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金沢市議会

わたしは、日本共産党市議員団を代表し討論を行います。

わが会派は、今回上程されました議案18件のうち、議案第1号令和3年度金沢市一般会計補正予算の1件のうち、城北市民運動公園整備事業費の歳入歳出に反対です。

 その内容は、市民サッカー場の再整備事業として4億1800万円の補正予算が計上された点です。

これまでも指摘してきましたが、市民サッカー場について当初本市は、現在地で再整備するとしてきました。ところが、Jリーグが示す基準からすると移転新築することが必要だとし、建設時には、観客数は1万人だが、将来的には、1万5千人規模に対応するサッカー場に整備すると計画変更してきました。

その後、事業費は基本設計段階では75億円と示されましたが、実施設計段階になると約80億円に増額されたものです。

 そしてさらに財政規模が膨れ上がろうとしています。

 移転先にある本田クライフコートとジュニアスポーツコートを移設・新築、1900台の南駐車場の建設があきらかとなり、合わせると100億円規模になろうとしています。

現在あるサッカー場はまだ使えるものであり、このコロナ禍で多額の費用をかけて移設・新築しなければならない緊急性・必要性はありません。

また、この事業によって、一番影響を受けるのは、ジュニアサッカーの子どもたちです。今のジュニア用コートの場所に市民サッカー場を整備するので、移転ふくめ4年間にわたって使用できないとのことです。サッカーの普及発展という方向からも相反する事業であり、中止・見直しが必要です。

 陳情第9号は、政務活動費の条例改正についての陳情書で、市民オンブズマン石川の代表幹事から提出されました。政務活動費が本来の目的に沿って運用されるとともに、その透明性を確保し、市民からの理解を得ていくことは大切です。さらなる情報公開による透明性の確保や必要な改善が求められます。この陳情が指摘する法や全国市議会議長会が示した内容と本市議会政務活動費の交付に関する条例との整合について検討が必要との点について、その趣旨を理解するものです。よって、この陳情についての議会運営委員会での不採択の決定に反対するものです。

私は日本共産党市議員団を代表して上程されました議会議案第3号子ども政策の充実を求める意見書について、反対です。その主な理由を述べます。18日に閣議決定された「骨太の方針」は、菅首相が創設に意欲を見せる、子ども庁を念頭に、子ども政策の司令塔となる、新たな組織について早急に検討に着手するよう盛り込みました

今、子どもたちはさまざまな悩みを抱え、傷つき、戸惑いながらも懸命に毎日を過ごしています。子どもの思いを受け止め、一緒に考え、希望ある未来をつくっていく姿勢が、おとなに、そして何より政治に問われます。

国連・子どもの権利委員会の声明は、コロナ禍の緊急事態や都市封鎖などを宣言した国で、多くの子どもが身体的、情緒的、心理的に重大な影響を受けていることを警告し、各国に子どもの権利を尊重・保護する措置を求めています。子どもの命や権利を守ることを政治の中心に位置付けることは極めて重要です。 しかし、にわかに浮上した子ども庁の議論は、子どもにとって真に有益で実効性のある施策になるのかは大きな疑問です。そもそも、子どもをめぐる政策が大きく立ち遅れているのは、歴代自民党政権が、解決を求める国民の切実な願いに背を向けてきたからです。その姿勢に根本的な反省を示さず、新たな省庁設置議論は、どんな期待ができるのか、肝心の政策の中身はどうか、そもそも新組織をつくるべきなのかが問われています。子どもが本当に大切にされる社会の実現につながりません

  子どもをめぐる大きな困難の大本にあるのは、自民党政権のもとで拡大した政治と社会のゆがみです。保育所に入れない子どもが後をたたない待機児問題を深刻化させたのは、歴代政権が公立をはじめ認可保育所の大増設を拒んできたためです。少子化が打開できない事態が続くのも、子どもを産み育てることが過酷な社会のしくみが変わらないからです。

 安心して子育てできる雇用のルールづくりが急がれるのに、政府がやってきたのは、長時間労働や非正規雇用を拡大させる労働法制の改悪です。児童虐待についても児童相談所の抜本的な体制強化を図ってこなかったことが問題になっています。子どもの貧困でも、子どもの多い世帯ほど打撃が大きい生活保護改悪を強行するなど、逆行した政策を進めてきました。  これらの問題は、「縦割り行政」の弊害のせいではありません。大企業のもうけを最優先にして、子どもや子育て政策の拡充に必要な予算を確保してこなかった政治の姿勢こそ厳しく問われます。そのことに無反省のまま、新たに省庁設立「こども庁」を持ち出しても期待は持てません。今一度子供を中心に据えた議論を、起こすことが必要だと訴えて反対の討論といたします。

2021年6月21日 金沢市議会議員 森尾 嘉昭

 私は、日本共産党市議員団を代表し、議会議案第2号 東京オリンピック・パラリンピックの開催の中止等を求める意見書の提案理由の説明を行います。

 2020東京オリンピックは、1年延期され、今年7月23日~8月8日、パラリンピックは、8月24日から9月5日の開催が打ち出されてきました。

 ところが、新型コロナ感染拡大は、全世界に広がり、感染者数は、約1億8千万人、死者数は、約400万人にのぼっています。日本国内では、感染者数は、78万人を超え、死者数は、1万5千人近くとなっています。

 イギリスでは、ワクチン接種が広がる中、感染拡大が収まるかに見えましたが、インド型変異株(デルタ株)による感染者が急拡大し、6月18日には、一日当たりの感染者数がおよそ4ヶ月ぶりに1万人を超える事態となっています。

 こうした状況にもかかわらず、菅内閣は、「安心・安全な大会開催」を言い続け、開会式全体の入場者数を2万人程度とすることを打ち出そうとしています。しかし、開催への不安の声は、広がり、専門家からも厳しい提言が出されました。

共同通信社がこの19日20日に実施した全国電話世論調査によると東京五輪・パラリンピック開催で、コロナ感染が再拡大する不安があるとした回答が86%に上りました。東京五輪についても、「無観客開催」40.3%、「中止すべき」30.8%、「観客数を制限して開催」27.2%となりました。

朝日新聞社が実施した19日20日の世論調査によると「中止」「再延期」と答えた方は、併せて62%、予定通り「今夏に開催」は34%とのことです。

コロナ感染拡大を食い止めるには至らず、ワクチン接種もまだまだ進んでいない状況の下で、東京五輪開催自体への不安の声が世論調査にも示されています。

去る18日には、政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長をはじめ専門家有志26人が「提言」を明らかにしました。

 この中で、東京五輪大会が開催された場合を想定していますが、感染拡大の深刻な危険を突き付けたものとなっています。

政府に対し、緊急事態宣言を出す必要に迫られる状況になれば「予定通りに大会を開催することは困難」とし、感染拡大の予兆を察したら強い対策を躊躇なくとるよう要請しています。また、「無観客が最も感染拡大リスクが少なく望ましい」と提言に明記されました。

19日、東京五輪の事前合宿のために、アフリカ・ウガンダの選手団が来日しました。その一人が新型コロナウイルスに感染していることが確認されました。現地で、2回のワクチン接種し、72時間以内に受けた検査での陰性証明書を取得していたとのことです。

東京五輪を開催するとなると選手と関係者だけで約10万人が参加することになります。東京五輪組織委員会は、観客や大会関係者など来訪者が一日最大約34万人となるとしました。

感染が全国に広がる危険性が指摘され、巨大なリスクを抱える東京五輪開催を強行してはなりません。

 したがって、感染リスクを少なくし、人々の命を守ることを最優先にする立場から、東京五輪の開催を中止することが求められます。それは、政治の責任だと考えます。

 すでに、東京五輪への参加を見送ったり、出場できないなど選手間に格差が生まれ、フェアーな大会になる前提がすでに失われています。

 よって、この意見書は、

  1. 新型コロナウイルス感染症の拡大が国内はもとより全世界に解消していない中で、東京オリンピック・パラリンピックを開催しないこと。
  2. 感染拡大防止の徹底による医療崩壊の回避や希望者へのワクチン接種の早期完了、生活困窮者や経営不振に苦しむ事業者への救済措置の徹底に全力を傾注すること。

以上を国に求めるものです。 議員各位の賛意を求め、提案説明を終わります。

森尾 嘉昭議員

森尾市議の質問と答弁です。        金沢市議会6月議会 2021年6月17日

児童福祉施設職員へのワクチン接種実施計画を早く示せ (森尾市議)
⇒ 保育士や幼稚園教諭らには優先的に接種券を送る (市長)

-森尾議員

私は、日本共産党市議員団の1人として、以下質問します。

最初に、新型コロナ感染症クラスター対策について伺います。先月、航空高校石川で発生したクラスターは、120名を超える感染者に広がり、県内最大規模となりました。これまでにも、市内では、医療機関、飲食関係や事業所などでもクラスターが発生し、新たに集団生活の施設や、高齢者、児童福祉施設などでのクラスターが発生しています。こうしたクラスターが発生した場合、どのような対策を講じているのか明らかにしていただきたいと思います。

-山野市長

 同一の施設・事業所などから感染者が発生した場合、特に複数発生した場合、本市の保健所が当該施設等の従業員・利用者などを対象に、症状のある方の有無や濃厚接触者の把握を行い、速やかに検査を実施し、感染の広がりを確認しているところであります。感染拡大を防ぐため、感染経路の探索を行うとともに、消毒や健康観察など感染症予防の助言・指導も行ってきているところであります。

-森尾議員

 国が示すクラスター対策は3つ。第一にクラスターの早期発見・早期対応。第二に医療提供体制の確保。第三に行動変容によるクラスター発生の予防・抑止。この3点を示しています。市内にある児童福祉施設での発生に対してどのような対策を講じたのか明らかにしていただきたいと思います。

-山野市長

 まずは保健所によります感染状況調査の実施に加え、施設の休園及び消毒、園児や職員の自宅待機・健康観察を要請するとともに、家族に対して新型コロナウイルス感染が疑われた場合に家庭で注意してほしいことをまとめたチラシを保護者にお配りするなど、家庭内感染の拡大防止にも努めてきたところであります。

-森尾議員

 今回、児童福祉施設関連でのクラスターは20名を超える規模になってきています。関係者からいろいろご意見や提言をいただきました。その中に、児童福祉関係施設の職員に対してワクチン接種を早期に実施してほしいとの要望が寄せられています。今回、市の打ち出した集団接種実施の中で、空きのある場合エッセンシャルワーカーも対象としていますが、全ての方々が接種できる具体的な実施計画を明らかにしていただきたいと思います。

-山野市長

 全ての人というのは今月中に発表したいと思いますけれども、保育士さんであったり幼稚園教諭、また児童クラブの職員のみなさん方に対しましては、今それぞれ名簿をいただきながら優先的に接種券をお送りしたいというふうに思っています。そして今おっしゃっていただきましたように、今は高齢者のワクチン接種を行っているところでありますけれども、いくらか余裕ができつつある医療機関もあるとお聞きをしていますので、そういうところで接種を促していきたいというふうに思っています。また法人によっては嘱託医があるところもありますので、嘱託医の先生とも相談しながらできるだけ速やかにということでお願いをしているところであります。

-森尾議員

 もうひとつ、児童福祉施設でのクラスター発生に対して、保護者などから正確な情報提供を求める声を伺っています。施設と保健所との連携や情報共有が非常に重要ではないかなというふうに思っています。現場への保健師や心理カウンセラーなどの派遣も検討が必要ではないかと思います。今後の対応について、伺います。

-山野市長

 保護者に対しましては、人権や個人情報に注意をしながら、陽性者の数であったり休園機関、その理由、園児の保護者に症状が発生したときの対応などについて、できるだけ細かく必要な情報をお伝えしてきたところであります。施設関係者や保護者の不安の払拭というものは大切だというふうに思っています。ご提案をいただきました保健師や心理カウンセラーなどの派遣につきましても、要請がありましたらひとつひとつ丁寧に対応をしていきたいというふうに考えています。

ガス発電事業譲渡について
市民への説明会開催の要望にこたえる考えはないか (森尾市議)
⇒ 市民団体からの要望があればご説明させていただく (市長)

-森尾議員

次に、ガス・発電事業譲渡について伺います。市民説明会が先月5月4日と10日に開かれ、市長から説明が行われました。市民からは「本市ガス・発電事業は黒字経営なのになぜ民間に売却しなければならないのか」「市営事業として運営されてきたからこそ、市民は安心して利用してきたのに、今回の売却との方針には納得できない」など厳しい意見が続きました。市長はどのようにこうした市民説明会での市民から寄せられた意見を受け止めておられるのか伺います。

-山野市長

 市民のみなさん方の率直なご意見だというふうにして受け止めさせていただきました。また金沢市からは現状であったりだとか将来想定される状況、そして優先交渉権者からいただいている具体的なご提案も説明させていただいたところであります。

-森尾議員

 私も出席いたしまして、市民説明会の中で印象に残ったことは、本市の元幹部からも意見が表明されたことです。「ガス・発電事業も100年の歴史があり、発電事業は当時、市と議会もそして地元をはじめ、市民が一丸として取り組み実現してきたもので、ある意味市民の財産であり、これからどのように発展させていくか慎重に検討してほしい」という発言がされました。この説明会に参加されたある経済人の方から、のちに要請文をいただきました。その中には「どうも譲渡金額も、市の出資割合等も、市あるいは企業局で決裁済のものをそのまま既成事実として進めていくやのものでした」と述べられ、議会として監視等をお願いしたいと綴られていました。市民説明会開催について、予定していた残り3回の日程が示されました。市長は市民説明会について「その回数を増やしていけばと思う」と初日の質問に答えられました。5つの発電所のある地域での説明会や、希望ある地域での開催など、今後の市民説明会開催の要望にこたえていく考えと受け止めましたが、改めて見解を伺います。

-山野市長

 これまでも担当部署の方で、いろんな市民のみなさん・市民団体等々から説明を求められた際には、説明会を開催をして説明をして、ご理解をいただける努力をしてきたところであります。まずは決められている3回をしっかりとやっていきたいというふうに思いますし、今ほど申し上げましたように引き続き市民のみなさん・市民団体から具体的な説明をということをいただきましたら、その都度丁寧にご説明させていただければというふうに思っています。

-森尾議員

 ところが市長。予定していた3回の市民説明会を開催すれば、本市ガス・発電事業の譲渡方針は市民の理解を得られたとして、仮契約を今月末には結ぶということを明らかにしています。そして譲渡関連議案を議会に上程するとしているわけです。議会の決裁を得られれば正式契約となる。これを従来説明されてきました。この点から考えると、あまりにもこの譲渡方針は強引ではありませんか。市民の理解や議会の議論も十分でないまま、こうした譲渡方針を進めることには問題があると私は考えます。そして市民説明会の中で厳しく指摘された、100年に及ぶ市営ガス・発電事業を民間に売却することを実行してはなりません。改めて見解を伺います。

-山野市長

 まん防がありましたので、3回は当初の予定から日をずらすことになりましたけれども、説明会をさせていただいたうえで手続きを進めていきたいというふうに思っています。繰り返しになりますけれども、これまでもこれからも、市民団体等々から説明を求められた場合には説明を重ねることによって、お一人でも多くの方のご理解がいただけるように努めていきたいと考えています。

市長は、東邦ガスの社長と会って、何を話したのか (森尾市議)
⇒ ご挨拶に来られた (市長)

-森尾議員

 東邦ガスについて伺います。2月18日、ガス発電事業譲渡選定先について優先交渉権者を決定しました。その中に東邦ガスが名を連ねています。この東邦ガスに対して4月13日、公正取引委員会が独占禁止法違反の疑いで立ち入り検査に入ったことが明らかとなりました。4月30日、本市は東邦ガスを含む優先交渉権者と基本協定を締結しました。5月13日、優先交渉権者による新会社金沢ガス電気株式会社が設立されました。こうした経過をたどってきましたが、そのさなかの4月9日、東邦ガスの社長が市長、あなたとお会いしています。一体どんなことが話し合われたのか、明らかにしていただきたいと思います。

-山野市長

 優先交渉権者に選定されたことによる企業グループのおひとつとして、ご挨拶にいらっしゃいました。安全そして安定供給等々について、さらには地域活動も積極的に行っていきたい、そんなことをお話をいただいたところであります。報道の方も入っていらっしゃいました。

-森尾議員

 4日後の4月13日、東邦ガスに対して公正取引委員会が立ち入り検査に入りました。この件に関わった話しはありましたか。

-山野市長

 ありません。

-森尾議員

 では22日後の4月30日、本市は東邦ガスを含む優先交渉権者と基本協定を結びました。この件の話はありましたか。

-山野市長

 ありません。

基本協定締結前に東邦ガス社長と会うのは問題ではないか (森尾市議)
⇒ 全く問題はありません (市長)

-森尾議員

 市長は、東邦ガスが本市ガス・発電事業譲渡先である優先交渉権者の有力企業であることは十分認識があったと思います。では、本市が基本協定を締結する以前に締結先である企業の社長とお会いすることの是非について、どのような認識をお持ちでしたか。伺います。

-山野市長

 優先交渉権者に決定した後にお会いしたものであり、全く問題はありません。

-森尾議員

 基本協定を結んだのは4月30日。それ以前に東邦ガスの社長と市長がお会いしたんです。公共事業の入札にあたって、契約以前に契約対象企業の責任者と会うことはあり得ません。一方、契約締結前に契約対象である企業の社長と市長が会っていた。これは、入札及び契約手続等にかかわる不当な働きかけを排除するという立場から問題ではありませんか。市長の認識を伺います。

-山野市長

 全く問題はありません。森尾議員も報道で知ったかと思います。報道の方にも入っていただいておりました。全く問題はありません。社会通念上に照らし合わせても全く問題はありません。

-森尾議員

 報道があったかどうかという問題が問われているわけではなく、契約をする相手と契約以前に会うことを問題にしてるんです。4月30日に「金沢市ガス事業・発電事業譲渡基本協定書」を締結しました。市長と6つの企業の代表者1人1人と書面で確認されています。その中に東邦ガスも社長名が記載され印鑑が押されています。これが4月30日に行ったガス・発電事業の譲渡基本協定の締結なんです。優先交渉権者のグループの一つだから会っても問題はない、仮契約を締結するのは別法人だから問題はない、というのは言い逃れに過ぎません。市長は、東邦ガスの社長とお会いし、その後、基本協定の締結を東邦ガスの社長と確認しているではありませんか。弁解の余地はありません。見解を求めます。

-山野市長

 意図していることがよく理解できませんですけれども、社会通念上も全く問題はありません。優先交渉権者が決まった後でありますので、ご理解をいただければと思います。

東邦ガス社長とお会いした際、ガス発電事業譲渡の話はあったのか。(森尾市議)⇒ 安全・安心・安定供給に努めていくとの話があった (公営企業管理者)

-森尾議員

 では、公営企業管理者に伺います。あなたも4月9日東邦ガスの社長とお会いしたとのことです。本市ガス発電事業譲渡についてのやりとりはありましたか。伺います。

-平嶋公営企業管理者

 優先交渉権者に選定された企業グループを構成する立場から挨拶のために来庁されたものでございます。東邦ガス株式会社の方からは安全・安心・安定供給を第一に努めていくとお話があったものでございます。

-森尾議員

 その翌週の4月13日、東邦ガスに対して公正取引委員会が立ち入り検査に入りました。当日、東邦ガスからその件について企業局に連絡が入り、その後、東邦ガスの役員が企業局に説明にこられたとのことです。公営企業管理者は、東邦ガスの社長とは挨拶以外何物でもないとか、優先交渉権者のグループの一つだからお会いしても問題ない、との認識を述べています。自らの対応を合理化する言い訳に過ぎません。では伺います。公営企業管理者は、東邦ガスに対して今回の公正取引委員会による立ち入り検査について、会社自らが調べ解明することを求めましたか。伺います。

-平嶋公営企業管理者

 東邦ガスの方からは、公正取引委員会の調査が入ったということ、それから社として全面的に協力をするということ、突然のことで社としても驚いているといったような趣旨のお話をいただきました。私といたしましては、公正取引委員会の調査中でございますので今後の状況を注視したいというふうに考えています。

東邦ガスが公正取引委員会から独禁法違反の疑いで立ち入り検査を受けた。
重大だ。仮契約締結は、中止せよ。 (森尾市議)
⇒ 資格喪失事由に該当せず、仮契約を行うのは別法人であり、問題ない(市長)

-森尾議員

 市長。4月13日東邦ガスは、公正取引委員会から独占禁止法の疑いがあるとして検査を受けた。その内容は、ガス料金について3社とカルテルを結び、ガス料金を高値で維持してきたというものだとしています。しかも2018年からというものです。重大な内容です。しかるべき調査によって、全容が明らかにされるものと思います。その4日前に、市長や公営企業管理者が東邦ガスの社長と面会していた。その時点では、譲渡に向けた基本協定の締結は行われていませんでした。なぜ、基本協定の相手企業である東邦ガスがわざわざ愛知から市長と公営企業管理者に会いに来たのか。どんなことが話し合われたのか。疑惑が持たれることは避けられません。改めて今回の東邦ガスの問題についてかかわって考えれば、コンプライアンスにかかわる問題が指摘されている企業に本市ガス発電事業譲渡を進めて良いのか、これが問われると思います。市長、どんなふうに市民に、また議会に説明をされるんですか。

-山野市長

 先程来、契約のお話をされていらっしゃいます。募集要項に沿った形で求めたものであります。この募集要項の中にも資格喪失事由が具体的に書かれているところであります。そこには該当しないということであります。また構成団体ではありますけれど別法人になるところでもあります。そういう視点から議会のみなさんに説明を申し上げているところでもありますし、議会のみなさんを通して市民のみなさんにも説明を申し上げているところでありますし、これまで2回の市民説明会に私も出席して説明申し上げているところであります。

-森尾議員

 言い訳と弁明に過ぎません。公的な入札や契約にかかわって、締結する以前に企業の責任者と会うなんてことはありえない。私は改めて、東邦ガスを含む優先交渉権者によって設立された新会社と本市との仮契約締結を中止するように求めたいと思いますが、市長の見解を伺います。

-山野市長

 東邦ガスのことを通しておっしゃっているんだと思いますので、そのことについてお答えをいたします。繰り返しは避けたいと思います。資格喪失事由には該当しない、そして別法人ということもあります。本市の契約上の問題はないということでありますので、ご理解いただければと思います。

退職派遣(81名の市職員を退職させ、新会社に派遣)は、問題だ。(森尾市議)
⇒ 譲渡関連議案が議会で承認されてから退職派遣の手続きに入る。(本市企業局長)

-森尾議員

 退職派遣について伺います。本市ガス・発電事業譲渡先である優先交渉権者が示した運営方針によると、新会社への職員派遣は、1年目(2022年)は81名、2年目(2023年)は55名、3年目(2024年)は29名としています。この派遣は民間企業への派遣となっているので、退職派遣となります。一旦、本市職員として退職することとなります。この退職派遣は「地方公務員の派遣等に関する法律」これに基づく、本市の条例「公益的法人等への職員派遣等に関する条例」があります。この法律と条例による手続きは現時点においては行われていません。本市公企業管理者に見解を求めます。

-平嶋公営企業管理者

 今ご指摘の職員の派遣に係る手続きにつきましては、まずは譲渡の関連議案をお認めいただくことが前提であるというふうに認識しております。

-森尾議員

 法律と国の通達に基づいて、必要な手順として以下4点があります。

①対象法人について条例で定める。
②任命権者と対象法人との間で業務内容を締結する。
③職員に取り決め内容を明示する。
④任命権者の要請に応じ職員が退職する。書面で確認する。

 ところが本市は、新会社との仮契約を結び、議会の議決を経て正式契約になり、その後、退職派遣の手続きを進めるとしています。退職派遣を前提とした仮契約の締結、そして議会議決を進めるのは問題ではありませんか。本市公営企業管理者に見解を伺います。

-平嶋公営企業管理者

 今後、譲渡関連議案をお認めいただければ、金沢市の公営企業労働組合と交渉を重ねてまいりますし、職員に対しても具体的な条件などを説明して意向の確認を行っていくこととなります。したがいまして今ほどご指摘いただきました手続きにつきましては、まずは、繰り返しになりますが譲渡関連議案をお認めいただくことが前提であるというふうに認識をしております。

-森尾議員

 退職派遣は、労働者にとって重大な労働条件の変更となります。労働組合との労働契約の締結、労使協定の締結などが必要だと考えますが、本市企業局の対応についてはどう考えるのか、伺っておきたいと思います。

-平嶋公営企業管理者

 ご指摘の事項も含めまして、交渉内容の確認など、労働組合からの要請に真摯に対応してまいります。

「片道キップ」 = 退職派遣して、本市にもどってきても職場はない。 (森尾市議)
⇒ 勤務条件が不利にならないように配慮する (市長)

-森尾議員

 これまで市長は「私には、本市職員を守る責任がある」と述べられてきました。本市ガス・発電事業譲渡方針によって、81名の職員を売却先となる企業に一旦本市職員として退職して派遣するとしています。その手続きについても、本市ガス・発電事業を売却する仮契約を先に結び、関連議案を議会に上程し、議決がされれば正式契約となる。その後に、退職派遣についての対応を行うとしています。既成事実化し、退職派遣を進めるということになります。これが、あなたの言う職員を守るということですか。見解を伺います。

-山野市長

 組合のみなさんとも意見交換をし、法律に沿った形で対応していかなければならない、そのことが職員を守ることになるんだと思っています。

-森尾議員

 法的には一旦退職をするわけですが、派遣は3年間だと。しかし今回の場合、帰ってきても元のの職はないんですよ。売っちゃうんだから。ガス・発電事業はなくなっちゃうんですよ。これは私は、本会議場でも市長に「これじゃあ片道キップのようなものじゃないか」ということを指摘してきました。今回の内容も手続きも、本当に本市職員の立場に立ったものではないと私は思っているんですよ。市民のために働こうという高い志を持って本市に就職した職員の一人一人のことを、そしてその背景にある生活のことを考えたら、こんなことをしてはいけない、私はそう思うんです。しかも81名ですよ。改めて、この問題を深く考えて対応すべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。

-山野市長

 内容も手続きもというお話がありました。手続きは、先程より私も管理者も申し上げたことですので繰り返しになることから申し上げませんけれども、内容につきましては勤務条件等が決して不利になることがないように、十分配慮をしながら取り組んでいきたいと考えています。

ガス発電事業譲渡を中止せよ。 (森尾市議)
⇒ ご理解をいただけるよう努めていく (市長)

-森尾議員

 今回のガス・発電の譲渡問題は、この角度からしても問題があるんですよ。したがって、6月議会に譲渡関連議案の上程ができなくなりました。しかし来年4月から新会社によるガス・発電事業の開始をするとしています。今月末までには新しい会社との仮契約を結ぶとしています。私は、この退職派遣の問題からしても、今回の譲渡はやめるべきだと思うんです。どうですか市長、このまま進めるのでなく、いったんこれまで打ち出してきた譲渡方針を中止して、この問題について大いに議論しようじゃないですか。

-山野市長

 今も議論をしていると私は思っていますし、これからも機会をとらまえてさせていただければというふうに思っています。市民説明会も予定されています。これも繰り返しになりますけれども、市民のみなさまからそれ以外でも要望があれば、これまで通り説明会を重ねていきながら、一人でも多くの方にご理解をいただけるように努めていきたいというふうに考えています。

-森尾議員

 100年にのぼる本市市営のガス事業・発電事業をいとも簡単に大手の企業に売却するなんてことはあってはなりません。本市の市政の歴史からも、議会の歴史からも、こんなことを私は許してはならないということを改めて述べておきたいと思います。

 最後に、市民サッカー場の再整備について、伺いたいと思います。今議会に4億1800万円の補正予算が計上されています。市民サッカー場の再整備について、その目的、全体の事業費、完成予定について、伺っておきたいと思います。

80億円投入・市民サッカー場再整備は中止を。 (森尾市議)
⇒ スポーツを通してまちを元気にしたい (市長)

-山野市長

 現市民サッカー場が老朽化していることは森尾議員もご存じかというふうに思います。観客数も十分に入ることができません。J1・J2の基準にも該当することができません。またサッカー場ができたときには、女性がサッカーを観に来る・サッカーをするという発想が少ないときにおそらくは作られたのではないかと思います。トイレや更衣室もそういうような対応になっていません。そういうところから、スポーツ施設整備計画を立てながら、その必要性の中で対応してきたところであります。北部地区の防災の拠点にもさせていただきたい、そんなところから国のご理解もいただいているところであります。

-森尾議員

 この事業が、今果たして必要なんだろうかという点と、この事業が際限のない財政投入とならないのかという角度から、伺っておきたいと思います。この事業の方針について当局が示した点は、第一に令和3年度に約1900台の南駐車場を整備する。第二に令和4年度から5年度に新たなサッカー場の建設と周辺の整備事業。第三に令和6年度にジュニアスポーツコート等の移設・新築する。こうしています。総額は100億円にのぼると考えられます。いったい、この事業費をどの程度と考えているのか、そして果たして今しなければならない必要性・緊急性はあるのかという点を伺っておきたいと思います。

-山野市長

 サッカー場の建設費は79.8億円を見込んでいるところであります。国の方からも今回補正予算をいただいたところでもあります。ご理解をいただいているんだというふうに理解をしています。スポーツを通して町を元気にしたいという思いもありますし、この時代という表現もありましたけれどもこのコロナ禍の大変厳しい状況だからこそ、地域経済を下支えする一定の公共事業費を確保していくという点からも、大変意義のあることだというふうに思っています。

-森尾議員

 当初、現在あるサッカー場の場所で再整備を行うとしてきました。ところがJリーグが示す基準からすると移転新築することが必要だというわけです。そして事業費は75億円が現時点で80億円に増額されました。観客数は1万人を予定し、将来的には1万5千人規模に対応するサッカー場に整備するとしました。現状においても今のサッカー場は十分使えるのです。改めて、今だからこそこの事業は一旦中止をして、今後の在り方も含めて検討するという方向に転換すべきではないですか。見解を伺います。

-山野市長

 繰り返しになって恐縮ですけれども、アマチュアの大会であってもトップレベルの大会はできません。J1・J2の大会も行うことができません。あとは女性が活用しやすい視点ということ、防災拠点になるということ、そんなこともありまして今回進めさせていただければというふうに思っています。

100億円規模・全体事業について再検討を。

本田クライフコート、ジュニアサッカーコートが4年間。使えない (森尾市議)

⇒ 南総合運動公園の球技場が使える (市長)

-森尾議員

 この事業によって一番の影響を受けるのは、ジュニアサッカーの少年少女たちです。今あるコートが4年間にわたって使えないとのことです。そもそもサッカーの普及発展という考え方からしても、この事業は一体誰のためなのかということが深く問われると思うんです。再検討を求めたいと思うのですが、いかがですか。

-山野市長

 南総合運動公園の球技場が人工芝化されました。天然芝で使える期間が短かったんですが、人工芝化をされたことによって一年中使えることになりました。サッカーであったりラグビー・アメフトのみなさんもお使いいただいているところであります。ぜひそちらも有効に使っていただくことによって対応していただければというふうに思っています。

-森尾議員

 以上で終わります。

大桑議員

-大桑議員 

 質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として以下質問いたします。

 最初の質問は、新しい交通システムに関してです。去る5月25日、第1回金沢市新しい交通システム導入検討委員会が開催され、委員による意見交換が行われました。あと2回の検討委員会が行われた後、本市の新しい交通システムに対応するためLRT・BRTのどちらを導入すべきかの提言が行われるとのことです。しかし、新交通システムの導入については、市民の利用が本当にあるのか疑問視する声が多くあります。そして大きな負担を後世に残すことになるのではないかとの声も聴かれています。本市は職住近接のまちから、郊外へとまちづくりが拡大され、大学も大型店の商業施設も郊外に移り、車がないと生活ができないようになってきました。また、高齢者の運転免許の返納なども進み、ふらっとバスのようなコミュニティバスの増設を求める声が高まっています。2年前に我が党が行ったアンケートの中で市内の交通施策に対して特に、コミュニティバスの拡充を求める声が多く出されていました。既存路線については、バスの路線、本数の充実、バス料金の引き下げなど、切実な声が寄せられています。ふらっとバスの運行を全市、各地域に走らせてほしいという要望は、以前から出されていましたが、本市はふらっとバスの運行を広げようとはしませんでした。コミュニティバスや、地域運営のバスに関しても、現在3コースしか実現に至っていません。郊外に住んでいる市民からは、「郊外にいると公共交通が整備されていないので、病院や買い物に行くにも不便でストレスを感じる」との訴えがあります。そこで、本市が導入する交通システムの主たる利用者は誰だと想定して考えているのでしょうか。また、市民のどれくらいの方々が新しい交通システムを導入することに関心を持っているのか、導入後は広く市民に利用してもらえるシステムになると考えているのか、まずお伺いいたします。

-山野市長

 新しい交通システムについて何点かお尋ねがございました。誰のためのものかということであります。少子化・高齢化は避けることができません。自家用車をご利用されない方も増えてくるというふうに思っております。また、環境問題というものもこれから避けて通ることはできません。そういう意味から、公共交通の重要性というものはより一層、全ての市民・国民にとって大切な視点だと思うんです。ここはご理解いただけると思っています。本市は平成28年度に検討委員会からご提言をいただきました。公共交通の利用促進、また新しい交通システムの導入空間の確保、様々な課題の解決に向けた取り組みを進めてきたところでもあります。都市交通ネットワークの再構築によりまして、金沢市民はもちろんのこと近隣のみなさんもご利用される全てのみなさんにとっても大切なシステムだというふうに考えています。

 広く市民に利用してもらえるのか、ということであります。本市公共交通ネットワークの幹の利便性・効率性の向上を図り、市内公共交通ネットワーク全体の持続可能性を確保していくことが大切だというふうに思っています。市民の理解も必要だと私も思っています。必要な取り組みを行い、多くの方にご理解・ご利用いただけるように公共交通ネットワークを充実させてまいります。

 郊外部での対応も必要ではないかということであります。今回の導入検討委員会は、導入機種の方向性を議論するものではありますが、交通が不便な郊外の路線との関係性につきましては次期交通戦略における大切なテーマだというふうに思っています。引き続き丁寧かつ着実に検討していかなければいけないというふうに思っています。

-大桑議員

公共交通とまちづくりを車の両輪とした施策を考えるとしていますが、市民の生活実態を考えるといかに利用しやすいか、そして、市民の要求にこたえた公共交通を整備できるかにあるのではないでしょうか。本市は、平成29年2月に新しい交通システム検討委員会からの提言の中で、導入に向けて様々な環境整備の検討が必要との課題の指摘を受けました。それから4年から5年が経ったものの、課題を解決するための積極的な施策も見えません。そこで具体的にお伺いいたします。金沢市新しい交通システム導入検討委員会の議論のなかでは、金沢港から有松までの8.9キロメートルに導入する計画ですが、整備事業費はBRTの場合、路そく走行方式で1キロメートルあたり10億円程度、中央走行方式で1キロメートルあたり20億円程度を見込み、LRTならば1キロメートルあたり60億円程度を想定しているということです。単純に距離をかけると、BRTなら89億円~178億円、LRTなら534億円になります。このうち、国からの補助が二分の一あるというものの、本市が負担する金額はBRTら45億円~約90億円、LRTなら約270億円となります。しかし、これには金沢駅東西接続のための費用や車両基地、維持管理費などは入っておらず、それも加えると莫大な予算が必要となってきます。そして、これはあくまでも試算でしかなく、事業費がさらに膨れ上がることも懸念されます。2023年に開業予定の宇都宮市のLRTの場合、総事業費は当初412億円を見込んでいたものの、実際には1.5倍、603億円になったとのことです。このような財政的な問題を、市長はどのようにお考えですか。

-山野市長

宇都宮市のLRTの事例を出されました。社会情勢の変化や安全性・利便性の向上を高めたいということで変わったというふうにお聞きをしているところであります。今回の金沢市の検討委員会では、導入の方向性を示すために有識者を交えての議論を行っているものあり、より具体的な事業内容につきましては今後段階を踏んでさらに検討を重ねていくことになります。

-大桑議員

私は、現在のコロナ禍において優先すべきは市民の生活だと考えます。ワクチン接種が進んでいるとはいえ、新型コロナウイルスがまん延する以前の社会に戻るには数年かかるともいわれています。コロナ禍で倒産・廃業する事業所や職を失われた方々、収入が大幅に落ち込んだ方々などへの補償をまず優先すべきでありませんか。そして今後、少子高齢化を迎えるにあたって、その対策が最も重要ではないでしょうか。大型開発となる新交通システムの導入は慎重にすべきかと考えますが、市長の見解を伺います。

-山野市長

 まずはコロナ対策が必要ではないかということであります。もちろんコロナ対策も大切なことでありますし、これまでも議会のみなさんと議論をさせていただきながら様々な施策に取り組んできました。一方では、これからのまちの将来を見据えた様々な施策も必要だというふうに思っています。この公共交通の充実ということも、活力と賑わいをもたらす都市の装置として大切であるというふうに考えています。今ほど申し上げました、人口減少・高齢化社会、環境対応のまちづくり、持続可能なまちづくり、そういう視点から必要な投資であるというふうに考えています。

-大桑議員

 さらに交通事情に与える影響です。新しい交通システムの導入目的の一つに、現況の交通量を軽減するためとあります。しかし、LRTや中央走行方式BRTとなれば、専用路を確保するために車線を減らさなければならず、かえって交通渋滞を招くのではないでしょうか。2017年答申が出たとき谷本知事は、まちなかの国道157号線は現状4車線で1日3万2千台の交通量があるとし、新システムの軌道として2車線を確保した場合、残る2車線で処理できる交通量の目安は一万2千台だとしています。2万台を減らす手法が問われるとしました。本市は4%の自動車交通削減での試算を示し、これだけの削減で交通状況を維持できるとしていますが、この点について、見解をお示しください。

-山野市長

 都心軸の交通量のことについてお尋ねがございました。本市が行いました交通シミュレーションの結果では、まちなかの自動車分担率を4%削減できれば専用走行空間を確保しても都心軸や並行する幹線道路の混雑度は現状と同程度とされています。まちなかの自動車分担率は徐々に減少をしているところであります。AIなどの新技術を活用した『金沢MaaS』も推進をしながら、またパーク・アンド・ライドの利用拡大も訴えていかなければいけないというふうに思っています。公共交通の利便性向上により自動車の流入抑制に努めていくことがどういう形であろうが大切なことだというふうに思っています。

-大桑議員

 次に需要・収支予測について、お聞きします。LRT導入なら1日に3万~3万8千人が利用して、収支は3億9千万~6億7千万円の黒字、BRTなら1日に2万5千人から3万1千人が利用して4億6千万円から7億円の黒字が見込めるとしていますが、この数値の根拠はどこにあるのでしょうか。お伺いいたします。前にも紹介した宇都宮市のLRTの需要予測は1日1万6千人です。人口は本市が約46万人、宇都宮市は約52万人で、かつ宇都宮市のLRTのルートには中心部だけでなく、工業団地、学校施設が含まれています。それでも現地においては、需要見込みは過剰ではないかとの指摘もあがっていると聞いています。一方で本市のルートは中心部のみです。金沢港クルーズ船の入港以外はどれだけの市民の利用があるのか疑問視する声が以前から出ています。このことから、1日に2万5千人以上の利用者があるとは思えません。もし仮に、利用者のほとんどを国内外からの観光客と見込んでいるのであれば、それは質問の冒頭で述べた誰のための公共交通かが問われます。改めて市長の見解を伺うものです。

-山野市長

 観光客の利用を見込んでいるとするならば本末転倒ではないかということでした。需要予測につきましては、実際のバスの利用者数をもとに将来の人口減少も見据えて見積もった数字であり、現実に即したものであります。新しい交通システムの導入検討に当たりましては、何よりもまずは市民の移動というものを第一義的に考えています。もちろん、来街者の方々も含めた利用者の利便性の向上も大切でありますし、効率的な運行の確保を通じ、本市における公共交通ネットワークの再構築に取り組んでまいります。

-鳥倉都市政策局長

 新しい交通システムにつきまして、市が試算をいたしました需要・収支予測についての根拠についてお答えを申し上げます。収支試算の基礎となります将来の想定需要につきましては、北陸鉄道より提供されました既存バス利用者数のデータをもとに、国立社会保障・人口問題研究所の示すより厳しい人口推計を踏まえ、算定をいたしております。その上で国の財政的な支援措置を活用することを前提に、まずは初期投資を除いた事業者の運行に関する収支予測をお示ししたものでございます。以上です。

-大桑議員

 新しい交通システムの導入よりも、市民が望んでいるのは、郊外やバスの便数が少ない地域に対して、気軽に利用できるコミュニティバスや、乗り合いタクシーなどを導入するなど、本市の財政基盤に即し、かつ市民からの要望に応じた公共交通の整備検討を目指すべきと考えますが見解をお伺いいたします。

公共交通の整備にあたっては、フィーダーバス運行も検討されるとの事でありますが、フィーダーバスとはどういうものなのでしょうか、お伺いいたします。そして、どのように利用するのかもお伺いいたします。このフィーダーバスが、市民が求めるコミュニティバスというイメージなのであっても、都心軸に新交通が整備されないと実現できないというのであれば、市民の求めることではありません。早急に、生活圏域を大切にした、市民の日々の足となる公共交通を考えてほしいと思います。

-山野市長

コミュニティバス・乗り合いバスが大切ではないか。また郊外部におけるフィーダー交通、フィーダーバスのことについてもお尋ねがございました。本市における公共交通ネットワークは、第二次金沢交通戦略に基づき、大きく分けて「まちなかやまちなかと郊外を繋ぐ公共交通重要路線」と「郊外における支線を意味するフィーダー交通」により構成していくとの方向性をお示ししているところでもあります。事例といたしましては地域住民が主体となる地域運営交通、デマンド交通ともよく言われているところでありますけれども、そういうものなどが挙げられるところであります。本市も郊外における移動手段の確保は大切であると思っています。地域運営交通につきましては大浦・川北、内川、藥師谷の3地区での運行を支援し、住民負担の軽減を図りながら、さらなる運行地区の拡大を目指していきたいと考えています。

-大桑議員

また、住民合意を図ることが前提になります。市民合意の形成についてどのように進めようとされているのか。多額の事業費を要する交通システムの計画を市民に知らせる必要があると思いますがどのようにお考えなのかお伺いいたします。あと2回の検討委員会で市民の合意なく機種を決定するというのは行うべきではありません。市長の姿勢をお伺いして、次の質問に移ります。

-山野市長 

 もっとしっかりと議論をすべきだというご提案でございました。導入検討委員会では有識者等のみなさまより専門的な観点からのご提案・ご提言をいただくべく議論をいただいているところであります。この委員会での議論の状況も踏まえ、市民のみなさんの理解を深めることが大切であるというふうに思っています。その方法やあり方についても検討を重ねなければならないというふうに思っています。

-大桑議員

 新型コロナウイルス感染が広がっています。石川県内に適用されていたまん延防止等重点措置は13日までで解除されました。本市の感染状況は、いまだに収まっていません。この間、県は飲食店に時短要請を出し、金沢市のみ時短要請を午後8時までとした所です。5月16日に政府のまん延防止等重点措置の適用が始まり、対応した事業所に、協力金を支出するとしています。 休業要請にこたえた事業所への補償は当然のことであり、重要なものです。また、協力を求めるのが6月13日までとしていますが、今後もまだまだ感染は続くと思われます。コロナ禍で大きな打撃を受けたのは飲食店だけではありません。クリーニング屋さんは、「皆さんが外出をしなくなったので、洋服などの洗濯物が減った」と言い「4月から特に仕事が落ち込み、本来ならば今の時期は夜遅くまで仕事をしているはずだが、午後3時ぐらいには仕事がなくなっている。これでは生活がやっていけない」といいます。飲食店を含めた他の業種についても、継続的な支援を求めますがいかがでしょうか。

 また、商店街で店を構えている骨董屋さんは「冷やかしに店によってくれる人もいない。一日の売り上げが2500円だった。これでは家賃も払えん」と嘆いていらっしゃいます。家賃を払わなければならない所はどの業種も本当に大変です。今後も事業を継続していただくためにも、全業種の実態調査を行い、要望を聴くなどして支援策を考えてほしいと思いますがいかがでしょうか。

 収入減少に伴う事業所の支援に、国の月次支援があります。いろんな業種が適用となります。この支援策に、県も上乗せで支援しているとのことですが、この月次支援の申請方法が難解です。事業者に対して国・県・市の支援策の相談や申請の仕方をサポートする相談窓口を設けるよう求めますがいかがでしょうか。

-山野市長

 コロナ禍における事業者支援について何点かお尋ねがございました。今回だけではなく継続的な支援が必要ではないかということです。これまでも昨年の3月の議会から本会定例議会はもちろんのこと何度かの緊急議会・臨時議会を通して継続的な支援を行ってきました。今年に入ってからも同様であります。特につい1週間、10日前ですけれども5月の補正予算におきましてお認めをいただきました、市独自の支援金の支給、商店街が実施するプレミアム付き商品券の発行など、すでにその予算の可決を受けて動いていただいている商店街のみなさんもあるところでもあります。そのサポートも引き続きしていかなければいけないと思っています。

 関連事業者のことについてもお触れでございました。国においては月次支援金制度を創設されました。本市に相談があった場合はその制度のご紹介もさせていただいているところであります。そして本市は常に県の当局と連携を取りながら進めているところであります。県の6月補正予算案につきましては、国助成金に上乗せをする新たな支援制度を関連事業者向けにも提示されたところでもあります。今ほど申し上げましたように市の施策、県の施策、国の施策、連携を図りながらコロナ禍における経済対策に全力で取り組んでまいります。地域のみなさんの声を聞きながら、議会のみなさんの声を聞きながら、必要に応じてできる限り迅速に対応していきたいというふうに思っています。

 もっともっと声を聞いていくべきではないかということであります。窓口も設けているところであります。こまめに議会を開催しておりますのは、市民の代表である議会のみなさんからも様々な提案をいただきたい、そんな思いからでありまして、引き続き意見交換を重ねていきたいというふうに思っています。そのことがご提案いただきました実態調査よりもより迅速な形で対応できるものというふうに理解をしています。

-山田経済局長

 コロナ禍での事業者の相談窓口についてお答えいたします。本市では昨年の4月末、新型コロナウイルスの国内での感染拡大を受けまして第一本庁舎の2階に金融相談員等を配置しました緊急経済対策総合窓口を開設し、中小企業等からの融資や助成に関わる問い合わせや相談に対応をいたしました。昨年8月からは、コロナ禍において厳しい環境にある中小企業等の経営強化や企業支援等に関する相談にも対応するため、本庁舎の5階に新たに中小企業活性化推進員を配置いたしました中小企業・小規模事業者総合応援窓口を開設し、事業者の相談等に対応をしているところでございます。これらの窓口では必要に応じ市職員が対応する体制をとっており、本市の支援策のみならず国・県の支援制度にかかる問い合わせにも丁寧に対応をしているところでございます。

-大桑議員

 この間中小業者への融資制度は広くつくられていますが、事業者からの切実な声は「融資ではなく給付の支援がほしい」というものです。中小業者が営業を継続していける様、国の持続化給付金の再支給を、国に求めることが必要と考えますがいかがでしょうか。お伺いいたします。

-山野市長

 持続化給付金の再交付を国に求めるべきではないかということでありました。第4波ともいわれる今回の状態でありますけれども、すでに新聞・テレビ等々でもご存じかと思いますけれども、これまでと違って、いやこれまで以上に地域によって、また産業によって大きな差異が出てきているところであります。国の一律の持続化給付金というよりも、むしろ地域の実情に応じた即効性のある対策、私はこちらの方が必要ではないかというふうに思っています。まん防を指定された都市とも連携しながら、引き続き財政支援措置を国に求めていきたいというふうに思っています。

-大桑議員

次に、高齢者の生活の実態をどう支援するのかお伺いいたします。

 コロナウイルス感染症拡大により、外出自粛などで「外に出歩かないようにしている」高齢者の方が多くいらっしゃいます。天気の良い日にグランドゴルフなど楽しんでいる姿や、外のベンチに座って会話を楽しむ姿を見なくなりました。こうした状況が続けば、高齢者は不安感だけが強まってしまう心配があります。特に一人暮らしの高齢の方の生活が気にかかります。内閣府が行った「高齢者が普段の生活で楽しいとしている活動は何か」との調査では、仲間と集まりおしゃべりすること、同じ趣味の人と交際することなどが上位を占める結果が出ています。しかしコロナ禍で、デイサービスを一年以上お休みしている人がいらっしゃるそうです。配食サービスの声掛けの安否確認も配慮しているとの声もお聞きしています。地域の行事もなくなり、外出や対話をする機会も少なくなった今、「高齢の方が精神的に落ち込んでいないか心配している」と支援センターの方が言っておられました。地域包括支援センターでは、特に気がかりな高齢者の方には、自宅への訪問や介護予防チラシなどの投函、などで安否確認に心がけていると言います。民生委員も、見守りが必要な方への声がけを心がけてはいますが、コロナ禍で感染防止の観点から見守り活動はめっきり減ったと言います。そこで、高齢者が孤立化する恐れが高まっていると思いますが、これまで高齢者の見守りについてどのような取り組みを行ってきているのか、お伺いいたします。

-山野市長

 高齢者の見守りについてお尋ねがございました。これもコロナ禍にありましても配食サービスや一人暮らしの高齢者緊急通報システムの運用などを行ってきました。民生委員のみなさんのお力もお借りしております。まちぐるみ福祉活動推進員のみなさんもこまめな見守りを行ってきているところでもあります。引き続き連携をとっていきたいというふうに思っています。

-大桑議員

 まん延防止等重点措置の解除後の地域の支えあい活動、地域サロンなどの再開の考えをお尋ねいたします。今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、地域での活動も休止になっています。地域有志のボランティアの方が月一回開催している食事会や毎週開かれていたランチなど楽しみにしていた活動でした。コロナで地域活動そのものが機能しなくなってしまう事態になりました。誰もが生活に不安を感じている中で、地域の共助や、ボランティアに頼るところが大きかった高齢者支援ですが、改めて問われています。本市が主体的に高齢者福祉を進めることが何よりも必要ではないでしょうか。本市の高齢者数は総人口の27%になっています。地域や施設など地域のボランティアが担ってきた定期的な食事会などの高齢者の孤立化を防ぐ取り組みについて、今後本市も積極的に協力してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。

-山野市長

 地域サロンはなかなかこの状態の中では開催が難しいとお聞きをしています。本市では社会福祉協議会と協力しまして、感染防止に配慮した地域サロン開催ポイントというマニュアルを策定をし、これまでも取り組んできました。ただ地域の実情によって様々でありますので、工夫を凝らして地域サロンの運営に取り組んでいただけるよう、市としても支援を重ねていきたいというふうに思っています。

 多くの市民団体のみなさんが、本市が出しております福祉ボランティア活動交付金を活用しながら活動を行ってきていただいているところでもあります。その地域の様々な事情もありますので、地域に精通された多くの方たちの実践も尊重しながら、引き続き求められるならば可能な限りの支援に取り組んでいかなければならないというふうに思っています。

-大桑議員

 孤立化とあわせて懸念されるのが、生活の困窮です。ある75 歳パートのかたは「年金だけでは生活ができないので、この年まで働いている。」マクロ経済スライドによって 年金は減らされ、コロナ禍で収入も減っています。そのうえ病気もあり、少ない年金から医療費の負担が大きくなっています。そういうなかで国は75歳以上の医療費窓口負担について、単身世帯の場合年収200万 円以上、複数世帯の場合 320 万円以上の約 370 万人を1割から2割に引き上げる「高齢者医療費2倍化法」が成立しました。2022 年度後半にも実施しようとしています。75歳以上の窓口負担は現在原則1割です。今でも窓口負担は、通院の頻度が高い高齢者におもくのしかかっています。2倍化されれば大打撃は必至です。治療が長期にわたる糖尿病患者などの受診率が抑え込まれ病状が悪化し入院に至ったケースも少なくないとされています。「若い世代の為」という言い分も成り立ちません。今回の改悪で軽減される労働者1人当たりの保険料は月平均わずか33円と計算されています。コロナ禍の中で、重症化しやすい高齢者は感染してはならない、感染を防止しなければと生活をしています。そういう中で追い打ちをかける様に医療費の2倍化、市長はどう思われますか、お伺いいたします。そして「高齢者医療費2倍化法」はコロナ禍でやる施策ではなく、撤回すべきと国に対してきっぱり言うべきだと思いますが、いかがでしょうか。お伺いをして私の質問といたします。

-山野市長   高齢者医療費窓口2倍のことについてお尋ねがございました。持続可能な制度にしていかなければならないという国の考えは、私は理解できるものであります。国の方でも慎重に議論をし、苦渋の決断の中で、全ての世代の方々が安心できる社会保障制度を継続的に次の世代にも引き継いでいくためにご判断をされたと、私は一定の役割を果たすものだというふうに理解をしています。来年の10月以降が施行だと聞いております。当面は負担増を抑える経過措置も導入されますことから、国に撤回を求めることは考えてはおりません。

6月15日の議会質問の質問と答弁全文です。

質問項目
①新型コロナウイルスワクチン接種について
②コロナ禍での市民のくらしについて
③東京オリンピック開催と本市の関連事業について
④金沢市パートナーシップ宣誓制度について
⑤有名店のまちなかからの撤退について

6月議会質問中の広田みよ

-広田議員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党の市議団の一員として質問致します。

①新型コロナウイルスワクチン接種について

 まず、新型コロナウイルスワクチン接種について伺います。日本のコロナワクチンの接種回数は5月下旬時点で、人口当たり世界の国・地域で130位。東京五輪を目前に、世界からの遅れに焦る菅首相は、「高齢者接種を7月末完了」「1日100万回接種」など現場の実態を無視した目標を強制し、自治体や医療機関に負担と混乱を招いてきました。全国知事会が実施したアンケートでは、7月末完了の課題として、全都道府県が「医療従事者の不足」を挙げ、多くの自治体が「通常診療への支障」も懸念。さらに、「自治体のマンパワーの不足」についても半数以上が課題としました。本市でも対策本部や健康政策課など現場のみなさんを拝見するにつけ、大変な状況だと実感しています。現状の様子を教えてください。そして、充足を求めたいと思いますがいかがでしょうか。

-山野市長

 本市は1月8日、全国でも最も早く実施本部を立ち上げて準備を進めてきました。今おっしゃったように、計画が変更になることによって、その都度対応を余儀なくされました。職員は本当にがんばってくれました。今これもご指摘いただきましたように、これまでも充足をしてきましたけれども、64歳以下が始まりますとこれまで以上の多くの方の接種が広がってきますので、さらに人数も増やしていきながら充実をしていかなければならないというふうに思っています。予約のことにつきましても、医療機関であったり65歳以上の方にご迷惑もおかけいたしました。お詫びを申し上げたいと思いますし、いくつかご指摘もいただきましたので、64歳以下のときにはそのご指摘に対応することによって少しでもスムーズな対応に取り組んでいきたいと思います。

-広田議員

本市では、64歳以下のワクチン接種計画について、今月中にはあきらかにすると午前中も述べられております。しかしワクチンの供給量については、65歳以上のときも未定の中で計画が進んできたということがあります。この64歳以下のワクチンの供給量については見通しが立っているのか、教えてください。

-山野市長

 各方面に連絡を取りながら情報を収集しているところであります。ただ先般、菅総理が「全国11月までには終えたい」というふうにおっしゃられました。必要なワクチンは、私は供給されるものだというふうに考えています。引き続き、国・県と連絡を取り合いながら、少しでも早くにワクチンを確保して接種に努めてまいりたいと考えてます。

-広田議員

 11月までにという全体像ですけれども、64歳以下のワクチン供給量についてはまだ具体的に示されていないと思います。そしてこの間、ワクチンが供給されないのに計画を進めていることによって混乱や負担を招いているということがわかっていますので、ぜひ市長には国に忖度せず、焦って進めないように、求めておきたいと思います。ワクチンの供給と現場の状況をよく踏まえ、計画を練って進めて頂きたいと思いますがいかがでしょうか。

-山野市長

 現場、医師会や薬剤師会、また看護師のみなさんの声をきちんとお聞きをしながら、ワクチンの状況を確認しながら計画を進めていきたいと考えています。

-広田議員

 つぎに、高齢者接種について伺います。集団接種の予約が昨日14日で締め切られましたが、どのような申し込み状況なのかあきらかにしてください。当初は7,500としていた枠を、2,520の枠として用意されたわけですが、どのような状況に至っているのか教えてください。

-高柳福祉健康局長

 ご指摘がありました通り、昨日6月14日で市役所第二本庁舎等の3つの集団接種会場の予約受付を締め切っておりまして、2,404件の申し込みがございました。定員の合計であります2,520人を下回ってはおりますけれども、予約受付の際には接種の希望日もあわせて申し込んでいただいておりまして、接種日ごとの結果につきましては現在集計中でございます。

-広田議員

 お昼休みにLINEが届いておりましたけれども、今のところ全体の定員は満たすことはなかったけれども、希望にかなわなかった人がいるだろうということなのかと思いますが、LINEでももう情報が届いている通り、次の集団接種の予約枠など見通しは立っているのでしょうか。

-山野市長

 2,500人には行きませんでしたけれども、まだ情報に気付かない方もいらっしゃるかもしれません。LINEであったり様々な機会をとらまえてさらに情報をお伝えしていきたい。この議会で議論していることもその機会だと思いますけれども、そういうことをやっていきたい。今局長も申し上げましたけれども、人数は下回ってはいますけれども今から集計していく中で、同じ日・同じ時間帯に重なることも考えられますので、その場合は抽選をさせていただきたいと思っています。ただ抽選で当たった方はそれでいいんですが、外れた方には折り返しのハガキも入れてお送りをして、また希望の日を送り返していただくというかたちにすることによって、確実に接種をしていただけるように取り組んでいきたいと考えています。

-広田議員

 6月15日からの申し込み分があるということをちょっと確認したいのと、それはどのくらいの人数枠を予定しており、抽選で漏れた方がしっかり受けられる環境にあるのか、お願いします。

-高柳福祉健康局長

 昨日締め切りましたのは第1回の申し込みということで、実は日程的にはまだ予定を立てております。次の時期につきまして、今回予約に漏れた方についてはそちらをご案内して、ダメでしたという結果通知の中に申し込みの案内といいますか次の日程はここだということと、申し込み用のハガキも同封させていただいて再度の申し込みをしていただくということでございます。枠の方はずっと押さえてありますので、状況によってはまた引きつづき続けるということも考えております。とりあえず第1回の昨日で締め切った分については一旦これでかためてということにしているところでございます。

-広田議員

 5月下旬から高齢者の予約が始まり、いろんな混乱の中「ずっと取れない」という方がいて、この集団接種は最後の頼みの綱と言っても過言ではないほどみなさん求めていたものですので、ぜひ今回漏れても明日からの予約でしっかり取れるようにサポートも含めてお願いをしたいと思います。

※質問の前には、65歳以上の予約がまだとれていない方への「第2弾集団接種のご案内」が公表されていたのですが、答弁の中でそれを言って頂けず噛み合わない感じになってしまいました。

②コロナ禍での市民のくらし

 次に、コロナ禍での市民のくらしに関わって、特例貸付制度とあらたな給付制度について伺います。石川県労働力調査の令和2年度の平均値では、就業者数は613万3千人であり、前年度に比べ19万6千人の減少です。完全失業者数は13万8千人で前年度比2万2千人の増加、休業者数も15,800人で前年度比5,200人の増加です。1月から3月はやや改善しましたが、今年度に入り5・6月の石川緊急事態宣言等によって大きな影響がまた出ているのではないでしょうか。コロナで収入が途絶える、減少することで受けられる、社会福祉協議会の特例貸付制度は、昨年4月から今年5月までで緊急小口が4,335件、総合貸付の初回が3,646件に達したということです。お聞きしましたところ、20歳から50歳代の稼働年齢層がおよそ8割を占め、40歳代が最も多い状況です。そして、この3月の再支給申請が急増しているというものです。生活困窮者の現状と見通しについてあきらかにしてください。

-山野市長

 総合支援資金の再貸付のほか、緊急小口資金特例貸付や住居確保給付金の申請も増加傾向にあります。大変厳しい方が多いと思っています。感染症の影響により雇用経済情勢の改善が見られない場合はこの状況が続くと、大変懸念をしているところであります。

-広田議員

 市長がおっしゃったように、新型コロナウイルスの影響が長期化し、再支給を申請し、貸し付けの限度額に達している方も多くいます。その方々に対し、国があらたに給付制度を創設し、今議会でも追加上程されたところです。3か月で最大30万円の給付金とのことですが、受けられる条件は「特例貸付を上限まで借り終わっていること」や「求職活動をしている」など厳しいものです。まずは、貸付限度額に達している方、および、その中で制度の対象となる方がどれほどいらっしゃるのか、あきらかにしてください。

-高柳福祉健康局長

 総合支援資金特例貸付の再貸付を終了し、本年5月末までに貸付限度額に達した方は1,369人でありまして、申請期限である8月末までに限度額に達すると思われる方は458人、合わせて1,827人が限度額に達すると考えております。今回の新しい国の制度であります新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金の給付にあたりましては、議員がご指摘の通り収入や預貯金が基準額を下回っていることと、かつ求職活動を行うという要件が必要でございまして、対象となる方は900人くらいというふうに見込んでいるところでございます。

-広田議員

 貸付限度額に達していてもおよそ半分の方がこの制度を利用できないということになります。こういった、貸付は限度額に達しているのに給付制度を利用できない方々への対応が必要だと考えます。また、特例貸付を受けてからという厳しい条件があるわけですが、私の相談の中でもすでに民間やご親戚から借金もし、あらたに借りても返す見通しが立たないのでこうした貸付制度を利用できないと方がたくさんいらっしゃいます。これら、貸付も給付も受けられない方には、稼働年齢層であっても積極的に生活保護制度の利用を促すべきです。この間、コロナ禍での車の処分指導の留保などの特例があります。また、国から扶養調査について本人の意向を尊重する取扱いが示されました。本市ではこれらの取扱いをどのように活かし、生活保護を受けてもらうのか、教えてください。

-山野市長

 生活保護の申請におきましては、自動車の処分、親戚の扶養調査について個々の世帯の状況に即した柔軟な対応を行ってきているところでありまして、生活に本当に困窮されている方も増えてきている状況であります。そういう方たちが生活保護を受けられるよう、今後も丁寧な対応と支援に努めてまいります。

-広田議員

 ぜひとも柔軟な対応をお願いします。

③東京オリンピックの開催と本市のオリンピック関連事業事前について

 つぎに、コロナ禍での東京オリンピックの開催と本市の関連事業についてです。東京オリンピックの開催について、多くの専門家が、感染拡大や医療体制ひっ迫の危険を指摘しています。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長も「今の状況でやるというのは普通はない」と国会で答弁しました。にもかかわらず菅政権は警告を無視し、感染症専門家にリスク評価を諮問することもなく開催に突き進んでいます。一方、組織委員会は11日、観客や大会関係者など来訪者が1日最大約34万人となることを公表。大会を開催した場合、都内では新規感染者が開催しない場合より200人も増える試算も明らかにしました。これらの状況から圧倒的多数の世論は延期や中止を求めています。リスクが指摘されている今、国民の命を危うくしてオリンピック開催を強行することは許されません。いま我が国が総力をあげて取り組むべきは、感染拡大の防止徹底による医療崩壊の回避やワクチン接種の早期完了、さきほどもあきらかになった生活困窮者や経営不振に苦しむ事業者等への支援です。市長の見解はいかがでしょうか。

-山野市長

 後段おっしゃったコロナ対策、そして困った方への支援が最大の眼目だということは同じであります。ただ一方では、国・東京都・大会組織委員会等でのみなさんが様々なリスクヘッジをしながら準備をされていらっしゃるところであります。自治体としては開催の是非に言及するのではなく、これらの施策をしっかりと支えていきながら、市としてできうる限りの対応をとっていくことに尽きるんだと思っております。

-広田議員

 本市のオリンピック関連事業について伺います。様々な事業が用意されていますが大まかにまとめますと、事前合宿についてはフランスとロシアから8チームの外国人選手やスタッフ、総勢200名ほどを受け入れ、7月10日を皮切りに、それぞれ10日間ほど滞在されるということです。一部は白山市での合宿です。そして、ライブサイトについては、総合体育館で飲食を伴うイベントと聞いています。また、若手選手を東京に派遣してオリンピック選手と交流する事業や、競技後東京から戻ってきたオリンピック選手と市民との交流などがあります。これらの事業に関して、オリンピック関連推進事業室のみなさんも日々準備に取り組んでおられるかと思います。しかしその一方で、全国同様、本市でも緊張感の中、日々対応する医療機関やエッセンシャルワーカーの方々がいます。理解が得られるでしょうか。また、今回の合宿中になにかあれば、本市の保健所も対応を迫られ、医療については市立病院が担うと聞いています。本市の業務にも多大な影響が予想されます。

 そこで、感染対策について伺います。組織委員会や政府は、「開催地を大きな泡で包むように囲い、選手やコーチ・関係者を隔離。外部の人達と接触を遮断する」バブル方式を採用する、と言いますが、事前合宿やホストタウン事業は開催地の東京都内では完結しません。日本についてから、まず本市へ移動・滞在、その後東京へ行き、試合後は東京から戻ってきて交流し帰国する。しかも日本についてから公共交通は使わないとプレイブックにはありますが、国内航空は認められ、一般の空の便で小松空港までおいでるチームもあるとのことです。また、本市側で対応する職員や通訳の方々のワクチン接種は間に合わないと思われます。本当に政府のいうバブル方式が成立するのでしょうか。

-山野市長

 選手団は母国から出国する直前に発行された陰性証明の提出に加え、出国前14日間の体温測定と体調管理が義務づけられています。入国する際も抗原検査をされて、陰性でなければ日本への入国は認められないとお聞きしています。入国後ですが、本市職員が選手団に随行し、一般客と分離した動線を案内し、飛行機では一般客と2席以上離れた座席となり、バスはご指摘のように専用車両であります。市内におきましては宿泊施設と練習会場以外の行動は禁止とし、宿泊施設ではフロアを貸し切り、練習施設では占有利用とするなど、市民との接触は徹底して排除することとしています。以上のことから、事前合宿などの際の市内での感染リスクは極力抑えこまれると理解をしています。

-広田議員

 バスは貸し切りですけど、飛行機が2席空けるという対策であることがわかりました。
これらの考え方は、国のプレイブックや本市が作られた非公開の分厚いマニュアルに沿って行われるということはわかっています。しかし、国でも追及があるように、本市の現状を理解しているような感染の専門家のリスク評価やご助言・ご指導は受けているのか、それをあきらかにしてください。

-山野市長

 何度かご指摘いただいておりますプレイブックのほかに、各種競技団体が作成したガイドライン等を参考にしており、本市の個別的な状況につきましては金沢市保健所に相談をしながら作成しているところであります。

-広田議員

 保健所がこの大変な中関わっていらっしゃるということなんですね。
つぎに、尾身会長も感染リスクが高いとし中止が必要だとしている、ライブサイトや選手との交流事業、これはいろんな自治体がすでに中止の判断をしております。本市も早めのご決断をするように求めたいと思いますし、現時点で保健所から何か指導などがあるのか教えてください。

-山野市長

 他の自治体の動向も承知をしています。国も一定の方針をお示しになっていらっしゃいます。市内・県内・近隣県の感染状況に注視をしながら、慎重に検討をしていきたいというふうに思っています。その検討の過程の中で、当然、金沢市保健所だとか競技団体のみなさん、多くの方たちに相談をしながら判断しなければならないと思っています。

-広田議員

 早めの、保健所からの指導であるとか検討をお願いしたいと思います。最後に、苦渋の決断かとは思いますが、保健所とも相談をし、市民や選手の安全が確保されない、感染状況を悪化させる可能性が少しでもあれば、今後、中止の判断をくだすよう求めておきたいと思います。

④金沢市パートナーシップ宣誓制度について 

 次にいよいよ7月1日施行となる金沢市パートナーシップ宣誓制度について伺います。まずはLGBT法案について。これは、LGBTなど性的少数者への理解をすすめ差別をなくすため、当事者の後押しで、超党派の議員連盟が今国会で成立をめざしてきた法案です。明日で国会を閉じるとしていますが、今国会での成立を願いたいと思います。本市のパートナーシップ制度も、当事者のみなさんの声で進められてきました。パブリックコメントにも多数の前向きなご意見が寄せられたところですが、改善や発展を求める声もありました。その中で、情報開示の点で問題があります。基本方針の中で、パートナーシップ宣誓の書類やカードについて、「交付番号毎に交付日及び返還、紛失又は無効となった日を市ホームページに掲載し、その有効性をサービス提供者が随時確認可能とする」とあり、誰もが見られる状態が想定されます。しかし、これは重要な個人情報ですし、アウティングに繋がる可能性も否定できません。交付番号等の公表をやめるよう求めますがいかがでしょうか。

-山野市長

 宣誓したパートナーがサービスを受ける際、提供者が有効性を随時確認する必要があるため、紛失または無効となったものについてのみホームページに掲載することとしたいと考えています。

-広田議員

 当初は交付日から掲載するということでしたけれども、方針を変えられるということで確認ができました。ぜひ、躊躇なく多くの方が受けられるように求めておきたいと思います。

⑤有名店の街中からの撤退について

 さいごに、有名店のまちなかからの撤退について伺います。来月頭、大手有名雑貨店が片町きららから撤退し、駅前のフォーラスへ移転すると話題になっています。しかし、これはただの移転ではなく、市民の税金が費やされてきた経緯があり、検証が必要です。まず「片町きらら」は2015年に開業しました。単純なラブロの立替えではなく再開発によって、建設費54億に対し、34億円の税金が投入されました。そこへ、キーテナントとしてこの大手有名雑貨店とアパレル店が、本市から各々5,000万円の補助を受けてきました。核店舗誘致促進事業補助金という、片町きらら開業の前年度に創設された本市の制度です。その目的は「北陸新幹線の金沢開業にあたり、本市の都心軸線の拠点性をさらに高め、中心市街地の賑わいと魅力の向上を図るために、広域にわたる集客力と発信力を兼ね備えた核店舗の新設に要する経費に対する補助金」というものです。わたしは当時、議会で見直しを求めました。「この補助金は大手でなければ対象にならない。中心市街地の賑わいづくりというが、大手企業の本社は首都圏であり、そちらに儲けが吸い上げられるのではないか。大手なら自力で市場を拡げる資本があるのに、お金を出して誘致しなければ採算が合わないのか。補助金の期間5年が過ぎてからも末永く、金沢の発展のために残っていただけるのか。」というものです。結果、この2店舗は、補助金返還を求める期間5年をすぎ、きららとは更新をせず撤退となったそうです。市長、5,000万円もの補助金を受けた店舗が短期間で撤退しましたが、補助金の目的に照らして成果があったと言えるのでしょうか。

-山野市長

 本市の都心軸の拠点性を高めるということ、中心地の賑わい・魅力の向上を図ることを目的とした制度が、今ほどご指摘がありました制度であります。多くの来店者があり、中心市街地の集客・賑わいに貢献をいただいたものだというふうに思っています。きららとの再契約ができなかったことは大変残念なことではありますけれども、私は一定の効果はあったというふうに理解をしています。

-広田議員

 市長は最低限5年いればよかったと、それで賑わい創出・市に貢献したと、そういうふうに受け止めます。当時、片町きららは本市の目玉施策であり、そのキーテナントとして長らく活躍してほしいと期待したからこそ、市は多額の税金を投入したのだと私は考えます。2017年の経済環境常任委員会で「もし、あの大きなスペースが空いたら金沢の中心市街地にとって損失なので、税金である補助金を出した意味をしっかり業者に伝えてほしいが、どうか。」と私は尋ね、市は「当然、退店する場合には6カ月前なり1年前に施設管理者に意向を示すことになっているので、そうならないようまちなかの商店街とも情報共有しながらしっかりと取り組んでいきたい。」と答えています。今回、商店街や施設管理者との情報共有や、また、ひきとめるような活動は行われてきたのか伺います。

-山野市長

 民間の契約でありますので市が交渉の矢面に立つということはありませんが、運営会社からは引き続き営業を継続していただくようテナント側と何度も話し合いが持たれ交渉が行われたということをお聞きしているところであります。大変残念なことではありますけれども、最終的には企業の経営判断だというふうに思っています。

-広田議員

 駅前の都ホテルにはまだ何ら契約も結んでいないのに、市長自ら足を運ばれたと聞いています。一方で、5,000万円の補助金を出し、この大手有名店は直営店です。市長がしっかりと引き留めるということがあっても良かったのではないかというふうに思います。
 一方で、まちなか商店街の小規模事業者は、商店街の存続、従業員の生活を守るため、このコロナ禍でも必死でがんばっています。大手企業の撤退は、この実態と比較するとあまりにもむごい現実です。今回、コロナ禍だから仕方ないと捉える人もいるかもしれませんが、きらら開業前から、市内中心部は近隣都市や市郊外の大型ショッピングモール、駅前の商業施設におされ、厳しい中にありました。そして2017年にはイオン小松の開業、2019年には近隣ビルに競合相手とも言える大手雑貨店が開業、しかもその店舗にも本市は同じ補助金を出しています。そして、この7月には白山イオンの開業です。市長、今後も多額の補助金を税金から出し、大企業店舗誘致をまちなかに繰り返していくつもりでしょうか。あきらかにしてください。

-山野市長

 今お話しています店舗は、大変魅力的な品ぞろえをすることによって集客効果も期待できますし、中心市街地の賑わいにも大きく貢献していただきました。退店されるのは大変残念なことではありますけれども、市といたしましては引き続き商店街のみなさんと連携をしながら、まちなかの活性化に努めていきたいというふうに思っています。テナントの誘致ももちろん大切なことではありますけれでも、様々なソフト的な事業もまちなか商店街と協力することによって、ソフト的な視点からも活性化に寄与していくということもこれからしっかりしていきたいと考えています。

-広田議員

 わたしは、この店舗が出ていくとか出ていかないとかいう話だけではなく、県内や近隣都市の開業状況を見ながら、本当に今の金沢市のまちなかの補助金のありかた、商店街との連携の仕方がどうなのかというふうに思っています。大手のテナント誘致に頼る施策ではなく、地元の業者を応援すること、そして郊外の大型店舗の進出に対して市や県、一体で取り組むことが必要かと思いますがその点はいかがでしょうか。

-山野市長

 もちろん、キーテナントの誘致だけに取り組んでいるわけではありません。それぞれの店舗の、まさに広田議員がおっしゃるところの地元の店舗のみなさんが活動しやすい環境を作っていくためにも様々な施策に取り組んできているところであります。郊外の大型店舗のことについてもご指摘がありました。これまでにも県をはじめ関係機関の方にも強く働きかけをしてきているところであります。商工会議所の方でもこのことについて大変危機感をお持ちでして、市長室にお越しになるときに会長自らそのことについて問題提起もなされて、県の方でも問題提起をなされていらっしゃるということをお聞きをしています。引き続き商工会議所と連携をしながら、県ともこれはどうしても力をお借りしなければなりませんので、連携をしながら取り組んでいかなければいけないと思っています。

-広田議員

 以上で終わります。

3月連合審査会 広田みよ議員

除雪について

-広田委員
 質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として以下質問致します。
 まずは、除雪についてです。これまでにあきらかになった通り、本市では、市道2186kmに対し、消雪を含む除雪路線はおよそ4割の883kmです。そのほかの路線は市民の協力のうえに成り立ってきましたが、短期集中型の積雪に加え、高齢化や空き家の増加などで地域での除雪は限界。そのうえ、宅配は増え、通院・介護サービスでの往来など、命やくらしに直結する道路の利用が多くなっています。こうした地域の実情や生活実態にあわせ、公的除雪の範囲拡大を求める声が強くなっています。
 3年前の大雪の後、本市は路線計画の見直しや委託・協力業者を増やすなど取り組みはありましたし、委託業者のみなさんも不眠で除雪をしていただいております。ただ、計画路線を増やしたとはいえ、除雪路線は4割にとどまっており、平成17年度から一貫して変わっていません。
 そこで伺います。まず大前提として、除雪は、道路法第42条を根拠に行われています。道路法第42条『道路管理者は、道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もつて一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない。』とあり、道路法施行令第35条に、除雪も含め必要な措置を講ずるよう定められ、除雪が法律上の義務として明示されています。よって、金沢市道の除雪は、法的には原則、道路管理者である市が行うよう努めるべき、という認識でよいですか。

-高木道路管理課長
 道路法第42条では、ご紹介いただきましたように『道路管理者は 道路を常時良好な状態に保つように維持し、修繕し、もつて一般交通に支障を及ぼさないように努めなければならない』と定められております。この趣旨に基づきまして、市民生活に大きな影響のある幹線道路やバス路線の他、地域における主要な道路などを除雪路線に位置付ける金沢市道路除雪計画の実践により、速やかに除排雪作業を行い、一般交通に支障を及ぼさないように努めているところでございます。

-広田委員
 この道路法では、市道を幹線であるとかバスが通るなどという区分はしていません。市道は市道全般のことを言っており、道路管理者である市は市道全般に責任を持つ必要が法律に明記されています。そのことを確認したいのですが、いかがでしょうか。

-高木道路管理課長
 繰り返しになりますけれども、この道路法の趣旨に基づきましてそれぞれの道路除雪計画に位置づけまして速やかな除雪作業に努めているところでございます。

-広田委員
 計画路線だけでなく、この法律の趣旨に基づき金沢市は除雪を進めているというご答弁が最終的にありました。(←読み返すとよくわからないことを言っていましたm-ーm)法律は法律です。区分はされていませんので、それはお認めになっておられるのだと認識していますが、市長、いかがですか。

-山野市長
 道路法によりまして努めるということは、市の責務であるというふうに思っています。ただ現実問題として、金沢市の行政だけで全てできるものではありません。民間事業者のお力もお借りしますし、市民のみなさんのお力もお借りをしながら努めるようにしていかなければいけないというふうに認識しています。

-広田委員
 努めるべきものなのに、4割しか計画されていない。例えば8割計画していて、がんばったけれども今回4割しかできませんならば努力義務を果たしたと言えるのかもしれませんが、最初から4割しかやらないという計画自体が、私は法の趣旨に反しているのではないかと申し上げております。確認ですが、金沢市の地形は狭くて道路が曲がっているということでなかなか機械が入りにくいという実態を教えていただいていますが、機械除雪が入れない道路というのはどれくらいだと認識されていますか。

-高木道路管理課長
 金沢市道の全体延長2190kmにおきまして、平均幅員が4m未満の機械除雪がなかなか難しいという狭隘な道路延長は、約80kmとなっております。

-広田委員
 思っていたよりも短くて、除雪されていない6割の市道1303kmのうち80kmを除くと、1223kmは除雪できる可能性があるということであります。そして、確かに事業者の力がなくてはならないんです。
 だけども、他都市も3割とか4割とかで困っているのかといえば実態が違いまして、近隣都市を調べてみましたところ、市道のうち除雪と消雪をあわせて本市は4割ですが、白山市は市道の73%をカバー、小松市は市道の85%、それにプラスして幅員4m以上の町道144kmもカバーしています。福井市は、85%をカバーし、富山市も81%をカバーしている状況です。
 ですので私は、法に則して、かつ本市の財政力をもってして、もっと計画路線を拡大した積極的な除雪計画をつくるべきだと提案をしています。
 例えば2018年度に開かれた金沢市道路雪害対策検討委員会ですが、そのとき除雪業者さんへのアンケートで「機械の貸し出しがあれば、除雪路線を増やせる」という回答が33%、およそ30社ありました。また、さきほどの他都市で機械の所有区分を調べましたが、市が所有またはリースをして、それを民間へ貸し出すという方法が多くとられています。
 さらに、今回はじめて利用された地域排除雪活動費補助制度では、これまでにない多くの業者さんが地域の除雪を担えたことから、少なくともその力は計画路線に組み込めるのではないか。
 そして新聞でも報じられていますが、富山県では日中の道路除雪も含めて今検討をはじめていると。
 いろんな可能性が満ちているというところで、本市ではこれらのこと、どこまで検討が進んでいるでしょうか。

-川島土木局長
 福井市など他の各自治体では、それぞれの道路開路状況や委託業者の数、山間地の割合など、それぞれの実情に応じて委託業者の確保や除雪路線の選定などを進め、工夫を凝らしてそれぞれ除雪に取り組んでいるものと考えております。
 除雪路線の選定にあたりましては、本市におきましても3年前のアンケート結果を踏まえ建設業協会等と連携し、まずはオペレーターの確保に努めるなど可能な限り対応してきており、ご提案の町会が活用した委託業者を使えばどうかといったことなども含めまして、さらなる工夫ができないか検討していきたいと考えています。
 なお、市道延長は年々増加しております。住民の要望は年々高まっております。一方で作業を担う土木業者は近年の公共事業の縮小、労働力不足、作業員の高齢化等々で業界の体力が低下している状態であります。こうした中でもなんとか除雪業者を確保しながら、路線を少しずつかもしれませんが追加をしてきております。しかし、この冬におきましても作業が遅いとか下手だなどのご指摘も受けているところでございます。道路状況等を勘案して、必要な路線を追加していきたい、そういう気持ちは山々でありますが、業者の確保が不可欠だと思っております。どうか、例えばご家族・知人などでそういった作業を担っていただけるなり手の声かけなどをしていただけると大変ありがたいと考えています。

-広田委員
 地方の実情は、すでに国の方でも2013年度に検討会が開かれ議論されています。道路延長が伸びる一方なのに建設業者が衰退しているというようなことも検討されておりました。ただ道路延長って自然に延びているわけではなく市が延ばしているので、維持管理も含めてそこは本来考えないといけないということ。建設業者についても、他都市に問い合わせたとき、他都市も大変苦悩している。金沢市さんより建設業者も少ないですけれどもという話もあったんですけれども、工夫を凝らしてとおっしゃるようにやっているんですね。なので金沢市にも何かもっとできる可能性があるんじゃないかと、先程ご提案させていただきました。私は、本市は4割を維持しているのかなと思っていたのですが道路除雪を増やしたいという思いを今聞けましたので、そこはぜひ協力して頑張って増やしていきたいと思います。
 つぎに、除雪の要望が多い歩道についてですが、これも市道であればもちろん道路管理義務が市にあるわけですが、検討会の中で造園業者さんが「我々は小規模な機械しか保有していないので、歩道など小規模な支援は可能だ」と意見がありました。その後の計画で2kmほど歩道除雪延長は増えましたが、さらに増やせないのか、伺います。

-川島土木局長
 これまでも年度毎の金沢市道路除雪計画の改善・改定に合わせ、先程述べました対応業者を確保しながら、先程言われた造園業者も新たに参画をいただくなど、そういった業者さんを確保しながら通学路などの歩道を新規に除雪路線として追加してきております。今後とも業者の掘り起こしに努めながら道路の状況等に応じ優先順位を見極めて路線を選定するなど、できる限りの対応に努めていきたいと考えております。

-広田委員
 歩道も市道ですのでぜひ責任をもって、市道全般に責任をもってやっていただきたいと思います。
 一方、公的な体制はどうなっているのか。本市の道路等管理事務所は行革によって、1998年度には全体で40名いた配置が2020年度には13名となり、技能職の人数も34名いたのが7名と、5分の1に減らされている状況です。以前は複数の路線を本市直営で除雪していたようですが、今は倉ヶ岳と、緊急的な対応のみとなっています。市は技能職の退職者不補充という方針をとっており、このままいくと道路等管理事務所は先細りです。しかし、年中市民のお声に対応する、なくてはならない存在と考えます。退職者不補充の方針を転換し、直営でもっと除雪を行えるような体制にすべきではないですか。

-川島土木局長
 道路等管理事務所では山間部の路線をはじめ、緊急的な例えば路肩部の除雪であったり、迅速に対応すべき場所であったり、そういったところの除雪を迅速に対応できる、そういった体制を整備してきております。一方で本市の除排雪作業は、民間事業者への委託による作業がほとんどを占めております。今後とも民間事業者と連携し・補完する現在の体制を維持していくということが大切と考えておりまして、直営の除雪路線を増やしていくことまでは考えておりません。

-広田委員
 ここにも民営化路線の影があるわけですよね。今7名で本当に大変がんばっていただいておりますけれども、やはり何かあった時に直営で頼りになる事務所というのは拡充しないといけないと、改めて求めておきたいと思います。
 最後に、来年度の除雪計画は11月頃にできると聞いていますので、今申し上げました、除雪路線を増やしたい思いは一緒でしたので、ぜひいろいろリースができないかとか、他都市も見てシミュレーションもして検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

-川島土木局長
 毎年度、委託業者数の現状であったり道路整備状況の変化などを踏まえ、国や県・気象台・町会助成団体等の関係機関からなる除雪対策会議で検討協議をして、除雪計画を決定してきています。今後の改定にあたりましては委託業者との調整であったり、これまでいただいた町会等からのさまざまなご意見などを参考に、委託業者の掘り起こしに努めながら、必要な路線については計画路線の指定を検討していきたいと考えております。

-広田委員
 必要な路線ということではなく、やはり全ての路線を除雪できるよう目指して、頑張っていくという方針をぜひ持っていただきたいと思います。
 また、国の財政措置については、今回みたいな大雪のときにかかった除雪費の一部については補助や特別交付の措置がありますが、実情にあった固定費や待機費についてはないので、それの支援拡大も引き続き求めていきたいと思います。
 次に地域への補助制度について伺います。先程から議論している本市の道路除雪計画では、計画路線4割以外の市道への対応として、第6節の1で「除雪機械等の購入補助」「消雪装置設置費補助」「地域除排雪活動費補助」の3つをあげ、市民の協力を位置づけています。2017年度まではこのことは第1節に組み込まれていましたが、2018年度の計画変更時に第6節に単独で節建てまでされています。共助を推し進める意味なのかどうなのかはわかりませんが、先程の道路法の趣旨からして、補助制度はあくまでも補足として扱うべきだと思います。「計画路線以外は補助を使え」と市民に主たる手段として提案する計画は、法を逸脱すると考えますがいかがですか。

-川島土木局長
 本市は道路法の趣旨に基づき、地域の協力も得ながら一般交通に支障を及ぼさないように努めているところであります。除排雪作業をより迅速に行うために、地域のみなさまのご協力も得ながら、市民ぐるみの除雪体制で対応しているということを改めてご理解願いたいと思います。

-広田委員
 市民には努力義務は課されていないんですよ。あくまでも市に対して努力義務とはいえども義務が課されているということを、ぜひ真面目に受け取ってほしいと思います。そしてわざわざ第6節にあげていますが、どの町会もこの補助制度を使えるわけではないということもみなさんご存じだと思います。財政上厳しいとか、合意がとれないとか、除雪機を買っても置くところがないとか、さまざまな理由で補助が使えていない。使えないものを計画にあげるというのはやってはいけないことだと思います。

 また補助の仕方も問題があると思います。例えば今冬の大雪で「地域除排雪費補助」が初めて使われました。市内1346町会のうち274町会の利用がありましたが、この中でお聞きしましたところ、一番高い町会が申請総額で176万円使ったと。町会全部の総額で7781万円。実際申請して受け取った補助額はいくらかというと、先程の176万円はもちろん上限30万円ですし、総額でみると4236万円ということで、差し引き単純計算で3545万円は地域住民が負担したわけです。多い地域では146万円を負担したということになります。先程の道路管理の仕組みからいくと、市民の税金で行われているものが、市の計画路線にない市道については住民負担でやらなければならない。しかも補助分の4236万円も、これも税金かというと、実はみなさんご存じの、有料ごみ袋を市民が買ったお金を積み立てたコミュニティ基金なんです。市道の計画路線以外で補助を使った道路については、市民のみなさんが全額、税金以外の新たな負担をしているということに気付きました。
 よって、市が市道に対し除雪で責任を果たせない間は、道路法の趣旨と、市民の基金を利用していることから、使った額に対し全額出すことに切り替えるべきだと思いますがいかがですか。

―川島土木局長
 本市では道路法の趣旨に基づいて、地域の協力もいただきながら、円滑な交通の確保に努めているところでございます。町会に対する「地域除排雪活動費補助金」でございますが、これは本市の除雪計画に定めた役割分担、市とか事業者とか市民とか、その役割分担に基づく市民共同による除雪の地域協力に対してその一部を助成しているのでありまして、全額負担は考えておりません。

-広田委員
 そして対象期間は雪害対策本部の設置期間となっていますが、その基準は西念にある金沢地方気象台の露場観測となります。ここで60cmを計測するとき、山間部などではすでに60㎝を超えることは明らかですので、地域の実情にあわせて対象期間をなくすことを求めますがいかがですか。

-川島土木局長
 町会へのこの補助制度は、今回初めて活用されたものであります。町会からは、ご指摘の適用期間であったり対象路線の拡大であったり限度額の引き上げなど、さまざまなご意見をいただいております。そうした実態を十分踏まえまして、今後どのような対応が可能か検討していきたいと考えております。

ガス・発電事業の民営化に伴う、ガス・水道事業について

-広田委員
 次に、ガス・水道事業について伺います。ガス・発電事業の民営化によって、多くの職員が退職派遣される可能性があります。残る本市企業局のサービス、技能・技術力の低下が課題です。これはガスを利用している市民だけでなく、本市の市民すべてに共通する問題です。
 そこで、伺います。保安についてです。安全安心の大前提である、管の更新や修理、日頃の保安については、本市の場合これまでガスと水道と一体でやってきたと思いますし、現場に出る職員は、ガスにも水道にも対応できる技能を有していると聞いていますが、現状を伺います。

―山下維持管理課長
 現在29名の技能職員がガス・水道の保安業務にあたっております。いずれの職員も両事業に対応できる技能を有しております。

-広田委員
 ガス事業と水道事業は、29名の職員が一体となって24時間受付・出動体制をとり、ガス臭いとか水が出ないとかいう市民からの連絡に対応しているところであります。事業年報をみると、2019年度のそうした受付総件数は、ガス4560件、水道5726件と載っていますが、そのうち夜間・休日等の時間外における年間の相談受付がどの程度あるのか、教えてください。

-山下維持管理課長
 夜間・休日等の時間外の受付件数につきましては、令和元年度の実績でガス644件、水道740件となっております。

-広田委員
 ガスで644件、水道で740件と、夜間に市民が心細いなか職員の方が駆けつけてくれているという状況です。この夜間も含めた24時間対応するその法的根拠ですが、ガス事業法第40条の2 第4項の規定で、ガス事業者に対し緊急時対応を義務付けていることがあげられます。ところで、仮に水道だけになったとしても24時間これまで通りの対応をするのかどうか、教えてください。

-平嶋公営企業管理者
 ご指摘のように、現在ガス事業の保安上、当直体制をとっております。事業譲渡後の対応につきましては今後検討していくことになりますが、水道事業者として市民の安全安心を確保することは必要でありますので、24時間対応は当然ながら必要と考えております。

-広田委員
 もう一度確認ですが、水道事業が残った場合、今と同じような当直体制をとって、何かあれば現場にすぐ駆けつけると、そういうことでよろしいですか?

-平嶋公営企業管理者
 他の事業者の状況も十分検討しながら、対応について引き続き検討してまいります。

-広田委員
 検討しているんだと思うんですよ。他の中核市がそうなっています。そして職員が、ガスと発電部門の技術職なり技能職なりが定数としてごっそりいなくなる。水道事業も触れるガス職員もいるわけですよね。そういう人もいなくなる。そんな中で本当に当直の体制が組めるのか、そんなことが課題になっているのではないでしょうか。
 つぎに、安全のためには管の更新が不可欠ですが、ガスと水道の管の更新は同時に行っていると聞いています。そうした連携は今後どうなるのか。そして経済産業省の目標をもとに今更新を行っているわけですが、民間事業者が今後計画的にこの更新をきちんと行っていく補償はどこにあるのか。教えてください。

-平嶋公営企業管理者
 まずガス水道の管工事の連携についてでございますが、この度決定した優先交渉権者からは、管工事に関する市との調整会議などを設置し情報共有や工事の同時実施を図ること、またガス管の調査に合わせまして上下水道の目視点検を行うことなどが提案されているところでございます。譲渡後も連携を密にしながら市民の安全安心の確保や効率的な事業運営に努めてまいります。
 引き続き、国の目標に従うガス管の更新についてのご質問ですが、市民の安全安心の確保を図るうえでガスの経年管対策や耐震化対策など、計画的に行っていくことは必要でございます。これもこの度決定した優先交渉権者からは、ひとつにガス管の埋設年数などを踏まえた更新計画の立案、また新工法の導入による更新工事の効率化、国の目標値を超える耐震化率の達成などが提案されているところでございまして、市として管路の更新計画や進捗状況などについて確認していきたいと考えております。

-広田委員
 民間のみなさんとも連携して、市としてもチェックするということだと思うのですが、しかしながらそうしたチェックについても技術的・技能的知見が必要です。しかし、ガスと発電事業が本市企業局からなくなれば、新しく入る技術職はガス事業を学ぶ機会はもはやなく、技能職に至ってはゆくゆく定年を迎えても、さきほどの退職者不補充で将来的には本市からいなくなってしまうということに今のところなっています。それで今後本当に、民間事業のチェックができるのですか。

-平嶋公営企業管理者
 ガス事業者は法律によりまして保安規定を定め、管路や製造設備などを適切に維持管理すること、また知識と経験を有するガス主任技術者を専任することが義務付けられておりまして、この度の優先交渉権者の企業グループを構成する都市ガス事業者2社も十分な実績を有しております。加えて新会社へ本市職員を派遣し、これまでの維持管理の状況を引き継ぐこととしておりまして、将来にわたり新会社の技術レベルは確保されるものと考えております。

-広田委員
 当然民間事業者になっても法的責務はありますし、市の職員も派遣するとは言いますけれども、やはり市として譲渡するという責任をどう果たすか。企業局として、例えば道路下を開けたときに水道管とガス管が見えるわけですから、水道管を扱っているときにガス管がどうなっているのかなって見ることもできるんですよね。そのときにちゃんと、技術的・技能的知見を有していないと、確認もできないということになります。私はこの点においても、民営化そのものに反対ですが、退職者不補充という制度はやめなければいけないというふうにも思います。
 最後にまとめますが、市が行ったパブリックコメントにおいて、日頃の企業局業務に関し、市民のクレームはひとつもありませんでした。信頼されている証だと思います。先般も大きな余震がありました。日本は地震大国であり、本市は雪害もあります。経営や効率よりも市民の安全を最優先にできる公営であり、なにかあってもガス・水道が連携できるからこそ、市民は信頼しています。引き続き、ガス・水道一体で対応していくことが必要ですし、技能職の退職者不補充と、そしてこの民営化の流れを許せば、いずれは水道も民営化ということになりかねません。ガス・発電民営化は中止するよう求め、次の質問に移ります。

GOTOトラベル施策と新型コロナウイルス対策について

 新年度予算では、GOTO トラベル関連の事業も予算化されています。一方、人の往来を活発化させるには、科学的知見にたって感染動向を見極めることが大切なのは言うまでもありません。しかし、業界紙の記事によると、昨年12月に市長が出席した石川・福井の旅行業界の会合の席で、21世紀美術館の来館者数の推移と感染者の推移をグラフにしたものを示し「GOTOトラベルで多くの観光客が金沢に来ておられるが、新型コロナウイルスの感染者は増えていません」と発言したと書かれていました。同様のことを市長がブログにも書いています。しかし本市保健所や専門家は、そのような比較をしてもいないし、見解も出されていないはずです。そしてこの市長の発信の10日後には、菅首相はGOTOトラベルを全国一斉中止を表明しました。現在、変異ウイルスが増えている中、感染動向が大変心配です。今後、花見や行楽シーズンとなり、市長がGOTO施策に前のめりになってしまうのではないかと懸念しています。専門的知見のもと、慎重にご対応いただくよう求めますがいかがですか。

-山野市長
 お話をいただきましたように、GOTOトラベルが始まった、五感にごちそう宿泊キャンペーンが始まった、本当は宿泊者のタイムリーなデータがあればよかったのですけれどもそれはありませんでしたので、21世紀美術館の入館者数を代替として提示をいたしました。実は同様な資料を福岡市の高島市長もお作りになっておられます。私はその金沢市の資料を提示をしながら、少なくとも金沢市・福岡市の現状を見る限りにおいて、GOTOトラベル事業と感染拡大との優位な関連性は見られないというふうに申し上げました。これは少なくとも金沢市と福岡市の事例を見れば現在はそうであるというふうに申し上げました。分科会の尾見会長もはっきりと記者会見でおっしゃっておられます。GOTOトラベルと感染拡大の関連性のエビデンスはないとおっしゃっておられます。ただ尾見会長はやはりドクターでありますので、マインド、心理的な面も含めて中止を呼び掛けていらっしゃいました。菅総理もそれを受けて、総合的に判断をして12月28日から中止をされたんだというふうに理解をしています。ただ中止をしまして2週間経っても感染拡大は残念ながら収まってはおりません。やはりこのエビデンスからいって、GOTOトラベルと感染拡大との有意な関連は見られないというのが、私は科学的な知見だと思っております。ただし、しっかりと市民のみなさんに安心してもらえる環境を作りながら、さまざまな施策に取り組んでいかなければならないと思っています。

※実際は、一括して質問して、一括して答弁をもらう形ですが、便宜上、一問一答の形にしています。

-大桑議員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団の一員として以下質問致します。
 まず、市立保育所のあり方についてお伺いいたします。昨年7月、本市子ども・子育て審議会の中で、市立保育所のあり方の検討が始まりました。老朽化の進む市立保育所の再整備や、職員の働き方改革についての調査審議が行われ、昨年12月末に基本方針が出されたところです。再整備については、原則は現地立替ですが、土砂災害警戒区域など、自然災害による危険区域や、危険な交通事情を抱える保育所については、移転も考慮することや、統廃合や民営化するという観点も加えられました。個別具体には、森本地区にある宮野保育所のあり方なども、検討するものとしています。危険な場所の保育所の移転は必要であり、早急に対策が求められるところです。移転調査検討費として、190万円が予算に計上されています。しかし、この市立保育所の整備にあたっては、統廃合や、民営化も踏まえての、検討となっていますが、具体的にどのように考えていらっしゃるのかお伺いいたします。

-山野市長
 市立保育所の再整備につきましては、原則現地での建て替えを基本としています。ただ、土砂災害警戒区域などにある保育所につきましては、児童の安全確保の観点から移転を含めた検討を行う必要があると考えています。今回、保育所の適正配置等を検討するための調査費をお諮りをしています。その調査結果を踏まえたうえで、順次、保育所ごとの整備計画を策定していきたいと考えています。

-大桑議員
 市長はこれまで議会の中で、わが党の質問に対し、公立保育所の役割について「市立保育所は一般的に統合保育の実施や、配慮を必要とする家庭の子どもの受け入れなど、セーフティネットとしての役割が求められている。民間施設が多い本市において、市立保育所が果たす役割は極めて大きい。また市立保育所での保育業務等を通じ、職員を継続的に育成することで児童相談所や幼児相談所における相談支援業務の他、幼児教育センターで行う幼児教育・保育の質のさらなる向上のための取り組みに対応できる人材の養成にも繋がっている」と、答えています。さらに、市立保育所のあり方検討の中では、これまではもちろんのこと、市立保育所としてのさらなる必要性、役割として、医療的ケアを必要とする児童への対応や、年度途中からの受け入れ態勢の充実などにも言及しています。このように市立保育所は、公立としての役割を重視して質を高めていくことを基本に、再整備をすすめるべきですがいかがでしょうか。市長のお考えをお尋ねします。

-山野市長
 個別整備計画の策定にあたりましては、公立保育所としての役割、さらには今後の少子化の影響、そしてまた金沢市はこれまでも民間も中心に保育所整備をしてきたという歴史的な経緯もあります。そういうことも踏まえながら、統廃合や民営化の可能性も踏まえ、幅広い視点から検討していきたいと考えています。

-大桑議員
 あり方検討会では保育士の働き方についても議論されています。市立保育所では、近年20代・30代の保育士の中途退職者が増えています。もともと、中堅層が少なく、定年で辞める人も出てくると、若い保育士に負担が増大し、結婚や出産を機に辞めるケースが多いとのことです。日々の業務をこなすだけでも精いっぱいにもかかわらず、書類作成などの事務作業も多く、残業が常態化していると言います。その原因はどこにあるのでしょうか。市立保育所の保育士配置において、非正規の割合が4割と高くなっていることにも由来するのではないでしょうか。まずは、正規保育士中心の配置に改善すべきですがいかがでしょうか。
 また、育休や病休などの代替えも、主に会計年度職員で補っている状況です。正規職員で補うべきですがいかがでしょうか。お伺いいたします。保育士には、保育の仕事のほかに事務処理や、行事の準備の時などは、特に、残業しなければならない実態があります。行事の準備等に時間がかかると、仕事を家に持ち帰りすることがあると聞いています。これは労働法制上、問題があります。保育士の働き方の改善をはかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

-山野市長
 保育士の働き方の改善についてご意見をいただきました。保育士の職場定着に向けましては、生涯働ける魅力ある職場づくりが必要であると考えており、これまでも国基準を上回る保育士を配置するとともに、園庭の維持管理や保育用品の消毒などの周辺業務を担う保育支援者を配置するなど、職場環境の改善につとめてきました。明年度ですけれども、保育計画や記録作成の省略化・効率化を図るため、ICTを活用したモデル事業を2か所の市立保育所で実施いたしますほか、各種行事の準備や保育室の装飾など、業務過多につながる作業を見直すこととしています。私も毎年すべての市立保育所にお伺いをして、所長先生はじめ多くの方のご意見をお聞きしています。今回のコロナ禍におきましてほとんどがつらいことではありましたけれども、これまで園で行ってきたルーチン、当たり前のように行ってきたイベント行事等々を見直していく中で、新たな気づきもあったということもお聞きをしているところであります。そういう作業の見直しというのも改めて大切だというふうに感じました。

-松田総務局長
 市立保育所の保育士を正規職員中心とすべきではないか、また育児休業や病気休暇の代替職員は正規職員で補うべきではないかというお尋ねでございました。正規保育職員につきましては、近年想定することができない早期退職者等が増加傾向にあり、職員定数を下回っておりましたことから、採用試験の年齢要件を引き上げ、採用人数の見直しを行うなど、人材の確保に努めてきたところであります。また今回、育児休業中の職員など定数外とする職員の範囲を明確に条例で定める改正案をお諮りしておりまして、引き続き正規保育士の適正配置に取り組んでまいります。

-大桑議員
 子育てをしながら働き続けられる職場の環境づくりを、市が責任をもって進めていく必要があることを訴えて、次の質問に移ります。
 保育所の給食を民間へ外部委託する計画についてもお聞きいたします。本市の技能職における退職者不補充の方針により、正規調理技士を各園に配置できなくなるということで、検討がされています。保育所の給食は、安心安全を確保すること、また、幼少期における食育としても重要です。現在、調理技士さんたちは、「おいしい、これどうやって作ったの?お替り!」と無垢な心から発せられる言葉や感性に触れながら子どもとかかわり給食を作っています。また市立保育所は、外国籍の児童やアレルギー等で特別食対応が必要な児童に対しても、細かい対応を行っています。子どもたち一人一人に見合った食事を提供するためにも、外部委託はやめるべきと考えます。今回給食調理の外部委託については、細かい委託契約を結んで給食の質を低下させないようにするとのことですが、いちばんのネックは、調理する方を直接、市が選んで雇えないことにあります。さらに、長期にわたって同じ方が従事するかどうかの補償もありません。この点について、どのようにお考えでしょうか。正規調理技士の退職不補充を撤回して、正規の調理技士を雇うべきだと考えますがいかがでしょうか。

-山野市長
 調理の外部委託のことについてお尋ねがございました。本市では、民間活力の導入を図り良質な公共サービスを提供するため、可能な業務については随時外部委託化を進めているところであります。また、調理技師を含めた技能労務職員についても、職員組合と合意の上、退職者不補充を基本としており、新たな正規調理技師の雇用は考えてはいません。

-大桑議員
 次に子育てと教育の負担軽減についてお伺いいたします。新型コロナウイルス感染症の影響により、自粛生活が長期に渡り、子育て世帯の生活にも大きな影響が及んでいます。お土産屋さんに納品しているお菓子の製造会社に勤めている方は、お子さんが2人いらっしゃいます。会社が一時、売り上げが激減したものの、夏ぐらいに少し持ち直したとのことです。しかし、東京を含む緊急事態宣言が出てからまた仕事がなくなり自宅待機となりました。休業補償で生活はしていますが、コロナ前よりも収入は少なく、出費を抑えてはいるものの、教育関連で出ていくものは出ていくので大変ですと言っておられました。又、家で音楽教室を開いている方は「イベントがなくなり、演奏料収入がなくなった。支援策があればいいのだが当てはまる支援策がなく、コロナが早く収束してほしい」と言います。この方にはたくさんのお子さんがいらっしゃるため、収入が減っても出ていくお金が変わらず、大変だとのことです。とりわけ、学校での費用が大きな負担になっていると訴えておられました。収入が減っても子どもの教育や命を守るためにも、必要な施策について伺います。
 まずは、学校給食の無償化についてです。そもそも、学校給食については学校給食法で、「健康の保持増進」や「望ましい食習慣」、「学校生活を豊かにし社交性や協同の精神を養うこと」をはじめ、食生活が自然の恩恵の上に成り立っていることや、食に関わる人たちの様々な活動に支えられていることについての理解を深めることなど、目標が示されています。これらの目標は、教育の目的を実現するために達成されるよう努めなければならないとされ、学校給食が義務教育の一環として明確に位置づけられています。そして今、子どもの貧困問題にみられるように、子育て世帯の所得格差と教育にかかる費用の増大が、子どもの食生活にも大きな影響を与えています。給食は、子どもたちが栄養のバランスが良い食事ができる、大切なものです。給食費の保護者の負担は金沢の小学校で月約5000円、年間にすれば約5万円ぐらいであり、中学校では月約5900円、年間約6万円です。文部科学省の調査では、保護者が負担する義務教育費の4割を給食費が占め、重い負担となっているとの声もあります。給食費の負担軽減は、喫緊の課題です。今回、公会計化など徴収システムの効率化や条例で遅延損害金まで明記しようとしています。いまの子育て応援や給食費無償化の流れと逆行していると思いますがいかがでしょうか。事務負担の軽減を図るには無償化することが一番ではないでしょうか。また、この間、本市は、学校給食法第11条では、経費以外の学校給食に要する経費は学校給食を受ける児童又は生徒の保護者の負担とする」ということを受けて、無償化はしないと答弁してきました。しかし、それは「負担させなければならない」というものではありません。衆議院で、学校給食費の徴収に関しての質問に、「文部科学省としては、一部の地方公共団体において学校給食を無償としていることは承知しており、このような取り組みは児童生徒の保護者の経済的な負担の軽減を図るために行われているものと認識しているが、学校給食を無償とするか否かについては「各学校の設置者が判断すべきもの」と答弁がありました。よって、学校の設置者である市長、学校給食無償化に踏み切る判断を求めますがいかがでしょうか。

-山野市長
 学校給食無償化のことについてご提案をいただきました。学校給食法では、給食の実施に必要な経費のうち、保護者は人件費や施設整備費以外の経費を負担することになっています。ただ金沢市はこのうち、光熱水費についても負担をしているところでありまして、保護者にご負担をいただいているのは食材費のみとなっています。加えて、経済的な理由で就学が困難な場合は就学援助制度により給食費の全額を支援しており、現時点で学校給食費の無償化については考えてはおりません。

-野口教育長
 給食費の公会計化につきましてどのように考えているのかとのお尋ねにお答えいたします。今回の学校給食費の公会計化は、給食費の収納に係る教職員の負担を軽減し、教材研究や授業準備、また子供たちに向き合うなどの本務に専念する時間を確保するほか、学校給食費会計の一層の透明性を図ることによって安全・安心で美味しい学校給食を安定的に供給提供していくことを目的としていることをご理解いただきたいと思います。

-大桑議員
 さて、いよいよ4月からデジタル教育に伴い、学習用端末が小中学校に配布されます。導入時に巨額な費用がかかり、ランニングコストは全て本市の負担になることや全家庭でWi-Fi環境が整備されていない中、学びの格差が拡大してしまうことへの懸念があります。さらに、タブレット使用による子どものネット依存症や目などへの健康被害など様々な問題が指摘されています。そこで、学習用端末が配布されるにあたって、親御さんからは、あらたな家庭の負担はあるのか、という心配の声が、あがっています。負担はあるのかお伺いいたします。

-野口教育長
 1人1台の学習用端末の導入にあたって、新たな家庭の負担についてのお尋ねがございました。1人1台の学習用端末は公費で整備を行い、児童生徒へ貸与するものでありまして、各家庭が負担するものはございません。ただし、1人1台の学習用端末を家庭学習の中でインターネットに接続をし使用する際には、インターネット通信費が発生し、その場合は各家庭がご負担することになります。

-大桑議員
 コロナ禍ではオンライン授業が行われたところもありました。ご家庭にWi-Fi環境もパソコンやスマホもないご家庭は、ついていけないとの声を聴きます。家庭で端末を利用することになった場合、Wi-Fi環境のない家庭にはどう対応するのでしょうか、無償で貸し出しすべきだと思いますがいかがでしょうか。

-野口教育長
 Wi-Fi環境のないご家庭に対して、Wi-Fi機器を無料で貸し出すべきだと考えるがいかがかというお尋ねがございました。ネットワーク環境がないご家庭につきましては、各学校に一定数のモバイルルーターを整備しておりまして、要望があれば無償で貸し出すことになりますが、このモバイルルーターを使って学習用端末をインターネットに接続し、家庭学習の中で使用する場合でも、インターネット通信費は発生し、家庭がご負担することになります。

-大桑議員
 次に、子どもの医療費助成についてです。子どもの心身の健全な発達を促すため、いつでも、どこでも、医療費の心配なく安心して医療を受けられるようにすることが、今強く求められています。貧困のために子どもたちが医療を受けられないという事態を防がなければならなりません。子ども医療費助成制度の拡大は、市民からの要望や期待が広がり、本市では一部、負担はありますが、中学卒業までに拡大されてきました。さらなる拡充を市民は求めています。ぜんそくとアレルギーを持つお子さんがいる親御さんから、「内科の通院と薬がかかせない。高校に進学して、医療費負担が3割になると、治療をやめるか、通院の回数をへらすしかない」という声をお聞きしました。その方は、就学援助を支給されないぎりぎりの家計とのことです。今回の予算編成では、子どもの医療費無料化の拡充がありませんでした。県内で本市だけが、中学校卒業までということで、ほかの市町は18歳までとなり、本市は対象年齢の拡大が遅れています。18歳まで拡充すべきですがいかがでしょうか。併せて窓口の完全な無料も求めますがいかがですか。

-山野市長
 子どもの医療費助成のことについてお尋ねがございました。子育てしやすい環境を整備をしていくためには、子どもの医療費の助成だけではなくて様々な施策を組み合わせていくことが必要だというふうに考えていまして、施策の充実を図ってきているところであります。今般ご提案させていただいた予算の中でも御覧いただけるのではないかと思っていますし、これまでも様々な施策に取り組んでまいりました。子ども医療費の助成につきましては、安定した制度運営、適正な受診を確保するためにも、今のところ助成対象の拡大や窓口負担の無料化は考えてはおりません。

-大桑議員
 次に、介護士の就業支援についてお伺いいたします。3月2日付の新聞報道で、全国の介護施設の夜勤の実態についての日本医療労働組合連合会が行った調査の結果をまとめた記事がありました。それによれば、二交代制のシフトを採用している介護施設全国120施設のうち、94施設で夜勤職員の就業時間が16時間以上になっているとのことでした。十分な職員数を確保し、8時間勤務の3交代制を取ることができれば、長時間勤務を改善することはできますが、慢性的な人手不足のためにそれもかなわないとのことです。また記事によれば、夜勤の際は二人で50名の入居者のお世話をしていますが、入居者が救急搬送されれば一人が病院に付き添わねばならず、残る一人が朝まで対応せざるをえず、休憩も満足に取れないという実態紹介されていました。本市にある特別養護老人ホームでも夜勤は2交代制であり、仮眠の時間が十分とれない状態だと言います。介護士の離職防止を図る意味でも夜勤労働の問題改善は重要な課題です。特に小規模特養ホームでの夜勤の体制をとるのが大変だと言います。本市としてもこのような夜勤を含む勤務の実態調査をすべきだと思いますがいかがでしょうか

-山野市長
 新聞報道などでみられる介護夜勤のことについてお尋ねがございました。本市としての実態のことですけれども、介護施設等における夜勤につきましては、法令を遵守した勤務体制となるよう、事業者の指定や実地指導の際に各施設の状況を確認をし適正な労働環境の確保を図っているところであり、今後も指導を徹底していきたいというふうに考えています。

-大桑議員
 第8期介護保険の介護士に対する政策の内容と見通しについてお伺いいたします。計画では、介護職員の人材確保についても掲げています。県内で2025年に必要となる介護職員数は23000人としています。介護士を増やすにはどのような施策の計画があるのかお伺いいたします。
 そして、今回、計画ではあらたにUJIターンした方への補助が創設されましたが、期待できるのでしょうか。この施策は、保育士確保で先に実施していましたが、どれくらいの実績があり、介護士の場合はどれくらいを目標にしているのか見解を伺います。

-山野市長
 第8期介護計画の中身のことについて何点かお尋ねがございました。まず、不足する介護士をどうやって増やしていく計画なのかということです。介護職員の確保につきましては、これまでも介護職員の情報交換の場であるケアワーカーカフェの開催など、働きやすい職場環境の整備に取り組んできたところであります。さらに、今般取りまとめた第8期介護保険事業計画に基づき、明年度予算に研修や資格取得等の費用を助成する介護職員キャリアアップ支援事業や、県外から市内に転入し介護職員として就業した方に対しまして転居費用等を助成するUJIターン介護職員就業支援事業の創設をお諮りしておりまして、これらの取り組みを通じ多様な人材の参入を促進し、介護職員の確保・定着を図っています。
 今ほど申し上げましたUJIターン就業支援制度のことについてお尋ねがございました。この事業につきましては、県外で開催される就職セミナー、本市の移住ポータルサイトなど、SNS等の様々な手段を使いながら、本市の魅力とともに積極的にPRをしていきたいと考えています。そうすることによって、県外で資格を取得した学生さん、県外在住の有資格者を本市に呼び込み、喫緊の課題である介護人材不足の解消を図っていきたいと考えています。

-高柳福祉局長
 介護士のUJIターン就業支援制度の創設に関係しまして、保育士のUJIターンの就業支援施策の実施についてのお尋ねがございましたのでお答えします。この保育士のUJIターンの就業支援制度は令和2年度の創設でございまして、主に4月からの採用に向けてこの補助については申請がなされるものと考えております。現在のところ実際に補助決定をいたしましたのは2件で、今度の4月の採用ということに向けまして10件程度の申請を見込んでいるところでございます。ですので介護士の方につきましてもこの制度は利用できますように周知に努め、介護士確保に資することができるよう努めていきたいと考えています。

-大桑議員
 介護現場の人手不足の解消は、待ったなしの課題です。本市が人材を確保するという計画を立てているのですから、責任を持つ必要があります。かねてから言われているとおり、介護職員が不足している最も大きな要因は、過酷な現場であるにも関わらず、他業種に比べて月、10万円も賃金が低くおさえられていることです。これまでの対処法ではなく、賃金の引上げを行うことが必要です。市として独自の賃金引上げなど処遇改善をすべきだとおもいますがいかがでしょうか。

-山野市長
 市独自の処遇改善策のことについてご提案をいただきました。介護職員の処遇改善につきましてはこれまでも国が介護報酬の中で必要な措置を講じてきておりまして、今回の介護報酬の改定においても国は引き上げを行い、介護職員の定着促進等やキャリアアップを推進する観点から、新たな加算も設けたところであります。本市としてはこうした国の制度を周知をし、介護職員の処遇改善を図るとともに、先程申し上げましたケアワーカーカフェ等を通じて現場の声もお聞きをしながら、引き続き職場環境の改善に取り組んでまいります。

追加質問

-大桑議員
 先程、市長から学校給食の回答をいただきました。学校給食の無償化については自治体の判断で実施できるということになっております。今コロナ禍において経済的にも大変な家庭が多くなっている中で、年間5万円を上回る給食費の負担というのがすごく重く感じるという家庭がたくさんあります。大阪市において、これは新型コロナウイルスの感染を受けての経済対策ということでしたが、2020年度、それから2021年度も、市立小中学校全部の給食費無償化となりました。そこでやはり、市長が提案理由説明の中でも少子高齢化が進む中にあって本市が持続的に発信していくためにも安心して子供を産み育てられる環境を作っていくといわれました。であるならば、やはりこの給食費、これは材料費だけもらっているからという感じではなくて、もう少しお考えになって公的な援助があればよいのではないかと思います。今一度お伺いいたします。

-山野市長
 今ほどの答弁の繰り返しになるかもしれませんが、金沢市といたしましては独自に光熱水費の負担もさせていただいているところであります。それに加えまして、今年度には加賀野菜等々に親しんで、食育の観点から工夫をさせていただいているところでもありますし、来年度以降もそれを充実させていきたいというふうに思っています。今のところ給食費の無償化は考えておりません。

-森尾議員
 市長に再度、今の学校給食の無償化の問題について伺っておきたいと思います。今日的な状況から、この学校給食の無償化は積極的な意義があるというふうに考えています。それは2つあります。1つは大桑議員が指摘したように子供と教育を巡る環境があります。コロナ禍の問題の影響もあります。その点は具体的に大桑議員が指摘をされました。この点での、教育は無償化を原則とするという義務教育の内容を積極的に施策に生かしていくという意味で、今日的な意義が1つあると思うんです。それからもう1つは、事務の煩雑さをなくしていくという点で、無償化をすれば教職員の負担は軽減されますし、新たなシステムなんていうのは要らないんですよ。私はそういう意味で、この学校給食の無償化は今日的に2つの点でも積極的な意義があると考えています。政府もこの対策については各地方自治体の判断だということを示しているんです。であるならば、この学校給食の無償化は積極的な意義があるというふうに考えていますが、その点では市長はどう考えるか伺っておきたいと思います。

-山野市長
 学校給食、学校での給食ですから教育的な側面も私はあるというふうに思っています。そういう意味では、申し訳ないこれも繰り返しになりますけれども、食育という観点からも大切なものだというふうに思っていまして、一定のご負担をいただきながら食文化の魅力というものも伝えていくことも、金沢市が行う学校給食の大切な役割のひとつだというふうに思っております。

※実際は、一括して質問して、一括して答弁をもらう形ですが、便宜上、一問一答の形にしています。

-森尾議員
 質問に先立ち、新型コロナ感染症によって亡くなられた方々、現在も闘病を続けておられる方々にお悔やみとお見舞いを申し上げます。そして、日夜奮闘されている医療・介護、福祉従事者の方々に深い感謝を表明いたします。私は、日本共産党市議員団を代表して、以下質問を行います。
 最初の質問は、新型コロナ感染症対策についてです。新型コロナ感染症の拡大が全国に広がり、医療・介護分野やくらしと営業に深刻な影響をもたらしています。こうした中で、今、最も必要とされる一つが政治への信頼ですが、これを壊す不祥事と発言が相次でいます。菅首相の長男が関係した総務省幹部接待問題です。放送に続き、通信分野でも起こっています。農水省では、鶏卵大手企業と元大臣を含めた幹部職員が関係した贈収賄事件が起こっています。こうした忖度政治や官僚を巻き込んだ利権政治の実態に国民の怒りが沸き起こっています。また、コロナ感染の緊急事態宣言が出されているさなか、自民・公明両党幹部による銀座クラブ会食問題が起こり、河合元法務大臣と妻・案里前参議院議員の大型買収事件については、自民党本部からの1億5千万円の資金が渡された問題が、全く解明されていません。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森前会長の女性を蔑視した発言に対し、国内外から厳しい批判があいつぎました。会長辞任だけでは解決したわけではありません。ジェンダー平等を求める世論が広がり、日本社会全体に問題が提起されています。市長!政治と政治家への信頼について、率直な見解を伺いたいと思います。
 新型コロナ感染症対策の第一は、ワクチン接種についてです。市民からは「いったい、いつから、どこでワクチン接種ができるようになるのか」「果たして安全なのか」との意見が相次いでいます。市長の答弁も、先の緊急議会で、みずから「4月から」と述べていました。現段階で、政府は高齢者向けのワクチンを「6月配送」と述べています。3600万人の高齢者と470万人の医療従事者、併せて4070万人分のワクチンを確保し、接種するには、19か月かかってしまうのではないかとの事態も予想されています。市長!現時点で、本市において、ワクチン接種は、いつ、どのように行われるのか明らかにしていただきたいと思います。合わせ、市民に対して、正確に情報発信をどのように行うのか。明快な答弁を求めるものです。

-山野市長
 ワクチン接種計画の遅れのことについてであります。1月8日に私は金沢市で実施本部を立ち上げたいと記者会見でも申し上げました。その段階では、これまで国の情報を承りまして3月上旬には高齢者に接種券・クーポン券をお送りして、下旬に接種というふうに申し上げました。それ以降国の方から様々な情報をいただきながら、確かに森尾議員からご指摘がありましたようにそのときに比べれば遅れということになるかというふうに思っています。今現在ですけれども、国の示す計画におきましては4月中旬から65歳以上の高齢者への接種を開始し、7月以降一般の方々への接種を開始する見込みとなっています。一般の方々への接種にあたりましては、基礎疾患のある方及び高齢者施設等の従事者を優先して接種することとなっています。本市といたしましては国の計画に基づいて接種を実施できるよう準備を進めていきます。実施方法や注意事項に関する情報につきましては、接種対象者あての接種券に同封する説明書や、コールセンターでの問い合わせの対応、またホームページ等々でも発信をしていくことによって、市民への周知に努めてまいります。

-森尾議員
 本市はワクチン接種について、市内医療機関にお願いするとの方針です。医療現場は、日常診療に加え、ワクチン接種が加わるとなると大変です。どのような支援策を考えておられるのか伺います。国は、ワクチン接種にかかわる費用については、全額対応すると表明しています。医療機関へのワクチン接種にかかわる費用について、現場からの要望にこたえ、適切な対応が求められます。見解を伺います。

-山野市長
 住民接種の費用のことについてお尋ねがございました。国においては直接的な接種委託費を負担することに加え、接種を進めるために自治体が行う体制整備費用については補助金交付の対象とする旨を示しています。本市ではこの補助金を活用し、医療機関におけるワクチン管理費用を支援するとともに、各医療機関へのワクチン配送体制を整備するほか、接種予約を管理するためのアプリを導入するなどして、接種を行う医療機関の負担軽減を図ることとしています。引き続き、医師会とも協議をしながら医療機関での接種が円滑に進められるよう、本市としても支援策を講じてまいります。

-森尾議員
 第二に、検査体制の拡充についてです。無症状の感染者を把握し、市中感染の実態をつかむことが大切になっています。そのためには、PCR検査の拡大・充実が求められます。本市は、片町地区などでの接待を伴う飲食店など780軒を対象に無料のPCR検査を実施が行われました。周辺の住民からは、道路一本隔てて、対象区域から外れ、検査も受けられない、財政支援も受けられないというのは、あまりにもひどい。との声が出されました。また、実施時期が遅れたのではないか。対象範囲が適切だったのか。書類だけでなく、市から訪問して検査実施を呼びかけるべきでなかったのか。など指摘があります。今回の取り組みから教訓とすべき点について、市長に伺います。

-山野市長
 片町地区における一斉検査のその取り組みからの教訓であります。2月17日にこれを行うときの記者会見、そして3月に入ってからまとめた記者会見も行いました。そのときにも私は申し上げましたけれども、この検査の直接的な目的は2つある、『片町』という表現が多く出ていますけれども、多くのお店では可能な限りの予防対策を取りながらされていらっしゃる、いわゆる風評被害で大変厳しい経営を強いられている、このPCR検査を通して私はその風評被害が払しょくできる一路になればという思いが1つ。もう1つは県と連携をして行うことを挙げさせていただきました。県の方でも時短要請、支援金の支給をお決めいただきました。この2つの目的を申し上げさせていただきました。少しでも実効性のあるものにするためにも、記者会見も行いました。2回封書でも案内を行いました。6割を超える店舗の申し込みを受け、啓発の意味でも私は一定の効果があったというふうに思っています。20代の方が少ないのではないかというご意見もお聞きをしております。ただこの案内のところにも1月の下旬から2月18日まで、この間クラスターが多く発生しましたけれども、多くの方々、488人であったと思いますけれども、すでに検査を受けておられます。20代の方が多かったというふうに県の方の発表でもありました。多くの方がその期間でも受けていらっしゃいます。やはりそんなことも含めて私は啓発の意味でも一定の効果があったというふうに思っています。必要な時期に適切な方法で実施することの重要性、そして県との連携もしっかりするということで、様々な施策を行うときには、その施策の直接的な目的を明確にして行うことが大切であるということも、この検査の中での教訓として感じたところでもあります。

-森尾議員
 元日本がん学会会長の黒木登志夫岐阜大学学長は、次のように述べています。「感染者が減ったから検査を減らすと言うように手を抜いたら再拡大につながります。医療、介護施設への定期的検査は、第一に行うべきです」と提言しています。市長!全国各地で一定規模でのPCR検査が実施され、県内の自治体でも、検査を実施する場合の支援策が打ち出されています。本市として、医療機関と高齢者施設などの職員や入院・入所者に対する一斉・定期的なPCR検査を実施する考えはないか。伺うものです。

-山野市長
 医療機関や高齢者施設の職員、入院者・入所者に対して一斉に定期的なPCR検査を行うということをご提案いただきました。そういうご意見をおっしゃる方もいらっしゃるようではありますけれども、様々なご議論があることも事実であります。私としましてはこれまでも県と連携をし、医療機関や高齢者施設等で感染が発生した場合、幅広に検査を実施してきました。安心は決してできる状態ではありませんけれども感染が落ち着きつつある中でもあります。一斉に定期的な検査を実施することは考えてはおりません。

-森尾議員
 第三に、保健所と医療機関の体制強化です。保健所の人員体制の強化として保健師1人、事務1人となっています。もともと保健師の定数が少ないことから抜本的強化が必要です。さらに、医療機関への支援策として市内の全ての医療機関に対して、財政的支援を行うことが求められています。市長の見解を伺います。

-山野市長
 保健所の人員体制の抜本的な強化が必要ではないかという趣旨のご提案であります。令和2年度中に保健師を3名増員いたしました。感染拡大の状況に応じ、保健局内や他部局から保健師や事務職等を派遣し、事務従事でサポートをしてきたところでもあります。保健所内の業務の見直し等を実施し、職員の負担の軽減を図ってきたところであります。今後とも事務等が逼迫することがないように必要な対応をしていきたいと考えています。
 医療機関も大変な状態ということはよく理解をしているところでもあります。医療機関への経営支援につきましては、全国的な課題でもありますことから、一義的には国が対応するものだというふうに考えています。市長会を通じてそのことも強く申し上げて行きたいと考えています。

-森尾議員
 この項の質問の最後に、補償とくらしへの支援についてです。コロナ禍による市民生活と営業への影響は、深刻です。雇用と営業を守るためには、持続化給付金や家賃支援給付金など一回限りの支援とせず、再度の支援が必要です。また、国民生活を守る上で、1人10万円の支給を求める声が高まっています。先日、わが党をはじめ、野党3党が共同して、法案を国会に提出しました。与党からも要望が出されるなどその要望が広がっています。本市とし、この実施を国に求める考えはないか。見解を伺います。
 また、本市が打ち出した支援策について、業種を特定するのではなく、市内の全ての事業者に対し、事業規模に応じた支援策を行うよう求めるものです。
市長の見解伺います。

-山野市長
 住民非課税世帯等を対象に1人あたり10万円を給付する法案が国会に提出をされたということであります。新型コロナウイルス感染症対策につきましては、政府において切れ目のない政策が補正予算等を通じて講じられてきていると考えています。ご指摘の法案については現在国会で審議中とお聞きをしておりまして、今後の国会における議論を注視していきたいと考えています。
 緊急議会におきまして、飲食業者・宿泊業者に対する支援をさせていただきました。市内すべての事業者に対する支援が必要ではないかということであります。先程医療機関の支援の時にも申し上げましたが、多くの事業者がやはり厳しい経営状況であるということは理解しているところであります。ただこれはやはり金沢・石川だけが特別だというわけではありません。全国的に同様の状態であると思っておりますので、持続化給付金のように一義的には国等が対応すべきものであると思っています。市としては、市としてなしうる限りの支援策を講じてきておりますので、ご理解をいただければというふうに思っています。

-森尾議員
 質問の第二に、本市新年度予算についてです。
 コロナ禍の下で、地方自治体のあり方があらためて問われています。振り返ってみると「平成の大合併」により、全国の自治体数が3200から1700へ大幅に減り、地方自治の力を弱め、住民サービスが隅々まで行き渡らず、災害にも機敏な対応ができにくくなりました。保健所の体制も大幅に弱められました。29年前、全国で852か所あったものが469か所と半分になりました。国立・公立などの公的病院は、この間1822か所から1524か所へと300か所も減らされました。その上、さらに440か所もの統廃合を打ち出しています。公務員の削減がすすめられ、地方公務員数は、この間320万人から270万人へと50万人も減らされました。こうした地方行革の名で行われてきたことが、コロナ危機の下で、深刻な影響をもたらしています。地方自治体は、住民の福祉向上をめざすことがその本来の役割であり、今こそ、その力を発揮しなければなりません。本市の新年度予算を見てみると市税収入が対前年度に比べ、30%減少・57億円の減収となっています。コロナ禍の下で市民生活と地場産業に深刻な影響をもたらしていることを示しています。今後、感染予防対策を優先し、社会的弱者支援など福祉施策の強化、地場産業への支援強化が重要となっています。そして、一般会計総額の確保・拡充が必要です。
 そこで、市長に伺います。本市の市民生活と地場産業の現状をどのように把握し、本市新年度予算編成を行ったのかお聞きいたします。具体的に伺います。保育料と保育士の待遇改善についてです。国は、保育料の無償化を打ち出し、実施されました。これを受けて、山形県では、0歳児から2歳児までの保育料について、年収400万円未満の世帯までを軽減対象とする対策を打ち出しました。そこで、本市の第一子の保育料について、C階層を無料に、D階層の保育料半額をめざし、当面D階層1から5までを半額にすることを提案します。必要な財源は、8600万円です。
 併せて、保育士の処遇改善についてです。命を守り、未来の子を育てるにふさわしい賃金とはなっていません。東京都保育士実態調査によると退職意向者の理由として第一に挙げたのが、「給料が低い」68.7%とのことです。保育士の賃金は、働く全職種の平均に比べ、月額で10万円から15万円低くなっています。保育士のパート化や短時間勤務の保育士導入が進められてきています。本市独自に保育士の処遇改善が求められます。見解を伺います。

-山野市長
 保育料の引き下げのことについて、他県では0歳から2歳児の保育料を段階的に無償化する動きがある、本市も考えるべきではないかということでありました。本市におきましても子育て世帯の経済的負担を軽減するため、保育料を国の徴収基準額より低く設定するとともに、23年連続で据え置くこととしています。さらに今回、保護者の所得ときょうだい同時入所に係る要件を撤廃をし、第2子を半額、第3子以降を無料とする負担軽減制度の拡充をお諮りをしているところでありますので、まずは議員各位にお認めをいただきまして、着実なこの実施に取り組んでまいりたいというふうに思っています。これ以上の引き下げは考えてはいません。
 保育士の処遇改善のことについてお尋ねがございました。国ではこれまで保育士の給与水準の改善を図るため、平成25年度以降で約14%の処遇改善を行うとともに、中堅保育士の技能・経験に応じた処遇改善を実施しています。本市ではUJIターン希望者への転居費用・宿舎借り上げに対する支援を行うとともに、国基準を上回る保育士の配置に加え、感染症にかかる周辺業務を担う保育支援者の配置等を支援しており、今のところ本市独自の新たな処遇改善は考えてはいません。

-森尾議員
 国民健康保険料についてです。本市の加入者は、5万8千世帯です。保険料を一世帯あたり、年間1万円引き下げることを提案します。必要な財源は、約6億円です。また、18歳までの子ども一人当たりに均等割の保険料が実施されています。本市では、6500人です。これを無くすことを提案します。必要な財源は、1億7千万円です。基金残高が25億9千万円あることから、これを活用すれば、可能です。
 介護保険料についてです。本市の65歳以上の方を対象とする保険料は、所得に応じて13段階となっています。新年度から始まる3か年間の第8期介護計画では、基準となる保険料・月額6590円が示されました。この保険料を一人、年間1万円引き下げることを提案します。必要な財源は、12億円です。基金残高23億円を活用することを検討していただきたいと思います。市長から見解を求めたいと思います。

-山野市長
 国民健康保険料の引き下げのこと、さらには18歳までの子どもの均等割り保険料の廃止のことについてお触れでした。明年度から保険料率については県から示された標準保険料率に準拠しつつ、市民生活への影響に配慮をし、財政調整基金の取り崩し等により引き下げを行うこととしました。基金は保険料の引き上げが必要となった場合などの負担緩和財源として効果的な活用を図っていくこととしており、さらなる保険料の引き下げのために活用することは考えてはいません。子どもの均等割り保険料については令和4年度より少子化対策の観点から、国と地方の取り組みとして未就学児を対象に均等割り額の5割を軽減する制度が創設される予定でありますことから、この制度に基づいて支援をしていきたいと考えています。
 介護保険料の引き下げについてご提案をいただきました。今般取りまとめた、介護保険事業計画において、高齢者人口は引き続き増加傾向にあり、団塊の世代の方々が75歳以上となる次期計画期間中のサービス給付費はさらに増加すると推計をしています。仮に基金を取り崩して1年間に限って保険料を引き下げたとしても、次期の保険料の引き上げ額が大きくなるものと想定されますことから、これを緩和するため今回は保険料を据え置きとし、引き下げは考えてはいません。

-森尾議員
 この項の最後に、不要不急の事業を見直し、市政運営の転換を求めます。
 新しいサッカー場の建設です。現在あるサッカー場が使用されている中、現在地改築の方針が、敷地内にある少年サッカー場の場所に移転・新築する方針へと変わりました。その事業費は、当初75億円でした。ところが、新年度予算では、80億円となっています。さらに、現在の少年向けのサッカー場を移転する費用は、25億円程度としています。全体として、100億円をさらに上回る財政規模となろうとしています。今、こうした新しいサッカー場の建設は必要でしょうか。市長から説明を求めたいと思います。

-山野市長
 サッカー場の再整備につきましてご意見がございました。サッカー場の施設内や施設周辺におもてなし空間を確保するほか、観客席を屋根付きとするJリーグのスタジアム基準に対応する必要も生じたことから、スポーツ推進審議会での審議を得て計画を変更したものであります。

-坪田都市整備局長
 新しいサッカー場本体工事費についてお答えいたします。当初、金沢プールを建設したときの土質データを参考に、杭の本数などの建物基礎の使用を想定しておりましたが、今年度サッカー場の建設場所で土質調査を実施した結果、想定以上に地盤が悪く、当初より長い杭が必要となり、加えてアフターコロナ対策などを考慮し、可能な限り歩行空間を確保することによって本体工事費を増額したものでございます。

-森尾議員
 歌劇座の新築や移転をめぐる問題です。市長は、歌劇座周辺に、コンベンションホールの機能を備えたいと表明したかと思えば、今度は、オペラを上演する規模にしたい。そして、今度は、移転・新築として、日銀跡地が候補となるなど情報発信が相次いでいます。市長は、歌劇座の役割と今後の方向について、どのように考えているのか。市民と議会に説明が求められます。見解を伺うものです。

-山野市長
 歌劇座のことについて、役割・今後の方向性についてお尋ねがございました。建設されてから半世紀以上に渡りまして県内最大規模のホールとして観劇や発表の場として市民に親しまれ、芸術・文化に触れる機会を創出してきました。このような施設は本市にとって、芸術・文化の面からいってもまちづくりの面からいっても重要である一方、現施設の老朽化が進んでいることに鑑み、中長期的な視点から歌劇座の建て替えにかかる検討については必要であると考えています。

-森尾議員
 質問の最後に、本市ガス事業・発電事業譲渡方針についてです。
 この二つの事業譲渡の優先交渉権者が決定したことが明らかにされました。その発表の仕方も、内容も大変驚きました。この優先交渉権者の選考過程は、一切非公開でした。対応する本市議会の常任委員会にも内容の報告はなく、密室で進行しました。そして突然、2月26日午後、一枚のペーパーで報道提供され、私どもにも知ることとなりました。3月1日、本議会にて市長から提案理由の説明が行われました。その中では、優先交渉権者を決定したことだけで、文書にするとわずか4行でした。本市ガス事業・発電事業は、二つ共に100年間にのぼる歴史をもち、本市の誇るべき事業であり市民の財産です。今回、この二つの事業を売却するとして、優先交渉権者が明らかにされました。市長!自ら記者会見を行うなど、市民と議会にしっかり、説明する必要があるのではありませんか。市政の歴史を振り返っても、重大な決定となる事柄でもあり、市長としての説明責任が問われます。説明を求めるものです。本市議会は、この一年間特別委員会を設け、様々な角度から検討し、意見を交わしてきました。それだけに、今回の決定について議会に対し、しっかりした説明を求めるものです。
 第2に、この二つの事業譲渡方針が、市民の理解と合意を得ていないことです。したがって、本市は、この5月に会社の設立、事業譲渡仮契約の締結、そして来年4月には民間による事業開始との方針を打ち出していますが、この方針をいったん中止することを求めるものです。見解を伺います。
 第3に、今回の優先交渉権者による提案内容にも大変驚き、唖然としました。今回の提案内容によると本市ガス事業・発電事業を300億円で北陸電力、東邦ガスを中心とする民間企業に売却するというものです。北陸電力は、北陸地方を代表する大企業です。東邦ガスは、名古屋経済界の有力企業で、愛知、岐阜、三重県で、50市25町1村を範囲にガス事業を行っています。なぜ、こうした大企業に売り渡すのか。説明が求められます。
 市長は、当初本市ガス事業・発電事業のあり方を検討するとしていました。そして「あり方検討委員会」を立ち上げ、実質3回の審議を経て、「二つの事業を株式会社に譲渡する」との答申を経て、これを本市の方針としました。今回の内容では、北陸を代表する大企業と中部圏を代表する大企業を中心とする民間企業に売却するというものです。あり方を検討するとしたはずが、大企業に売却することを打ち出しました。
 地方公営企業法では、その目的に「地方自治の発達に資する」とし、経営の基本原則について「公共の福祉を増進するように運営されなければならない」としています。 市長も、公営企業管理者もこうした立場に立ち、本市公営事業を運営しなければなりません。本市ガス事業・発電事業を大企業に売却するなどあってはなりません。その権限も与えられていません。説明を求めたいと思います。
 第4に、譲渡価格についてです。今回、優先交渉権者が示した譲渡価格は300億円です。本市の募集要項では、最低譲渡価格186億円以上としました。これは、資産、負債について帳簿に記載されている帳簿価格すなわち簿価との説明でした。一方、民間に委託した調査報告書の中では、発電事業の事業評価は、472億円から1098億円に評価があがるとしています。あまりにも開きがありすぎます。1000億円以上の事業価値があるものを300億円で売却するとしたら、含み利益として、700億円にのぼる利益を大企業にもたらす事となります。本市のガス事業は10年連続の黒字で、単年度10億円の利益となり、平成22年度・2010年度、120億円の起債残高が、今年度末には、75億円に減少しています。発電事業は毎年1億円から3億円の黒字となり、起債残高はゼロです。これだけの優良事業を売却する必要があるのですか。納得できる説明を求めます。
 第5に、出資構成についてです。代表企業の北陸電力が48.0%、構成員の東邦ガスが43.0%、北国銀行と北国新聞が共に、2.0%、松村物産と小松ガスが共に1.0%、そして、本市が3.0%との提案となっています。新しい会社は、北陸電力と東邦ガスが事実上運営することとなります。本市は3%ですから、ほとんど関与する余地はありません。これまで市民に対して公営事業者として果たしてきた役割と責任を投げ捨て責任放棄とも言えるものです。市民に対して説明がつかないではありませんか。市長!売却して、後はどのようになっても本市は、知りませんというのはあまりにも無責任と言わざるを得ません。説明を求めるものです。

-山野市長
 ガス事業・発電事業譲渡方針について何点かお尋ねがございました。募集要項では最優秀提案者の選定、優先交渉権者の決定を令和3年2月から3月に行うとしており、2月18日開催の第6回選定委員会での審査結果に基づき、庁内手続きを得て優先交渉権者を決定したことから、速やかに公表したものであります。今後円滑な事業譲渡に向けて基本協定の締結に係る協議を進めていくことになります。
 事業譲渡に向けた手続き、さらには2つの大企業を中心とする企業グループへの売却でいいのかという問題提起をいただきました。ガス発電事業の譲渡につきましては、これまでもあり方検討会や譲渡先選定委員会の検討状況を随時議会へ報告をし、ホームページに公表をしてきたところであります。昨年度実施しましたパブリックコメントの際には、都市ガス・簡易ガスすべてのお客様に対しダイレクトメールを送付をし、幅広い意見募集に努めてきたところであります。優先交渉権者は過般実施した公募型プロポーザルにおける譲渡先選定委員会の審査結果に基づき決定したものであり、今後提案概要について議会への報告、ホームページでの掲載のほか、5月には市民や事業者向けに市主催の説明会を開催をし、提案のあった料金・サービスの内容等を広く周知していきたいと考えています。
 事業価値、最低譲渡価格との大きな開きのことについてどのように考えるかということでありました。ご指摘のコンサルタント会社の調査報告書に示された事業価値は、複数行った資産のうち売電価格の上昇を前提として試算された最大値であり、様々な電力取引市場の新設が本市の売電価格に及ぼす影響の見通しが立たないことなど、将来の不確実性が高いことを前提に試算されたものと企業局から報告を受けています。また募集要項に定めた最低譲渡価格もつきましては、複数の方法により算出された事業価値の中から最も客観性の高い簿価によることが適当であるとの譲渡先選定委員会の審議結果に基づき設定したものであります。この先の譲受希望価格は、優先交渉権者となった企業グループにおいて総合的に判断されたものと受け止めています。

-森尾議員
 本市公営企業管理者に伺います。
 昨年の決算委員会で、2018年と2020年の民間に委託した調査報告書が明るみにされました。その中で、一昨年11月から昨年2月にかけて10社の有力ガス・電力会社を本市企業局幹部が訪問していたことが記載されていました。決算の書類審査において事実を確認しました。その中に、一昨年の11月28日今回の優先交渉権者の構成員となる企業を訪問しています。この訪問の後、10か月後になる昨年の10月に募集要項と最低譲渡価格が公表され、募集が始まりました。まさに事前交渉とも言えるもので、その内容が募集要項・最低譲渡価格となったとすると公正・公平な募集が行われたと言えますか。説明を求めるものです。
 第6に、職員の派遣についてです。優先交渉権者の提案によると2022年81人、2023年55人、2024年29人の本市職員の派遣を予定するとしています。この派遣は民間企業への派遣ですから、本市職員を退職するこことなります。今回の売却は、職員の退職派遣を行い実施するものとなっています。市民のために働くという高い使命感を持って本市職員となったはずが、いったん退職して派遣されることとなります。派遣期間は、3年までとしており、本市職員として戻ることが出来るとされていますが、戻ってきても元の職場はありません。まさに片道切符ではありませんか。市長はかねがね本市職員を守ると述べ、私の使命だとも言ってきました。このような退職派遣は、辞めるべきではありませんか。見解を伺います。

-平嶋公営企業管理者
 事業譲渡につきまして数点お尋ねがございました。まず市の出資比率3%についてでございます。譲渡先選定委員会におきましては、両事業に対する国の厳しい監督体制を踏まえまして、市の関与について出資条件と契約条件との組み合わせによることが適切とされたところでございます。具体的には市の出資を3%以上10%未満とし、会計帳簿閲覧謄写請求権を担保するとともに、経営状況確認の義務付けを事業譲渡契約書に明文化することによりまして、経理や経営計画、事業実績などの詳細な把握が可能となります。またこの度の優先交渉権者からは市との情報連絡会を開催をし、経営体制や法令順守、保安措置等の状況について開示することも提案されているところであります。
 次に、昨年度の企業への訪問調査の件でご指摘がございました。このご指摘の調査は、昨年度のあり方委員会からの答申を踏まえまして、市として譲渡方針を検討するにあたって、すでに民間譲渡した他都市において実施をされておりましたヒアリング調査も参考にしながら、エネルギー事業者10社を訪問し、公募に対する参加意欲や応募要件等について調査するため実施をしたものでございます。
 次に、職員の退職派遣についてお答えをいたします。株式会社への派遣につきましては、公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律におきまして、市への復職を前提とした退職派遣であること、派遣期間は3年以内であることなどが定められておりまして、加えて国の通知では勤務条件をはじめとする身分取り扱いなどについて不利にならないように配慮し、職員に対しては十分な説明を行うことが適当であること、また任命権者の要請に応じた職員の意思に基づく退職であることなどが示されております。引き続きこれらのことを職員に説明していきますとともに、優先交渉権者と円滑な譲渡に向けた協議を進めてまいります。

-森尾議員
 最後に、今回とは異なる別の選択があると言うことです。この二つの事業を売却するのではなく、本市公営事業として未来ある事業を担っていく道です。そのことは、本市企業局自身が明らかにした方向です。2016年本市企業局は、今後10年間の経営戦略を明らかにしました。その中で「本市企業局は、ガス、水道、公共下水道、発電、工業用水道という市民生活や産業を支える『水』と『エネルギー』を総合的に担う総合ライフライン事業者であり、これらの適切な経営により市民に貢献していく責務がある」と述べています。ガス事業は、安全・安心のエネルギーとして市民に供給しています。発電事業は、様々な困難を乗り越え、100年間にわたって事業を行い、全国唯一の市営事業として誇るべき事業です。これから、クリーンなエネルギーとして未来ある事業の展開が可能です。市長!今一度立ち止まり、この二つの事業について、未来ある事業の展開を検討し、市営事業として継続していく道を選択するよう求めます。

-山野市長
 5つの事業を担う総合ライフライン事業として発展させることも考えるべきではないかというお話でありました。国の制度改正により、制度が変わったということをまずはご理解をいただきたいと思います。電力・ガスを合わせた総合エネルギー市場へ市場の形態が変化しているということ、さらには人口減少、地球温暖化など事業を取り巻く環境も大きく変化しているということ、将来にわたり市民に対し安全・安心で安定したエネルギー供給を確保するとともに、速やかに市民がエネルギー自由化の恩恵を享受できる環境を創出することが重要と考え、事業譲渡を決断したものであり、令和4年4月1日の譲渡に向けて手続きを進めてまいります。

再質問)

-森尾議員
 市長に再度伺いたいと思います。長野県が県営水力発電所を中部電力に譲渡する計画を中止しました。再生可能エネルギー活用で健全な経営は可能だと判断して、引き続き公営事業として継続するということを打ち出したわけです。京都大学講師の中山琢夫氏が、京都大学大学院の再生可能エネルギー経済講座の中で次のように述べています。「金沢市企業局は、全国の公営企業電気事業者の中で唯一の市営電気事業者であるとして、5つの発電所は戦後の公営電気復元運動の中で北陸電力から金沢市が勝ち取った犀川総合開発事業の一環として建設されたものである。柔軟かつ制御可能な再生可能エネルギー源である水力発電所を、易々と民間事業者に譲渡するとすれば、筆者にとっては驚きである」と、こう述べています。改めて市長、いったいなぜ、こうした発電事業をガス事業とセットで大企業に売却しなければならないのか。市民の理解を得ていないと思うんです。一度立ち止まって検討する考えはありませんか。伺います。

-山野市長
 長野県の事例を詳しく把握しているものではありません。大学の先生のご意見も、今森尾議員から拝聴いたししました。様々な事例はあるかと思いますけれども、先程来答弁の中でも申し上げましたように、制度が変わりました。やはり公が発電事業を持つという大切な視点は地産地消という視点であるというふうに思っています。長野県の事例は把握しているものではありませんけれども、やはりその視点からいって、すでに北陸電力でいえば首都圏等々でも販売しているということもお聞きをしています。私はその視点からいって、やはり公が持つという視点は制度改正の中で変わってきているのではないかというふうに思っています。

-森尾議員
 では市長、もう1点伺います。5つある発電事業の1つに、上寺津発電所があります。これが一番最初に作られた発電所で、大きな発電能力を持つ発電所です。平成30年から令和2年度にかけて、3か年で13億円投じてリニューアルされました。昨年12月に完成後本格運転が開始されました。タービンを新しくしまして、発電能力を高めた、こういうわけです。市長はこのことを市民と議会にどう説明されるのかと。発電事業を本市公営事業として継続していく立場からリニューアルしたんじゃないですか。そうしたら今度は売却、どう説明されるのか伺っておきたいと思います。

-山野市長
 なんといっても、安全で安定的に供給をしてもらうことが必要であります。それは公であろうが民間であろうが必要なことであります。計画的な修繕であります。

2月15日(月)、ワクチン接種費用や経営者支援の予算が議論されます。
予算案はこちらです。
その中で広田美代議員が、質疑しました。

-広田議員

 議案第60号 令和2年度 金沢市一般会計補正予算案について、日本共産党市議員団の一員として、以下質疑させていただきます。

新型コロナウイルスワクチン接種について

 まず、新型コロナウイルスワクチン接種について伺います。

 2月12日に医療従事者先行接種分のワクチンが国内に到着しました。政府は年内に、ファイザー社・アストラゼネカ社など複数社から必要分の供給を受けることで契約しているとのことです。しかし、輸出規制や、ファイザー社のバイアルからの利用が6回分から5回分になるなど、ワクチンの供給、確保に混乱が生じ、今後の一般住民用のワクチン供給の時期や量の見通しも未定と聞いています。しかし本市のスケジュールだけは、高齢者や一般住民について4月から接種開始とされていますが、予定通り可能なのでしょうか。見通しをあきらかにしてください。

-山野市長

 国の方にもそのワクチンの配布の時期であったり数量についてはできるだけ早くに正確な情報を欲しいというふうに申し上げているところであります。今、国の方からは大きく65歳以上は4月から接種という方向性が示されていますので、私共としてはその準備をしっかりとしていきたいというふうに思っています。

-広田議員

 予算説明書には4月ということで明記されていますけれども、先程来のご答弁を聞いていると4月以降という表現に変わっておられるのは、今後供給のあり方次第によっては5月や6月にずれ込む可能性も、みなさん方としては想定内であるということでよろしいでしょうか。

-山野市長

 申し訳ない、私の言葉が足りませんでした、65歳以上については4月に準備をしていきたいと思っています。65歳未満につきましてはそれ以降になるという思いも込めて、4月以降という言葉を使いましたけれども、誤解を与えたようですので訂正いたします。4月に準備ができるようにしっかりと整えていきます。

-広田議員

 なかなか供給相手のあることなので本市も大変準備が混乱しているかとは思いますけれども、何よりも安全安心を最優先に進めていただきたいと思います。

 次に接種体制についてですが、本市は、医療機関での個別接種を中心とした接種に向け準備・調整をしているとご答弁がありましたが、今現在、その準備はどのような段階なの教えてください。

-山野市長

 繰り返しになりますけれども、個別接種を主体にしてやはり身近なところの医療機関が安心できますので中心にしていきたい、医師会の先生方に相談にのっていただいておりまして大変うれしいことに前向きに話し合いを進めているところであります。今のところ、まだどこでいくつの医療機関でということはご報告はできませんけれども、前向きに進めているところであります。いわゆる特設会場につきましては駅西の広域急病センターを申し上げているところでもありますけれども、こちらにつきましても金沢市内でいくつも大きな病院があります。調整をしながら、できるだけ多くの医療機関にご協力いただけるようにしていきたいと思いますし、決まり次第、速やかに議会のみなさん・市民のみなさんにお伝えをしていきたいと考えています。

-広田議員

 住民にとってはやはり身近なかかりつけ医が一番安心かもしれませんけれども、医療機関に尋ねると今は自分たち医療従事者の誰が打つのか希望をとり、それをリスト化するので精一杯だという話も聞いています。加えて、医療機関が中心で接種となることについては、もともと慢性的な人手不足でありながら通常診療に加えて今コロナの大変な対応をしている。さらにそこにワクチン接種が加わるということになりますので、病院の負担に繋がらないかということが懸念されています。医療機関は、もちろん毎年インフルエンザワクチン接種も行っていますが、それは先程来数字が出ている市内12万人の65歳以上が中心です。今回は、本市は医療従事者を除いて37万6千人ですが、4市2町を連携するとすると可能性としては16歳以上、およそ55万人の方が市内の医療機関に予約をする可能性があるということになります。さらに、このワクチンに関しては従来のワクチンとは異なる点も多くあり、川崎市のシュミレーションでも、問診の時間が長引く可能性があり、そのことで人の流れが滞った場合は密になりかねないと指摘されていますし、会場が医療機関だと副作用の反応をみる待機スペースをどう確保するかなど懸念の声があります。先程の答弁でも、訪問診療での接種も行うということですが、これも医療機関の負担となります。通常診療とコロナ対策に支障をきたさず、医療機関がワクチン接種に対応できるよう、医療機関任せではなく、市としてどんな支援や対策を考えているのかあきらかにしてください。

-山野市長

 今ほど広田議員がご心配されたことを私も直接お聞きもしていますし、そのことも踏まえたうえで医師会の先生方とお話をさせていただいているところでもあります。今後接種にご協力いただける医療機関に対しましてはできるだけ円滑に実施できるように、市としてなしうる限り支援に努めてまいります。医師会の先生方と連携を取りながら、いろんなご要望もお聞きをしながら、なしうる限りの対応策をとっていきたいというふうに思っています。

-広田議員

 医師会はもちろんですけれどぜひ医療機関それぞれの声を聞いていただきたいと思います。

 考えてみると、まずは予約業務だけでも医療機関は大変だと思うんです。このワクチンは温度管理などの関係から接種するためには予約が必須ですが、医療機関が住民から一斉に予約を受けるとすれば、かなりの負担が予想されます。さきほど申し上げましたが、対象人数が4市2町で、可能性としておよそ55万人の方から予約が殺到します。さらに今回は、1回目と2回目の接種場所が異なるケースもあると聞いています。そしてファイザー社、アストラゼネカ社、複数社のワクチンが混在する期間も生じるということになりますと、大変複雑な予約業務となる可能性が指摘をされています。病院が直接予約を受け付けると聞いていますが、負担とならないよう支援や対策はあるのでしょうか。

-山野市長

 原則、2回とも同じ医療機関で接種をしていただきたいと思っていますし、そういう呼びかけも必要になってくるというふうに思います。ただ様々な事情により異なる医療機関で受けざるを得ない場合も決してないわけではないというふうに思っています。2回目の予約をする際に、医療機関側が1回目のワクチンの種類や接種日を確認のうえ予約を受け付けることができるよう、その周知を図っていくことによって対応していきたいというふうに考えています。

-広田議員

 医療機関にお話を伺いましたら、通常の予約の受付では無理だろうと、おそらく医療機関独自でそのための予約ラインを作らなければいけないかもしれないと、さらなる負担と経費がかかるだろうということが予想されています。自治体が接種を行うということに位置付けられると思うのですが、国は1回2,070円という委託料を示していますが、今回もちろん住民のみなさんには無料で、かつ初診料もとらないだろうということになりますと、病院側としてはこのような金額で足りるのだろうかという懸念がすでに出ています。国は足りない分については補助金を上乗せするということですが、まだ上限が示されていません。ですのでぜひ自治体として、医療機関に調査もいただいて、上限をふんだんに使えるように求めていただきたいと思いますし、足りない場合は市として独自予算も出すという構えで行っていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

-山野市長

 国の責任で対応されるということでお聞きをしておりますので、引き続き様々な現場の声を国に届けることによって適切な対応をとっていただけるような環境を整えていきたいと考えています。

-広田議員

 まだその2,070円プラス上乗せ分が公表されていないようですので、ぜひ今の間に声をあげていただきたいと思いますし、独自の支援もぜひ検討していただきたいと求めておきます。

 さらに今後、すこやか検診も予定をされています。通常診療、コロナ対応、ワクチン対応に、すこやか検診が加わっても、安全に医療を行うことができるのでしょうか。どのように対応するのか、あきらかにしてください。

-山野市長

 ワクチン接種の時期と住民健診が重なる時期にもなりますので、例年5月から実施をしています住民健診の開始を遅らせることでその負担を軽減できないか、そのことも検討していきたいと考えています。

-広田議員

 検診で見つかって助かる命・人生もありますので、遅らせるということは大変心苦しい部分もありますけれども、ぜひその点も含め医療機関とご相談をいただきたいと思います。

 今やり取りしてきましたが、やはり医療機関に負担をかけないためにも、練馬モデルのように公的施設を使った集団接種をもっと拡充して行っていくお考えはないのか、伺っておきたいと思います。

-山野市長

 繰り返しになりますが、やはりできるだけかかりつけ医であったり比較的近いところでワクチン接種を受けていただくということが市民にとっても安心感につながるというふうに思っていますので、できるかぎり主体にしていきたいと思っています。また集団接種につきましても医療従事者をはじめとしたスタッフの確保、副反応等が発生した場合の即時対応などもスタッフの確保に合わせて課題になってきます。できる限り接種対応に不足が生じないように、接種に協力いただける医療機関を確保していきたいと考えています。

-広田議員

 1月27日に行われました川崎市のシミュレーションの知見、早く公表していただきたいと思うところですがまだ公表されていません。これは多くの知見が得られると思いますので、ぜひその点もまだ検討して、集団接種の可能性を導く余地があるのではないかと思いますし、これから医療従事者の接種で副作用を見るということもありますので、その点も踏まえ、ぜひ検討の余地を残していただきたいと思います。

 次に副作用などの説明については国・県のコールセンターで行われることがわかりましたし、金沢市のコールセンターでも手続きについてですけれども最初の窓口として何でもご相談くださいということになるということがこれまでの答弁でわかりましたが、それを聞いたうえでもじゃあ自分が接種した方が良いのかと迷われる方が多いと想定されるのですが、その点はどのように自治体として対応されるのか明らかにしてください。

-山野市長

 繰り返しになりますけれども、様々な正しい情報を、この本会議での議論もそうかというふうに思いますし、市の広報であったり、また何か情報が入りましたら私が記者会見を開くことも必要だとも思いますし、報道機関のみなさんにお伝えすることも必要だというふうに思いますし、急ぎの場合は加えてSNS等で情報を発信していく、それを繰り返すことによって正しい情報を発信することによってご理解をいただけるように努めていきたいと考えています。

-広田議員

 最後に伺いますが、ここにきてマイナンバー活用論が浮上しています。しかし全国市長会会長らはすでに、河野太郎ワクチン担当相に「自治体の事務が増えることは非常に困る」と懸念を示しています。市長はどのようにお考えでしょうか。

-山野市長

 接種記録につきましては各自治体のシステムにおいて管理することが私は最も望ましいと思っていまして、現在本市におきましても本市独自の改修を進めているところであります。マイナンバーのことにつきましてはその議論は承知しているところでありますけれども、その詳細も明らかになってはおりませんので、今のところ金沢市は今申し上げましたように本市独自のシステムを改修することによって進めていきたいと考えています。

-広田議員

 今回のワクチン接種に関してはマイナンバーは利用しないというふうに受け止めておきます。

飲食事業継続特別支援給付金事業費について

 次に、飲食事業継続特別支援給付金について伺います。

 この給付金は、先程来ありますように飲食や食品製造・販売に対象を限定するとしていますが、飲食に関連した事業は、食品だけに関わらず、たとえば、おしぼりとかお箸とかを納入する業者もあるわけです。関連業者を含めた対象にできないのか、あきらかにしてください。

-山野市長

 施策ですから、一定の政策目標であり一定の基準というものが必要になってくるというふうに思っています。4月補正予算のときの緊急支援給付金につきましても保健所の認可を受けているところという基準を設けさせていただきました。今回もそれに準じる形でさせていただいたところであります。飲食業者が今大変苦境にあります。今回の20万円は、先ほどもありましたように規模によってはいろんな捉え方があるかというふうに思いますけれども、このことをきっかけにして活発になっていくことによって、今ほどおっしゃいましたような周りの業者にもプラスになっていくことも期待をしていきたいと思っています。

-広田議員

 制度設計の50%減であるとか20万円とした理由についてはこれまでもご答弁いただいていたので省きますが、やはり町でお話を伺いますと率直に言って対象が厳しいし20万円では少ないという声が業者からあがっています。それというのも、富山県では「急所を押さえる措置を講じる」として1月後半に営業自粛を行った店舗に1日4万円、56万円を出していて、それをみなさんご存じです。本県、本市では休業も求めていませんが、第3波時のあらたな支援もありません。結果的には現在感染が拡大し、客足が遠のき経営が深刻になっています。行政の第3波対策の結果として真摯に受け止め、深刻な経営を支援するため、対象を拡大し給付額を引き上げるべきと考えますがいかがでしょうか。

-山野市長

 私も、議員のみなさんももちろんそうですけれども、多くの方から切実な苦境の声をお聞きしております。思わず私の方から直接折り返し電話をするような、苦境の声も直接顔を合わせてもメールでもお聞きするところであります。その思いの中から、今般国の補正予算の成立も受けまして、ワクチンのこともありました、議会のみなさんに緊急議会のお願いもして提案もさせていただきました。財政調整基金の一部取り崩しもをいたしました。市としてなしうる限りの施策を今回は提案させていただいたところであります。さらなる拡大というご提案をいただきました。まずは今回の予算をお認めいただきましたならば、一日でも早く苦境の方たちの手に届くような形にする、そのために全力を傾けてまいりたいというふうに思っています。

-広田議員

 やはり感染拡大を抑えて経済を良好に保つという姿勢をもっと県も市も発揮してほしいということを改めて申し上げておきたいと思います。

宿泊施設環境向上等奨励事業について

 さいごに、宿泊施設環境向上等奨励事業について伺います。

 新聞等でも報道されておりますので言いますが、今回ラブホテルなどレジャーホテルはなぜ対象としないのか、あきらかにしてください。

-山野市長

 これまでの答弁のなかでも持続化給付金に準じて、もしくは持続化給付金のバックアップ体制ということで申し上げてきたところでもあります。この持続化給付金におきましても、またGo Toトラベルにおきましても、いわゆるラブホテルというのは該当されていらっしゃらないというところであります。先程政策を作るときには一定の政策目標が必要だというふうに申し上げました。今回の支援金というのは、観光であったりビジネス客であったり、そういう方たちがご利用される宿泊施設を念頭に置いてご提案をさせていただいたところでありますので、ご理解をいただければと思います。

-広田議員

 国の考え方もありますし、どこかで線引きをという考え方もあると思います。いろんなお声もあるかと思いますが、私はやはり本市の姿勢が試されるのではないかと思っています。レジャーホテルも観光客が利用しているという話しもありますし、金沢市の宿泊税に関してご協力も得ている訳です。そして私が一番言いたいのは、そもそもこれらの奨励金の発端は新型コロナウイルスで人々が自粛し、さまざまな業種が疲弊しているという実態を踏まえたものだということです。その点については共通認識でよろしいですか?

-山野市長

 新型コロナウイルスによって、「コロナ禍」という言葉がよくお聞きをしますけれども、その中で市民のみなさんが疲弊をしている、市としてなしうる限りの施策を取り組んでまいりたい、そんな思いから今回も計上させていただきました。

-広田議員

 ことの発端は新型コロナウイルスなんですよ。多くの業者が人々の自粛によって疲弊をしている、それを行政がどう守っていくか、いろんな業種・業態はありますけれどもそこに働く一人一人は市民なわけです。みなさんの生活を支え、そしてそこからの消費でどう経済を持ち上げていくかということが、行政の責任として私は問われると思います。ですので、今回のように一部の宿泊施設を省いて奨励金を作るというのは、私はやはり本市の姿勢としては間違っているというふうに思います。コロナウイルスは、泊まる場所を選びません。ですので、コロナによって経営に影響があるのであれば、宿泊施設として奨励金を出すように求めますがいかがでしょうか。

-山野市長

 前段部分は全く同感であります。本市の姿勢が試されている、私もそういうふうに思っています。本市の姿勢を明確にした形で今回議案を上程させていただいたところであります。繰り返しになりますけれども、やはり政策を提示するときには一定の政策目標というものを掲げなければいけないというふうに思っていますし、一定の基準というものを設けなければいけないというふうに思っています。私はこれまで、この4月の補正のときにもそうでありましたし、議会のみなさん方と議論をしながら私はご理解をいただいたうえで施策を執行していくというのが本市の姿勢であるというふうに思っています。

-広田議員

 前段部分の思いは一致するとおっしゃっていただきました。やはり今、業者はじめそこで働く人々は生きるか死ぬかの思いで生活しています。やはりこの窮地に立っている以上、一部を線引きをするということでなく、市の姿勢としてみなさんを救っていく、守っていくということを示していただきたいと述べて、質疑を終わります。

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