森尾議員
-森尾議員
私は、日本共産党市議員団の一人として、質問いたします。
最初に、本市ガス・発電事業の株式会社への譲渡計画についてです。 8年近くに及んだ安倍政治は、内政・外交・コロナ対策などあらゆる面での行き詰まり、その行き詰まった路線を続けるほかに選択肢を持たないという二重の行き詰まりは深刻です。この間、新自由主義による規制緩和、公営事業の民営化をめぐっても、大きな転換点を迎えています。「トランスナショナル研究所」研究員の岸本聡子氏が、世界の水道民営化の実態をまとめたレポートを出されました。その中で、水道事業を再び公営化する動きが、2000年以降37ヵ国235件確認され、1億人以上の人口に影響をもたらしたことを明らかにしました。パリの水道事業が再び公営化しました。また日本では、長野県の県営水力発電所を中部電力に譲渡する計画が中止されました。こうした動きの中で、100年間ほどにわたって本市公営事業としてきたガス事業・発電事業は、その役割と社会的意義が高まっています。市長の見解をまず伺いたいと思います。
-山野市長
まず、この本会議でも明確に申し上げておりますけれども、水道事業の民営化ということは考えてはおりません。そのことはまず申し上げておきたいと思います。ご質問の趣旨はガス・発電のことだというふうに思っています。これは公設だろうが民営だろうが使用者の利益の保護と公共の安全を確保し、安定供給に努めるということが私は大前提であるというふうに思っています。ルールが変わりました。2016年・2017年とそれぞれ小売りの自由化が法律改正でなされました。地方公営企業ではできない多角的なサービスを提供していただくことによって利用者の利便性、そして経済的な面も含めて向上を図っていくということは私は大切なことだというふうに思っています。なお、海外の事例等々挙げられましたけれども、国内におきましてガスであったりだとか発電事業が再公営化されたという事例はありません。
-森尾議員
2016年本市企業局は、今後10年間にわたる経営方針を打ち出しました。「現在企業局が所管する5つの事業(ガス、水道、公共下水道、発電、工業用水道)には、公共性及び公益性の確保が求められるため、今後も引き続き企業局が経営するものとし、その経営を行う」としました。ところが現在の本市企業局管理者が就任した2019年度から、事態が大きく転換することとなりました。6月には「本市ガス事業・発電事業あり方検討委員会」が設置され、10月には「株式会社への譲渡」との答申をおこない、一気に事が進められてきました。市長、本市はこの3月「金沢市ガス事業・発電事業譲渡基本方針」を打ち出しました。これは、2016年本市企業局経営方針とは全く異なる方針です。今後10年間は、公営事業として進めていくとした2016年の経営方針は、市民と議会に対する本市としてのお約束です。この約束を破り、株式会社へと譲渡することを進めていくことは、市民と議会に対する裏切りではありませんか。市長の見解を伺います。
-山野市長
経営戦略が発表がなされました。何度も申し上げておりますが、その後ガス・電力の自由化が法律が変わりました。私はそれに準じていくことは大切なことだというふうに思っています。事業を取り巻く環境が大きく変わってきているところであります。企業局内におきましても調査・研究を進め、今後の経営形態のあり方に関する検討委員会からの答申もいただきまして、ガス・発電事業を譲渡する方針を固めたものであります。
-森尾議員
では、本市ガス・発電事業の株式会社への譲渡計画は、いまだ市民と議会の理解と合意はありません。100年間にわたって本市公営事業として運営されてきた本市ガス・発電事業を株式会社へ譲渡するとの大きな方針転換にもかかわらず、市長は、市民への説明会などの開催を行おうとしていません。一体、どういう理由でしょうか。
-山野市長
私は、森尾議員は市民の代表だと思っております。森尾議員の後ろに多くの市民の方がいらっしゃる、私は森尾議員を通して多くの市民の方に説明をしている、そんなつもりでおります。私も選挙で選ばれた市民の代表ですので、多くの市民の声を受けながら説明させていただいているというふうに理解をしております。また、あり方検討会の議事録の公開をしております。検討資料も公開をしているところであります。随時、常任委員会であったりこの本会議でもご説明をさせていただいているところでもあります。また、特別委員会もお作りいただいて、特別委員会でも外部の先生にお越しいただいて議論を進めていただいているとお聞きをしているところであります。大変うれしいことだと思っております。また、都市ガス・簡易ガス全てのお客様に対しましてもダイレクトメールを発送し、幅広い意見募集に努めてきているところであります。そのうえで、本年3月に基本方針を策定したものであります。引き続き、様々な形で皆様に意見交換をさせていただければと思っています。
-森尾議員
これだけの大きな方針転換にも関わらず、市長、あなたは市民に直接あなたの口からの説明はしないと。では、市民の代表である議会の方はどうかと。本市私有財産条例第4条には、議会の特別議決を要する公の施設が明記され、施設の廃止又は5年を超える期間にわたり施設の全部又は一部を独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席の3分の2以上の者の同意を要するものとするとしています。この公の施設としてガス事業施設が明記されています。今回の本市ガス・発電事業の株式会社への譲渡は、この条例の適用を受けるものです。市長の見解を伺います。
-山野市長
事業譲渡につきましてはこれまでも議会において、様々な議論がなされているところであります。引き続き、今おっしゃいましたような私有財産条例に基づく特別議決も含め、議会において慎重なる審議のうえ、適切にご判断をいただければというふうに思っています。
-森尾議員
本市にとって重要な公の施設であることから、この施設の廃止や独占的な利用を行う際には、議会議決についても、議会において出席の3分の2以上の者の同意を要すると、これが条例の趣旨です。したがって市民の代表である議会において、充分な議論と合意が求められます。ところが、株式会社への譲渡が進められ、今年度末には優先交渉権者が決定されるとしています。そして、本市がこの優先交渉権者と契約を結ぶこととなります。その後、必要な条例や予算などが議会に審議されることとしています。これでは議会は市当局が進める事への追認機関ではありませんか。市長は、かねがねから二元代表制を述べてきました。であるならば、このまま優先交渉権者を決めるのでなく、本市ガス・発電事業の株式会社への譲渡について、議会の意向を聞くべきではありませんか。
-山野市長
今こうやって議論をしていることが、議会のみなさんとの大切な審議だというふうに思っています。財産処分を伴います重要な案件ですので、譲渡先となる優先交渉権者を明確にした上で議会にお諮りするのが私は適切であるというふうに思っています。引き続き、年度内の優先交渉権者決定に向けた手続きを進めてまいりたいというふうに考えています。議論を具体的にしていければと思っています。
-森尾議員
本市議会のガス事業・発電事業民営化に関する特別委員会が設置され、審議が行われています。議会の審議を重視すると言うならば、優先交渉権者を決める手続きを中止し、議会での審議を優先すべきではないかと考えますが、市長の見解を伺います。
-山野市長
何度も申し上げますけれども、ここで議論をしていること、また特別委員会でご議論をいただいていること、それが私は議会のみなさんとの真摯な議論だというふうに思っています。やはり重要な案件であるだけに、具体的な優先交渉権者を仮契約の上でお諮りしながら、具体的な議論を進めていけるのではないかと思っております。
-森尾議員
条例においても大変重要な公の施設、そしてその中のひとつにガス施設について明記をされている、したがってこの条例の適用を受けて、今回のガス・発電事業の譲渡については議会の3分の2以上の同意が必要だと。この意味は、議会にも十分な審議と情報提供を行い、ご意見を伺うというのがこの3分の2以上の同意事項の趣旨なんです。これは、市長も認めざるを得なかった。
それでは、もう一つ重要な問題がありました。3月に打ち出された本市の基本方針の中に、事業継承者の選定方法・要件を明記し、その選定要件の中で「本市職員の派遣」について本市職員を派遣するとしています。 まず、現在の本市企業局の職員とガス事業・発電事業を担っている職員数について、管理者から答弁を求めたいと思います。
-寺嶋公営企業管理者
現在、職員数は342名でございまして、うちガス事業が116名、発電事業が19名でございます。
-森尾議員
この地方公務員派遣法に基づき職員を派遣するとしていますが、株式会社など民間への職員派遣は、退職派遣となっています。市長から説明を求めたいと思います。
-山野市長
円滑な事業譲渡、そして市民のみなさんの安全・安心を担保するという意味でも、私は職員の派遣というのは大切であるというふうに思っています。職員の派遣につきましては法律に基づいています。公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律、この法律に基づいて、市への復職を前提に退職の上、株式会社に派遣することとなります。勤務条件等で不利にならないように配慮してまいります。
-森尾議員
本市職員を退職させて派遣するんです。これはやるべきではないと私は考えます。公務員として市民の為に働こうとして入職された職員をいったん退職させ、民間に派遣する。こんなことをやるべきではないというふうに思います。市長は期間は3年間、復職が可能だと言っています。しかし、一旦株式会社への派遣を行ったら、戻って来てもガス事業・発電事業は本市企業局にはありません。まさに、片道切符ということが言えると思います。本人の志を踏みにじり、家族も含めての生活を脅かすことを市長、やっていいのですか。
-山野市長
法律に基づいて、ご本人に説明をし、そして勤務条件等で不利にならないような形でさせていただく。そのことをご理解いただいたうえで対応したいと思っています。
-森尾議員
今回、ガス発電事業の問題について私は2つ取り上げて問題を提起しました。譲渡への議決については、議員の3分の2以上の同意が必要だと、それだけ重要な案件だと。そしてもう一つは職員の派遣、こういっても退職派遣なんです。このことを具体的に指摘をしました。私は、今回のガス発電事業の譲渡問題はやめるべきだと、改めて指摘をして、次に移ります。
1000年以上に1回の降雨による想定最大規模の水害ハザードマップが作成されました。去る8月3日本市議会の防災・安全対策特別委員会が参考人による講演を行い、その中で青木賢人・金沢大学准教授は、本市水害ハザードマップについて次のようにお話しをされました。ひとつは、犀川や浅野川が氾濫するだけでもかなり広域に水害が想定されると。第2に市内平野部のかなり広い範囲が0.5mから3mの浸水の深さよりも上になっていること。したがって垂直避難では対応できない。第3に、数百年に一度、1000年以上に一度という洪水は現実に起こりうるものだと理解してほしい。以上の点が指摘されました。市長としては今回の水害ハザードマップについてどのように受け止め、今後の防災対策に取り組まれるのか伺います。
-山野市長
すでに該当する地域・校下・地区に5月中に配布をしております。すでに説明会も行っておりますけれども、引き続き説明会にお伺いをしながら、地域のみなさんと危機感を共有していきたいというふうに思っています。地域のことは地域のみなさんが一番ご存じでありますので、どこに避難するか、また分散避難ということも含めて、みなさんと危機感を共有していきたいというふうに思っています。
-森尾議員
そこで、旧菊川町小学校の場所に新竪町小学校と合併した犀桜小学校が新築する として、この議会に建設工事に係わる契約議案が提出されています。この問題については令和元年12月議会で取り上げました。小学校を新たに建設することになるわけですが、再検討が必要だと指摘したわけですが、どのような検討と対策を行ったのか明らかにしていただきたいと思います。
-野口教育長
1000年以上に1回の想定しうる最大規模の降雨によりまして河川等が氾濫した場合には、
建設地周辺で最大2m程度の浸水が想定されておりますことから、犀桜小学校の新校舎につきましては河岸浸食想定区域からできるだけ距離を置くために、校舎の配置について配慮をしたほか、教室・電機室等は2階以上の上層階や屋上に配置するなどして、児童生徒等の安全確保と学校の機能性維持に万全を期しているところでございます。
-森尾議員
教育長が述べられたように、今回の水害ハザードマップでは、犀川区域の沿線に沿って建物の倒壊が想定される河岸浸食区域に現在の旧菊川町小学校の用地が位置します。そして洪水想定区域にも位置するわけですので、対策が必要だということで私は指摘をしました。しかし先ほど青木金沢大学准教授が指摘したように、この1000年以上に1度という洪水は起こりうるのだと、そして現実的に九州では7mから9mといった水害が発生しています。建物の2階以上に避難しただけでは命を守ることはできないということになります。したがって、レイアウトの変更とか教室を2階以上に配置したからといって、安全が確保されるとは到底言い難いというふうに思います。旧菊川町小学校の現在地に新しい小学校を建てて、果たして安全でしょうか? もう一度伺います。
-野口教育長
青木先生はよく存じ上げております。青木先生に今回お話をお伺いいたしますと、おそらく旧菊川町小学校辺りでは2mを超えて3m近くまで水位が上がるのではないかとお話をされているとお伺いしました。青木先生は金沢市の教育委員会におきましても大切なアドバイザーでいらっしゃいまして、いつもお話をさせていただくのですが、非常にこういう問題に危機感を持たれて、想定外を常に想定しなさいということを指導をいただいています。そうした中で、今お話がありましたけれども犀桜小学校新校舎建築にあたりましては、先ほど述べた2つのこと以外につきましても、例えば校舎部分をこれまでよりも70cm程度嵩上げを行うことにいたしていますほか、一般家屋と学校はやはり違うと思っていまして、校舎の1階あたりの階高は約3.75mと高いことでありますので、やはり安全性はきちんと担保できているんではないかと思っています。大事なことは今森尾議員からご指摘がありましたけれども、やはり水害が想定される際にはできるだけ早く情報を入手しながら子供たちを安全な場所へ的確に避難させていくことが大切であると思っていますので、被害を出さない取り組みをしっかりと進めてまいりたいと思います。
-森尾議員
ですから、犀川沿いからいかに遠くに位置するかということを考えると、旧菊川町小学校に建てるのではなく、旧新竪町小学校に建てるというのが理屈として通らないですか。 それは検討されたのでしょうか。
-野口教育長
新竪町と菊川の両校下の地域の方々と保護者の方々のご理解をいただきながら、旧の新竪町小学校、旧菊川町小学校を統合して犀桜小学校を開校させていただきました。そのときにいろんな会議がございましたけれども、その会議のときにできるだけ早期に耐震化がなされた安心で安全な学校で学んでほしい、またできるだけ適正な規模の中で子供たちに切磋琢磨しながら学んでほしい、そうした地域の方々・保護者の方々の思いに沿いながら、まずは市有地である両校の敷地から選定を行った結果、両方の学校の通学区域を考えるとちょうど真ん中にあたるところにあります旧菊川町小学校の敷地に新たな小学校を建設するとし、その間に暫定的に旧新竪町小学校の敷地に暫定校舎を建設する、そういった地元の合意が得られましたので、旧菊川町小学校の方に校舎を建設することになった次第であります。今後も考えられるできる限りの安全対策をしっかりととってまいりたいと思っています。
-森尾議員
教育長、避難が大切だと、こうおっしゃいましたので、旧新竪町小学校と旧菊川町小学校の避難計画を見ました。その中に、避難場所について、そして避難の経路について書かれていました。私は体験してきました。旧新竪町小学校は現在、旧菊川町小学校と合併した犀桜小学校が使用しています。この旧新竪町小学校の避難計画では、小学校から歌劇座へ避難することになります。450m、徒歩約6分です。又は県立工業高校に避難する。450m、約6分です。一方、旧菊川町小学校の避難計画では、小学校から猿丸児童公園へ避難する。約500m、徒歩約7分です。さらに、ここから小立野小学校へ1200mですから、徒歩約17分かかることになります。これが、2つの小学校の現時点での避難計画・避難ルートなんです。どう考えても旧新竪町小学校の避難計画と避難ルートの方がいち早く行ける、そして避難場所も一定のスペースがある。一方、旧菊川町小学校は猿丸児童公園へ行ってみましたけれども大変狭い、周辺が住宅に囲まれている、さらにそこからあの坂道を通って小立野小学校に行かなければいけない。こういう避難計画になっておりました。感想をお聞きしたいと思います。
-野口教育長
毎年、学校の方から管理運営計画というものを提出をいただいています。教育長でありますので、各学校の管理運営計画には目を通す、そして目を通したものについて必要であればいろいろと学校長と意見交換もさせていただいております。今森尾議員がおっしゃられたことにつきましても、私は重々承知をしております。今話題になっているのは水害ということになりますので、今はそういう避難経路になっておりますが、いろんなすべての様々な災害を通してその災害に対応する避難場所としてお話されたと私は思っているのですけれども、地震のように突然やってくるのではなくて水害というのはある程度一定の時間というのがありますので、そうした意味で情報をしっかりとらえたうえで避難を早め早めにやっていくというのが私は大事ではないのかなと思っておりますので、旧菊川町小学校の敷地内に建設される新校舎が供用を開始される際には、立地条件とか、校舎が新しくなりますので、改めて学校で検討を行いながら地域の学校の一時使用等を踏まえた新たな学校防災計画をしっかりと定めていきたい、そんなふうにして思っております。
-森尾議員
今議会に建設をするための議案案件が出ていますので、もう少し立ち入って質問したいと思います。まず、今回の計画で新しい学校の屋上にプールを建設するという方針です。より高い場所に避難するということを考えた場合に、プールを屋上に建設するのは再検討が必要ではないかと思うのですが、見解を伺います。
-野口教育長
プールの配置等につきましても様々に検討をさせていただきました。まず地域や保護者の方々からもご意見を頂戴しました。そうしたご意見を踏まえながら、やはり屋上にプールを持っていく方が利点はたくさんあるということで話に至っています。いくつか例を挙げます。まず教室とプールを子供たちがスムーズに移動できる。今の運動場等にプールが配置されていますと、3階4階から子供たちが一旦学校の1階に降りて、一度外履きに替え、プールに移動、さらに着替えをし、そして授業に至る。授業が終わったらその反対の動きを作らなければいけない。そうしたスムーズさというのが1点。もう一つは、プールが外にありましたら外部からの侵入者とか外部の目というものがありますので、安心・安全が担保できない。またもう一つは、これまでも議会で呼ばれましてずいぶんお叱りを受けたのですが、プールの中に物が投げ込まれているということで、プールに異物が投げ込まれたり、時にはあってはいけないことなんですが薬品が投入されるとか非常に危険なことも考えられる。さらにはもう一つ考えられることは地域の声にもありましたけれども少しでも校庭を広く使ってほしい、そういった観点からいろんな議論をして、屋上にプールを設けたということになります。
-森尾議員
もう1点、現在の体育館をそのまま活用するという視点から、新しい校舎の建設配置を考えたと、こう説明がありました。体育館の方が犀川から遠い位置にあります。とするならば、現在の敷地状況から考えると、より校舎を遠い位置に配置するという視点を考えれば、校舎と体育館の配置そのものについても再検討することが、より安全対策として必要ではないかと考えますが、見解を伺います。
-野口教育長
旧菊川町小学校の体育館は、森尾議員はご存じだと思いますが、いわゆる地震発生時の地域の方々の避難場所になっております。したがいまして、平成25年度に耐震工事を終えております。ただいろいろなご懸念もありますので、今回の犀桜小学校の新しい校舎を建て直すときには、いわゆる体育館の1階ピロティの床の底上げも合わせながらクッション性のある床材を改修するなどして、引き続きこれは有効に使っていきたい、そんなふうに思います。また新たな校舎の2階になりますけれども、防災備蓄倉庫を設けることとなっておりまして、体育館含めて校舎全体の安全性とか機能性を十分に検討し、そして地域の声も十分に反映させていただきながら、配置を決定したものであるということをご理解いただきたいと思います。
-森尾議員
子どもたちの命と安全を守ることは、自治体と教育行政にとって最優先の課題です。他の問題を置いてでも子供の命と安全を守ることを最優先にしなければならない。その立場で、ぜひ今日のやり取りを今後の対応に生かしていただきたいと思います。
質問の最後に、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の憲法三原則と教科書採択をめぐって伺います。 去る8月21日、新潟・燕市教育長が定例の教育委員会において「コロナ禍を解消する方法は大きな戦争が発生すること」と述べ、この発言が教育にたずさわるトップとしてふさわしくないとして批判が広がり、本人は教育長を辞任する意向だと報じられました。戦後教育の原点は、憲法であり、その三原則。すなわち国民主権、基本的人権の尊重、平和主義です。そして、この憲法に基づく教育基本法にあります。教育長の見解をまず伺いたいと思います。
-野口教育長
今森尾議員が仰せの通り、国民主権、また基本的人権の尊重、平和主義を三原則としております日本国憲法、また人格の完成や個人の尊厳など、普遍的な理念が大切にされております教育基本法は、戦後教育の原点であると私も思っております。本市の子どもたちにはこの日本国憲法を元にして学習をしっかりやり、自ら考えて判断し行動していけるように育ってほしいなと思っておりますし、教育基本法が示しているように知・徳・体の調和の取れた自立した人間の育成を図っているところでございます。
-森尾議員
育鵬社の歴史教科書では、アジア太平洋戦争について、大東亜共栄圏をつくる「自存自衛の戦争」だとし「大東亜戦争」を見出しに併記しています。憲法と教育基本法とはかけ離れた内容となっています。教育長の今の認識を伺いました。戦後教育の原点についての考えとは、この育鵬社が歴史教科書に記載している内容とは乖離しているのではないですか。見解を伺います。
-野口教育長
今回の教科書もそうでありますけれども、国の方では義務教育小学校教科用図書検定基準、こういったものがございます。この検定基準の一番肝心要のところには、教育基本法に一致していること、それからもうひとつは学習指導要領の総則や教科の目標に一致していること、これがしっかりと明示されております。大原則にたって今回の教科書はすべて検定をされているわけですので、その検定基準に合格した教科書の中から採択をしておりますので、私はこの教育基本法というものをしっかりと尊重していると思っております。
-森尾議員
東京都教育委員会がこの育鵬社の歴史と公民の教科書を19年ぶりに不採択としました。大阪市、松山市でも不採択となるなど全国的に育鵬社の歴史と公民の教科書についての不採択が続いています。現在、この教科書の採択数は1万冊、採択率はわずか1%に満たない状況です。教育長は、こうした実態をご存じでしょうか。本市が引き続き来年度からの中学校の歴史教科書について育鵬社を採用したことについて、この本議会でやりとりがありました。その中で、現場の先生方の調査に基づく評価では他と比べて低かった教科書の採択だと、そして教育委員会では4対3の採決によることが明らかとなりました。こうした結果について、教職員や関係者、市民に理解と信頼を得られていると考えますか。見解を伺います。
-野口教育長
全国の動きになりますが、これについては地方の新聞紙等ではなかなか伺い知ることはできませんでした。こういう立場でありますので、ある程度全国の動きは把握しなければならないと思いながら個人的には動きは少しずつ把握していたつもりであります。しかし今回一番大事なことは、この採択にあたった教育委員というのは他の地域の教育委員ではないということです。金沢の教育委員であるということで、そのことを自覚を大事にされて他の自治体の採択状況に左右されないで今回の採択の審議に臨まれたのではないかと思っております。私自身も金沢の子どもたちと学校を訪問しながら接しますし、様々な資料などに目を通しながら、そうした学びの様子を研究しながら、しっかりと各教科書を読み比べ、場合によっては3世代前からの同じ会社の教科書も全部読み比べながら、その上で自分の考えを作って各教育委員と慎重に審議を行い、今回適正に、かつ公平に判断をさせていただきました。
-森尾議員
現在の教育委員会制度は、あの戦争中に国家権力が教育を支配し戦争へと突き進んだ事への反省から生まれたものです。教育委員会の独立性、多様な意見を反映し議論を尽くし、意思決定を行う合議制は、非常に重要なことなんです。ぜひ教育長、今回の教科書採択に当たって、こうした点を今後とも十分活かされるよう望んで、質問を終わりたいと思います。