、命名権を取得した企業に不祥事があり、愛称が次々と変更になった施設もあります。先日、ネーミングライツの優先交渉者が、株式会社ゴーゴーカレーグループに決定しましたが、決定後、神戸市にある日本製麻という会社が、同社の取締役がインサイダー取引規制に違反した疑いがあるとして特別調査委員会を設置したと報道がありました。その取締役は、株式会社ゴーゴーカレーグループの会長だということです。本市は、この報道の事実確認はされたのでしょうか。

-東文化スポーツ局長
 現時点では報道以外の情報はなく、ゴーゴーカレーグループからの報告も受けておりません。

-山下議員
 事実確認せずに、交渉・契約をすすめていかれるのでしょうか。

-東文化スポーツ局長
 ネーミングライツの契約の交渉にあたりましては、今議会で指定管理者のお諮りをしております。それがご承認いただけましたら、まずは指定管理者との協議をはじめ、そのあとネーミングライツの優先交渉者との協議に入るかというふうに思っておりますので、現在の状況では状況を注視したいというふうに思っております。

-山下議員
 ガイドラインを作成していないという弊害が今表れているのではないかと思います。本市が不利益を被らないように、交渉を進めずにまずは事実確認を行っていただきたいと思います。
 市長は、記者会見で金沢スタジアムの愛称について、「正直、カレーなのか」と感想をのべていました。同じような感想を持った市民は少なくないと思います。ゴーゴーカレーグループには、店舗の名前に「スタジアム」とつく店舗が全国で50店舗以上あります。近隣では「ゴーゴーカレー金沢県庁前スタジアム」があります。「金沢ゴーゴーカレースタジアム」という金沢スタジアムの愛称に対して、市民から「新しいカレーの店舗ができたみたいだ」という声もあります。金沢市民の財産が、このような広告扱いでいいのでしょうか。市長いかがですか。

-村山市長
 ネーミングライツというものは、企業にとっては地域貢献によるイメージアップと、もちろん宣伝効果があるというように思っています。施設にとっては維持費の軽減効果という、双方にとってメリットのあるものと考えています。金沢スタジアムにおきましてはホームタウンチームの支援や応援気運を高めることを目的としておりまして、公共性の高い事業と認識をしております。

-山下議員
 施設維持管理への新たな収入源の確保といいますが、そのことで本市におけるスポーツ推進事業に本来必要な予算が削減されることがあってはなりません。そして本市のネーミングライツは、特定企業が提案をした愛称に対して、議会の議決も必要とせず、市民的な合意形成をはかる手立てもない状況であることは、重大な問題だと考えます。今回の導入を前例に、ネーミングライツを本市で推進していくおつもりでしょうか。今回の導入の見直しも求めますが、いかがでしょうか。

-村山市長
 現在、ネーミングライツの導入を検討している施設は他にはありません。今後、金沢スタジアムのように建て替えあるいは大規模改修などをきっかけにして機能や位置付けが大きく変わるような施設については、効果等を今回も検証いたしましたけれども、改めてその施設について効果等を検証したうえで、導入の可否を検討したいと考えております。

-山下議員
 これまで、金沢のスポーツ文化を応援してきた企業や市民の皆さんは多数いらっしゃいます。税金を使用して建設している公共施設を、特定の企業が広告・宣伝に使用することは、公共性に大きく反します。再度、ネーミングライツ導入の見直しを求めて、次の質問に移ります。

 2点目は、介護保険制度についておたずねします。「介護の社会化」を掲げて2000年にスタートした介護保険制度は、3年ごとの改正を繰り返すなかで、保険料は2倍以上になり市民の負担が増えてきました。そのうえ、介護費用が個人の負担能力をおおきく超え、経済的な事情によってサービスの利用が困難になっているケースが後をたちません。昨年末、岸田政権は、2024年の第9期改定に向けて結論を先送りしましたが、見直しを検討していた中身といえば、利用料2割負担の対象拡大や、一定所得のある65歳以上の方の保険料の引き上げ、多床室の有料化、ケアプラン作成の有料化などです。これらが実施されることになれば、物価高騰に苦しむ高齢者やその家族は、さらに負担を強いられ、利用控えや、重度化を招くことが懸念されます。市長、政府のこうした介護保険制度の改悪に対して、「市民への負担増とサービス削減を押しつける見直しではなく、誰もが安心して介護を受けられる制度に」と、国の財政負担の拡充も含めて国へ求めるべきと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

-村山市長
 介護保険制度につきましては、サービスを必要とする高齢者の方が心身の状況に応じて必要なサービスを適切に受けられるということが大切であると考えています。制度改正につきましては、国に対して全国市長会を通じて自治体への情報提供や意見聴取を十分に行うことと、そして利用者の負担増やサービスの見直しは慎重に検討することなどについて要望しているところであります。引き続き国の動向を注視してまいりたいと考えています。

-山下議員
 ぜひ国への要望を引き続き求めていただきたいと思います。
 来年度から実施予定である第9期介護保険事業計画「長寿安心プラン2024」において、基本指針を策定するにあたり、やはり利用者や介護現場の実態、要求を反映させて、市民が安心して年を重ね、尊厳ある高齢期を過ごすことができる計画にすることが求められます。本市の長寿安心プラン2024策定にあたり、利用者や介護現場の実態、要求を反映できる仕組みになってるのかお聞かせください。

-山口福祉健康局長
 長寿安心プラン2024の策定にあたりましては、今年の2月から有識者や公募委員などからなるワーキング会議を設置しておりまして、概ね月1回、そうした会議を開催しております。これまで実施してきた具体的な取り組みであったり、次期計画に向けての取り組むべき課題につきまして、様々な方からご意見をお伺いしているところでございます。また、今後開催を予定しております市民フォーラムであったり市民アンケートでは、利用者の方のご意見を直接伺う場も設けていきたいというふうに思っておりますほか、新たなプランにつきましてウェブを使った動画による説明であったり、もちろんパブリックコメント、そういったことを実施するなど、市民の意見を幅広くお聞きする予定をしております。

-山下議員
 ぜひ十分に実態や要求を組み入れて策定をしていただきたいと思います。
 介護事業所はこの間、恒常的な人員不足のうえに、新型コロナ感染症の対応も含め、すでに限界を超え、たいへん深刻な状況です。介護職員の確保は、制度を維持する上でも重要な課題です。第8期事業計画での、介護職員の確保における計画とその実施状況はどうなっていますか?それを踏まえ、第9期事業計画でどのように組み入れていくのかお聞かせください。

-山口福祉健康局長
 第8期(2021)の計画では、団塊の世代が後期高齢者となる2025年を見据えまして、新規介護人材の確保を図るため、介護の仕事の魅力向上を発信する金沢介護ラボの取り組みであったり、UJIターンを支援する制度の創設、人材の定着支援を図るためにケアメンターの派遣やキャリアアップ研修の支援を行うなどの多様な取り組みを実施してまいりました。2024からの第9期の計画におきましても、介護人材の確保に向け引き続き人材育成の支援や介護職の魅力向上の推進に努めますとともに、国においては今後介護人材確保や介護現場の生産性向上に向けた取り組みを総合的に実施する、そういうふうにもされておりますので、国や県とも連携しながら人材の確保に努めてまいりたいと思います。

-山下議員
 介護職員の離職の要因のひとつに、やはり賃金が安いという点もあると思います。保険料や利用料に跳ね返らない公的責任での介護職員への賃上げと、事業所任せにしない人員配置を、ぜひ自治体の責任で進めていただきたいと思います。
 そして、本市の介護給付費準備基金の今年度末残高は、見込みで24億円余りあります。6月議会で市長は「市民の負担が過大にならないよう有効に活用する」と答弁されました。第9期事業計画では、高すぎる介護保険料の引き下げこそ検討すべきだと考えますが、見解をお聞かせください。

-村山市長
 前回の議会の答弁と同じになって大変恐縮ですけれども、第9期介護保険事業計画における令和6年度からの介護保険料につきましては、今後3年間に必要なサービスの給付量を適切に見込み、その費用に合った額を設定することとしております。基金につきましては市民の負担が過大にならないように有効に活用していきたいと考えています。

-山下議員
 市民の負担が軽減されるよう十分な検討をお願いしたいと思います。
 3点目は、配食サービスについてです。厚生労働省は2017年に、適切な配食を通じた地域高齢者等の健康支援を推進するガイドランを国として初めて公表しました。「高齢になるほど低栄養になりやすく、死亡や健康余命の短縮のリスクとなる」「良質な食事が安定的に提供されるよう体制の整備に努めること」などを指摘し、様々な支援の整備を強調しています。このことからも、本市の配食サービス事業は、たいへん重要な事業だと考えます。そこで、本市における配食サービス事業の現状についてお聞かせください。

-山口福祉健康局長
 配食サービス事業につきまして、まず利用の状況ですけれども、令和5年7月末現在事業者数が15ございまして、実利用人数は867名となっております。サービスの内容でございますけれども、高齢者世帯等を対象に定期的に訪問して食事を提供するとともに、利用者の安否を確認する、そういったものになっております。

-山下議員
 委託料についてもお伺いしてよいですか。

-山口福祉健康局長
 委託料につきましては、1世帯あたり150円となっております。それ以外に利用者の負担といたしまして基本食で510円の利用料をいただいております。

-山下議員
 金沢市の委託料は見守りに対してというふうに伺っています。県内の市町と比較しても本市の助成金額は最低の金額です。配食サービス事業者から、長引く物価の高騰、ガソリン代の値上がりの中で、事業の維持が大変厳しいと伺っています。1食あたりの食材単価を、消費税増税後もなんとか230~250円程度におさえてきたものが、今は350円~380円にまで上がっているとのことです。そこに電気料金、ガソリン代の値上がりが加わり、さらに事業を圧迫しています。配食サービスを、高齢者の食の社会的保障と捉えて、配食事業委託料の見直しや、物価高騰に対する公的支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。

-山口福祉健康局長
 本市の配食サービス事業でございますけれども、安否確認に要する人件費等の経費を市が負担して、食費等にかかる経費を利用料として負担していただいております。食材の物価高騰等に伴う利用料などの見直しにつきましては、利用者の負担感に配慮する必要もありますことから、国の物価高騰対策であったり他都市の状況等も注視しながら、慎重に検討していきたいと考えております。

-山下議員
 高齢者の健康と生活を支えている事業を存続するためにも、金沢市が公的役割を果たしていただきたいと思います。

 4点目は、教科用図書の採択についてです。6月議会でも教科書採択会議の公開を求めたところですが、教科書採択会議非公開の決定が発表されました。「教育委員と真摯に話し合っていく」という教育長の答弁だったと思います。どのような話し合いの中で非公開の決定に至ったのかお伺いいたします。

-野口教育長
 7月末までに開催いたしました教育委員会議におきまして、先の教科書採択にかかります文部科学省からの通知、また6月市議会での請願に対する審議結果、また公開を求める団体からの要望、そしたものを事務局の方から説明がありました。そうしたものを踏まえながら、教科書採択にかかる会議を公開するかどうか、このことについて真摯に話し合いをさせていただきました。その結果、教科書採択にかかる教育委員会議は意思形成過程であること、また静謐な採択環境の中で自由闊達な議論を行うこと、また公平性・中立性を保つ必要があること、こうしたことから会議は非公開とすることとしたものでございます。

-山下議員
 6月議会に提出された採択会議の公開を求める市民からの請願は、付託された文教消防常任委員会で採択すべきという決定がされました。この決定は、民主主義の根幹でもある市民の知る権利を保障した、実に意義のある決定だといえます。常任委員会での決定を、教育委員の中でどのように受け止め判断されたのか、お聞かせください。

-野口教育長
 会議の公開か非公開かを話し合う教育委員会議におきましては、今ほども触れましたけれども協議に入る前に6月市議会における教科書採択の質問とそれに対する答弁、仰せの請願に対する文教消防常任委員会と本会議との採択結果、そして教科書採択に関する国からの通知、また他の中核市の状況について事務局の方から説明を行いました。教育委員会議におきましては、教育委員個々人がこれらの事実を踏まえたうえで公開か非公開について真摯に話し合ったものでございます。なお、議事録等につきましてはなるべく早く公開できるようにこれから準備を進めてまいりたいと思っております。

-山下議員
 会議の公開という点でいうと、不登校対策をテーマに開かれた先日の総合教育会議では、傍聴席15席が満席になり、傍聴できず帰られた方も出るほどでした。傍聴した方に聞くと「不登校対策についてどんな話し合いがされているか知れてよかった」と話されていました。まさに会議の公開というのは、市民の知る権利を保障し、市政への参加を保障する貴重な機会だというふうに考えます。教科書採択会議にもこうした姿勢が求められていると考えますが、教育長の見解をうかがいます。

-野口教育長
 山下議員もご存じだと思っておりますけれども、地方教育行政の組織及び運営に関する法律という法律がございます。その第1条の4第6項には「総合教育会議は、公開する。ただし、個人の秘密を保つため必要があると認めるとき、又は会議の公正が害されるおそれがあると認めるときその他公益上必要があると認めるときは、この限りでない」とうたわれています。また同じようにこの第14条には「教育委員会の会議は、公開する。ただし、人事に関する事件その他の事件について、教育長又は委員の発議により、出席者の三分の二以上の多数で議決したときは、これを公開しないことができる」となっています。総合教育会議と教育委員会議は法律上公開が原則とされておりますが、一方で双方とも一定の要件の下で非公開とすることが認められております。今般の教科書採択にかかる教育委員会議につきましては、繰り返しになりますけれども先の教科書採択にかかる文部科学省の通知等を踏まえ、教科書採択にかかる会議を公開するかどうかを教育委員会議で真摯に話し合いを行った結果、意思形成過程であり、静謐な採択環境の中で自由闊達な議論を行うことや公平性・中立性を保つ必要があることから、非公開とすることに決定したものでございます。

-山下議員
 昨日、採択会議での発言者名を議事録に明記すると、教育長の答弁がありました。市民の要望でもありましたし、透明性ある採択に向けて一歩前進だというふうに評価をしているところです。ただ、教育委員会は、議事録を公開しているから説明責任を果たしているいうふうにいっていますが、説明責任と、公正で透明性のある会議の運営とは同一ではありません。来年は中学生の教科書採択も予定されていますので、採択会議公開への前向きな検討を再度求めて、次の質問に移ります。
 最後は、学校給食についておたずねします。学校給食法では、食を通じた子どもの心身の健全な発達を目的として「食育」の推進をうたっています。保護者の労働状況や経済的な理由によって、給食が唯一の栄養源という子どもたちもいます。成長期の子どもたちの健康と人間的発達を保障する学校給食はたいへん重要であり、教育としての学校給食の充実が求められると考えますが、学校給食の役割について、教育長はどのようにお考えですか。お聞かせください。

-野口教育長
 今山下議員がおっしゃいました通り、私も学校給食はとても重要なものだと思っています。学校給食は、児童生徒の心身の健全な発達に資するほか、栄養教諭による各教科等の指導を一体として推進することで、食に関する正しい理解と適切な判断力を養うことを目的としておりまして、学校給食において、繰り返しになりますが重要な役割を果たしていると考えております。

-山下議員
 子どもたちにとっても、社会的にも、大変大きな役割を担う学校給食ですので、本市としても教育の一環にとどまらず「教育の中心」におく気概で、ぜひ取り組みをしていただきたいと思います。
 次に、共同調理場の整備についておたずねします。2021年文科省の調査状況では、学校給食における調理方式は、全国の小学校では、単独調理場が46.3%、共同調理場が52.3%とおおよそ半数の割合です。そこで、本市における調理方式の現状をお聞かせください。

-上寺教育次長
 本市の学校給食は現在、学校内に調理場を設置する単独調理場4施設と、共同調理場13施設で業務を行っております。

-山下議員
 全国的に見ても、本市は極端に単独調理場が少なく、4校ある単独調理場も、現在の新共同調理場建設計画にある、泉本町地内での1日8000食規模の共同調理場建設の中に集約化され、本市から単独調理場がなくなってしまうという現状です。一方全国では、食と地域を支えるという観点から、共同調理場から単独調理場へ転換をすすめる自治体も見受けられます。本市は、この建設計画をすすめるにあたって、単独調理場であった4校の保護者や児童、給食調理員、教員等からの意見を集約し反映させ、計画をすすめてきたのでしょうか。

-上寺教育次長
 泉本町地内に設置する新たな共同調理場へ4校の単独調理場を統合することは、令和2年に策定した新たな学校給食調理場再整備計画に盛り込まれております。この計画の策定にあたり、有識者や調理場関係者、保護者、学校関係者からなる懇話会を設置いたしまして、再整備の具体的な方向性等について検討を行いました。

-山下議員
 本市はさらにもう1ヵ所、駅西・臨海地区に1日1万1000食規模の巨大な調理場建設を打ち出しています。共同調理場は、食中毒発生時などの被害が大きく、道路事情や災害があった場合にも、給食提供に大きく影響します。1万食を超える共同調理場では、前日に野菜をカットして水につけておくなど、栄養面で課題があることも指摘されています。食品ロスなどの環境問題や、地産地消の食材を利用する地域経済の観点、学校が避難所となる防災の観点からも、単独調理場の役割に、いま注目がおかれているなかで、単なる経済的効率を最優先に共同調理場計画を進めてしまっては、給食だけでなく学校教育、地域そのものが貧しくなるのではないでしょうか。新共同調理場建設計画の見直しを求めますが、見解を伺います。

-野口教育長
 本市におきましては、単独調理場の老朽化が進み、敷地等の制約から改修等による調理能力の向上が難しく、効率的な運営を行うことが困難でありますことから、近代的な整備を導入し、衛生管理及び労働安全の面に考慮した共同調理場を採用いたしております。年間献立による給食を通じた計画的学習の推進や、特色ある給食を通じた地元食材、食文化の理解など、栄養教諭を中心に児童生徒教職員が一体となって食品ロス対策や食育の推進に取り組んでおりますことから、調理場の方式に関係なく学校給食の充実が図られると考えています。なお、災害時のリスクについてお触れになりましたので、今回工事請負契約等をお諮りしております南部共同調理場(仮称)におきましても、豪雨災害等でも調理機能が停止しないように様々な工夫を行って、災害時でも給食を止めない工夫をしております。また、様々な食中毒等にもお触れになりました。しっかりとモニタリングなどで食材の温度や調理状況等をしっかりと検査できる機器も導入したいと思っておりますので、そうした点でもこの共同調理場方式についてはこのまま進めていきたいと考えております。

-山下議員
 単独調理場・共同調理場、それぞれメリットはあるかと思いますが、ぜひ共同調理場ありきではなく、共同調理場から単独調理場への切り替えを行った自治体の状況をよく調査研究していただいて、新共同調理場建設計画の見直しを再度求めて、私からのすべての質問をおわります。

広田みよ議員

※一括質問形式でしたが、便宜上、質問のあとに各答弁を配置しました。

猛暑と物価高騰対策の実行を!

-広田議員

 わたしは、日本共産党金沢市議員団の一員として以下質問いたします。

 猛暑と物価・光熱費高騰が市民の命とくらしに大きな影響をあたえています。気象庁は、日本の6月から8月の平均気温が観測史上最高になったと発表しました。熱中症の搬送は全国で、5月から9月3日までで昨年が66,508人のところ、今年は82,854人と大幅に増加、そのうち金沢市は228人で、昨年度から1.43倍となりました。とくに65歳以上がおよそ58%、屋外ばかりではなく屋内での搬送が46.5%を占めています。熱中症の予防には水分摂取や、室内ではエアコンの利用が不可欠ですが、相次ぐ電気代の値上げや物価高騰により、経済的理由で利用できない市民も多くいます。市営住宅に住む高齢者は、「低年金でエアコンを設置できない。浴槽に水を溜め、日に何度も浸かってこの猛暑をしのいでいる」と言います。また、「電気代が心配でエアコンをつけないどころか部屋中真っ暗で過ごしている」という方もいます。この猛暑と物価・光熱費高騰は、もともと生活が大変な方を中心に、市民を生命の危機に近づけます。金沢市では、データ公表済の7月分までで「熱中症疑い」で高齢の方がおひとり亡くなられています。猛暑は来年もさらに気温をあげてやってきます。政治とくらし、生命は地続きであり、今後を見通し、さらなる対策が必要です。そこで伺います。

 金沢市がこれまで行ってきた福祉光熱費は、今回の冬季分について助成額を増やす案が出されましたが、対象は7400世帯です。金沢市21万1千世帯のおよそ3.5%であり、一方で住民税非課税世帯はおよそ58000世帯に及びます。こうした方々にも夏季分、冬季分とも給付対象を広げるよう求めますがいかがですか。

福祉光熱費助成について
-村山市長

 物価高騰等に対する今回の福祉光熱費助成金は、令和3年度の福祉暖房費助成金以降の支援と同様、自宅で生活し光熱費を負担している生活困窮世帯への支援を目的としておりまして、支給対象世帯を拡大することは考えておりません。

エアコン設置補助について
-広田議員

 屋内での熱中症搬送は半数近くであり、搬送現場ではエアコンがついてない高齢者宅もあったそうです。金沢市はこのような状況を把握していますか。そして、経済的にエアコン設置が困難な方々に対し、エアコンの設置や修理・買い替えの補助制度など検討するよう求めますがいかがですか。

高齢者の実態把握について
-山口福祉健康局長

 高齢者世帯に対しては高齢者福祉保健台帳の作成などの際に民生委員が訪問する機会がありますが、エアコンの設置など財産に関する調査を行うことまでは困難であるというふうに考えておりまして、把握はしておりません。続いて、エアコンの設置等への補助制度についてでございますけれども、熱中症対策におきましては室内の適切な温度管理が必要であることは理解しております。効果的な支援の在り方や市民間の公平性などを考慮する必要がありますので、補助制度につきましては現時点では考えておりません。

上下水道料金の減免について
-広田議員 

 白山市なども9月議会で予算案を盛り込みましたが、上下水道料金の減免は幅広く市民にいきわたる施策です。実施を求めますがいかがですか?

-松田公営企業管理者

 白山市では物価高騰対策として国の地方創生臨時交付金を充当して水道料金の減免を実施するとお聞きしております。本市におきましては市長部局におきまして交付金を活用し経済的な負担が大きい世帯等に対する物価高騰対策を切れ目なく講じていることから、ご提案のあった減免は考えておりません。

税の軽減について
-広田議員

 政府はガソリン代や電気代などの補助を当面続けるとのことですが、市民や中小企業の実態を踏まえ、消費税減税やインボイスの中止、トリガー条項の発動など踏み込んだ対策を市長としても求めるべきではないでしょうか。

-村山市長

 消費税の減税や揮発油税等に対するトリガー条項の発動は、国の税収だけでなく地方交付税や地方消費税交付金、地方揮発油税といった地方自治体の財源にも大きな影響を及ぼすことになります。またインボイス制度は、売り手と買い手が消費税の税率や税額を正確に把握することでミスの防止につながる制度であると理解しております。いずれにしても国が判断することであり、市として減税等を国に求めるつもりはありません。

コロナ感染拡大と対策について
感染状況は

-広田議員

 コロナ感染拡大の現状と対策について伺います。第9波で、現在増えてきたエリス株は、これまでのものより感染力がやや強いと言われています。石川県の定点観測は全国平均を超え、金沢市でも8月27日からの週報は21.76人となり、5類に移行して最高値を更新しました。高校クラスターなど報道もありますが、金沢市の具体的な感染状況をあきらかにしてください。

-山口福祉健康局長

 市内の定点医療機関からの感染者の報告数は、8月中旬以降1定点あたり20人を超えており、全国平均を上回る状況となっております。感染者の年代別の内訳では、10歳未満と10歳代の割合が非常に増加しておる状況でございます。

感染対策を求める
-広田議員

 5類化以降、各地域、分野の行事がさかんですが、今一度、発熱や咳など体調不良時の外出を控えること、手洗い・換気、人が多い場所でのマスク着用など、個人任せではなく、指標を示して呼びかけるよう求めますがいかがですか。  

-村山市長

 新型コロナの感染拡大防止に向けてでありますが、先月、市長定例記者会見がございました。その場において市民の皆様に対して基本的感染対策に努めていただくようお願いをしたほか、ホームページやSNSにおいて注意喚起を行っているところであります。今後も発熱等の体調不良時は外出を控えることや、手洗いや換気などの基本的感染対策の強化、医療機関の受診時や高齢者施設等への訪問時にはマスクの着用を徹底することなど、感染状況に応じて注意喚起を行っていきたいと考えております。

-広田議員

 一方、5類化以降、検査は有料となりました。医療機関では検査を受けずに帰られる方がいらっしゃるそうです。抗原キットは薬局では2000円弱、医療機関では保険適応でも、診察代などいれて4000円ほどかかります。検査のハードルを下げるため無料の検査の実施を検討できないか伺います。

-山口福祉健康局長 

 現在新型コロナの検査につきましては薬局で検査キットの購入が可能でありますし、また医療機関におきましても検査を受けることができる状況になっておりますことから、本市で独自に無料検査を実施することは考えておりません。なお、高齢者施設等の従事者に対する検査につきましては検査キットの無料送付を継続していくこととしております。

若い世代・子育て世帯への支援を!
-広田議員 

 次に若い世代、子育て世帯についてです。日本では、大企業の内部留保が511兆円と過去最高を更新する中、実質賃金は30年以上も下がり続けており、その中でもっとも苦境に立たされているのは、実額給料自体が低い若者たちです。そして、若い世代は非正規雇用が多く総所得も少ないこと、非正規雇用者が加入する国保などは所得が少ないほど負担が重いことなどで可処分所得も低くなっています。さらに、大学の奨学金返済が30代40代になっても続いている状況です。若い世代は、子育てどころか、恋愛や結婚など考える余裕もないというのが実態です。「労働政策研究・研修機構」の資料では、男性の若い世代の有配偶率については、正規雇用に比べ非正規雇用の男性が顕著に低い現状だとしています。子育て費用に関しては、2021年の「出生動向基本調査」で、理想の数の子を持たない理由として複数回答のうち「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」を選ぶ夫婦の割合は総数で最多の52.6%、35歳未満の妻では、8割近くにのぼります。こうした就労や実質賃金、子育て費用面で、若い世代が婚姻・子育てに踏み込めないのはあきらかです。市長はどのように考えますか。

-村山市長

 少子化に関しまして、国の機関が令和3年に行った出生動向基本調査によりますと、夫婦が理想の数の子どもを持たない理由として最も多いのは「子育てや教育にお金がかかりすぎる」という経済的理由であり、子育てにかかる金銭的負担が少子化の要因のひとつになっているということは私も認識をしております。このことから国は、こども未来戦略方針において、子育てにかかる経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取り組みを打ち出しております。市としても今後の国の動向を注視しながら、新たな「かなざわ子育て夢プラン」の検討過程において、これまで以上に将来を担う若者や子育て世代の意見を聞きながら、施策の推進を議論していきたいと考えております。

県内市町への転出について
-広田議員

 こうした中、金沢市の自然動態ですが、出生数はここ10年をみても減少の一途であり、子どもの数が減るのは必然です。要因は社会動態にもあるとされています。そこで、移住や定住を決めるタイミングとされる0から5歳児のいる世帯の金沢市の社会動態を調べたところ、転出が転入よりも多く、県内外あわせて年間およそ800世帯から900世帯が転出しており、そのうち4割から半分近くは県内自治体への転出であることがわかりました。ここ10年間で、実におよそ3473世帯が県内自治体へ転出しています。4市2町では2679世帯、小松と能美市を含めると3051世帯です。市長、こうした近隣市町への転出理由はなんだと考えますか。

-坪田都市整備局長

 子育て世帯の転出超過となる理由についてのお尋ねですが、子育て世帯が限られた資金で希望する住宅を建設するためには土地の価格は重要な要素であると想定され、比較的地価の安い近隣の市町に建設地を求める傾向にあると考えております。

住宅支援について
-広田議員

 子育て世帯は、非常に厳しい家計の中で子どもを育てていけるのかという不安を抱えており、居住する自治体を比較・選択するのは当然です。もちろん、どこに住んでも子育てを保障するという国の役割が果たされていない結果です。日本は、家庭予算も教育予算も、GDP比でOECD加盟国の平均以下となっているのです。しかし、地方自治体にも、出産・子育ての保障を行う責任があります。県内で子どもが増えている自治体では、若い方や子育て世帯の移住・定住促進のための住宅補助と、子育て支援とをセットで行っています。本市の場合は、近隣市町にくらべ住まいにお金がかかることはあきらかです。にもかかわらず、若い方や子育て世帯への住宅支援はほぼありませんが、どのように考えているのか伺います。

-村山市長

 本市では定住・移住を促進するため、充実した住宅取得支援制度を設けております。まちなか区域では若い世代に対する加算を設けているほか、移住者に対しては郊外にも対象を広げるなど、手厚い支援を講じております。また安心して子育てできる環境の充実に向けて、かなざわ子育て夢プランの実践に全力で取り組んでおり、今後も金沢の将来を担う若い世代や子育て家庭に本市に住み続けてもらえるよう様々な施策の充実を図っていきたいと考えております。

子育て支援について
-広田議員

 子育て支援においても、市長のおっしゃっている「福祉の金沢」と言えるでしょうか。子どもの医療費助成は県内で金沢市だけが遅れをとっています。学校給食の無償化も進んでいません。子ども医療費の18歳まで窓口無料化、学校給食費の無償化、そしてかねてから求めている第2子保育料無償化など早急に取り組むよう求めますがいかがですか。

-村山市長

 子育て世帯の支援につきまして、これまで本市では本市の有する文化資産などを活用した本市ならではの子育て施策を展開してきております。決して、県内の他市町と比べて遅れているとは考えておりません。その中で、経済的な支援につきましては予算の選択と集中による重点化を図っていく中で順次拡大を行ってきたところであります。子育て支援医療費助成につきましては、今年度医療費以外にも費用がかかる入院分について対象年齢を拡大するとともに自己負担を無料化したところであり、現時点でこれ以上の拡充は考えてはおりません。第2子の保育料につきましては、保護者の所得制限を撤廃するとともに、きょうだいの年齢や生計同一に関わらず半額とした負担軽減制度の大幅な拡充をすでに実施しております。現時点でこれ以上の引き下げは考えておりません。また、学校給食費については就学援助制度があることから、現時点で無償化を実施する予定はありませんが、国はこども未来戦略方針の中で学校給食費の無償化の実現に向けた具体的方策を検討するとしております。その動向を注視してまいりたいと考えています。

重要土地等調査法(土地利用規制法)について
国からの意見聴取について

-広田議員

 つぎに、「重要土地等調査法」いわゆる「土地利用規制法」が2021年6月に強行採決され、昨年9月20日全面施行されたことについてです。この法律は、米軍・自衛隊基地や原発などの周辺1キロメートルを「注視区域」などに指定し、所有者や使用者を監視・情報収集して、「機能阻害行為」があれば使用中止を勧告・命令できるというものです。しかし、何が「機能阻害行為」に該当するのか法律上の規定もなく、首相の判断や政令に委ねられています。わが党は、国民を監視し、国民の権利を著しく制約するなど問題を指摘し廃止を求めています。しかしながら、注視区域が8月15日に金沢市でも指定されました。指定区域は、野田の陸上自衛隊金沢駐屯地の周囲およそ1000mの区域内です。そこで伺います。市長は金沢市での区域指定や内容について、直接国から説明を受けたのですか。また、法律の付帯決議にある、地方公共団体への意見聴取が金沢市にもあったと聞きましたが、いつ、どのような意見を述べたのか、あきらかにしてください。

金沢市の注視区域の指定範囲
-川畑総務局長

 重要土地等調査法につきまして、国からの説明、意見聴取についてお尋ねがございました。市町村や都道府県の担当者を対象としましたオンライン説明会が5月19日に開催されまして、法律の概要や区域指定の考え方のほか、金沢駐屯地が区域指定の候補地である旨の説明がございました。また国からは5月12日付で区域の実情を把握するとして区域の範囲についての案が示されまして、本市からは区域線にかかる実情と開発行為等の有無に関する情報提供を行ったところでございます。

対象数や情報提供について
-広田議員

 つぎに、指定区域内の、調査対象となる世帯数や事業所数、公共施設の数などあきらかにしてください。そしてその対象に対し、国は土地や建物の謄本、住民票、戸籍なども調べ、現地調査も行うとしています。しかし、この調査の開始と終わりはいつなのか。また金沢市や住民には情報提供や調査にあたりどのような通知等があるのか。さらに、住民はそれらを拒むことができるものなのか伺います。

-川畑総務局長

 区域の指定がされているのみで調査対象となる世帯や事業所等の数は把握しておりません。国の基本方針では調査は公簿等の収集を基本とし、必要に応じて現地調査や報告の聴取等を行うこととされておりますが、時期や具体の手続等については不明でございます。なお、報告の聴取等に違反した場合は、法の罰則の対象となっております。

市民への説明を求める
-広田議員

 国会の審議をみると、住民は以前からその場所で生活や営業をしているだけなのに、一方的に情報を収集され調査されるものです。それは住民にとっては人権侵害ですし、とても不安です。市も意見聴取や情報提供で関与しており、説明責任があります。住民に対し市として説明を行うよう求めますがいかがですか。

-村山市長

 区域の指定については、国の安全保障のための措置であり、土地等利用状況審議会の意見を聞いたうえで国が責任をもって判断し実施するものであります。本市では国からの協力依頼に基づいて、国が作成したリーフレットを本庁舎内に置いておりますほか、新聞広報やSNS、ホームページを活用し広く情報を発信しているところであります。また市民や事業者からの問い合わせにつきましては、国が開設したコールセンターが一元的に対応するとされております。市として住民に対して説明を行う考えはありません。

マイナ保険証について
トラブル続出

-広田議員

 つぎに、マイナ保険証についてです。マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」の問題が底なしの様相です。6月議会でも医療機関でのトラブルや紐づけ間違いに対し市長から懸念の表明がありました。その後政府の総点検中間報告でも、紐づけ間違いがあらたに1069件確認され、8441件に膨らみました。さらに、マイナ保険証として使用しても紐づけがなく、医療機関で使えないケースが少なくとも77万件以上あることも判明しました。あげくは、保険証に記載された負担割合とオンライン資格確認の負担割合が食い違う現象も起こっています。その不信からか金沢市国保でも、保険証との紐づけをしている方は半数にとどまっている状況です。市長、マイナ保険証で続々問題が起きている現状をどのように思われますか。

-村山市長

 全国で様々な問題があったことは承知しております。市民の信頼を傷つけるとともに、場合によっては健康を脅かす恐れのある重大な事案であると捉えております。国の動向を十分に注視し、保険者として適切に対応を心得てまいります。

事務負担が重いことについて
-広田議員

 さらに、行政においては負担があらわです。共同通信が実施したアンケートでは、全国で90%の首長がマイナンバーカードに関する事務負担が重いと答え、村山市長も「重い」と回答しました。また、「資格確認証の発行について事務負担が不安である」とも回答されています。市長、どのような具体的な負担や不安からお答えになったものかあきらかにしてください。

-村山市長

 先般のアンケートにおきましては資格確認証発行対象者の選定や有効期限の設定、さらにシステム改修のほか、制度の周知広報など新たな業務が数多く発生するということから、率直に事務負担が重いと回答いたしました。国民健康保険の保険者として、国の示す方針通り対応できるよう、準備を進めてまいりたいと考えています。

健康保険証廃止の延期、中止を!
-広田議員

 政府は、地方自治体の現状も顧みずオンライン資格確認が使えない医療機関があるとして、「資格確認証」でもない、「資格情報のお知らせ」なるものを配布するとまでしており、さらなる負担と混乱をもたらすものです。そしてそのツケは、医療機関や患者さんの命に係わるのです。市長、健康険証の廃止には、メリットどころかもはや問題しかありません。国民健康保険の保険者であり、市民の命と健康を守る市長として、政府へ健康保険証廃止の中止や延期を求めるべきではありませんか。

-村山市長

 マイナンバーカードの保険証利用によりまして、メリットとしては診療時に過去の健診結果や調剤情報が共有できること、そしてそれによって適切な医療につながるなど、市民の利便性は非常に高まると考えております。国においてはこうしたメリットなどを考慮して、健康保険証を廃止することとしたものと認識しております。国に対して保険証廃止の中止や延期を求めていくことは考えておりません。

玉川図書館・子ども図書館の駐車場の有料は見直しを!
市民の意見を聴くべき

-広田議員

 つぎに、昨年の本会議でもとりあげました玉川図書館・こども図書館駐車場について伺います。今議会の市長提案説明で、両図書館駐車場の料金において、10/1から無料時間を30分から1時間にすると報告がありました。記者会見で市長は「30分の無料だと、子連れのお母さんが図書館で本を選んで借りる時間が短くなるなどの意見があった」としています。しかしそのようなお声は、昨年4月に有料化を開始する前からお声が多く寄せられ、わたしもこの議場で質問しましたが、なぜそのとき検討されなかったのでしょうか。

-上寺教育次長

 玉川図書館と玉川こども図書館の駐車場使用料の設定につきましては、無料を求めるなどの声があることは承知しておりましたが、一方で商業地や観光地に近接していることから、図書館利用者以外の駐車によって利用者の駐車が妨げられ、長時間にわたる駐車によって順番待ちの車両による渋滞が頻繁に発生し、利用者や周辺住民から改善を求める声が多く寄せられていました。こうしたことを踏まえ、駐車場の利用の適正化と周辺の良好な交通環境の確保を図るとともに、限りがある駐車スペースをできるだけ多くの図書館利用者にお使いいただくために、使用料を設定することとしたものでございます。

-広田議員

 昨年の議会質問であきらかになったのは、駐車場有料化の際に、図書館利用者や市民に説明やアンケートもせず、市の図書館協議会に対し議題にもしていなかったことです。しっかり市民の意見を聴くべきです。市長は、記者会見でさらなる無料時間の延長に対し「利用者の声を聴きながら考えたい」とおっしゃいましたが、今後どのように意見集約するのですか。

意見集約について
-上寺教育次長

 今後とも毎年実施しております利用者アンケートの結果や随時寄せられる市民の方々からのご意見を踏まえ、図書館サービスの向上に役立ててまいりますが、駐車場の使用料につきましては駐車場の利用の適正化や周辺の良好な交通環境の確保、図書館利用者の利便性などの観点から設定したものでありまして、全ての方々のご意見を反映することができないことをご理解願います。

両図書館・駐車場の現状について
-広田議員

 市民の思いはすでに現状にも表れています。駐車場を有料化した昨年度から両図書館や駐車場利用者の減少が顕著です。入館者数について、令和3年度と昨年度を比較すると、他の金沢市図書館は増えるか横ばいの中で、玉川図書館は85%に減少、子ども図書館では改築があったため平成30年度から昨年度比較で47%に減少しています。駐車場の利用についても、昨年度、玉川図書館の駐車場については22台設置のところ1日117台の利用ですが、地下の子ども図書館駐車場では、73台設置のところ、1日63台と1回転もしていません。駐車場有料化によって市民、特に子ども図書館利用者が離れています。この現状をどう考えるのかあきらかにしてください。

-上寺教育次長

 駐車場使用料の設定の影響による入館者数につきまして、旧玉川こども図書館閉館前の平成30年度と比較した場合、入館者数の減少は新型コロナウイルス感染症と石川県立図書館の開館が大きく影響したものと考えておりまして、必ずしも駐車場の使用料の設定が入館者数の減少に繋がっているとは考えておりません。

駐車場有料化は見直しを
-広田議員

 市民の知る権利、学ぶ権利を保障するため、図書館法には「図書館は無料の原則」があります。

金沢市は有料化の目的に、近隣の渋滞緩和や目的外利用をなくすことをあげていましたが、私は昨年の議会で、まずは予定している車の動線変更や駐車場利用者への声かけなど、有料化前にするべきことがあると求めました。目的外利用ついては、その利用をなくす責任は行政側にあり、適正に利用する市民に負担を負わすのはおかしいと述べてきました。市長、「図書館は無料の原則」を貫き、問題解決については行政がまず責任をもつべきです。金沢市が文化都市と標ぼうするのであれば、図書館サービスの縮小はその名に恥じる行為です。有料化を見直すべきですがいかがですか。教育長にも伺います。

-野口教育長

 図書館法第17条入館料等につきましては、「公立図書館は、入館料その他図書館資料の利用に対するいかなる対価をも徴収してはならない」と規定されております。駐車場使用料につきましては、入館料その他図書館資料の利用の対価ではないことから、その原則に反してはおりません。今回、近隣の渋滞状況や駐車場の利用実態を勘案し、来月1日から図書館利用者に対して使用料を無料とする時間を30分から1時間に延長することとしたものでございます。

除排雪の拡充を!
オペレーター育成支援について

-広田議員

 さいごに、除排雪の拡充についてです。6月議会で示された第3次路線の出動基準の緩和検討に続き、今回の予算でも前向きな取り組みに期待を寄せるものです。まずは、オペレーターの育成支援事業についてですが、当初予定の年間10名、10年で100名の計画が増強されることになるのでしょうか。

-坂本土木局長

 除雪オペレーター育成支援補助は、本年7月1日から申し込みを開始したところでございまして、7月末時点において当初想定していた人数を超えましたことから、今議会に補正予算として計上させていただいたものでございます。なお、10年間で100人という目標につきましては、今年度の状況をとらまえましてもまずは早期の目標達成に向けて引き続き育成支援に取り組んでいきたいと考えております。

排雪場について
-広田議員

 また、排雪場を大桑町と田上町に常設で増設をしますが、これにより排雪の受け入れ量が増やせるのでしょうか、あきらかにしてください。

-坂本土木局長

 今年度開設する2か所の排雪場は、河川敷や大学の敷地であり、廃止となった住宅地内にあります2か所の排雪場よりも広い面積が確保できますことから、受け入れ可能量は増加する見込みでございます。

除雪計画路線の拡充を
-広田議員

 第3次路線の出動基準緩和の検討は、市民の要望が届き大変評価をするものです。しかしながら、それにより金沢市の除雪計画路線の現在4割という数値が増えるものではありません。市民たっての願いである、除雪計画路線の拡大については今年度検討しているのか、あきらかにしてください。

-村山市長

 除雪計画路線は、作業を行っている各除雪業者と除雪体制などについて意見交換を行い、市内全域の路線調整を図りながら決めております。路線を拡大するには除雪業者の確保とオペレーターの育成が必要になります。今般、除雪の出動基準を緩和いたしました。これによってどういった状況になるかということは、確認をしていかなければならないという中でありますが、現在は今冬の除雪計画を策定している中であります。地域の実情に合わせて路線の追加や変更を検討しておりますが、こういった実情の中で大幅な路線の拡大は難しい状況にあります。引き続き除雪業者の掘り起こしやオペレーターの育成支援を行い、除雪体制の維持強化に努めてまいりたいと考えております。

-坂本土木局長

 今冬の除雪に向けまして現在計画を策定中でございます。しっかりとした体制で臨むよう計画を策定していきたいと思います。

-広田議員

 除排雪のさらなる拡充を求め質問を終わります。

<再質問>
高齢者の実態把握について
子ども医療費窓口無料化について

-広田議員

 市長の姿勢はあくまでも国判断、国任せというものが多いように感じます。何点か再質問しますが、まず子どもの医療費ですが入院まで予算を増やしましたが、この発言通告をしてから土日の間に新たな報道がありまして、自治体への罰則を廃止するということが明らかとなってきました。その中で財源的には出てくるわけですから、市長のお考えを求めたいと思います。

 もう一つは、高齢者のエアコンについてですけれども、民生委員さんがそうやって調査する背景にはお声かけみたいなものも含まれています。エアコンをつけてくださいねと言った背景にエアコンがなかったら話にならないわけですよね。財産云々の話がありますけれども、まずは実態を把握すべきだと思いますがいかがですか。

-村山市長

 子ども医療費についてのご質問をいただきました。予算がどのくらいかかるかということの分析とともに、それを恒常的にしなければならないという恒常的な財源の確保が必要となります。そういった中で優先順位をつけながらその対策を行っているところであります。より効果の高いものを検討しながら、財源がうまれたとすればそのより有効な施策の検討をしてまいりたいと考えております。

 エアコンについてのご質問をいただきました。先ほど局長の方から答弁した通りではありますけれども、まず設置をされているかどうかという調査まで民生委員等にしていただくということの労力がかかっていくということもありますけれども、仮にこの制度を設けたときにどのような形になるか、そんなことも検討しなければならないというように思います。これがまた有効な施策なのかどうか判断したうえでの決断になると思いますけれども、ご要望をいただいたことは承知をしております。すべての施策の中で優先順位をつけていくべきものだというように思っております。

〈再々質問〉※質問は全部で3回まで
土地利用規制法について
図書館駐車場について

-広田議員

 高齢者のエアコンについては、もし制度の検討を始めたら確かに調査が必要だという視点だと思います。踏み込んだご回答をありがとうございます。

 あと2点、土地利用規制法の話ですが住民には市として説明しないということですが、沖縄などでは県として強い反対意見があるということで11項目にわたって国に意見を出しているんですよね。金沢市からもたくさんの情報を提供します。そして金沢市に住んでいる市民に関わる問題ですから、もうちょっと主体性を持っていただきたいと思いますがいかがですか。

 そして図書館ですが、先ほど県立図書館の利用のこと、そしてコロナで図書館利用・駐車場利用が減っているんじゃないかということでしたけれども、確かに県立図書館の件はアンケートにも表れています。だけれども駐車場についてはアンケートに項目もないんですよね。まず項目に駐車場についての意見をくださいと書くべきではないですか。

-村山市長

 重要土地等調査法につきまして、自衛隊との関係、そしてそれぞれの土地との関係、様々あると思います。国防を担う国の方でどのように考えられるか、また地域との調整としても自衛隊の方も協力をいただいている部分もあります。今回の件につきましては国の方で一元的に説明を行う、また質問の受付も行うということですので、国の方の動きに任せたいと考えております。

左から森尾よしあき議員、新保副市長、広田美代議員、山下あき議員

2023年8月18日
金沢市長 村山 卓 様

猛暑が続き、ガソリン代や電気料金の引き上げ、物価の値上げが相次ぐ中、いのちと暮らしを守る緊急対策を求める申し入れ

日本共産党金沢市議員団
森尾 嘉昭
広田 美代
山下 明希

 異常な猛暑が続く中、ガソリン代が、1ℓあたり180円を超え、15年ぶりの高値となっています。また、北陸電力は、電気料金の4割近くの引き上げをこの6月から実施しました。
 物価の値上げが続き、市民生活は厳しい事態となっています。
 新型コロナウイルス感染状況も心配されるうえに、連日の猛暑の中、市民のいのちを守る取り組みが求められています。
 党市議員団は、9月議会を控え、以下の点について緊急対策を行うよう申し入れます。

                 記
1 熱中症からいのちを守るため、すべての市民に対し、電気料金への支援策をおこなうこと。また、低所得者、生活保護受給者や障がいのある方に対して、特別夏季手当を支給すること。
2 ガソリン代の値上げを抑えるため、国に対して必要な財政支援を求めること。
ガソリン代の値上げを抑えるための国による補助金が段階的に縮小し、9月末には、廃止するとのことです。必要な補助の継続が求められます。
3 上下水道料金の減免措置をおこなうこと。
4 エアコン購入や、更新に対する助成制度を創設すること。
5 熱中症対策の一環として、公共施設に「市民の憩いの場所」を設置すると共に、身近な商業施設にも設置するよう民間事業者にも協力を求めること。
6 新型コロナウイルス感染対策に引き続き取り組むと共に、医療機関、介護施設への支援を行うこと。

私は、日本共産党市議員団を代表して、今議会に提出された諸議案の内、反対の議案及び提出された請願・陳情について態度の表明を行います。
わが党は、上程された議案14件のうち、議案第2号、議案第3号、議案第6号、議案第9号、議案第10号、議案第11号、議案第12号の議案7件について、反対であります。
その主な理由について述べます。
第1は、マイナンバーカードをめぐって重大問題が発生していることからこの普及、利用についていったん停止することを求めるものです。
本市において、マイナンバーカードに別人の顔写真が張り付けられていたことが明らかになりました。個人情報の流失であり、マイナンバーカードへの信頼を損ねる重大な問題です。
マイナ保険証をめぐっても重大な問題が起こっています。
別人へのひも付けが行われた事例が7400件余り確認された他、不具合によって、医療費の10割を請求される事例が起こっています。
開業医をはじめとする医師や歯科医師で作られた全国保険医団体連合会が行った調査が発表されました。
全国で、マイナ保険証を運用する8437の医療施設のうち、65%からトラブルがあったとのことです。「保険者情報が正しく反映していない」「カードや機器の不具合でマイナ保険証が読み取れない」などが報告されました。医療機関が本人の資格確認ができず、患者に対して10割負担の請求を余儀なくされた事例が発生しています。
マイナ保険証をめぐって、システムへの不信感やスタッフの負担が増えているなど医療現場での混乱が発生しています。
ところが、岸田内閣は、「来年秋の保険証の廃止を予定している」と表明しています。
欠陥が明白なシステムは、被害を拡大しないよう運用を停止することがとるべき対応です。
この補正予算では、個人番号カード普及促進費として3250万円が歳出に、国庫補助金として個人番号カード交付事務費補助として同額が歳入として計上されています。
このことから、反対いたします。
第2に、議案第3号 金沢市税賦課徴収条例の一部改正について、森林環境税の賦課徴収にが盛り込まれていることです。これは、個人住民税・均等割において、東日本大震災復興のために臨時的措置が令和5年度で終了します。今度は、令和6年度から森林環境税として1000円を上乗せするというものです。
森林環境税の導入について、個人住民税・均等割りという均一課税であり、個人負担となっています。企業負担がありません。
また、石川県にも森林環境税があり、二重課税ではないかとの指摘があります。また、環境税ということであるなら、環境を汚染した負担の原則という考え方や、排出抑制効果を考慮して負担を求める考え方があり、このような住民税による負担をお願いするというのは国民の理解を得られるものではありません。

第3に、議案第6号です。これは、本市立病院において、紹介状のない患者に対する初診料、再診料の加算を行うものです。
紹介状が無い患者に対して、初診料を現在の1100円から7700円に引き上げ、再診料について、新たに3300円を徴収するものです。
本市立病院が、地域医療支援病院として承認に伴い実施するとしています。地域医療を担う病院としてその役割を発揮することを期待します。しかし、今回の条例改正によって、患者にあらたな負担が増えると共に、いつでもどこでも安心して受診できる医療保険制度を後退させるものであり、反対です。

第4に金沢スタジアム建設事業にかかわる点です。
 現在ある市民サッカー場を改築するという案が、1万人から1万5千人の観客を収容するスタジアムに新築することとなり、事業費は、75億円が80億円にそして、今回補正予算によって、82億4千万円となります。金沢スタジアムは、令和6年2月供用開始を予定しています。
1700台の南駐車場建設事業費は、9億1千万円、さらに、周辺整備事業、現在の市民サッカー場を解体し、ジュニア用のサッカーコートの移転・新築と事業が続きます。総事業費は、110億円から120億円に膨らもうとしています。
市民の理解と合意が得られていないことから反対です。
なお、南駐車場建設にかかわって、土地収用法による強行な土地取得をするとしています。住民の理解を持って、公共事業を進めなければなりません。中でも、用地提供は所有者の理解を得ることが基本です。
あくまでも、所有者の理解と合意をもって進めることを強く求めるものです。
 
 次に、請願・陳情について態度表明を行います。
 請願第1号は、「教科書採択会議を公開することを求める請願」です。
 こども☆未来☆教科書@かなざわの共同代表から提出されました。
今年は、小学校教科書が採択されます。教科書採択を国民に開かれたものにしていくために、本市教育委員会における教科書採択の審議過程を公開することが求められます。この請願が付託・審議された昨日の文教消防常任委員会において、可決・採択されました。改めて、この請願に賛成であることを表明いたします。
 陳情第1号は、「政務活動費条例の改正についての陳情」です。これは、市民オンブズマン石川の代表幹事から提出されおり、政務活動費をめぐって、透明化をすすめ、市民の理解を進めていく上で求められる対応だと考え、この陳情に賛成です。
 陳情第3号は、「電気料金等の光熱水費や食材料費の高騰に対する、医療機関への財政措置の早期創設等を求める陳情」です。これは、地域医療を担い、市民の命と健康を守って日々奮闘されている開業医や歯科医師の方々からなる石川県保険医協会の会長さんから提出されたものです。
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等を活用し、県内医療機関を対象とした、食材料費の値上げや光熱水費の高騰に対する支援策を早急に講ずるよう求めたものです。石川県の補正予算では、病院に対しては1床あたり、3万円の支援。無床診療所に対しては1施設当たり10万円の支援を打ち出しました。
 本市としても、独自の支援策が求められます。よって、この陳情には賛成です。
  以上をもって、討論を終わります。

私は提出会派である日本共産党市議員団を代表し、議会議案第4号 従来の健康保険証の存続を求める意見書について、提案理由説明を行います。政府は、いわゆるマイナ保険証の普及のため、2024年秋から従来の健康保険証を原則廃止するとしています。しかし、重大な問題がいくつもあります。主なものとして、

1点目、市民から保険証を奪う制度であるということです。
マイナンバーカードの取得や保険証の紐づけはあくまで任意です。しかも、高齢者や認知症の方、障がいのある方などカードの取得が困難な方もいます。こうしたカードを取得していない方、できない方、そして紐づけを選択しなかった方を除外した欠陥のある制度です。金沢市の国民健康保険証においても、被保険者全体7万8千名いる中で、4万3千名の方が、カード取得をしていない、または紐づけをしていない状況であるにも関わらず一方的にその方々の保険証を奪うことにつながります。

2点目、代替手段があっても不利益を被る制度である点です。
政府は、そうした方々に資格確認証を交付するとしていますが、保険証が得られないことに変わりはありません。そして、今は無くしたり有料化もしないとしていますが、今後どうなるか誰もわかりません。さらに、毎年の申請を前提としていますが、なぜマイナンバーカードを取得しない、できない方がそうした不利益を被らなければならないのか、説明がつきません。

3点目は、制度全体の欠陥がある中で進めようとしている点です。
マイナンバー制度全体にわたるトラブルが相次ぐ中で、保険証に関しては、重大なミスである別人への紐づけが、現時点で7400件近くあきらかとなっています。手入力による人為的ミスだとされています。もちろん人為的ミスは人間ですから起こるものではありますが、それを前提とした体制や仕組みがないことは制度全体の欠陥と言わねばなりません。さらに、証明書交付サービスについては、この議場でも市長答弁でも「点検が終わりご交付の懸念は解消された」とのことでしたが、昨日またしても別人の住民票が発行される事案が発生しました。

4点目は、別人への紐づけで命にかかわるという点です。
別人への紐づけは、重大な個人情報漏洩でもありますし、なにより医療現場での治療や薬剤投与において命にかかわる事態を招く恐れがあります。すでに全国でマイナ保険証で受診の際、同姓同名の別人に紐づけられており、医療スタッフが気づき事なきを得ましたが、今後同様のケースで違った治療が行われる懸念があります。

5点目は、マイナ保険証が無効となるケースが多発している点です。
医療機関ではほかにもトラブルが多発しています。全国保険医団体連合会の調査まとめでは、石川県も含む8,437の医療機関のうち65%の5,493機関でトラブルが起こり、中でも被保険者情報を正しく反映しない「無効・資格なし」が多いほか、顔認証が正しく作動せず、だれでも認証してしまうなど、驚愕の状況が続いています。患者さんに10割請求を余儀なくされるケースもあります。政府は患者さんには本来の1~3割で請求してもらい、7~9割は補填するそうですが、それは協会けんぽや市町の国保など保険者から補填させる考えです。

6点目に、高齢者施設や福祉施設での懸念についてです。こうした施設では、利用者さんから突然の受診にそなえて、保険証を預かることもしています。それがマイナンバーカードとなり、さらに暗証番号も必要となる。カードと暗証番号ふたつを管理する責任は負いきれないと不安が広がっています。

以上のことから、昨日政府は、「保険証も持参して」と呼びかける方針をあきらかにしました。ならば保険証で十分なのではないですか。従来の保険証を存続させることが皆保険制度にふさわしく、国民の命と健康を守ることができると考えこの意見書を提案するものです。多くの議員のご賛同をおねがいし提案理由説明といたします。

私は、日本共産党 市議員団を代表して、議会議案第2号 大学などの高等教育の無償化を求める意見書について、提案理由説明を行います。

日本国憲法には「教育を受ける権利」がうたわれています。そして、教育基本法は「教育の機会均等」のなかで、どんな経済的条件でも平等に教育を受ける権利を保障しています。
経済的な理由によって、学生の学ぶ権利が奪われることがあってはなりません。
将来、各分野の働き手となり、研究者となり、社会を支える若者を育てることは、社会全体の責任です。

現在、大学の初年度納付金は、国立大学では約82万円、私立大学では約136万円にもおよんでおり、学生の2人に1人が奨学金を受給し、アルバイトもしながら進学しています。
奨学金については、給付型が限定的なため、貸与型が中心であり、その半分が有利子となっています。学生の3人に1人が平均300万円の奨学金という名の借金を背負い社会に出ており、その返済が、卒業後の生活や将来の重荷となっています。
初年度納付金に含まれる入学金は、他の先進国にはない、日本独特の制度で、入学しなくても返金がされないという合理性のない仕組みがとられています。

なぜ多くの学生が借金を背負わなければならないのか。
それは、日本の高等教育への公的財政支出が、OECD加盟国で最下位クラスを続けているからです。高等教育を「受益者負担」「自己責任」と位置づけたために、この50年間で、国立大学は50倍、私立大学は10倍の授業料となってしまいました。

本来は、誰でもが、高等教育を受ける権利を有します。その権利を保障するために、高すぎる学費を下げることが緊急に求められています。あわせて、奨学金は、借金となってしまう貸与型ではなく、給付型とすべきです。貸与型であるために、奨学金を受けず、進学をあきらめる学生もいます。OECD加盟の主要国では、給付型奨学金の整備がされています。
また、アメリカでは、学生ローンの借り手に、ひとりあたり1万ドル日本円で137万円の返済を免除することを決めました。日本も、国の貧困な政治のもとで起きた若い世代が背負っている巨額の借金、貸与型奨学金の返済軽減を決断するときではないでしょうか。

そして何より、重い教育費負担の軽減は、最も力を発揮する子育て支援、少子化対策にもなります。家計を支援し、低迷している経済の活性化にも、大きな力になります。

この意見書は、国に対して、経済格差が教育格差につながらないよう、未来を担う世代の、学ぶ権利を保障するため、また、若い世代の将来不安を軽減するために、大学などの高等教育の無償化を強く要望するものです。議員各位のご賛同をお願いいたしまして、提案理由説明といたします。

-山下議員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党、市議員団の一員として以下質問いたします。

 5月8日から新型コロナウイルス感染症の分類が、2類から5類へ移行したこともあり、本市のまちなかにも賑わいが戻りつつあるように見受けられます。しかし、市民のくらしや営業は、長引く物価高騰により厳しさが続いています。高い学費をアルバイトで工面している大学生、奨学金の返済をしながら働く一人暮らしの若者、1食しか食べない日もある、入浴を減らしているなど、生活費を切り詰めながら何とか暮らしを維持しています。子育て中の方からは、仕事のかけもちで時間に追われ、イベント等に子ども連れて行くことができないという現状をお聞きしました。偶数月にある年金支給日の1週間前頃には食べる物がなくて困っている、と高齢者から相談が寄せられます。物価高騰は、あらゆる世帯に影響を及ぼしています。3人のお子さんがいるご家庭は、一番上の子が大学生で、教育費も生活費も大変なのに、何ひとつ支援の対象にならないと話されていました。市長。こうした市民生活の現状があり、物価高騰対策は今、全市民を対象とした支援が求められていると考えますが、市長の見解を伺います。

-村山市長

 物価高騰対策につきましては、昨今の物価高騰が広く市民に影響していることはもちろん認識しておりますけれども、予算に限りがある中で、その影響を特に強く受けている市民や事業者等を優先的に支援する必要があると考え、補正予算を投じたものであることをご理解いただければと思います。

-山下議員

 本市が住民福祉の向上を最優先にかかげること、そして、物価高騰から暮らしや営業を守る対策の強化を求め、市民の皆さんから寄せられた要望の中から、以下3点質問いたします。

 まず1点目は、介護保険料についてです。本市の介護保険料の基準月額は6,590円と、全国平均の6,014円と比較しても高い保険料となっています。本市における基準月額のこれまでの推移と、全国平均より高い保険料になっている要因をお聞かせください。

-山口福祉健康局長

 介護保険料のこれまでの基準月額の推移と、全国平均より高くなっております要因についてですけれども、2000年の介護保険制度開始当初の本市の基準月額は3,150円でございました。その後の高齢化の進展に伴う要介護認定者数の増加であったり給付費用の増加などによって、現在の基準月額は6,590円となっておりまして、約2.1倍となっております。本市におきましては特別養護老人ホームなどの施設整備が比較的進んでいることなどによって、基準月額が全国平均よりも高くなっているというふうに考えております。

-山下議員

 介護保険料は、年間18万円以上収入があれば保険料の支払いがあります。年金から天引きされる保険料が引き上がり、手にする年金が減って生活がしていけないとの声が寄せられています。本市では、所得に応じた保険料となるよう、特に低所得の方々に対して、どのような対策を行っていますか。お伺いいたします。

-山口福祉健康局長

 低所得者層への軽減措置の内容として、生活保護を受給されている方や世帯全員が市民税非課税である方の保険料につきまして、従来より本市独自に保険料基準額に対する割合を引き下げていることに加えまして、平成30年度からは消費税率の引き上げによる財源を活用した、国の低所得者に対する保険料軽減の強化も取り込みまして、さらなる保険料負担の軽減を図っているところでございます。

-山下議員

 本市の介護給付費準備基金は、この間会計の黒字が続き、令和4年度末、基金残高は28億5千万円となりました。今年度の介護保険財政において生じる財政不足に対して、基金から4億4千万円取り崩しても、24億円残ります。こうした基金を活用し、介護保険料を引き下げるべきではありませんか?見解をうかがいます。

-村山市長

 介護保険料につきましては今年度、第9期介護保険事業計画を策定することとしておりまして、令和6年度からの介護保険料につきましては今後3年間に必要なサービスの給付量を適切に見込み、その費用に見合った額を設定することにしております。基金につきましては市民の負担が過大にならないよう有効に活用してまいります。

-山下議員

 介護保険制度は、介護サービスの利用が増え、介護職の労働条件の改善を求めると保険料や利用料の負担増に跳ね返るという、制度の根本的な矛盾を抱えています。持続可能な介護保険制度の構築に公的負担の割合を大幅に増やすことを国に対して求めることを強く要望し、続いて2点目、国民健康保険料についてお伺いします。

 国民健康保険料は、市民世帯の所得で比較をしても、他の公的医療保険より保険料の負担が高くなっています。加入者の年齢構成でも高齢者が多く、医療をより必要とする年齢層が多く加入しているということに加え、収入が200万円以下の世帯が7割と多いため、保険料がより高くなるという状況を生み出しています。「加入者が支払える能力があるかどうか」という視点が、保険料の設定から欠落していると言わざるをえません。本市の国民健康保険財政調整基金は、令和4年度末に31億7千万円あり、新年度の保険料率を据置きするために8億7千万円を取り崩したとしても、23億円残ります。この基金を活用し、保険料を引き下げるべきではありませんか?

-村山市長

 本市の国民健康保険料は、県から示された標準保険料率を基本としておりますが、市民生活への影響に配慮し、令和5年度は約8億7千万円の基金の取り崩しなどを行うことにより据え置くことといたしました。基金につきましては保険料の引き上げが必要となった場合の負担緩和財源として効果的な活用を図っていくこととしておりまして、市民の負担が過大とならないよう有効に活用してまいります。

-山下議員

 国保料は子どもも大人も同じように人数に応じて保険料がかかる「均等割」がとられています。少子化対策が叫ばれる中で、子どもが増えれば負担が重くなる仕組みに、市独自として軽減措置を講ずるべきではありませんか?また全国には、独自の減免制度をつくる自治体も見受けられます。名古屋市では、独自の控除制度と減免制度をつくり、多人数世帯やひとり親・障がい者世帯の保険料を低く抑えています。本市においても、独自の控除制度、減免制度の拡充を求めますが、見解を伺います。

-村山市長

 子どもの均等割など保険料の恒久的な軽減につきましては、市町村が独自で対応するには限界がございます。国の責任ある財政支援措置が不可欠でありますことから、引き続き全国市長会などを通じて国に働きかけてまいります。その他国民健康保険料の減免につきましては、減免規定に基づき適正に対応しておりまして、拡充等は考えておりません。

 

-山下議員

 3点目は、家庭ごみの有料化制度についてです。2018年2月から家庭ごみ袋の有料化がスタートし、5年が経過をしました。家庭ごみの有料化制度導入の目的は「ごみの減量」でありました。コロナ禍での生活変容の影響もあり、有料化がごみの減量に有効だったかどうか、正確な評価が難しい現状です。ただ、ごみ出しは市民生活に欠かせないものであるにも関わらず、家庭ごみの有料化は、所得の少ない世帯ほど負担が重くなることが、導入当初からも指摘されていました。全国では、減免制度やごみ袋の支給を行っている自治体もあります。いま、この物価高騰から市民生活を支える施策として、ごみ袋の購入に対する支援や、ごみ袋の支給も含め、家庭ごみの有料化の見直しを検討する必要があるのではないでしょうか。見解をうかがいます。

-村山市長

 指定ごみ袋収集制度につきましては、ごみの排出量に応じた費用を負担していただくということで、減量化に向けたインセンティブを働かせるものであり、市民負担の公平性の観点から、全ての市民を対象として実施をしております。先行自治体に比べまして多くの負担軽減品目を設けるとともに、市民生活にできる限り配慮した手数料としておりまして、制度の見直しは考えておりません。

-山下議員

 次に、2つめの質問に移ります。

 不登校支援の現状についてお伺いいたします。2021年度の文科省の調査で、小中学校での不登校の児童生徒数が約24万人を超え、本市においても増加傾向であり、児童生徒ひとりひとりの学びや社会的自立をいかに保障するかが、大きな課題となっています。調査では、90日以上の不登校であるにも関わらず、学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けていない小・中学生が4万6千人いることがわかりました。本市でも約4割が相談・指導を受けていません。不登校になる要因は様々ありますが、児童生徒、そして保護者が、どこにも相談できずに悩みを抱え込んでいる状況も明らかになったわけです。不登校支援と言っても、その内容は多岐に渡ります。今回は3点にしぼり、本市の現状についてお伺いします。

 1点目は、情報提供についてです。私は小中学生の学習支援室でボランティアをしていたこともあり、不登校児童生徒や保護者と関わりを持ってきました。そして、私自身も不登校生徒の保護者の一人であります。子どもの不登校を「青天の霹靂」と感じる保護者は多く、自分を責めたり、どこにも相談ができず、解決する見通しも持てず、孤独や不安を感じます。子どもにどのように接したらよいか戸惑う中で、多くの保護者は自力で情報を集め、親の会などにたどり着き、同じような経験をもつ保護者や子どもたちとの出会いに、少しずつ心が解けていきます。不登校支援の情報をもっと早く知りたかったというのが、どこでも聞かれる保護者の声です。学校から情報提供が何もないという声がいまだに聞かれます。私が学校の支援教室の存在を知ったのは子どもが不登校になって2年後、子ども同士の噂話からでした。教育長にお伺いします。初期段階の支援となる情報提供の重要性について、本市はどのように捉えているかお聞かせください。

-野口教育長

 不登校となった児童生徒の保護者への初期的段階での情報提供についてお答えします。不登校児童生徒の早期支援として、その保護者が悩みを抱えて孤立しないで不登校の初期段階で適切な情報や支援を得られるようにすることは、大変重要なことだと思っています。各学校が不登校となった児童生徒の保護者に常に寄り添い、自宅で一人一台学習用端末を用いて配信された授業を受講するなどの家庭における学習支援、不安や悩みについて相談できる機関の紹介、フリースクールに関する情報の提供など、必要としている情報を適時適切に伝えるよう、校長会議や不登校対策連絡会等でこれから周知を徹底してまいります。

-山下議員

 本市は「不登校支援リーフレット」を2020年に作成しています。不登校支援にかかわる行政や民間団体、児童生徒が過ごせる市内各地の居場所についても大変多くの情報が掲載されているリーフレットだと思います。また本市は、自助グループを紹介する「よりそうなかま」「子どもの居場所マップ」の作成や、「こころのポータルサイト」を開設しています。このリーフレットや冊子、サイトをどのように周知し、不登校の児童生徒やその保護者に届くようにしていますか?お聞かせください。

-野口教育長

 不登校支援に関する情報発信につきましては、不登校支援にかかる行政機関や民間支援団体等を記載したリーフレットを作成し、各学校や関係機関等へ配布いたしますとともに、教育プラザのホームページ等に掲載をしながら周知発信を行っております。

-山下議員

 「よりそうなかま」については、福祉健康センターに確認したところ、各学校に一冊のみ配布しているとのことでした。子どもの入学時に、または参観日等で学校へ立ち寄るときに、リーフレットや冊子、HPの存在を知ることができたら、また、子どもが休みがちになった時、学校の先生から紹介されていたら、もっと早く安心できたかもしれないと話される保護者もいます。適切な情報の提供は、不登校児童生徒や、その保護者の孤立や不安を和らげ、次の段階へとつながっていきます。初期段階の情報提供が適切にされることを求め、2点目、経済的支援についてお聞きします。

 今年5月、NPO法人「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」が2022年10~11月に実施したアンケート調査の結果を発表しました。不登校を経験した世帯の約3割が「収入が減った」、また、約4割の世帯が、食費やフリースクールの会費、相談に係る費用などの支出が増えたと回答しています。不登校児童生徒を支える家庭にとって、経済的な負担が大きいことが明らかになりました。そこでお伺いいたします。本市では、不登校児童生徒の学びや社会的自立の保障における経済的支援について、どのような対策を行っていますか?お聞かせください。

-野口教育長

 本市では不登校になった児童生徒に特化した経済的支援は行っておりませんが、経済的な理由で困っているご家庭に対しましては就学援助の制度の活用によって学用品費などを支援をいたしております。また不登校になった児童生徒の中にはオンラインを活用し自宅で授業に参加する児童生徒もおり、インターネット環境が整っていないご家庭に対しましてはSIMカード入りのルーターを無料で貸し出しを行っているところでございます。

-山下議員

 学びの場、生活の場としてフリースクールを利用する児童生徒もいますが、その費用が高く、利用を断念している家庭もあります。中核市の鳥取市では、フリースクール等の利用に係る経費の一部を支援しています。経済的な理由で、学びや社会的自立の機会をあきらめざるをえない状況をなくしていく必要があるのではないでしょうか。本市では、不登校児童生徒がフリースクール等を利用しやすくなるような経済的支援を行う考えはありますか?お聞かせください。

-村山市長

 本市ではフリースクールに通所する費用に対する支援は行っておりませんけれども、保護者の疑問や子どもたちの不安に応えるため、不登校民間支援団体等連絡会に参加しているフリースクールが行う体験機会の創出活動に対して支援を行っております。

-山下議員

 3点目は、子どもの権利についてです。不登校支援において、安心して学校を休めること、または自分にあった学びを選択することなど、子ども自身の選択を尊重することが、子どもの権利を保障する観点からも重要と考えます。そこで本市において、子どもの権利についてどのように取りまとめをしているかお伺いします。本市では、2001年に「金沢こども条例」が制定されています。まず、この「金沢こども条例」が制定された経緯を、お聞かせください。

-村山市長

 金沢子ども条例の制定の経緯についてでございますが、平成14年度から学校週5日制の実施により、子どもが家庭や地域で過ごす時間が増えることなど、子どもを取り巻く社会環境の変化に対応するため、家庭や地域、学校などの役割を明確にし、社会全体で次代を担う子どもたちの幸せとすこやかな成長を図るということを目的に、平成13年12月に制定いたしました。

-山下議員

 「金沢子ども条例」が掲げる基本理念のひとつに、「子どもの人格を尊重し、子どもが様々な権利を有していることを認識する」とあります。今年度も、「金沢子どもを育む行動計画2023」が作成され、家庭や地域、企業などの各主体が、どのように「子どもの育成に関して」行動をしていくか、社会の役割がまとめられていますが、「大人の責務」の記載が多く、「子どもが様々な権利を有する」その中身が不明瞭となっています。校則や学校独自の規則が要因となり、年間5000人以上の児童生徒が不登校になっているという報道もあります。学校という場所が、子どもの育つ環境が、子どもの権利を保障する場となっているのか確認するためにも、子どもが有する権利を明確に示すことが必要ではないでしょうか。1994年に日本が批准した「子どもの権利条約」には、「生命、生存および発達に対する権利」「子どもの最善の利益」「子どもの意見の尊重」「差別の禁止」以上、4つの原則があります。「生きるために不登校を選択した」という生徒もいます。不登校だけでなく、すべての子どもたちが、安心して育ち生きる権利をしっかりと本市としても示し、子どもの権利を主軸にした条例へと充実させていくことを求めますが、見解を伺います。

-村山市長

 金沢子ども条例の基本理念には、「子どもの人格を尊重し、子どもが社会で保障されるべき権利を有していることを認識する」と明記しております。こちらは子どもの権利条約の4つの原則に照らした内容となっておりますことから、現在のところ条例を改正することは考えておりません。

-山下議員

 不登校の現状をうけ、文部科学省が2023年3月「不登校対策COCOLOプラン」を発表しました。不登校の児童生徒に多様な学びの場や居場所を確保すること、保護者がひとりで悩まないよう支援することなどが掲げられています。不登校対策が、児童生徒ひとりひとりの意思を尊重し、子どもの権利を保障する視点で、本市において進められていくことを求めて、次の質問へ移ります。

 最後は、今年度おこなわれる教科書採択についてお伺いします。来年度から小学校で使用される教科書の検定結果が、昨年3月に公表されました。小中学校で一人一台デジタル端末が配布されてから、初めての教科書検定です。二次元コードがすべての教科書に掲載され、多様性やジェンダー平等の記述など、現在の社会情勢も反映した全11教科、149点すべての教科書が合格しました。教科書検定では、2014年から「政府見解に基づいた記述をする」ということが検定基準に加えられたことで、領土問題や歴史認識についての記述が後退している中ではありますが、本来、子どもたちが使用する教科書は、日本国憲法の「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の三原則に基づいて採択されるべきと考えますが、教育長の見解を伺います。

-野口教育長

 教科用図書の採択についてのお尋ねがございました。はじめに、このことについて議員は日本国憲法についてお触れになりました。私は日本国憲法、そして教育基本法、この二つは戦後教育の原点であると思っています。この教科書採択にあたって、たくさんの通知とか要項とか基準とかあるんですけれども、その中において義務教育諸学校教科用図書検定基準というものがございますが、この検定基準の中には教科共通の条件として、「教育基本法に一致をしていること」また「学習指導要領の総則や教科の目標に一致していること」と示されておりまして、この検定基準に合格した教科書の中から教科書を採択していることから、教育基本法を尊重した教科書採択が行われていると思っています。そのうえで、今回検定に合格した教科書には、お触れになりましたLGBTQなどが記載されておりますけれども、今回の採択におきまして国から出された「教科書採択における公正確保の徹底等についての通知」を踏まえながら、本市の子どもたちの実情を考慮して、私ども教育委員会が責任をもって本市の子どもたちに最もふさわしいと思われる教科書を採択することが必要であると考えております。

-山下議員

 教科書採択は、子どもたちの豊かな学びや、子どもの人権を尊重する点においても、大変重要なものと考えます。採択に当たっては、その教科の専門性を持ち、実際に教科書を使って、子どもたちの反応や理解度、興味関心を知る立場にある、現場の先生方の意見が尊重されることが欠かせません。また、明日まで開かれている常設・移動の教科書展示会では、現場の先生方だけでなく、保護者や市民の皆さんが、子どもたちがどんな教科書で学ぶのか、また、どのような教科書を手渡したいか、感想や意見を提出することができます。そこでお伺いします。本市の教科書採択では、しっかりと現場の先生方の意見が尊重され、保護者や市民の声がくみ上げられるものになっているのか、お聞かせください。

-野口教育長

 教科書採択にかかり、教科用図書選定委員会が教育委員会へ答申する報告書には、各学校の教員で構成する教科用図書研究委員会および各教科の専門性の高い教員で構成する教科用図書調査委員会が調査研究した内容と、教科書展示会での市民の方々の意見や採択にかかる要望を踏まえて審議し、まとめられております。教育委員会はその答申をもとに採択を行っておりますが、会議の折には調査委員会・研究委員会からの調査報告書も、また市民の方々の声もちゃんと付しておりますので、現場の教員の意見や保護者、市民の方々の声は反映されていると考えております。

-山下議員

 全国では、教科書採択に関する会議を公開にし、市民の傍聴が可能な自治体が広がっています。滋賀県では、公開を求める署名運動が広がる中、非公開だった会議がすべての市町で公開となりました。採択に関する会議を、ビデオ中継している自治体もあります。今月、本市においても市民団体から「教科書の採択に関する教育委員会会議の公開」を要望する署名が、教育委員会に提出されました。文科省は「教科書採択に関しては、保護者をはじめ国民に、より開かれたものにしていくことが重要」としています。また、「公正性・透明性の確保」と「疑念を生じさせることのないよう適切に行われること」ともしています。公正性、透明性のある教科書採択を行うためにも、教育委員会会議の公開を強く求めます。教育長の見解をお伺いして、私からの質問を終わります。

-野口教育長

 教育委員会義等における教科書採択の審議経過につきましては、意思形成過程であり、やはり静ひつな採択環境の中で行うこと、そしてそのためにもその中で自由闊達な議論を行うことや公平性、中立性を保つ必要があることから、会議の公開についてはこれまで行っておりません。また、教育委員個々人の活動等に影響が出る懸念がありますことから、議事録の発言者の掲載についてもこれまで行っておりません。こうしたこれまでの経緯と、また本年3月31日付の「教科書採択における公正確保の徹底等についての通知」で記されている静ひつな審議環境の確保等の観点から検討を行い、会議の公開・非公開を適切に判断すること、また同日に出されております別の通知になりますが、「令和6年度使用教科書の採択事務処理についての通知」で記されております公表の時期・方法について不断の改善を図ること、こうしたことを元に会議の公開や議事録への発言者の記載につきましては今後教育委員で真摯に話し合ってまいりたいと考えております。

再質問

-山下議員

 介護保険料の件ですが、物価高騰が続いて年金や給料が上がらない中で、やはり社会保障費の負担が重すぎるという声が市民の中からあがっています。先ほど、基金は市民の負担にならないように有効に活用するということでしたが、実際もう負担になっている現状があります。電気料金が値上げになり、これから暑い夏も迎えます。物価高騰への対策は命の問題に繋がると思います。介護保険料の引き下げ、積極的にぜひ取り組んでいただきたいと考えますが、お考えをお聞かせください。

-村山市長

 令和6年度からの介護保険料については、今後介護保険事業計画を策定する予定としております。そして今年度の介護保険料につきましては、すでに残高見込みとしても当初予算でかなり取り崩しをしたままで行っております。今後とも市民の負担が過大にならないよう有効に活用して行きたいと考えております。

-山下議員

 教育長にお伺いします。先ほど「静ひつな環境で」というお答えでしたが、県内で採択会議を公開にしている羽咋市にお伺いしたところ、教育委員会議を公開にしていても何も問題がないというお答えでした。逆に非公開での会議にしてしまうと、本来公正に行われている会議に「現場の先生方の声が本当に届いているのか」「政治的思惑が働いているのではないか」、そういう疑念が生じてしまうのではないかと思います。そういう疑念を生じさせないためにも、公開が大前提にあるかと考えます。そしてその会議の公開は、市民が市政に参加する機会の大事な保障になるとも思います。教育長、ぜひ市民に開かれた教科書採択にしていくために、会議の公開への真摯で前向きな検討をお願いしたいと思いますがお考えをお聞かせください。

-野口教育長

 そうした疑念を生じさせないためにも、これまで様々な審議のあとに資料、会議録等を公開しております。それをまず読んでいただければというふうに思っておりますけれども、先ほど触れましたが、会議というのは静ひつな環境で行うのが大事だと思っています。それぞれの自治体でそれぞれのお考えがあるとは思いますが、静ひつな環境をとる、その静ひつな環境の中にはいわゆる環境的なものもあるでしょうけど、もう一つは審議をする方々、教育委員の方々の精神的な部分の静ひつな環境というのがやはり大事ではないかと思っています。人から見られている、そうした中で自由にものが喋れないというようではやはりいけないと思っていますので、そうした意味でも会議の公開についてはこれまでも行ってこなかったということになります。ただ、先ほど答弁で触れましたようにこれから教育委員の方々と話をしてまいりますので、その中で様々なご意見も頂戴しながら決定をしていきたいと思っております。

マイナンバー制度について

 まずは、マイナンバー制度について伺います。先週の金曜日、突然金沢市のこれまでのトラブルが公表されました。市長。まずは、一連のトラブルをこの場でもご報告いただき、どう受け止めておられるのかお答えください。

-村山市長

 今回、マイナンバーカードに関する事務誤りがあったことにつきましては、当事者ご本人にご迷惑をおかけするとともに、市民の方々にはご心配をおかけいたしました。誠に申し訳なく思っております。令和4年7月から本年5月までの間に、別人へのマイナポイント付与が1件、マイナンバーカードの顔写真の取り違いが3件、マイナンバー、いわゆる個人番号の誤更新が1件、本人の同意のない健康保険証機能の登録が1件、合わせて6件の事務誤りがございました。いずれも本人からの申し出により把握したもので、速やかに本人に謝罪をし、ご了解を得ております。全国で同様の事案が多発する中、国において本格的な対策に乗り出すということを踏まえまして、本市としてもそれに則り市民に不安を抱かせることがないよう、適切に事務執行に努めてまいりたいと考えています。

-広田議員

 私が気になるのは、昨年から起こっていたのに、なぜこれまで公表しなかったのかということです。私も何度もこの間確認をしてきました。金曜日に発表されたトラブルの件で、これまでの市の説明や報道では「個人情報の漏洩はない」からとしていますが、今ご説明のあった「顔写真」、これは個人情報に該当しますよね?確認です。そして、市民が郵便で届いたカードを開封したら別人の顔写真だった、これは個人情報漏洩に当たるのではないですか。

-紙谷市民局長

 一般的には、顔写真も個人情報になります。今回の事案は、誤交付した本人への聞き取りから、知らない人の写真であり、特定の個人を識別することは難しく、また速やかに回収をしていることから、個人情報の漏洩による実質的な被害は生じてはおりません。

-広田議員

 本人が知らない人だ、ということは関係がありません。個人情報であることは間違いない。そしてそれが別のことに利用されるということも、現代ではすでに画像検索という機能もあり、その顔写真でそれが誰なのか、何をしているのかもわかってしまう時代でありますことから、不正利用の可能性もあります。そこは次の話ですけれども、あくまで今ご説明があった通り、個人情報が第三者に漏洩したということで間違いないですか。

-紙谷市民局長

 個人情報の漏洩に当たると考えております。

-広田議員

 そうすると、次にどのように公表されるかが問題になります。さきほど配布された常任委員会の資料ではすでに「個人情報」という言葉が訂正をされて「特定個人情報(マイナンバーを含む情報のこと)」という言葉だけになっていましたけれども、しっかり「個人情報漏洩」があった事実を書かなければならないと思いますがいかがですか。そして次にこのような事案があったら、きちんとその度に公表するのかどうか、明らかにしてください。

-紙谷市民局長

 今度の委員会の報告については、そこも含めて報告をしたいと思っております。今後同じようなミスが発生したらということでございますけれども、本市の事案につきましては今ほどの顔写真も含めまして個人番号など特定個人情報の漏洩したものではなく、国が定める重大事案の基準にも該当しないことから、これまで公表をしてきませんでした。全国でマイナンバー制度を巡るトラブルが多発をし、国が総点検を行い、本格的な対応に乗り出すということでございますので、本市として今回公表したものでございます。今後同様の事態が発生した場合は、その事案内容を十分に精査して適切に対応してまいります。

※国が定める重大な事案・・今後広田がいう「個人情報保護委員会への報告基準」と同じ

-広田議員

 確認しますが、市民福祉常任委員会の資料には個人情報漏洩があったと書き足すのかどうか、重大事案の基準に該当せず公表しなかったと言いますけど、それは重大事案でなければ公表しては駄目だということなのか。そして個人情報保護委員会というものがあります。その報告基準は明確化されていますけれども、私はその中でも規則第43条の(2)とか(4)は、その事態を否定しうると思いますが、その点はいかがですか。

-紙谷市民局長

 繰り返しになりますが、今回の事案は議員が仰せの通り、個人情報の漏洩には当たるかと思います。ただ今回のケースで言いますと、誤交付した本人への聞き取りから、知らない人の写真であり、特定の個人を識別することは難しく、また速やかに回収しておることから、個人情報の漏洩による実質的な被害はないということでございます。また個人情報保護委員会の方でございますけれども、これは個人番号などの特定個人情報が漏洩したものがなくて、国が定めるところの重大事案の基準にも今回該当しないことから、これまで公表もしておりませんし、国の方にも届け出はしていない状況でございます。

※個人情報の漏洩は認めたが、顔写真のデータなどは残っていないため、誰のものなのか判別はできず、情報漏洩された人物の特定はされていない。

-広田議員

 実質的被害があったかないかは、個人情報漏洩とは関係がないと思います。あくまでも個人情報漏洩だという事実をちゃんと認めて、委員会資料に書いてほしいという点、もう一度確認です。そして重大事案ではない、個人情報保護委員会への報告義務に達していないとおっしゃいますけれど、報告ガイドライン規則第43条(2)は「不正に利用されることによりいろいろな問題が起きる恐れがある事態」とか、(4)は「100人を超える漏洩」というふうに書いてありますけれども、今発表も何もしていない、本市がチェックもできないのに、何人いるかわからない状況で、100人には満たないとどうやって推定しているのか。そして不正利用がされないかどうか、その根拠はあるのですか。

-紙谷市民局長

 顔写真の漏洩につきましては、委員会の方でしっかりと説明させていただきたいというふうに考えております。また国の方の重大事案につきましては、100人以上の漏洩があった場合というような記載はございますけれども、そこにつきましては市の方で把握はできません。あくまでも本人からの申し出に基づいて把握するしか市としては手段がございません。そういった中で、顔写真の漏洩というのが実際ございました。ただ繰り返しになりますけれども、誤交付した本人等への聞き取りから、今回被害がなかったと市として判断いたしましたので、これまでは特に報告もしておりませんし、これからもこのような状態が続きましたらその事案内容を十分精査し、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

-広田議員

 公表するべきなんですね。先ほどから繰り返しますけれども、市としては確認のしようがないんです。マイナポータルを見られるのはあくまでも個人だけです。交付以降は、市は確認ができない状況です。つまり同じミスが100人いるのか200人いるのかもわからない。規則では「100人いる恐れがある」ということでも報告ができるんです。報告するべきだと私は思いますし、不正利用については「不正利用しない」という根拠はどこにもないですよね。もちろん、届けてくださった市民の方を私は信じていますけれども、どういうふうに根拠づけるかということは、これは根拠がないというふうに思うんです。ですので、公表を今後はしっかりするべきだというふうに思いますけれどもいかがですか。

-紙谷市民局長

 議員仰せの通り、100人いるか200人いるかということは市では判断できません。基本的には本人からの申し出ということになりますけれども、ひとつひとつ事案が発生した場合は、その事案内容を十分精査したうえで、公表するかどうか判断したいというふうに考えております。

-広田議員

 あくまでも公表を何故かしたがらないというふうに捉えます。みなさん、今起きた事案は、市民の大事な個人情報が漏洩したという問題なんですよ。そしてその同じような事例が金沢市としてチェックできるか、洗い出せるかというとできない状況であれば、ちゃんと金沢市民に「こういう事例があった、みなさんは大丈夫ですか」ということを少なくとも知らせなければ、公表しなければ、未だにマイナポータルを見られない人たちは知らずに、もしかしたらそのカードを使っているかもしれない。ポイントをもらえていないかもしれないということなんです。すでに不利益が生じているのかもしれないのですから、私は公表を真摯に行うべきだと思うのですが、市長いかがですか。

-村山市長

 今回マイナンバーカードを巡るこうした問題が全国的に多発したということで、個人情報保護委員会への報告あるいは100人を超える事態と、そういったことではないと推察される中で、こういった全国的な多発する事例がありましたので、公表するという決断をさせていただきました。迅速な回収、そして本人からの聞き取りによる被害もないということなので、今回同様な対応ということになると思っております。

-広田議員

 公表しなければ市民の不利益が広がる可能性があるのです。市長も公表のガイドラインはあくまでも推察でしか捉えられないわけですよね、100人いるかどうか、それもわからないという中であれば、公表すべきです。そして全国で多発していると言いますけれども、それはほかの自治体がちゃんと同じような事例でも公表をしてきたから私たちが知り得ているわけですよね。同じ事案でもちゃんと自治体はこれまで公表してきているんです。ただデジタル庁が隠してきたということはありましたけれども、公表しているんです。ですので公表を繰り返し求めますけれども、少なくともマイナポータルを見られない市民の相談窓口は開設すべきではないですか。

-村山市長

 マイナンバーカードの関係の窓口としては市民課の窓口を始め、第一本庁舎4階のマイナポイント申請支援窓口、さらに土曜日・日曜日に3か所の商業施設で開設しているマイナポイント申請支援窓口のほか、今年3月に開設したコールセンターにおいて、これまで以上に市民からの相談や問い合わせに丁寧に対応してまいりたいと考えておりまして、個別の専用窓口については開設までは考えておりません。

答弁する村山市長

-広田議員

 個人情報漏洩があったとお認めになっても、丁寧な説明をすると言いながら、その専門の相談窓口は作らない。矛盾しているのではないのでしょうか。土日も開いているんですよ、マイナンバーカードの交付申請とか。平日も相談窓口として利用してほしいという窓口へ行っても、何十分待ちですよね。だから、カードを作り終わってマイナポイントをもらっても、今回の事例で心配で相談へ行きたいという人でも何十分も待たないと調べることができないんですよ。なので、早急にそうした情報漏洩の可能性がないかという専用の相談窓口が必要だと改めて言っておきたいと思います。

 そして、市長。今回起きたトラブルは、人為的ミスだと県知事までもが言ってしまっていますけれど、私は制度やシステムの欠陥だと思っています。特に現場では政府から制度の追加や変更が次々に指示され、その業務量や変更に体制が追い付かないという点が指摘されてきました。

具体的に伺いますが、まず業務量と体制について、これは政府のマイナポイント政策によって連日市民が押し寄せている状況の中、私たちも市民課の業務量については大変心配をして、これまでも体制拡充を求めてきましたが、その後十分だったのでしょうか。また外部職員も多い中で、ちゃんと指導や相談ができる体制であったのか、伺います。

-川畑総務局長

 これまでの体制につきましてですが、カードの申請件数等の増加に伴いまして市民課でありますとか市民センターを始めとして商業施設での出張相談窓口でありますとか第一本庁舎4階の総合窓口の設置など、受付体制を拡充してまいりました。また正規職員や会計年度任用職員の増員配置、そして各局職員による全庁的な応援体制の構築、そしてコールセンターや庁内案内業務の委託化など、体制を整えてきました。こうした多くの職員等が従事する中で、業務の遂行にあたりましては共通の認識を持っていく必要がございますことから、それぞれ定期的なミーティング等の実施を通じまして適宜指導を行い、また相談に応じてきたところでございます。

-広田議員

 そうした中でもこうしたミスが起きてしまったというのは、もはや国が現場の状況を見据えて制度を作っていないということにもなりますし、第一、体制を増やしても、国のシステムにアクセスできる端末が全国的に足りないという悲鳴も聞こえているんですね。しっかり国にも求めていただきたいと思います。

 次に、政府からの度重なるシステムの変更や追加についての対応です。特に今回マイナポイント業務におきまして、第一弾のときはログイン・ログアウト時両方で本人と共にチェックしていたのに、政府からの変更によって第二弾のときからはログイン時のみで良いとされてしまったことが私はミスを誘発したと考えます。これはただの人為的ミスではありません。システム変更がミスをもたらしたと考えますがいかがでしょうか。

-紙谷市民局長

 今回の事案が本人確認の回数によるものとは断言はできませんが、人為的ミスはあってはならないものと考えております。マイナポイントシステムにつきましては国が管理をしておりまして、全国で同様の誤りが多発したことを受けて、再び2回確認する仕様に変更されたことから、本市におきましても今月からこれに沿って対応しているところでございます。

-広田議員

 政府が2回に戻したということは、1回ではシステムの不備だったということを認めたということに他なりません。そして保険証の紐付けを希望しないのにされたというミスについてですが、マイナポイント関係の業務は、実はこれは市が事務を行う法的根拠はないんですね。政府から求められているのはあくまで「支援」なわけです。よって本人の意思確認をする市と市民との契約というか、そういう書面等もないというふうに伺っています。私はこれは制度の問題ではないかと思いますがいかがですか。

-紙谷市民局長

 制度の問題というご指摘がございましたけれども、マイナポイントの制度そのものには瑕疵がないと思います。今後、今まで以上に申請者との意思疎通を図るとともに、複数職員によるチェックに加え、新たなチェックシートでの確認作業を行うなど、再発防止に努めていく所存でございます。

-広田議員

 チェックシートは法的根拠で残せるものなんですか、サインや判子などをついて。

-紙谷市民局長

 本市独自のチェックシートでございます。

-広田議員

 あくまでもそれは作業上、自分たちで確認するためにつけていくものであって、本人が納得した、紐付けして良いと言ったという証拠にはなり得ないと。それは法的根拠がないので、そういう書類すら作れないということになるんですね。これも、これから総点検する上でぜひ現場の苦悩を政府に伝えてほしいと思います。さらに、これはシステムの関係ですが、マイナンバーに紐付けした公金口座の利用、これも各地でトラブルが起きていますけれど、本市でも一部業務で活用しています。しかしマイナンバーのシステムを直接使えないので、データを移し替えたり、振込のたびに目視で点検するなど、私は業務がデジタル化と言いながら逆に複雑・煩雑になっていると思いますが、その点はいかがですか。

-川畑総務局長

 一部の業務で公金受取口座による振込事務は行っております。これは誤った振込を防止する観点から、いずれの業務においても振込の都度、支給対象者と振込口座名義が一致していることを目視により確認しているところでございます。

-広田議員

 マイナンバーで公金を受け取りたい口座というのを紐付ければ、そのままデータとして使えるのかなと私は思っていたら、そのシステムは現場では直接使えずに、結局目視で確認も行わなければいけないという、なんともアナログなことが起きているということが明らかとなりました。

 市長。私はこうした現場の実態があるのに、政府は人為的ミスという言葉で喧伝していますけれども、それでは片付けられないと思うんです。全国でのトラブルについても同様に、制度やシステムの欠陥です。例えばコンビニの証明書交付はシステムのエラーですし、保険証の紐付けミスなども手入力でやらざるを得ない制度設計であったこと、公金口座についても本人名義でなくても紐付けできてしまうシステムの問題です。市長、まずは人為的ミスでは片付けられないという、その点は共通認識かどうか、お答えください。

-村山市長

 本市で発生した事案についてお答えさせていただきますが、こちらについては人為的ミスであるというように考えております。また全国的な課題について、またシステム上のトラブルというのがコンビニ交付については全国で散見されたというようには聞いておりますけれども、そちらについては個人情報の漏洩にあたるものではないというようにも承知をしております。いずれにしても適正な運用を市としても図ってまいりたいと考えています。

※コンビでの別人の住民票が出てきたというのは、個人情報の漏洩です。

-広田議員

 市長、私各局とのやり取りをしていたんですけれども聞いていました?人為的ミスじゃないという現場の実態を明らかにしたと思うんですけれども。この前までその仕組み作りにいらっしゃったから、なかなか言えないのかもしれませんけれども、ここはもう、金沢市長の立場として、現場の安全な業務と市民の安心なシステム構築のため、しっかり本音でやっていただきたいと思います。各県の首長さんたちも、結構政府に対して厳しく言い出していますから、ぜひお願いしたいと思います。

 その点で今後、総点検を行うと言っています。ただ聞くところによると、現場が全部チェックするんですか、みたいな声も聞こえていますが、それはちょっと無理だと思いますし、しっかり声をあげていただきたいんですが、私は今言った制度設計の欠陥を見直すよう政府に求めるということと、本市独自でも今たくさんあきらかになりましたけど、現場の業務やシステムについて点検をすべきだと思いますが、いかがですか。そして合わせまして、今年度予定しているコンビニでの利用拡大だとか職員の出退勤管理などマイナンバー業務の拡大、これは中止を含め見直すよう求めますがいかがでしょうか。

-川畑総務局長

 今報、道等で国が総点検を行うということが言われております。その国が行う総点検につきましては、現時点では詳細は不明でございますが、総理大臣がお話しておりますので、早晩、そういったものの方針が示されるのかなと思っております。市としては国からの具体的な指示・要請を踏まえまして、適切に対応していきたいというふうに思っております。証明書のコンビニ交付につきましては、5月総務省からの通知がございまして、そちらで市から指示した作業内容を委託業者に行いまして、結果について問題ないということを確認したことでございます。証明書誤交付の懸念は、今はそれで解消されておりますことから、マイナンバーカードを利用した出退勤も含めまして、これから十分に確認を行いながらシステム開発等進めていきまして、それぞれ適切な時期に運用を開始してまいりたいと考えております。

-広田議員

 これだけ世論でも一旦中止や見直しが必要ではないかという声が多い中でも、金沢市はどんどん進めていくということなんですね。先週金曜日に個人情報漏洩を、そして今個人情報漏洩だと認めましたけれども、ちょっとしっかり市民の方を向いて考え直していただきたいと思います。市長、本当に少しの懸念もないんでしょうか。

-村山市長

 先ほどから申し上げている通り、人為的ミスにより今回起こったものというふうに把握しております。証明書のコンビニ交付につきましては、総務省から5月に点検の通知に基づいて作業をしたところであります。またこれは委託業者の方でも作業を行いましたけれども、その結果については問題がないことを確認しております。また証明書の誤交付の懸念は解消されておりますから、これに伴って職員のマイナンバーカードを利用した出退勤につきましても、これは個人情報漏洩の恐れがないものというように考えております。十分確認を行いながら開発を進めて、適切な時期に運用してまいりたいと考えております。

※その2日後に、コンビニ証明書発行でまた別人のものが発行された。

-広田議員

 デジタル庁の河野大臣も「問題は起こりません」と言ってから新たな問題が起きているんですよね。でも本市の場合はもう公表するかもわからないんですから、市民は何が起きているかもわからないまま進めていくという仕組みなわけですよ。本当にとんでもないなと思います。私はこのマイナンバー制度が始まってから、皆さん方ともやり取りをして、皆さん方は情報漏洩も起こらない、そう信じてがんばってきたと思うんです。それが土台から問題だらけだったということなのであれば、しっかり政府に根本的な見直しを求めるべきだと訴えて、次にうつります。

保険証の廃止は中止を

 保険証の廃止についてです。市民の命と健康を守る国民健康保険の保険者として、金沢市がどう対応するのか伺います。まず本市の国民健康保険において、いわゆるマイナ保険証がある方とない方について、今現在どのような状況か教えてください。 

-山口福祉健康局長

 令和5年4月末現在の数字ですけれども、本市の国民健康保険の被保険者は7万8471人でございまして、そのうちマイナンバーカードと保険証との紐付けが完了している方は3万5567人でございます。

-広田議員

 ということは4万3000(細かくは4万2904人)の方が、今マイナ保険証としては利用ができないという状況だということです。

まず市長に認識を伺いたいと思います。政府は資格確認書を発行すればそれで良いだろうというように話を進めていますけれども、あくまで保険証としてのマイナ保険証を申請できない方がいるということ、そしてマイナンバーカードの取得は任意であるということで、保険証の廃止はマイナンバーカードありきの制度設計ではないのか、これはおかしいんじゃないのかという点で、どのように思いますか?

-村山市長

 保険証の廃止とされても、資格確認書の規定が設けられたこと、そして代理申請あるいは本人からの申請によらず職権での交付など様々な対応がとられるというように考えております。これら国の通知に基づきながら適切に対応すべきと考えております。

-広田議員

 あの、資格確認書が欲しいわけじゃないんです。従来通りの健康保険証という普通の正式なもの、それが欲しい。マイナンバーカード制度が始まったらそれはマイナ保険証だと政府がおっしゃるのであれば、少なくとも取りたいという方はマイナ保険証を取れなければ、今までの皆保険制度上はおかしいわけですよね。その法律自体が変えられてしまっているんですけど。そういう点で言っているんです。マイナンバーカードすら取りたくても取れないという方がいるし、取得は任意だと、そういう人たちを除外する制度だという認識があるのかということを問うています。お願いします。

-村山市長

 先ほど申し上げた通り、保険証ということではなくても資格確認書、それの代わりになるものを取得することができる、あるいは代理申請、職権交付などもありますので、それ以外の支障がどういったところにあるのかというところを潰していく必要があるというように思います。いずれにしてもこれから国の通知が示されてまいりますので、それに基づいて対応してまいりたいと考えています。

-広田議員

 今までこの日本が世界に先駆けて誇ってきた皆保険制度を根本的に踏みにじる制度だと私は思うんです。ぜひ本市の良識ある見解を今後お示しいただきたいと思います。

 次に、一方でマイナ保険証自体にも問題が起きているんですね。まずは別人の紐付けです。現場では薬剤の誤投与など命の危険が一番心配です。またシステムエラーも多発しているんです。カードの顔写真が誰の顔でも認証されるという事象がいくつかの医療機関で起きているそうです。また「無効」と表示されたり読み取れない場合は患者さんから10割負担を求めざるを得ないケースも多発ということで、とある調査(全国保険医団体連合会)では全国で65%の医療機関、石川県ではほぼ7割と本日報道もされました。市長はこうした医療機関でのトラブルについてどう認識しておられますか。

-村山市長

 マイナ保険証の誤登録によって市民の信頼を傷つける、あるいは場合によって健康を脅かす恐れがあるということ、これは重大な事案であるというように思います。10割負担のお話もいただきました。国において医療機関等と調整してできるかぎり混乱が生じないように対応すると聞いております。その動向を注視したいと考えています。

-広田議員

 命の危険については感じていただいているようですけれども、それであるならば私は保険証廃止は中止を求めるよう求めておきたいと思います。

子どもの医療費助成の拡充について

 次に子どもの医療費助成についてです。本市ではこの10月から、入院について18歳まで窓口負担ゼロとなります。何十年と市民のみなさんと取り組んできたことがさらに前進しました。そして、過去にも質問しましたが、2021年の本市の生活実態調査では、16-17歳の世帯は困窮層がどの年代世帯よりも多く、生活が苦しいという実態が明らかになっているんです。そして自立への旅立ちのとき、貧困の連鎖をなくす大事なタイミングなんです。本市はあらたに16歳以上へも医療証を交付するわけですが、一歩踏み出す16歳以上への支援は大変意義があると考えます。市長はこの点どのように認識しているのか、であるならば早急に外来でも18歳までの窓口負担ゼロの実現をするよう求めますがいかがでしょうか。

-村山市長

 この度、子育て支援医療費助成制度を拡大させていただくということになりました。今回は県が補助金の対象年齢を拡大したことを踏まえて、医療費以外にも費用がかかるということに対して、入院分に対して対象年齢を拡大し、自己負担分を無料化するということにしております。子どもの医療費助成以外にも子育て支援施策は、福祉・保健・教育・文化スポーツ、様々ございます。こういったところの取り組みも強化してまいりたいと考えています。

-広田議員

 今言った、16-17歳のお子さんのいる世帯はどの他の年代の世帯よりも苦しいという調査結果が本市でも明らかになっている、その点について今回踏み出す意義、それをお願いします。

-村山市長

 今ほど申し上げました通り、順次拡大していくというように考えております。財政にも限りがあり、また恒久的な財源も必要になってまいります。議員のご指摘はおっしゃる通りのところはあるとは思いますけれども、財政に限りがあるところをご理解いただければと思います。

-広田議員

 意義があるというふうには思うということと受け止めておきます。

※質問準備をしていたが時間の関係で割愛していた部分↓

 全国では今年の5月時点で、18歳、高校卒業までとする自治体がこの10年間で急速に広がり、通院が全自治体の822自治体、約47%に、入院も900自治体、約52%となりました。各自治体が、子どもの命、健康守るため、動きを加速させています。

本市は中核市と比較をしてきました。

昨年2月の本会議で市長職務代理者は、「中核市2/3が本市と同じ15歳まで、(中略)すべての中核市が同じような姿が望ましい」としています。そこで、1年ちょっと経った現在を調べると、今年度中の変更含め、62市中28市の45%が通院も入院も15歳以上18歳まで、入院のみ18歳までもしくは以上は5市であり、あわせると53%が18歳までもしくは以上に広げています。

市長、中核市でもこれだけ広がりました。本市も外来についても18歳まで拡大するよう求めますがいかがですか。

ごみステーションの環境改善について

 さいごに、ごみステーションの環境改善ということで、本市の燃えるごみのステーションは9000か所あり、地域や市民のみなさんのご協力で成り立っている状況です。ステーションの形態は地域によってさまざまであり、市が貸し出しているネット型(2種類)ほか、折り畳み式や固定式のゲージなどです。これらの役割は、ごみ袋が散らばらないようにすることはもちろん、カラスから守るという役割も大変大きいのではないでしょうか。それもそのはずで本市が貸し出すネットの名前は「カラスネット」です。この利用も実態としては多いと思われます。しかし実際は残念ながら、このカラスネットの隙間から、カラスがごみを漁っている姿をよく見かけます。町会では立ち番などご苦労され、最近ではゲージ型のバリエーションも増え、ネットからゲージ型に変更する場所が増えています。そこで、本市のカラス対策の一環として、このゲージ型の貸与、設置場所の関係もあるので折り畳み型のものなどを、ネット同様に貸与という形にしてはいかがでしょうか。

-村山市長

 ごみステーションの整備につきまして、物品の貸与と補助と、二種類させていただいているというように思います。折り畳み式のごみ収納ゲージの器材については、片付けが不要となる、あるいはカラス被害の防止にも一定の効果があるというようにメリットも感じております。一方で、折り畳み式のごみ収納ゲージ等の器材については設置場所が限られているという中で、各地域の実情に応じた様々な形態のごみ収納器材が設置されております。本市では整備費用の3/4の補助という形で支援に努めております。現状では汎用的に使えるというものではございませんので、貸与することは考えてはおりません。

-広田議員

 私は折り畳み式だけを貸与というのではなく、今ネットも貸し出していますから、それと合わせて設置が可能なところはそれでどうかという、あくまでカラス対策としての提案をしております。もちろん補助制度は3/4に拡充をされましたけれども、それでも財政負担が厳しいとか、業者さんとのやりとりや市への申請作業が困難な町会もあると聞いております。ぜひ検討するように求めて終わりたいと思います。

-森尾議員
 私は、日本共産党市議員団の一人として以下、質問いたします。
 最初の質問は、本市平和都市宣言と核兵器廃絶への取り組みについてです。本市平和都市宣言は、昭和60年(1985年)に議決されました。その中で、「核兵器の全面禁止・廃絶は人類すべての願いであり、われわれはその実現に向けて不断の努力をしていかなければならない」と明記されました。市長は、この本市平和都市宣言をどのように受け止めておられますか。そして、核兵器の全面禁止・廃絶に向けての決意を伺います。

-村山市長
 平和都市宣言(昭和60年)、そしてこの中では核兵器を禁止・なくしていくために姉妹都市との交流なども含めて議決をされております。核兵器の廃絶、そして世界の恒久平和の実現、さらには戦争はあってはならないということについて、これは先般G7サミットが広島で開かれ、各国首脳が平和記念資料館などを訪れたということもありましたが、恒久平和への願いというのは世界共通のものであるというように思っております。

-森尾議員
 去る6月12日、スウェーデンにあるストックホルム平和研究所が世界の核弾頭について明らかにしました。世界が保有する核弾頭は1万2512発あり、使用可能なものは9576発だとしています。研究所のダンス所長は、「人類史上、最も危険な時代に知らず知らずに入ろうとしている」と指摘しました。一方、先に開かれた主要7か国首脳会議で「広島ビジョン」がまとめられ、核兵器による「核抑止力」を公然と宣言しました。これに対し、被爆者団体などから批判が相次いで表明されました。2017年国連総会で採択された核兵器禁止条約は、今年1月現在92か国が署名し、68か国・地域が批准しています。今年11月、国連で第2回締約国会議が予定されています。核兵器全面禁止・廃絶への取り組みは世界規模に広がり、力強く前進しています。市長。本市平和都市宣言は、核兵器の全面禁止・廃絶に向けて不断の努力をしていかなければならない、としています。本市の具体的取り組みについて明らかにしてください。

-村山市長
 本市では平和都市宣言に基づきまして、毎年夏に「原爆と人間」展を開催しておりますほか、姉妹都市交流、それも若年層からの姉妹都市交流、さらには自治体国際化協会(クレア)等を通した自治体間交流、さらに民間での海外交流なども行っておりまして、今後も継続して実施することで広く市民に平和の尊さと戦争の悲惨さを伝えていきたいと考えています。

-森尾議員
 本市は、平和首長会議に参加しています。この会議は、1982年に設立され、世界165か国・地域から8002の都市が加盟し、核兵器廃絶に向けた取り組みが行われています。昨年10月、加盟都市会議が開かれ、会長である広島市長と副会長の長崎市長による要請文が政府に提出されました。内容は、政府に対して一刻も早く核兵器禁止条約に署名・批准すること。核兵器禁止条約会議にオブザーバーで参加するよう要請いたしました。市長は、平和首長会議による国への要請について、どのように受け止めますか。そして、自らも具体的行動が求められると思いますが、見解を伺います。

-村山市長
 核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現については人類共通の悲願であります。今後とも平和の尊さ・戦争の悲惨さを後世に伝えていかなければならないというように思っております。国への要請につきましては、平和首長会議としてすでに行ってございます。改めて市として個別に直接要請する考えはありません。

-森尾議員
 本市平和都市宣言に基づいて、核兵器廃絶と全面禁止に向けて取り組んでいかれるよう強く求めておきたいというふうに思います。
 質問の第二に、市民生活と営業をどのように守っていくか。補正予算と関連して伺います。北陸電力は、電力料金をこの6月から39.7%の値上げを実施しました。これによって、平均家庭では1か月あたり2500円余りの電気料金が増加することとなりました。この5月の消費者物価指数が昨年同月比4.3%上昇し、12か月連続となりました。物価高騰が市民の暮らしを直撃しています。給料はなかなか上がりません。厚生労働省の発表によると実質賃金は13か月連続のマイナスとなっています。給与総額をベースにすると一人当たり約8万円が減少したことになります。さらに、医療・介護分野の保険料や負担が増加し、市民の暮らしは一層厳しい事態に追い込まれています。市内の事業所では、電気料金や資材等の値上げが経営の困難に拍車をかけています。商品価格への転嫁もできず、事業継続の危機を迎えています。市長は、こうした実情をどのように受け止めておられますか。見解を伺います。

-村山市長
 エネルギー価格を始めとした物価高騰、また実質賃金の減少についても市民生活や市内事業所の方に大きな影響を与えているというように思っております。またその影響が長期化しているということに大変危惧しております。

-森尾議員
 電気料金の値上げ、物価高騰が続く中、すべての市民と事業所を対象とする支援策が求められていると考えます。国や県の支援策の対象とならない方々や、支援の強化が求められる事業所などへの具体策が必要です。わが党市議員団は去る5月26日、市長に対して6項目の緊急支援策の提言・申し入れを行いました。今回提案された補正予算では、本市独自の子どもを育てる世帯への支援策や、事業所に対する本市独自の支援策が提案されています。すべての市民と事業所を対象とする支援策について、どのように考えられ、今回の補正予算を組まれたのか伺います。

-村山市長
 昨今の物価の高騰について広く市民に影響していることは認識しておりますけれども、予算が限られているという中で、その影響を特に強く受けている市民や事業者等を優先的に支援する必要があると考えております。すでに当初予算の方ではプレミアム商品券事業等させていただきましたが、今回の補正予算の中ではこれまでの低所得者世帯や福祉施設、学校給食費等への広い支援を行ってきたことに加え、そして今回の補正予算につきましては国の交付金を使用して多子世帯、あるいは高圧電力契約を行っている中小企業等への助成を追加するなど、対応策を講じてきておりますことをご理解いただければと思います。

-森尾議員
 では今回の補正予算の財源の問題について、その角度から見てみたいと思います。国の交付金によって本市が使える財源として10億円あります。さらに7億円の交付金が残っています。今回、こうした財源を活用し、市民生活と営業を守るために全力を挙げなければならないと考えます。今回の補正予算では、交付金の活用は7億7600万円にとどまりました。補正予算の規模が全体で24億円です。本市が全力で財政出動を行い、市民生活と営業を守る施策を打ち出したと言えますか。見解をうかがいます。

-村山市長
 本市では国に先んじて当初予算で財政調整基金を10億円取り崩しております。その中で、本市独自の物価高騰対策を盛り込んでおります。さらに4月の専決処分と今回の補正予算を合わせまして、国が本市に配分した地方創生臨時交付金10億円のうち、約9億4000万円を活用することとしており、市民生活の安定と地域経済の活性化に全力を尽くしているところであります。なお、国からの地方創生臨時交付金の余剰分である約7億円につきましては、今年度の事業で活用することとしております。今後の物価の推移、また国の同行を注視しつつ、時勢をとらえた必要な対策を講じてまいりたいと考えています。

-森尾議員
 国からの交付金についてはまだ残っていると。7億円もあると。全力で財源投入を行って市民生活・営業に本市が取り組まなければならないと考えます。具体的に3つの点について、伺います。まず、上下水道料金の減免についてです。小松市では、水道料金をこの9月から7か月間、ひと月の契約あたり毎月1000円を減免するとの方針を打ち出しました。本市において上下水道料金の減免実施ができないのか。まず公営企業管理者に伺います。

-松田公営企業管理者
 小松市では物価高騰対策として国の地方創生臨時交付金を充当して水道料金の減免を実施するとお聞きしております。本市におきましては市長部局において交付金を活用した様々な物価高騰対策が講じられておりますことから、ご提案のあった減免は考えておりません。

-森尾議員
 では市長に伺います。交付金、一般会計で使っちゃったというような発言でした。市長はどう考えますか。できない理由は一体何なのですか。

-村山市長
 予算が限られているという中で、効果的な物価高騰対策を講じたいという思いから、今回の補正予算の中ではとりわけ物価高騰の影響を強く受けている市民や事業者等を対象とした支援策をお諮りしているところであります。

-森尾議員
 2つ目に、医療機関等に対する支援策について伺います。県は今回の補正予算で、病院に対しては1床あたり3万円、無床診療所に対しては1施設当たり10万円の支援を打ち出しました。本市としても、独自の支援策を行う考えはありませんか。見解を伺います。

-村山市長
 石川県からは、県医師会からの要望を受けて医療機関などの病床数や施設類型に応じて光熱費上昇による影響等を算定して、本市を含む県内全域の医療機関等に対して必要な支援を実施することとしたと聞いておりますが、医療提供体制の確保は地域の実情に応じて県が行うということとなっております。本市として支援することは考えてはおりません。

-森尾議員
 3つ目に、学校給食費の無償化について伺います。県内では、小中学校を対象に完全無償化を実施している自治体は6つ、一部無償化実施している自治体が2つと、19ある県内自治体のうち4割が無償化を実施するに至っています。本市と友好都市である東京・板橋区は、今年9月から小中学校での学校給食費無償化の実施を打ち出しました。市長。こうした状況を踏まえ、本市での学校給食費無償化を実施する考えはありませんか。伺います。

-村山市長
 本市では、教育費の負担軽減や子育て支援の観点から、経済的な理由で就学が困難な場合、就学援助制度によりこれまで給食費の全額を支援してきておりますが、これに加え、昨年度に引き続き食材費の不足分を全額市で補填する学校給食費物価高騰特別対策費を今年度当初予算に計上し、保護者の経済的負担の軽減を図っているところであります。県内自治体や板橋区等の状況も承知はしておりますけれども、本市で給食無償化ということになると約19億円の恒久的な財源が必要ということで、現時点では給食費の無償化は考えておりません。

-森尾議員
 教育長に伺います。全国で広がり、県内でも広がっている学校給食費の無償化は、都市間競争の様相だという認識ですか、教育委員会は。子どもたちをめぐる生活環境や義務教育は無償との考え方に立ち、財源確保など通じて各地方自治体が学校給食費無償化に取り組んでいることについて、どのような見解でしょうか。

-野口教育長
 学校給食法におきましては、給食の実施に必要な経費のうち、保護者は人件費や施設整備費以外の費用を負担することになっておりますけれども、本市におきましてはこのうち光熱費についても負担しており、保護者のご負担は食材費のみとなっております。また経済的な理由で就学が困難な場合には、就学援助制度によりまして学校給食費の全額を支援しており、現時点で無償化については考えておりません。

-森尾議員
 学校給食法を理由に食材費の一部を保護者に負担をお願いしていると述べた問題については、先の議会でもその説明をし、教育委員会もその認識に立ったというふうに考えています。すなわち、国連教育科学文化機関であるユネスコが世界に向けて、学校給食は無償で実施するという要請をしました。しかし69年前に学校給食法が制定された当時は、国の財政事情から食材費の一部を保護者に負担をお願いしたとの歴史的経緯がありました。すでに69年経過しているんです。現在、文部科学省は学校給食費の無償化は、各自治体の判断との見解を示しています。国からも交付金活用による教育分野の負担軽減策だとしています。改めて教育長、子どもたちの健やかな成長を願う立場から、学校給食費無償化へのご努力を求めます。見解を伺います。

-野口教育長
 政府は先般閣議決定いたしましたこども未来戦略方針におきまして、学校給食費の無償化の実現に向け、取組実態や成果・課題の調査、全国ベースでの学校給食での実態調査の結果を1年以内に公表し、給食実施状況の違いや法制面等も含め課題の整理を丁寧に行い、具体的方策を検討することといたしておりますことから、その動向を今後注視してまいりたいと思います。なお、来月全国都市教育長協議会の理事会が開催されます。その会議の中では国に対しての次年度要望を審議することとなっておりますので、いくつかの自治体から学校給食費の無償化をぜひ要望に加えてほしいとの意見が出されておりますので、そうした声を聞きながら役員の一人として意見交換をしっかりやっていきたいと思っております。

-森尾議員
 質問の第三に、本市中央卸売市場の再整備事業について伺います。今年1月、再整備計画が示されました。その内容は、現施設の8割規模で現在地建て替えとし、完成・開業まで約10年という長期にわたるものです。そこで、どのような市場を新たに建設するのかという点についてまず伺います。一番の問題は安全・安心な市場機能を持つということだと思います。今日、市場全体を冷蔵庫とし、屋根が低く、コンパクトな施設。そして閉鎖型施設と温度管理施設というのが、今の市場の基本となっていると思いますが、本市の場合、どのように新しい市場の機能を考えていらっしゃるか、まず伺いたいと思います。

-山森農林水産局長
 新しい市場では、閉鎖型の施設内で商品を流通させるコールドチェーン方式を基本とし、温度管理を行いたいと考えています。しかし閉鎖型施設の内部全体の空調を行うことは整備コストやランニングコストの上昇にも繋がりますから、先進市場での事例や、市場内事業者の意見を踏まえて、品目ごとに適した温度管理をするために空間をわけるなど、より効率的な機能を検討してまいりたいと思っております。

-森尾議員
 新しく再整備する市場建設の整備スケジュールについて明らかにしてください。

-山森農林水産局長
 具体的な整備スケジュールは、今年度発注する基本設計にて検討することとしております。基本および実施設計の完了までに3年程度を要しますが、概ね令和8年度から青果棟・水産物棟・関連棟に分けて整備を行い、完成したものから順次供用開始する予定であり、できるかぎり工期を正しくできるよう努めてまいります。

-森尾議員
 新しい市場での運用開始は、青果が令和11年度、水産が令和15年度とのことです。6年後、10年後となります。事業者は、それまで経営が継続できるのか、大きな不安を抱えることとなります。一定期間、仮設での営業を余儀なくされます。この点にどのような対策を考えているのか伺います。

-山森農林水産局長
 具体的な整備スケジュールは、基本設計において検討することとしておりますが、仮設店舗での営業は、入居する事業者だけでなく買い出し人等の利用者にもご不便をおかけすることになるため、建設・引越し・取り壊しのローリング計画を綿密に立ててまいります。できる限り仮設店舗での営業機関の短縮に努め、物流動線や商品の保管場所の確保等を含めて通常の営業活動に支障が生じないよう十分に配慮してまいります。

-森尾議員
 先だって、場外関係者のアンケートは実施されたそうです。場内の事業者へのアンケートを実施する考えはないか。伺います。

-山森農林水産局長
 加工業者や飲食店等の関連棟入居者に対しまして、再整備後の入居意向について今年2月に調査を実施し、仲卸業者に対しても今年3月末に同様の調査を実施したところでございます。再整備が完了した他の市場では、合併や廃業した事業者もいると聞いています。本市場でも動向を注視する必要があると考えており、定期的に事業者に対する意向調査を実施していきたいと考えております。

-森尾議員
 この項の最後に、使用料金の問題です。新しい市場建設の事業費は約300億円との見通しが示されました。したがって、市場の利用料は数倍に跳ね上がることが考えられます。事業者にとっては、死活問題となります。本年3月に開設された姫路市の市場では、10年間の激変緩和措置が導入されました。本市はどのような対策を取られるのか。使用料の見通しとも合わせて見解を伺います。

-村山市長
 再整備後の使用料でありますけれども、まずは再整備の費用をできる限り抑えていくということ、そして維持管理費を削減する、そういったことも必要だと思います。可能な限り使用料の抑制に努めていきたいと考えております。また市場関係者からは使用料の算定に当たって据え置き期間なども設定してほしいという要望を受けております。他の市場の例も参考にしながら、今後検討してまいりたいと考えています。

-森尾議員
 他の経験からみると、新しい市場を作ってもこれまでの事業者が参入せず廃業される方が相次いでいると聞いています。場合によっては半分になると。したがって、事業者の要望や事業者が新しい市場になっても生き残れる施策を全力をあげなければならない、この認識にたって市長、ことを進めていただきたいというふうに思います。
 最後に、サッカー専用施設として建設中の金沢スタジアムについてです。今議会に建設事業費が2億4千万円追加する提案がされています。全体の事業費はどの程度なるのか明らかにしていただきたいと思います。

-坪田都市整備局長
 金沢スタジアムの建設事業費は、当初79億8千万円でございましたが、急激な資材高騰等に伴いまして2億4千万円増加し、82億2千万円となる予定でございます。なお、工事請負契約の一部変更につきましては今議会の議案として提出しているところでございます。

-森尾議員
 そうすると、金沢スタジアムの建設とともに1700台の駐車場建設事業、周辺の整備事業、現在ある市民サッカー場の解体工事、その場所に本田圭佑クライフコートとジュニアスポーツコートの移転・新築と相次ぐ建設事業が続きます。したがって、金沢スタジアムに関係する事業費は、110億円から120億円の規模が予想されます。次々に事業費が膨らんでいきます。市長、どのように市民に説明されますか。

-村山市長
 必要となる整備費につきまして、毎回議会に議案としてお諮りさせていただく予定であります。今回2.4億円増加したことについては、急激な資材高騰等によるものでございました。今後必要となるものについても、今後は駐車場や周辺整備、解体事業等が予測をされておりますので、また議会の方にお諮りさせていただく予定であります。

-森尾議員
 改めて金沢スタジアムの建設に至った経緯について伺っておきたいと思います。現在ある市民サッカー場が3000人規模、なぜ1万人規模の新たなサッカー場建設に至ったのか。県立陸上競技場が2万人規模に改修され、なぜ新たなサッカー専用スタジアムを作らなければならなかったのか。敷地内にあったジュニア用のサッカーコートを壊し、その場所に金沢スタジアムを新築するに至った経緯など、説明を求めます。

-村山市長
 J2リーグの公式戦を開催できる基準が1万人でございますので、1万人規模のスタジアムといたしました。また県の陸上競技場については、Jリーグ基準を満たしていないということ、またサッカー専用スタジアムではないということでありましたので、今回市の方でこのような整備をさせていただきました。また運動公園の中でスタジアムの建設規模を確保できる適地が現在建設中の場所でございましたので、そちらでの建設ということになりました。

-森尾議員
 敷地内にあったジュニア用のサッカーコートは4年以上使用できません。現在の市民サッカー場のある場所に移転・新築するとの方針ですが、そのスケジュールを示していただきたいと思います。

-坪田都市整備局長
 跡地におけますクライフコート等の整備の方向性につきましては、今年度基本計画を策定することとしておりまして、今後のスケジュールにつきましてはその中で明らかにしたいというふうに考えております。

-森尾議員
 新しい金沢スタジアムが果たしてサッカーファンの期待に応えた施設となるでしょうか。いくつか伺います。まず観客席は1万人で、将来には1万5千人規模を想定しているとのことです。そのため、2つあるゴールポストのうち、1つにはゴールポストの後ろ側には、観客席がありません。予定では、ここに将来5千人規模の観客席を設置するとしていますが、このことが観客の一体感を奪うことになりませんか。サッカーグラウンドを取り囲んだ観客席がスタジアムとしての一体感を作り出すのです。建設計画の際、この点での指摘もありました。見解を伺います。

-村山市長
 確かに今回の建設では、特にアウェー側のチームのゴールポストの裏のところ、そちらの観客席がありません。ただ一方で、金沢スタジアムの特徴のひとつとして、スタンドの最前列からピッチまでの距離が7~9メートルと大変近いということで、選手にとっては応援を力に変える、そのような競技環境、観客にとっては臨場感あふれる観戦環境が共存するということで、こちらによってスタジアム一体となった、あるいは選手と観客が一体となった応援ができるのではないかというように思っています。

-森尾議員
 この観客席がない場所に、大型映像音響システムを設置するとしています。しかし他の施設ではほとんど観客席の上部にこのシステムを設置します。しかも2か所設置しているスタジアムもあります。音響効果を上げるという視点だと思います。金沢スタジアムでは、仮の施設なのかしれませんが、県立競技場の2分の1と小さいうえに、観客席のない場所に設置されるため、音響効果は大きく削がれるのではないかという指摘があります。説明を求めたいと思います。

-東文化スポーツ局長
 大型映像音響装置は、利用者の高揚感、臨場感を高めるとともに、Jリーグの試合だけではなく大規模イベントにも対応可能な快適性、利便性、経済性に優れたものでございます。また大きさや高さの仕様、規格につきましても、近年整備された専用スタジアムの中では最大級でございまして、最新機能を有しており、その役割を十分に果たすものと考えてございます。

-森尾議員
 市長、県立陸上競技場が2万人規模の収容の新しい競技場に改修され、現在ホームグラウンドとして活用されています。そうした状況を踏まえて何故金沢市が金沢スタジアムを作らなければならなかったのか、これは二重行政ではないかという指摘がありますが、どうお答えされるでしょうか。

-村山市長
 県立の陸上競技場とともに市の陸上競技場があるということが前提であると思いますけれども、サッカースタジアムについては、県の方は陸上競技場で市の方はサッカー専用スタジアムということで、本来の施設の用途は異なるということであります。また県や関係団体等と情報共有を図りまして、県・市それぞれの役割について十分に協議を進めてきたところでありまして、二重行政には当たらないと考えています。

-森尾議員
 本市は、去る3月15日、金沢スタジアムの駐車場建設用地について、2筆を土地収用法に基づき、県の収用委員会に土地の補償金額について裁決請求を行いました。市民の理解を得て、公共事業を進めなければなりませんし、とりわけ土地の所有者には特段の理解とご協力をお願いしなければならないと考えます。本市はこれまでに、道路等の建設にあたって、土地収用法によって用地を取得したことはありますか。担当局長に伺います。

-坂本土木局長
 本市の道路整備における土地収用法による収用実績は2件でございます。1件目は昭和40年代に増泉地内において実施しております。また2件目は、昭和50年代に暁町地内において所有者不明の土地を取得するために実施しております。

-森尾議員
 今回は道路ではなく駐車場建設です。公共事業を進めていくといううえで、今回の対応は異例だと考えます。3月19日、県の収用委員会に裁決申請書を本市は提出しました。同時に、明渡裁決申立書を提出しました。この中で、権利取得裁決のあった日から起算して30日目としました。すなわち、裁決が行われれば用地を取得する強権的な対応を行うと。市長はなぜ、もっと話し合いによる土地取得を指示しなかったのか、伺います。

-村山市長
 この土地について、この関連でありますけれども平成10年度に当該公園が都市計画決定されたあと順次、用地買収を行ってきておりました。未買収地の今回の2筆につきましても、これまで土地所有者と交渉を重ねてきたところであります。今回は令和6年2月に予定している金沢スタジアムオープンに向けて、必要な土地であるということで、権利者に正当な補償をしたうえで土地を取得させていただくということを目的に、石川県収用委員会へ土地使用法に基づく手続きを行わせていただきました。

-森尾議員
 本市の市民運動公園の基本計画を策定し、具体的な施設建設を行ったのは令和3年3月です。それに伴って駐車場建設ということが歩みだしました。したがって、本格的にこの事業を推進するうえで、令和3年以降、地権者との話し合いが必要だったというふうに考えます。ではなぜ今の時期に土地収用法に基づいて行ったのか。これが問われるんです。歴史的にも2件しかない。そのうち1件は所有者不明だったからやったという答弁でした。一体なぜ、今回の事業にこの土地収用法まで持ち出して用地取得に及んだのか、このことが問われるんです。市長は親和力ということを打ち出しているのに、なぜ土地収用法という強権的な法の下で土地収用に至ったのですか。伺います。

-村山市長
 今、土地収用法に基づく手続きを進めているところではありますけれども、ここに至るまでの間に土地所有者と交渉を重ねてきておりました。一方で、正当な補償額からの乖離があるというところでなかなか和解まで結び付けられなかったという事情がございます。

-森尾議員
 地権者と十分話し合いを行って解決するよう求めて、終わります。

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