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金沢市議会

私は、日本共産党金沢市議員団を代表して、認定第1号令和元年度金沢市歳入歳出決算認定については、認定できない事を表明し、その主な理由を述べます。

ひとつは国民健康保険、介護保険についてです。

国民健康保険は加入者の多くが年金受給者や、非正規等で働いている方がたで、高すぎる国民健康保険料を引き下げてほしいとの声は切実です。令和元年度決算では、国民健康保険費特別会計の実質収支は1億9975万円の黒字となり、保険給付費の払い戻しを行っても1億3704万円の黒字決算となりました。その結果、基金からの繰り入れが当初は11億2881万円を予算化していましたが、決算では2億1206万円と大幅に減少し、その結果、基金残高は27億5600万円になりました。今、国民健康保険財政に求められることは、協会けんぽ等に比べて、2倍にも上る高すぎる保険料の引き下げにあります。基金を活用し、保険料の負担軽減を行う事が求められます。国保加入者には非正規雇用者や年金生活者が多く生活は厳しい現状である事を考えると、基金はため込むのではなく保険料の引き下げにこそ使うべきです。

介護保険については、一部保険料の引き下げがありましたが、本市の保険料は中核市では8番目の高さであることは変わりません。

また一方で必要な介護サービスが受けられない事や、サービスを利用すれば、負担金がかかるなど、保険料を払っても利用しにくい実態があります。令和元年度決算では、6億1459万円の黒字となり、平成30年度の4億9000万円の黒字に続き2年連続の黒字となりました。その結果、基金残高は19億6900万円と大幅な増加となったものです。この基金を活用して保険料の引き下げが求められます。

二点目は市民の暮らしが大変な中で呼び込み型の大型公共事業の開発が進められることです。金沢港の港湾整備事業費はこれまで、国、県、市の総額463億円が投入され、令和元年度の市負担分は18億⒋000万円です。これは、大手企業コマツのための大浜岸壁改良事業や、日本海側のクルーズ拠点校を目指し無量寺岸壁の再整備、および、金沢港クルーズターミナルの整備でクルーズ船入港促進を図るものです。

又、観光政策として欧州の富裕層をターゲットに推進してきた外資系のホテル誘致に関する一連の整備事業、金沢駅西広場周辺歩行環境整備総事業費7億6000万円のうち、元年度は4億8167万円などで、一部の富裕層のために税金を使うのではなく、市民の生活を守り、福祉向上に力を入れることこそ必要です。

さらに城北市民サッカー場の再整備という事で基本設計の費用として4300万円支出されました。建設費が70億円、関連する施設の整備も含めると総事業費が100億円ともいわれ、新しいサッカー場建設には同意できません。

三点目に宿泊税に関してです。令和元年度の決算では7億6900万円余の収入がありました。そのほとんどが20000円以下の、宿泊施設に泊まった方からいただいた税金です。宿泊税を同じく導入している東京では1万円未満、大阪では7000円未満の宿泊料の場合は、課税はしないなど配慮が見られます。また、京都においては、修学旅行生には課税をしないとなっています。本市においては、修学旅行生に関して、いろんな特典はつけたものの、宿泊税そのものに改善を求める声が大きく上がっています。地元の中小の宿泊業者から宿泊税は止めてほしい、死活問題だとの切実な声が届いています。今後コロナ禍において、ますます厳しい宿泊業者の生業を杞憂するものです。

家庭ごみ有料化については、市民の皆さんの協力により家庭系のごみが減少しています。市民は、ごみ袋の購入の負担があります。この有料ごみ袋の販売収益はコミュニティ基金に積み上げられていくのですが、ごみ出しサーポート事業への広がりが少なく、対象の要介護の方を要支援の方や、ごみ出しが困難な方にと対象を広げるべきです。

職員定数についても賛成できません。

令和元年度の本市正規職員は定数が3343人のところ3241人で、非正規職員が1328人となっています。非正規職員の割合は29.1%となっており、その割合は年々大きくなっています。正規職員の割合を増やし職場の働く環境を守り市民の要望や負託にこたえることが大切です。

以上の点から、認定第1号令和元年度金沢市歳入歳出決算について認定できない事を表明し討論といたします。

2019年度金沢市公営企業特別会計決算・討論
      2020年12月11日 金沢市議会議員 森尾 よしあき


 私は、日本共産党金沢市議員団を代表して、認定第2号令和元年度金沢市公営企業特別会計決算認定について、討論を行います。

私どもは、この決算を認定できないことを表明し、その主な理由について述べます。

 第1に、本市ガス事業・発電事業譲渡方針にかわる点です

令和元年度の主な取り組みは、本市ガス事業・発電事業のあり方検討委員会が開催されたこと。本市ガス事業・発電事業譲渡方針について、市民からの意見を求めたパブリックコメントが実施されたこと。そして、令和2年3月に、本市ガス事業・発電事業譲渡基本方針が打ち出された事です。

 決算審議では、日程を一日追加し、集中審議が行われるとともに、書類審査を通じてこの問題に関わる二つの調査資料が決算委員会に提出されました。

審議を通じて明らかとなったことは、

①本市ガス事業・発電事業譲渡基本方針とは全く異なった内容が示されていた調査報告書があり方検討委員会にも示されることなく、隠されてきたこと。②市民からの意見を求めたパブリックコメントについて、本市企業局が勝手に都合の良い内容を付け加え、市議会に報告を行ったこと。③本市企業局幹部が10社の有力ガス・発電企業を訪問し、本市ガス事業・発電事業譲渡について、意見交換という売り込みを行っていたこと。しかも、それが、この事業譲渡について、調査委託を請け負っていたPwCアドバイザイリ―合同会社からの指示によるもので、訪問先に同行していたこと。さらに、この会社の社員があり方検討委員会の4回の会合全てに出席し、会議録を策定していたことが明らかとなりました。

特定の企業と本市企業局が深く関わる中で、本市ガス事業・発電事業譲渡基本方針が示されてきたことになります。

こうしたことから、この譲渡基本方針は、到底市民の理解と合意を得られるものではなく、再検討することを強く求めるものです。

次に、水道事業と工業用水道についてです。

 まず、水道事業は、令和元年度決算で、10億円の黒字となりました。これで、5年連続10数億円の黒字が続いています。県水の契約水量や責任水量制が引き下げられたことによるものです。したがって、その黒字額は、本来、水道料金の引き下げを実施し、市民に還元すべきです。今後、引き続き、県水受水契約の見直しに向けてとり組むよう求めておきます。

 本市水道事業は、現状からも、自己水に比べ4倍も高い県水を膨大に受け入れ、契約水量の6割を受け入れる責任水量制となっています。その結果、自己水を配水能力の3割しか使っていません。安くておいしい自己水を基本とする水道行政に切り替えれば大幅に水道料金を引き下げることは可能です。

 次に、工業用水道です。これは、先端産業を誘致するとして始まった工業団地造成事業において、立地した企業に供給する工業用水事業です。この金沢テクノパークは、30年年近くが経過しても、いまだ2割にあたる3区画6.05ヘクタール・東京ドーム1.3個分が埋まらないままとなっています。そして、工業用水道は、実質3社が利用し、使用料金は、開設以来23年間変わらず、事業の赤字は、全額一般会計で補てんしています。その決算額は、年間3268万円に上っています。市政の失敗のつけを市民に負担させてきたことになります。

 以上の点から、認定第2号令和元年度金沢市公営企業特別会計決算について、認定できないことを表明し、討論といたします。

2020年12月11日 大桑初枝 議員

大桑議員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団の一員として質問いたします。

 第8期介護保険事業計画等についてお伺いします。

 「介護の社会化」を理念に介護保険制度が始まって20年が経過しますが、国は事業計画を策定するたびに保険料や利用料の値上げ、サービスの低下を盛り込んできました。引き下げが続く介護報酬、介護報酬の賃金の抑制は当然の帰結として介護現場の深刻な人手不足を加速しています。来年度から実施予定である第8期介護保険事業計画においても、介護人材の確保の必要性について述べていますが、本市は第8期介護保険事業計画の基本指針を策定するにあたり、市民の要求や実態を反映させ市民の立場に立った計画となるようにすることが重要です。本市の第7期介護保険事業は2年連続黒字で、基金を19億円積み上げてきました。市長は、第7期策定にあたり基金を使って保険料を引き下げるべきとのわが会派の質問に対して、残りの基金は第7期にすべて使うとおっしゃっていました。が、介護保険事業は平成30年度では4億9000万円、令和元年度は6億1459万円の黒字となり、基金残高は元年度決算時で19億6900万円までつみあがっています。8期の保険料の設定には、今こそ、この基金を使って高すぎる保険料の引き下げを行うべきと考えますがいかがでしょうか。お伺いいたします。

-山野市長

 7番大桑議員にお答えをいたします。

 介護保険のことについてお尋ねがございました。保険料の引き下げをすべきではないかということです。第8期事業計画における保険料については、国の介護報酬改定等の動向を踏まえ、今後3年間に必要なサービスの給付量を適切に見込むとともに、介護給付費準備基金についても有効に活用し設定をしていきたいと考えています。

大桑議員

 介護保険法第1条は「介護が必要になっても、尊厳を保持し、能力に応じ自立した生活を営めるよう必要な給付を行う」としています。お金の心配をすることなく、必要な介護サービスを必要な時に利用できることを理念にしています。しかし、現状は介護サービスを利用したいが経済的な負担が大きいとして、利用していない方がいらっしゃいます。年金はマクロ経済スライド制度により給付額が削減され、医療費の負担が増え、消費税10%への増税か加わり高齢者をより一層厳しい生活へと追い込んでいます。介護保険料を支払い、いざサービスを利用しようと思ったら、お金がなくて介護サービスを利用できない、また、施設の入居者が支払い困難を理由に退所しなければならない状況も出てきます。介護施設やショートステイを利用する低所得者に対して行われる食事代及び室料への公的補助、補足給付の要件が厳しくなります。この補足給付の要件見直しは、多くの方が影響を受けることになります。その内容は、施設入居者やショートステイ利用者の補足給付の支給要件にある預貯金等の基準の引き上げを図るというものです。先般、特別養護老人ホームの関係者の皆さんが、本市に「介護保険制度の実態を訴え改善を求める要望書」を提出しました。それによると、特別養護老人ホームの入居者85名にアンケートを実施したところ、47%にあたる40名の方が、補足給付の要件改悪の影響が出るとのことでした。さらにそのうちの33名の方々はひと月2万2千円の負担が増えるとのことです。このまま改悪が進めば、入居費用の支払いに不安を抱える方が多数発生します。居住費や食費等の負担軽減策を本市としても行うよう求めますがいかがでしょうか。又、こうした声に真摯に耳を傾け、制度の改悪をやめるよう国に求めるべきかと思いますが、市長のお考えをお尋ねいたします。

-山野市長

 住居費・食費の負担軽減、さらには自己負担増などの制度改正をやめるようにということでした。今回、国の制度改正は、負担能力に応じた負担を求めるとの観点から、支給要件となる所得等の基準を見直すものであり、市として独自の軽減を行うべきではないと考えています。低所得者に対する利用料の軽減策については、国の責任において財政措置を含め、総合的かつ統一的な対策を講じるよう、全国市長会からも国に要望をしているところであります。

大桑議員

 介護サービスを確実に提供するためにも、体制づくりに本市が責任を持って取り組むべきと考えます。前回の議会の中でも取り上げましたが、高齢化社会が進む中で、介護職員の確保が重要な課題となっています。介護現場の人手不足は、もともと余裕のない介護現場の正規職員の労働を一層過酷なものとし介護職員を疲弊させ、働き続けることを困難にしています。本市が行ったアンケートの中にも圧倒的に介護人材不足人材確保策に取り組んでほしいという意見が出されています。ハローワークに行っても紹介がない中で、人手不足への応急的な対応として人材派遣会社や、紹介会社を利用する施設が急増しています。人手不足が深刻な要因は、新規採用が難しく、離職者が多いこと、そしてその背景には、介護従事者の賃金が低いことは明白です。国は平成21年度から処遇改善を図り、月額5万7千円の改善をしたと実績報告をしていますが、日本介護クラフトユニオンがアンケート調査を行ったところ、約7割の方が処遇に不満を持っているという実態が明らかになりました。厚生労働省のデータでは、介護従事者の平均年収は350万円となっていますが、他産業から見ると、100万円近くも安く抑えられ、現場で働く多くの介護職員の給与は低いままです。現場で働く介護職員の方々の処遇改善は喫緊の課題だと思います。このままでは、必要な時に必要なサービスが提供できない体制に陥りかねません。本市として国に処遇改善を強く求めるとともに、独自の支援策を講じるお考えはありませんか。また、本市では定着促進を図るために介護職員のケアワーカーカフェを開催したりしていますが、離職防止や介護職員の復職支援などあわせて本市の取り組みをお聞かせください。

-山野市長

 介護職員の処遇改善についてお尋ねがございました。介護職員の処遇改善につきましては、これまでも介護報酬の改定の中で国が必要な措置を講じてきているものであります。現在、介護報酬改定の議論が行われているところであり、ここはやはり国に対して介護職員全体の賃金水準の底上げとなるよう、全国市長会からも要望していることから、引き続き国の動向を注視してまいります。

 介護職員の離職防止と定着促進についてですけれども、人材確保につきましては先般取りまとめた第8期介護保険事業計画の骨子案において、働きやすい職場環境の整備など、介護職員の離職防止に向けた取り組みを掲げたところであり、計画の具現化の中で市としてなしうる施策を検討してまいります。

大桑議員

 次に新型コロナウイルス対策についてお尋ねします。

 介護事業所では、細心の注意を払って仕事をしています。通所介護、デイサービスで集団感染が発生したら事業所は休止せざるをえません。度重なる報酬引き下げで弱り切ったところに新型コロナ危機が追い打ちをかけ、介護事業所はかってない危機に立たされています。厚生労働省は感染防止対策を取り、必要なサービスが継続的に提供されることが重要と通知していますが現場ではいまだに、衛生用品特にグローブが圧倒的に不足しているという事もお聞きしています。これでは、当然感染のリスクが高まってきます。本市においては、今後どのような支援策をとっていくのかお聞きいたします。

-山野市長

 グローブなどの衛生用品が不足しがちだということでした。介護事業所に対しましては、市独自に衛生用品の購入経費について補助を行ってきたところであります。マスクや消毒液なども支給しており、これについては今後グローブなども含め継続していく予定であります。引き続き市はもちろんのこと、国・県とも連携し、必要な介護サービスが利用できるよう介護事業所に対する支援を行ってまいります。

大桑議員

 民間調査会社・東京商工リサーチのリポートでは、2020年の介護事業所の倒産件数が過去最多になったとしたうえで、介護報酬の改定状況によっては倒産や休業・解散がさらに加速すると警鐘を鳴らしています。このコロナ危機や大規模災害を受けて厚生労働省は今回の改定にあたって「感染症拡大や災害時も必要なサービスが安定的・継続的に適用される体制」を上げました。しかし経営基盤の強化や感染症対応で最も必要な職員配置の充実や、処遇改善の策は見えてきません。出てくるのは感染症などに備えた計画の策定や研修、訓練などです。国の方では介護事業所が休業した場合はケアプランを作る居宅介護支援事業所を中心に代替サービスを検討・提供するように求めていますが、代替しようにも、どの事業所もヘルパーが日常的に人手不足が慢性化し対応できない状況があります。本市でも、コロナ感染を心配して、利用者が通所サービスを休んだり、デイサービスを躊躇した場合には、代替サービスとして自宅訪問に切り替えて対応するなどの中で、経営においても大変な状況が続いています。国や県の助成制度を多くの事業所が利用していますが、実施しているサービスの種類に応じて、介護事業所に月額10万から40万円を助成する制度を独自に取っている自治体もあります。本市としても事業所に、独自の支援策を図るよう求めますがいかがでしょうか。

-山野市長

 収入が減少した事業所に対する経営支援策についてお尋ねがございました。介護事業所の収入は、介護保険制度における介護報酬により賄われているものであります。現在、国において、新型コロナウィルス感染症による事業所の収入への影響も含めて、介護報酬改定の議論が行われているところであり、この動向を注視してまいります。

大桑議員

 次に、国民健康保険についてお伺いたします。

 国保の財政を都道府県に集約する「国保の都道府県化」がスタートし、3年目となりますが、高すぎる国保料を引き下げてほしい、との要望は切実です。厚生労働省の「2017年度国民健康保険実態調査報告」によれば、国保加入世帯の2017年度の平均所得は136万1千円で、10年間で2割も減りました。収入に占める保険料は一人当たり国民健康保険では9.1%、協会健保では、4.6%となっています。国保料の負担は、会社員の方が入る協会けんぽの負担に比べて2倍以上の負担とになっています。そして、このまま加入者の高齢化、非正規化、貧困化が強まれば、構造的な矛盾は限界にまで達し、国保の保険制度そのものの崩壊を招くことになります。全国知事会も、国の大幅な財政出動を求め続けてきており、所得は減るのに保険料は増えるという加入者の厳しい状況を直視すれば、自治体は加入者の負担軽減に心を砕くことが必要だと思いますが、市長はいかがお考えでしょうか。

-山野市長

 国民健康保険のことについて何点かお尋ねがございました。保険料が高くなっている、そのことについてどんなふうに思っているのかということでした。被保険者の所得水準が低く、所得に占める保険料負担が大きいということは、国民健康保険における課題であると認識をしています。加入者の負担軽減を図るため、これまで市単独の繰入金や基金を活用するなど、できる限り保険料の抑制に努めてきたところであります。

大桑議員

 国保料の昨年度決算では実質収支が1億9900万余の黒字となり保険給付費の払い戻しを行っても1億3700万円の黒字となりました。基金残高は27億5600万円となっています。基金を使って高すぎる保険料の引き下げを求めますがいかがでしょうか。

-山野市長

 令和元年度の決算は2億円の黒字である、基金は27億5600万円、これを活用して保険料を下げるべきではないかというご意見でした。ただ、今大桑議員もおっしゃいましたように、今後のことを見た場合に国保財政は被保険者の高齢化、さらには医療の高度化等に伴う一人当たりの医療費の増加などにより、より厳しい状況が予想されるところであります。基金につきましては、これまでも保険料の引き上げなどが必要となった場合において、急激な引き上げとならないように負担緩和のための財源として効果的な活用を図ってきたところでありますし、今後も今ほど申し上げましたようにより一層厳しい状況が想定されますので、一時的な保険料の引き上げ(28:45)に使用することは考えてはいません。

大桑議員

 国保料が、他の医療保険より著しく高くなる要因のひとつに、国保にしかない「均等割」という保険料算定があります。「均等割」は、古くからある「人頭税」と同じ仕組みで、収入のない赤ちゃんであっても、加入者一人当たりにかかる負担です。全国の自治体の中には、住民負担を抑制する努力を続け、新たな独自軽減に足を踏み出すところも出てきています。本市の国保加入者のうち、18歳までの被保険者数は6572人です。18歳までの被保険者への均等割りを廃止した場合どれほどの必要額が生じるのかお聞きします。これまでも国民健康保険料を引き下げるとともに加入人数への均等割りを止めることを求め続けてきました。少なくとも子どもの均等割りをなくすことは、今、新型コロナウイルスで大変な環境で日々を過ごすお父さん、お母さんの家計を助けることになり、子育て支援にもつながります。石川県、加賀市では子どもの均等割りの減免をしています。本市も独自の施策として子供の均等割りをなくするお考えはないかお尋ねいたします。

-山野市長

 18歳までの子どもの均等割り保険料のことについてお尋ねがございました。仮に18歳までの子どもの均等割りを廃止した場合、本年度におきましては約1億7100万円、新たな財源が必要となります。子どもの均等割りなど保険料の恒久的な軽減というものは、各市独自で行うには私は限界があるというふうに思っています。ここはやはり国の制度の中で対応すべきであると思っています。これまでも18歳までの子どもの均等割り保険料を軽減する支援制度の創設については全国市長会を通じて国に要望をしてきているところであり、今後とも国に強く働きかけてまいります。

大桑議員

 新型ウイルス感染症特例の減免制度についてもお聞きします。この減免制度について、現在どれくらい実績があるのかお伺いいたします。又、この減免制度なのですが新型コロナの終息が見えない中で次年度も継続してほしいとの声があり、減免の継続を求めますがいかがでしょうかお伺いいたします。

-荒舘保健局長

 国民健康保険料の新型コロナウィルス感染症関連の減免実績についてお答えいたします。11月末時点で843件の申請を受け付け、審査が完了した645件のうち、減免基準を満たしている536件につきまして減免決定を行ったところでございます。

-山野市長

 保険料の減免のことについてお尋ねがございました。新型コロナウィルス感染症の影響により、収入が減少した世帯等の保険料について、国の緊急経済対策を踏まえ減免しているものであります。現在国において、新年度予算の検討が行われていますことから、国の動向を注視してまいります。次年度の保険料につきましては、今年度新型コロナウィルス感染症の影響により減少となった収入に基づき算定されますことをご理解願いたいと思っています。

大桑議員

 国民健康保険の項目の最後に資格証明書発行について伺います。私たち日本共産党市議団は、住民のセーフティネットである国民健康保険の保険料のあまりの高さに、逆にそれが、生活を脅かすものになっていること、滞納すれば医療を受けることから遠ざけられ、命を落としかねないものになっていることを度々指摘し、この問題を取り上げてきました。

滞納が続く世帯に資格証を発行して、医療窓口での負担を事実上10割にするというこのやり方は、受診抑制となり、この資格証の発行は命と健康を脅かすものです。今回、厚生労働省より資格証について、国保の資格証明書所持者が受診した場合は通常の保険証同様にとり扱うようにとの、通知が出されました。横浜市など、すでに資格証明書の発行をやめたところもありますが、たとえ発行している自治体であっても、名古屋市などは、自治体独自の判断に基づき、資格証明書世帯に、短期保険証を送付するなど、受診抑制の解消に努力しています。名古屋市は国の通知を受けて、11月以降、コロナ感染症にかかわらず、資格証明書を発行せず、原則としてすべての滞納世帯に短期保険証を発行することになりました。資格証明書所持者は病気になってもなかなか受診に至らず、発熱症状が出ても受診治療という事に繋がらない場合があります。したがって資格証明書は廃止し保険証に切り替えることが必要です。資格証明書の廃止は新型コロナウイルス感染症の拡大防止の意味からも重要です。市長のお考えをお聞きします。

-山野市長

 資格証明書のことについてお尋ねがございました。本市におきましてもこれまでも特例を取り入れています。資格証明書を交付している方から、医療を受ける必要が生じ、医療費の支払いが困難である旨の申し入れがあった場合、ここは特例として短期被保険者証を交付するなど、本来の負担割合で医療機関に受診できる対応をとっています。コロナウィルス感染症の拡大に伴い、医療機関へ受診抑制とならないよう、この対応については資格証明書を交付している方に対し周知をしているところであります。資格証明書の交付はできるだけ接触の機会を多く持ち、納付相談や指導に努めたいというその趣旨で、国民健康保険法の規定に従い、制度の維持、負担の公平を図るという観点から実施しておりますことをご理解いただきたいというふうに思います。

大桑議員

 次に市営住宅についてお聞きします。市営住宅の安全安心のまちづくりについて質問いたします。

 まず市営住宅の修繕についてお伺いいたします。市営住宅の目的は、健康で文化的な人間らしい生活の最低保障となる住居の保証が目的です。その中でも、高齢社会に対応すべき安全安心な住環境は、平成28年3月に高齢化等に対応した市営住宅の在り方検討会の報告者の中にも取り上げられています。市営住宅は、退去すれば室内は改修され、きれいになり次の入居者のための準備として、浴室の改造工事も進められます。長く居住している所では、入居時のままでいろんなところに、経年劣化が起きています。お住まいの皆さんの多数 の要望は、お風呂の改修です。高齢化のため、浴槽が高くてお風呂に入りたくても足が上がらず入れないし、出られない。何とかならないかという切実な要望が、強くあります。本市の 新しく建てた市営住宅では、浴槽もシャワーも設置され喜ばれていますが、長年住んでいる方の浴槽改修は この間本市は、これらの問題解決を、個人責任としています。家で風呂に入らなくても、公衆浴場を利用するという選択肢はありますが、高齢になって車を手放すようになると そうもいきません。国が示す指針では、お風呂のバランス釜については15年が修繕周期となっています。市営住宅の風呂釜については、今でも入居者自身で用意しなければならないところもありまが、現代では浴室は必要不可欠な設備である為、今後は本市でも、整備件数を増加させていくとしています。そこで、市営住宅のお風呂の設置状況をお尋ねします。風呂釜の更新については、風呂釜が15年経過し、故障した場合に公的負担で取り換えをしている自治体もあります。安心安全な住まいを提供する本市としてのお考えをお聞かせください。

-山野市長

 市営住宅の修繕について何点かお尋ねがございました。現在、市営住宅のうち、浴槽と給湯器を設置してある住居は全体の3割程度であります。入居者が設置した風呂等の改修については、入居者で対応していただいているところであり、修繕等に係る支援は今のところ考えておりません。なお、風呂以外の給排水設備や建具等の不具合につきましては速やかに確認をし、対応しているところであります。

大桑議員

 住宅入り口の壁の剥がれが長年放置されているところがあります。公営住宅法第21条に掲げた修繕の義務の中には、公営住宅の家屋の壁、基礎屋根及び階段などについて修繕する必要が生じた場合は遅滞なく修繕しなければならないとしています。入居者の方からの修繕要望があれば速やかに対応することを求めますがいかがでしょうか。

-山野市長

 住宅共用部分の修繕についてお尋ねがございました。ご指摘の、共用部分である入り口や階段室の補修については、緊急性を有するものからできるだけ早く対応をしているところであります。入居者からの修繕要望につきましては可能な限りできるだけ丁寧に対応をし、必要に応じて優先順位をつけて対応しているところであります。

大桑議員

 高層市営住宅の冬場の対策についてもお伺いいたします。緑市営住宅の高層アパートは冬になると海からの強風でドアの開け閉めがとても困難になります。特に高齢の方などは、このドアの開閉が恐怖だと言います。さらに、吹き込んでくる雪が廊下に吹き込み凍り、歩くのも大変な状態になります。朝の早い出勤の方は転ばないか細心の注意をしながら歩いていると言います。安心安全の立場からも、早急に対策をかんがえてほしいと思いますがいかがでしょうか。

-山野市長

 緑住宅高層棟の風の吹き込みのことについてお尋ねがございました。高層棟の共用廊下では、建築基準法及び消防法の規定により、腰壁の上が解放空間になっておりますことから、強風対策として各住戸の玄関前に暴風ガラスを設置しています。昨年度末、H1棟の各階の通路には、外壁の改修工事にあわせ滑り止めシートを設置したところであり、今後とも計画的な整備を研究してまいります。

※実際は、一括して質問して、一括して答弁をもらう形ですが、便宜上、一問一答の形にしています。

わたしは、日本共産党市議員団の一員として、以下質問いたします。

まずは、雇用とくらしを守る取り組みについてです。

2020年12月10日 広田みよ 議員

「労働力調査」によれば、今年4月から9月の雇用者数は、コロナの影響が出る前の3月に比べて100万人以上も減っています。

リーマンショックの後にも雇用が減少しましたが、その減少幅は最高でも94万人。しかも、そこまでいくのに1年近くはかかりましたが、今回の減少は、大幅かつ急激です。

また、休業手当をもらっていれば、休業者として雇用者数にカウントされますが、推計値では200万人とも400万人とも言われます。この方々が今後失業者になれば深刻な事態です。

一方、石川県の労働力調査では、1月から3月平均とくらべ7月から9月平均は雇用者数は16,700人減少となり、休業者は、4月から6月平均では37,900名にものぼり、宿泊・飲食サービス業で特に多い状況です。

本市だけの数字はわかりませんが、コロナ特例で失業や収入減で利用できる緊急小口融資や総合支援資金、住居確保給付金などのセーフティーネットの利用が、本市では11月末でのべ6,314件にのぼっていることから、雇用と市民生活の深刻な実態はあきらかです。

深刻な市民の雇用とくらしを守る取り組みが必要です。

市民の声が通り、支援制度については、雇用調整助成金のコロナ特例や休業支援金について、年末までの期限を2月末まで延長することが決まりましたし、休業支援金は企業が休業と認めない場合でも支給すると確認もされています。

緊急小口資金と総合支援資金のコロナ特例も、年末から3月末まで延長し、住居確保給付金についても、最大9カ月から12カ月まで延長すると政府が方針を出しました。

まずはこうした重要な制度の延長や内容について、労使どちらにも徹底して周知したうえで、市長から「解雇・雇い止めではなく最善の策をとるよう」、メッセージを出してほしいと思いますがいかがですか。

-山野市長

 28番広田議員にお答えをいたします。

 まず、コロナ禍で雇用と暮らしを守る取り組みのことについて、様々な施策を打っているけれども市長としてのメッセージを出していくことが大切ではないかということです。国もそうですし、本市におきましても、事業活動の縮小を余儀なくされた中小企業に対し、国の雇用調整助成金に上乗せする助成金、離職した方を正社員として雇用した中小企業への奨励金制度などを創設し、雇用維持を支援しています。これらの支援制度につきましては、数度に渡る補正予算を編成し、コロナ禍における雇用対策等についてこの議会で議論をするということがひとつ市民に対するメッセージだというふうにも思っております。また私は記者会見を何度もさせていただいているところであります。その記者会見を通しても、報道のみなさんを通して多くの市民のみなさんにお伝えをさせていただいています。また市のホームページ、また私個人のホームページでも、私なりにわかりやすくしながらメッセージを発信してきているところでもあります。引き続き、様々な機会をとらまえまして、メッセージを発信していきたいというふうに思っています。

広田

また、年内で支援が途切れないようにするため、そして年末の倒産や失業に対応するため、年末年始は労働、生活、事業者向けの臨時の相談体制をとるべきですがいかがですか。

-高柳福祉局長

 コロナの影響につきまして、生活に困窮されている方に向けた年末年始の相談窓口についてお答えをいたします。年末年始における市民生活の経済的不安を解消するために、本年12月29日と30日の2日間、市役所の生活支援課におきまして年末生活相談窓口を開設いたしまして、生活保護や住居確保給付金などの各種支援の相談・申請受付などを行うこととしております。合わせまして金沢市社会福祉協議会におきましても、同じ日に緊急小口資金などの貸し付けの相談窓口を開設することとしておりまして、連携して相談支援にあたっていきたいと思っております。

-山田経済局長

 労働者や事業者に向けての臨時の相談窓口体制についての質問にお答えをいたします。セーフティーネット等の保証認定や制度融資に関する相談、国・県・市の各種給付金・助成金等に関する申請受付のほか、中小企業者の経営評価や起業支援に関する相談に対応しております中小企業・小規模事業者総合応援窓口につきましては、年末の金融機関の営業日と合わせまして、12月29日と30日の2日間開設をいたします。合わせて労働者や事業者からの雇用等に関する相談にも職員を配置し対応するということとしております。

広田

そして、生活保護制度について、厚労省があらたにリーフレットに明記した「生活保護の申請は国民の権利であり、ためらわずにご相談を」ということを市民に広く知らせてほしいと思いますがいかがですか。

―山野市長

「生活保護の申請は国民の権利である」という文、そのことを市民のみなさんに広く知らしめることが必要ではないかということでした。生活保護は憲法25条に規定する理念に基づき、「国が生活に困窮するすべての国民に対し必要な保護を行い、健康で文化的な生活を営むための権利を保障するもの」と認識しています。市としても、生活に困窮される方が生活保護の利用・相談をためらわずしていただけるために、ホームページ等様々な機会を通して周知をしていきたいと考えています。

広田

次に女性への影響についてです。このコロナ禍の雇用問題は、非正規の割合が高く、宿泊や飲食サービス業に多く従事する女性に、大きな影響を与えています。

女性の雇用者数の減少は男性の2倍以上と大きくなり、石川でも、1月から3月平均にくらべ7月から9月平均は、雇用者数の減少が男性が2100人に対し、女性は14600人と7倍以上の減少であり、非正規も正規雇用も減っています。休業者についても女性が多くなっています。

わたしの実感でも、4月頃から女性の失業や生活についてのご相談が相次ぎました。

こうした雇用の問題を含め、コロナ下の女性への影響が深刻な問題を生み出しています。

女性の自殺の増加です。ことし7月以降、全国で自殺が増えており、特に女性が大幅に増加。10 月は全体で2158人のうち女性が851 人と、前年同月と比べ、男性も2割の増加率ですが、女性の増加率は 8 割にも上ります。

こうした状況を受け、先月19日、内閣府の「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」は緊急提言を出したところです。

結びには、今後、政府にあっては、自治体や民間企業等の協力を得ながら取組を進めていくことを期待するとし、これを受けて、内閣府特命担当大臣からも、この提言を参考に、大変な思いをされている女性を誰一人取り残さないよう御対応をと発言がありました。

統計上では、本市では顕著に女性の自殺が増加しているとは言えないようですが、お一人たりとも思いつめることのないよう、取り組むことが必要です。

以下提言の中身から伺います。

〇 ひとり親家庭への支援強化が求められています。

ひとり親世帯は非正規雇用が多く、コロナ禍で大きな影響を受けています。政府は先週、ひとり親家庭に年内に再度の支給を行うと表明しました。前回同様、児童扶養手当を受けていなくても、収入が大きく減った家庭も対象としています。年内にしっかり行き渡るように求めますし、各家庭の状況や悩みを抱えていないかお声かけするよう求めますがいかがですか。

―山野市長

女性への影響、特にひとり親家庭への臨時給付金のことについてお尋ねがございました。ひとり親世帯臨時特別給付金の再支給分につきましては、国の決定に従い速やかな対応を行いたいと考えています。また児童家庭相談室では日ごろからひとり親世帯の問い合わせなどに対応していますほか、子供ソーシャルワーカーの学校や保育施設などの訪問を通じて相談に応じており、引き続きしっかりと丁寧に対応をしてまいります。

広田

〇 DVや性暴力の増加・深刻化、予期せぬ妊娠の増加が懸念され、対策を早急に強化するとともに、感染拡大期においても可能な限り必要な機能を果たすこと、とあります。

本市では人権女性関連、福祉健康センターなどでご相談を受けているかと思いますが、感染拡大期にあっては保健所や事務手続きへの応援体制などもありますが、相談体制をしっかり確保するよう求めますが、いかがですか。

―山野市長

DV・性暴力・望まない妊娠等に対する相談体制のことについてですけれども、このコロナ禍におきましても通常業務に支障がないよう、体制を整えているところでありまして、DV・性暴力・望まない妊娠等に関する相談につきましてもしっかりとした相談体制を確保しているところであります。

広田

〇 休校・休園の判断において、女性・子供への影響に最大限配慮すること、とあります。

休校、休園、リモートワークの拡大により、自身や夫、子どもの在宅生活の広がりにより、食事の用意をはじめ家事の負担が急増したり、気の休まる時間や居場所がなくなったりして、女性が精神的に追い込まれています。わたしも、保育園自粛の際の状況について、在宅ワークだったお母さんから、「日中は食事の支度や子どものお世話とそれどころではなく、夜になって仕事をしていた、忙しすぎて当時のことが思い出せないくらいだ」と聞きました。

本市としてはどのような配慮をお考えでしょうか。

―山野市長

保育所・認定こども園・幼稚園等の休園において、女性・子供への影響に最大限配慮すべきであるということでありました。保育所等に通園する児童や職員が陽性となった場合、当初2週間程度の休園を要請していました。最新の知見等を踏まえ、現在では施設の消毒・濃厚接触者の調査に要する期間として1日ないし3日程度の休園要請に変更をしたところであります。再度の登園自粛、休園という可能性もなきにしもあらずでありますので、家庭と保育所等をつなぐ新たな仕組みとして、ICTを活用したオンライン保育の実証実験を行っているところであります。保護者や児童への影響が少しでも軽減されるよう、保育関係者と協議をしながら取り組みを進めているところであります。

広田

これらの問題は、これまでの構造的問題がコロナによって表面化したものです。女性に重圧がかかる日本社会の現状を変えるために行政、政治が積極的な役割を果たすことが必要です。

つぎにケアに手厚い社会にするために、保育園と学童保育について伺います。

保育園では、このコロナ禍で、エッセンシャルワーカーの保護者を支える側として保育士自身の子どもも休園や休校措置にもなりながらも、園を運営してきました。また、若い保護者が失業し就労に向けて取り組む様子や家庭のことにも寄り添う役割も果たしています。

しかし、72年前から変わっていない面積基準や配置基準の中で、通常でもぎりぎりのところ、コロナ禍で、子どもたち同士の距離を保ち、消毒や清掃を常に行うというのは、大変なものです。
当面続くコロナ禍のもとで、子どもたちにとって保護者にとって安全安心な保育が提供されるために、保育士の処遇改善および人的配置の見直しなどすべきと考えますがいかがですか?

―山野市長

保育士の処遇改善及び人的配置の見直しのことについてお尋ねがございました。コロナ禍で感染症対策の徹底を図りながら保育を継続的に実施していくため、マスク等の衛生用品の購入、勤務時間外に消毒等を行った場合の超過勤務手当などの経費を補助していますほか、登降園時における園児の受け渡しや消毒作業などに従事する保育支援者につきましても、市単独で国基準を上回る配置を行ったところであり、現在のところ新たな見直しまでは考えてはいません。

広田

放課後児童クラブ、いわゆる学童保育では、支援単位が1のまま40人どころか100名を超える子どもがひしめくクラブもあり、3密は避けられない状況です。

大規模くらぶの分割や、待機児解消のため、地域での増設が課題となっており、このコロナ禍でより緊急性が高まっています。

市は、担い手の確保のため、NPO法人と学校法人にも参入を認めるよう、この4月に運営要綱を変更しました。

しかし、これまで、現場のみなさんが運営委員会方式で大変苦労し、市に指導やアドバイスを求めても地域で工夫をと言われてきたことからすれば、突然打ち出された方向性とも言えます。市長、再度どのような議論であらたな法人に参入拡大を決めたのかあきらかにしてください。

―山野市長

放課後児童クラブのことについてお尋ねがございました。NPO法人、学校法人を設置者として加えたことについてお尋ねでございました。現在、本市では放課後児童クラブの利用につきまして待機児童が発生しており、児童クラブの拡充が急務となっています。児童クラブの分割や創設につきましてはこれまで、各校下にあります地区社会福祉協議会や、社会福祉法人が主体となり行ってきました。ただ、関係各方面からお聞きをしておりますと、既存の運営主体だけではなかなか十分な対応が難しいという地域も出てきましたので、運営主体を拡充したものであります。ただ、金沢市の放課後児童クラブは、これまでも地域のみなさんの意向を最大限尊重しながら取り組んできたところでありまして、この場合であったとしても地域のご理解をいただきながら進めていければというふうに思っております。

広田

現状では、本市の101施設はそのほとんどが民設民営です。しかし、市には子どもたちが安全安心にすごせるようにする責任があり、法律にも明記されています。

それなのに、待機児童の実態に対し、「子育て夢プラン」に示されている計画では、めざす確保量が少ないほか、望まれている小4生以上の入所継続が考慮されていません。

仮に、小学校3年生の入所児童がそのまま小6まで継続した場合、現状では8,009名の受け皿が必要です。しかし、実態は、小4生から大幅に入所児童数が減り、5,276名の利用です。夢プランのめざす確保量も2024年度に5,565名と289名しか増やされていません。そもそも、小1の時点でも入れない待機児数が何名いるのか正確に把握できていないのが実態です。

新たな生活様式にあわせるためにも、また待機児童が解消され、どの学年でも継続が可能なようにクラブ数を増やす必要があります。

民間に任せるのではなく、市として、待機児数を正確に把握し、増設の必要がある地域、クラブ数の目標などの整備計画をつくり、市有地の利用や公共施設を活用するなどして、設置を増やすよう求めますがいかがですか。

―山野市長

市有地・公共施設を活用したクラブ数を増やすべきというご提案をいただきました。本市の児童クラブは今ほど申しあげましたように各校下・地区の社会福祉協議会や社会福祉法人などが主体となって運営をしてきたということでもあります。心から私も感謝をしているところであります。今年度は新築・改築の補助限度額の引き上げ、増築に対する補助の新設など、支援強化を実施したところであります。今後とも、地域が主体となってクラブの創設・分割が促進されるように努めていきたいと考えています。

広田

つぎに、学童保育や保育園では慰労金の支給の対象にならなかったことに、現場から団体から批判の声が政府にも多く寄せられました。そこで、厚生労働省は、「児童福祉施設等における新型コロナウイルス感染症対策に係る支援事業」の第二次補正予算分で、「かかり増し経費等」として人件費も補助対象にしたところです。本市は保育園にこの補助金をあてるようですが、学童保育はどうなるのか明らかにしてください。現場にお話を伺ったところ、サービス残業で消毒や清掃をしているとのこと。本来はこの補助金をあてて対応するべきではないのか、見解を伺います。

―山野市長

支援員は慰労金の支給対象にならなかったと、そのことについとお尋ねがございました。本市では児童クラブの新型コロナ対策として、子ども・子育て支援交付金を活用しマスク等の衛生用品の購入に対する支援を行ってきているところであります。これまでも各クラブからは時間外手当に係る相談・要望等々を受けてこなかったところでもありますので、新型コロナウィルス感染症緊急包括支援事業につきましては予算化をしていないところであります。

広田

次に、世界人権デーのこの日、LGBTQへの取り組みについて伺います。

プライドハウス東京と認定NPO法人REBITが調査実施した、コロナ感染拡大の影響に関する緊急アンケートについて、ご存知でしょうか。コロナ禍の5月から6月にかけて、12歳から34歳のユースを対象に行ったものです。

結果の全体考察でこう書かれています。

1.LGBTQユースは普段から家族など同居者との生活において困難や孤独感を抱えている割合が高く、その背景には同居者の無理解が挙げられ、理解を促進していく必要がある。また、LGBTQにおいても、コロナ禍に暴力やDVの増加も想定され、セーフティーネットの構築が求められる。

2.あらゆる層と同じように、LGBTQユースやその世帯も、コロナ禍で経済的困難に直面し、貧困対策・経済対策に包括することが必要である。失業して、就職活動が必要だが、LGBT当事者であることがハードルになる場合もあり、就労支援が求められる。

3.感染した際、医療現場で同性パートナーが家族として扱われるか、入院時に自認する性で扱われるのか、アウティングの配慮など医療現場での対応や、トランスジェンダーの方などの定期通院が必要でもコロナ禍で通院しづらく健康悪化しているなど、医療現場での体制構築が必要である。

4.こうした悩みや困難を抱えているにも関わらず、コロナ禍でセクシャリティについて安心して話せる人や場が絶たれ、さらに不安が高まっており、居場所づくり、相談窓口が必要である。

そこで伺います。

LGBTQの方々はセクシャリティについて安心して話せるのか不安で、就労支援やDV相談、医療相談などがしにくい環境にあります。本市はまだ独自にそのような相談ができる窓口は開設できていません。金沢SDGs行動計画の「ミライシナリオ」では「LGBTフレンドリーなまちにする」と打ち出しました。今こそ、LGBTQ当事者や家族の相談に応える、専門家などを配置した相談窓口を設置するべきではありませんか。

―山野市長

LGBTQのことについてお尋ねがございました。性的指向や性自認により、社会生活の中で苦痛を感じておられる方々に対しては、人権尊重の観点から配慮が必要であると考えています。これまでも人権擁護委員による相談をはじめ、専門的な知見が必要となる場合には民営の性的マイノリティのための電話相談窓口を紹介するなどの対応をしてきており、コロナ禍にあっても様々な相談内容に丁寧に対応するように心がけてきました。

広田

次に、アンケート考察ではコロナ禍での医療アクセスが課題としてあげられました。

市内では、民間病院がLGBTについての配慮や知識を学んだという報道もありましたが、医療機関全体への浸透は進んでいるのでしょうか。まずは、市立病院が率先して行うべきと考えますが、入院時などに自認する性で扱われるのか、アウティングの配慮などがされているのか、同性パートナーが家族として扱われるのか、対応の現状について伺います。

―山野市長

 市立病院での取り組みについてであります。市立病院におきましても過去に何名かのLGBTQと思われる患者を受け入れたことがありますが、医療サービスの提供に当たっては医師・看護師が本人の要望を聞き取り、可能な限り配慮をしたことで何ら問題は生じなかったというふうに聞いているところであります。今後もLGBTQの方々へは個別対応を基本とし、安心して治療を受けていただけるよう、ひとりひとりの希望を尊重しながら丁寧に対応をしてまいります。

広田

同性同士のカップルを婚姻に相当する関係と認めるパートナーシップ制度は、性的マイノリティの困難全体の解消施策の要となり、「愛する人の一大事に付き添えないかもしれない」との悩みの種でもあった医療機関の対応改善の契機ともなっています。

2020年12月現在では60を超える自治体で施行され、パートナーシップ制度を利用しているカップルは1000組を超えています。市長、本市でも制度の創設を求めますがいかがですか。

―山野市長

 パートナーシップ制度のことについてお尋ねがございました。コロナ禍におきまして、広田議員もおっしゃいましたように家族の在り方・絆の大切さということが再認識されてきたところであります。今年になりまして金沢市はSDGs未来都市に選定をされました。これは金沢市が独自に金沢ミライシナリオを作って、その実行に向けて取り組んできたことが評価をいただいて、さらなる活動を期待されたものだというふうに思っています。その中にも、これも広田議員がお触れでしたけれども、「LGBTフレンドリーなまちにする」という目標を明確な文書にして掲げているところでもあります。その実現に向けまして、すでに60余りの自治体が先行してパートナーシップ制度に取り組んでおられますので、先行自治体の取り組みを参考にしながら制度設計を視野に導入について前向きに検討をしていきたいと考えています。

広田

さいごに、デジタル行政について伺います。

わが党は、住民の福祉増進に寄与するデジタル化が求められるという見解ですが、今の政府が推進するデジタル化は安倍政権以来の経済成長戦略の延長上で、国家目的や産業目的のためであり、住民の生活改善や地方自治を充実するうえで、課題があります。

今議会で、本市のさまざまな手続きがオンラインで可能となる条例案が出ています。

一方で、自治体の窓口業務は、手続きを受け付けるだけの仕事ではなく、住民の出生から死亡まで人生や生活の重要な場面で、市民と直接対面し、相談にのり、最善の行政サービスにつなげるという、役割を担っています。たとえば、妊娠手帳を交付する際は、母親や家族と保健師が対面し、祝福の言葉から始まり、予防接種や健診のご説明、そして、不安なことがあれば丁寧に相談にのる。相手の様子を観察しフォローアップの必要性も考える。そんな重要な役割、機会を奪うものであってはなりません。

そこで伺いますが、オンライン申請をまずは年度内におよそ100手続き、その後も広げるとしていますが、2000ある手続きのうち選び出す基準をあきらかにしてください。

―山野市長

デジタル行政、オンライン申請のことについてお尋ねがございました。今回、電子申請を拡大するにあたり、市民サービスの向上に資するよう、毎年100件以上の申請がある約300の手続きの洗い出し作業を行い、まずは市で対応可能な約100の手続きをオンライン化をしていきたいと考えています。現在国が書面等で申請を義務付けているもの、直接面談をし現状を確認する必要がある、約200の手続きにつきましては、国の法改正や事務の見直しと合わせ、また残りの約1700の手続きにつきましても、こうした考え方に沿って速やかにオンライン化をしていきたいというふうに思っています。

広田

また、最初はオフラインもオンラインもどちらでもと言いながら、オンラインだけになっていく可能性があります。現に、コロナ禍で死活がかかっている事業者に対し、持続化給付金や家賃支援給付金はオンラインのみの受付ですし、本市でも山間部や郊外の住民票などの自動交付機は廃止が決まり、コンビニでと言いますが、マイナンバーを持っていないと利用できない制約付きです。今回のオンライン申請もマイナンバーカードの所有者のみを対象にしたものなのでしょうか。

オンラインできる方だけ、マイナンバーを持っている方だけというやり方は、デジタル格差を広げるもので、行政のあり方として問題ですがいかがですか。

―山野市長

電子申請につきましては、市民サービスの向上を目的として拡大するものであり、これまでの窓口での申請についても継続していくものであります。オンラインでの手続きが難しいという方には、引き続き窓口での申請において丁寧に対応をしていくところであります。

広田

さらに、自治体戦略2040構想の報告では「行政のデジタル化」を進めることによって、現在の半分の職員で従前通りの仕事ができ、職員の負担も軽減されるかのように述べています。しかし、職員の削減は高齢者や障がいのある方など社会的弱者が行政サービスが受けにくくなり、すべての住民を対象とした行政が遠のいていくことになります。だれのための、なんのためのデジタル化なのか、問われています。今後、どのような考え方でデジタル化をすすめていかれるのか市長に伺い質問を終わります。

―山野市長

オンライン申請は住民福祉が第一だ、その視点を忘れてはいけないというご指摘でありました。私もまったく同感であります。多くの市民の皆さん方が電子申請によって24時間いつでもどこでも申請できる環境を作る、お仕事のお昼休みであったりだとか、夜お仕事が終わったあとであったりだとか、そんな場面でも電子申請をしていただける、そんな環境を作っていくことが大切だと思っています。また、市役所に訪問する必要がなくなることによって、特にこのコロナ禍におきましては不安払拭にも繋がっていくというふうにも思っています。市民の利便性もは高まってくると私は考えています。また職員にとっても同様であります。職員にとっても様々な手間ひまが割愛されることによって、また不特定多数の方とお会いする機会をできるだけ減らすことによって、このコロナ禍の中のメンタルにおいても大変意義がある、働き方改革にも繋がってくるんだというふうに思っています。さらにはRPA等のデジタル技術の活用、テレワークの事務処理が可能となることによって、職員の事務の効率化・働き方改革の推進につながり、その部分のエネルギーを他の行政サービスに回すことができることによって、私は市民サービスの向上、さらには職員の事務負担の軽減などにも繋がっていくものだというふうに思っています。

再質問

広田議員

 年末の相談窓口を開設していただくということで、市の職員さん大変だと思いますけれども、やはり自殺者数が伸びているこんなときですから、ぜひとも対応をよろしくお願いいたします。

 質問ですが、学童保育の整備計画というところについて答弁がなかったので、子育て夢プランにおける確保量だけでなく、地域ごとにどれだけ確保量が必要で児童クラブ数が必要かということをもっとしっかり盛り込んだ整備計画にすべきだという点で伺ったのですが、再度お願いします。

-高柳福祉局長

 児童クラブの計画につきましては、議員がおっしゃいましたとおり金沢子育て夢プランの方で市全体の必要数を見込んでいるところでございますけれども、やはり個々の状況・地域の状況、それから各クラブの思いなどいろいろございますので、市として一斉の計画は作っておりません。個々の地域と個別に丁寧な対応をしながらやっていきたいというふうに考えているところでございます。

-広田議員

 個々の地域でご相談になるんだと思うんですけれども、突如、参入拡大という方針が示されて、やはり市全体でどんな動きになっているのかということが私にもわからなくなってきています。ですから、先程市長が言ったのは「この特定の地域では今の担い手づくりが難しい」というお話がありましたけれども、それがどの地域なのかもよくわかりませんし、やはり地域毎に整備計画をしっかり表していただきたいというふうに求めておきたいと思います。

 もう一つ、LGBTについてはパートナーシップ制度を前向きにご検討いただけるということで大変進んだなと思いますが、やはり相談窓口の設置が合わせて必要だと重ねて申し上げたいと思います。本市に住んでいる方々の状況を掴むという上でも必要ですので、求めておきたいと思います。

-山野市長

 制度の中で検討させてください。

※実際は、一括して質問して、一括して答弁をもらう形ですが、便宜上、一問一答の形にしています。

2020年12月9日 森尾よしあき 議員

森尾議員

私は、日本共産党市議員団の最初の質問者として以下、質問いたします。

最初に核兵器禁止条約についてです。核兵器の保有や使用を全面的に禁じる核兵器禁止条約が来年1月に発効することが確定いたしました。3年前の2017年7月に国連でこの条約が採択され、署名した国は、85ヵ国にのぼりました。その後、発効の条件となる50ヵ国・地域が批准し、この条約が発効することとなりました。これを受けて先月20日、広島と長崎の両市長が政府に対してこの条約への署名と批准を求める要請を行いました。市長は昨年の12月本会議で、核兵器禁止条約を求めるヒバクシャ国際署名に自らも署名したことを明らかにされました。この条約が来年1月に発効することが確定したことについて見解を伺うと共に、政府に対してこの条約への署名と批准を求める考えはないか、まず伺いたいと思います。

-山野市長

 世界の恒久平和、核兵器なき世界の実現は、人類すべての願いであると私は思っています。広島・長崎のような悲惨な状況が二度と繰り返されることのないよう、不断の努力をしていかなければならない、そういう思いを強くしているところであります。ただ一方、政府といたしましては唯一の被爆国として核兵器保有国と、さらには条約支持国との間の国際社会における架け橋となり、現実的・実践的な取り組みを粘り強く進めていくという考えであります。私はそれをひとつの見識として理解をしているところであります。

森尾議員

 次に、菅内閣の発足と首相が打ち出された「自助、共助、公助」について伺います。菅内閣が発足し、臨んだ国会所信表明の中で述べたのが「自助、共助、公助」です。新型コロナウイルス感染拡大が急速に進む中、国としての感染予防対策が示し得ていないと厳しい声がございます。国民には「自己責任」を押し付けるこの表明は、国民の命と暮らしを守るという政治の最大の責任を投げ捨てるに等しい宣言です。市長はこうした状況の下で、政治の責任が問われています。「自助、共助、公助」についてどのような見解をおもちか伺います。

-山野市長

 私は政治家として最も大切にしたいと思っていることは「自由」であります。「自主・自立の自由」というのが最も理想的なのかもしれませんが、現実的にはなかなかそういう方はいません。私も家族であったり職員の力を借りながらなんとかこうやって仕事ができています。ただやはり自由を大切にしたいという思いは、政治家としての強い理念・信念であります。理想とすれば、繰り返しになりますけれども「自主・自立」でありますけれども、いろんな方のお力をお借りしながら取り組んでいく、時には公の力をお借りをしながら自由というものを獲得してく、そういうことが大切なんだというふうに思っております。総理は国民のために働く内閣というふうにおっしゃっておられます。私は総理の思いはそこにあるんだと思っております。「自助、共助、公助」というものも、私は素直な気持ちで受け止めたいというふうに思っています。

森尾議員

 この「自助、共助、公助」論というのは、2000年代に入って新自由主義が登場し、自助を基本にするのが「成熟した国家の姿」だということを打ち出して、社会保障の後退、規制緩和、公営事業の民営化などが進められてきました。その結果、貧困と格差の拡大、社会のひずみが一層広がりました。市長に伺います。地方自治体の役割というのは、そこに暮らす住民の福祉の向上を進めることだとしています。行政はどんな役割を果たすのか。行政のリーダーがどのような責任を果たすのかが、問われていると思います。改めて伺いたいと思います。

-山野市長

 私は、午前中の議論でもありましたけれども、リーダーというものは方向性を示し、仲間と一緒に取り組んでいくことだと思っています。行政のことにつきましてはさらに、福祉であり環境でありスポーツであり、様々な分野におきまして優秀な職員がいます。その職員とともに市民の福利厚生の安定のために取り組んでいく、その環境を作っていくのが行政におけるリーダーだというふうに思っております。

森尾議員

 そこで、新型コロナウイルス感染対策について伺います。全国の新規感染者数が連日2千人を超え、重症患者数が過去最高となっています。東京、北海道、大阪などでは医療体制がひっ迫し、医療崩壊が心配される事態となっています。ところが菅内閣は、国としての有効な感染予防対策を打ち出さず、「GoToトラベル」の一部見直しを表明しました。これに対して、危機感に乏しく国としての責任が欠けるものだとして国民から怒りと不安の声が上がっています。市長は、現状をどのように受け止め、本市の感染予防対策を進めて行かれるのか伺います。

-山野市長

 東京・大阪といった大都市、さらには北海道におきまして第三波ともいわれる状況になっている、特に重症者がここにきて増えているということに大変心配をしているところであります。ただ本市は比較的落ち着いている状況にあります。これは市民・県民のみなさんが様々な工夫をなさっている、事業者や医療関係者の献身的なご努力のおかげであると思っております。決して油断することなく、引き続き私たちができることをしっかり取り組んでいきたいと思っております。インフルエンザが流行ってくる時期でもありますので、そこはさらに意識をしなければなりません。県の方でかかりつけ医等において相談・受診できる体制が整備されているところでもありますので、本市としてもこの体制につきまして様々な手段を用い周知に努めていかなければいけないと思っております。

森尾議員

 先月27日政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長が次のように述べています。「人々の個人の努力に頼るステージは過ぎた」と発言し、政府と自治体の対策強化を求めました。市長は提案説明の中で、新しい生活様式の実践を市民に呼びかけ、お願いしました。市民の命と暮らしを守る立場に立ち、本市として感染予防対策を抜本的に強化することこそ、今必要だと考えます。見解を伺います。

-山野市長

 3月の追加補正予算、4月の臨時議会、6月・9月と議会のみなさんからのいろいろなご提案もいただきながら、様々な対策をとってきました。県とも連携をしながらとってきました。一定の成果が出ているんではないかと思っております。これは繰り返しになりますけれども、市民のみなさん・医療関係者のみなさん・事業者のみなさんの取り組みがあったからこそでありますので、引き続き油断をすることなくこれらの施策を進めていきたいと考えています。

森尾議員

 そこで三点、具体的に伺います。第一は、PCR検査の実施を拡充していくことです。とりわけ、医療機関や高齢者施設などの職員、入院・入所者を対象に「一斉・定期的なPCR検査の実施」を行うことが必要です。高齢者施設入所前の検査について、谷本知事は、前向きの発言を行っています。小松市では、65歳以上の方を対象に検査費用の半額を助成するとしています。加賀市では、介護施設への入所予定の方に対して検査費用の全額を補助するとしています。津幡町などでも検査の補助を行うとしています。本市でも社会的検査の実施について、検討が求められると考えます。その際に、国に対して検査費用の全額補助するよう求めるべきと考えますが、市長のこの点での見解を伺います。

-山野市長

 PCR検査体制は現時点におきまして、新型コロナウィルス感染症とインフルエンザの同時流行に備え、症状のある方や濃厚接触者等の感染が疑わしい人を対象としているところであります。社会的検査のことにお触れでございましたけれども、私は今のこの検査体制を維持していくことが大切だというふうに思っています。県の方では介護施設等の入所者や職員の検査につきまして、サービス提供にあたって必要な場合、その費用を補助しているところでありますので、まずはこの制度の周知に取り組んでいきたいと考えています。

森尾議員

 PCR検査をめぐって、先日、地元新聞の報道がありました。それによると、11月21日市内に住む男性が、県発熱患者等受診相談センターに電話してPCR検査を希望したが、検査を受けられず、4日後に死亡していることが発見され、死後に陽性判明されたとのことです。この42歳の男性は、単身赴任で金沢市に勤め、一人暮らしをしていたとのことです。この方の妻は「検査が間に合い入院できたら助かった」と悔やんだと地元新聞が報じています。市長。PCR検査について、希望があれば受けられる体制をつくることが必要だと考えますが、見解を伺います。

-山野市長

 お尋ねの件は私も報道でしか知り得ていないので申し上げることはできませんが、現在のところ先程申し上げた状況で取り組んでいるところでありますので、ご理解いただければと思っています。

森尾議員

 では、金沢市保健所としては今回の事例についてどのような対応をとったのか、報告を求めたいと思います。

-荒舘保健局長

 今回の件につきましては、県の相談センターの方で電話を受け取ったという報道がなされております。保健所の方では警察の方から死亡者がいたということで、その検査をお願いしたいということで関わったものでございます。

森尾議員

 市民の命に関わることを考えれば、行政としてPCR検査を希望のある方も受けられる体制づくりを強く求めておきたいと思います。

そこで二番目の課題として、感染拡大が急速に進む状況から考えれば、強化しなければならない点が二つあると考えます。一つは、無症状の感染者をいち早く発見し、接触者追跡を行い、封じ込める対策を行うことです。そのためには保健所の強化が必要ですし、一つの保健所と三つある福祉健康センターでの体制強化が私は必要だというふうに考えます。二つには、なんと言っても医療体制強化が必要だという点では、市立病院の体制強化と共に、市内医療機関に対する財政支援が必要だと考えられます。今後の感染拡大が急速に進むことを予想するならば、本市として今強化しなければならないこの二つの点について、見解を伺いたいと思います。

-山野市長

 前段の部分におきましては、保健師さんの募集もさせていただいているところでありますし、いい方がいらしたらすぐお願いをしているところでもあります。春先、4月のいわゆる第一波といわれているときには、事務職員の派遣をしながら事務的なサポートもさせていただいているところであります。ご指摘のようにその充実というのは大切なことだというふうに思っています。市立病院の件ですけれども、経営支援につきましては適正な地域医療体制を確保するための広域的な観点から、これまでも国や県が主体となり感染防止に向けた医療資器材の配布や設備投資への助成をはじめ、融資の拡充や医療従事者への慰労金の支給などといった対策を講じてきたところであります。引き続き医療機関の現状把握に努めながら、全国市長会を通じて国や県に必要な支援を求めてまいります。

森尾議員

 三番目の課題はGoToトラベルについてです。全国一律の方針は辞めるべきだと考えます。既に感染拡大地域での一時中止が始まっています。GoToイートについては、10都道府県が販売停止を明らかにしています。本市では「五感にごちそう金沢宿泊キャンペーン」の継続と拡大を打ち出し、クーポン券の送付、修学旅行への助成など打ち出しています。感染拡大が始まってからの見直しでは遅すぎると考えます。市長は提案説明の中で、適切な事業実施を述べていますが、適切でないとの判断はどのように考えておられるのでしょうか。見解を伺うとともに、観光業・宿泊業などへの支援として、全ての事業者に対して直接的な財政支援が必要だと考えます。合わせて見解を伺います。

-山野市長

 「五感にごちそう金沢宿泊キャンペーン」はご存じの通り、GoToトラベルと組み合わせてご利用される方が多くいらっしゃいます。国と都道府県知事がその感染状況を見ながら、そして地域経済の様子も見ながら、できるだけ地域を細分化して運用の見直しを行うという方針を掲げているところであります。幸い、金沢市は今その状況にありませんけれども、決して油断することなく対応をし、もしそういう状況になった時にはその方針に準拠することになってくるんだというふうに思っています。また、直接的な財政支援ですけれども、これも先程申し上げましたけれども3月の追加補正であったり、4月・6月・9月の議会におきましても直接的な財政支援を行いながら私はみなさん様々な施策に取り組んで来ているところであると思っています。9月議会の段階から私は局面が変わりつつありますので、ウィズコロナを見据えた施策、バックアップ体制が必要だというなかで、私は「五感にごちそうキャンペーン」の提案をさせていただいたところであります。

森尾議員

 この質問の最後に、新年度予算編成について伺います。コロナウイルス感染拡大を防ぎ、市民の命と暮らし・営業を守ることが最大の課題というふうに考えます。そういう点では、不要不急の課題を見直すことが必要だと考えます。第一は、新しいサッカー場の建設を見送ることです。建設費70億円、関連する施設の移転などを合わせると100億円の規模となります。現在のサッカー施設を利用出来ることから、新しいサッカー場の建設を見送る考えはありませんか。

-山野市長

 サッカー場の整備につきましては、スポーツ施設整備計画に位置付けられて取り組んでいます。また北部地区の防災拠点という役割も担っていきたいというふうに考えています。財源の確保に努め、できる限り予定通り進めていくことができればというふうに考えています。

森尾議員

 先日、市長が金沢経済同友会との話し合いの中で、香林坊の日銀金沢支店の跡地について「取得することも選択肢の一つ」と発言されたと報じられました。そしてその跡地に歌劇座の移転・新築との方向も議論されたとも報じられています。事業に要する費用は、用地の取得費や建設費と併せて、数百億円規模にもなろうかと考えられます。市長の真意を伺います。

-山野市長

 意見交換の中で、日銀、まだ仕事されていますけれども、跡地になった場合のことについてお尋ねになられました。ただご存じの通り、まだ日銀は具体的なスケジュールを発表されているわけではないですし、金沢市に働きかけがあったわけでもありません。ですので、一般論として3つの選択肢があるというふうにお答えをいたしました。1つは民間が取得をして民間の責任で開発をするということ。2つには公が取得をして公が開発をするということ。3つには公が取得をして官民連携で取り組むということ。可能性としてはこの3つが有り得ると申し上げたところであります。ただ繰り返しになりますが、具体的なスケジュールが発表になっているわけではありません。提案があったわけでもありません。しかも以前でしたら土地開発公社がありまして先行取得というのもあったかもしれませんけれども、今は利活用というものを明確にしてから取得をするということでありますので、その作業を全くしておりませんのでそのことも申し上げてきているところであります。

森尾議員

 質問の最後に、本市ガス事業・発電事業譲渡方針について伺います。この10月には、この二つの事業譲渡に向け、業者の募集要項を明らかにしました。最低譲渡価格186億円以上とし、来年3月までには優先交渉権者を決定し、事業譲受会社が設立され、令和4年4月には、事業譲渡するという方針で取り組まれています。そこで、この問題についての議会審議を通じて、二つの調査報告書が明らかとなりました。2018年と2020年の調査報告書です。いずれもPwCアドバイザリー合同会社が委託事業として行ったものです。この中に、ガス事業については「公営事業でなくなることによる会社負担の増加が大きいことから民間譲渡によるガス小売業の収支改善は困難」だとしています。発電事業については「金沢市発電事業は売電単価の見直しにより収益が大きく増加することが明らかとなった」と述べ、「民間譲渡の緊急性は低い」としています。公営企業管理者に伺います。この二つの報告書は、「あり方検討委員会」にも示すことはありませんでした。議会にも報告されませんでした。その理由を明らかにしていただきたいと思います。

-平嶋公営企業管理者

 ご指摘の調査報告書でございますが、小売り全面自由化の進展状況、また他社とのサービス比較、さらに財務分析、不確定要素等を含めた様々な方式による資産なども含めまして調査を行ったものでございます。昨年度開催のあり方検討委員会におきましては、予断を持つことなく議論を進める必要があることから、この調査報告書に記載の事業価値、あるいは経営形態等についての検討資料への引用を控えたところでございます。

森尾議員

 要するに、本市企業局がこの情報を知らせたくなかったので、あり方検討委員会に提出しなかったということです。これは隠蔽です。その一方で、示した資料もあります。2019年8月28日第3回あり方検討会には、『経営形態の比較』という資料について説明がされました。「経営形態を比較検討した結果、市民サービスや経営の柔軟性などの面で、株式会社化が最も望ましい経営形態だと考えられる」という比較検討資料です。これは、譲渡方針にとって都合のいい内容だったんです。一方では都合の悪い情報は隠し、一方では都合の良い情報は提示をする。情報提供を勝手に企業局が取捨選択したものです。これは情報操作です。隠蔽し、情報操作を行って、この二つの事業譲渡方針が作られた。もはや、その信頼性、正当性が失われているんじゃないですか。公営企業管理者、このまま譲渡方針を進めてよいのでしょうか。見解を伺います。

-平嶋公営企業管理者

 昨年度のあり方検討委員会では、公営企業としての役割が希薄化しているのではないか、あるいはまたもう一つは小売り全面自由化の中で市民にとって有益な経営形態というのは何なのかといった、その二つの視点で1回2回と検討が進められたと。今ご指摘のところでは、3回目でございますけれども、そういったことを踏まえながら市民にとっての最善の良き経営形態とは何なのかといったような視点の中で、それぞれ検討に対象となる経営形態として客観的な資料に基づいてお示しをした。当然その中には公営企業という形態も含めて、ご議論をいただいたところでございます。

森尾議員

 そこで市長に伺います。2018年の調査委託費は1500万円。2020年は770万円です。こうした費用を投入して行った調査報告書です。先程の本会議でのやり取りを聞きますと、2018年の調査委託については2019年度の予算編成の段階で報告を受けたという答弁でした。では、2020年の報告書というのは、2020年2月28日に最終報告がされているんです。これはいつ知りましたか。

-山野市長

 あり方検討委員会を報告した資料ですので、その都度報告を受けているところであります。様々な形で報告を受けております。

森尾議員

 市長、答弁にならないんじゃないですか?もう一度ちょっと明確に言ってほしいと思います。先ほどは、2018年の調査資料については2019年度の予算編成の段階で報告を受けたと言ったんですよ。2020年の資料はそのあとなんですよ。答弁を求めたいと思います。

-山野市長

 逐次報告を受けているところであります。あり方検討委員会で出された資料ですので、その都度報告を受けているところであります。

森尾議員

 答弁にはならない。報告を受けたというのは知っているのとはまた違うんですよね。じゃあ、今の答弁のやり取りからすると、市長、知らなかったんじゃないですか?この資料の中身を。本当に知っているんですか?

-山野市長

 報告を受けた後、資料も手にしながら確認しているところであります。

森尾議員

今年9月24日、市議会の特別委員会が開かれ、高橋前あり方検討委員会の委員長に参考人としてご出席いただきました。その際に私は、この2018年の調査報告書について資料を示し、「ご存ですか」とお聞きしました。高橋前委員長は「知りません」とのことでした。今年11月12日市議会の公営企業決算特別委員会が開かれ、委員会としてこの二つの資料の提供を求め、調査報告書が提出されました。そうしますと、2018年の調査報告書は2019年度の予算編成過程の中で報告を受けたと先程市長は答弁されました。一方、あり方検討委員会はこの報告書を受けていないという。仮に市長は知っていた、あり方検討委員会はこの提案は知らない、市長はそのあとあり方検討委員会に諮問したんでしょう?そして10月にあり方検討委員会から答申を受けたんですよ。この報告書について知っていたというなら、あり方検討会は知らない、そして答申を出された、この二つの事業の譲渡方針というのは、これは問題ではないですか?どう説明するんですか。

-山野市長

 検討委員会では予断を持つことなく議論を進める必要があることから、調査報告書に記載の事業価値や経営形態についての検討資料の引用を控えたということをご理解いただけたらというふうに思います。

森尾議員

 じゃあもうひとつ伺います。2018年の調査報告書の中に、発電事業について「売電価格を現在よりも1.93円上がると純利益が2倍以上になっている」として、「他の公営の入札価格や非化石価値を考慮した場合、金沢市発電事業の事業価値評価が472億円から1098億円」との記載があります。この内容については、市長はご存じでしたか。

-山野市長

 報告を受けておりますし知ってはおります。ただ、その都市や電力会社によって、規模に違いがありますので、単純に金沢市の場合に当てはまるわけではないということも理解しているところであります。

森尾議員

 本市ガス事業発電事業譲渡方針による募集要項では、この二つの事業の最低譲渡価格は、186億円以上としています。調査報告書による、本市の発電事業は将来1000億円以上の事業価値があるということを市長は知っていた。このまま売却を進めて良いのですか。公営事業として存続することが最善の選択ではありませんか。市長、どうでしょう。

-山野市長

 公営事業として存続するためにはやはり地産地消という視点が必要だと私は思っています。1098億円というお話がございましたけれども、今ほど申し上げましたように事業規模であったりこれまでの電力会社の話でありますので、金沢市の場合にそれがそのままあてはまるものではないというふうに理解をしています。

森尾議員

 昨年11月から今年2月にかけて、本市企業局幹部が10社の有力ガス・発電の企業を訪問し、本市ガス事業・発電事業譲渡について、意見交換という名の売り込みを行っていたことが明らかとなりました。しかもそれが、本市ガス事業・発電事業譲渡方針について、調査委託を請け負っていた企業であるPwCアドバイザリ―合同会社からの指示によるもので、訪問先にも同席していたことが明らかとなりました。公営企業管理者に説明を求めます。

-平嶋公営企業管理者

 昨年のあり方検討委員会からの答申を踏まえまして、市としての方針を検討していくうえで必要な事業譲渡の公募に対する参加意欲や、応募条件等につきまして、民間譲渡した他都市においても同様に実施されております訪問による調査手法を参考に行ったものでございます。訪問先につきましては経営状況あるいは事業戦略等を踏まえまして、委託業者と協議の上選定したところでございまして、相当数の企業を訪問し、多岐にわたる調査を行う必要があるため同行したものでございます。

森尾議員

 事業譲渡に係る公募への参加意欲、応募要件やスケジュールなどについての意見・要望をお聞きするという目的で訪問したと。いわばこれは事業譲渡に向けたセースルだと。時系列的に考えると、本市企業局幹部が10社の有力ガス・発電の企業訪問を終えたのが今年の2月です。そして3月に譲渡基本方針を打ち出し、7月に譲渡先選定委員会が設置され、10月に募集要項が公表されました。とすると、本市企業局幹部が10社の有力ガス・発電事業の企業の訪問を終えて、参加の意欲とか応募要件とかスケジュールなど様々な意見を聞いてきた。そして、この本市のガス・発電事業を買い取っていただくために、企業の側の意向とか要望を聞いて譲渡への環境を整えて、募集要項に反映したのだということが言えます。本市の二つの事業を廃止して民間に売却するということは、いまだ議会も議決していません。譲渡先の企業も決まっていません。これは、企業局の越権行為ではありませんか。公営企業管理者に見解を求めたいと思います。

-平嶋公営企業管理者

 昨年度の民間企業に対する訪問調査につきましては、あり方検討委員会からの答申の後に、市としての方針を検討していく過程におきましてパブリックコメントにおける市民からの意見、議会における議論に加えまして、事業譲渡の実現性や応募要件の具体化等に向けて民間企業の意見を聴取するために実施したものでございます。あくまでも調査検討のためのものでございまして、先行事例におきましても同様に実施されているものでございます。ご理解いただきたいと思います。

森尾議員

 市長に伺いたいと思います。情報を隠蔽して、情報操作まですると。そして譲渡方針を打ち出すということが明らかとなってきました。そして譲渡方針を作る過程の前に、10社の有力ガス・発電企業への訪問し意見を聞いてきた。そして募集要項を打ち出すと。こういうことを進められてきたというわけです。このPwCアドバイザリ―合同会社は、今年5月に約2億円で本市とアドバイザリ―業務委託契約を結びました。これはもう、あってはならないことだと思います。見解を伺い、最後にします。

大桑 初枝

大桑初枝議員

私は、日本共産党市議員団を代表して、議会議案第15号、医療・介護崩壊を防ぎ、住民の命及び健康を守る財政支援等の強化を求める意見書の提案理由の説明をいたします。

世界的規模で広がった新型コロナウイルス感染拡大は、本市においても再び増加しており、市民は不安をつのらせ、秋、冬への対策が大きな課題となっています。対策が遅れれば、感染の爆発的な増加、医療崩壊を引き起こし、市民のいのちや暮らしに重大な影響を及ぼすことが強く懸念されます。

 こうした中、感染拡大防止対策を抜本的に引き上げることが必要になってきます。政府の対策本部会議も県へ要請している、+医療施設や高齢者施設などの定期的検査など、対象も規模も拡充することが求められています。 この大規模な検査を行う目的は、診断目的ではなく防疫目的であること、すなわち無症状の人を含めて、感染力のある人をみつけ出し、隔離、保護し感染拡大を抑止し安全安心の社会基盤をつくることにあります。

本市においても、医療機関の医師が必要と判断すれば、検査が受けられるよう体制が作られつつありますが、さらに 医療や検査体制の整備や、支援の強化が求められます。

この間、医療機関や医療従事者の献身的な頑張りが医療崩壊を防ぎ、感染拡大を最小限に抑えてきました。

しかしながら、医療機関は、感染症病床確保やそれに対する人員体制確保、院内感染防止の対策、また通常診療や手術の縮小で赤字に陥っています。

財政的赤字は、感染症患者を受け入れている医療機関だけではありません。受診抑制などでどの医療機関でも患者数が激減し、新型コロナウイルスへの対応が迫られている中で費用は増大しています。

全国保険医団体連合会は、先月25日、コロナウイルスの影響について、会員に実施したアンケート結果を公表。それによると、感染が拡大した4月に、外来患者数が前年よりも30%以上減ったとした医療機関は約3割以上にのぼり、歯科診療所では9割以上で患者が減ったとしています。新型コロナウイルス感染拡大の下で感染のリスクを背負いながら地域住民のいのちと暮らしを懸命に支えている、医療や介護事業所を守るため、財政支援の抜本的強化が喫緊の課題です

また、マスクやガウン、グローブなどの供給は現在でも不安定な状況にあります。必要とするすべての医療機関、介護・福祉施設での安定供給が求められます。

したがって、この意見書は国に対して、次のことに、取り組むよう求めるものです。

Ⅰ 全ての医療・介護事業所に対し,コロナ禍による減収への支援を直ちに実施する事

2 高騰する感染防護具の費用負担に対する補償を行う事

3「誰でも、いつでも、何度でも」検査ができるように、PCR検査体制をさらに強化する事 議員各位のご賛同をお願いして提案理由の説明といたします。

広田 みよ

広田美代 議員

わたしは、日本共産党市議員団を代表して討論を行います。

わが党は、請願第6号 国の責任による「20人学級」を展望した少人数学級の前進を国に求める意見書採択の請願、請願第7号「日本政府に核兵器禁止条約に参加・調印・批准を求める意見書」の提出を求める請願に賛成の立場です。

請願第6号は、新日本婦人の会 金沢支部の代表から出されたものです。

新型コロナウイルス感染症のもと、これまでの小中学校の40人学級編成の矛盾が噴出し、20人程度の少人数学級の実現を求める声や運動がかつてなく広がっています。

7月初め、全国知事会、全国市長会、全国町村会の3会長が連名で緊急提言を出し、「少人数学級編制をを可能とする教員の確保」などを早急に図るよう強く要望し、萩生田文科相に直接手渡しました。日本教育学会は、小・中・高校の教員を10万人増やし、40人学級の抜本見直しへ議論を急ぐよう求めました。全国連合小学校長会の会長も「ウィズコロナ時代では20~30人が適当」と語っています。

実際、文科省が出した「学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルでは、レベル3の地域においては、できるだけ子どもたちの感覚は2m程度開けるよう書かれ、20人であれば実現できることが模式図として描かれています。

よって、感染管理ができ、子どもにとって行き届いた教育にするために20人学級を見据えた少人数学級の前進が必要です。

請願第7号は、「原水爆禁止石川県協議会」の事務局長から出されたものです。

2017年に国連で核兵器禁止条約が採択されてからこれまで、禁止条約調印国は83か国、批准国は44か国となり、発行に必要な50か国まで残り6か国となっています。

国内でも、核兵器禁止条約の批准と参加を日本政府に求める地方からの意見書は9月1日時点で469議会に広がり、ヒバクシャ国際署名に賛同署名した個人は3月末時点で1,184万人以上、知事は20府県となり、市区町村長が署名した自治体は1,272を数えるまでに広がっています。県内でも本市を含め、9割の自治体の長が賛同し、署名を寄せています。

日本は唯一の戦争被爆国であり、核廃絶に向けた取り組みの先頭に立つべき存在です。金沢市議会としても「意見書」を提出するべきです。

よって、これらの請願を不採択とした各常任委員会での結果について反対するものです。

森尾議員

-森尾議員

 私は、日本共産党市議員団の一人として、質問いたします。

 最初に、本市ガス・発電事業の株式会社への譲渡計画についてです。8年近くに及んだ安倍政治は、内政・外交・コロナ対策などあらゆる面での行き詰まり、その行き詰まった路線を続けるほかに選択肢を持たないという二重の行き詰まりは深刻です。この間、新自由主義による規制緩和、公営事業の民営化をめぐっても、大きな転換点を迎えています。「トランスナショナル研究所」研究員の岸本聡子氏が、世界の水道民営化の実態をまとめたレポートを出されました。その中で、水道事業を再び公営化する動きが、2000年以降37ヵ国235件確認され、1億人以上の人口に影響をもたらしたことを明らかにしました。パリの水道事業が再び公営化しました。また日本では、長野県の県営水力発電所を中部電力に譲渡する計画が中止されました。こうした動きの中で、100年間ほどにわたって本市公営事業としてきたガス事業・発電事業は、その役割と社会的意義が高まっています。市長の見解をまず伺いたいと思います。

-山野市長

 まず、この本会議でも明確に申し上げておりますけれども、水道事業の民営化ということは考えてはおりません。そのことはまず申し上げておきたいと思います。ご質問の趣旨はガス・発電のことだというふうに思っています。これは公設だろうが民営だろうが使用者の利益の保護と公共の安全を確保し、安定供給に努めるということが私は大前提であるというふうに思っています。ルールが変わりました。2016年・2017年とそれぞれ小売りの自由化が法律改正でなされました。地方公営企業ではできない多角的なサービスを提供していただくことによって利用者の利便性、そして経済的な面も含めて向上を図っていくということは私は大切なことだというふうに思っています。なお、海外の事例等々挙げられましたけれども、国内におきましてガスであったりだとか発電事業が再公営化されたという事例はありません。

-森尾議員

 2016年本市企業局は、今後10年間にわたる経営方針を打ち出しました。「現在企業局が所管する5つの事業(ガス、水道、公共下水道、発電、工業用水道)には、公共性及び公益性の確保が求められるため、今後も引き続き企業局が経営するものとし、その経営を行う」としました。ところが現在の本市企業局管理者が就任した2019年度から、事態が大きく転換することとなりました。6月には「本市ガス事業・発電事業あり方検討委員会」が設置され、10月には「株式会社への譲渡」との答申をおこない、一気に事が進められてきました。市長、本市はこの3月「金沢市ガス事業・発電事業譲渡基本方針」を打ち出しました。これは、2016年本市企業局経営方針とは全く異なる方針です。今後10年間は、公営事業として進めていくとした2016年の経営方針は、市民と議会に対する本市としてのお約束です。この約束を破り、株式会社へと譲渡することを進めていくことは、市民と議会に対する裏切りではありませんか。市長の見解を伺います。

-山野市長

 経営戦略が発表がなされました。何度も申し上げておりますが、その後ガス・電力の自由化が法律が変わりました。私はそれに準じていくことは大切なことだというふうに思っています。事業を取り巻く環境が大きく変わってきているところであります。企業局内におきましても調査・研究を進め、今後の経営形態のあり方に関する検討委員会からの答申もいただきまして、ガス・発電事業を譲渡する方針を固めたものであります。

-森尾議員

 では、本市ガス・発電事業の株式会社への譲渡計画は、いまだ市民と議会の理解と合意はありません。100年間にわたって本市公営事業として運営されてきた本市ガス・発電事業を株式会社へ譲渡するとの大きな方針転換にもかかわらず、市長は、市民への説明会などの開催を行おうとしていません。一体、どういう理由でしょうか。

-山野市長

 私は、森尾議員は市民の代表だと思っております。森尾議員の後ろに多くの市民の方がいらっしゃる、私は森尾議員を通して多くの市民の方に説明をしている、そんなつもりでおります。私も選挙で選ばれた市民の代表ですので、多くの市民の声を受けながら説明させていただいているというふうに理解をしております。また、あり方検討会の議事録の公開をしております。検討資料も公開をしているところであります。随時、常任委員会であったりこの本会議でもご説明をさせていただいているところでもあります。また、特別委員会もお作りいただいて、特別委員会でも外部の先生にお越しいただいて議論を進めていただいているとお聞きをしているところであります。大変うれしいことだと思っております。また、都市ガス・簡易ガス全てのお客様に対しましてもダイレクトメールを発送し、幅広い意見募集に努めてきているところであります。そのうえで、本年3月に基本方針を策定したものであります。引き続き、様々な形で皆様に意見交換をさせていただければと思っています。

-森尾議員

 これだけの大きな方針転換にも関わらず、市長、あなたは市民に直接あなたの口からの説明はしないと。では、市民の代表である議会の方はどうかと。本市私有財産条例第4条には、議会の特別議決を要する公の施設が明記され、施設の廃止又は5年を超える期間にわたり施設の全部又は一部を独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席の3分の2以上の者の同意を要するものとするとしています。この公の施設としてガス事業施設が明記されています。今回の本市ガス・発電事業の株式会社への譲渡は、この条例の適用を受けるものです。市長の見解を伺います。

-山野市長

 事業譲渡につきましてはこれまでも議会において、様々な議論がなされているところであります。引き続き、今おっしゃいましたような私有財産条例に基づく特別議決も含め、議会において慎重なる審議のうえ、適切にご判断をいただければというふうに思っています。

-森尾議員

 本市にとって重要な公の施設であることから、この施設の廃止や独占的な利用を行う際には、議会議決についても、議会において出席の3分の2以上の者の同意を要すると、これが条例の趣旨です。したがって市民の代表である議会において、充分な議論と合意が求められます。ところが、株式会社への譲渡が進められ、今年度末には優先交渉権者が決定されるとしています。そして、本市がこの優先交渉権者と契約を結ぶこととなります。その後、必要な条例や予算などが議会に審議されることとしています。これでは議会は市当局が進める事への追認機関ではありませんか。市長は、かねがねから二元代表制を述べてきました。であるならば、このまま優先交渉権者を決めるのでなく、本市ガス・発電事業の株式会社への譲渡について、議会の意向を聞くべきではありませんか。

-山野市長

 今こうやって議論をしていることが、議会のみなさんとの大切な審議だというふうに思っています。財産処分を伴います重要な案件ですので、譲渡先となる優先交渉権者を明確にした上で議会にお諮りするのが私は適切であるというふうに思っています。引き続き、年度内の優先交渉権者決定に向けた手続きを進めてまいりたいというふうに考えています。議論を具体的にしていければと思っています。

-森尾議員

 本市議会のガス事業・発電事業民営化に関する特別委員会が設置され、審議が行われています。議会の審議を重視すると言うならば、優先交渉権者を決める手続きを中止し、議会での審議を優先すべきではないかと考えますが、市長の見解を伺います。

-山野市長

 何度も申し上げますけれども、ここで議論をしていること、また特別委員会でご議論をいただいていること、それが私は議会のみなさんとの真摯な議論だというふうに思っています。やはり重要な案件であるだけに、具体的な優先交渉権者を仮契約の上でお諮りしながら、具体的な議論を進めていけるのではないかと思っております。

-森尾議員

 条例においても大変重要な公の施設、そしてその中のひとつにガス施設について明記をされている、したがってこの条例の適用を受けて、今回のガス・発電事業の譲渡については議会の3分の2以上の同意が必要だと。この意味は、議会にも十分な審議と情報提供を行い、ご意見を伺うというのがこの3分の2以上の同意事項の趣旨なんです。これは、市長も認めざるを得なかった。

 それでは、もう一つ重要な問題がありました。3月に打ち出された本市の基本方針の中に、事業継承者の選定方法・要件を明記し、その選定要件の中で「本市職員の派遣」について本市職員を派遣するとしています。まず、現在の本市企業局の職員とガス事業・発電事業を担っている職員数について、管理者から答弁を求めたいと思います。

-寺嶋公営企業管理者

 現在、職員数は342名でございまして、うちガス事業が116名、発電事業が19名でございます。

-森尾議員

 この地方公務員派遣法に基づき職員を派遣するとしていますが、株式会社など民間への職員派遣は、退職派遣となっています。市長から説明を求めたいと思います。

-山野市長

 円滑な事業譲渡、そして市民のみなさんの安全・安心を担保するという意味でも、私は職員の派遣というのは大切であるというふうに思っています。職員の派遣につきましては法律に基づいています。公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律、この法律に基づいて、市への復職を前提に退職の上、株式会社に派遣することとなります。勤務条件等で不利にならないように配慮してまいります。

-森尾議員

 本市職員を退職させて派遣するんです。これはやるべきではないと私は考えます。公務員として市民の為に働こうとして入職された職員をいったん退職させ、民間に派遣する。こんなことをやるべきではないというふうに思います。市長は期間は3年間、復職が可能だと言っています。しかし、一旦株式会社への派遣を行ったら、戻って来てもガス事業・発電事業は本市企業局にはありません。まさに、片道切符ということが言えると思います。本人の志を踏みにじり、家族も含めての生活を脅かすことを市長、やっていいのですか。

-山野市長

 法律に基づいて、ご本人に説明をし、そして勤務条件等で不利にならないような形でさせていただく。そのことをご理解いただいたうえで対応したいと思っています。

-森尾議員

 今回、ガス発電事業の問題について私は2つ取り上げて問題を提起しました。譲渡への議決については、議員の3分の2以上の同意が必要だと、それだけ重要な案件だと。そしてもう一つは職員の派遣、こういっても退職派遣なんです。このことを具体的に指摘をしました。私は、今回のガス発電事業の譲渡問題はやめるべきだと、改めて指摘をして、次に移ります。

 1000年以上に1回の降雨による想定最大規模の水害ハザードマップが作成されました。去る8月3日本市議会の防災・安全対策特別委員会が参考人による講演を行い、その中で青木賢人・金沢大学准教授は、本市水害ハザードマップについて次のようにお話しをされました。ひとつは、犀川や浅野川が氾濫するだけでもかなり広域に水害が想定されると。第2に市内平野部のかなり広い範囲が0.5mから3mの浸水の深さよりも上になっていること。したがって垂直避難では対応できない。第3に、数百年に一度、1000年以上に一度という洪水は現実に起こりうるものだと理解してほしい。以上の点が指摘されました。市長としては今回の水害ハザードマップについてどのように受け止め、今後の防災対策に取り組まれるのか伺います。

-山野市長

 すでに該当する地域・校下・地区に5月中に配布をしております。すでに説明会も行っておりますけれども、引き続き説明会にお伺いをしながら、地域のみなさんと危機感を共有していきたいというふうに思っています。地域のことは地域のみなさんが一番ご存じでありますので、どこに避難するか、また分散避難ということも含めて、みなさんと危機感を共有していきたいというふうに思っています。

-森尾議員

 そこで、旧菊川町小学校の場所に新竪町小学校と合併した犀桜小学校が新築するとして、この議会に建設工事に係わる契約議案が提出されています。この問題については令和元年12月議会で取り上げました。小学校を新たに建設することになるわけですが、再検討が必要だと指摘したわけですが、どのような検討と対策を行ったのか明らかにしていただきたいと思います。

-野口教育長

 1000年以上に1回の想定しうる最大規模の降雨によりまして河川等が氾濫した場合には、

建設地周辺で最大2m程度の浸水が想定されておりますことから、犀桜小学校の新校舎につきましては河岸浸食想定区域からできるだけ距離を置くために、校舎の配置について配慮をしたほか、教室・電機室等は2階以上の上層階や屋上に配置するなどして、児童生徒等の安全確保と学校の機能性維持に万全を期しているところでございます。

-森尾議員

 教育長が述べられたように、今回の水害ハザードマップでは、犀川区域の沿線に沿って建物の倒壊が想定される河岸浸食区域に現在の旧菊川町小学校の用地が位置します。そして洪水想定区域にも位置するわけですので、対策が必要だということで私は指摘をしました。しかし先ほど青木金沢大学准教授が指摘したように、この1000年以上に1度という洪水は起こりうるのだと、そして現実的に九州では7mから9mといった水害が発生しています。建物の2階以上に避難しただけでは命を守ることはできないということになります。したがって、レイアウトの変更とか教室を2階以上に配置したからといって、安全が確保されるとは到底言い難いというふうに思います。旧菊川町小学校の現在地に新しい小学校を建てて、果たして安全でしょうか?もう一度伺います。

-野口教育長

 青木先生はよく存じ上げております。青木先生に今回お話をお伺いいたしますと、おそらく旧菊川町小学校辺りでは2mを超えて3m近くまで水位が上がるのではないかとお話をされているとお伺いしました。青木先生は金沢市の教育委員会におきましても大切なアドバイザーでいらっしゃいまして、いつもお話をさせていただくのですが、非常にこういう問題に危機感を持たれて、想定外を常に想定しなさいということを指導をいただいています。そうした中で、今お話がありましたけれども犀桜小学校新校舎建築にあたりましては、先ほど述べた2つのこと以外につきましても、例えば校舎部分をこれまでよりも70cm程度嵩上げを行うことにいたしていますほか、一般家屋と学校はやはり違うと思っていまして、校舎の1階あたりの階高は約3.75mと高いことでありますので、やはり安全性はきちんと担保できているんではないかと思っています。大事なことは今森尾議員からご指摘がありましたけれども、やはり水害が想定される際にはできるだけ早く情報を入手しながら子供たちを安全な場所へ的確に避難させていくことが大切であると思っていますので、被害を出さない取り組みをしっかりと進めてまいりたいと思います。

-森尾議員

 ですから、犀川沿いからいかに遠くに位置するかということを考えると、旧菊川町小学校に建てるのではなく、旧新竪町小学校に建てるというのが理屈として通らないですか。それは検討されたのでしょうか。

-野口教育長

 新竪町と菊川の両校下の地域の方々と保護者の方々のご理解をいただきながら、旧の新竪町小学校、旧菊川町小学校を統合して犀桜小学校を開校させていただきました。そのときにいろんな会議がございましたけれども、その会議のときにできるだけ早期に耐震化がなされた安心で安全な学校で学んでほしい、またできるだけ適正な規模の中で子供たちに切磋琢磨しながら学んでほしい、そうした地域の方々・保護者の方々の思いに沿いながら、まずは市有地である両校の敷地から選定を行った結果、両方の学校の通学区域を考えるとちょうど真ん中にあたるところにあります旧菊川町小学校の敷地に新たな小学校を建設するとし、その間に暫定的に旧新竪町小学校の敷地に暫定校舎を建設する、そういった地元の合意が得られましたので、旧菊川町小学校の方に校舎を建設することになった次第であります。今後も考えられるできる限りの安全対策をしっかりととってまいりたいと思っています。

-森尾議員

 教育長、避難が大切だと、こうおっしゃいましたので、旧新竪町小学校と旧菊川町小学校の避難計画を見ました。その中に、避難場所について、そして避難の経路について書かれていました。私は体験してきました。旧新竪町小学校は現在、旧菊川町小学校と合併した犀桜小学校が使用しています。この旧新竪町小学校の避難計画では、小学校から歌劇座へ避難することになります。450m、徒歩約6分です。又は県立工業高校に避難する。450m、約6分です。一方、旧菊川町小学校の避難計画では、小学校から猿丸児童公園へ避難する。約500m、徒歩約7分です。さらに、ここから小立野小学校へ1200mですから、徒歩約17分かかることになります。これが、2つの小学校の現時点での避難計画・避難ルートなんです。どう考えても旧新竪町小学校の避難計画と避難ルートの方がいち早く行ける、そして避難場所も一定のスペースがある。一方、旧菊川町小学校は猿丸児童公園へ行ってみましたけれども大変狭い、周辺が住宅に囲まれている、さらにそこからあの坂道を通って小立野小学校に行かなければいけない。こういう避難計画になっておりました。感想をお聞きしたいと思います。

-野口教育長

 毎年、学校の方から管理運営計画というものを提出をいただいています。教育長でありますので、各学校の管理運営計画には目を通す、そして目を通したものについて必要であればいろいろと学校長と意見交換もさせていただいております。今森尾議員がおっしゃられたことにつきましても、私は重々承知をしております。今話題になっているのは水害ということになりますので、今はそういう避難経路になっておりますが、いろんなすべての様々な災害を通してその災害に対応する避難場所としてお話されたと私は思っているのですけれども、地震のように突然やってくるのではなくて水害というのはある程度一定の時間というのがありますので、そうした意味で情報をしっかりとらえたうえで避難を早め早めにやっていくというのが私は大事ではないのかなと思っておりますので、旧菊川町小学校の敷地内に建設される新校舎が供用を開始される際には、立地条件とか、校舎が新しくなりますので、改めて学校で検討を行いながら地域の学校の一時使用等を踏まえた新たな学校防災計画をしっかりと定めていきたい、そんなふうにして思っております。

-森尾議員

 今議会に建設をするための議案案件が出ていますので、もう少し立ち入って質問したいと思います。まず、今回の計画で新しい学校の屋上にプールを建設するという方針です。より高い場所に避難するということを考えた場合に、プールを屋上に建設するのは再検討が必要ではないかと思うのですが、見解を伺います。

-野口教育長

 プールの配置等につきましても様々に検討をさせていただきました。まず地域や保護者の方々からもご意見を頂戴しました。そうしたご意見を踏まえながら、やはり屋上にプールを持っていく方が利点はたくさんあるということで話に至っています。いくつか例を挙げます。まず教室とプールを子供たちがスムーズに移動できる。今の運動場等にプールが配置されていますと、3階4階から子供たちが一旦学校の1階に降りて、一度外履きに替え、プールに移動、さらに着替えをし、そして授業に至る。授業が終わったらその反対の動きを作らなければいけない。そうしたスムーズさというのが1点。もう一つは、プールが外にありましたら外部からの侵入者とか外部の目というものがありますので、安心・安全が担保できない。またもう一つは、これまでも議会で呼ばれましてずいぶんお叱りを受けたのですが、プールの中に物が投げ込まれているということで、プールに異物が投げ込まれたり、時にはあってはいけないことなんですが薬品が投入されるとか非常に危険なことも考えられる。さらにはもう一つ考えられることは地域の声にもありましたけれども少しでも校庭を広く使ってほしい、そういった観点からいろんな議論をして、屋上にプールを設けたということになります。

-森尾議員

 もう1点、現在の体育館をそのまま活用するという視点から、新しい校舎の建設配置を考えたと、こう説明がありました。体育館の方が犀川から遠い位置にあります。とするならば、現在の敷地状況から考えると、より校舎を遠い位置に配置するという視点を考えれば、校舎と体育館の配置そのものについても再検討することが、より安全対策として必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

-野口教育長

 旧菊川町小学校の体育館は、森尾議員はご存じだと思いますが、いわゆる地震発生時の地域の方々の避難場所になっております。したがいまして、平成25年度に耐震工事を終えております。ただいろいろなご懸念もありますので、今回の犀桜小学校の新しい校舎を建て直すときには、いわゆる体育館の1階ピロティの床の底上げも合わせながらクッション性のある床材を改修するなどして、引き続きこれは有効に使っていきたい、そんなふうに思います。また新たな校舎の2階になりますけれども、防災備蓄倉庫を設けることとなっておりまして、体育館含めて校舎全体の安全性とか機能性を十分に検討し、そして地域の声も十分に反映させていただきながら、配置を決定したものであるということをご理解いただきたいと思います。

-森尾議員

 子どもたちの命と安全を守ることは、自治体と教育行政にとって最優先の課題です。他の問題を置いてでも子供の命と安全を守ることを最優先にしなければならない。その立場で、ぜひ今日のやり取りを今後の対応に生かしていただきたいと思います。

 質問の最後に、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の憲法三原則と教科書採択をめぐって伺います。去る8月21日、新潟・燕市教育長が定例の教育委員会において「コロナ禍を解消する方法は大きな戦争が発生すること」と述べ、この発言が教育にたずさわるトップとしてふさわしくないとして批判が広がり、本人は教育長を辞任する意向だと報じられました。戦後教育の原点は、憲法であり、その三原則。すなわち国民主権、基本的人権の尊重、平和主義です。そして、この憲法に基づく教育基本法にあります。教育長の見解をまず伺いたいと思います。

-野口教育長

 今森尾議員が仰せの通り、国民主権、また基本的人権の尊重、平和主義を三原則としております日本国憲法、また人格の完成や個人の尊厳など、普遍的な理念が大切にされております教育基本法は、戦後教育の原点であると私も思っております。本市の子どもたちにはこの日本国憲法を元にして学習をしっかりやり、自ら考えて判断し行動していけるように育ってほしいなと思っておりますし、教育基本法が示しているように知・徳・体の調和の取れた自立した人間の育成を図っているところでございます。

-森尾議員

 育鵬社の歴史教科書では、アジア太平洋戦争について、大東亜共栄圏をつくる「自存自衛の戦争」だとし「大東亜戦争」を見出しに併記しています。憲法と教育基本法とはかけ離れた内容となっています。教育長の今の認識を伺いました。戦後教育の原点についての考えとは、この育鵬社が歴史教科書に記載している内容とは乖離しているのではないですか。見解を伺います。

-野口教育長

 今回の教科書もそうでありますけれども、国の方では義務教育小学校教科用図書検定基準、こういったものがございます。この検定基準の一番肝心要のところには、教育基本法に一致していること、それからもうひとつは学習指導要領の総則や教科の目標に一致していること、これがしっかりと明示されております。大原則にたって今回の教科書はすべて検定をされているわけですので、その検定基準に合格した教科書の中から採択をしておりますので、私はこの教育基本法というものをしっかりと尊重していると思っております。

-森尾議員

 東京都教育委員会がこの育鵬社の歴史と公民の教科書を19年ぶりに不採択としました。大阪市、松山市でも不採択となるなど全国的に育鵬社の歴史と公民の教科書についての不採択が続いています。現在、この教科書の採択数は1万冊、採択率はわずか1%に満たない状況です。教育長は、こうした実態をご存じでしょうか。本市が引き続き来年度からの中学校の歴史教科書について育鵬社を採用したことについて、この本議会でやりとりがありました。その中で、現場の先生方の調査に基づく評価では他と比べて低かった教科書の採択だと、そして教育委員会では4対3の採決によることが明らかとなりました。こうした結果について、教職員や関係者、市民に理解と信頼を得られていると考えますか。見解を伺います。

-野口教育長

 全国の動きになりますが、これについては地方の新聞紙等ではなかなか伺い知ることはできませんでした。こういう立場でありますので、ある程度全国の動きは把握しなければならないと思いながら個人的には動きは少しずつ把握していたつもりであります。しかし今回一番大事なことは、この採択にあたった教育委員というのは他の地域の教育委員ではないということです。金沢の教育委員であるということで、そのことを自覚を大事にされて他の自治体の採択状況に左右されないで今回の採択の審議に臨まれたのではないかと思っております。私自身も金沢の子どもたちと学校を訪問しながら接しますし、様々な資料などに目を通しながら、そうした学びの様子を研究しながら、しっかりと各教科書を読み比べ、場合によっては3世代前からの同じ会社の教科書も全部読み比べながら、その上で自分の考えを作って各教育委員と慎重に審議を行い、今回適正に、かつ公平に判断をさせていただきました。

-森尾議員  現在の教育委員会制度は、あの戦争中に国家権力が教育を支配し戦争へと突き進んだ事への反省から生まれたものです。教育委員会の独立性、多様な意見を反映し議論を尽くし、意思決定を行う合議制は、非常に重要なことなんです。ぜひ教育長、今回の教科書採択に当たって、こうした点を今後とも十分活かされるよう望んで、質問を終わりたいと思います。

大桑初枝議員

質問の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団の一員として質問いたします。 

最初に、このコロナ禍における介護事業所の継続についてお伺いいたします。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、自粛要請を受けながらも、命と暮らしを支えるために介護の現場では、懸命に感染対策を講じながら、介護サービスが行われています。しかし、今なお、新型コロナウイルス感染症の「第1波」の下で生じた、介護現場の困難さが解消されたとは到底言えず、「崩壊」につながりかねない事態に直面しています。
 介護事業所は、様々な基礎疾患を持った高齢者も利用・入所しており、感染すると重症化するリスクが高い環境にあります。職員はこうした利用者と接触することがさけられません。職員は「いつ自分が感染するか」「感染させてしまわないか」という大きな不安を抱えながら日々の介護にあたっており、疲労感、ストレスが増大しています。
 また感染を不安視した利用控えは利用者に大きな影響をもたらしています。利用控えは、利用者の状態や病状の悪化、体力の低下、他者と接する機会が減ったことによる、うつ症状や認知症の進行なども生じています。身体的機能の維持が難しい利用者が、リハビリなどを短期間でも中断すると、回復が難しくなるケースもあるといいます。
 厚労省はデイサービスの利用を減らした分を訪問介護に振り替えることを可能としました。しかしヘルパーの体制は、以前からも厳しく対応が困難な実態があります。そのうえ、1回の訪問に対する報酬は、通所サービスより下がり、事業所としては減収になってしまいます。「三密」を避けるためにとった受け入れの縮小なども、収益の大幅な減少につながっています。介護事業所は新たな経営困難に直面しています。
 今必要なのは、介護事業所への経済的・人的な支援です。必要な規模の支援策を速やかに講じられるよう求めます。
 介護職員については、離職率が高く人材確保が難しいなどの状況が続いています。これは介護職員の賃金が低いなどの処遇改善が進んでいない事があげられます。介護職員の月収は全産業より7万円以上低い状態に置かれています。現行制度では、基盤整備や処遇改善をすれば保険料や利用料に跳ね返るというのが現状で、このため、慢性的な人手不足のもとで施設経営はギリギリの状態で運営されてきました。このままでは経営悪化による事業所の縮小・閉鎖を招きかねません。事業所がなくなると、高齢者は行き場を失います。

①   地域の介護基盤の崩壊を防ぐためにも、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う介護事業所の運営や減収の状況を調査し、国の支援だけでなく本市としても財政支援を行うことを求めますがいかがでしょうか。
②   介護職員の処遇改善も喫緊の課題です。厳しい体制の中、感染リスクにさらされながら、利用者の生活を懸命に支えている、介護職員に対する支援、処遇改善を、国に求めるお考えはありませんか。保険料や利用料の負担増で処遇改善を図るのではなく、税金の使い道をあらためることで改善を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。そして、本市においても、介護の現場で働く方々の負担を軽減する施策を講じるお考えはないでしょうかお伺いいたします。

感染症対策の検査、必要物資の安定的な供給体制についても、お聞きします。

 未だ終息を見ない状況の介護現場で、今なお憂慮されているのが、感染予防・防護に必要なマスクやグローブなどの衛生用品の不足です。
 医療の現場もそうですが、介護現場ではマスクや手袋、消毒液の不足も問題となっています。コロナウイルスの感染拡大が続き、冬場のインフルエンザ流行期と重なるようなことになれば、マスクや消毒液の入手が困難になることは容易に想像されます。
①   今のうちから、マスクや消毒液など必要物資を確保し、介護施設に安定的に供給する体制を取るべきかと思いますが、いかがでしょうか。
②   また、安心安全な介護サービスの提供を行う上で、PCR検査を必要とする介護従事者及び介護サービスの利用者に対し速やかに検査を実施する体制を整備することが、最も大切なことですがいかがでしょうか。お伺いいたします。

この質問の二つ目は、介護保険制度についてです。

 2000年4月にスタートした介護保険は、「サービスを自由に選択できる」などのメリットが宣伝され「介護の社会化」が進むことへの期待感がありました。しかし、20年たった今、利用者増に対し保険の範囲は縮小され介護離職と介護従事者の離職が後を絶たず支え手不足は一層深刻になっています。介護によるストレスが解消されるどころか、大きくなり、施設でも在宅でも家族への負担は重くなっている現状があります。保険料も当初は国民の反発を抑えるためにか低く抑えられたものの、3年に一度の「介護保険事業計画」の、見直し毎に上がり続けています。こうした中、昨年12月末には全世代型社会保障改革会議の中間報告が発表されましたが、その内容は全世代に「負担増と給付の削減」を強いるものでした。低所得者の介護保険施設利用料の引き上げやサービス利用に際しても上限額の引き上げの実施なども計画されています。
①   負担増と給付の削減を強いる中間報告を見直し、誰もが安心して介護を受けられる体制に切り替えるよう、本市として国に働き掛けるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
②   第8期の介護報酬改定で負担増はすべきではなく、高すぎる保険料の引き下げこそ、検討すべきだと思いますがおうかがいいたします。

 次にコロナ禍によって、苦境に立っている障害者就労継続支援事業所についてお尋ねいたします。

 新型コロナによって多くの障害者就労継続支援事業所が、収入の減少に陥っています。このことは、直接利用されている方の生活に大きな影響を、及ぼすことから改善が求められています。「きょうされん」の全国事務局の調査ではイベントの自粛等により販売機会の減少に伴いA型、B型作業所の半数以上で工賃収入が減っているとの回答がよせられているとの事でした。
 B型の事業所では、お菓子の箱を組み立てる作業をしていましたが、コロナの影響で贈答品のお菓子の売り上げが減ったことで、仕事が減り工賃収入が減っていると言います。
 国の支援策として6月の補正予算で、事業所の事業継続を支援する障害者就労継続支援事業所活動支援事業費が計上されました。これは生産活動が前年同月比で50%以上の減少、もしくは連続して3ヶ月30%の収入の減少が条件になっています。本市としてこの支援策の対象となった事業者は全体の何割に当たるかお尋ねいたします。
 ある障害者就労継続支援A型事業所は、障害の方が働く場として、ホテルの掃除の仕事がありました。コロナの感染拡大の影響でホテルの仕事量が激減し、生産活動が大幅な減収になりました。その為、賃金の支払いが大変で、活動支援事業費50万円の支援を受けましたが、到底足りないと言います。
 また、B型の事業所の方も、イベントの自粛や下請けの仕事がなくなり収入が大きく減少したといいます。不足した減収部分を補うために、畑を借りて作った野菜を売り、何とか利用者さんには今までの賃金を保障するようがんばっていると言います。しかし全体に赤字が続いてはいるが、50%まで減少はしないので、就労継続支援事業所活動支援事業費の、対象にはならないと言います。
 多くの障害者の就労支援事業所は営利を目的とするのではなく、障害のある方にとって訓練の場であったり、働く場であったり生活する場であったり様々な役割があり欠かせない存在となっています。しかし、就労継続支援事業所は普段から厳しい運営をされています。そこへ、このコロナ危機です。困難に寄り添った手立てが必要になるかとかと思います。そこで

  •    本市としてどのような事ができるのか、どのような支援の制度があるのか、お伺いいたします。
  •    又、国の、活動支援事業費は、生産活動が前年同月比で50%以上の減少などの要件が必要です。運営が困難となっている事業所に寄り添い持続可能な支援の在り方を求めますがいかがでしょうか。お伺いいたします。

 ここでも消毒液であったりグローブであったり衛生用品の切れ目のない提供体制を求めています。収益が大幅に減少している他方で衛生用品などの購入などによって、支出は増えており事業所の経営はこれまでにない厳しい局面を迎えています。
 消毒液などの供給は9月補正予算案の中で計上されていますが、一度きりではなく、安定的な供給体制を支援すべきではないでしょうか。お伺いいたします。
 障害を持った方の事業所は三密にならざるを得ない状況下にあります。どうしたら、コロナウイルスの感染者を出さないよう、活動ができるのか、細心の注意を払っています。そうした中で相談ができる窓口が欲しいと言われました。なかなか保健所につながらないこともあり相談窓口の強化をしてほしいという要望があります。
 この点についても、本市のお考えをお聞かせください。

質問の最後は、学校再開後の教育環境の充実についてです。

6月1日から全国の学校が3カ月ぶりに再開しました。3カ月間もの長期休校は、子どもたちに大きな不安とストレス、学習の遅れと格差の拡大などをもたらしました。 そして短い夏休みを経て新学期を迎えました。
 その中で、新型コロナウイルス感染から子どもと教職員の健康といのち、子どもの学びの権利、これをいかにして守っていくかは重要な課題です。 子どもたちを受け止めながら、学びとともに人間関係の形成を保障する柔軟な教育こそが必要とされています。
 保護者と教員の方々からは、「限られた時間内に1年分の内容を詰め込むのは無理」という事で、子どもの状態を見ながら、また学校の行事も工夫をしながら学習を行なっていくという事は先の議会での中でも答弁されています。
 にもかかわらず、8月24日付の新聞報道で本市が、学力テストを実施するとの記事がありました。コロナウイルス感染症の蔓延によって、教職員は感染症対策をしながら授業時間の確保や、限られた時間内で児童たちに学ぶ楽しさを提供する努力を強いられています。また児童は、慣れない環境下で授業のコマ数が増えたり、課題をこなしたりと大きな負担を背負わされています。さらには、感染予防という事で大きなストレスを感じています。そうした状況の中での学力テスト実施には、疑問を感じずにはいられません。
 教職員の方々からは、「なぜこの時期にやるのか」「最も心配なのは子供のストレス」という声が上がっています。
 教職員や児童生徒のこうした声や、言動に対し、まず本市が行なうべきは、教職員や児童の負担の軽減を図ることではないでしょうか。おうかがいいたします。県内でも19市町のうち8市町の小中学校が学力テストの実施を決めました。
 学校では今年度、プール学習、宿泊学習、体育大会などの楽しい行事がなくなり、 調理実習も、家で作った調理を写真でとってくるという風な事で子供の学びの場も大きく変わっています。
 本市は学力テストの扱いについて、3 時間のテストを8月末から10月の間で、各学校の状態に合わせて時期や期間を決めて取り組むとしています。コロナ禍で困難な今こそ、各学校で「今必要な学びとは何か」を考え柔軟で自主的な学習が必要と考えます。
 児童にとっても、先ほど述べたように、現状でさえ負担を強いられているに、またプリントテストに追われてしまいます。
 学校は学力向上だけの場ではありません。子どもたちの学びをプリント攻めにするのではなく、本来の学びの場に基づく場となってほしいと思います。
 コロナウイルスによって、教育現場は大変混乱しています。混乱に拍車をかける学力テストの実施を断念するよう求めますがいかがでしょうか。

 この質問の二つ目は、小中学校のエアコンの設置についてです。

 市長は補正予算の中で、中学校のエアコン設置を前倒しする予算が計上されました。私ども日本共産党市議員団も、これまでも幾度となく、市民と保護者の方と一緒に早期にエアコン設置を求める申し入れを行ってきたところです。早急に全校に設置されることを望みます。まだ、異常な暑さが続いています。小学校エアコンが未設置の学校27校のうち9校が完了したとお聞きしました。あとは10月末までに、小学校は完了するという事ですが、この1ヶ月何とか工事を早め小学校すべてにエアコン設置を完了する事は、できなかったのかおたずねします。
 エアコンのない学校については冷風機などの設置で、暑さ対策、熱中症対策が必要ではないでしょうか。大きな扇風機と小さな扇風機が入っていると、言っていますが、どのような熱中症対策をされているのか、どのような暑さ対策をしているのかお尋ねして、私の質問といたします。

―山野市長

 7番大桑議員にお答えをいたします。

 まず、介護現場のことについて何点かお尋ねがございました。介護事業所の経営は、介護保険制度における介護報酬により賄われているものでありまして、市が独自にその減収分を補てんするものではないということをご理解いただければと思います。なお収入が減少した場合は、持続化給付金制度など国の制度を活用していただきたいというふうに考えています。介護従事者の処遇改善のことについてお尋ねがございました。介護職員の処遇につきましては、市民からの保険料や利用料に加え、国・県・市の財政負担を財源とする介護保険制度の中で対応をしているところであります。現在国において、来年度の報酬改定に向けた議論が始まっておりまして、まずは国の対応を注視していきたいというふうに考えています。そして介護現場の負担軽減を図るための施策についてもお尋ねがございました。この負担軽減を進めていくためには、なんといっても人材確保が不可欠であると思っています。そのためにも介護職員の処遇改善が大切になってきます。現在国において議論が行われているところでありますので、先程申し上げましたようにまずは国の動向を注視していきたいというふうに考えていますが、第8期介護保険事業計画を策定していく中で、市として実現可能な施策を検討していきたいとも考えています。マスク・消毒液等の衛生用品の確保についてお尋ねがございました。介護事業所に対しましてはこれまでも、マスクや消毒液などの衛生用品を支給しているところであります。今後も備蓄用も含め、継続してバックアップをしていきたいと考えています。今回の補正予算案におきましては、衛生用品の購入経費に対する市独自の補助金を増額しており、必要な介護サービスが利用できるよう、介護事業所の感染予防対策に取り組んでまいります。PCR検査を介護従事者・利用者に速やかに利用できるようにということでした。先般、国は都道府県に対し、感染状況に応じ、医療機関や高齢者施設等の職員、入院・入所者等を対象とした検査の実施を要請しているところでありまして、今後の動向を注視すると同時に、金沢市の保健所におきましても検査能力の強化にも取り組んでまいりたいと考えています。

 国の全世帯型社会保障改革の中間報告の見直しのことについてお尋ねがございました。国に対しましては、介護保険制度の持続的かつ安定的な運営のため、自治体の財政負担や市民の保険料負担が過重とならないように、国費負担割合を引き上げることを全国市長会を通しましても強くここは要望を重ねているところでもあります。引き続き動向を注視してまいりたいというふうに考えています。高すぎる介護保険料の引き下げも検討すべきだというご意見がございました。介護保険制度におきましては法令に則りまして給付費の一定割合を保険料で賄うことが定められています。第8期介護保険事業計画における令和3年度からの介護保険料につきましては、これから今後3年間に必要なサービスの給付量を適切に見込み、その費用に合った額を設定することになっていますことをご理解いただければと思います。

 障害者就労継続支援事業所のことについて何点かお尋ねがございました。困難な事業所に寄り添った支援が必要ではないかということです。本市では、障害者就労支援施設を支援するために、4月臨時補正におきましてマスク等の衛生資材の製造に取り組む施設等に対する奨励金制度を設けるとともに、市ホームページにこの制度に関する応援サイトを開設するなど、市独自の支援策を講じてきたところであります。今回の補正予算におきましても、市内全ての障害者就労支援施設を対象に、コロナ禍において減少した受注の回復を支援するため、新規発注する企業等への奨励金制度を創設するなど、市独自の支援策をお諮りをしているところであり、引き続き事業所に寄り添った支援に努めてまいります。消毒液やグローブ等の衛生用品の購入支援につきましては、安定的な供給体制を支援していくべきではないかということです。障害福祉施設に対する衛生用品の購入支援につきましては、3月及び4月補正に続き、今回お諮りした補正予算において、感染症防止対策の長期化も見据え、予算を大幅に増額し、追加計上したところであります。

 保健所の相談窓口の体制のことにつきましては、電話がなかなか繋がらないという声が多く聞こえてきた、なんとかならないかということです。相談窓口につきましては、保健師を増員するなど、順次強化にも努めてきました。今後、電話回線の増設等も予定をしておりまして、引き続き相談窓口の強化に努めてまいります。

―高柳福祉局長

 障害者就労継続支援事業所活動支援事業の対象となる事業所についてでございますが、国の補助基準に基づきまして対象となる事業所として申請のあったものは68事業所中21で、約3割でございます。

―野口教育長

 教育につきまして4点お尋ねがございました。

 はじめに、学校が再開されたが7限目までの授業や土曜日の授業をやめて、教職員や児童生徒の負担軽減を図ってはどうかということについてのご質問にお答えいたします。何とか年度内に当該学年の学習内容を終え、次の学年にスムーズに子供たちに学びに入っていってほしい、そんな思いから通常授業に加えまして4月・5月で失われました150時間程度の授業時数を確保する必要がありますので、学校間で大きな違いが生じないように、校長会議とも十分に協議をしたうえで、市内で統一して土曜日を授業日として設定いたしました。これが実現されれば、6月以降の行事につきましては通常通りの行事も行うことが可能でありますので、そんなところでご理解いただければと思っています。ただ土曜日の授業につきましては、市として月2回まで、それから原則授業は午前中までといたしております。それから学校の判断で7限目までの授業を行う場合は、例えば1時限の授業時間を5分短縮したり、また毎日行っている清掃を行わないなどとして、児童生徒や教職員の負担について十分に考慮させていただいています。また感染症対策と学びの保障の両立を目指しながら、教育委員会としましてサーモグラフィーカメラの設置、学校サポーター等の支援員の配置など、人的・物的両面から支援を行わせていただいています。

 次に、学力テストの実施についてご質問がございました。まずお話しておきたいことは、国・県の学力調査につきましては、国・県の通知に基づきまして今年度は実施いたしません。ただ、国や県から提供いただきました学力調査問題を見させていただきましたけれども、内容を見ましたら学習指導要領の理念や目標、また内容等に基づいて子どもたちが身につけていったらいいなと思うべき学力などを具体的に示すメッセージが盛り込まれて作成しておりますので、教育委員会といたしましては良質な問題であると思っています。このことから、本市におきましては調査問題を有効に活用していこう、そんなふうに考えました。なお学校現場の実情を踏まえて、調査問題を有効活用するにあたりましては、児童生徒や教職員の負担とならないように配慮するとともに、例えば1日に全てをやるのではなく日を変えて教科ごとにやるとか工夫をしながらやっていく、また結果については教育委員会の方に提出は求めないで、それぞれの学校の学力の向上の取り組みに反映してほしい、そんなふうにしながらこれを有効活用していきたいと思っています。

 次に、小学校のエアコンの設置工事についてご質問がございました。今年度の小学校のエアコン設置につきましては、昨年度の実績を参考にしながら発注単位や必要資材の確保などに配慮した工期としたものでありまして、できるだけ早い整備完了を目指しているということをぜひご理解いただきたいと思っております。

 最後に、エアコンの整備が終了していない学校について、どのような熱中症・暑さ対策を行っているのかというご質問でした。学校におけます暑さ対策は極めて大切なことであり、現在普通教室にエアコンの整備が終了していない学校におきましては、市として送風機を追加配備するなどの対策を講じております。また各学校では体操服など過ごしやすい服装で学ぶことや、すでにエアコンが設置されている特別教室等の有効な利活用、そして授業中では自由な給水・冷却材の使用など、様々な工夫によって熱中症や暑さ対策を行っているところでございます。

―大桑議員

 障害者施設の方からのいろんな相談の窓口を強化すると、先程答弁をいただきました。障害を持った方の就労支援、本当に一生懸命コロナ対策をやって頑張っているところなんですけれども、やはりいろんな疑問にぶつかったり、対策をどうしようかと考えるところが多くあると聞きます。相談窓口の強化っていうことで十分それが対応できるかどうかということはまだわからないんですけれども、9月議会の今の補正の感染対策費の中で、新しく高齢者・障害福祉施設感染症予防対策指導強化費、指導を強化するということで、医者や看護師の方が現地の指導に行くということを拡大をして、希望する施設の方に回るということはできないのでしょうか。

―荒舘保健局長

 補正予算に計上してあるものについては、いろいろな福祉施設の近隣の医療機関と連携しまして医師や看護師を派遣しながら、感染症対策を進めていくといったようなものです。それに対して、障害者施設なども含めていろいろ考えていきたいと思っております。

―森尾議員

 大桑議員が取り上げたように、コロナの影響で介護施設やご利用者の状況は大変困難な局面を迎えてきています。これにどう向き合い、行政として支援の手を差し伸べるかということが問われていると思うんです。具体的な提案をしたにもかかわらず、市長は一向にこの現実に目を向けることなく、行政としての支援はしないというような答弁が行われました。私は非常に重大であり残念だなというふうに思っています。
 具体的に言いますと、コロナの影響で介護事業所に対して厚生労働省が通知を出しまして、通常のサービスを行っている事業所に対して介護保険の請求については区分を2つ上げて請求しても良いと、これによって介護事業所を支援しようという通達を出しました。
 しかし、同じサービスを受けながら介護保険で1割から2割を負担しなければならない利用者にとってみると、納得がいかないということになりました。当然、介護事業者は利用者に承諾と理解を求めて保険請求することになりました。
 こうした現状の混乱や意見が全国の各自治体に寄せられまして、自治体によっては2ランクアップの区分請求を行わないで、その分については自治体として支援しましょうと、利用者には負担がかからないようにという配慮のもとで介護事業所に支援を行うという自治体が今全国各地で現れてきています。一体、この差は何なんだろうかと思うんです。市長としては、こうした介護の事業所や利用者の現実に目を向けて、支援を行うというのが必要ではないでしょうか。改めて答弁を求めたいと思います。

―山野市長
 まず何もしていないというふうにおっしゃられましたけれども、森尾議員も賛成をいただいている予算におきましても、これまでもマスクや消毒液の衛生用品の支給を行ってきているところでありますし、今後も継続していきたいというふうに申し上げているところでもあります。この議会の予算におきましても、衛生用品の購入経費に対する市独自の補助金の増額をしているところであると申し上げています。これからも情報をしっかり集めていきながら適切な対応を取ってまいります。

広田美代議員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として以下数点質問致します。
まずは、台風10号の被害にあわれたみなさまに心からお見舞いを申し上げます。

・安倍首相の辞任表明を受けて

 それでは、最初の質問に移ります。
安倍首相が先日辞任を表明しました。
退陣の根底には、「安倍政治」が、経済、外交、コロナ対応、憲法改定などあらゆる分野で行き詰まった実態があります。
 20年続いたデフレに『3本の矢』で挑み、400万人を超える雇用をつくりだした、と安倍首相は誇って見せますが、その実態は、異次元の金融緩和で円安を加速させ、株高を演出する一方で、非正規雇用など不安定な働き方を増やしたにすぎません。しかも、安倍政権のもとで行われた2度の消費税率引き上げは、個人消費を冷え込ませ、実体経済を痛め続けました。
 こうしたアベノミクスや新自由主義的政策の破綻が、今年の新型コロナウイルスの感染拡大によって一気に露呈し、多くの人々を苦しめています。保健所や医療機関が疲弊したうえ、中小業者や労働者は苦境に立たされ、文字通り“生きるか死ぬか”の瀬戸際に直面しています。
 しかし、自民党総裁選を見ても、その訴えの中身は新自由主義路線、自己責任路線の継承でしかありません。
市長におたずねします。市長はこれまで、アベノミクスや2度の消費税増税について、進める立場でしたが、このような行き詰まりを前にどう評価しているでしょうか。また、経済を再生するために、何より必要なのは暮らしを応援することです。消費税を、増税前の5%に戻す減税の議論もありますが市長はどのようにお考えでしょうか。

ー山野市長

 28番広田議員にお答えをいたします。
 まずアベノミクス、また消費税のことについてお尋ねがございました。やはり一連の経済施策が株価の上昇であったり有効求人倍率の上昇につながったという評価もあり、景気回復・雇用の改善という面で私は、大きな効果があったというふうに思っています。消費税につきましては国会での議論を得て、税率の引き上げが行われたものであります。国家財政の再建、少子化対策への対応を進めていくうえで、私は一定の理解というものをいただきながら進めてきたものだというふうに思っています。必要不可欠な財源のひとつであると考えています。

ー広田議員

・市政方針、中期財政計画について

 今こそ、市民本位の経済政策への転換が重要です。
 そこで、本市の市政方針、中期財政計画について伺います。
 先日、本市が発表した中期財政計画では、コロナの影響で税収が減ることによる収支不足について、多い年では33億円にものぼる試算が出され、その不足に対応するため、公共事業費の抑制や一般行政経費の削減も行う方針を示しました。
しかし、公共事業費の抑制といっても、230億円以上は維持し、そのうちの経常フレーム58億円を70%に抑えるだけのものです。
 もちろん老朽化するもの、市民の身近な生活に関わる事業については必要です。
しかし、全体事業費100億円、Jリーグ基準にあわせた10000席対応のサッカー場や、経済界からの要望で一転した事業費が200億、300億も予想される歌劇座のオペラ座への立て替えは見直すべきです。サッカー場と歌劇座については予定通り進めるつもりなのか、方針やスケジュールなどあきらかにしてください。

ー山野市長

 サッカー場のこと、そして歌劇座のことについてお尋ねがございました。まずサッカー場は、第一次スポーツ施設整備計画の記載の通り、城北市民運動公園で収容人数一万人規模のサッカー場を移転整備をしたいと考えています。今年度実施設計を行っているところでありまして、2023年度中の完成を目指し準備をしているところであります。歌劇座につきましては、金沢歌劇座あり方検討会から答申・報告をいただいたところであります。今年度は懇話会の報告にありますように現地での建て替えも念頭に置きながら、高さ・敷地・財源の確保などの課題解決に向けて技術的な検討などを進めているところであります。まずはこうした課題解決のための方策を検討し、その上で具体的なスケジュールについて考えていきたいというふうに思っています。

ー広田議員

 今補正予算で中学校普通教室のエアコン設置の前倒しが示されました。我々がかねてから求めてきた通り当然必要ですが、来年の夏までに設置することになったとは言え、昨年も今年も多くの子どもたちが健康を奪われてきました。市長は整備時期が適当だったか問われ、「批判は甘んじて受け入れる」とお答えになったそうですが、批判は受け入れるだけではなく、今後の教訓にしなければ意味がありません。
 市長、不要不急の大型公共事業は見送りや中止をし、明日のくらしや経営が立ち行かない市民、病院や介護施設への支援など、市民の命と暮らしを守ることを優先する予算方針に転換が必要ではないですか。お答えください。

ー山野市長

 公共事業の見直し、政策を転換すべきではないかということでした。このコロナ禍、いろんな考え方があります。あと1年・2年続くのではないかというご意見もあります。感染症拡大防止と社会活動の両立が、私はこれからの課題になってくるというふうに思っています。国・県と一体となって市民生活の安全・安心の確保のため、全力で取り組んでいかなければいけないと思っています。また、老朽化が進む公共インフラの整備、さらには都市の発展基盤の整備は、市民のくらしを守り豊かにし、まちの拠点性を高め、活力と賑わいをもたらす、本市の将来に欠かせない投資であり、またコロナ禍で大変厳しい状況にある地域経済を下支えするためにも、一定の公共事業費規模を確保していくことが大切であるというふうに思っています。

ー広田議員

・PCR検査の拡充について

次にPCR検査の拡充について伺います。
 県内、市内で新型コロナウイルス感染者が再び増加をし、感染者受け入れ病院からもクラスターが発生するなど深刻な事態です。
 県のモニタリング指標4つのうち常に2つがオーバーする状況であるにも関わらず、これまで具体的な対策や方針が示されないまま、インフルエンザ流行期を前に市民は不安に陥っています。
 石川県では現行の検査機関にPCR検査機器を追加配備し、さらに民間病院230施設や民間検査機関の協力なども得て検査数を1500まで増やすとしています。来月からはかかりつけの病院もしくは、コールセンターに相談する流れへの変更も予定されています。
 病院の負担が心配ですが、
まずは、どのような仕組みに変わるのか明らかにしてください。
 そして、このことによって、これまで症状があって保健所に問い合わせても検査が受けられなかったようなケースでもスムーズに検査を受けられるようになるのでしょうか。あきらかにしてください。

ー山野市長

 PCR検査の受診・相談体制につきまして、どのように変わっていくのかということでありました。国では10月中をめどに身近な医療機関での相談、受診、検査体制の強化を目指しているというふうにお聞きをしています。ご質問されました「どのように変わっていくのか」ということは、詳細が分かり次第、市としてしっかり対応をし、広報周知を図っていきたいというふうに思っています。ただこれは拡充されることにより検査数は増加するものだというふうに思っています。

ー広田議員

次に、検査数の増加とともに必要なのが、対象を点や線だけではなく面的に位置づけることです。
 わが党はこれまで、感染震源地に対する集中検査や医療、介護、障害者福祉、保育、学校などの職員などへの定期的検査によって、無症状感染者も含めて把握・保護することで感染を抑え込む戦略を明確にして実行すべきだと国にも地方自治体にも求めてきました。
 先日本市のグループホームで起こった事案は、コロナとは別の原因で入所者2名が別々に救急搬送されたところ、2名ともに陽性が確認され、検査の結果、入居者や職員あわせて14名が陽性という結果です。このコロナウイルスが、無症状でも知らず知らずに感染させていく怖さを物語っています。
 病院や高齢者施設、保育施設などの定期的な検査を行い、無症状感染を食い止めることが必要です。
 ご存知の通り、世田谷区では、「いつでも誰でも何度でも」を基本におく、「世田谷モデル」を宣言し、現在1日300件のPCR検査を大幅拡充する方針を打ち出し、第1段として有症者などへの検査を600件に倍加し、第2段として介護施設や保育園などの職員などへの定期的な社会的検査を1日1000人程度行うことを目標としています。
 政府の対策本部でも先月28日に、感染流行地域での「医療、高齢者施設などへの一斉・定期的な検査」「地域の関係者の幅広い検査」について、政府として都道府県などに「実施を要請する」と決定をしています。
 行政検査こそ抜本的に増やし、世田谷区のように広く検査すべきです。
 もちろん、世田谷区では現在の保健所や保健師の体制ではむずかしいので、保健所の外側に体制をつくり保健所は保健所にしかできない仕事に専念していく考えだそうです。検査方法については、数人分の検体をまとめて検査するプール方式をとるそうです。これら世田谷方式に学び、病院や高齢者施設、地域など幅広い検査を行うべく、県とともに具体化するよう求めますがいかがですか。

ー山野市長

 面的な検査というものも大切ではないかということでした。今般国は、新型コロナウイルス感染症に関する今後の取り組みを発表し、その中で感染者が多数発生している地域等において、その期間は医療機関や高齢者施設等の職員、入院・入所者等全員を対象に一斉定期的な検査の実施を都道府県に対し要請をしているところでありまして、今後の動向を注視していきたいというふうに思いますし、ここは方向が決まりましたら県としっかりと連携をしていきたいというふうに考えています。

ー広田議員

 市立病院についてです。今補正予算で、PCR検査機器を追加配備するのであれば、院内クラスターを防ぐためにもすぐに職員や入院患者などの定期的な検査を行うよう求めますがいかがですか。

ー山野市長

 市立病院のことについてお尋ねがございました。今議会にお諮りいたしました補正予算案においてお認めをいただきましたならば、市立病院にPCR検査機器を配備したいと考えておりまして、患者や職員に感染が疑われるなど医師が必要と認めた場合には院内でただちに検査をし、早期に診断できる体制を整えたいというふうに考えています。市立病院では来院患者の出入口を一か所に限定し、検温・咳などの症状の聞き取りを行い、感染が万が一疑われる場合には一般患者と別にして診察を行うとともに、入院患者への面会制限を継続することで、院内にウイルスが持ち込まれることがないように感染防止対策を徹底しているところであります。加えて、職員に対しては日頃から適切な行動を取り、日常的な健康観察や標準的な感染予防策に努めるよう指導を徹底しており、今のところ患者や職員に対し定期的にPCR検査を行うことは考えてはおりません。ただ、今後も国・県の動向を注視をし、連携を取り、必要な施策が出ましたらしっかりと対応していきたいというふうに思っています。

ー広田議員

・保健所の機能強化、保健師の増員について

 感染症対応の要である保健所について伺います。
 日本では1980年代、中曽根内閣によって「民営化」と「規制緩和」を柱とする新自由主義が本格的に導入され、国鉄・電電公社などの民営化が果たされたのち、コスト論の見地から公衆衛生分野の要である保健所、医療分野では公立・公的病院の統合・廃止路線が進められ「平成の大合併」がこれに拍車をかけた中で今回の事態を迎えました。
 保健所については、1994年の保健所法の改悪により、設置基準が人口10万人に1か所から2次医療圏に1つとされ、全国では1992年に852か所あった保健所が2019年には472か所へ、石川県全体では96年まで11あった保健所が97年には半分以下の5か所にされました。その中で本市は、当時新規結核患者が130名という状況であるにも関わらず、3か所あった保健所がひとつにされてしまい、保健所保健師についても数名という配置が続いてきました。
 こうした保健所統廃合など公衆衛生政策のつけが今回のコロナ禍で全国的にも、保健所の崩壊寸前を招いています。
 本市では4月時点で、地域保健課の感染症対策係である保健師7名、看護師1名が本来の担当でしたが、人口46万、20万世帯にこの体制で今回のコロナ対応が可能なはずはなく、会計年度任用職員を7名採用し、4月のピーク時には本庁や福祉健康センターから18名の保健師、17名の事務や消防OBが応援に入りました。朝から晩まで電話がなりっぱなし、相談件数は多い時で1日320件を超え、本市では第1波の感染者はおよそ130名、その方々のPCRの検査関係、陽性者の行動歴や接触者調査、濃厚接触者については、2週間毎日電話をして確認する、クラスターが発生すれば対応というすさまじい状況でした。それでも、通常業務であるエイズやクラミジア、肝炎の相談や検査は門戸を閉ざすことはありませんでしたが、件数など縮小せざるを得ませんでしたし、4月の残業は、過労死ラインの100時間以上が医師や保健師で10名、もっとも多い保健師では257時間という結果でした。
 市長、本市が保健所を統廃合する際、わが党は当時の山出市長への質問に保健所所長会の佐藤氏の言葉を引用し反対しました。当時0-157が発生していた中で佐藤氏は警鐘をならし、「仮にこの全国に張り巡らされた保健所網がなく、医師である保健所所長が先頭に立っての臨機応変な諸活動がなかったなら、日本列島は新しいこの感染症にじゅうりんされ、もっとひどい混乱がもたらされていただろう」。
 このコロナ禍で、当時佐藤氏が警鐘をならしていた通りのことが起こっています。これまでの政策によって公衆衛生分野が縮小されてきた結果が、現在の混乱を招いている点についてどのように思われますか。

ー山野市長

 国の方針として、公衆衛生分野が縮小されてきたのではないか、そのことについてどんなふうに考えるかということです。平成6年、保健所法が地域保健法に改正され、住民に身近な母子保健サービスなどが都道府県の保健所から市町村に移譲されるなど、保健所と市町村保健センターの役割が明確化されたことから、すでに保健所設置市であった本市においても平成9年度に3保健所から現在の1保健所3福祉保健センターに移行をし、より身近な保健と福祉のサービス拠点として機能してきているところであります。こうしたことにより、保健と福祉の連携が強化されるとともに、これまでも保健所機能に必要な人員を配置してきており、公衆衛生分野を担う保健所として十分役割を果たしてきているというふうに考えています。

ー広田議員

 新たなウイルスの脅威は今後も予想されています。
 保健所がその役割を果たし、市民の命と健康を守るためにも、保健所の機能と人員体制を抜本的に増強する必要があります。
 保健所の機能については提案ですが、これから泉野福祉健康センターの建て替え工事が始まります。これを機に泉野にも保健所の機能を増やす検討をしてはいかがでしょうか。

ー山野市長

 泉野福祉保健センターについてお尋ねがございました。今回、新型コロナウイルス感染症の拡大に際しましては、法的権限の強い感染症対策業務を保健所に集約化したことにより、一元的な対応が可能であったと考えています。保健所機能が一時的に逼迫をしたことも事実でありますが、全庁あげての応援職員の派遣、新規採用による増員により対応をしてきたところであり、この体制の変更は考えてはおりません。

ー広田議員

 人員体制については、本市は、昨年度5月時点での保健師数は57名。中核市の人口当たりでは最下位です。8月から定数を2人増やしましたが、抜本的に増やす必要があります。現在中期人事計画の見直しが行われておりますが、保健師を計画的に増員していくべきですがいかがですか。
 ちなみに、アメリカでは接触者などの調査をするトレーサーは、人口10万人に最低30人という基準であり、本市に置き換えると120~150人必要です。

ー山野市長

 保健師の配置のことについてお尋ねがございました。新型コロナウイルス感染症への対応により、保健師の業務量が増大してきているということは十分認識をしておりまして、これに対応するため直ちに議会にお諮りをし、8月に3名の増員、10月にも1名を前倒しで配置を予定しているところであります。保健師の数のことについてお尋ねがございました。本市の保健師の場合は、他の自治体では保健師の業務になっていることの多い介護保険の新規申請の認定調査を本市の場合は健康福祉財団に業務委託をするなど、仕事の分担を行ってきたこともあるというふうに考えています。今後見直し予定の中期人事計画におきまして、今般の新型コロナウイルス感染症の感染状況、他の中核市の保健師の担当業務、配置状況、本市の職員数全体の状況を十分に見極めながら検討していきたいというふうに思っています。

ー広田議員

 一方で、保健所についての財政措置は地方交付金も出ていますが、保健所にどれほどどう使うかや保健師の配置については地方任せになっている実態です。本市では、統廃合後の2000年と現在を比較すると、保健所費で2600万円、人件費では1125万円もこれまで減らされてきました。保健所の機能強化や保健師の増員については、国からの財政支援とその裏付けとなる基準が必要です。これらの要求を本市としても国へあげるべきと考えますがいかがですか。

ー山野市長

 保健師の配置基準を設け、国への財政的な支援のことについてお尋ねがございました。保健師業務は母子保健、成人保健、感染症対策など、多岐にわたるところでありますし、自治体によって市民の年齢構成等が異なるところであります。先の答弁で申し上げましたように、仕事の担当業務の違いもありますので、全国一律の保健師配置基準を設けるということはこれはなかなか難しいというふうに考えています。今回の新型コロナウイルス感染症対応につきましては、感染症対策・地域経済対策など、多くの予算も必要となりますので、引き続き国に財政支援を要望していきたいというふうに思っています。

ー広田議員

・地域経済対策について

 さいごに、今補正予算に出された地域経済対策について伺います。

 今補正予算では、「五感にごちそう金沢宿泊キャンペーン」という金沢市版のGOTOトラベルともいえる事業が8億3千万円の予算で打ち出されました。
 しかし、GOTOトラベルについて、そもそも政府は『感染症の流行収束後に行う』としてきましたし、本来、感染拡大を抑えることが最大の経済対策だと考えるものです。
 全国で第2波が起こっている今、議会においても本市を含め視察の受け入れを断っている都市も多い状況です。本市のこのキャンペーンは、10月分は北信越、11月以降は全国に拡大するとしていますが、新型コロナウイルスに加え、インフルエンザ流行時期とも重なりますが、感染防止の観点から、保健所と経済局の間でどのような議論を行い、この時期での実施に至ったのかあきらかにしてください。

ー山野市長

 五感にごちそう金沢宿泊キャンペーンのことについて、保健所との連携についてお尋ねがございました。本事業においては、新型コロナウイルスの全国的な感染状況がクラスターを除き抑制されつつあるという認識のもと、地域社会経済活動の振興のため、補正予算の承認を得て、事業に取り掛かっていきたいと考えています。まずは北信越地域に限定した形で10月から行っていきたいと考えています。感染拡大防止・社会経済活動の両立を進めるべく、保健所を含めて全庁一体となり、今補正予算を編成したものであることをご理解いただきたいというふうに思っています。

ー広田議員

 次に、GOTOトラベルでは、「旅行者に対して37.5度以上の発熱があった場合は、保健所の指示を仰ぐことになる」など明記されています。一方で、GOTOトラベル参加の長野のホテルで陽性者が出ましたが、いくら感染が出ても“GoTo”を止める仕組みがないことも明らかになりました。
 市長、旅行者について、保健所との連携や入院先などの確保、感染者が出た場合の事業継続の判断について、どのような計画か伺います。

ー山野市長

 万が一、宿泊者に感染を疑われる方が出た場合のことについてお尋ねがございました。感染症を疑われる宿泊客が出た場合は、宿泊業界のガイドラインに基づき、宿泊施設が本市の帰国者・接触者相談センターである金沢市保健所に連絡し、その指示に基づき適切に対応することになっており、このことを宿泊事業者等に対し周知徹底をしていくところであります。全国的に爆発的に感染が広がるという状況が確認されるような事態になれば、事業の一時的な休止についても検討しなければいけないというふうに考えています。ただ、地域経済活動の振興のためには、継続的に事業を実施することが肝要でありますので、宿泊事業者等の感染対策を支援をしながら進めていきたいというふうに思っています。

ー広田議員

 もちろん、宿泊施設や飲食店などへの支援策は必要です。しかし、感染拡大さなかでアクセルとブレーキを両方踏むような矛盾した施策ではなく、事業所への直接支援を再度行うべきと考えますがいかがですか。

ー山野市長

 この3月・4月・5月と、特に大きな影響を受けた宿泊・飲食などの事業者に対しましては、これまでも国の持続化給付金等の支援策に加え、宿泊施設魅力向上等奨励事業を始め、事業継続のための給付金など本市独自の支援策を講じてきたところであります。感染症に関しまして様々な知見が蓄積されてきました。感染防止の徹底を図っていくなかで、ウィズコロナの時代がこれから1年とも2年とも言われているところであります。感染防止対策を徹底するということ、そして社会経済活動の両立を図っていく、私はそういう局面になってきているんだというふうに認識をしています。本来的な経済活動を後押しすることによって、持続的な形での雇用を維持していく、そして様々な業種への波及効果を生み出していくということが、私はもう必要なフェーズであるというふうに思っています。事業者へ直接給付金等を支給するという段階から、継続的な施策に取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。

ー広田議員

 さいごに、金沢の元気回復商品券支援事業費についてです。実施するプレミアム商品券については、その対象店舗について気になるところです。小規模な事業所や商店街に加盟していないところも含むべきではないでしょうか。

 金沢市の感染拡大防止、地域経済にとってよりよい施策になるよう求めて質問を終わります。

ー山野市長

 小規模な事業者や商店街に加盟していない店舗も該当するのかということでした。本事業では、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛等により、大きな影響を受けた市内の商店街を支援するために、まずは各商店街に自助努力を行っていただきたいというふうに思っています。地域のお客様のことは地域の商店街が一番ご存知でありますので、独自の施策を組んでいただきたいというふうに思っていまして、その中で応援をさせていただきたいというふうに思っています。それぞれの特徴があり、対象となる店舗もいろいろとまちまちであります。もちろん、複数の商店街との共同実施もあると思っています。地域住民の皆さんが利用しやすい、創意工夫をしてほしいというふうに思っています。できるだけ多くの店舗等に参加いただくよう、各商店街に働きかけていきたいというふうに思っています。

(再質問)

ー広田議員

 2点、改めて伺います。

 ひとつはPCR検査の面的な検査のことについてですが、政府の感染症対策本部も県に要請すると決定したと市長も述べておられましたが、やはり金沢市は一つ保健所を持ち、金沢市民の命と健康に責任を持つ立場であるということから、ぜひ保健所所長が医師として、専門家会議に出ておられますから、そのときにぜひ面的な検査を石川県でも行うべきではないかと発言していただきたいということがひとつ。
 もうひとつは、保健所の統廃合についての見識についてはちょっと残念です。やはり私はこれまでの政治の責任で今のコロナ禍の混乱を招いているというふうに反省すべきだと思っております。保健所と、昔の保健センター・今の健康福祉センターは、機能がわけられています。感染症を扱うのは今保健所しか法的にはないんですよね。昔は、保健師が保健所に数十名まとめていましたけど、今は7名です。増員されまして9名、前倒しっていうのは来年採用の人を1名入れただけですから、今結局9名の定数で、また新たにウイルスが来たら対応ができるのかという局面です。ですから、ぜひ保健師の増員をと求めたところです。その点、再度お願いいたします。

ー山野市長

 1点目のことですけれども、保健所長とはまだ具体的なお話はしておりませんので、意見交換をさせていただきたいと思っています。
 2点目の件ですけれども、先程申し上げましたことの繰り返しになってしまいますけれども、いろんな担当業務なんかもきちんと見直していく必要があるならば見直していきたいと思いますし、配置状況も確認をしていきたいというふうに思っています。十分見極めながら検討していきたいというふうに思います。しっかりとした対策を取っていかなくてはいけないというふうに思っています。

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