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金沢市議会

私は、日本共産党 市議員団を代表して、議会議案第2号 大学などの高等教育の無償化を求める意見書について、提案理由説明を行います。

日本国憲法には「教育を受ける権利」がうたわれています。そして、教育基本法は「教育の機会均等」のなかで、どんな経済的条件でも平等に教育を受ける権利を保障しています。
経済的な理由によって、学生の学ぶ権利が奪われることがあってはなりません。
将来、各分野の働き手となり、研究者となり、社会を支える若者を育てることは、社会全体の責任です。

現在、大学の初年度納付金は、国立大学では約82万円、私立大学では約136万円にもおよんでおり、学生の2人に1人が奨学金を受給し、アルバイトもしながら進学しています。
奨学金については、給付型が限定的なため、貸与型が中心であり、その半分が有利子となっています。学生の3人に1人が平均300万円の奨学金という名の借金を背負い社会に出ており、その返済が、卒業後の生活や将来の重荷となっています。
初年度納付金に含まれる入学金は、他の先進国にはない、日本独特の制度で、入学しなくても返金がされないという合理性のない仕組みがとられています。

なぜ多くの学生が借金を背負わなければならないのか。
それは、日本の高等教育への公的財政支出が、OECD加盟国で最下位クラスを続けているからです。高等教育を「受益者負担」「自己責任」と位置づけたために、この50年間で、国立大学は50倍、私立大学は10倍の授業料となってしまいました。

本来は、誰でもが、高等教育を受ける権利を有します。その権利を保障するために、高すぎる学費を下げることが緊急に求められています。あわせて、奨学金は、借金となってしまう貸与型ではなく、給付型とすべきです。貸与型であるために、奨学金を受けず、進学をあきらめる学生もいます。OECD加盟の主要国では、給付型奨学金の整備がされています。
また、アメリカでは、学生ローンの借り手に、ひとりあたり1万ドル日本円で137万円の返済を免除することを決めました。日本も、国の貧困な政治のもとで起きた若い世代が背負っている巨額の借金、貸与型奨学金の返済軽減を決断するときではないでしょうか。

そして何より、重い教育費負担の軽減は、最も力を発揮する子育て支援、少子化対策にもなります。家計を支援し、低迷している経済の活性化にも、大きな力になります。

この意見書は、国に対して、経済格差が教育格差につながらないよう、未来を担う世代の、学ぶ権利を保障するため、また、若い世代の将来不安を軽減するために、大学などの高等教育の無償化を強く要望するものです。議員各位のご賛同をお願いいたしまして、提案理由説明といたします。

-山下議員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党、市議員団の一員として以下質問いたします。

 5月8日から新型コロナウイルス感染症の分類が、2類から5類へ移行したこともあり、本市のまちなかにも賑わいが戻りつつあるように見受けられます。しかし、市民のくらしや営業は、長引く物価高騰により厳しさが続いています。高い学費をアルバイトで工面している大学生、奨学金の返済をしながら働く一人暮らしの若者、1食しか食べない日もある、入浴を減らしているなど、生活費を切り詰めながら何とか暮らしを維持しています。子育て中の方からは、仕事のかけもちで時間に追われ、イベント等に子ども連れて行くことができないという現状をお聞きしました。偶数月にある年金支給日の1週間前頃には食べる物がなくて困っている、と高齢者から相談が寄せられます。物価高騰は、あらゆる世帯に影響を及ぼしています。3人のお子さんがいるご家庭は、一番上の子が大学生で、教育費も生活費も大変なのに、何ひとつ支援の対象にならないと話されていました。市長。こうした市民生活の現状があり、物価高騰対策は今、全市民を対象とした支援が求められていると考えますが、市長の見解を伺います。

-村山市長

 物価高騰対策につきましては、昨今の物価高騰が広く市民に影響していることはもちろん認識しておりますけれども、予算に限りがある中で、その影響を特に強く受けている市民や事業者等を優先的に支援する必要があると考え、補正予算を投じたものであることをご理解いただければと思います。

-山下議員

 本市が住民福祉の向上を最優先にかかげること、そして、物価高騰から暮らしや営業を守る対策の強化を求め、市民の皆さんから寄せられた要望の中から、以下3点質問いたします。

 まず1点目は、介護保険料についてです。本市の介護保険料の基準月額は6,590円と、全国平均の6,014円と比較しても高い保険料となっています。本市における基準月額のこれまでの推移と、全国平均より高い保険料になっている要因をお聞かせください。

-山口福祉健康局長

 介護保険料のこれまでの基準月額の推移と、全国平均より高くなっております要因についてですけれども、2000年の介護保険制度開始当初の本市の基準月額は3,150円でございました。その後の高齢化の進展に伴う要介護認定者数の増加であったり給付費用の増加などによって、現在の基準月額は6,590円となっておりまして、約2.1倍となっております。本市におきましては特別養護老人ホームなどの施設整備が比較的進んでいることなどによって、基準月額が全国平均よりも高くなっているというふうに考えております。

-山下議員

 介護保険料は、年間18万円以上収入があれば保険料の支払いがあります。年金から天引きされる保険料が引き上がり、手にする年金が減って生活がしていけないとの声が寄せられています。本市では、所得に応じた保険料となるよう、特に低所得の方々に対して、どのような対策を行っていますか。お伺いいたします。

-山口福祉健康局長

 低所得者層への軽減措置の内容として、生活保護を受給されている方や世帯全員が市民税非課税である方の保険料につきまして、従来より本市独自に保険料基準額に対する割合を引き下げていることに加えまして、平成30年度からは消費税率の引き上げによる財源を活用した、国の低所得者に対する保険料軽減の強化も取り込みまして、さらなる保険料負担の軽減を図っているところでございます。

-山下議員

 本市の介護給付費準備基金は、この間会計の黒字が続き、令和4年度末、基金残高は28億5千万円となりました。今年度の介護保険財政において生じる財政不足に対して、基金から4億4千万円取り崩しても、24億円残ります。こうした基金を活用し、介護保険料を引き下げるべきではありませんか?見解をうかがいます。

-村山市長

 介護保険料につきましては今年度、第9期介護保険事業計画を策定することとしておりまして、令和6年度からの介護保険料につきましては今後3年間に必要なサービスの給付量を適切に見込み、その費用に見合った額を設定することにしております。基金につきましては市民の負担が過大にならないよう有効に活用してまいります。

-山下議員

 介護保険制度は、介護サービスの利用が増え、介護職の労働条件の改善を求めると保険料や利用料の負担増に跳ね返るという、制度の根本的な矛盾を抱えています。持続可能な介護保険制度の構築に公的負担の割合を大幅に増やすことを国に対して求めることを強く要望し、続いて2点目、国民健康保険料についてお伺いします。

 国民健康保険料は、市民世帯の所得で比較をしても、他の公的医療保険より保険料の負担が高くなっています。加入者の年齢構成でも高齢者が多く、医療をより必要とする年齢層が多く加入しているということに加え、収入が200万円以下の世帯が7割と多いため、保険料がより高くなるという状況を生み出しています。「加入者が支払える能力があるかどうか」という視点が、保険料の設定から欠落していると言わざるをえません。本市の国民健康保険財政調整基金は、令和4年度末に31億7千万円あり、新年度の保険料率を据置きするために8億7千万円を取り崩したとしても、23億円残ります。この基金を活用し、保険料を引き下げるべきではありませんか?

-村山市長

 本市の国民健康保険料は、県から示された標準保険料率を基本としておりますが、市民生活への影響に配慮し、令和5年度は約8億7千万円の基金の取り崩しなどを行うことにより据え置くことといたしました。基金につきましては保険料の引き上げが必要となった場合の負担緩和財源として効果的な活用を図っていくこととしておりまして、市民の負担が過大とならないよう有効に活用してまいります。

-山下議員

 国保料は子どもも大人も同じように人数に応じて保険料がかかる「均等割」がとられています。少子化対策が叫ばれる中で、子どもが増えれば負担が重くなる仕組みに、市独自として軽減措置を講ずるべきではありませんか?また全国には、独自の減免制度をつくる自治体も見受けられます。名古屋市では、独自の控除制度と減免制度をつくり、多人数世帯やひとり親・障がい者世帯の保険料を低く抑えています。本市においても、独自の控除制度、減免制度の拡充を求めますが、見解を伺います。

-村山市長

 子どもの均等割など保険料の恒久的な軽減につきましては、市町村が独自で対応するには限界がございます。国の責任ある財政支援措置が不可欠でありますことから、引き続き全国市長会などを通じて国に働きかけてまいります。その他国民健康保険料の減免につきましては、減免規定に基づき適正に対応しておりまして、拡充等は考えておりません。

 

-山下議員

 3点目は、家庭ごみの有料化制度についてです。2018年2月から家庭ごみ袋の有料化がスタートし、5年が経過をしました。家庭ごみの有料化制度導入の目的は「ごみの減量」でありました。コロナ禍での生活変容の影響もあり、有料化がごみの減量に有効だったかどうか、正確な評価が難しい現状です。ただ、ごみ出しは市民生活に欠かせないものであるにも関わらず、家庭ごみの有料化は、所得の少ない世帯ほど負担が重くなることが、導入当初からも指摘されていました。全国では、減免制度やごみ袋の支給を行っている自治体もあります。いま、この物価高騰から市民生活を支える施策として、ごみ袋の購入に対する支援や、ごみ袋の支給も含め、家庭ごみの有料化の見直しを検討する必要があるのではないでしょうか。見解をうかがいます。

-村山市長

 指定ごみ袋収集制度につきましては、ごみの排出量に応じた費用を負担していただくということで、減量化に向けたインセンティブを働かせるものであり、市民負担の公平性の観点から、全ての市民を対象として実施をしております。先行自治体に比べまして多くの負担軽減品目を設けるとともに、市民生活にできる限り配慮した手数料としておりまして、制度の見直しは考えておりません。

-山下議員

 次に、2つめの質問に移ります。

 不登校支援の現状についてお伺いいたします。2021年度の文科省の調査で、小中学校での不登校の児童生徒数が約24万人を超え、本市においても増加傾向であり、児童生徒ひとりひとりの学びや社会的自立をいかに保障するかが、大きな課題となっています。調査では、90日以上の不登校であるにも関わらず、学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けていない小・中学生が4万6千人いることがわかりました。本市でも約4割が相談・指導を受けていません。不登校になる要因は様々ありますが、児童生徒、そして保護者が、どこにも相談できずに悩みを抱え込んでいる状況も明らかになったわけです。不登校支援と言っても、その内容は多岐に渡ります。今回は3点にしぼり、本市の現状についてお伺いします。

 1点目は、情報提供についてです。私は小中学生の学習支援室でボランティアをしていたこともあり、不登校児童生徒や保護者と関わりを持ってきました。そして、私自身も不登校生徒の保護者の一人であります。子どもの不登校を「青天の霹靂」と感じる保護者は多く、自分を責めたり、どこにも相談ができず、解決する見通しも持てず、孤独や不安を感じます。子どもにどのように接したらよいか戸惑う中で、多くの保護者は自力で情報を集め、親の会などにたどり着き、同じような経験をもつ保護者や子どもたちとの出会いに、少しずつ心が解けていきます。不登校支援の情報をもっと早く知りたかったというのが、どこでも聞かれる保護者の声です。学校から情報提供が何もないという声がいまだに聞かれます。私が学校の支援教室の存在を知ったのは子どもが不登校になって2年後、子ども同士の噂話からでした。教育長にお伺いします。初期段階の支援となる情報提供の重要性について、本市はどのように捉えているかお聞かせください。

-野口教育長

 不登校となった児童生徒の保護者への初期的段階での情報提供についてお答えします。不登校児童生徒の早期支援として、その保護者が悩みを抱えて孤立しないで不登校の初期段階で適切な情報や支援を得られるようにすることは、大変重要なことだと思っています。各学校が不登校となった児童生徒の保護者に常に寄り添い、自宅で一人一台学習用端末を用いて配信された授業を受講するなどの家庭における学習支援、不安や悩みについて相談できる機関の紹介、フリースクールに関する情報の提供など、必要としている情報を適時適切に伝えるよう、校長会議や不登校対策連絡会等でこれから周知を徹底してまいります。

-山下議員

 本市は「不登校支援リーフレット」を2020年に作成しています。不登校支援にかかわる行政や民間団体、児童生徒が過ごせる市内各地の居場所についても大変多くの情報が掲載されているリーフレットだと思います。また本市は、自助グループを紹介する「よりそうなかま」「子どもの居場所マップ」の作成や、「こころのポータルサイト」を開設しています。このリーフレットや冊子、サイトをどのように周知し、不登校の児童生徒やその保護者に届くようにしていますか?お聞かせください。

-野口教育長

 不登校支援に関する情報発信につきましては、不登校支援にかかる行政機関や民間支援団体等を記載したリーフレットを作成し、各学校や関係機関等へ配布いたしますとともに、教育プラザのホームページ等に掲載をしながら周知発信を行っております。

-山下議員

 「よりそうなかま」については、福祉健康センターに確認したところ、各学校に一冊のみ配布しているとのことでした。子どもの入学時に、または参観日等で学校へ立ち寄るときに、リーフレットや冊子、HPの存在を知ることができたら、また、子どもが休みがちになった時、学校の先生から紹介されていたら、もっと早く安心できたかもしれないと話される保護者もいます。適切な情報の提供は、不登校児童生徒や、その保護者の孤立や不安を和らげ、次の段階へとつながっていきます。初期段階の情報提供が適切にされることを求め、2点目、経済的支援についてお聞きします。

 今年5月、NPO法人「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」が2022年10~11月に実施したアンケート調査の結果を発表しました。不登校を経験した世帯の約3割が「収入が減った」、また、約4割の世帯が、食費やフリースクールの会費、相談に係る費用などの支出が増えたと回答しています。不登校児童生徒を支える家庭にとって、経済的な負担が大きいことが明らかになりました。そこでお伺いいたします。本市では、不登校児童生徒の学びや社会的自立の保障における経済的支援について、どのような対策を行っていますか?お聞かせください。

-野口教育長

 本市では不登校になった児童生徒に特化した経済的支援は行っておりませんが、経済的な理由で困っているご家庭に対しましては就学援助の制度の活用によって学用品費などを支援をいたしております。また不登校になった児童生徒の中にはオンラインを活用し自宅で授業に参加する児童生徒もおり、インターネット環境が整っていないご家庭に対しましてはSIMカード入りのルーターを無料で貸し出しを行っているところでございます。

-山下議員

 学びの場、生活の場としてフリースクールを利用する児童生徒もいますが、その費用が高く、利用を断念している家庭もあります。中核市の鳥取市では、フリースクール等の利用に係る経費の一部を支援しています。経済的な理由で、学びや社会的自立の機会をあきらめざるをえない状況をなくしていく必要があるのではないでしょうか。本市では、不登校児童生徒がフリースクール等を利用しやすくなるような経済的支援を行う考えはありますか?お聞かせください。

-村山市長

 本市ではフリースクールに通所する費用に対する支援は行っておりませんけれども、保護者の疑問や子どもたちの不安に応えるため、不登校民間支援団体等連絡会に参加しているフリースクールが行う体験機会の創出活動に対して支援を行っております。

-山下議員

 3点目は、子どもの権利についてです。不登校支援において、安心して学校を休めること、または自分にあった学びを選択することなど、子ども自身の選択を尊重することが、子どもの権利を保障する観点からも重要と考えます。そこで本市において、子どもの権利についてどのように取りまとめをしているかお伺いします。本市では、2001年に「金沢こども条例」が制定されています。まず、この「金沢こども条例」が制定された経緯を、お聞かせください。

-村山市長

 金沢子ども条例の制定の経緯についてでございますが、平成14年度から学校週5日制の実施により、子どもが家庭や地域で過ごす時間が増えることなど、子どもを取り巻く社会環境の変化に対応するため、家庭や地域、学校などの役割を明確にし、社会全体で次代を担う子どもたちの幸せとすこやかな成長を図るということを目的に、平成13年12月に制定いたしました。

-山下議員

 「金沢子ども条例」が掲げる基本理念のひとつに、「子どもの人格を尊重し、子どもが様々な権利を有していることを認識する」とあります。今年度も、「金沢子どもを育む行動計画2023」が作成され、家庭や地域、企業などの各主体が、どのように「子どもの育成に関して」行動をしていくか、社会の役割がまとめられていますが、「大人の責務」の記載が多く、「子どもが様々な権利を有する」その中身が不明瞭となっています。校則や学校独自の規則が要因となり、年間5000人以上の児童生徒が不登校になっているという報道もあります。学校という場所が、子どもの育つ環境が、子どもの権利を保障する場となっているのか確認するためにも、子どもが有する権利を明確に示すことが必要ではないでしょうか。1994年に日本が批准した「子どもの権利条約」には、「生命、生存および発達に対する権利」「子どもの最善の利益」「子どもの意見の尊重」「差別の禁止」以上、4つの原則があります。「生きるために不登校を選択した」という生徒もいます。不登校だけでなく、すべての子どもたちが、安心して育ち生きる権利をしっかりと本市としても示し、子どもの権利を主軸にした条例へと充実させていくことを求めますが、見解を伺います。

-村山市長

 金沢子ども条例の基本理念には、「子どもの人格を尊重し、子どもが社会で保障されるべき権利を有していることを認識する」と明記しております。こちらは子どもの権利条約の4つの原則に照らした内容となっておりますことから、現在のところ条例を改正することは考えておりません。

-山下議員

 不登校の現状をうけ、文部科学省が2023年3月「不登校対策COCOLOプラン」を発表しました。不登校の児童生徒に多様な学びの場や居場所を確保すること、保護者がひとりで悩まないよう支援することなどが掲げられています。不登校対策が、児童生徒ひとりひとりの意思を尊重し、子どもの権利を保障する視点で、本市において進められていくことを求めて、次の質問へ移ります。

 最後は、今年度おこなわれる教科書採択についてお伺いします。来年度から小学校で使用される教科書の検定結果が、昨年3月に公表されました。小中学校で一人一台デジタル端末が配布されてから、初めての教科書検定です。二次元コードがすべての教科書に掲載され、多様性やジェンダー平等の記述など、現在の社会情勢も反映した全11教科、149点すべての教科書が合格しました。教科書検定では、2014年から「政府見解に基づいた記述をする」ということが検定基準に加えられたことで、領土問題や歴史認識についての記述が後退している中ではありますが、本来、子どもたちが使用する教科書は、日本国憲法の「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の三原則に基づいて採択されるべきと考えますが、教育長の見解を伺います。

-野口教育長

 教科用図書の採択についてのお尋ねがございました。はじめに、このことについて議員は日本国憲法についてお触れになりました。私は日本国憲法、そして教育基本法、この二つは戦後教育の原点であると思っています。この教科書採択にあたって、たくさんの通知とか要項とか基準とかあるんですけれども、その中において義務教育諸学校教科用図書検定基準というものがございますが、この検定基準の中には教科共通の条件として、「教育基本法に一致をしていること」また「学習指導要領の総則や教科の目標に一致していること」と示されておりまして、この検定基準に合格した教科書の中から教科書を採択していることから、教育基本法を尊重した教科書採択が行われていると思っています。そのうえで、今回検定に合格した教科書には、お触れになりましたLGBTQなどが記載されておりますけれども、今回の採択におきまして国から出された「教科書採択における公正確保の徹底等についての通知」を踏まえながら、本市の子どもたちの実情を考慮して、私ども教育委員会が責任をもって本市の子どもたちに最もふさわしいと思われる教科書を採択することが必要であると考えております。

-山下議員

 教科書採択は、子どもたちの豊かな学びや、子どもの人権を尊重する点においても、大変重要なものと考えます。採択に当たっては、その教科の専門性を持ち、実際に教科書を使って、子どもたちの反応や理解度、興味関心を知る立場にある、現場の先生方の意見が尊重されることが欠かせません。また、明日まで開かれている常設・移動の教科書展示会では、現場の先生方だけでなく、保護者や市民の皆さんが、子どもたちがどんな教科書で学ぶのか、また、どのような教科書を手渡したいか、感想や意見を提出することができます。そこでお伺いします。本市の教科書採択では、しっかりと現場の先生方の意見が尊重され、保護者や市民の声がくみ上げられるものになっているのか、お聞かせください。

-野口教育長

 教科書採択にかかり、教科用図書選定委員会が教育委員会へ答申する報告書には、各学校の教員で構成する教科用図書研究委員会および各教科の専門性の高い教員で構成する教科用図書調査委員会が調査研究した内容と、教科書展示会での市民の方々の意見や採択にかかる要望を踏まえて審議し、まとめられております。教育委員会はその答申をもとに採択を行っておりますが、会議の折には調査委員会・研究委員会からの調査報告書も、また市民の方々の声もちゃんと付しておりますので、現場の教員の意見や保護者、市民の方々の声は反映されていると考えております。

-山下議員

 全国では、教科書採択に関する会議を公開にし、市民の傍聴が可能な自治体が広がっています。滋賀県では、公開を求める署名運動が広がる中、非公開だった会議がすべての市町で公開となりました。採択に関する会議を、ビデオ中継している自治体もあります。今月、本市においても市民団体から「教科書の採択に関する教育委員会会議の公開」を要望する署名が、教育委員会に提出されました。文科省は「教科書採択に関しては、保護者をはじめ国民に、より開かれたものにしていくことが重要」としています。また、「公正性・透明性の確保」と「疑念を生じさせることのないよう適切に行われること」ともしています。公正性、透明性のある教科書採択を行うためにも、教育委員会会議の公開を強く求めます。教育長の見解をお伺いして、私からの質問を終わります。

-野口教育長

 教育委員会義等における教科書採択の審議経過につきましては、意思形成過程であり、やはり静ひつな採択環境の中で行うこと、そしてそのためにもその中で自由闊達な議論を行うことや公平性、中立性を保つ必要があることから、会議の公開についてはこれまで行っておりません。また、教育委員個々人の活動等に影響が出る懸念がありますことから、議事録の発言者の掲載についてもこれまで行っておりません。こうしたこれまでの経緯と、また本年3月31日付の「教科書採択における公正確保の徹底等についての通知」で記されている静ひつな審議環境の確保等の観点から検討を行い、会議の公開・非公開を適切に判断すること、また同日に出されております別の通知になりますが、「令和6年度使用教科書の採択事務処理についての通知」で記されております公表の時期・方法について不断の改善を図ること、こうしたことを元に会議の公開や議事録への発言者の記載につきましては今後教育委員で真摯に話し合ってまいりたいと考えております。

再質問

-山下議員

 介護保険料の件ですが、物価高騰が続いて年金や給料が上がらない中で、やはり社会保障費の負担が重すぎるという声が市民の中からあがっています。先ほど、基金は市民の負担にならないように有効に活用するということでしたが、実際もう負担になっている現状があります。電気料金が値上げになり、これから暑い夏も迎えます。物価高騰への対策は命の問題に繋がると思います。介護保険料の引き下げ、積極的にぜひ取り組んでいただきたいと考えますが、お考えをお聞かせください。

-村山市長

 令和6年度からの介護保険料については、今後介護保険事業計画を策定する予定としております。そして今年度の介護保険料につきましては、すでに残高見込みとしても当初予算でかなり取り崩しをしたままで行っております。今後とも市民の負担が過大にならないよう有効に活用して行きたいと考えております。

-山下議員

 教育長にお伺いします。先ほど「静ひつな環境で」というお答えでしたが、県内で採択会議を公開にしている羽咋市にお伺いしたところ、教育委員会議を公開にしていても何も問題がないというお答えでした。逆に非公開での会議にしてしまうと、本来公正に行われている会議に「現場の先生方の声が本当に届いているのか」「政治的思惑が働いているのではないか」、そういう疑念が生じてしまうのではないかと思います。そういう疑念を生じさせないためにも、公開が大前提にあるかと考えます。そしてその会議の公開は、市民が市政に参加する機会の大事な保障になるとも思います。教育長、ぜひ市民に開かれた教科書採択にしていくために、会議の公開への真摯で前向きな検討をお願いしたいと思いますがお考えをお聞かせください。

-野口教育長

 そうした疑念を生じさせないためにも、これまで様々な審議のあとに資料、会議録等を公開しております。それをまず読んでいただければというふうに思っておりますけれども、先ほど触れましたが、会議というのは静ひつな環境で行うのが大事だと思っています。それぞれの自治体でそれぞれのお考えがあるとは思いますが、静ひつな環境をとる、その静ひつな環境の中にはいわゆる環境的なものもあるでしょうけど、もう一つは審議をする方々、教育委員の方々の精神的な部分の静ひつな環境というのがやはり大事ではないかと思っています。人から見られている、そうした中で自由にものが喋れないというようではやはりいけないと思っていますので、そうした意味でも会議の公開についてはこれまでも行ってこなかったということになります。ただ、先ほど答弁で触れましたようにこれから教育委員の方々と話をしてまいりますので、その中で様々なご意見も頂戴しながら決定をしていきたいと思っております。

マイナンバー制度について

 まずは、マイナンバー制度について伺います。先週の金曜日、突然金沢市のこれまでのトラブルが公表されました。市長。まずは、一連のトラブルをこの場でもご報告いただき、どう受け止めておられるのかお答えください。

-村山市長

 今回、マイナンバーカードに関する事務誤りがあったことにつきましては、当事者ご本人にご迷惑をおかけするとともに、市民の方々にはご心配をおかけいたしました。誠に申し訳なく思っております。令和4年7月から本年5月までの間に、別人へのマイナポイント付与が1件、マイナンバーカードの顔写真の取り違いが3件、マイナンバー、いわゆる個人番号の誤更新が1件、本人の同意のない健康保険証機能の登録が1件、合わせて6件の事務誤りがございました。いずれも本人からの申し出により把握したもので、速やかに本人に謝罪をし、ご了解を得ております。全国で同様の事案が多発する中、国において本格的な対策に乗り出すということを踏まえまして、本市としてもそれに則り市民に不安を抱かせることがないよう、適切に事務執行に努めてまいりたいと考えています。

-広田議員

 私が気になるのは、昨年から起こっていたのに、なぜこれまで公表しなかったのかということです。私も何度もこの間確認をしてきました。金曜日に発表されたトラブルの件で、これまでの市の説明や報道では「個人情報の漏洩はない」からとしていますが、今ご説明のあった「顔写真」、これは個人情報に該当しますよね?確認です。そして、市民が郵便で届いたカードを開封したら別人の顔写真だった、これは個人情報漏洩に当たるのではないですか。

-紙谷市民局長

 一般的には、顔写真も個人情報になります。今回の事案は、誤交付した本人への聞き取りから、知らない人の写真であり、特定の個人を識別することは難しく、また速やかに回収をしていることから、個人情報の漏洩による実質的な被害は生じてはおりません。

-広田議員

 本人が知らない人だ、ということは関係がありません。個人情報であることは間違いない。そしてそれが別のことに利用されるということも、現代ではすでに画像検索という機能もあり、その顔写真でそれが誰なのか、何をしているのかもわかってしまう時代でありますことから、不正利用の可能性もあります。そこは次の話ですけれども、あくまで今ご説明があった通り、個人情報が第三者に漏洩したということで間違いないですか。

-紙谷市民局長

 個人情報の漏洩に当たると考えております。

-広田議員

 そうすると、次にどのように公表されるかが問題になります。さきほど配布された常任委員会の資料ではすでに「個人情報」という言葉が訂正をされて「特定個人情報(マイナンバーを含む情報のこと)」という言葉だけになっていましたけれども、しっかり「個人情報漏洩」があった事実を書かなければならないと思いますがいかがですか。そして次にこのような事案があったら、きちんとその度に公表するのかどうか、明らかにしてください。

-紙谷市民局長

 今度の委員会の報告については、そこも含めて報告をしたいと思っております。今後同じようなミスが発生したらということでございますけれども、本市の事案につきましては今ほどの顔写真も含めまして個人番号など特定個人情報の漏洩したものではなく、国が定める重大事案の基準にも該当しないことから、これまで公表をしてきませんでした。全国でマイナンバー制度を巡るトラブルが多発をし、国が総点検を行い、本格的な対応に乗り出すということでございますので、本市として今回公表したものでございます。今後同様の事態が発生した場合は、その事案内容を十分に精査して適切に対応してまいります。

※国が定める重大な事案・・今後広田がいう「個人情報保護委員会への報告基準」と同じ

-広田議員

 確認しますが、市民福祉常任委員会の資料には個人情報漏洩があったと書き足すのかどうか、重大事案の基準に該当せず公表しなかったと言いますけど、それは重大事案でなければ公表しては駄目だということなのか。そして個人情報保護委員会というものがあります。その報告基準は明確化されていますけれども、私はその中でも規則第43条の(2)とか(4)は、その事態を否定しうると思いますが、その点はいかがですか。

-紙谷市民局長

 繰り返しになりますが、今回の事案は議員が仰せの通り、個人情報の漏洩には当たるかと思います。ただ今回のケースで言いますと、誤交付した本人への聞き取りから、知らない人の写真であり、特定の個人を識別することは難しく、また速やかに回収しておることから、個人情報の漏洩による実質的な被害はないということでございます。また個人情報保護委員会の方でございますけれども、これは個人番号などの特定個人情報が漏洩したものがなくて、国が定めるところの重大事案の基準にも今回該当しないことから、これまで公表もしておりませんし、国の方にも届け出はしていない状況でございます。

※個人情報の漏洩は認めたが、顔写真のデータなどは残っていないため、誰のものなのか判別はできず、情報漏洩された人物の特定はされていない。

-広田議員

 実質的被害があったかないかは、個人情報漏洩とは関係がないと思います。あくまでも個人情報漏洩だという事実をちゃんと認めて、委員会資料に書いてほしいという点、もう一度確認です。そして重大事案ではない、個人情報保護委員会への報告義務に達していないとおっしゃいますけれど、報告ガイドライン規則第43条(2)は「不正に利用されることによりいろいろな問題が起きる恐れがある事態」とか、(4)は「100人を超える漏洩」というふうに書いてありますけれども、今発表も何もしていない、本市がチェックもできないのに、何人いるかわからない状況で、100人には満たないとどうやって推定しているのか。そして不正利用がされないかどうか、その根拠はあるのですか。

-紙谷市民局長

 顔写真の漏洩につきましては、委員会の方でしっかりと説明させていただきたいというふうに考えております。また国の方の重大事案につきましては、100人以上の漏洩があった場合というような記載はございますけれども、そこにつきましては市の方で把握はできません。あくまでも本人からの申し出に基づいて把握するしか市としては手段がございません。そういった中で、顔写真の漏洩というのが実際ございました。ただ繰り返しになりますけれども、誤交付した本人等への聞き取りから、今回被害がなかったと市として判断いたしましたので、これまでは特に報告もしておりませんし、これからもこのような状態が続きましたらその事案内容を十分精査し、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

-広田議員

 公表するべきなんですね。先ほどから繰り返しますけれども、市としては確認のしようがないんです。マイナポータルを見られるのはあくまでも個人だけです。交付以降は、市は確認ができない状況です。つまり同じミスが100人いるのか200人いるのかもわからない。規則では「100人いる恐れがある」ということでも報告ができるんです。報告するべきだと私は思いますし、不正利用については「不正利用しない」という根拠はどこにもないですよね。もちろん、届けてくださった市民の方を私は信じていますけれども、どういうふうに根拠づけるかということは、これは根拠がないというふうに思うんです。ですので、公表を今後はしっかりするべきだというふうに思いますけれどもいかがですか。

-紙谷市民局長

 議員仰せの通り、100人いるか200人いるかということは市では判断できません。基本的には本人からの申し出ということになりますけれども、ひとつひとつ事案が発生した場合は、その事案内容を十分精査したうえで、公表するかどうか判断したいというふうに考えております。

-広田議員

 あくまでも公表を何故かしたがらないというふうに捉えます。みなさん、今起きた事案は、市民の大事な個人情報が漏洩したという問題なんですよ。そしてその同じような事例が金沢市としてチェックできるか、洗い出せるかというとできない状況であれば、ちゃんと金沢市民に「こういう事例があった、みなさんは大丈夫ですか」ということを少なくとも知らせなければ、公表しなければ、未だにマイナポータルを見られない人たちは知らずに、もしかしたらそのカードを使っているかもしれない。ポイントをもらえていないかもしれないということなんです。すでに不利益が生じているのかもしれないのですから、私は公表を真摯に行うべきだと思うのですが、市長いかがですか。

-村山市長

 今回マイナンバーカードを巡るこうした問題が全国的に多発したということで、個人情報保護委員会への報告あるいは100人を超える事態と、そういったことではないと推察される中で、こういった全国的な多発する事例がありましたので、公表するという決断をさせていただきました。迅速な回収、そして本人からの聞き取りによる被害もないということなので、今回同様な対応ということになると思っております。

-広田議員

 公表しなければ市民の不利益が広がる可能性があるのです。市長も公表のガイドラインはあくまでも推察でしか捉えられないわけですよね、100人いるかどうか、それもわからないという中であれば、公表すべきです。そして全国で多発していると言いますけれども、それはほかの自治体がちゃんと同じような事例でも公表をしてきたから私たちが知り得ているわけですよね。同じ事案でもちゃんと自治体はこれまで公表してきているんです。ただデジタル庁が隠してきたということはありましたけれども、公表しているんです。ですので公表を繰り返し求めますけれども、少なくともマイナポータルを見られない市民の相談窓口は開設すべきではないですか。

-村山市長

 マイナンバーカードの関係の窓口としては市民課の窓口を始め、第一本庁舎4階のマイナポイント申請支援窓口、さらに土曜日・日曜日に3か所の商業施設で開設しているマイナポイント申請支援窓口のほか、今年3月に開設したコールセンターにおいて、これまで以上に市民からの相談や問い合わせに丁寧に対応してまいりたいと考えておりまして、個別の専用窓口については開設までは考えておりません。

答弁する村山市長

-広田議員

 個人情報漏洩があったとお認めになっても、丁寧な説明をすると言いながら、その専門の相談窓口は作らない。矛盾しているのではないのでしょうか。土日も開いているんですよ、マイナンバーカードの交付申請とか。平日も相談窓口として利用してほしいという窓口へ行っても、何十分待ちですよね。だから、カードを作り終わってマイナポイントをもらっても、今回の事例で心配で相談へ行きたいという人でも何十分も待たないと調べることができないんですよ。なので、早急にそうした情報漏洩の可能性がないかという専用の相談窓口が必要だと改めて言っておきたいと思います。

 そして、市長。今回起きたトラブルは、人為的ミスだと県知事までもが言ってしまっていますけれど、私は制度やシステムの欠陥だと思っています。特に現場では政府から制度の追加や変更が次々に指示され、その業務量や変更に体制が追い付かないという点が指摘されてきました。

具体的に伺いますが、まず業務量と体制について、これは政府のマイナポイント政策によって連日市民が押し寄せている状況の中、私たちも市民課の業務量については大変心配をして、これまでも体制拡充を求めてきましたが、その後十分だったのでしょうか。また外部職員も多い中で、ちゃんと指導や相談ができる体制であったのか、伺います。

-川畑総務局長

 これまでの体制につきましてですが、カードの申請件数等の増加に伴いまして市民課でありますとか市民センターを始めとして商業施設での出張相談窓口でありますとか第一本庁舎4階の総合窓口の設置など、受付体制を拡充してまいりました。また正規職員や会計年度任用職員の増員配置、そして各局職員による全庁的な応援体制の構築、そしてコールセンターや庁内案内業務の委託化など、体制を整えてきました。こうした多くの職員等が従事する中で、業務の遂行にあたりましては共通の認識を持っていく必要がございますことから、それぞれ定期的なミーティング等の実施を通じまして適宜指導を行い、また相談に応じてきたところでございます。

-広田議員

 そうした中でもこうしたミスが起きてしまったというのは、もはや国が現場の状況を見据えて制度を作っていないということにもなりますし、第一、体制を増やしても、国のシステムにアクセスできる端末が全国的に足りないという悲鳴も聞こえているんですね。しっかり国にも求めていただきたいと思います。

 次に、政府からの度重なるシステムの変更や追加についての対応です。特に今回マイナポイント業務におきまして、第一弾のときはログイン・ログアウト時両方で本人と共にチェックしていたのに、政府からの変更によって第二弾のときからはログイン時のみで良いとされてしまったことが私はミスを誘発したと考えます。これはただの人為的ミスではありません。システム変更がミスをもたらしたと考えますがいかがでしょうか。

-紙谷市民局長

 今回の事案が本人確認の回数によるものとは断言はできませんが、人為的ミスはあってはならないものと考えております。マイナポイントシステムにつきましては国が管理をしておりまして、全国で同様の誤りが多発したことを受けて、再び2回確認する仕様に変更されたことから、本市におきましても今月からこれに沿って対応しているところでございます。

-広田議員

 政府が2回に戻したということは、1回ではシステムの不備だったということを認めたということに他なりません。そして保険証の紐付けを希望しないのにされたというミスについてですが、マイナポイント関係の業務は、実はこれは市が事務を行う法的根拠はないんですね。政府から求められているのはあくまで「支援」なわけです。よって本人の意思確認をする市と市民との契約というか、そういう書面等もないというふうに伺っています。私はこれは制度の問題ではないかと思いますがいかがですか。

-紙谷市民局長

 制度の問題というご指摘がございましたけれども、マイナポイントの制度そのものには瑕疵がないと思います。今後、今まで以上に申請者との意思疎通を図るとともに、複数職員によるチェックに加え、新たなチェックシートでの確認作業を行うなど、再発防止に努めていく所存でございます。

-広田議員

 チェックシートは法的根拠で残せるものなんですか、サインや判子などをついて。

-紙谷市民局長

 本市独自のチェックシートでございます。

-広田議員

 あくまでもそれは作業上、自分たちで確認するためにつけていくものであって、本人が納得した、紐付けして良いと言ったという証拠にはなり得ないと。それは法的根拠がないので、そういう書類すら作れないということになるんですね。これも、これから総点検する上でぜひ現場の苦悩を政府に伝えてほしいと思います。さらに、これはシステムの関係ですが、マイナンバーに紐付けした公金口座の利用、これも各地でトラブルが起きていますけれど、本市でも一部業務で活用しています。しかしマイナンバーのシステムを直接使えないので、データを移し替えたり、振込のたびに目視で点検するなど、私は業務がデジタル化と言いながら逆に複雑・煩雑になっていると思いますが、その点はいかがですか。

-川畑総務局長

 一部の業務で公金受取口座による振込事務は行っております。これは誤った振込を防止する観点から、いずれの業務においても振込の都度、支給対象者と振込口座名義が一致していることを目視により確認しているところでございます。

-広田議員

 マイナンバーで公金を受け取りたい口座というのを紐付ければ、そのままデータとして使えるのかなと私は思っていたら、そのシステムは現場では直接使えずに、結局目視で確認も行わなければいけないという、なんともアナログなことが起きているということが明らかとなりました。

 市長。私はこうした現場の実態があるのに、政府は人為的ミスという言葉で喧伝していますけれども、それでは片付けられないと思うんです。全国でのトラブルについても同様に、制度やシステムの欠陥です。例えばコンビニの証明書交付はシステムのエラーですし、保険証の紐付けミスなども手入力でやらざるを得ない制度設計であったこと、公金口座についても本人名義でなくても紐付けできてしまうシステムの問題です。市長、まずは人為的ミスでは片付けられないという、その点は共通認識かどうか、お答えください。

-村山市長

 本市で発生した事案についてお答えさせていただきますが、こちらについては人為的ミスであるというように考えております。また全国的な課題について、またシステム上のトラブルというのがコンビニ交付については全国で散見されたというようには聞いておりますけれども、そちらについては個人情報の漏洩にあたるものではないというようにも承知をしております。いずれにしても適正な運用を市としても図ってまいりたいと考えています。

※コンビでの別人の住民票が出てきたというのは、個人情報の漏洩です。

-広田議員

 市長、私各局とのやり取りをしていたんですけれども聞いていました?人為的ミスじゃないという現場の実態を明らかにしたと思うんですけれども。この前までその仕組み作りにいらっしゃったから、なかなか言えないのかもしれませんけれども、ここはもう、金沢市長の立場として、現場の安全な業務と市民の安心なシステム構築のため、しっかり本音でやっていただきたいと思います。各県の首長さんたちも、結構政府に対して厳しく言い出していますから、ぜひお願いしたいと思います。

 その点で今後、総点検を行うと言っています。ただ聞くところによると、現場が全部チェックするんですか、みたいな声も聞こえていますが、それはちょっと無理だと思いますし、しっかり声をあげていただきたいんですが、私は今言った制度設計の欠陥を見直すよう政府に求めるということと、本市独自でも今たくさんあきらかになりましたけど、現場の業務やシステムについて点検をすべきだと思いますが、いかがですか。そして合わせまして、今年度予定しているコンビニでの利用拡大だとか職員の出退勤管理などマイナンバー業務の拡大、これは中止を含め見直すよう求めますがいかがでしょうか。

-川畑総務局長

 今報、道等で国が総点検を行うということが言われております。その国が行う総点検につきましては、現時点では詳細は不明でございますが、総理大臣がお話しておりますので、早晩、そういったものの方針が示されるのかなと思っております。市としては国からの具体的な指示・要請を踏まえまして、適切に対応していきたいというふうに思っております。証明書のコンビニ交付につきましては、5月総務省からの通知がございまして、そちらで市から指示した作業内容を委託業者に行いまして、結果について問題ないということを確認したことでございます。証明書誤交付の懸念は、今はそれで解消されておりますことから、マイナンバーカードを利用した出退勤も含めまして、これから十分に確認を行いながらシステム開発等進めていきまして、それぞれ適切な時期に運用を開始してまいりたいと考えております。

-広田議員

 これだけ世論でも一旦中止や見直しが必要ではないかという声が多い中でも、金沢市はどんどん進めていくということなんですね。先週金曜日に個人情報漏洩を、そして今個人情報漏洩だと認めましたけれども、ちょっとしっかり市民の方を向いて考え直していただきたいと思います。市長、本当に少しの懸念もないんでしょうか。

-村山市長

 先ほどから申し上げている通り、人為的ミスにより今回起こったものというふうに把握しております。証明書のコンビニ交付につきましては、総務省から5月に点検の通知に基づいて作業をしたところであります。またこれは委託業者の方でも作業を行いましたけれども、その結果については問題がないことを確認しております。また証明書の誤交付の懸念は解消されておりますから、これに伴って職員のマイナンバーカードを利用した出退勤につきましても、これは個人情報漏洩の恐れがないものというように考えております。十分確認を行いながら開発を進めて、適切な時期に運用してまいりたいと考えております。

※その2日後に、コンビニ証明書発行でまた別人のものが発行された。

-広田議員

 デジタル庁の河野大臣も「問題は起こりません」と言ってから新たな問題が起きているんですよね。でも本市の場合はもう公表するかもわからないんですから、市民は何が起きているかもわからないまま進めていくという仕組みなわけですよ。本当にとんでもないなと思います。私はこのマイナンバー制度が始まってから、皆さん方ともやり取りをして、皆さん方は情報漏洩も起こらない、そう信じてがんばってきたと思うんです。それが土台から問題だらけだったということなのであれば、しっかり政府に根本的な見直しを求めるべきだと訴えて、次にうつります。

保険証の廃止は中止を

 保険証の廃止についてです。市民の命と健康を守る国民健康保険の保険者として、金沢市がどう対応するのか伺います。まず本市の国民健康保険において、いわゆるマイナ保険証がある方とない方について、今現在どのような状況か教えてください。 

-山口福祉健康局長

 令和5年4月末現在の数字ですけれども、本市の国民健康保険の被保険者は7万8471人でございまして、そのうちマイナンバーカードと保険証との紐付けが完了している方は3万5567人でございます。

-広田議員

 ということは4万3000(細かくは4万2904人)の方が、今マイナ保険証としては利用ができないという状況だということです。

まず市長に認識を伺いたいと思います。政府は資格確認書を発行すればそれで良いだろうというように話を進めていますけれども、あくまで保険証としてのマイナ保険証を申請できない方がいるということ、そしてマイナンバーカードの取得は任意であるということで、保険証の廃止はマイナンバーカードありきの制度設計ではないのか、これはおかしいんじゃないのかという点で、どのように思いますか?

-村山市長

 保険証の廃止とされても、資格確認書の規定が設けられたこと、そして代理申請あるいは本人からの申請によらず職権での交付など様々な対応がとられるというように考えております。これら国の通知に基づきながら適切に対応すべきと考えております。

-広田議員

 あの、資格確認書が欲しいわけじゃないんです。従来通りの健康保険証という普通の正式なもの、それが欲しい。マイナンバーカード制度が始まったらそれはマイナ保険証だと政府がおっしゃるのであれば、少なくとも取りたいという方はマイナ保険証を取れなければ、今までの皆保険制度上はおかしいわけですよね。その法律自体が変えられてしまっているんですけど。そういう点で言っているんです。マイナンバーカードすら取りたくても取れないという方がいるし、取得は任意だと、そういう人たちを除外する制度だという認識があるのかということを問うています。お願いします。

-村山市長

 先ほど申し上げた通り、保険証ということではなくても資格確認書、それの代わりになるものを取得することができる、あるいは代理申請、職権交付などもありますので、それ以外の支障がどういったところにあるのかというところを潰していく必要があるというように思います。いずれにしてもこれから国の通知が示されてまいりますので、それに基づいて対応してまいりたいと考えています。

-広田議員

 今までこの日本が世界に先駆けて誇ってきた皆保険制度を根本的に踏みにじる制度だと私は思うんです。ぜひ本市の良識ある見解を今後お示しいただきたいと思います。

 次に、一方でマイナ保険証自体にも問題が起きているんですね。まずは別人の紐付けです。現場では薬剤の誤投与など命の危険が一番心配です。またシステムエラーも多発しているんです。カードの顔写真が誰の顔でも認証されるという事象がいくつかの医療機関で起きているそうです。また「無効」と表示されたり読み取れない場合は患者さんから10割負担を求めざるを得ないケースも多発ということで、とある調査(全国保険医団体連合会)では全国で65%の医療機関、石川県ではほぼ7割と本日報道もされました。市長はこうした医療機関でのトラブルについてどう認識しておられますか。

-村山市長

 マイナ保険証の誤登録によって市民の信頼を傷つける、あるいは場合によって健康を脅かす恐れがあるということ、これは重大な事案であるというように思います。10割負担のお話もいただきました。国において医療機関等と調整してできるかぎり混乱が生じないように対応すると聞いております。その動向を注視したいと考えています。

-広田議員

 命の危険については感じていただいているようですけれども、それであるならば私は保険証廃止は中止を求めるよう求めておきたいと思います。

子どもの医療費助成の拡充について

 次に子どもの医療費助成についてです。本市ではこの10月から、入院について18歳まで窓口負担ゼロとなります。何十年と市民のみなさんと取り組んできたことがさらに前進しました。そして、過去にも質問しましたが、2021年の本市の生活実態調査では、16-17歳の世帯は困窮層がどの年代世帯よりも多く、生活が苦しいという実態が明らかになっているんです。そして自立への旅立ちのとき、貧困の連鎖をなくす大事なタイミングなんです。本市はあらたに16歳以上へも医療証を交付するわけですが、一歩踏み出す16歳以上への支援は大変意義があると考えます。市長はこの点どのように認識しているのか、であるならば早急に外来でも18歳までの窓口負担ゼロの実現をするよう求めますがいかがでしょうか。

-村山市長

 この度、子育て支援医療費助成制度を拡大させていただくということになりました。今回は県が補助金の対象年齢を拡大したことを踏まえて、医療費以外にも費用がかかるということに対して、入院分に対して対象年齢を拡大し、自己負担分を無料化するということにしております。子どもの医療費助成以外にも子育て支援施策は、福祉・保健・教育・文化スポーツ、様々ございます。こういったところの取り組みも強化してまいりたいと考えています。

-広田議員

 今言った、16-17歳のお子さんのいる世帯はどの他の年代の世帯よりも苦しいという調査結果が本市でも明らかになっている、その点について今回踏み出す意義、それをお願いします。

-村山市長

 今ほど申し上げました通り、順次拡大していくというように考えております。財政にも限りがあり、また恒久的な財源も必要になってまいります。議員のご指摘はおっしゃる通りのところはあるとは思いますけれども、財政に限りがあるところをご理解いただければと思います。

-広田議員

 意義があるというふうには思うということと受け止めておきます。

※質問準備をしていたが時間の関係で割愛していた部分↓

 全国では今年の5月時点で、18歳、高校卒業までとする自治体がこの10年間で急速に広がり、通院が全自治体の822自治体、約47%に、入院も900自治体、約52%となりました。各自治体が、子どもの命、健康守るため、動きを加速させています。

本市は中核市と比較をしてきました。

昨年2月の本会議で市長職務代理者は、「中核市2/3が本市と同じ15歳まで、(中略)すべての中核市が同じような姿が望ましい」としています。そこで、1年ちょっと経った現在を調べると、今年度中の変更含め、62市中28市の45%が通院も入院も15歳以上18歳まで、入院のみ18歳までもしくは以上は5市であり、あわせると53%が18歳までもしくは以上に広げています。

市長、中核市でもこれだけ広がりました。本市も外来についても18歳まで拡大するよう求めますがいかがですか。

ごみステーションの環境改善について

 さいごに、ごみステーションの環境改善ということで、本市の燃えるごみのステーションは9000か所あり、地域や市民のみなさんのご協力で成り立っている状況です。ステーションの形態は地域によってさまざまであり、市が貸し出しているネット型(2種類)ほか、折り畳み式や固定式のゲージなどです。これらの役割は、ごみ袋が散らばらないようにすることはもちろん、カラスから守るという役割も大変大きいのではないでしょうか。それもそのはずで本市が貸し出すネットの名前は「カラスネット」です。この利用も実態としては多いと思われます。しかし実際は残念ながら、このカラスネットの隙間から、カラスがごみを漁っている姿をよく見かけます。町会では立ち番などご苦労され、最近ではゲージ型のバリエーションも増え、ネットからゲージ型に変更する場所が増えています。そこで、本市のカラス対策の一環として、このゲージ型の貸与、設置場所の関係もあるので折り畳み型のものなどを、ネット同様に貸与という形にしてはいかがでしょうか。

-村山市長

 ごみステーションの整備につきまして、物品の貸与と補助と、二種類させていただいているというように思います。折り畳み式のごみ収納ゲージの器材については、片付けが不要となる、あるいはカラス被害の防止にも一定の効果があるというようにメリットも感じております。一方で、折り畳み式のごみ収納ゲージ等の器材については設置場所が限られているという中で、各地域の実情に応じた様々な形態のごみ収納器材が設置されております。本市では整備費用の3/4の補助という形で支援に努めております。現状では汎用的に使えるというものではございませんので、貸与することは考えてはおりません。

-広田議員

 私は折り畳み式だけを貸与というのではなく、今ネットも貸し出していますから、それと合わせて設置が可能なところはそれでどうかという、あくまでカラス対策としての提案をしております。もちろん補助制度は3/4に拡充をされましたけれども、それでも財政負担が厳しいとか、業者さんとのやりとりや市への申請作業が困難な町会もあると聞いております。ぜひ検討するように求めて終わりたいと思います。

-森尾議員
 私は、日本共産党市議員団の一人として以下、質問いたします。
 最初の質問は、本市平和都市宣言と核兵器廃絶への取り組みについてです。本市平和都市宣言は、昭和60年(1985年)に議決されました。その中で、「核兵器の全面禁止・廃絶は人類すべての願いであり、われわれはその実現に向けて不断の努力をしていかなければならない」と明記されました。市長は、この本市平和都市宣言をどのように受け止めておられますか。そして、核兵器の全面禁止・廃絶に向けての決意を伺います。

-村山市長
 平和都市宣言(昭和60年)、そしてこの中では核兵器を禁止・なくしていくために姉妹都市との交流なども含めて議決をされております。核兵器の廃絶、そして世界の恒久平和の実現、さらには戦争はあってはならないということについて、これは先般G7サミットが広島で開かれ、各国首脳が平和記念資料館などを訪れたということもありましたが、恒久平和への願いというのは世界共通のものであるというように思っております。

-森尾議員
 去る6月12日、スウェーデンにあるストックホルム平和研究所が世界の核弾頭について明らかにしました。世界が保有する核弾頭は1万2512発あり、使用可能なものは9576発だとしています。研究所のダンス所長は、「人類史上、最も危険な時代に知らず知らずに入ろうとしている」と指摘しました。一方、先に開かれた主要7か国首脳会議で「広島ビジョン」がまとめられ、核兵器による「核抑止力」を公然と宣言しました。これに対し、被爆者団体などから批判が相次いで表明されました。2017年国連総会で採択された核兵器禁止条約は、今年1月現在92か国が署名し、68か国・地域が批准しています。今年11月、国連で第2回締約国会議が予定されています。核兵器全面禁止・廃絶への取り組みは世界規模に広がり、力強く前進しています。市長。本市平和都市宣言は、核兵器の全面禁止・廃絶に向けて不断の努力をしていかなければならない、としています。本市の具体的取り組みについて明らかにしてください。

-村山市長
 本市では平和都市宣言に基づきまして、毎年夏に「原爆と人間」展を開催しておりますほか、姉妹都市交流、それも若年層からの姉妹都市交流、さらには自治体国際化協会(クレア)等を通した自治体間交流、さらに民間での海外交流なども行っておりまして、今後も継続して実施することで広く市民に平和の尊さと戦争の悲惨さを伝えていきたいと考えています。

-森尾議員
 本市は、平和首長会議に参加しています。この会議は、1982年に設立され、世界165か国・地域から8002の都市が加盟し、核兵器廃絶に向けた取り組みが行われています。昨年10月、加盟都市会議が開かれ、会長である広島市長と副会長の長崎市長による要請文が政府に提出されました。内容は、政府に対して一刻も早く核兵器禁止条約に署名・批准すること。核兵器禁止条約会議にオブザーバーで参加するよう要請いたしました。市長は、平和首長会議による国への要請について、どのように受け止めますか。そして、自らも具体的行動が求められると思いますが、見解を伺います。

-村山市長
 核兵器の廃絶と世界恒久平和の実現については人類共通の悲願であります。今後とも平和の尊さ・戦争の悲惨さを後世に伝えていかなければならないというように思っております。国への要請につきましては、平和首長会議としてすでに行ってございます。改めて市として個別に直接要請する考えはありません。

-森尾議員
 本市平和都市宣言に基づいて、核兵器廃絶と全面禁止に向けて取り組んでいかれるよう強く求めておきたいというふうに思います。
 質問の第二に、市民生活と営業をどのように守っていくか。補正予算と関連して伺います。北陸電力は、電力料金をこの6月から39.7%の値上げを実施しました。これによって、平均家庭では1か月あたり2500円余りの電気料金が増加することとなりました。この5月の消費者物価指数が昨年同月比4.3%上昇し、12か月連続となりました。物価高騰が市民の暮らしを直撃しています。給料はなかなか上がりません。厚生労働省の発表によると実質賃金は13か月連続のマイナスとなっています。給与総額をベースにすると一人当たり約8万円が減少したことになります。さらに、医療・介護分野の保険料や負担が増加し、市民の暮らしは一層厳しい事態に追い込まれています。市内の事業所では、電気料金や資材等の値上げが経営の困難に拍車をかけています。商品価格への転嫁もできず、事業継続の危機を迎えています。市長は、こうした実情をどのように受け止めておられますか。見解を伺います。

-村山市長
 エネルギー価格を始めとした物価高騰、また実質賃金の減少についても市民生活や市内事業所の方に大きな影響を与えているというように思っております。またその影響が長期化しているということに大変危惧しております。

-森尾議員
 電気料金の値上げ、物価高騰が続く中、すべての市民と事業所を対象とする支援策が求められていると考えます。国や県の支援策の対象とならない方々や、支援の強化が求められる事業所などへの具体策が必要です。わが党市議員団は去る5月26日、市長に対して6項目の緊急支援策の提言・申し入れを行いました。今回提案された補正予算では、本市独自の子どもを育てる世帯への支援策や、事業所に対する本市独自の支援策が提案されています。すべての市民と事業所を対象とする支援策について、どのように考えられ、今回の補正予算を組まれたのか伺います。

-村山市長
 昨今の物価の高騰について広く市民に影響していることは認識しておりますけれども、予算が限られているという中で、その影響を特に強く受けている市民や事業者等を優先的に支援する必要があると考えております。すでに当初予算の方ではプレミアム商品券事業等させていただきましたが、今回の補正予算の中ではこれまでの低所得者世帯や福祉施設、学校給食費等への広い支援を行ってきたことに加え、そして今回の補正予算につきましては国の交付金を使用して多子世帯、あるいは高圧電力契約を行っている中小企業等への助成を追加するなど、対応策を講じてきておりますことをご理解いただければと思います。

-森尾議員
 では今回の補正予算の財源の問題について、その角度から見てみたいと思います。国の交付金によって本市が使える財源として10億円あります。さらに7億円の交付金が残っています。今回、こうした財源を活用し、市民生活と営業を守るために全力を挙げなければならないと考えます。今回の補正予算では、交付金の活用は7億7600万円にとどまりました。補正予算の規模が全体で24億円です。本市が全力で財政出動を行い、市民生活と営業を守る施策を打ち出したと言えますか。見解をうかがいます。

-村山市長
 本市では国に先んじて当初予算で財政調整基金を10億円取り崩しております。その中で、本市独自の物価高騰対策を盛り込んでおります。さらに4月の専決処分と今回の補正予算を合わせまして、国が本市に配分した地方創生臨時交付金10億円のうち、約9億4000万円を活用することとしており、市民生活の安定と地域経済の活性化に全力を尽くしているところであります。なお、国からの地方創生臨時交付金の余剰分である約7億円につきましては、今年度の事業で活用することとしております。今後の物価の推移、また国の同行を注視しつつ、時勢をとらえた必要な対策を講じてまいりたいと考えています。

-森尾議員
 国からの交付金についてはまだ残っていると。7億円もあると。全力で財源投入を行って市民生活・営業に本市が取り組まなければならないと考えます。具体的に3つの点について、伺います。まず、上下水道料金の減免についてです。小松市では、水道料金をこの9月から7か月間、ひと月の契約あたり毎月1000円を減免するとの方針を打ち出しました。本市において上下水道料金の減免実施ができないのか。まず公営企業管理者に伺います。

-松田公営企業管理者
 小松市では物価高騰対策として国の地方創生臨時交付金を充当して水道料金の減免を実施するとお聞きしております。本市におきましては市長部局において交付金を活用した様々な物価高騰対策が講じられておりますことから、ご提案のあった減免は考えておりません。

-森尾議員
 では市長に伺います。交付金、一般会計で使っちゃったというような発言でした。市長はどう考えますか。できない理由は一体何なのですか。

-村山市長
 予算が限られているという中で、効果的な物価高騰対策を講じたいという思いから、今回の補正予算の中ではとりわけ物価高騰の影響を強く受けている市民や事業者等を対象とした支援策をお諮りしているところであります。

-森尾議員
 2つ目に、医療機関等に対する支援策について伺います。県は今回の補正予算で、病院に対しては1床あたり3万円、無床診療所に対しては1施設当たり10万円の支援を打ち出しました。本市としても、独自の支援策を行う考えはありませんか。見解を伺います。

-村山市長
 石川県からは、県医師会からの要望を受けて医療機関などの病床数や施設類型に応じて光熱費上昇による影響等を算定して、本市を含む県内全域の医療機関等に対して必要な支援を実施することとしたと聞いておりますが、医療提供体制の確保は地域の実情に応じて県が行うということとなっております。本市として支援することは考えてはおりません。

-森尾議員
 3つ目に、学校給食費の無償化について伺います。県内では、小中学校を対象に完全無償化を実施している自治体は6つ、一部無償化実施している自治体が2つと、19ある県内自治体のうち4割が無償化を実施するに至っています。本市と友好都市である東京・板橋区は、今年9月から小中学校での学校給食費無償化の実施を打ち出しました。市長。こうした状況を踏まえ、本市での学校給食費無償化を実施する考えはありませんか。伺います。

-村山市長
 本市では、教育費の負担軽減や子育て支援の観点から、経済的な理由で就学が困難な場合、就学援助制度によりこれまで給食費の全額を支援してきておりますが、これに加え、昨年度に引き続き食材費の不足分を全額市で補填する学校給食費物価高騰特別対策費を今年度当初予算に計上し、保護者の経済的負担の軽減を図っているところであります。県内自治体や板橋区等の状況も承知はしておりますけれども、本市で給食無償化ということになると約19億円の恒久的な財源が必要ということで、現時点では給食費の無償化は考えておりません。

-森尾議員
 教育長に伺います。全国で広がり、県内でも広がっている学校給食費の無償化は、都市間競争の様相だという認識ですか、教育委員会は。子どもたちをめぐる生活環境や義務教育は無償との考え方に立ち、財源確保など通じて各地方自治体が学校給食費無償化に取り組んでいることについて、どのような見解でしょうか。

-野口教育長
 学校給食法におきましては、給食の実施に必要な経費のうち、保護者は人件費や施設整備費以外の費用を負担することになっておりますけれども、本市におきましてはこのうち光熱費についても負担しており、保護者のご負担は食材費のみとなっております。また経済的な理由で就学が困難な場合には、就学援助制度によりまして学校給食費の全額を支援しており、現時点で無償化については考えておりません。

-森尾議員
 学校給食法を理由に食材費の一部を保護者に負担をお願いしていると述べた問題については、先の議会でもその説明をし、教育委員会もその認識に立ったというふうに考えています。すなわち、国連教育科学文化機関であるユネスコが世界に向けて、学校給食は無償で実施するという要請をしました。しかし69年前に学校給食法が制定された当時は、国の財政事情から食材費の一部を保護者に負担をお願いしたとの歴史的経緯がありました。すでに69年経過しているんです。現在、文部科学省は学校給食費の無償化は、各自治体の判断との見解を示しています。国からも交付金活用による教育分野の負担軽減策だとしています。改めて教育長、子どもたちの健やかな成長を願う立場から、学校給食費無償化へのご努力を求めます。見解を伺います。

-野口教育長
 政府は先般閣議決定いたしましたこども未来戦略方針におきまして、学校給食費の無償化の実現に向け、取組実態や成果・課題の調査、全国ベースでの学校給食での実態調査の結果を1年以内に公表し、給食実施状況の違いや法制面等も含め課題の整理を丁寧に行い、具体的方策を検討することといたしておりますことから、その動向を今後注視してまいりたいと思います。なお、来月全国都市教育長協議会の理事会が開催されます。その会議の中では国に対しての次年度要望を審議することとなっておりますので、いくつかの自治体から学校給食費の無償化をぜひ要望に加えてほしいとの意見が出されておりますので、そうした声を聞きながら役員の一人として意見交換をしっかりやっていきたいと思っております。

-森尾議員
 質問の第三に、本市中央卸売市場の再整備事業について伺います。今年1月、再整備計画が示されました。その内容は、現施設の8割規模で現在地建て替えとし、完成・開業まで約10年という長期にわたるものです。そこで、どのような市場を新たに建設するのかという点についてまず伺います。一番の問題は安全・安心な市場機能を持つということだと思います。今日、市場全体を冷蔵庫とし、屋根が低く、コンパクトな施設。そして閉鎖型施設と温度管理施設というのが、今の市場の基本となっていると思いますが、本市の場合、どのように新しい市場の機能を考えていらっしゃるか、まず伺いたいと思います。

-山森農林水産局長
 新しい市場では、閉鎖型の施設内で商品を流通させるコールドチェーン方式を基本とし、温度管理を行いたいと考えています。しかし閉鎖型施設の内部全体の空調を行うことは整備コストやランニングコストの上昇にも繋がりますから、先進市場での事例や、市場内事業者の意見を踏まえて、品目ごとに適した温度管理をするために空間をわけるなど、より効率的な機能を検討してまいりたいと思っております。

-森尾議員
 新しく再整備する市場建設の整備スケジュールについて明らかにしてください。

-山森農林水産局長
 具体的な整備スケジュールは、今年度発注する基本設計にて検討することとしております。基本および実施設計の完了までに3年程度を要しますが、概ね令和8年度から青果棟・水産物棟・関連棟に分けて整備を行い、完成したものから順次供用開始する予定であり、できるかぎり工期を正しくできるよう努めてまいります。

-森尾議員
 新しい市場での運用開始は、青果が令和11年度、水産が令和15年度とのことです。6年後、10年後となります。事業者は、それまで経営が継続できるのか、大きな不安を抱えることとなります。一定期間、仮設での営業を余儀なくされます。この点にどのような対策を考えているのか伺います。

-山森農林水産局長
 具体的な整備スケジュールは、基本設計において検討することとしておりますが、仮設店舗での営業は、入居する事業者だけでなく買い出し人等の利用者にもご不便をおかけすることになるため、建設・引越し・取り壊しのローリング計画を綿密に立ててまいります。できる限り仮設店舗での営業機関の短縮に努め、物流動線や商品の保管場所の確保等を含めて通常の営業活動に支障が生じないよう十分に配慮してまいります。

-森尾議員
 先だって、場外関係者のアンケートは実施されたそうです。場内の事業者へのアンケートを実施する考えはないか。伺います。

-山森農林水産局長
 加工業者や飲食店等の関連棟入居者に対しまして、再整備後の入居意向について今年2月に調査を実施し、仲卸業者に対しても今年3月末に同様の調査を実施したところでございます。再整備が完了した他の市場では、合併や廃業した事業者もいると聞いています。本市場でも動向を注視する必要があると考えており、定期的に事業者に対する意向調査を実施していきたいと考えております。

-森尾議員
 この項の最後に、使用料金の問題です。新しい市場建設の事業費は約300億円との見通しが示されました。したがって、市場の利用料は数倍に跳ね上がることが考えられます。事業者にとっては、死活問題となります。本年3月に開設された姫路市の市場では、10年間の激変緩和措置が導入されました。本市はどのような対策を取られるのか。使用料の見通しとも合わせて見解を伺います。

-村山市長
 再整備後の使用料でありますけれども、まずは再整備の費用をできる限り抑えていくということ、そして維持管理費を削減する、そういったことも必要だと思います。可能な限り使用料の抑制に努めていきたいと考えております。また市場関係者からは使用料の算定に当たって据え置き期間なども設定してほしいという要望を受けております。他の市場の例も参考にしながら、今後検討してまいりたいと考えています。

-森尾議員
 他の経験からみると、新しい市場を作ってもこれまでの事業者が参入せず廃業される方が相次いでいると聞いています。場合によっては半分になると。したがって、事業者の要望や事業者が新しい市場になっても生き残れる施策を全力をあげなければならない、この認識にたって市長、ことを進めていただきたいというふうに思います。
 最後に、サッカー専用施設として建設中の金沢スタジアムについてです。今議会に建設事業費が2億4千万円追加する提案がされています。全体の事業費はどの程度なるのか明らかにしていただきたいと思います。

-坪田都市整備局長
 金沢スタジアムの建設事業費は、当初79億8千万円でございましたが、急激な資材高騰等に伴いまして2億4千万円増加し、82億2千万円となる予定でございます。なお、工事請負契約の一部変更につきましては今議会の議案として提出しているところでございます。

-森尾議員
 そうすると、金沢スタジアムの建設とともに1700台の駐車場建設事業、周辺の整備事業、現在ある市民サッカー場の解体工事、その場所に本田圭佑クライフコートとジュニアスポーツコートの移転・新築と相次ぐ建設事業が続きます。したがって、金沢スタジアムに関係する事業費は、110億円から120億円の規模が予想されます。次々に事業費が膨らんでいきます。市長、どのように市民に説明されますか。

-村山市長
 必要となる整備費につきまして、毎回議会に議案としてお諮りさせていただく予定であります。今回2.4億円増加したことについては、急激な資材高騰等によるものでございました。今後必要となるものについても、今後は駐車場や周辺整備、解体事業等が予測をされておりますので、また議会の方にお諮りさせていただく予定であります。

-森尾議員
 改めて金沢スタジアムの建設に至った経緯について伺っておきたいと思います。現在ある市民サッカー場が3000人規模、なぜ1万人規模の新たなサッカー場建設に至ったのか。県立陸上競技場が2万人規模に改修され、なぜ新たなサッカー専用スタジアムを作らなければならなかったのか。敷地内にあったジュニア用のサッカーコートを壊し、その場所に金沢スタジアムを新築するに至った経緯など、説明を求めます。

-村山市長
 J2リーグの公式戦を開催できる基準が1万人でございますので、1万人規模のスタジアムといたしました。また県の陸上競技場については、Jリーグ基準を満たしていないということ、またサッカー専用スタジアムではないということでありましたので、今回市の方でこのような整備をさせていただきました。また運動公園の中でスタジアムの建設規模を確保できる適地が現在建設中の場所でございましたので、そちらでの建設ということになりました。

-森尾議員
 敷地内にあったジュニア用のサッカーコートは4年以上使用できません。現在の市民サッカー場のある場所に移転・新築するとの方針ですが、そのスケジュールを示していただきたいと思います。

-坪田都市整備局長
 跡地におけますクライフコート等の整備の方向性につきましては、今年度基本計画を策定することとしておりまして、今後のスケジュールにつきましてはその中で明らかにしたいというふうに考えております。

-森尾議員
 新しい金沢スタジアムが果たしてサッカーファンの期待に応えた施設となるでしょうか。いくつか伺います。まず観客席は1万人で、将来には1万5千人規模を想定しているとのことです。そのため、2つあるゴールポストのうち、1つにはゴールポストの後ろ側には、観客席がありません。予定では、ここに将来5千人規模の観客席を設置するとしていますが、このことが観客の一体感を奪うことになりませんか。サッカーグラウンドを取り囲んだ観客席がスタジアムとしての一体感を作り出すのです。建設計画の際、この点での指摘もありました。見解を伺います。

-村山市長
 確かに今回の建設では、特にアウェー側のチームのゴールポストの裏のところ、そちらの観客席がありません。ただ一方で、金沢スタジアムの特徴のひとつとして、スタンドの最前列からピッチまでの距離が7~9メートルと大変近いということで、選手にとっては応援を力に変える、そのような競技環境、観客にとっては臨場感あふれる観戦環境が共存するということで、こちらによってスタジアム一体となった、あるいは選手と観客が一体となった応援ができるのではないかというように思っています。

-森尾議員
 この観客席がない場所に、大型映像音響システムを設置するとしています。しかし他の施設ではほとんど観客席の上部にこのシステムを設置します。しかも2か所設置しているスタジアムもあります。音響効果を上げるという視点だと思います。金沢スタジアムでは、仮の施設なのかしれませんが、県立競技場の2分の1と小さいうえに、観客席のない場所に設置されるため、音響効果は大きく削がれるのではないかという指摘があります。説明を求めたいと思います。

-東文化スポーツ局長
 大型映像音響装置は、利用者の高揚感、臨場感を高めるとともに、Jリーグの試合だけではなく大規模イベントにも対応可能な快適性、利便性、経済性に優れたものでございます。また大きさや高さの仕様、規格につきましても、近年整備された専用スタジアムの中では最大級でございまして、最新機能を有しており、その役割を十分に果たすものと考えてございます。

-森尾議員
 市長、県立陸上競技場が2万人規模の収容の新しい競技場に改修され、現在ホームグラウンドとして活用されています。そうした状況を踏まえて何故金沢市が金沢スタジアムを作らなければならなかったのか、これは二重行政ではないかという指摘がありますが、どうお答えされるでしょうか。

-村山市長
 県立の陸上競技場とともに市の陸上競技場があるということが前提であると思いますけれども、サッカースタジアムについては、県の方は陸上競技場で市の方はサッカー専用スタジアムということで、本来の施設の用途は異なるということであります。また県や関係団体等と情報共有を図りまして、県・市それぞれの役割について十分に協議を進めてきたところでありまして、二重行政には当たらないと考えています。

-森尾議員
 本市は、去る3月15日、金沢スタジアムの駐車場建設用地について、2筆を土地収用法に基づき、県の収用委員会に土地の補償金額について裁決請求を行いました。市民の理解を得て、公共事業を進めなければなりませんし、とりわけ土地の所有者には特段の理解とご協力をお願いしなければならないと考えます。本市はこれまでに、道路等の建設にあたって、土地収用法によって用地を取得したことはありますか。担当局長に伺います。

-坂本土木局長
 本市の道路整備における土地収用法による収用実績は2件でございます。1件目は昭和40年代に増泉地内において実施しております。また2件目は、昭和50年代に暁町地内において所有者不明の土地を取得するために実施しております。

-森尾議員
 今回は道路ではなく駐車場建設です。公共事業を進めていくといううえで、今回の対応は異例だと考えます。3月19日、県の収用委員会に裁決申請書を本市は提出しました。同時に、明渡裁決申立書を提出しました。この中で、権利取得裁決のあった日から起算して30日目としました。すなわち、裁決が行われれば用地を取得する強権的な対応を行うと。市長はなぜ、もっと話し合いによる土地取得を指示しなかったのか、伺います。

-村山市長
 この土地について、この関連でありますけれども平成10年度に当該公園が都市計画決定されたあと順次、用地買収を行ってきておりました。未買収地の今回の2筆につきましても、これまで土地所有者と交渉を重ねてきたところであります。今回は令和6年2月に予定している金沢スタジアムオープンに向けて、必要な土地であるということで、権利者に正当な補償をしたうえで土地を取得させていただくということを目的に、石川県収用委員会へ土地使用法に基づく手続きを行わせていただきました。

-森尾議員
 本市の市民運動公園の基本計画を策定し、具体的な施設建設を行ったのは令和3年3月です。それに伴って駐車場建設ということが歩みだしました。したがって、本格的にこの事業を推進するうえで、令和3年以降、地権者との話し合いが必要だったというふうに考えます。ではなぜ今の時期に土地収用法に基づいて行ったのか。これが問われるんです。歴史的にも2件しかない。そのうち1件は所有者不明だったからやったという答弁でした。一体なぜ、今回の事業にこの土地収用法まで持ち出して用地取得に及んだのか、このことが問われるんです。市長は親和力ということを打ち出しているのに、なぜ土地収用法という強権的な法の下で土地収用に至ったのですか。伺います。

-村山市長
 今、土地収用法に基づく手続きを進めているところではありますけれども、ここに至るまでの間に土地所有者と交渉を重ねてきておりました。一方で、正当な補償額からの乖離があるというところでなかなか和解まで結び付けられなかったという事情がございます。

-森尾議員
 地権者と十分話し合いを行って解決するよう求めて、終わります。

(クリックするとPDFが表示されます。)

2023年5月8日


金沢市長 村山 卓 様

日本共産党金沢市議員団
森尾 嘉昭
広田 美代
山下 明希

 去る5日午後、能登を震源とする地震が発生し、珠洲市で震度6強の強いゆれによる被害が発生しました。引き続き、余震が断続的に発生するとともに、7日には大雨に見舞われました。
 金沢市は、直ちに被害救済支援に取り組まれ、消防局から車両6台、消防職員21名、市立病院から災害派遣医療チーム、建築指導課・営繕課から応急危険度判定士、企業局から給水車などと職員3名を派遣しました。
 わが党は、6日井上さとし参議院議員、佐藤まさゆき県議会議員などが現地に入り、現場からの要望などをお聞きするなど支援活動に取り組んでいます。
 今後、市として支援活動と市民への対応について、以下要請いたします。


1 人命優先の取り組みとして、避難への要請がある場合は、優先して市営住宅などの提供を行うこと。
2 住宅などの被害に対して、危険度を判定する応急危険度判定士の派遣や、り災証明発行にかかる専門職員の派遣について、具体化すること。
3 土砂崩れや陥没対策、ごみなどの集積廃棄対策、水道などのライフラインの再建に対して専門的職員の派遣を具体化すること。
4 ブルーシートなど資材提供について要請にこたえていくこと。
5 今回の地震発生による市民から様々な不安や問い合わせがあり、本市としてしっかり対応するよう各部署に徹底すること。

以上

左から森尾議員、新保副市長、広田議員、山下議員

(クリックするとPDFが表示されます。)

 わたしは、日本共産党市議員団を代表し、議会議案第30号「知的障害者・知的障害行政の国の対応拡充を求める意見書」に反対を表明し、その理由を述べ討論いたします。

 まず、知的障がい者をめぐる制度上の課題についてです。意見書案には、「手帳の制度で、身体障がい者と精神障がい者については、法律の規定に基づき交付・運営されているが、知的障がい者については各都道府県知事等が実施要綱を定め交付・運営されている」としています。このことは、その通りです。

 一方、意見書案では「知的障がいについては、自治体により障がいの程度区分やボーダーラインに差が生じている」「自治体によって、精神障害者保健福祉手帳を交付するところ、療育手帳を交付するところ、両方を交付するところ等、対応が異なっている」として、国に対して、判定方法や基準のあり方の検討を踏まえ、知的障がい者への行政・手帳制度を国の法律において全国共通の施策として展開することを求めています。

しかし、この判定基準などの統一化については現場や専門家からも問題が指摘されています。仮に知的障害の基準をIQなど医学モデルに傾倒することになれば矛盾を生じさせます。IQと知的障害の度合い、さらには生活上の困難は一致するものではなく、IQが高くても社会的適応が難しくトラブルに巻き込まれやすい実態があることなどを重視する必要があります。こうした様々な難しさが、障害認定が画一化されてこなかった一つの要因と考えられます。

そして、障がい者の認定制度については、今般の国連障がい者権利委員会の勧告を受け、大きな変革が必要とされています。

 昨年、国連障害者権利委員会の初となる日本審査が開かれ、多くの勧告が出されました。
その中で、障がい者認定制度の基礎となっている枠組み・視点を問題としており、具体的には、日本の障がい者資格・認定制度は機能障害と能力の評価に基づく医学モデルであり、これを見直し、すべての障がい者が必要な支援を受けられるよう、人権モデルに変えることが求められています。
日本障がいフォーラムのパラレルレポートでは、日本にはニーズがあるのにサービスが受けられない「谷間の障がい」という新語があることを紹介し、機能障害の種類や診断名による除外、機能障害の程度による除外の例を示し、支援ニーズを基本とした認定制度への転換が必要だとしました。
よって、いま国に求めるべきは国連の障害者権利条約に基づき、障害者の人権を保障するための具体的施策であり、知的障害者が安心して暮らせる社会を実現するための取組を総合的に進めることであります。よって、この意見書には賛成できません。

①国民健康保険
-大桑委員
 国民健康保険についてお尋ねいたします。国民健康保険は、自助や相互扶助ではなく、人々の保障を図り、「受診する権利」「健康になる権利」等を保障するために「国民皆保険制度」の土台として整備されてきたものです。本市では2022年末で約5万5千世帯、約7万9千人が加入しています。しかし、この間の一連の制度改悪で多くの方が影響を受け怒りや不満の声が出ています。特にコロナ禍で、収入が大きく変動した自営業の方からは保険料の支払いが困難になったと、切実な声が届けられています。自宅で絵画教室や絵本の販売をしている方は「コロナ禍で生徒さんが辞めたり休んだりしたため、収入が激減した。保険料は前年所得を基に算出されるため、払いたくても払えない」とのことでした。コロナウイルスが要因で減収した世帯の方のために減免する制度がありますが、制度についてどのように周知してきましたか。そして2020年度から2022年度に適用された実績をお伺いいたします。

-松本医療保険課長
 新型コロナウイルス関連の減免制度については、全ての加入世帯に配布する納入通知書に案内チラシを同封したほか、市のホームページや新聞広報などの広報媒体を活用し、周知に努めてきております。減免の実績は、令和2年度は919件で約2億2590万円、令和3年度は338件で約5990万円、今年度は2月末現在70件で約1360万円でございます。

-大桑委員
 件数が少なくなったとはいえ、まだまだ困難な方がいらっしゃると思います。申請期限は3月31日までになっておりますので、よろしくお願いいたします。
 コロナ禍に加え物価や燃料費の高騰などで、市民の生活は苦しくなるばかりです。「保険料が高すぎる」「高くて払えない」といった切実な声が多数寄せられています。そこでお聞きします。今年度末で基金残高は31億7千万円に積みあがっています。わが党の代表質問でも取り上げましたが、令和5年度はこの一部を取り崩して保険料率を据え置くとのことですが、さらに基金を活用して保険料の引き下げを検討するべきですが、いかがでしょうか。

-高柳福祉健康局長
 本市の国民健康保険料は県から示された標準保険料率を基本としておりますけれども、現下の市民生活への影響に配慮しまして、明年度は約8億7千万円の基金の取り崩しなどを行うことによりまして据え置くこととしております。基金につきましては保険料の引き上げが必要となった場合の負担緩和の財源として効果的な活用を図っていくこととしておりまして、さらなる保険料の引き下げのために基金を活用することは考えてはおりません。

-大桑委員
 子どもの均等割に対して軽減を求める声が強くあります。国は今年度から未就学児の均等割り額を半額にしました。そのため、未就学児のいる世帯は多少保険料が安くなりますが、本来収入のない子どもから保険料を徴収することは理不尽な制度であり、子どもの年齢が上がれば子育てにかかる費用が増えていきますから、子どもの均等割りは未就学児に限定せず廃止すべきものです。18歳までの子どもの均等割りを全額廃止した場合、本市では必要な財源はいくらなのか伺います。

-松本医療保険課長
 本市では18歳までの子どもの均等割りを全額廃止した場合、約1億4500万円が必要となります。

-大桑委員
 1億4500万円、その額であれば、本市の独自の子育て支援策として18歳までの均等割り廃止は可能だと思いますが、市長の見解を伺います。

-村山市長
 子どもの均等割りなど保険料の恒久的な軽減につきましては、市町村が独自に対応するには限界がございまして、国の責任ある財政支援措置が不可欠だと考えております。子育て世帯に対する負担軽減の拡充について、引き続き全国市長会などを通じて国に働き掛けてまいりたいと考えています。

-大桑委員
 よろしくお願いいたします。
 次に、資格証明書に関連して質問いたします。資格証明書は保険料を一年以上滞納した市民に対して、保険証を取り上げ、一旦窓口での全額支払いを求めるもので、生命を脅かしています。全日本民主医療機関連合会が行った「2021年事例調査概要報告」によれば、「無保険・資格証明書・短期保険証」の方が手遅れで死亡した事例が22都道府県連で、20人いました。保険料が払えない方にとって医療費が全額自己負担になったら、体調が悪くても受診を控えてしまい、そのため重症化して命にもかかわることになりかねません。誰もがいつでも病院に行くことを保障する国民皆保険制度の趣旨に則るならば、資格証明書は廃止すべきではないでしょうか、伺います。

-高柳福祉健康局長
 本市ではこれまでも、資格証明書の交付を受けている方から医療を受ける必要があり医療費の支払いが困難であるという旨の申し出があった場合には、特例として短期被保険者証を交付するなど、本来の負担割合での医療機関への受診ができる対応をとっております。また新型コロナへの対応といたしまして、発熱症状のある方につきましては資格証明書を保険証とみなす取り扱いも行っているところです。資格証明書の交付は納付の相談や指導を行うため滞納されている方とできるだけ接触の機会を多く持つという趣旨で国民健康保険法の規定に従い保険制度の維持と負担の公平を図るという観点から実施していることをご理解いただければと思います。

-大桑委員
 事例を紹介したいと思います。50代の男性の方で母親と2人暮らしです。本人は派遣社員として働いていましたが、病気が原因で仕事を辞めざるを得なくなりました。収入がなくなったので母親の年金と貯金を切り崩して生活していました。保険料を払うことができなく無保険でした。保険証がないことは自己責任だと思いこみ、誰にも相談せず、病院にも行かなかったということです。税金や家賃も滞納しもう限界だったところ、母親が倒れ救急車で搬送されてやっと相談につながりました。市が滞納の背景にある生活実態をつかみ、相談・支援を行うことができれば、状況は変わっていたはずです。平成22年に国は「被保険者資格証明書の交付に際しての留意点等について」の通知の中で、先ほど述べられましたように「資格証発行の交付は納付相談の機会を確保するためのもので、機械的に運用を行わず、特別の事情の有無を把握するとし、文章だけでなく可能な限り接触を図り実態把握に努めるよう」通知しています。この国からの通知をどのように受け止めていますか、そして機械的に資格書を発行していないか伺います。

-松本医療保険課長
 資格証明書については、長期にわたり保険料を滞納している方に対して納付できない特別な事情の把握を適切に行って交付するよう、国の通知の留意点を踏まえ運用しております。具体的には、滞納世帯の状況を把握するため、来庁要請や催告文書の送付だけでなく、戸別訪問や電話催告も行い、可能な限り接触の機会を持つよう試み、それでもご連絡や納付の理解をいただけない場合に限りやむを得ず資格証明書の対象としており、機械的な発行は行っておりません。

-大桑委員
 保険料を納められない実態をよくつかんで、これからも支援を行う、そういう取り組みをお願いしたいと思います。
 そんな中、政府は2024年の秋をめどに、マイナ保険証導入に伴って従来の保険証を廃止するとしています。また、4月から12月までは、従来の健康保険証で受診した場合窓口負担が6円高くなるとのことです。マイナ保健証を推進するための極めて乱暴な措置ではないでしょうか。長期入院や施設入所者でマイナンバーカードの作成ができない方、また個人情報の流出を危惧してマイナンバーカードを作りたくないという方もいらっしゃいます。従来の保険証が廃止された場合そうした方はどのような対応になるのか、短期保険証と資格証明書の取り扱いもどうなるのか、併せてお聞きします。

-松本医療保険課長
 マイナンバーカードと健康保険証の一体化については、現在国で議論されているところですが、健康保険証の廃止に合わせてマイナンバーカードを持たない方については必要な保険診療等を受けられるよう、氏名・生年月日や保険者情報等を記載した資格確認証を交付することとされています。短期被保険者証と資格証明書は廃止となりますが、長期滞納者に対する取り組みとしてこれまでと同様、医療費全額を窓口で一旦支払った後で保険給付分が償還払いされる仕組みは存続する予定です。この仕組みはマイナンバーカードの取得にかかわらず適用されることとなります。

-大桑委員
 次に、マイナンバーカードを保険証として利用することで、DVや虐待等の被害者の個人情報が加害者に知られてしまうのではないかということが問題となっていますので、質問します。マイナンバーカードを使った「マイナポータル」について、加害者の支配下で暗証番号の把握、代理人設定の登録などがなされていると、病院・薬局などの利用履歴から「被害者の避難先が加害者に知られてしまう」のではないでしょうか。国会でわが党の質問に対し、大串デジタル副大臣は「カード機能の一時停止措置を行うことで情報を閲覧できなくなる」と答弁しましたが、「加害者から逃れて避難先に落ち着くまでの途上で、情報を見られてしまうこともある」と質されると、大串氏は「ご指摘の通りだ」と危険性を認めました。本市でも、そのような危険性は認識されていますか、お伺いいたします。

-松本医療保険課長
 DVの加害者がマイナンバーカードの暗証番号等により被害者が受診した医療機関等の情報を閲覧可能であることから、国において被害者からの届け出により情報提供を停止する仕組みが講じられております。本市もこれに基づいて運用しており、今後ともDV被害者を保護するため適切な対応に努めてまいります。なお、届け出が行われる前には閲覧が可能となってしまう問題については、委員が仰せの通り国会でも議論されたことから、今後の国の対応を注視していきたいと考えております。

-大桑委員
 最終的にはマイナンバーカードを一時停止すれば閲覧はできませんが、避難している中で容易にそのことができるのか。そして、できたとしても、保険証として利用できず、代わりの「資格確認書」では医療費の窓口負担が高くなります。心身ともに傷ついておられる方に冷たい仕打ちです。せめて本市においては十分配慮していただきたいと思います。

②不登校支援
-大桑委員
 次に、不登校支援についてお伺いいたします。不登校児童生徒の現状についてお聞きします。小・中・高等学校の不登校児童生徒数が急増しています。文部科学省が10月27日に公表した「令和3年度(2021年度)児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、2021年度は前年度比で5万6747人、23.7%増加し、不登校児童生徒は29万5925人にのぼります。なかでも深刻なのは、不登校児童生徒の増加が若年化していることだと専門家が指摘しています。小学校の不登校児童数は、2012年度には2万1243人だったが、2021年度には約4倍の8万1498人にまで増加しています。又、それだけではなく不登校傾向の子どもたちを合わせるとその数はさらに増えます。そこで本市の令和2年度と令和3年度の児童生徒の不登校状況について伺います。

-地下学校指導課長
 本市における不登校の状況につきましては、令和2年度は小学校で264名、中学校で526名。令和3年度は小学校で332名、中学校で632名であり、小中学校ともに増加傾向にあります。

-大桑委員
 本市も深刻な状況になっているのがわかりました。学校が子どもの居場所となり、子どもが主人公となる場所にするためには、何が必要だと考えますか。お伺いいたします。

-地下学校指導課長
 学校では、教師が児童生徒を褒め、認め、励ます指導を大切にすることを通じて、安心して過ごすことのできる雰囲気の醸成をするとともに、日々の授業や行事等においては全ての児童生徒が主体的に参加ができるように活躍の場を作っていくことが大切であります。それらを通して児童生徒の自己肯定感や自己有用感を高めていくことが不登校の未然防止にもつながると考えております。

-大桑委員
 ありがとうございます。中学1年生からずっと不登校のお子さんがいる親御さんから次のような話を伺いました。その子どもはずっと家にいるのですが、中学3年になって、高校へ行くということで、自宅で学校のプリントをし、週末は親が勉強を見るという生活をしてきました。しかし自宅での学習も限界があり、親は悩みながらも、高校受験を迎えたと言います。5教科を学んでいないため公立校を選択肢にせず、私立の高校を希望しました。不登校ということで不利になるのではないかと心配していましたが、結果合格しました。子どもは頑張って登校するといっていますが、親御さんは高校に行ってからもまた不登校になるのではないかと心配しています。不登校児童生徒はその状況も困難さも一人一人全く違います。不登校児童生徒の施策に光を当てていただきたいと思いますが、どのような取り組みを行ってきていますか。お尋ねいたします。

-地下学校指導課長
 不登校児童生徒に対しては人的支援として学校や関係機関とつながりを持てるよう、相談や仲介等の連携支援を行う心の絆サポーターの派遣や、別室登校の児童生徒への学習支援や悩み相談等を行う心と学びの支援員を派遣しております。また教員に対しては、不登校対策について見識のある専門講師を招へいし、管理職等への研修会を複数回開催するとともに、本市教育委員会で作成した不登校対策リーフレットの活用による指導の充実を図っております。加えて教育プラザでは個性や才能を伸ばす体験教室を実施するとともに、金沢市・不登校民間支援団体等連絡会を定期的に開催し、対話を通じた双方の顔が見える関係の構築に取り組んでいるところでございます。

-大桑委員
 不登校対策として石川県は別室登校の児童生徒に選任教員を配置するとしていますが、本市では何校に適用され、何人の児童生徒に選任教員を配置するのでしょうか。

-中村学校職員課長
 来年度、石川県教育委員会が不登校児童生徒の別室登校対策として県内10校に1人ずつの専任教員を置くということは承知しております。現在石川県教育委員会からの教員の異動を含めた内示はまだなく、本市の学校への配置の有無についてはまだ未定であります。

-大桑委員
 国が示す「不登校児童生徒への支援の在り方について」によれば、「不登校児童生徒が多く在籍する学校については教員の加配等、人的配置に努める必要がある」とされていますが、現在本市における不登校の児童生徒に対応できる加配教員の現状についてお伺いいたします。

-中村学校職員課長
 不登校児童生徒対策だけに特化した加配ではないですが、これまでも石川県教育委員会からは本市にもいじめ・不登校や問題行動への対応など、生徒指導の充実を図るために必要と思われる学校に児童生徒支援の加配教員を配置していただいているところでございます。令和4年度では小学校で16校、中学校で13校に配置されております。

-大桑委員
 先ほどのお答えの中にも教育プラザのお話がありましたけれども、もう少し詳しくお聞きしたいと思います。本市としても、教育プラザで不登校支援を行っているとのことですが、その内容や取り組みについてお聞きします。併せて、利用にあたってどのような配慮をしているのかお伺いしたいと思います。

-熊谷学校教育センター所長
 児童生徒の個々の状態や興味関心に応じて個別支援を行う「そだちPersonal」につきましては教育プラザ富樫と教育プラザ此花で、小集団の中で学習やスポーツ等を行う「そだちFriendship」につきましては教育プラザ富樫で行っております。利用にあたりましては保護者が抱える不安や困難に寄り添った相談支援を行うとともに、社会的自立に向けて児童生徒自らが適切な援助を求めることや周囲の大人に相談することができる力を育てる等、専門的な視点で対応しております。

-大桑委員
 ありがとうございます。教育プラザ富樫を利用した方が、やはり丁寧に個別に対応していただいたと、ただ時間が短くて、もう少し利用ができればというお話も伺っております。また不登校児童生徒について、学校復帰を前提とせず、学校以外の多様な学びの場もきちんと位置付けるようにと文科省の通知で出されています。私の暮らす地域では、誰でも参加できる子どもの居場所があります。学校になじめずに行き場がなかったり、コロナをきっかけにして学校に行けなくなったりという児童も来ていました。ここに通ううちに友人ができ、学校に行けるようになった子もいる、というお話も伺いました。このように受け入れている地域の子どもの居場所などがどのような役割を果たしていると考えますか、お伺いいたします。先ほどの質問にもありましたが、併せてこうした学校以外の場と学校との連携についてどのように考えているのか、教育長にお伺いいたします。

-野口教育長
 大桑委員からこの質問をお受けしたときに、先ほど地下課長が触れましたが、金沢市・不登校民間支援団体等連絡会のときのやり取りとか、それからもう一つは、何年か前になりますけれどもフリースクールに通っているお子さんと話したときのことを思い出しました。不登校の児童生徒にとりましては、学校以外の居場所を見出すということは家から出て人とのかかわりを持ったり家の中ではできない活動を行ったりすることができる貴重な場でありまして、フリースクールや地域の子どもの居場所などは将来の社会的自立に向けて重要な役割を持っていると思っております。また学校がフリースクール等の学校以外の場と連携することは、不登校児童生徒の多様な状況に対応したきめ細かい支援を行うことに繋がり、ひいては学校も学校以外の場も児童生徒が安心して過ごせる場になるのではないかと考えております。
 

③市営住宅について
-大桑委員
 市営住宅についてお伺いしたいと思います。本市には耐震化が不足する市営住宅が14棟あると指摘されています。未耐震物件に居住している住民の安心・安全を確保するため住み替え等を推進されていますが、市営住宅の耐震化の進捗状況についてお伺いします。

-木越市営住宅課長
 市営住宅の耐震化の進捗状況についてですが、平成28年3月末時点で14棟あった未耐震住棟のうち、緑住宅の耐震建替え事業により、現在まで7棟の解体が完了しております。そのうち2棟は耐震基準を満たした住棟に建て替えたところであります。令和5年度においては3棟目の建設事業に着手する予定でおります。残る7棟につきましては順次住み替えを進め、令和13年度末には全ての住棟が耐震基準を満たす予定であります。

-大桑委員
 又、市営住宅では空き室も目立ちます。応募したくても風呂釜や給湯器もない所に、入居希望者がいないことが原因です。来年度は上荒屋市営住宅10戸に風呂釜など整備をされる予算がついていますが、風呂が整備されれば入居希望者も増え空き室の削減にもなります。空き室の改善を含め早急な風呂の整備を求めますがいかがでしょうか。

-木越市営住宅課長
 令和5年度の浴室改善事業として上荒屋住宅10戸のほか、緑住宅のバリアフリー化改善工事で浴室の整備を28戸予定しております。あわせて38戸の改善をする予定になっております。さらに令和7年完成予定の緑住宅第5期事業において、37戸が整備される予定であります。今後も市営住宅の住環境向上のため、浴室の整備を進めていきたいと考えております。

-大桑委員
 高齢化が進む中、コミュニティの醸成が大切になっています。コロナ禍にあってさまざまな行事が中止になり、孤立する高齢者、子育て世帯も多くなっています。市営住宅内の集会所の耐震化を行い防災拠点としての役割を担うとしています。集会所が地域のコミュニティの場としてますます利用できるのではないかと思います。そこで住宅の共用部分や集会所の清掃等の日常管理は入居者の共同組織にゆだね、入居者と本市との協働による施設管理を推進するとなっていますが、特に集会所をコミュニティの場として、高齢化に伴う支援を集会所を活用してどう支援していくのか、お伺いします。

-坪田都市整備局長
 住民のコミュニティ活性化に資するため、集会所の利用につきましては柔軟な運用が可能となりますよう管理運営を住民で組織されました団体にお願いしているところでありまして、現在こども食堂や日本語教室等にご活用いただいているところでございます。また本市ではトイレの改修や手すりの設置など集会所の利便性の向上につながる施設の整備を行うこととしておりまして、今後も市営住宅内のコミュニティの活性化が図られるようサポートしていきたいというように考えております。

-大桑委員
 組織改編についてです。市営住宅課の名称を変えようとしていると。早速このことを知った市営住宅の町会長は怒りに震えています。住民には何の相談もなく市営住宅課の名称をなくすことは大きな問題です。その名前をなくす、そこに至った理由、経緯をお聞きします。

-佐野デジタル行政戦略課長
 今年度策定いたしました第4次金沢市住生活基本計画の理念でもあります、誰もが住みたい・住み続けたいと思える住生活の実現に向けまして、市営住宅を含めた本市の住環境に関する各種施策を一体的に推進するため、今回の計画の策定を機に住宅に関連いたします住宅政策課、それから市営住宅課の二つの課を住宅政策課に再編したものです。

-大桑委員
 市営住宅課がこれまで住民の方のいろんな小さな声に耳を傾け、細やかな対応をしてきました。住宅の維持管理、住民の苦情、これまで通りきめ細やかな対応を行ってもらえるのか、みなさんが心配する所ですがいかがでしょうか。
 それと同時に、今市営住宅は固有の政策と課題があります。最近では高齢化、貧困問題、外国人が多いなど課題が増えています。これからも市営住宅の果たす役割は大きいはずです。歴史があり、住民が頼りにしてきた「市営住宅課」。その名前をなくすることはやめるべきと考えますがいかがでしょうか。

-佐野デジタル行政戦略課長
 今回の再編によりまして、入居者の受付、施設管理体制、そういったものは変わるものではありませんので、再編後の住宅政策課におきましてもこれまで同様きめ細やかな対応に心がけてまいります。また住宅政策課の窓口は今の市営住宅課と同じ場所に配置します。市民に混乱が生じないよう、入居者への周知、それから市役所の案内サイン、これにも十分配慮してまいります。先ほど申し上げました通り、市営住宅課も含めた住環境の各種施策を一体的に推進する体制として住宅政策課はふさわしい課名と考えております。

-大桑委員
 市長においては、今後も公営住宅法に基づきまして市営住宅の運営に当たっていただきたいと思います。よろしくお願いします。

道路除排雪について

-広田議員

 日本共産党金沢市議員団の一員として以下質問いたします。

 まずは、道路の除排雪について伺います。市職員や委託業者のみなさんには、今シーズンも昼夜問わず業務を遂行していただき、本当に感謝しています。市民のみなさんからも、出動基準など変更後、「早く入るようになった」と改善を喜ぶお声が届いています。しかし、やはり除雪が足りないんです。それは、職員・業者さんの力量とかではなく、除雪計画路線が本市では4割にとどまっている現状があるからです。しかも第3次路線は、位置づけられてから一度も除雪されていないため、実質4割に満たない状況です。1次路線、2次路線並みの除雪範囲をもっと増やしてほしいというのが市民の悲願です。

 さらに道路法第42条では、本市は道路管理者として市道全体を良好に保つ責任を負っており、2021年の3月議会で山野前市長もそれを認めています。ただ、現実問題があるとされてきました。それは、12月議会の答弁でもあった「除雪委託業者やオペレーターなどには限りがあるので、大幅に除雪路線を拡大することは困難」というものです。しかし市民の側にも現実問題があります。それは高齢化や空き家の増加などで「地域の除雪力が落ちている」ということです。市長、まずはこの点の共通認識はありますか。

-村山市長

 高齢化や空き家の増加などによりまして、自助や共助による除雪作業が困難な地域が増えていることは、様々なご要望もいただいているところでもございますが、私としても十分認識しているところであります。一方で、市民・事業者・行政の連携・共同による除排雪計画という考え方を基本とする中、平成30年度から本年度までに新たに様々な除雪計画の改定を行ってまいりました。地域除排雪活動費補助の新設、除雪機械等購入費補助などの拡充、また除雪作業の出動基準や雪害対策本部の設置基準の見直しなどに取り組んできております。これからも市民総ぐるみで除雪にご協力いただけるよう取り組みを進めてまいりたいと考えています。

-広田議員

 地域除排雪活動費補助とか、大変助かっているんですけれども、例えば今シーズンでも15%の町会の利用なんですね。まだまだやはり行政の側に責任があります。そして「地域の除雪力が落ちていることは認識している」ということもありましたので、法的にも市民の実態からみても、行政が取り組まなければならないということだという確認ができたわけです。

 そこで、行政側の現実問題です。除雪が4割にとどまる理由として、除雪委託業者・オペレーターに限りがある、さらに最近では、除雪機械がピークの40年前から半減しているということも理由にされています。しかし、このような減少は全国的な課題なんです。それでも他都市はやれているのになぜ本市はできないのかと思うわけです。現在本市の委託業者は193社 除雪機械は936台、ダンプやトラックを除くと723台です。一方、市道延長がほぼ同じ福井市の委託業者は、業者250社、除雪機械は525台で、市道の83.8%をカバーしています。本市は福井市に比べおよそ1.4倍も機械を確保しているのに、なぜ4割の除雪にとどまるのか。わたしは福井のやり方と比べ、業者と機械の確保、活用の仕方が違うのではないかと考えます。調べてみました。福井市は3パターンで業者・機械を確保しています。①市所有の除雪ドーザなどの機械61台を業者さんに貸し出す、②市がリースした機械126台を業者さんに貸し出す、③除雪業者さんの機械338台を借り上げておいて貸すというものです。そして除雪に対する稼働費、さらに待機手当というものも出ています。本市と大きく違うのは、福井市は525台すべて一時的に市が管理し、市道の除雪に最優先であたらせていること、そして待機手当が出ることです。そこで質問ですが、本市は路線を拡大するために業者の掘り起こしをしているとしてます。いろんな業者さんのお声をお聞きしているかと思いますが、参加しない業者さんの理由をあきらかにしてください。

-坂本土木局長

 除雪機械とオペレータを有する業者が市道除雪に参加できない主な理由としましては、まずは市道除雪の体制を整えるには深夜・休日を問わずの作業で時間的制約があり人員の確保が困難であることのほか、作業に当たっては除雪に伴う住民対応など社会的責任が重いことなどが挙げられております。加えて、隣接する民家や、路上のマンホール鉄蓋や、防音策等に細心の注意を払って安全を確保する必要があるなど、相応の技術力が要求されるため参加できない業者もいると聞いています。

-広田議員

 とても複雑で体制も整えなければならない、そして責任が大変重いということも挙げられました。これだけ責任が重いのに割にあわないということなのではないかと思うんです。福井市のように待機手当など、経費をもっと増額してはいかがでしょうか。 

-坂本土木局長

 本市における除雪作業の実情といたしましては、多くの除雪業者が事業所や車両基地の近隣路線を受け持っていること、また除雪業者の自主出動の1次路線と、2次路線や3次路線を受託しており、1次路線の作業時もしくは作業終了後速やかに2次路線など順次作業を行っております。このことから本市では除雪業者への待機指示は行っておらず、待機手当を計上することは難しいと考えております。

-広田議員

 自主出動となっているので待機手当は出ていない、ただパトロールをして確認をしに行くわけです。けれども除雪につながらないときもあると聞いています。ぜひ今、福井市の例も出しましたし、待機手当などの検討を求めておきます。

 つぎに貸し出しの件です。(本市が)2018年度に行った除雪業者へのアンケートで、「機械の貸し出しがあれば、除雪路線を増やせる」という回答が33%、およそ30社もあったわけです。福井市のように、市が除雪機械を貸し出すことで、既存の除雪業者の路線拡大もできますし、新規の業者の参入も図れるのではないでしょうか。貸し出しという方法をもっと増やす検討をするべきだと思いますがいかがでしょうか。

-坂本土木局長

 本市では歩道除雪機械や除雪ロータリー車など34台を保有しておりまして、このうち27台をすでに除雪事業者へ貸し出しております。除雪機械につきましては、機械保有に伴う除雪事業者の負担軽減を図るため、固定費契約制度を設けるなど、取り組みを行ってきました。今後とも可能な限り市所有の除雪機械の貸し出しを行っていきたいと考えております。

-広田議員

 福井市は先ほども言いました通り61台の市所有と126台のリース、あわせて187台も民間に貸しているわけです。市は先ほど歩道の除雪に使うものを中心に27台貸し出しているということなので、やはりよく使う道路に対して使う機種をもっと増やして貸し出すべきだと考えますが、その点いかがでしょうか。

-坂本土木局長

 それぞれ地域的な環境・条件もあると思われます。特に金沢市の場合は道路がやはり狭い、それと2次路線になりますと排雪作業というものも必要になってきます。そういったいろいろな条件を勘案しながら、それぞれの請負業者が責任をもって機械を管理してやっていただくということが、やはり機械の故障があったときの対応であるとか、そういったものに委託業者が対応できると考えておりますので、可能な限りという回答をさせていただきました。

-広田議員

 引き続き求めておきますけれども、一方で業者の負担というところではオペレータの数が足りないということで、市としては新年度予算案でオペレータの資格取得について予算が出されました。これについてぜひ取り組んでいただきたいと思うんです。誰を対象に、年間何名ずつ増やしていく計画があるのかあきらかにしてください。

-坂本土木局長

 明年度の予算といたしまして今議会でお諮りする除雪オペレータの育成支援につきましては、除雪機械の操作に必要な大型特殊免許等の取得や、作業機械ごとの技能講習を受講する従業員を支援するものでございまして、本市の除雪事業を受託予定の事業者に対してその費用の一部を補助するものと考えております。年間10名程度、今後10年で約100名の新規オペレータの育成を目標としております。

-広田議員

 今後10年で100名ということですが、もし応募がたくさんあった場合はどんどん増やして除雪拡充に貢献をしていただきたいと思います。そうして除雪業者、除雪機械、オペレーターの確保に、本市が一丸となって取り組んでいただきたいと思います。めざすは市道認定した道路は歩道も含めて全てやりきるということを最終目標に、オペレータのように計画的に除雪路線を拡大していくことを求めますが、市長いかがですか。

-坂本土木局長

 仰せの全路線ということでございますが、市道の延長約2200kmのすべてを除雪路線とすることは困難であると考えております。本市では市民・事業者・行政の連携・共同による除雪計画を基本としておりまして、市民のみなさまにも除雪にご協力をいただけるよう働きかけております。しかしながら地域からの除雪に対するニーズも変化しております。今後とも事業者の掘り起こしやオペレータの育成の支援を行うなど、除雪体制の強化に努めてまいります。

-広田議員

 最終目標を言ったまでで、法的責任はやはり全てやりきるというところにあると思いますが、先ほどオペレータの順次拡大であるとか機械の確保の工夫や業者の工夫を含めて、計画的に路線を増やしていくということをやってほしいということです。今のご答弁通り拡大していくという意気込みだったと思うので、よろしくお願いします。そして先ほども言った60cm積もらないと入らない第3次路線です。これ52kmなんですよね。ぜひこれはすぐにでも2次路線に格上げするなど出動時の基準を見直す検討ができないか伺います。

-坂本土木局長

 繰り返しの答弁になりますが、除雪委託業者やオペレータなどに限りがございます。現状では大幅な除雪路線の拡大や除雪出動基準の見直しを早急に行うことは困難であると考えております。ご理解願います。まずは除雪業者とオペレータの確保に努めていきたいと考えております。今後も市民の生活環境の変化に合わせ、除雪路線や除雪体制の見直しを検討していくなど、本市の除雪体制の強化に努めていきます。

-広田議員

 こちらも何度も言いますけれども、他都市はもう7割とか8割、同じ豪雪都市北陸で積雪区分2級で、やり遂げているんですよね。これは別に業者さんの責任ではなくやはり行政がどのようにその仕組みを作るかという問題だと思うので、先ほども私は具体的に例示をしましたので、ぜひ調査検討をして拡大を求めておきたいと思います。

 さいごに、土木局の職員数が足りていないのではないですか。雪が降ると夜遅くまで残って市民からの連絡を受けたり、パトロールしたり、業者への対応をしています。しかも冬季だけでなく、年中要望が多いと聞いています。そして今いろんな災害が多いですけれども、大概出動を迫られています。このままだと委託業者増強や計画路線拡大にも対応できないのではないかと危惧しています。そして、これは総務常任委員会でも明らかにしましたが、行革で土木管理事務所の職員が中心に減らされて、中核市で少ない方だという事実もあり、昨年の委員会の答弁でも検討・精査していくとありました。除雪計画拡充のためにも、土木局の職員を増員し、技能職の退職者不補充はやめるよう求めますがいかがですか。

-松田総務局長

 土木局につきましては、中心となる技術職の職員を毎年度増員しておりまして、事業量の変化を勘案して新年度も2名の増員を予定しております。これまでも除雪作業だけでなく全ての部局で業務量に応じ必要な人員を配置してきておりまして、今後とも中期人事計画に基づき計画的で適正な職員配置に心がけていきたいと考えております。なお、技能労務職員の従事する業務につきましては、民間活力の導入を図り良質な公共サービスを提供するため、随時外部委託化を進めているところであり、職員組合と合意の上、退職者不補充を基本としておりますことから、新たな雇用は考えておりません。

-広田議員

 民間ではオペレータも足りないし業者も大変なわけでしょう。民間委託できないじゃないですか。だからこそ市としてちゃんと技能職を育てないといけないという視点で言っているんですね。改めて、土木局の職員、特に技能職を中心に増員を求めて次にまいります。

子どもの医療費助成について

-広田議員

 子どもの医療費助成について伺います。県内では、金沢市以外全ての市・町がこの4月から子どもの医療費助成は対象が18歳まで、窓口も完全無料になります。一方で本市は新年度予算案で、入院につき18歳まで対象拡大し、窓口負担もなくしました。そしてひとり親家庭は子どもの窓口負担について外来・入院いずれもなくすというものです。まずは市民と議会の声にもとづき拡充されたことについては評価したいと思いますが、子ども医療費助成の外来についてはなぜ、踏み切らなかったのか、教えてください。

-村山市長

 子育て支援医療費助成につきましては、これまでも子育て支援の重点施策として予算の選択と集中による施策の重点化を図っていく中で順次、対象年齢の拡大などを行ってきた経緯がございます。今回は県が補助金の対象年齢等を拡大したことを踏まえて、医療費以外にも費用がかかる入院について対象年齢を拡大するとともに自己負担を無料化したものであります。

-広田議員

 それは県が対象を増やしたことで市としては8500万円ほど負担が減ったので、その財源ぐらいで充ててきたという意味と理解してよいのでしょうか。

 もうひとつお聞きしたいのは、外来というのは子どもたちが日ごろから多く利用し、命と健康をつないでいます。外来での無償化の必要性についてはどう考えるのですか?

-村山市長

 今般の県の対象年齢拡大に伴う7900万円について、おっしゃる通りそこの財源があったということで対象年齢を拡大、また入院についての自己負担無料化を行ったものでありますけれども、今回は医療費以外にも費用がかかるということで入院に対して対象年齢を拡大するとともに自己負担を無料化させていただきました。子育て支援という施策については本市において重点施策であると考えております。一方で総合的に行う必要があると考えておりまして、この入院分の年齢拡大のほか、ひとり親家庭等の医療助成費の子どもの自己負担分の無料化、乳幼児の予防接種助成費、かなざわ子育てすまいるクーポン事業費など、子育て支援の拡充に努めたというところであります。

-広田議員

 子育て施策全般に使わなければいけないという考えなのかもしれませんけれども、繰り返しになりますが、県内見ますと金沢市以外は全て18歳まで、入院も外来ももう無料になるわけですよね。中核市でありながら財政規模が一番大きい金沢市がなぜできないのかと、それは市民も思うわけです。算定しますと外来で実施するにはあと5億5千万円くらいですか、その予算をなんとかやり繰りできないのか。市民は今、物価高騰でなんとかやり繰りしているんですよね。ぜひこの政治の側でやり繰りするよう求めておきたいと思います。 

保育について

―広田議員

 次に保育について伺います。これまでも現場のみなさんとともに、配置基準の引き上げや処遇改善を求めてきました。今回、統合保育での加配は現場の声に応えたものだと思います。しかし今全国的な課題は、全体の配置基準引き上げをどうするのか。子育て異次元の対策だといいながら、国は新年度予算案ではこの配置基準の引き上げはしませんでした。ただ5歳児クラスでの加配制度を予算化しました。しかし本市でいうと2園分、保育士は2人分と大変狭き門です。これは対象が保育定員121人以上で、保育士の平均経験年数が12年以上というとても厳しい要件があるためです。子ども予算倍増と言いながらこんな状況であることに怒り心頭ですけれども、ぜひともこの、そもそも戦後ほぼ変わっていない配置基準をすぐにでも引き上げるべきだと考えます。現在の国の配置基準が決められたのは1・2歳児が56年前、4・5歳児が75年前です。3~5歳児では、OECDの調査国・地域で最低基準。イギリスは3~4歳児では8人に保育士1人、日本は4歳児30人に保育士1人です。けががないようにするのが精いっぱいで、子どもたちひとりひとりに向き合えない、という現場の声があります。0歳児については、子ども3人に保育士1人ですが、片時も目が離せないのに、保育士1人ではトイレもいけない。災害時逃げるとき、両腕に1人ずつ抱えても、もう1人どうするのかということに災害訓練で直面しているんですよ。市長、戦後変わらない国の配置基準を引き上げるよう、国に求めるべきだと考えますがいかがですか。

-村山市長

 保育士の配置基準の見直しにつきましては、保育士の勤務条件の緩和や業務負担の軽減を図るためとして、全国市長会等を通じて国に働き掛けをしております。なお、国におきましては配置基準の見直しを議論すると聞いておりますので、その動向を注視してまいりたいと考えています。

-広田議員

 全国市長会を通じてということは市長も求めているということになりますので、ぜひ頑張ってください。情操教育という予算がでましたけれども、これやりたくてもその段取りをする保育士がいないわけですね。ぜひとも頑張っていただきたいと思います。

 そして、市も独自で引き上げを行っています。ほとんどの全国自治体は独自で上乗せをしているんです。ただ、市も答弁で加配していると言ってきましたけれども、もうだいぶ年数が経っているということが明らかになりました。5歳児については平成26年から上乗せされていますが、3歳児は平成元年、1・4歳児は昭和40年代後半にしたまま変わっていません。もう50年も経っているんです。本市独自の配置基準も引き上げるべきではないですか。

-村山市長

 先ほど議員がご指摘の通り、これまでも独自で国基準を上回る保育士の配置を行ってきております。配置基準を見直すことは考えてはおりませんけれども、先ほど申し上げた通り、国が配置基準の見直しの議論を始めていますので、まずはその動向を注視してまいりたいと考えております。またこちらもご指摘いただきました統合保育への支援制度については大幅な拡充をお諮りしているところであります。お認めいただければ、まずはこちらから取り組んでまいりたいと考えています。

-広田議員

 統合保育はぜひ頑張っていただきたいと思います。

 しかし一方で保育士の確保が難しいという状況もあります。やはり処遇改善と労働条件が良くならないと保育士は、みなさん思いはあっても生活がありますから、増えないんです。特に賃金は、昨年2月から月額9千円の引き上げが国実施で行われていますが、元々全産業平均と比べ、月額9万円の差があるとされているので、まだまだ足りないんですね。公定価格を引き上げるなど抜本的な賃上げが必要と考えますが見解を伺います。

-村山市長

 全産業平均との月額9万円の差というデータの確認ができていませんけれども、年齢構成による差なども影響しているのかなというようには思っています。一方で保育士の確保のため、さらなる処遇改善は必要であると考えております。公定価格における基本分の単価、あるいは処遇改善等の加算について、地域の実情を踏まえた十分な財政支援をするように、全国市長会からも国に要望しているところでございます。

-広田議員

 処遇改善が必要であるというふうに市長も考えていらっしゃるので、ぜひ国に求めると同時に本市の方でも検討していただくように求めます。

 さいごに保育料について伺います。25年連続据え置きと誇らしげにおっしゃっていますが、この日本ではずっと給料があがらない中、消費税は上がり続け、物価も高騰し保育料の負担は子育て世帯に重くのしかかっています。特に本市は、中部地方で比べると年収300万円の世帯における保育料が月額39500円、年間およそ48万と最も高いというデータもあります。年収に見合った保育料にするためにも引き下げが必要ですし、どの子どもにも保育を保障するという意味では、保育料無償化の検討もはじめるべきです。本市も0から2歳児の保育料無償化、引き下げの検討を行うべきではないですか?

-村山市長

 議員がご指摘の通り、賃金があまり上がっていないという中ではありますけれども、保育士の人件費の増加あるいは物価高騰などがあったとしても、全ての階層区分の保育料について国の徴収基準額よりも低く設定しております。またその上昇がある中でも25年間据え置いているということをご理解いただければと思います。

-広田議員

 国の上限は異常な高さですから、それは参考にされない方がよいと思います。結局、人件費が上がったり物価高騰でも据え置きしてきたというのは、これはやり繰りをされてきたということだと思うんです。そこはもっと重点を置いてやり繰りしてほしい、保育料無償化に向けての検討を求めて、次にいきます。

学童保育について

―広田議員

 つぎに放課後児童クラブ、いわゆる学童保育についてです。労務管理支援の予算案が新たに計上されました。これは現場からのお声に応えるものと受け止めますが、この予算の意義と今後の展開があれば教えてください。

-藤木こども未来局長

 令和2年度から3年間に限り実施をしてきました会計事務と労務管理等の業務支援加算の成果、こちらを踏まえまして、児童と接する時間の確保、それから指導員の労働環境の改善、こちらを目的に行ったものですが、一定の成果を見ることができました。今回、加算単価を見直しまして継続的に支援することとしたものでございます。各説明会等を通じまして制度周知することで利用につなげていきたいと考えております。

-広田議員

 継続的支援になったと、ただ単価がまだ満額ほどは出ていませんので、ぜひその件も含めて検討をしていただきたいと思います。

 ところが、指導員の処遇改善については今回予算化がないのですが、やはり今後も引き上げに向けて取り組んでいただきたいと思いますがいかがですか。

-村山市長

 放課後児童クラブは児童の健全な育成と子育ての支援に資する子供の居場所として大切な場所であると認識しております。またそこで働く指導員の方々の役割はさらにとても重要であると思います。市としてはこれまでも独自で職員の有給取得や賃金引上げにかかる処遇改善を行ってきております。引き続き関係者のご意見をお聞きしながら必要な支援に努めてまいりたいと考えております。

-広田議員

 新年度予算ではありませんでしたけれども、補正予算などで今後も引き上げを求めていきたいと思います。

 次に、学童保育が足りないことでの影響についてです。最近、市の委託する学童保育ではなく、塾などで預かりを行っているような施設を利用しているというケースをよく耳にします。その中で、できれば行政が責任をもつ学童保育に通いたいけれどいっぱいで入れない。また、施設側が学童保育と標ぼうしているので区別がつかないとも聞きます。そして今週、そうした施設で職員が子どもに不適切な行為を行ったというニュースもありました。まず、この「預かりもあわせて行っている施設」について市民の利用実態については把握されていますか。またこうした施設についてなにか対応をしているのか、伺います。

-藤木こども未来局長

 まず学習塾などを兼ねました児童の預かりを行っている施設でございます。こちらはあることは承知しているのですが、国が定める放課後児童クラブというものではございません。届け出義務もございません。ということから、本市として数や内容ということについては把握できていないということになっております。

 また先日報道があった施設についてのお尋ねですけれども、こちらも国が定める放課後児童クラブではございませんが、情報提供がございましたことから、先月子供を預かる施設として不適切なことがないように、施設に対して注意喚起を行ったことでございます。

-広田議員

 市の監督権限が及ばないということはわかりましたが、このように市民のお子さんに影響が出ている以上、今後も実態把握やご相談への対応はしっかりやっていただきたいと思いますし、市の委託する学童保育とは違うのだという周知も必要と考えますがいかがですか。

-藤木こども未来局長

 今のお話ですけれども、近く市のホームページなどを通じまして市が委託している児童クラブと、学習塾などで子供の預かりを行っている施設との違いにつきまして、またその利用にあたっての注意点なども含めまして、周知をするということを考えております。

-広田議員

 ホームページに記載がされるということで、保護者の皆さんも大変助かると思います。よろしくお願いします。

 そして今述べた影響は、根本的には本市の学童保育が足りないことに原因があると思います。本市は、子育て夢プランで「量の見込み」を立てて確保していると言いますが、その算出方法は、「今後の推計児童数と過去3年間の利用人数の伸び率」としています。しかし、この利用人数とは入所できた子どもの数です。よって、多くの待機児がいたとしても反映できません。そして、そもそも本市の待機児調査は正確ではありません。よって、市の見込み量と実態には大きな乖離があると私は考えています。ニーズを正確に把握するため、利用意向調査など行うべきと考えますがいかがでしょうか。

-藤木こども未来局長

 放課後児童クラブの利用を希望する児童につきましては、各運営主体が行います入所説明会などを通じましてまずは把握をしているというのが実態でございます。その他、金沢子育て夢プランの策定にあたりまして、就学前の児童の保護者や小学生の保護者、いずれにも小学校入学後の放課後の時間を過ごさせたい場所ということでニーズ調査を行っているものでございます。こういったことを参考に、また今後もしていきたいと思っています。

-広田議員

 その、放課後過ごしたい場所のアンケートは今初めて聞いたんですけれども、今まではそれは量の見込みに入れていなかったんだけれどもそれを参考にするということでよいですか?

※知っていたアンケートだったが、ほかのものと勘違いしてしまいました。

-藤木こども未来局長

 こういったニーズ調査につきましては非常に大事だと思っていますので、今後もこう言った調査を通しまして様々な現場のご意見も参考にしていきたいと思っています。

-広田議員

 低学年しか入れないという学童保育はいくつもあって、待機児がたくさんいるというのは明らかなので、今ニーズ調査を元にして行うとおっしゃったので、ぜひその通り行い、そしてそれを元にした整備計画を立てていくように求めて次に行きたいと思います。

ふれあい入浴と千寿閣の入浴料値上げについて

―広田議員

 さいごに、ふれあい入浴と千寿閣の入浴料値上げについて伺います。まずはこのふれあい入浴、大変市民の皆さんから利用されていると思いますが、この事業目的について教えてください。

-高柳福祉健康局長

 ふれあい入浴補助事業は、公衆浴場の利用によりまして高齢者の健康増進と社会との交流による孤立化の予防を図るとともに、一般公衆浴場施設の活性化を目的としています。

-広田議員

 高齢者の生きがいや孤立化を防ぐ、そして地域の銭湯を守るという意義もあるということですよね。大変大切な事業だと思います。であるのにもかかわらず、県の公衆浴場入浴料の改定に伴い、今回自己負担を150円から160円へを値上げするということが予算案に出ているんですよね。本当にとんでもないことだと思っています。千寿閣についても同じく60歳以上にそうなります。昨年度の実績ではふれあい入浴でおよそ30万件の利用、千寿閣で12000件の利用ということで、310万円、市の高齢者への気持ちがあれば、値上げしなくて済むというふうに感じたんですけれども、なぜそういう発想にならなかったのか、値上げしないように求めますけれどもいかがでしょうか。

-村山市長

 今回の公衆浴場の入浴料金改定に伴って、利用者負担を増額するだけではなくて、市から公衆浴場に対する委託料も増額となります。この事業を実施していくためには応分の利用者負担をお願いしなければならないということをご理解いただければと思います。今回の入浴料金はその県の決定を受けたものでありますけれども、これまでと同様利用者負担をお願いするものであります。

-広田議員

 一方、数百億かかる歌劇座建替えや日銀跡地の検討ばかり言っていますけれども、たった300万円じゃないですか。ふれあい入浴を値上げしないように使ってください。そのことを求めて、終わります。

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