市営住宅について
能登地震被災者の受け入れについて
-広田議員
質問の機会を得ましたので、共産党市議員団の一員として質問いたします。
まずは市営住宅について伺います。住まいは基本的生存権の土台であり、能登半島地震を通し、安心して豊かに住める環境がどれほど大切か痛感しています。
まずは、能登被災者受け入れについて伺います。金沢市では80戸を用意し、現在35戸に被災者の方が住まわれています。大変重要な役割を果たしていますが、目的外利用として原則1年の入居となっています。しかし、1月4日に国から「被災者の実情に照らし、適切な入居期限とすること」と連絡が来ており、県もそのように行う方針だそうです。本市でも被災者の実情にあわせ、状況に応じて更新をするよう求めますがいかがでしょうか。
-高木都市整備局長
地震により被災された方に応急的な住宅として一時的に使用を認めているものでございまして、使用期間の延長につきましては国や県と協議したうえで検討していきたいと考えております。
-広田議員
もう県の方ではホームページに「状況により延長する」と最初から書かれていますので、ぜひ「延長する」というふうに言明していただけると被災者も安心すると思います。市長、いかがですか。
-村山市長
使用期限の延長につきまして、前向きに検討していきたいというように思いますが、その際、国や県と協議して、検討したいと存じます。
-広田議員
前向きに、いち早くお願いいたします。
現状と今後の整備方針について
この地震で金沢市民からも市営住宅についてお声がありました。お住いの高齢者からは「耐震性がありひとりで逃げられないけど安心だった」と、若い方からは「ローンを組んで家を買っても被害にあったらほとんど補償もない。安全な公営住宅に住みたい」など公営住宅の評価が上がっています。また、実質賃金が下がり続ける中、セーフティーネットの役割が試されています。
しかしながらグラフの通り、政府の住宅政策もあり、全国的にも本市でも管理戸数が減らされています。また、所得基準の引き下げや整備不足などで、申し込み数・入居戸数が大幅に減っています。市長、現在みどり団地の建て替え工事が令和13年度まで続く予定ですが、そのほかの耐震化や建て替えなどの整備方針は決まっているのか、あきらかにしてください。
-村山市長
現在耐震化されていない7棟につきましては、令和13年度に全て耐震基準を満たす予定であります。老朽化した建物については計画的な修繕や設備更新を行っているところであります。今後は建物の状況を考慮しながら、セーフティネットの役割を果たしていけるよう整備方針を策定してまいります。
-広田議員
本当に今重要な役割を果たしておりますので、ぜひとも建て替えについて早めの検討をお願いします。そして管理戸数は減らさず、市民のニーズに沿ったものとなるよう求めておきます。
入居要件について
所得基準について
次に入居要件に関してうかがいます。先ほどのグラフでは、申込者数の減少が顕著です。2011年、所得基準が政令で月額20万円から15万8千円に引き下げられたのが主な要因です。当時の本市は「前年の応募者から1割程度が基準を超える」としていましたが、もっと大幅な減少です。応募倍率は当時2.9倍ですが、現在は0.93倍と低下しています。必要な方が入れていると言われるのかもしれませんが、随時募集を見ますと0.64倍と低い状況ですし、申し込み数や入居戸数が減りすぎていると考えます。本市ではどのように分析しているでしょうか。
-高木都市整備局長
入居者が減少している原因としましては、交通の便があまり良くない郊外にあるということ、それから老朽化が進んでいることなどが考えられるほか、民間賃貸住宅の水準が向上したことも要因であると推測をしております。
-広田議員
グラフを見ますと引き下げ直後に減っていますから、私は基準引き下げの影響はとても大きいと考えます。実質賃金は減り続け、生活実態からみて現在の所得基準では必要な方が入居できない状況です。2012年には地方分権一括法により、入居基準などを各自治体が条例で定めることになりました。つまり、条例で独自に所得基準を引き上げることは可能です。検討が必要ではないですか。
-高木都市整備局長
入居基準としております収入の基準ですが、国の基準に基づくものでありまして、現時点で引き上げは考えておりませんが、引き続き国の動向は注視してまいります。
-広田議員
あくまで参酌基準ですので、ぜひ市として、建て替え方針も含めですけれども、いろんな困っている世帯、そして全国的に若い世帯も含めて検討が始まっています。ぜひ早めの検討をお願いしておきたいと思います。
市町村税滞納について
次に、本市では入居資格に条例第6条「市町村税の滞納をしていないこと」とあります。今の家賃が高くて市営住宅に移りたいというご高齢の方からの相談です。所得基準内なのに、ご病気で失業したときの住民税滞納があります。高齢なのであらたな民間の受け入れはきびしい。このままでは家賃で生活が圧迫され滞納も減らせないという悪循環なんです。本来はこうした方々を救うのが市営住宅ではないでしょうか。石川県の県営住宅には滞納規定はありません。本来のセーフティネットの役割を発揮するためにも、本市も滞納規定はなくすべきではないでしょうか。
-高木都市整備局長
公共の施設であります市営住宅に入居するためには、市町村税を滞納していないということは必要な条件であるというように考えております。
-広田議員
具体的な理由は何ですか。
-高木都市整備局長
限られた数の市営住宅に対しまして、入居希望者に公平に入居していただくために、市町村税の滞納の有無というのは公正な入居選考を行うための客観的な基準の一つだというように考えております。
-広田議員
空き家が今、576戸です。応募倍率も1をどんどん下回っている状況で、倍率が本当にいっぱいでしようがないというのならばやむを得ませんけれども、こうした状況でそしてセーフティネットという役割ということであれば、私は滞納規定をなくすべきだと考えます。
市長、生活保護の方でも、滞納があると入れないんです。おかしいと思いませんか。野々市市は条例で、ただし書きを設けていて「市長が特別な事情があると認める場合は、この限りでない」として、個別の事情を考慮しています。せめて今すぐにでも、それは行うべきではないですか、市長。
-村山市長
それぞれのご事情があるというように思います。現在の公営住宅の入居率であったり、あるいは困難な悩みを抱えている方々のご事情は伺いたいというように思っておりますけれども、その中でどのようなことができるかということを研究すべきかというように思っております。
-広田議員
市営住宅課は都市整備局、国交省ですけれども、かつては厚生労働省が最初の法律案を考えていたという流れもあり、相互に国交省と厚労省が向き合って今検討も始めているんですよね。やっぱり福祉施策でもあるんです。ですから今事情があるということは市長もお認めになりましたから、じゃあその事情を客観的にみて、この方だったら受け入れられるということを、野々市市ではそのような感じでやっていましたので、ぜひ研究を進めて、滞納規定、特別事情を考慮かなくすかを求めたいと思いますが、もう一度お願いします。
-村山市長
ただ今国土交通省・厚生労働省の国の動きの話、そして他自治体のご紹介もございました。そういったことも含めましての検討を進めていきたいというように思います。
-広田議員
ぜひとも検討をお願いします。
浴室の整備について
次に浴室の整備について伺います。随時募集の倍率はここ3年の平均だけみても0.64倍と低く、先ほど見たように入居戸数は右肩下がりです。浴室の設備が追いついていない物件が多いことも大きな要因です。浴室の設備である浴槽と給湯器を自費で設置すると20万円もの負担です。表にもありますが、浴室整備が完了しているのはおよそ40%に過ぎないんです。本市は年に3,40件ほど整備していますが、年間40件としても完了までに51年かかるんです。この地震で80戸の浴室整備を3カ月でやれたと聞いています。やろうと思えばもっと進められるのではないでしょうか。
-村山市長
この能登半島地震対応として緊急的な整備を進めさせていただきました。住戸改善事業や浴室改善事業については、国の補助金を活用して進めているところであります。引き続き財源確保に努めて、住居環境の向上を図ってまいりたいと存じます。
-広田議員
今回の地震は単費でやられたんですよね。ぜひ市の施策として、市営住宅の空き家もこんなに増えているわけですから、財源確保して進めるように求めていきたいと思います。
まとめ
まとめとして、政策空き家374戸を除く空き戸数は先ほども言いましたが576戸にのもぼります。民間ではありえない状況です。所得基準の引き下げ、滞納要件の緩和、これまでも求めてきた連帯保証人規定の廃止、そして浴室整備促進など課題を払しょくし、空き家を有効活用してセーフティネットとしての役割を果たす、これを早急に行うべきではないか、再度になりますがお願いします。
-村山市長
繰り返しになるところもございますけれども、国や他の自治体の状況について注視しながら、住環境の向上も含めて検討・研究していきたいというように思います。
-広田議員
個別案件については検討だったと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
福祉部局等との連携を
次に、本市は直営方式を堅持しており、庁内で連携が行いやすい状況だと考えます。しかし高齢化率61.3%、多様な世帯の増加で、市営住宅町会役員の中からは、住民の安否確認やごみ出し、ご近所トラブル、生活相談などたくさんの役割を担っており、もっと市も関わってほしいというお声をよくいただきます。福祉部局をはじめ他部署と連携し、集会所などで定期的に生活相談会を行うなど、積極的に関わるよう求めますがいかがですか。そのためにも市営住宅担当の職員をもっと増やすよう求めますがいかがですか。
-村山市長
生活相談については、これまでもその内容を確認して、関係する部局と連携して対応してきております。引き続き今後も入居者に寄り添ってまいりたいと存じます。また職員の配置についてご質問がございましたが、これまでも市勢をとりまく状況の変化、また行政需要の増減など、状況を勘案しながら配置をしております。引き続き適正な人員配置に努めてまいります。
-広田議員
今すぐにでもやれることとして、例えば人事交流とかですね、そういうことも含めてぜひ前向きに検討を行っていただきたいと思います。
学生や若年世帯の入居について
さいごに、若年者や子育て世帯からも市営住宅に期待するお声が届いています。しかし所得制限などがネックであり、私はこれは緩和すべきと考えます。また別の要因としては若い単身者については特定の条件がないと入れず、セーフティーネットの役割が果たされていないと考えます。しかしその点で本市は今年度から、学生入居モデル事業を行います。単身若年世帯でも可能とした大きな変化だと捉えています。学生にも今後ぜひ金沢市に定着してもらいたいと考えますが、入居の期限は学生の間だけです。その後、社会人になっても住み続けられる保障が必要だと考えます。若年単身世帯の受け入れを検討するよう求めますがいかがですか。
-高木都市整備局長
モデル事業であります学生入居につきましては、地域コミュニティの活性化を目的として取り組むものでありまして、コミュニティになじんだ学生が卒業後も入居を望んだ場合、入居資格要件を満たせば一般入居として住み続けることが可能でございます。このモデル事業を進める中でその効果も検証しながら、この継続的な居住に向けてどういったことができるかということは研究していきたいと考えています。
-広田議員
ぜひ検討をお願いいたします。
自衛隊への個人情報の提供について
続いて、自衛隊への個人情報の提供について伺います。
金沢市内の子どもや保護者から、子どもの個人情報が、本人・親にも知らされず自衛隊へ提供されている。情報管理が厳しいこの時代に、自衛隊が勧誘活動を行うために、なぜ子どもたちの情報が勝手に提供されるのか、やめてほしいとお声が寄せられています。
奈良市では、高校3年生の当事者がこの3月に違憲訴訟を起こしました。当事者としてはじめてのことです。
本市ではこれまで、目的外利用として自衛隊に対し個人4情報を閲覧を許可し、2019年には山野前市長が、それまでの閲覧許可ではなく、電子媒体で提供すると表明し、市民の反対のお声がある中で毎年実施されてきました。
村山市長の考え方
村山市政になってからは2回、提供が行われています。これまで本市が実施理由としてきた自衛隊法97条や同施行令120条は、資料を「求めることができる」とあるだけで、自治体が協力する義務や強制力はありません。よって閲覧許可も提供もしていない自治体も存在します。つまり自治体の裁量権がある中で、市長はどのようなお考えで情報提供しているのか伺います。
-村山市長
提供している対象者の基本情報につきましては、住民基本台帳法11条に基づいて閲覧ができるとされています。そして自衛官等の募集事務につきましては、自衛隊法第97条において、市町村の法定受託事務と定められておりますので、名簿の提供を行っております。
-広田議員
市長は「できる」という中でやっているということですね。
法的根拠について
次に、住民基本台帳法ではその4情報の「閲覧」を可能としているものの、「提供」については規定がありません。閣議決定で可能としたようですが、その際もなぜ「提供」可能となったのか政府は全く議論していません。よって閲覧にとどめている自治体もあります。提供の法的根拠というのは金沢市としては見出したのでしょうか。
-村山市長
先ほど申し上げました通り、法令で法定受託事務と定められております。平成31年4月3日付の防衛大臣からの自衛官募集等の推進という通知文の中で、紙媒体や電子媒体での提出に関する旨の依頼を受けましたので、提供しているものでございます。
-広田議員
法定受託事務としている自衛隊法や施行令、これは個人情報の「提供」について定めた条文ではありません。さらに、今おっしゃられたすべては閣議決定で可能としているだけで、なんの根拠もないんですよね。市長のお考えとしては提供できるということとして受け止めたいと思います。
周知や除外規定について
市長、こうした法的根拠もなく、市民からも批判がある中で、ホームページなどで周知、また除外規定を設けている自治体が年々増えています。中核市を調べると表のとおりです。金沢市ではこのような検討をしているのでしょうか。
-村山市長
ご紹介いただきました通り、複数の市町村で除外申請を導入しているということは承知をしております。名簿提供の周知については法令等に特段の規定がないということから、実施はしておりません。また個人情報の保護に関する法律におきまして、法令に基づく場合は情報提供できるという旨規定しておりまして、本人同意の必要はないというように考えており、名簿提供の周知、除外申請についての検討は考えてはおりません。
-広田議員
提供すること自体にも確固たる法令・根拠はないのに、こちらの周知や除外規定については法令・根拠がないからやらないというのは、ちょっとダブルスタンダードではないかと思うんです。調べた中核市ではやはり、市民からの批判や法的根拠の無さに耐えられずに、せめてものということでこういうことをされているのだと私は思います。
市長、個人情報保護管理、これは大変きびしくなってきております。DMが送られてくるのは自分で情報提供した場合に限られてきました。なので私の元には、どこから情報が洩れているのですか?学校ですか?というお問い合わせが本当によくあります。こうしたお声にどうお答えになるのですか。
-村山市長
学校ではありません、というようにお答えいたします。
-広田議員
お尋ねになった方については誤解を払しょくできるかもしれませんけれども、学校だと思い込んでもう20歳になった、ということも聞きますので、本当に大変だと思います。重く受け止めていただきたいと思います。
直近の情報提供について
つぎに、直近では、今年度18歳に到達する方、4,075名分の4情報が自衛隊に提供されました。これまでは早くても年を越してから、昨年度は5月下旬に行われたとのことです。しかし今回は昨年の11月と早まり、年に2回も行った形となっています。個人情報を提供する側として、早まった理由やDMの郵送時期について、自衛隊に確認されたのか伺います。
-山下市民局長
石川地方協力本部からは、これまでの5月の提供ではダイレクトメールを発送するまでの期間が短いこと、そのことによりまして県内の自治体の名簿整理や宛名シールの作成といった外部委託ができない事務が輻輳していることから、これまでよりも前倒しして提供を依頼したと聞いております。またDMの発送の時期のお話かと思いますが、これにつきましてはこれまで通り7月1日に発送すると確認をいたしております。
-広田議員
あくまで自衛隊側の都合なんですよね、早めに出したのは。私は個人情報というのは最低限のものを出すという法律の原則があると理解しておりますが、この場合4月前に転居する方の情報など、より余分に渡してしまうわけですので、私は個人情報管理側としては慎重な検討が必要だと考えておりますが、慎重な検討をしたのでしょうか。伺います。
-山下市民局長
提供にあたりましては、石川地方協力本部と協定も結んでおりまして、個人情報の外部提供もできないことになっていることを考えますと、今回の提供は必要なことと考えております。
-広田議員
覚書を交わしているわけですけれども、やはりその中に必要最低限の情報ということも書き込む、というか法律の原則ですので、書き込むもしくはやはり毎度毎度慎重な検討をするように私は求めておきたいと思います。元々、出すなという立場ですけれども。
未成年者への配慮について
さらに、11月の情報提供ということになると、全員が18歳未満で要保護性の高い未成年です。自衛隊への名簿提供は他の情報提供とは異なり、未成年者に対し直接の就職勧誘につながることから、なにか特別な配慮が必要だと考えますがいかがでしょうか。
-村山市長
この名簿提供については法的根拠に基づくものであります。自衛隊においても関係法令に基づいて適正に執行されていると認識しておりまして、検討したことはありません。
-広田議員
民法5条では、未成年者が法律行為をする際には、その法定代理人の許可を得なければならないと定めています。よって未成年者を雇用する際は、親権者など法定代理人の同意を得なければならないということもあるんですね。ぜひここの点も慎重な検討を求めたいと思います。
教育的配慮について
つぎに、高校生に対する就職勧誘活動については厳格な規制があります。
厚生労働省は、新規学校卒業者の職業紹介について、「その就職は、その将来を左右する重要な問題であり、学校教育や、家庭、地域社会における社会的啓蒙の過程において十分な配慮や、計画的な職業指導が必要」などとし、現場では教育的配慮が実際行われています。
実際、金沢市立工業高校では、生徒本人が直接企業とやりとりができないようになっていること。いわゆる解禁日に企業が求人票を出し始めますが、学校に自由には持参できず、まずはハローワークで審査を受ける必要があること。さらに学校では、3年生になる前から本人と、もしくは3者面談で生徒にふさわしい就職にむけて丁寧に話し合い、指導されていること。これをお聞きしました。そのような教育的配慮が行われている。教育長、間違いないですか。
-野口教育長
市立工業高等学校におきましては、日頃から生徒や保護者に対しましてガイダンスや懇談会を実施し、公共職業安定所の職業紹介、業務取扱要領に基づいて、就職に係る確認事項及び申し合わせ事項を遵守した公正な就職活動を進めております。
-広田議員
しかし実際は、生徒も保護者も知らない間に個人情報が自衛隊に提供され、学校を通さず、保護者も介さず、直接高校生に勧誘文書が届いているわけです。市長、市が情報提供を行うことで、教育的配慮が損なわれているということについてどうお考えでしょうか。
-村山市長
自衛官等の募集事務につきましては、自衛隊法等の法令に基づいて適正に行われていると認識しておりまして、教育的配慮が損なわれているとは考えてはおりません。市立工業高等学校におきましても、就職ガイダンス等を通じて求人票受理開始日などの日程も伝えながら、就職を希望する生徒に対して丁寧な説明と指導が行われていると認識をしております。
-広田議員
ですから、その丁寧な説明の外で、自衛隊が直接勧誘を行っているということなんですね。市長、重く受け止めるべきだと思うんです。
文科省と厚労省は、防衛相に対して「高校新規卒業者に係る自衛官の募集について、教育的観点から民間事業者と同様に、所定の時期に学校を通じて学校の協力のもとに行われることが適当と考えるので、募集活動について行き過ぎないよう特段の理解と協力を願いたい」旨申し入れ、防衛相はこれを通達として周知しています。実態は異なっているんですよね。ぜひ重く受け止めていただきたいと思います。
憲法13条に照らして
さいごに、プライバシー権や情報コントロール権は憲法13条によって保障される基本的人権です。最高裁はこの13条について、国民の私生活上の自由が公権力の行使に対しても保護されるべきことを規定しているとし「何人も、その承諾なく、個人に関する情報を第三者に取得ないし公表されない自由を有する」と判断しています。市長、繰り返しますけれども、奈良市で高校3年生の当事者が、はじめて原告となり違憲訴訟を起こしました。当事者がやめてほしいと直接訴え出しているのです。本市でも情報提供は直ちにやめるべきですがいかがですか。
-村山市長
その訴訟の結果が出たということは承知しておりません。繰り返しの答弁になります。自衛隊への名簿提供は法令に基づく適正な取り扱いであることから、提供をやめることは考えてはおりません。
-広田議員
当事者が直接訴えだしたということが、私は重要なことだと思います。引き続き求めていきたいと思います。
金沢方式について
さいごに金沢方式についてうかがいます。
基本的に公共施設は、自治体が住民から納められた税金で建設・運営をするはずですので、地元から負担を求めるのは税金の二重取りとも考えられます。
山野前市長は先日「金沢方式をなくしたら金沢でなくなる」とおっしゃったようですが、これは裏返せば、全国で金沢でしか行っていない方式ということにもなります。
法的根拠について
3月議会で地元負担を求める法的根拠をお聞きしたところ、市長答弁では「地元負担が生じることを了承の上、地元からの要望で地元と協議しながら本市独自の方式で進めてきた」との答弁でした。これはつまり、金沢市独自のやり方であり「法的根拠はない」と、そういう理解でよろしいでしょうか。
-村山市長
こちらについては3月議会と同じ答弁で恐縮ですけれども、本市における公民館・児童館等の整備にあたっては、建設工事等に地元負担が生じることを了承のうえ、地元からの要望書に従い、地域の方々と協議しながら本市独自の方式で進めてきたものであります。
-広田議員
すごく難しいのでその解釈をお聞きしているのですけれども。あくまで本市独自だということだと捉えます。
一方、施設や団体側には法律の定めがあります。
公民館については、社会教育法第21条「公民館は、市町村が設置する」とあり、消防分団については、消防組織法第8条「市町村の消防に要する費用は、当該市町村がこれを負担しなければならない」とあり、消防分団も含まれます。児童館については明確ではないんですけれども、全国では民間の児童館も建設されている中で、金沢市の児童館はあくまで金沢市立であり設置は金沢市が行っているところです。
こうした法律との乖離について、金沢市独自のやり方が妥当なのか見解を総務省などに求めたことはあるのでしょうか。
-村山市長
この金沢方式は、独自の方式というように申し上げました。昭和27年、新たな公民館の設置に対して多少の事務負担を伴っても校下ごとに公民館がほしいという地域住民の強い要望を受け生まれたものであります。地元負担は伴うが、地域が主体となって公民館等の建設を進めてきたという経緯があります。また建設にあたりましては、予算をその都度議会にお諮りし、認めていただいておりますので、国に見解を求めるという必要はないと考えております。
-広田議員
あり方検討会をこれから行ううえで、おそらくこうした質問は出ると思うんですね。確認をしておいてほしいと思います。
寄付金や協力金について
また寄付金については地方財政法の第4条5「地方公共団体は住民に対し、寄付金を割り当てて強制的に徴収してはならない」に抵触するのではないかとの質問に、市長は「地元負担分は、寄付申出書に基づき、本市の要綱に沿って、地元の合意によって行っている」としています。
これは、地元から寄付したいと申し出ているのであって市が求めているのではない。そして、市が直接住民に負担を求めているのではなく、あくまで地元の任意団体が住民に対して求めているから、地財法には抵触しない、そう理解してよろしいでしょうか。もし答弁を読み上げるならば結構ですので。解釈のことをお願いいたします。
-村山市長
地域の総意で負担をしていただいていると認識しております。
-広田議員
知財法には抵触せず、地域の総意でという理解で捉えます。
一方、地元の側では、建設委員会等と町会、そして住民の間には負担の強制などは成立し得ないでしょうから、住民が負担に応じるのは任意であると、そういう理解でよろしいでしょうか。
-村山市長
公民館の整備については、建設工事等に地元負担が生じることを前提に総意に基づき行われるということです。負担について地域の皆様の総意というようにお答えしたのは、その意味でございます。
-広田議員
総意にどこまで法的根拠があるのか、おそらくそこらへんも難しいと思うので任意だということなんだと捉えます。
寄付金控除について
また寄付についてですけれども、一般的に税金の控除が可能です。これまで金沢方式ではできないとも聞いてきましたが、再度確認しますができるのではないですか。
-川畑総務局長
通常、個人が都道府県や市区町村に直接寄附を行った場合は、その個人の確定申告等により寄付金の税額控除を受けられます。
市に対する直接の寄付ではなくても、寄付を受けた建設期成同盟会等が市に寄付する分について事前に国税当局に申請し、様々な要件を審査した結果、税法上の寄付金として認められた場合は個人住民税の税額控除の対象となります。実際に控除を受けようとするときは個人ごとに確定申告等を行う必要がございます。
-広田議員
市が控除証明を出すことはできないけれども、その間に入る団体が行うことは可能だということですね。ぜひ地元にも知らせていただきたいと思います。
あり方検討会での議論について
まとめますと、金沢方式というのは法的な根拠がない中で、あくまで建設委員会などの任意団体が、町会などの任意団体つまり住民に負担の協力を求め、集金まで行う仕組みであるということ。
そして実際、事業の説明をし負担金や協力金を集めるのは住民、さらに拠出するのも住民であり、大変な労力と経済的負担がかかっています。
本市はそのすべてをご存じなのに、法律の外、地元の合意、あくまで任意というようなことで、私は議論から逃げているようにしか見えません。
今のところあり方検討会では、金沢方式そのものというより、地元の金銭的負担の軽減に向けた議論を行うとしています。先ほど市長も述べた歴史の変遷の中で、金沢方式が構築されてきたことは理解しますが、この時代、法的根拠がはっきりしない仕組みには納得できない方もいて当然です。
そして市長、住民の中には生活保護やひとり親の方、障がいを持った方などさまざまな方がいます。だからこそ公共施設や公共サービスは受益者負担ではなく、応能負担を原則とした税の仕組みで成り立っているとも言えるんです。
よって検討会では、その点を踏まえ、公共施設は市が財政的に責任をもつ議論をおこなうべきと考えますがいかがでしょうか。
-村山市長
私の個人の話にもなっていきますけれども、住まいする地区の児童館・公民館をこの度建て替えたというところ、その中にあって金沢方式がどのような働きがあるのかということを考える、そのよいきっかけになりました。
実際には児童館・公民館を私たちの地区の中で利用している方が非常に少ないような町会ではありましたけれども、我々にとって児童館・公民館がどのように必要なのかということを考える、そしてそこに対して意見を言う機会になったというように認識しております。
この金沢方式は、これまで地域の連帯を強め、協同を育むために大きな役割を果たしてきたというような認識をしております。これを本市におけるまちづくりの文化として将来にわたって継承すべきものというように捉えております。
一方で今回の検討では、人口減少・少子高齢化、また町会の加入率の低下、そういった中で地域を取り巻く環境が変化する中で、これまで我々が受けてきた、そして歴史的な経緯も含めて継承してきたまちづくりの文化を、どのようにしたら持続可能なものとできるかというような検討をしていっているところであります。
来月開催する懇話会におきましては、地域課題等についてのご意見も改めてお聞きしたうえで、地元負担の軽減等を含めたあり方について検討をしてまいります。
-広田議員
地元が財政的に負担をしなければ、地域(地元)は口を出してはいけないのか。そうではないと思うんです。市が財政的にしっかり出したうえで、地元がいくらだって意見を言う。自分たちの地域のものとして意見を言うことは、これはまちづくりとして市政運営として可能なことです。今までだっていっぱいやってます、公園なり児童館なり、なんでもやっています。
私はそのことを議論しているんであって、まずは市がしっかり財政的に保障をする。それが公共施設・公共サービスの土台ではないかということ。むしろ、こうした地元に労力をかけ、経済的負担をかけることで、本当に地元が仲良くまちづくりを進めることができるのかという岐路にも今立たされているかと思うんです。
なので、いろんな歴史をずっとわかっている方、新しく越されてきた方、いろんな方がいると思うんです。そうしたことも踏まえ、すべてあり方検討会の中で議論をしていただきたい。ただその根本の柱になるのは、私は公共施設・公共サービスはあくまで市が財政的負担を行うべきだということを求めて、質問を終わりたいと思います。
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