金沢市議会 |日本共産党 金沢市議員団 |10ページ

金沢市議会

※実際は、一括して質問して、一括して答弁をもらう形ですが、便宜上、一問一答の形にしています。

-大桑議員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団の一員として以下質問致します。
 まず、市立保育所のあり方についてお伺いいたします。昨年7月、本市子ども・子育て審議会の中で、市立保育所のあり方の検討が始まりました。老朽化の進む市立保育所の再整備や、職員の働き方改革についての調査審議が行われ、昨年12月末に基本方針が出されたところです。再整備については、原則は現地立替ですが、土砂災害警戒区域など、自然災害による危険区域や、危険な交通事情を抱える保育所については、移転も考慮することや、統廃合や民営化するという観点も加えられました。個別具体には、森本地区にある宮野保育所のあり方なども、検討するものとしています。危険な場所の保育所の移転は必要であり、早急に対策が求められるところです。移転調査検討費として、190万円が予算に計上されています。しかし、この市立保育所の整備にあたっては、統廃合や、民営化も踏まえての、検討となっていますが、具体的にどのように考えていらっしゃるのかお伺いいたします。

-山野市長
 市立保育所の再整備につきましては、原則現地での建て替えを基本としています。ただ、土砂災害警戒区域などにある保育所につきましては、児童の安全確保の観点から移転を含めた検討を行う必要があると考えています。今回、保育所の適正配置等を検討するための調査費をお諮りをしています。その調査結果を踏まえたうえで、順次、保育所ごとの整備計画を策定していきたいと考えています。

-大桑議員
 市長はこれまで議会の中で、わが党の質問に対し、公立保育所の役割について「市立保育所は一般的に統合保育の実施や、配慮を必要とする家庭の子どもの受け入れなど、セーフティネットとしての役割が求められている。民間施設が多い本市において、市立保育所が果たす役割は極めて大きい。また市立保育所での保育業務等を通じ、職員を継続的に育成することで児童相談所や幼児相談所における相談支援業務の他、幼児教育センターで行う幼児教育・保育の質のさらなる向上のための取り組みに対応できる人材の養成にも繋がっている」と、答えています。さらに、市立保育所のあり方検討の中では、これまではもちろんのこと、市立保育所としてのさらなる必要性、役割として、医療的ケアを必要とする児童への対応や、年度途中からの受け入れ態勢の充実などにも言及しています。このように市立保育所は、公立としての役割を重視して質を高めていくことを基本に、再整備をすすめるべきですがいかがでしょうか。市長のお考えをお尋ねします。

-山野市長
 個別整備計画の策定にあたりましては、公立保育所としての役割、さらには今後の少子化の影響、そしてまた金沢市はこれまでも民間も中心に保育所整備をしてきたという歴史的な経緯もあります。そういうことも踏まえながら、統廃合や民営化の可能性も踏まえ、幅広い視点から検討していきたいと考えています。

-大桑議員
 あり方検討会では保育士の働き方についても議論されています。市立保育所では、近年20代・30代の保育士の中途退職者が増えています。もともと、中堅層が少なく、定年で辞める人も出てくると、若い保育士に負担が増大し、結婚や出産を機に辞めるケースが多いとのことです。日々の業務をこなすだけでも精いっぱいにもかかわらず、書類作成などの事務作業も多く、残業が常態化していると言います。その原因はどこにあるのでしょうか。市立保育所の保育士配置において、非正規の割合が4割と高くなっていることにも由来するのではないでしょうか。まずは、正規保育士中心の配置に改善すべきですがいかがでしょうか。
 また、育休や病休などの代替えも、主に会計年度職員で補っている状況です。正規職員で補うべきですがいかがでしょうか。お伺いいたします。保育士には、保育の仕事のほかに事務処理や、行事の準備の時などは、特に、残業しなければならない実態があります。行事の準備等に時間がかかると、仕事を家に持ち帰りすることがあると聞いています。これは労働法制上、問題があります。保育士の働き方の改善をはかるべきだと思いますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

-山野市長
 保育士の働き方の改善についてご意見をいただきました。保育士の職場定着に向けましては、生涯働ける魅力ある職場づくりが必要であると考えており、これまでも国基準を上回る保育士を配置するとともに、園庭の維持管理や保育用品の消毒などの周辺業務を担う保育支援者を配置するなど、職場環境の改善につとめてきました。明年度ですけれども、保育計画や記録作成の省略化・効率化を図るため、ICTを活用したモデル事業を2か所の市立保育所で実施いたしますほか、各種行事の準備や保育室の装飾など、業務過多につながる作業を見直すこととしています。私も毎年すべての市立保育所にお伺いをして、所長先生はじめ多くの方のご意見をお聞きしています。今回のコロナ禍におきましてほとんどがつらいことではありましたけれども、これまで園で行ってきたルーチン、当たり前のように行ってきたイベント行事等々を見直していく中で、新たな気づきもあったということもお聞きをしているところであります。そういう作業の見直しというのも改めて大切だというふうに感じました。

-松田総務局長
 市立保育所の保育士を正規職員中心とすべきではないか、また育児休業や病気休暇の代替職員は正規職員で補うべきではないかというお尋ねでございました。正規保育職員につきましては、近年想定することができない早期退職者等が増加傾向にあり、職員定数を下回っておりましたことから、採用試験の年齢要件を引き上げ、採用人数の見直しを行うなど、人材の確保に努めてきたところであります。また今回、育児休業中の職員など定数外とする職員の範囲を明確に条例で定める改正案をお諮りしておりまして、引き続き正規保育士の適正配置に取り組んでまいります。

-大桑議員
 子育てをしながら働き続けられる職場の環境づくりを、市が責任をもって進めていく必要があることを訴えて、次の質問に移ります。
 保育所の給食を民間へ外部委託する計画についてもお聞きいたします。本市の技能職における退職者不補充の方針により、正規調理技士を各園に配置できなくなるということで、検討がされています。保育所の給食は、安心安全を確保すること、また、幼少期における食育としても重要です。現在、調理技士さんたちは、「おいしい、これどうやって作ったの?お替り!」と無垢な心から発せられる言葉や感性に触れながら子どもとかかわり給食を作っています。また市立保育所は、外国籍の児童やアレルギー等で特別食対応が必要な児童に対しても、細かい対応を行っています。子どもたち一人一人に見合った食事を提供するためにも、外部委託はやめるべきと考えます。今回給食調理の外部委託については、細かい委託契約を結んで給食の質を低下させないようにするとのことですが、いちばんのネックは、調理する方を直接、市が選んで雇えないことにあります。さらに、長期にわたって同じ方が従事するかどうかの補償もありません。この点について、どのようにお考えでしょうか。正規調理技士の退職不補充を撤回して、正規の調理技士を雇うべきだと考えますがいかがでしょうか。

-山野市長
 調理の外部委託のことについてお尋ねがございました。本市では、民間活力の導入を図り良質な公共サービスを提供するため、可能な業務については随時外部委託化を進めているところであります。また、調理技師を含めた技能労務職員についても、職員組合と合意の上、退職者不補充を基本としており、新たな正規調理技師の雇用は考えてはいません。

-大桑議員
 次に子育てと教育の負担軽減についてお伺いいたします。新型コロナウイルス感染症の影響により、自粛生活が長期に渡り、子育て世帯の生活にも大きな影響が及んでいます。お土産屋さんに納品しているお菓子の製造会社に勤めている方は、お子さんが2人いらっしゃいます。会社が一時、売り上げが激減したものの、夏ぐらいに少し持ち直したとのことです。しかし、東京を含む緊急事態宣言が出てからまた仕事がなくなり自宅待機となりました。休業補償で生活はしていますが、コロナ前よりも収入は少なく、出費を抑えてはいるものの、教育関連で出ていくものは出ていくので大変ですと言っておられました。又、家で音楽教室を開いている方は「イベントがなくなり、演奏料収入がなくなった。支援策があればいいのだが当てはまる支援策がなく、コロナが早く収束してほしい」と言います。この方にはたくさんのお子さんがいらっしゃるため、収入が減っても出ていくお金が変わらず、大変だとのことです。とりわけ、学校での費用が大きな負担になっていると訴えておられました。収入が減っても子どもの教育や命を守るためにも、必要な施策について伺います。
 まずは、学校給食の無償化についてです。そもそも、学校給食については学校給食法で、「健康の保持増進」や「望ましい食習慣」、「学校生活を豊かにし社交性や協同の精神を養うこと」をはじめ、食生活が自然の恩恵の上に成り立っていることや、食に関わる人たちの様々な活動に支えられていることについての理解を深めることなど、目標が示されています。これらの目標は、教育の目的を実現するために達成されるよう努めなければならないとされ、学校給食が義務教育の一環として明確に位置づけられています。そして今、子どもの貧困問題にみられるように、子育て世帯の所得格差と教育にかかる費用の増大が、子どもの食生活にも大きな影響を与えています。給食は、子どもたちが栄養のバランスが良い食事ができる、大切なものです。給食費の保護者の負担は金沢の小学校で月約5000円、年間にすれば約5万円ぐらいであり、中学校では月約5900円、年間約6万円です。文部科学省の調査では、保護者が負担する義務教育費の4割を給食費が占め、重い負担となっているとの声もあります。給食費の負担軽減は、喫緊の課題です。今回、公会計化など徴収システムの効率化や条例で遅延損害金まで明記しようとしています。いまの子育て応援や給食費無償化の流れと逆行していると思いますがいかがでしょうか。事務負担の軽減を図るには無償化することが一番ではないでしょうか。また、この間、本市は、学校給食法第11条では、経費以外の学校給食に要する経費は学校給食を受ける児童又は生徒の保護者の負担とする」ということを受けて、無償化はしないと答弁してきました。しかし、それは「負担させなければならない」というものではありません。衆議院で、学校給食費の徴収に関しての質問に、「文部科学省としては、一部の地方公共団体において学校給食を無償としていることは承知しており、このような取り組みは児童生徒の保護者の経済的な負担の軽減を図るために行われているものと認識しているが、学校給食を無償とするか否かについては「各学校の設置者が判断すべきもの」と答弁がありました。よって、学校の設置者である市長、学校給食無償化に踏み切る判断を求めますがいかがでしょうか。

-山野市長
 学校給食無償化のことについてご提案をいただきました。学校給食法では、給食の実施に必要な経費のうち、保護者は人件費や施設整備費以外の経費を負担することになっています。ただ金沢市はこのうち、光熱水費についても負担をしているところでありまして、保護者にご負担をいただいているのは食材費のみとなっています。加えて、経済的な理由で就学が困難な場合は就学援助制度により給食費の全額を支援しており、現時点で学校給食費の無償化については考えてはおりません。

-野口教育長
 給食費の公会計化につきましてどのように考えているのかとのお尋ねにお答えいたします。今回の学校給食費の公会計化は、給食費の収納に係る教職員の負担を軽減し、教材研究や授業準備、また子供たちに向き合うなどの本務に専念する時間を確保するほか、学校給食費会計の一層の透明性を図ることによって安全・安心で美味しい学校給食を安定的に供給提供していくことを目的としていることをご理解いただきたいと思います。

-大桑議員
 さて、いよいよ4月からデジタル教育に伴い、学習用端末が小中学校に配布されます。導入時に巨額な費用がかかり、ランニングコストは全て本市の負担になることや全家庭でWi-Fi環境が整備されていない中、学びの格差が拡大してしまうことへの懸念があります。さらに、タブレット使用による子どものネット依存症や目などへの健康被害など様々な問題が指摘されています。そこで、学習用端末が配布されるにあたって、親御さんからは、あらたな家庭の負担はあるのか、という心配の声が、あがっています。負担はあるのかお伺いいたします。

-野口教育長
 1人1台の学習用端末の導入にあたって、新たな家庭の負担についてのお尋ねがございました。1人1台の学習用端末は公費で整備を行い、児童生徒へ貸与するものでありまして、各家庭が負担するものはございません。ただし、1人1台の学習用端末を家庭学習の中でインターネットに接続をし使用する際には、インターネット通信費が発生し、その場合は各家庭がご負担することになります。

-大桑議員
 コロナ禍ではオンライン授業が行われたところもありました。ご家庭にWi-Fi環境もパソコンやスマホもないご家庭は、ついていけないとの声を聴きます。家庭で端末を利用することになった場合、Wi-Fi環境のない家庭にはどう対応するのでしょうか、無償で貸し出しすべきだと思いますがいかがでしょうか。

-野口教育長
 Wi-Fi環境のないご家庭に対して、Wi-Fi機器を無料で貸し出すべきだと考えるがいかがかというお尋ねがございました。ネットワーク環境がないご家庭につきましては、各学校に一定数のモバイルルーターを整備しておりまして、要望があれば無償で貸し出すことになりますが、このモバイルルーターを使って学習用端末をインターネットに接続し、家庭学習の中で使用する場合でも、インターネット通信費は発生し、家庭がご負担することになります。

-大桑議員
 次に、子どもの医療費助成についてです。子どもの心身の健全な発達を促すため、いつでも、どこでも、医療費の心配なく安心して医療を受けられるようにすることが、今強く求められています。貧困のために子どもたちが医療を受けられないという事態を防がなければならなりません。子ども医療費助成制度の拡大は、市民からの要望や期待が広がり、本市では一部、負担はありますが、中学卒業までに拡大されてきました。さらなる拡充を市民は求めています。ぜんそくとアレルギーを持つお子さんがいる親御さんから、「内科の通院と薬がかかせない。高校に進学して、医療費負担が3割になると、治療をやめるか、通院の回数をへらすしかない」という声をお聞きしました。その方は、就学援助を支給されないぎりぎりの家計とのことです。今回の予算編成では、子どもの医療費無料化の拡充がありませんでした。県内で本市だけが、中学校卒業までということで、ほかの市町は18歳までとなり、本市は対象年齢の拡大が遅れています。18歳まで拡充すべきですがいかがでしょうか。併せて窓口の完全な無料も求めますがいかがですか。

-山野市長
 子どもの医療費助成のことについてお尋ねがございました。子育てしやすい環境を整備をしていくためには、子どもの医療費の助成だけではなくて様々な施策を組み合わせていくことが必要だというふうに考えていまして、施策の充実を図ってきているところであります。今般ご提案させていただいた予算の中でも御覧いただけるのではないかと思っていますし、これまでも様々な施策に取り組んでまいりました。子ども医療費の助成につきましては、安定した制度運営、適正な受診を確保するためにも、今のところ助成対象の拡大や窓口負担の無料化は考えてはおりません。

-大桑議員
 次に、介護士の就業支援についてお伺いいたします。3月2日付の新聞報道で、全国の介護施設の夜勤の実態についての日本医療労働組合連合会が行った調査の結果をまとめた記事がありました。それによれば、二交代制のシフトを採用している介護施設全国120施設のうち、94施設で夜勤職員の就業時間が16時間以上になっているとのことでした。十分な職員数を確保し、8時間勤務の3交代制を取ることができれば、長時間勤務を改善することはできますが、慢性的な人手不足のためにそれもかなわないとのことです。また記事によれば、夜勤の際は二人で50名の入居者のお世話をしていますが、入居者が救急搬送されれば一人が病院に付き添わねばならず、残る一人が朝まで対応せざるをえず、休憩も満足に取れないという実態紹介されていました。本市にある特別養護老人ホームでも夜勤は2交代制であり、仮眠の時間が十分とれない状態だと言います。介護士の離職防止を図る意味でも夜勤労働の問題改善は重要な課題です。特に小規模特養ホームでの夜勤の体制をとるのが大変だと言います。本市としてもこのような夜勤を含む勤務の実態調査をすべきだと思いますがいかがでしょうか

-山野市長
 新聞報道などでみられる介護夜勤のことについてお尋ねがございました。本市としての実態のことですけれども、介護施設等における夜勤につきましては、法令を遵守した勤務体制となるよう、事業者の指定や実地指導の際に各施設の状況を確認をし適正な労働環境の確保を図っているところであり、今後も指導を徹底していきたいというふうに考えています。

-大桑議員
 第8期介護保険の介護士に対する政策の内容と見通しについてお伺いいたします。計画では、介護職員の人材確保についても掲げています。県内で2025年に必要となる介護職員数は23000人としています。介護士を増やすにはどのような施策の計画があるのかお伺いいたします。
 そして、今回、計画ではあらたにUJIターンした方への補助が創設されましたが、期待できるのでしょうか。この施策は、保育士確保で先に実施していましたが、どれくらいの実績があり、介護士の場合はどれくらいを目標にしているのか見解を伺います。

-山野市長
 第8期介護計画の中身のことについて何点かお尋ねがございました。まず、不足する介護士をどうやって増やしていく計画なのかということです。介護職員の確保につきましては、これまでも介護職員の情報交換の場であるケアワーカーカフェの開催など、働きやすい職場環境の整備に取り組んできたところであります。さらに、今般取りまとめた第8期介護保険事業計画に基づき、明年度予算に研修や資格取得等の費用を助成する介護職員キャリアアップ支援事業や、県外から市内に転入し介護職員として就業した方に対しまして転居費用等を助成するUJIターン介護職員就業支援事業の創設をお諮りしておりまして、これらの取り組みを通じ多様な人材の参入を促進し、介護職員の確保・定着を図っています。
 今ほど申し上げましたUJIターン就業支援制度のことについてお尋ねがございました。この事業につきましては、県外で開催される就職セミナー、本市の移住ポータルサイトなど、SNS等の様々な手段を使いながら、本市の魅力とともに積極的にPRをしていきたいと考えています。そうすることによって、県外で資格を取得した学生さん、県外在住の有資格者を本市に呼び込み、喫緊の課題である介護人材不足の解消を図っていきたいと考えています。

-高柳福祉局長
 介護士のUJIターン就業支援制度の創設に関係しまして、保育士のUJIターンの就業支援施策の実施についてのお尋ねがございましたのでお答えします。この保育士のUJIターンの就業支援制度は令和2年度の創設でございまして、主に4月からの採用に向けてこの補助については申請がなされるものと考えております。現在のところ実際に補助決定をいたしましたのは2件で、今度の4月の採用ということに向けまして10件程度の申請を見込んでいるところでございます。ですので介護士の方につきましてもこの制度は利用できますように周知に努め、介護士確保に資することができるよう努めていきたいと考えています。

-大桑議員
 介護現場の人手不足の解消は、待ったなしの課題です。本市が人材を確保するという計画を立てているのですから、責任を持つ必要があります。かねてから言われているとおり、介護職員が不足している最も大きな要因は、過酷な現場であるにも関わらず、他業種に比べて月、10万円も賃金が低くおさえられていることです。これまでの対処法ではなく、賃金の引上げを行うことが必要です。市として独自の賃金引上げなど処遇改善をすべきだとおもいますがいかがでしょうか。

-山野市長
 市独自の処遇改善策のことについてご提案をいただきました。介護職員の処遇改善につきましてはこれまでも国が介護報酬の中で必要な措置を講じてきておりまして、今回の介護報酬の改定においても国は引き上げを行い、介護職員の定着促進等やキャリアアップを推進する観点から、新たな加算も設けたところであります。本市としてはこうした国の制度を周知をし、介護職員の処遇改善を図るとともに、先程申し上げましたケアワーカーカフェ等を通じて現場の声もお聞きをしながら、引き続き職場環境の改善に取り組んでまいります。

追加質問

-大桑議員
 先程、市長から学校給食の回答をいただきました。学校給食の無償化については自治体の判断で実施できるということになっております。今コロナ禍において経済的にも大変な家庭が多くなっている中で、年間5万円を上回る給食費の負担というのがすごく重く感じるという家庭がたくさんあります。大阪市において、これは新型コロナウイルスの感染を受けての経済対策ということでしたが、2020年度、それから2021年度も、市立小中学校全部の給食費無償化となりました。そこでやはり、市長が提案理由説明の中でも少子高齢化が進む中にあって本市が持続的に発信していくためにも安心して子供を産み育てられる環境を作っていくといわれました。であるならば、やはりこの給食費、これは材料費だけもらっているからという感じではなくて、もう少しお考えになって公的な援助があればよいのではないかと思います。今一度お伺いいたします。

-山野市長
 今ほどの答弁の繰り返しになるかもしれませんが、金沢市といたしましては独自に光熱水費の負担もさせていただいているところであります。それに加えまして、今年度には加賀野菜等々に親しんで、食育の観点から工夫をさせていただいているところでもありますし、来年度以降もそれを充実させていきたいというふうに思っています。今のところ給食費の無償化は考えておりません。

-森尾議員
 市長に再度、今の学校給食の無償化の問題について伺っておきたいと思います。今日的な状況から、この学校給食の無償化は積極的な意義があるというふうに考えています。それは2つあります。1つは大桑議員が指摘したように子供と教育を巡る環境があります。コロナ禍の問題の影響もあります。その点は具体的に大桑議員が指摘をされました。この点での、教育は無償化を原則とするという義務教育の内容を積極的に施策に生かしていくという意味で、今日的な意義が1つあると思うんです。それからもう1つは、事務の煩雑さをなくしていくという点で、無償化をすれば教職員の負担は軽減されますし、新たなシステムなんていうのは要らないんですよ。私はそういう意味で、この学校給食の無償化は今日的に2つの点でも積極的な意義があると考えています。政府もこの対策については各地方自治体の判断だということを示しているんです。であるならば、この学校給食の無償化は積極的な意義があるというふうに考えていますが、その点では市長はどう考えるか伺っておきたいと思います。

-山野市長
 学校給食、学校での給食ですから教育的な側面も私はあるというふうに思っています。そういう意味では、申し訳ないこれも繰り返しになりますけれども、食育という観点からも大切なものだというふうに思っていまして、一定のご負担をいただきながら食文化の魅力というものも伝えていくことも、金沢市が行う学校給食の大切な役割のひとつだというふうに思っております。

※実際は、一括して質問して、一括して答弁をもらう形ですが、便宜上、一問一答の形にしています。

-森尾議員
 質問に先立ち、新型コロナ感染症によって亡くなられた方々、現在も闘病を続けておられる方々にお悔やみとお見舞いを申し上げます。そして、日夜奮闘されている医療・介護、福祉従事者の方々に深い感謝を表明いたします。私は、日本共産党市議員団を代表して、以下質問を行います。
 最初の質問は、新型コロナ感染症対策についてです。新型コロナ感染症の拡大が全国に広がり、医療・介護分野やくらしと営業に深刻な影響をもたらしています。こうした中で、今、最も必要とされる一つが政治への信頼ですが、これを壊す不祥事と発言が相次でいます。菅首相の長男が関係した総務省幹部接待問題です。放送に続き、通信分野でも起こっています。農水省では、鶏卵大手企業と元大臣を含めた幹部職員が関係した贈収賄事件が起こっています。こうした忖度政治や官僚を巻き込んだ利権政治の実態に国民の怒りが沸き起こっています。また、コロナ感染の緊急事態宣言が出されているさなか、自民・公明両党幹部による銀座クラブ会食問題が起こり、河合元法務大臣と妻・案里前参議院議員の大型買収事件については、自民党本部からの1億5千万円の資金が渡された問題が、全く解明されていません。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森前会長の女性を蔑視した発言に対し、国内外から厳しい批判があいつぎました。会長辞任だけでは解決したわけではありません。ジェンダー平等を求める世論が広がり、日本社会全体に問題が提起されています。市長!政治と政治家への信頼について、率直な見解を伺いたいと思います。
 新型コロナ感染症対策の第一は、ワクチン接種についてです。市民からは「いったい、いつから、どこでワクチン接種ができるようになるのか」「果たして安全なのか」との意見が相次いでいます。市長の答弁も、先の緊急議会で、みずから「4月から」と述べていました。現段階で、政府は高齢者向けのワクチンを「6月配送」と述べています。3600万人の高齢者と470万人の医療従事者、併せて4070万人分のワクチンを確保し、接種するには、19か月かかってしまうのではないかとの事態も予想されています。市長!現時点で、本市において、ワクチン接種は、いつ、どのように行われるのか明らかにしていただきたいと思います。合わせ、市民に対して、正確に情報発信をどのように行うのか。明快な答弁を求めるものです。

-山野市長
 ワクチン接種計画の遅れのことについてであります。1月8日に私は金沢市で実施本部を立ち上げたいと記者会見でも申し上げました。その段階では、これまで国の情報を承りまして3月上旬には高齢者に接種券・クーポン券をお送りして、下旬に接種というふうに申し上げました。それ以降国の方から様々な情報をいただきながら、確かに森尾議員からご指摘がありましたようにそのときに比べれば遅れということになるかというふうに思っています。今現在ですけれども、国の示す計画におきましては4月中旬から65歳以上の高齢者への接種を開始し、7月以降一般の方々への接種を開始する見込みとなっています。一般の方々への接種にあたりましては、基礎疾患のある方及び高齢者施設等の従事者を優先して接種することとなっています。本市といたしましては国の計画に基づいて接種を実施できるよう準備を進めていきます。実施方法や注意事項に関する情報につきましては、接種対象者あての接種券に同封する説明書や、コールセンターでの問い合わせの対応、またホームページ等々でも発信をしていくことによって、市民への周知に努めてまいります。

-森尾議員
 本市はワクチン接種について、市内医療機関にお願いするとの方針です。医療現場は、日常診療に加え、ワクチン接種が加わるとなると大変です。どのような支援策を考えておられるのか伺います。国は、ワクチン接種にかかわる費用については、全額対応すると表明しています。医療機関へのワクチン接種にかかわる費用について、現場からの要望にこたえ、適切な対応が求められます。見解を伺います。

-山野市長
 住民接種の費用のことについてお尋ねがございました。国においては直接的な接種委託費を負担することに加え、接種を進めるために自治体が行う体制整備費用については補助金交付の対象とする旨を示しています。本市ではこの補助金を活用し、医療機関におけるワクチン管理費用を支援するとともに、各医療機関へのワクチン配送体制を整備するほか、接種予約を管理するためのアプリを導入するなどして、接種を行う医療機関の負担軽減を図ることとしています。引き続き、医師会とも協議をしながら医療機関での接種が円滑に進められるよう、本市としても支援策を講じてまいります。

-森尾議員
 第二に、検査体制の拡充についてです。無症状の感染者を把握し、市中感染の実態をつかむことが大切になっています。そのためには、PCR検査の拡大・充実が求められます。本市は、片町地区などでの接待を伴う飲食店など780軒を対象に無料のPCR検査を実施が行われました。周辺の住民からは、道路一本隔てて、対象区域から外れ、検査も受けられない、財政支援も受けられないというのは、あまりにもひどい。との声が出されました。また、実施時期が遅れたのではないか。対象範囲が適切だったのか。書類だけでなく、市から訪問して検査実施を呼びかけるべきでなかったのか。など指摘があります。今回の取り組みから教訓とすべき点について、市長に伺います。

-山野市長
 片町地区における一斉検査のその取り組みからの教訓であります。2月17日にこれを行うときの記者会見、そして3月に入ってからまとめた記者会見も行いました。そのときにも私は申し上げましたけれども、この検査の直接的な目的は2つある、『片町』という表現が多く出ていますけれども、多くのお店では可能な限りの予防対策を取りながらされていらっしゃる、いわゆる風評被害で大変厳しい経営を強いられている、このPCR検査を通して私はその風評被害が払しょくできる一路になればという思いが1つ。もう1つは県と連携をして行うことを挙げさせていただきました。県の方でも時短要請、支援金の支給をお決めいただきました。この2つの目的を申し上げさせていただきました。少しでも実効性のあるものにするためにも、記者会見も行いました。2回封書でも案内を行いました。6割を超える店舗の申し込みを受け、啓発の意味でも私は一定の効果があったというふうに思っています。20代の方が少ないのではないかというご意見もお聞きをしております。ただこの案内のところにも1月の下旬から2月18日まで、この間クラスターが多く発生しましたけれども、多くの方々、488人であったと思いますけれども、すでに検査を受けておられます。20代の方が多かったというふうに県の方の発表でもありました。多くの方がその期間でも受けていらっしゃいます。やはりそんなことも含めて私は啓発の意味でも一定の効果があったというふうに思っています。必要な時期に適切な方法で実施することの重要性、そして県との連携もしっかりするということで、様々な施策を行うときには、その施策の直接的な目的を明確にして行うことが大切であるということも、この検査の中での教訓として感じたところでもあります。

-森尾議員
 元日本がん学会会長の黒木登志夫岐阜大学学長は、次のように述べています。「感染者が減ったから検査を減らすと言うように手を抜いたら再拡大につながります。医療、介護施設への定期的検査は、第一に行うべきです」と提言しています。市長!全国各地で一定規模でのPCR検査が実施され、県内の自治体でも、検査を実施する場合の支援策が打ち出されています。本市として、医療機関と高齢者施設などの職員や入院・入所者に対する一斉・定期的なPCR検査を実施する考えはないか。伺うものです。

-山野市長
 医療機関や高齢者施設の職員、入院者・入所者に対して一斉に定期的なPCR検査を行うということをご提案いただきました。そういうご意見をおっしゃる方もいらっしゃるようではありますけれども、様々なご議論があることも事実であります。私としましてはこれまでも県と連携をし、医療機関や高齢者施設等で感染が発生した場合、幅広に検査を実施してきました。安心は決してできる状態ではありませんけれども感染が落ち着きつつある中でもあります。一斉に定期的な検査を実施することは考えてはおりません。

-森尾議員
 第三に、保健所と医療機関の体制強化です。保健所の人員体制の強化として保健師1人、事務1人となっています。もともと保健師の定数が少ないことから抜本的強化が必要です。さらに、医療機関への支援策として市内の全ての医療機関に対して、財政的支援を行うことが求められています。市長の見解を伺います。

-山野市長
 保健所の人員体制の抜本的な強化が必要ではないかという趣旨のご提案であります。令和2年度中に保健師を3名増員いたしました。感染拡大の状況に応じ、保健局内や他部局から保健師や事務職等を派遣し、事務従事でサポートをしてきたところでもあります。保健所内の業務の見直し等を実施し、職員の負担の軽減を図ってきたところであります。今後とも事務等が逼迫することがないように必要な対応をしていきたいと考えています。
 医療機関も大変な状態ということはよく理解をしているところでもあります。医療機関への経営支援につきましては、全国的な課題でもありますことから、一義的には国が対応するものだというふうに考えています。市長会を通じてそのことも強く申し上げて行きたいと考えています。

-森尾議員
 この項の質問の最後に、補償とくらしへの支援についてです。コロナ禍による市民生活と営業への影響は、深刻です。雇用と営業を守るためには、持続化給付金や家賃支援給付金など一回限りの支援とせず、再度の支援が必要です。また、国民生活を守る上で、1人10万円の支給を求める声が高まっています。先日、わが党をはじめ、野党3党が共同して、法案を国会に提出しました。与党からも要望が出されるなどその要望が広がっています。本市とし、この実施を国に求める考えはないか。見解を伺います。
 また、本市が打ち出した支援策について、業種を特定するのではなく、市内の全ての事業者に対し、事業規模に応じた支援策を行うよう求めるものです。
市長の見解伺います。

-山野市長
 住民非課税世帯等を対象に1人あたり10万円を給付する法案が国会に提出をされたということであります。新型コロナウイルス感染症対策につきましては、政府において切れ目のない政策が補正予算等を通じて講じられてきていると考えています。ご指摘の法案については現在国会で審議中とお聞きをしておりまして、今後の国会における議論を注視していきたいと考えています。
 緊急議会におきまして、飲食業者・宿泊業者に対する支援をさせていただきました。市内すべての事業者に対する支援が必要ではないかということであります。先程医療機関の支援の時にも申し上げましたが、多くの事業者がやはり厳しい経営状況であるということは理解しているところであります。ただこれはやはり金沢・石川だけが特別だというわけではありません。全国的に同様の状態であると思っておりますので、持続化給付金のように一義的には国等が対応すべきものであると思っています。市としては、市としてなしうる限りの支援策を講じてきておりますので、ご理解をいただければというふうに思っています。

-森尾議員
 質問の第二に、本市新年度予算についてです。
 コロナ禍の下で、地方自治体のあり方があらためて問われています。振り返ってみると「平成の大合併」により、全国の自治体数が3200から1700へ大幅に減り、地方自治の力を弱め、住民サービスが隅々まで行き渡らず、災害にも機敏な対応ができにくくなりました。保健所の体制も大幅に弱められました。29年前、全国で852か所あったものが469か所と半分になりました。国立・公立などの公的病院は、この間1822か所から1524か所へと300か所も減らされました。その上、さらに440か所もの統廃合を打ち出しています。公務員の削減がすすめられ、地方公務員数は、この間320万人から270万人へと50万人も減らされました。こうした地方行革の名で行われてきたことが、コロナ危機の下で、深刻な影響をもたらしています。地方自治体は、住民の福祉向上をめざすことがその本来の役割であり、今こそ、その力を発揮しなければなりません。本市の新年度予算を見てみると市税収入が対前年度に比べ、30%減少・57億円の減収となっています。コロナ禍の下で市民生活と地場産業に深刻な影響をもたらしていることを示しています。今後、感染予防対策を優先し、社会的弱者支援など福祉施策の強化、地場産業への支援強化が重要となっています。そして、一般会計総額の確保・拡充が必要です。
 そこで、市長に伺います。本市の市民生活と地場産業の現状をどのように把握し、本市新年度予算編成を行ったのかお聞きいたします。具体的に伺います。保育料と保育士の待遇改善についてです。国は、保育料の無償化を打ち出し、実施されました。これを受けて、山形県では、0歳児から2歳児までの保育料について、年収400万円未満の世帯までを軽減対象とする対策を打ち出しました。そこで、本市の第一子の保育料について、C階層を無料に、D階層の保育料半額をめざし、当面D階層1から5までを半額にすることを提案します。必要な財源は、8600万円です。
 併せて、保育士の処遇改善についてです。命を守り、未来の子を育てるにふさわしい賃金とはなっていません。東京都保育士実態調査によると退職意向者の理由として第一に挙げたのが、「給料が低い」68.7%とのことです。保育士の賃金は、働く全職種の平均に比べ、月額で10万円から15万円低くなっています。保育士のパート化や短時間勤務の保育士導入が進められてきています。本市独自に保育士の処遇改善が求められます。見解を伺います。

-山野市長
 保育料の引き下げのことについて、他県では0歳から2歳児の保育料を段階的に無償化する動きがある、本市も考えるべきではないかということでありました。本市におきましても子育て世帯の経済的負担を軽減するため、保育料を国の徴収基準額より低く設定するとともに、23年連続で据え置くこととしています。さらに今回、保護者の所得ときょうだい同時入所に係る要件を撤廃をし、第2子を半額、第3子以降を無料とする負担軽減制度の拡充をお諮りをしているところでありますので、まずは議員各位にお認めをいただきまして、着実なこの実施に取り組んでまいりたいというふうに思っています。これ以上の引き下げは考えてはいません。
 保育士の処遇改善のことについてお尋ねがございました。国ではこれまで保育士の給与水準の改善を図るため、平成25年度以降で約14%の処遇改善を行うとともに、中堅保育士の技能・経験に応じた処遇改善を実施しています。本市ではUJIターン希望者への転居費用・宿舎借り上げに対する支援を行うとともに、国基準を上回る保育士の配置に加え、感染症にかかる周辺業務を担う保育支援者の配置等を支援しており、今のところ本市独自の新たな処遇改善は考えてはいません。

-森尾議員
 国民健康保険料についてです。本市の加入者は、5万8千世帯です。保険料を一世帯あたり、年間1万円引き下げることを提案します。必要な財源は、約6億円です。また、18歳までの子ども一人当たりに均等割の保険料が実施されています。本市では、6500人です。これを無くすことを提案します。必要な財源は、1億7千万円です。基金残高が25億9千万円あることから、これを活用すれば、可能です。
 介護保険料についてです。本市の65歳以上の方を対象とする保険料は、所得に応じて13段階となっています。新年度から始まる3か年間の第8期介護計画では、基準となる保険料・月額6590円が示されました。この保険料を一人、年間1万円引き下げることを提案します。必要な財源は、12億円です。基金残高23億円を活用することを検討していただきたいと思います。市長から見解を求めたいと思います。

-山野市長
 国民健康保険料の引き下げのこと、さらには18歳までの子どもの均等割り保険料の廃止のことについてお触れでした。明年度から保険料率については県から示された標準保険料率に準拠しつつ、市民生活への影響に配慮をし、財政調整基金の取り崩し等により引き下げを行うこととしました。基金は保険料の引き上げが必要となった場合などの負担緩和財源として効果的な活用を図っていくこととしており、さらなる保険料の引き下げのために活用することは考えてはいません。子どもの均等割り保険料については令和4年度より少子化対策の観点から、国と地方の取り組みとして未就学児を対象に均等割り額の5割を軽減する制度が創設される予定でありますことから、この制度に基づいて支援をしていきたいと考えています。
 介護保険料の引き下げについてご提案をいただきました。今般取りまとめた、介護保険事業計画において、高齢者人口は引き続き増加傾向にあり、団塊の世代の方々が75歳以上となる次期計画期間中のサービス給付費はさらに増加すると推計をしています。仮に基金を取り崩して1年間に限って保険料を引き下げたとしても、次期の保険料の引き上げ額が大きくなるものと想定されますことから、これを緩和するため今回は保険料を据え置きとし、引き下げは考えてはいません。

-森尾議員
 この項の最後に、不要不急の事業を見直し、市政運営の転換を求めます。
 新しいサッカー場の建設です。現在あるサッカー場が使用されている中、現在地改築の方針が、敷地内にある少年サッカー場の場所に移転・新築する方針へと変わりました。その事業費は、当初75億円でした。ところが、新年度予算では、80億円となっています。さらに、現在の少年向けのサッカー場を移転する費用は、25億円程度としています。全体として、100億円をさらに上回る財政規模となろうとしています。今、こうした新しいサッカー場の建設は必要でしょうか。市長から説明を求めたいと思います。

-山野市長
 サッカー場の再整備につきましてご意見がございました。サッカー場の施設内や施設周辺におもてなし空間を確保するほか、観客席を屋根付きとするJリーグのスタジアム基準に対応する必要も生じたことから、スポーツ推進審議会での審議を得て計画を変更したものであります。

-坪田都市整備局長
 新しいサッカー場本体工事費についてお答えいたします。当初、金沢プールを建設したときの土質データを参考に、杭の本数などの建物基礎の使用を想定しておりましたが、今年度サッカー場の建設場所で土質調査を実施した結果、想定以上に地盤が悪く、当初より長い杭が必要となり、加えてアフターコロナ対策などを考慮し、可能な限り歩行空間を確保することによって本体工事費を増額したものでございます。

-森尾議員
 歌劇座の新築や移転をめぐる問題です。市長は、歌劇座周辺に、コンベンションホールの機能を備えたいと表明したかと思えば、今度は、オペラを上演する規模にしたい。そして、今度は、移転・新築として、日銀跡地が候補となるなど情報発信が相次いでいます。市長は、歌劇座の役割と今後の方向について、どのように考えているのか。市民と議会に説明が求められます。見解を伺うものです。

-山野市長
 歌劇座のことについて、役割・今後の方向性についてお尋ねがございました。建設されてから半世紀以上に渡りまして県内最大規模のホールとして観劇や発表の場として市民に親しまれ、芸術・文化に触れる機会を創出してきました。このような施設は本市にとって、芸術・文化の面からいってもまちづくりの面からいっても重要である一方、現施設の老朽化が進んでいることに鑑み、中長期的な視点から歌劇座の建て替えにかかる検討については必要であると考えています。

-森尾議員
 質問の最後に、本市ガス事業・発電事業譲渡方針についてです。
 この二つの事業譲渡の優先交渉権者が決定したことが明らかにされました。その発表の仕方も、内容も大変驚きました。この優先交渉権者の選考過程は、一切非公開でした。対応する本市議会の常任委員会にも内容の報告はなく、密室で進行しました。そして突然、2月26日午後、一枚のペーパーで報道提供され、私どもにも知ることとなりました。3月1日、本議会にて市長から提案理由の説明が行われました。その中では、優先交渉権者を決定したことだけで、文書にするとわずか4行でした。本市ガス事業・発電事業は、二つ共に100年間にのぼる歴史をもち、本市の誇るべき事業であり市民の財産です。今回、この二つの事業を売却するとして、優先交渉権者が明らかにされました。市長!自ら記者会見を行うなど、市民と議会にしっかり、説明する必要があるのではありませんか。市政の歴史を振り返っても、重大な決定となる事柄でもあり、市長としての説明責任が問われます。説明を求めるものです。本市議会は、この一年間特別委員会を設け、様々な角度から検討し、意見を交わしてきました。それだけに、今回の決定について議会に対し、しっかりした説明を求めるものです。
 第2に、この二つの事業譲渡方針が、市民の理解と合意を得ていないことです。したがって、本市は、この5月に会社の設立、事業譲渡仮契約の締結、そして来年4月には民間による事業開始との方針を打ち出していますが、この方針をいったん中止することを求めるものです。見解を伺います。
 第3に、今回の優先交渉権者による提案内容にも大変驚き、唖然としました。今回の提案内容によると本市ガス事業・発電事業を300億円で北陸電力、東邦ガスを中心とする民間企業に売却するというものです。北陸電力は、北陸地方を代表する大企業です。東邦ガスは、名古屋経済界の有力企業で、愛知、岐阜、三重県で、50市25町1村を範囲にガス事業を行っています。なぜ、こうした大企業に売り渡すのか。説明が求められます。
 市長は、当初本市ガス事業・発電事業のあり方を検討するとしていました。そして「あり方検討委員会」を立ち上げ、実質3回の審議を経て、「二つの事業を株式会社に譲渡する」との答申を経て、これを本市の方針としました。今回の内容では、北陸を代表する大企業と中部圏を代表する大企業を中心とする民間企業に売却するというものです。あり方を検討するとしたはずが、大企業に売却することを打ち出しました。
 地方公営企業法では、その目的に「地方自治の発達に資する」とし、経営の基本原則について「公共の福祉を増進するように運営されなければならない」としています。 市長も、公営企業管理者もこうした立場に立ち、本市公営事業を運営しなければなりません。本市ガス事業・発電事業を大企業に売却するなどあってはなりません。その権限も与えられていません。説明を求めたいと思います。
 第4に、譲渡価格についてです。今回、優先交渉権者が示した譲渡価格は300億円です。本市の募集要項では、最低譲渡価格186億円以上としました。これは、資産、負債について帳簿に記載されている帳簿価格すなわち簿価との説明でした。一方、民間に委託した調査報告書の中では、発電事業の事業評価は、472億円から1098億円に評価があがるとしています。あまりにも開きがありすぎます。1000億円以上の事業価値があるものを300億円で売却するとしたら、含み利益として、700億円にのぼる利益を大企業にもたらす事となります。本市のガス事業は10年連続の黒字で、単年度10億円の利益となり、平成22年度・2010年度、120億円の起債残高が、今年度末には、75億円に減少しています。発電事業は毎年1億円から3億円の黒字となり、起債残高はゼロです。これだけの優良事業を売却する必要があるのですか。納得できる説明を求めます。
 第5に、出資構成についてです。代表企業の北陸電力が48.0%、構成員の東邦ガスが43.0%、北国銀行と北国新聞が共に、2.0%、松村物産と小松ガスが共に1.0%、そして、本市が3.0%との提案となっています。新しい会社は、北陸電力と東邦ガスが事実上運営することとなります。本市は3%ですから、ほとんど関与する余地はありません。これまで市民に対して公営事業者として果たしてきた役割と責任を投げ捨て責任放棄とも言えるものです。市民に対して説明がつかないではありませんか。市長!売却して、後はどのようになっても本市は、知りませんというのはあまりにも無責任と言わざるを得ません。説明を求めるものです。

-山野市長
 ガス事業・発電事業譲渡方針について何点かお尋ねがございました。募集要項では最優秀提案者の選定、優先交渉権者の決定を令和3年2月から3月に行うとしており、2月18日開催の第6回選定委員会での審査結果に基づき、庁内手続きを得て優先交渉権者を決定したことから、速やかに公表したものであります。今後円滑な事業譲渡に向けて基本協定の締結に係る協議を進めていくことになります。
 事業譲渡に向けた手続き、さらには2つの大企業を中心とする企業グループへの売却でいいのかという問題提起をいただきました。ガス発電事業の譲渡につきましては、これまでもあり方検討会や譲渡先選定委員会の検討状況を随時議会へ報告をし、ホームページに公表をしてきたところであります。昨年度実施しましたパブリックコメントの際には、都市ガス・簡易ガスすべてのお客様に対しダイレクトメールを送付をし、幅広い意見募集に努めてきたところであります。優先交渉権者は過般実施した公募型プロポーザルにおける譲渡先選定委員会の審査結果に基づき決定したものであり、今後提案概要について議会への報告、ホームページでの掲載のほか、5月には市民や事業者向けに市主催の説明会を開催をし、提案のあった料金・サービスの内容等を広く周知していきたいと考えています。
 事業価値、最低譲渡価格との大きな開きのことについてどのように考えるかということでありました。ご指摘のコンサルタント会社の調査報告書に示された事業価値は、複数行った資産のうち売電価格の上昇を前提として試算された最大値であり、様々な電力取引市場の新設が本市の売電価格に及ぼす影響の見通しが立たないことなど、将来の不確実性が高いことを前提に試算されたものと企業局から報告を受けています。また募集要項に定めた最低譲渡価格もつきましては、複数の方法により算出された事業価値の中から最も客観性の高い簿価によることが適当であるとの譲渡先選定委員会の審議結果に基づき設定したものであります。この先の譲受希望価格は、優先交渉権者となった企業グループにおいて総合的に判断されたものと受け止めています。

-森尾議員
 本市公営企業管理者に伺います。
 昨年の決算委員会で、2018年と2020年の民間に委託した調査報告書が明るみにされました。その中で、一昨年11月から昨年2月にかけて10社の有力ガス・電力会社を本市企業局幹部が訪問していたことが記載されていました。決算の書類審査において事実を確認しました。その中に、一昨年の11月28日今回の優先交渉権者の構成員となる企業を訪問しています。この訪問の後、10か月後になる昨年の10月に募集要項と最低譲渡価格が公表され、募集が始まりました。まさに事前交渉とも言えるもので、その内容が募集要項・最低譲渡価格となったとすると公正・公平な募集が行われたと言えますか。説明を求めるものです。
 第6に、職員の派遣についてです。優先交渉権者の提案によると2022年81人、2023年55人、2024年29人の本市職員の派遣を予定するとしています。この派遣は民間企業への派遣ですから、本市職員を退職するこことなります。今回の売却は、職員の退職派遣を行い実施するものとなっています。市民のために働くという高い使命感を持って本市職員となったはずが、いったん退職して派遣されることとなります。派遣期間は、3年までとしており、本市職員として戻ることが出来るとされていますが、戻ってきても元の職場はありません。まさに片道切符ではありませんか。市長はかねがね本市職員を守ると述べ、私の使命だとも言ってきました。このような退職派遣は、辞めるべきではありませんか。見解を伺います。

-平嶋公営企業管理者
 事業譲渡につきまして数点お尋ねがございました。まず市の出資比率3%についてでございます。譲渡先選定委員会におきましては、両事業に対する国の厳しい監督体制を踏まえまして、市の関与について出資条件と契約条件との組み合わせによることが適切とされたところでございます。具体的には市の出資を3%以上10%未満とし、会計帳簿閲覧謄写請求権を担保するとともに、経営状況確認の義務付けを事業譲渡契約書に明文化することによりまして、経理や経営計画、事業実績などの詳細な把握が可能となります。またこの度の優先交渉権者からは市との情報連絡会を開催をし、経営体制や法令順守、保安措置等の状況について開示することも提案されているところであります。
 次に、昨年度の企業への訪問調査の件でご指摘がございました。このご指摘の調査は、昨年度のあり方委員会からの答申を踏まえまして、市として譲渡方針を検討するにあたって、すでに民間譲渡した他都市において実施をされておりましたヒアリング調査も参考にしながら、エネルギー事業者10社を訪問し、公募に対する参加意欲や応募要件等について調査するため実施をしたものでございます。
 次に、職員の退職派遣についてお答えをいたします。株式会社への派遣につきましては、公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律におきまして、市への復職を前提とした退職派遣であること、派遣期間は3年以内であることなどが定められておりまして、加えて国の通知では勤務条件をはじめとする身分取り扱いなどについて不利にならないように配慮し、職員に対しては十分な説明を行うことが適当であること、また任命権者の要請に応じた職員の意思に基づく退職であることなどが示されております。引き続きこれらのことを職員に説明していきますとともに、優先交渉権者と円滑な譲渡に向けた協議を進めてまいります。

-森尾議員
 最後に、今回とは異なる別の選択があると言うことです。この二つの事業を売却するのではなく、本市公営事業として未来ある事業を担っていく道です。そのことは、本市企業局自身が明らかにした方向です。2016年本市企業局は、今後10年間の経営戦略を明らかにしました。その中で「本市企業局は、ガス、水道、公共下水道、発電、工業用水道という市民生活や産業を支える『水』と『エネルギー』を総合的に担う総合ライフライン事業者であり、これらの適切な経営により市民に貢献していく責務がある」と述べています。ガス事業は、安全・安心のエネルギーとして市民に供給しています。発電事業は、様々な困難を乗り越え、100年間にわたって事業を行い、全国唯一の市営事業として誇るべき事業です。これから、クリーンなエネルギーとして未来ある事業の展開が可能です。市長!今一度立ち止まり、この二つの事業について、未来ある事業の展開を検討し、市営事業として継続していく道を選択するよう求めます。

-山野市長
 5つの事業を担う総合ライフライン事業として発展させることも考えるべきではないかというお話でありました。国の制度改正により、制度が変わったということをまずはご理解をいただきたいと思います。電力・ガスを合わせた総合エネルギー市場へ市場の形態が変化しているということ、さらには人口減少、地球温暖化など事業を取り巻く環境も大きく変化しているということ、将来にわたり市民に対し安全・安心で安定したエネルギー供給を確保するとともに、速やかに市民がエネルギー自由化の恩恵を享受できる環境を創出することが重要と考え、事業譲渡を決断したものであり、令和4年4月1日の譲渡に向けて手続きを進めてまいります。

再質問)

-森尾議員
 市長に再度伺いたいと思います。長野県が県営水力発電所を中部電力に譲渡する計画を中止しました。再生可能エネルギー活用で健全な経営は可能だと判断して、引き続き公営事業として継続するということを打ち出したわけです。京都大学講師の中山琢夫氏が、京都大学大学院の再生可能エネルギー経済講座の中で次のように述べています。「金沢市企業局は、全国の公営企業電気事業者の中で唯一の市営電気事業者であるとして、5つの発電所は戦後の公営電気復元運動の中で北陸電力から金沢市が勝ち取った犀川総合開発事業の一環として建設されたものである。柔軟かつ制御可能な再生可能エネルギー源である水力発電所を、易々と民間事業者に譲渡するとすれば、筆者にとっては驚きである」と、こう述べています。改めて市長、いったいなぜ、こうした発電事業をガス事業とセットで大企業に売却しなければならないのか。市民の理解を得ていないと思うんです。一度立ち止まって検討する考えはありませんか。伺います。

-山野市長
 長野県の事例を詳しく把握しているものではありません。大学の先生のご意見も、今森尾議員から拝聴いたししました。様々な事例はあるかと思いますけれども、先程来答弁の中でも申し上げましたように、制度が変わりました。やはり公が発電事業を持つという大切な視点は地産地消という視点であるというふうに思っています。長野県の事例は把握しているものではありませんけれども、やはりその視点からいって、すでに北陸電力でいえば首都圏等々でも販売しているということもお聞きをしています。私はその視点からいって、やはり公が持つという視点は制度改正の中で変わってきているのではないかというふうに思っています。

-森尾議員
 では市長、もう1点伺います。5つある発電事業の1つに、上寺津発電所があります。これが一番最初に作られた発電所で、大きな発電能力を持つ発電所です。平成30年から令和2年度にかけて、3か年で13億円投じてリニューアルされました。昨年12月に完成後本格運転が開始されました。タービンを新しくしまして、発電能力を高めた、こういうわけです。市長はこのことを市民と議会にどう説明されるのかと。発電事業を本市公営事業として継続していく立場からリニューアルしたんじゃないですか。そうしたら今度は売却、どう説明されるのか伺っておきたいと思います。

-山野市長
 なんといっても、安全で安定的に供給をしてもらうことが必要であります。それは公であろうが民間であろうが必要なことであります。計画的な修繕であります。

2月15日(月)、ワクチン接種費用や経営者支援の予算が議論されます。
予算案はこちらです。
その中で広田美代議員が、質疑しました。

-広田議員

 議案第60号 令和2年度 金沢市一般会計補正予算案について、日本共産党市議員団の一員として、以下質疑させていただきます。

新型コロナウイルスワクチン接種について

 まず、新型コロナウイルスワクチン接種について伺います。

 2月12日に医療従事者先行接種分のワクチンが国内に到着しました。政府は年内に、ファイザー社・アストラゼネカ社など複数社から必要分の供給を受けることで契約しているとのことです。しかし、輸出規制や、ファイザー社のバイアルからの利用が6回分から5回分になるなど、ワクチンの供給、確保に混乱が生じ、今後の一般住民用のワクチン供給の時期や量の見通しも未定と聞いています。しかし本市のスケジュールだけは、高齢者や一般住民について4月から接種開始とされていますが、予定通り可能なのでしょうか。見通しをあきらかにしてください。

-山野市長

 国の方にもそのワクチンの配布の時期であったり数量についてはできるだけ早くに正確な情報を欲しいというふうに申し上げているところであります。今、国の方からは大きく65歳以上は4月から接種という方向性が示されていますので、私共としてはその準備をしっかりとしていきたいというふうに思っています。

-広田議員

 予算説明書には4月ということで明記されていますけれども、先程来のご答弁を聞いていると4月以降という表現に変わっておられるのは、今後供給のあり方次第によっては5月や6月にずれ込む可能性も、みなさん方としては想定内であるということでよろしいでしょうか。

-山野市長

 申し訳ない、私の言葉が足りませんでした、65歳以上については4月に準備をしていきたいと思っています。65歳未満につきましてはそれ以降になるという思いも込めて、4月以降という言葉を使いましたけれども、誤解を与えたようですので訂正いたします。4月に準備ができるようにしっかりと整えていきます。

-広田議員

 なかなか供給相手のあることなので本市も大変準備が混乱しているかとは思いますけれども、何よりも安全安心を最優先に進めていただきたいと思います。

 次に接種体制についてですが、本市は、医療機関での個別接種を中心とした接種に向け準備・調整をしているとご答弁がありましたが、今現在、その準備はどのような段階なの教えてください。

-山野市長

 繰り返しになりますけれども、個別接種を主体にしてやはり身近なところの医療機関が安心できますので中心にしていきたい、医師会の先生方に相談にのっていただいておりまして大変うれしいことに前向きに話し合いを進めているところであります。今のところ、まだどこでいくつの医療機関でということはご報告はできませんけれども、前向きに進めているところであります。いわゆる特設会場につきましては駅西の広域急病センターを申し上げているところでもありますけれども、こちらにつきましても金沢市内でいくつも大きな病院があります。調整をしながら、できるだけ多くの医療機関にご協力いただけるようにしていきたいと思いますし、決まり次第、速やかに議会のみなさん・市民のみなさんにお伝えをしていきたいと考えています。

-広田議員

 住民にとってはやはり身近なかかりつけ医が一番安心かもしれませんけれども、医療機関に尋ねると今は自分たち医療従事者の誰が打つのか希望をとり、それをリスト化するので精一杯だという話も聞いています。加えて、医療機関が中心で接種となることについては、もともと慢性的な人手不足でありながら通常診療に加えて今コロナの大変な対応をしている。さらにそこにワクチン接種が加わるということになりますので、病院の負担に繋がらないかということが懸念されています。医療機関は、もちろん毎年インフルエンザワクチン接種も行っていますが、それは先程来数字が出ている市内12万人の65歳以上が中心です。今回は、本市は医療従事者を除いて37万6千人ですが、4市2町を連携するとすると可能性としては16歳以上、およそ55万人の方が市内の医療機関に予約をする可能性があるということになります。さらに、このワクチンに関しては従来のワクチンとは異なる点も多くあり、川崎市のシュミレーションでも、問診の時間が長引く可能性があり、そのことで人の流れが滞った場合は密になりかねないと指摘されていますし、会場が医療機関だと副作用の反応をみる待機スペースをどう確保するかなど懸念の声があります。先程の答弁でも、訪問診療での接種も行うということですが、これも医療機関の負担となります。通常診療とコロナ対策に支障をきたさず、医療機関がワクチン接種に対応できるよう、医療機関任せではなく、市としてどんな支援や対策を考えているのかあきらかにしてください。

-山野市長

 今ほど広田議員がご心配されたことを私も直接お聞きもしていますし、そのことも踏まえたうえで医師会の先生方とお話をさせていただいているところでもあります。今後接種にご協力いただける医療機関に対しましてはできるだけ円滑に実施できるように、市としてなしうる限り支援に努めてまいります。医師会の先生方と連携を取りながら、いろんなご要望もお聞きをしながら、なしうる限りの対応策をとっていきたいというふうに思っています。

-広田議員

 医師会はもちろんですけれどぜひ医療機関それぞれの声を聞いていただきたいと思います。

 考えてみると、まずは予約業務だけでも医療機関は大変だと思うんです。このワクチンは温度管理などの関係から接種するためには予約が必須ですが、医療機関が住民から一斉に予約を受けるとすれば、かなりの負担が予想されます。さきほど申し上げましたが、対象人数が4市2町で、可能性としておよそ55万人の方から予約が殺到します。さらに今回は、1回目と2回目の接種場所が異なるケースもあると聞いています。そしてファイザー社、アストラゼネカ社、複数社のワクチンが混在する期間も生じるということになりますと、大変複雑な予約業務となる可能性が指摘をされています。病院が直接予約を受け付けると聞いていますが、負担とならないよう支援や対策はあるのでしょうか。

-山野市長

 原則、2回とも同じ医療機関で接種をしていただきたいと思っていますし、そういう呼びかけも必要になってくるというふうに思います。ただ様々な事情により異なる医療機関で受けざるを得ない場合も決してないわけではないというふうに思っています。2回目の予約をする際に、医療機関側が1回目のワクチンの種類や接種日を確認のうえ予約を受け付けることができるよう、その周知を図っていくことによって対応していきたいというふうに考えています。

-広田議員

 医療機関にお話を伺いましたら、通常の予約の受付では無理だろうと、おそらく医療機関独自でそのための予約ラインを作らなければいけないかもしれないと、さらなる負担と経費がかかるだろうということが予想されています。自治体が接種を行うということに位置付けられると思うのですが、国は1回2,070円という委託料を示していますが、今回もちろん住民のみなさんには無料で、かつ初診料もとらないだろうということになりますと、病院側としてはこのような金額で足りるのだろうかという懸念がすでに出ています。国は足りない分については補助金を上乗せするということですが、まだ上限が示されていません。ですのでぜひ自治体として、医療機関に調査もいただいて、上限をふんだんに使えるように求めていただきたいと思いますし、足りない場合は市として独自予算も出すという構えで行っていただきたいと思いますがいかがでしょうか。

-山野市長

 国の責任で対応されるということでお聞きをしておりますので、引き続き様々な現場の声を国に届けることによって適切な対応をとっていただけるような環境を整えていきたいと考えています。

-広田議員

 まだその2,070円プラス上乗せ分が公表されていないようですので、ぜひ今の間に声をあげていただきたいと思いますし、独自の支援もぜひ検討していただきたいと求めておきます。

 さらに今後、すこやか検診も予定をされています。通常診療、コロナ対応、ワクチン対応に、すこやか検診が加わっても、安全に医療を行うことができるのでしょうか。どのように対応するのか、あきらかにしてください。

-山野市長

 ワクチン接種の時期と住民健診が重なる時期にもなりますので、例年5月から実施をしています住民健診の開始を遅らせることでその負担を軽減できないか、そのことも検討していきたいと考えています。

-広田議員

 検診で見つかって助かる命・人生もありますので、遅らせるということは大変心苦しい部分もありますけれども、ぜひその点も含め医療機関とご相談をいただきたいと思います。

 今やり取りしてきましたが、やはり医療機関に負担をかけないためにも、練馬モデルのように公的施設を使った集団接種をもっと拡充して行っていくお考えはないのか、伺っておきたいと思います。

-山野市長

 繰り返しになりますが、やはりできるだけかかりつけ医であったり比較的近いところでワクチン接種を受けていただくということが市民にとっても安心感につながるというふうに思っていますので、できるかぎり主体にしていきたいと思っています。また集団接種につきましても医療従事者をはじめとしたスタッフの確保、副反応等が発生した場合の即時対応などもスタッフの確保に合わせて課題になってきます。できる限り接種対応に不足が生じないように、接種に協力いただける医療機関を確保していきたいと考えています。

-広田議員

 1月27日に行われました川崎市のシミュレーションの知見、早く公表していただきたいと思うところですがまだ公表されていません。これは多くの知見が得られると思いますので、ぜひその点もまだ検討して、集団接種の可能性を導く余地があるのではないかと思いますし、これから医療従事者の接種で副作用を見るということもありますので、その点も踏まえ、ぜひ検討の余地を残していただきたいと思います。

 次に副作用などの説明については国・県のコールセンターで行われることがわかりましたし、金沢市のコールセンターでも手続きについてですけれども最初の窓口として何でもご相談くださいということになるということがこれまでの答弁でわかりましたが、それを聞いたうえでもじゃあ自分が接種した方が良いのかと迷われる方が多いと想定されるのですが、その点はどのように自治体として対応されるのか明らかにしてください。

-山野市長

 繰り返しになりますけれども、様々な正しい情報を、この本会議での議論もそうかというふうに思いますし、市の広報であったり、また何か情報が入りましたら私が記者会見を開くことも必要だとも思いますし、報道機関のみなさんにお伝えすることも必要だというふうに思いますし、急ぎの場合は加えてSNS等で情報を発信していく、それを繰り返すことによって正しい情報を発信することによってご理解をいただけるように努めていきたいと考えています。

-広田議員

 最後に伺いますが、ここにきてマイナンバー活用論が浮上しています。しかし全国市長会会長らはすでに、河野太郎ワクチン担当相に「自治体の事務が増えることは非常に困る」と懸念を示しています。市長はどのようにお考えでしょうか。

-山野市長

 接種記録につきましては各自治体のシステムにおいて管理することが私は最も望ましいと思っていまして、現在本市におきましても本市独自の改修を進めているところであります。マイナンバーのことにつきましてはその議論は承知しているところでありますけれども、その詳細も明らかになってはおりませんので、今のところ金沢市は今申し上げましたように本市独自のシステムを改修することによって進めていきたいと考えています。

-広田議員

 今回のワクチン接種に関してはマイナンバーは利用しないというふうに受け止めておきます。

飲食事業継続特別支援給付金事業費について

 次に、飲食事業継続特別支援給付金について伺います。

 この給付金は、先程来ありますように飲食や食品製造・販売に対象を限定するとしていますが、飲食に関連した事業は、食品だけに関わらず、たとえば、おしぼりとかお箸とかを納入する業者もあるわけです。関連業者を含めた対象にできないのか、あきらかにしてください。

-山野市長

 施策ですから、一定の政策目標であり一定の基準というものが必要になってくるというふうに思っています。4月補正予算のときの緊急支援給付金につきましても保健所の認可を受けているところという基準を設けさせていただきました。今回もそれに準じる形でさせていただいたところであります。飲食業者が今大変苦境にあります。今回の20万円は、先ほどもありましたように規模によってはいろんな捉え方があるかというふうに思いますけれども、このことをきっかけにして活発になっていくことによって、今ほどおっしゃいましたような周りの業者にもプラスになっていくことも期待をしていきたいと思っています。

-広田議員

 制度設計の50%減であるとか20万円とした理由についてはこれまでもご答弁いただいていたので省きますが、やはり町でお話を伺いますと率直に言って対象が厳しいし20万円では少ないという声が業者からあがっています。それというのも、富山県では「急所を押さえる措置を講じる」として1月後半に営業自粛を行った店舗に1日4万円、56万円を出していて、それをみなさんご存じです。本県、本市では休業も求めていませんが、第3波時のあらたな支援もありません。結果的には現在感染が拡大し、客足が遠のき経営が深刻になっています。行政の第3波対策の結果として真摯に受け止め、深刻な経営を支援するため、対象を拡大し給付額を引き上げるべきと考えますがいかがでしょうか。

-山野市長

 私も、議員のみなさんももちろんそうですけれども、多くの方から切実な苦境の声をお聞きしております。思わず私の方から直接折り返し電話をするような、苦境の声も直接顔を合わせてもメールでもお聞きするところであります。その思いの中から、今般国の補正予算の成立も受けまして、ワクチンのこともありました、議会のみなさんに緊急議会のお願いもして提案もさせていただきました。財政調整基金の一部取り崩しもをいたしました。市としてなしうる限りの施策を今回は提案させていただいたところであります。さらなる拡大というご提案をいただきました。まずは今回の予算をお認めいただきましたならば、一日でも早く苦境の方たちの手に届くような形にする、そのために全力を傾けてまいりたいというふうに思っています。

-広田議員

 やはり感染拡大を抑えて経済を良好に保つという姿勢をもっと県も市も発揮してほしいということを改めて申し上げておきたいと思います。

宿泊施設環境向上等奨励事業について

 さいごに、宿泊施設環境向上等奨励事業について伺います。

 新聞等でも報道されておりますので言いますが、今回ラブホテルなどレジャーホテルはなぜ対象としないのか、あきらかにしてください。

-山野市長

 これまでの答弁のなかでも持続化給付金に準じて、もしくは持続化給付金のバックアップ体制ということで申し上げてきたところでもあります。この持続化給付金におきましても、またGo Toトラベルにおきましても、いわゆるラブホテルというのは該当されていらっしゃらないというところであります。先程政策を作るときには一定の政策目標が必要だというふうに申し上げました。今回の支援金というのは、観光であったりビジネス客であったり、そういう方たちがご利用される宿泊施設を念頭に置いてご提案をさせていただいたところでありますので、ご理解をいただければと思います。

-広田議員

 国の考え方もありますし、どこかで線引きをという考え方もあると思います。いろんなお声もあるかと思いますが、私はやはり本市の姿勢が試されるのではないかと思っています。レジャーホテルも観光客が利用しているという話しもありますし、金沢市の宿泊税に関してご協力も得ている訳です。そして私が一番言いたいのは、そもそもこれらの奨励金の発端は新型コロナウイルスで人々が自粛し、さまざまな業種が疲弊しているという実態を踏まえたものだということです。その点については共通認識でよろしいですか?

-山野市長

 新型コロナウイルスによって、「コロナ禍」という言葉がよくお聞きをしますけれども、その中で市民のみなさんが疲弊をしている、市としてなしうる限りの施策を取り組んでまいりたい、そんな思いから今回も計上させていただきました。

-広田議員

 ことの発端は新型コロナウイルスなんですよ。多くの業者が人々の自粛によって疲弊をしている、それを行政がどう守っていくか、いろんな業種・業態はありますけれどもそこに働く一人一人は市民なわけです。みなさんの生活を支え、そしてそこからの消費でどう経済を持ち上げていくかということが、行政の責任として私は問われると思います。ですので、今回のように一部の宿泊施設を省いて奨励金を作るというのは、私はやはり本市の姿勢としては間違っているというふうに思います。コロナウイルスは、泊まる場所を選びません。ですので、コロナによって経営に影響があるのであれば、宿泊施設として奨励金を出すように求めますがいかがでしょうか。

-山野市長

 前段部分は全く同感であります。本市の姿勢が試されている、私もそういうふうに思っています。本市の姿勢を明確にした形で今回議案を上程させていただいたところであります。繰り返しになりますけれども、やはり政策を提示するときには一定の政策目標というものを掲げなければいけないというふうに思っていますし、一定の基準というものを設けなければいけないというふうに思っています。私はこれまで、この4月の補正のときにもそうでありましたし、議会のみなさん方と議論をしながら私はご理解をいただいたうえで施策を執行していくというのが本市の姿勢であるというふうに思っています。

-広田議員

 前段部分の思いは一致するとおっしゃっていただきました。やはり今、業者はじめそこで働く人々は生きるか死ぬかの思いで生活しています。やはりこの窮地に立っている以上、一部を線引きをするということでなく、市の姿勢としてみなさんを救っていく、守っていくということを示していただきたいと述べて、質疑を終わります。

相川副市長に要望書を手渡し

   2021年1月22日

金沢市長 山野 之義 様

金沢市議会議員 森尾 嘉昭
広田 美代
大桑 初枝
玉野  道
熊野 盛夫

全国各地で爆発的感染が起こり、救急搬送の受け入れ困難や透析患者の病床確保の困難など医療崩壊が始まり、11都府県等で「緊急事態宣言」が再発令されています。石川県では、1月21日時点で、感染者数1393名、うち本市は580名(41.6%)で、県の新たな感染状況指標では、県内はステージ3に近いとして知事は県独自に「感染拡大警報」を出しました。また、新規感染者数か経路不明者数がステージ3になった場合、県独自の緊急事態宣言を出して飲食店に営業時間の短縮を要請するなどの可能性を示唆しています。病院をはじめ関係機関のご苦労は続き、市民は深刻な不安と苦しみのなかにあります。市民の命と暮らしの危機を打開するために、以下要望いたします。

○PCR等検査を抜本的に拡充し、無症状者を含めた感染者を把握・保護することによって、新規感染者を減らすこと。
・感染震源地への「面的検査」についても検討すること広島市では、特に感染者が多い地域で、全ての住民と働く人を対象に、希望者に無料で検査を受けることができる大規模なPCR検査を行うとしており、対象は80万人になります。無症状の感染者を早期に発見し、市中感染を封じ込めるねらいであり、本市としても検討を行うこと。
・医療機関・福祉施設への「社会的検査」を国・自治体の責任で行うこと世田谷区では、「社会的インフラを継続的に維持するためのPCR検査」いわゆる「社会的検査」を実施し、1月18日時点で、介護事業所等のべ420施設、7,466人を検査し68人の無症状陽性者を把握しています。財源は全額国費としています。神戸市、北九州市、福岡市、鳥取県など社会的検査を実施する自治体が増えています。

○保健所への支援の抜本的強化をはかること
・「第3波」での臨時的な人員強化に全力をあげるとともに、今後の保健所体制の基盤とできるよう、保健師をはじめとした抜本的な定員増員に踏み切ること。

○逼迫と崩壊の危機にさらされている医療機関への減収補填や支援を行うこと
・新型コロナ患者に対応する病床と人員を確保するためには、地域全体の医療体制を強化することが必須です。医療従事者の人件費を保障し、医療機関の経営を支える施策が減収補填であり、医療崩壊を防ぐためにも、国県と連携しただちに行うこと。
・市立病院については、看護師の定数が満たされていない状況が続いており、早急に改善すること。

○ワクチン接種について
・本市では、2月には医療従事者が先行接種され、3月下旬から高齢者の接種を開始するとしています。 新型コロナワクチンには新たな技術が使われており、今後は十分な安全性の確認や情報公開、自己決定権の尊重を大前提とした接種の仕組みづくりが課題となっています。本市でもこの点を踏まえ、市民に十分な説明を行い、相談窓口を設けること。

○事業と雇用を持続できるよう補償・支援を行うこと
・自粛要請の際には、一体的に十分な補償を行い、雇用と営業を守る大規模な支援を行うこと。
・また、自粛要請がない中でも、客足の減少などが続いています。持続化給付金や家賃支援給付金の再実施を国に求め、本市独自の支援策も対象を拡大し延長すること。
・GoTo事業の「中断・延命」によって、苦境にある宿泊・観光業への支援が空白になっています。「再開する」という政府の姿勢が現状に即した支援を行う障害となっており、GoTo事業を中止し、GoTo予算を使い、宿泊・観光産業の事業規模に応じた給付金制度として直接支援を行うよう国に求めること。

○コロナ禍で生活困窮する人たちへの支援を行うこと
・緊急小口資金や総合支援資金などについて期間の延長を行い、返済については「償還時において、なお所得の減少が続く住民税非課税世帯の償還を免除することができる取扱いとする」としていますが、償還時においてその条件を満たす場合は一括免除とするよう国に求めること。
・住居確保給付金をコロナ後の滞納分も対象にすること、生涯に一度しか申請できないという規定を見直すこと、自治体負担分について国庫負担とすること、など国に求めること。
・本市ホームページでの生活保護の説明がわかりやすくなりましたが、「生活保護は権利」をさらに徹底し、必要な方がためらわずに利用できるようにすること。そのために、生活支援課の体制の拡充、広報・SNS・テレビCMなどを通じ、制度を広く周知すること。
・失業やDVなど女性への影響が大きく自殺の急増も見られ、またLGBTの方々への影響もあることから、女性への相談体制の強化やLGBTの専門相談窓口を設けること。
・外国人への相談窓口を設置し、各種支援制度が使えるようにすること。

○罰則・制裁導入に反対すること
・コロナ対策にかかわって、菅政権は、新型コロナ対応の特別措置法や感染症法の改定で、時短要請に応じない飲食店、入院勧告に従わない患者、患者受け入れに従わない病院などに対する罰則と制裁を導入しようとしています。

何よりも感染症対策は、国民の納得と合意、十分な補償によって進められるべきです。患者の人権を尊重することは、強制収容という著しい人権侵害が行われたハンセン病などの痛苦の教訓を踏まえて、感染症法の基本理念に明記されていることです。罰則をふりかざして強制することは、相互監視、差別と偏見、社会の分断を招き、感染症対策に逆行するものであり、本市として導入に反対すること。

私は、日本共産党市議員団を代表いたしまして、議会議案第25号日本学術会議会員の任命拒否の撤回を求める意見書について提案理由説明を行います。

 日本学術会議は、1949年に政府から独立した諮問機関として発足しました。発足会では当時の吉田茂首相が、「高度な自主性が与えられる」と述べ、1983年の参議院文教委員会においては当時の中曽根康弘首相が「政府が行うのは形式任命にすぎない」「学問の自由独立はあくまで保障されている」と答弁しています。ところが本年10月1日、菅首相は日本学術会議が推薦した105名の新会員のうち、6名の任命を拒否しました。そしてこの6名が、安全保障関連法・共謀罪法・特定秘密保護法に反対の意を表明していた方々であることが明らかになりました。
 しかし、菅首相は6名を任命拒否した理由を「一部の大学に偏っている」などと論点をすり替え、説明責任を果たしていません。
 学問の世界に萎縮や自主規制が広がるなど、憲法23条が保障した「学問の自由」が侵害される事態が具体的に進行していることを告発。戦前、学問の自由が剥奪され、科学者が戦争遂行のための軍事研究に総動員された歴史や、670もの幅広い団体が任命拒否の抗議声明を出していることをあげ、「日本国民全体にとっての大問題だ」とただしました。
 戦前は滝川事件をはじめとする言論弾圧が相次ぎ、物言えなくなった社会の反省から、日本国憲法で学問の自由・表現の自由が規定されています。しかし、今回の人事介入は、その規定を無視するだけでなく、国民の分断をあおり、反対意見を封じ込めようとする極めて危険な行為と言わざるをえません。

よって、国におかれては、日本学術会議会員の任命拒否の撤回を求めることを強く要望いたします。議員各位のご賛同を求めて、提案理由の説明といたします。

2020年12月15日
金沢市議会議員 広田 みよ

 私は、上程されました議会議案第24号松村理治議員の議員辞職勧告決議について提出者を代表し、その提案説明をいたします。

 本市議会は、今年6月と9月の定例月議会において、松村理治議員の議員辞職勧告決議を可決いたしました。多くの市民は、本人のとった行動に照らし、議会決議を真摯に受け止め議員辞職するものと理解しています。にもかかわらず、松村理治議員は決議を尊重せず、議員辞職を拒否し続けています。
 そもそも、この問題は、松村理治議員が、自ら新型コロナウイルスに感染し退院した後、医師から自宅療養を伝えられていたにもかかわらず、石川県が営業自粛要請を行っていたパチンコ店に出向き、複数回にわたり遊戯し、一方では所属する常任委員会を欠席していたことから、こうした行動が公人である市議会議員の立場からすると著しく不適切な行動であるとして全国ニュースにも取り上げられ批判を呼び、市民から600を超える電話やメール、陳情などが市議会に寄せられたものです。
 本市議会基本条例では、議員は、「高い倫理観と品位を保持し、議員として誠実かつ公正に職務を遂行する」としており、この点に照らしても、松村理治議員の行動は、許されるものではありません。したがって、本市議会として市民からの信用と名誉を回復する立場から、本人には、強い反省を求めるとともに、自ら市議会議員を辞職することを勧告したものです。
 2度にわたる本市議会の議員辞職勧告決議を可決したにも関わらず、本人がこれを真摯に受け止めておらず、本市議会が何もしないとするならば、いわば風化させることになりかねません。よって、3回目となる松村理治議員の議員辞職勧告決議を提案いたします。

 議員各位のご理解と賢明なる判断を求め、提案理由の説明といたします。

2020年12月15日
広田みよ

わたしは、会派を代表し、ただいま上程されました議会議案26号「無料定額診療事業の周知及び保険調剤薬局への適用を求める意見書」の提案理由の説明を行います。

コロナ禍による経済困窮の広がりが、命と健康を脅かしています。全日本民主医療機関連合会が10月末に発表した「コロナ禍を起因とした困窮事例調査」の結果は、深刻な実態を示しています。
 全国の民医連加盟の事業所が7月から関わった事例のうち、コロナ禍に起因する困窮事例が435件あり、職業別では非正規労働者が35%と最多、家族構成は独居が45%と圧倒的多数です。
 事例別では「受診控え」とする事例は86件に上り、「所持金わずか」は157件、生活保護の水際作戦とみられる事例も15件ありました。
 命に直結する医療が経済的理由によって受ける機会を制限されることがあってはなりません。
 無料低額診療事業とは、社会福祉法に基づき、低所得者などに医療機関が無料または低額な料金によって診療を行う事業です。厚生労働省は、「低所得者」「要保護者」「ホームレス」「DV被害者」「人身取引被害者」などの生計困難者が無料低額診療の対象と説明しています。
 石川県では、13の歯科、診療所、病院、本市では、そのうち8か所がこの事業を実施しています。
 しかし、まだ知られていない実態もあり、さらなる周知徹底が必要であるほか、保険調剤薬局が適用になっていないことが課題です。せっかく無料低額診療事業によって医療費の負担が減ったとしても、薬代の負担が減らなければ、治療が成り立ちません。調剤費の自己負担分を助成している自治体もありますが、国が調剤薬局への適用を求めることが必要です。

 経済的困窮によって、必要な医療を受ける権利が奪われることのないよう、各議員への賛同をお願いし提案理由説明といたします。

2020年12月15日

金沢市議会議員 森尾 よしあき

 私は、日本共産党市議員団を代表して、上程された議案17件のうち、議案第42号令和2年度金沢市一般会計補正予算及び議案第45号金沢市情報通信技術を活用した行政の推進に関する条例制定について、以上の2件に反対です。

 その主な理由について述べます。

 第一に、個人番号カードにかかる予算についてです

 マイナンバー制度は、すべての国民に12ケタの番号をつけ、税や社会保障情報を一元的に管理するとして始まり、顔写真、ICチップの入ったマイナンバーカードが交付されています。国民一人一人を番号によって管理し、多くの個人情報を集めることは、情報の流失などプライバシーの侵害にもつながるとして批判の声が絶えることはありません。制度発足から5年が経過してもなお、現在の発行状況は、2割程度にとどまっています。
 明らかに、国民の理解を得られていません。
 にもかかわらず、国は、国民の不安にこたえるどころか、いわば強制的に使うような仕組みを打ち出しています。来年からマイナンバーカードを健康保険証としても使用可能にすることや、様々な行政手続き、サービス利用に結び付けること。さらには、消費税増税対策として5000円のマイナポイントをつけてメリットを強調するなどありとあらゆる手段でマイナンバーカードの普及を図ろうとしています。しかし、個人情報の漏洩やカードの紛失、盗難といった国民の不安はなくなりません。
 個人番号カード交付事務経費は、今年度当初予算に2億5千万円、今回の補正予算で1億2千万、合わせて3億7千万円です。コロナウイルスの感染拡大に対する緊急の対策が求められている中、こうした分野への予算投入は、市民の理解と合意は得られるものではありません。

 よって、わが党は、国民へのマイナンバーカードの押し付けをさらに進めるこうした予算に反対です。

 次に、議案第45号金沢市情報通信技術を活用した行政の推進に関する条例制定についてです。

 国は、戸籍事務とマイナンバー制度を結びつける戸籍法の改正や、行政手続きや業務に用いる情報を紙からデジタルデータに転換しオンライン化を原則とする「デジタル手続き法」を昨年成立させました。
 そして、菅内閣は、デジタル庁の創設を行い、行政のデジタル化を促進しようとしています。その内容は、国と地方自治体のシステムの統一と標準化をはかる。マイナンバーカードの普及促進を図り、行政手続きのオンライン化を進める。民間等のデジタル化を支援し、オンライン診療、デジタル教育の推進など規制緩和を進めるというものです。
 「国内最大の情報保有者は、行政機関である」として、行政のデジタル化によって個人データーの利活用を推し進めようとしています。このことのよって、大手IT企業などに新たな市場を提供しようとする狙いがあります。そして、税と社会保障情報の一体的管理を進め、国の財政負担の削減を最大の狙いとしています。
 国は、地方自治体に、マイナンバーカードの普及促進を図り、行政手続きのオンライン化を進めるとしています。今回の条例制定は、こうした方針に基づくものとなっています。
 利便性だけが強調されていますが、国民一人10万円給付の際に、マイナンバーカードのオンライン申請は、国民と自治体に混乱を広げました。個人情報の管理、災害時の対応、障害のある方や高齢者などデジタルを使えない方々への対策など引き続き問題が指摘されています。行政の窓口でも、相談しながら申請を行う対面による窓口手続きや、オンライン申請による窓口業務の縮小など行政サービスと利便性の後退が問題となっています。

今後、国と地方自治体のシステムの統一と標準化がすすめられると地方自治体独自の施策や自立性を失わせ、地方自治体本来の役割を奪いかねません。

こうした観点から、この条例に反対です。

第二に、職員給与費の減額に反対です。

 職員の期末手当の支給割合を今年度、0.05ヵ月引き下げるとしたものです。
 コロナウイルス感染拡大対策など公務員労働者の奮闘にこたえたものではないことや、この削減が地域経済などに与える影響などを考え、引き下げには反対です。

 なお、昨日、国は、GoToトラベル事業の全国停止を打ち出しました。本市が打ち出している「五感にごちそう金沢宿泊キャンペーン」などについて見直しが求められていることを述べておきます。

次に、請願・陳情についてです。

請願第8号と請願第9号は、「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める意見書」の提出を求めるもので、原水爆禁止石川県協議会事務局長からと「被爆75周年意見広告をすすめる会」代表からそれぞれ提出されました。

 核兵器禁止条約が来年1月22日、正式に発効します。日本と世界の人々が長年にわたり、核兵器禁止を求めてきた願いが国際条約として発効します。唯一の被爆国である日本政府に対して、核兵器禁止条約の署名・批准を求めるこうした意見書は、12月14日現在、全国の自治体の28%にあたる500の自治体で決議されています。この請願は、多くの市民の願いにこたえたものであり、賛成です。

請願第10号は、医療機関等の経営安定化を図る財政支援の拡充を求める請願として、石川県社会保障推進協議会の代表から提出されたものです。

新型コロナウイルス感染拡大が急速に進み、今、東京、大阪、北海道、愛知など各地での医療の体制が深刻となっています。また、この春からのコロナウイルス感染拡大による受診抑制やその対策を講ずるため、どの医療機関においても経営が深刻となっています。
 このままでは、医療機関そのものの存続が厳しい事態に直面しています。
 よって、国民の命と健康を守るために、その最前線で奮闘している医療機関に対して支援が求められています。
 この意見書は、国に対して地域医療提供体制の維持を図るため、医療機関等への財政支援を拡充することを求める請願であり、賛成です。

陳情第6号は、金沢市におけるコミュニティーバスの導入促進に関する陳情で、金沢市にコミュニティーバスを走らせる会の代表から提出されました。

この陳情の趣旨に述べられているように、急速に進む高齢化の中で、買い物や通院など日常生活を支える移動手段としての公共交通の充実が求められています。市内のおけるコミュニティーバスとしては、ふらっとバスが市内中心部の4ルートで運行されています。また、郊外では、地域運営交通が3か所で進められています。さらに、障がいのある方や介護の必要な方々などの移動手段への支援活動などが行われています。
 今後、郊外地域におけるコミュニティーバスのさらなる導入・充実が求められており、この陳情に賛成です。

以上、それぞれの請願・陳情に対して、賛成であり、審議されました各常任委員会で否決されたことに対し、反対を表明し、討論を終わります。

私は、日本共産党金沢市議員団を代表して、認定第1号令和元年度金沢市歳入歳出決算認定については、認定できない事を表明し、その主な理由を述べます。

ひとつは国民健康保険、介護保険についてです。

国民健康保険は加入者の多くが年金受給者や、非正規等で働いている方がたで、高すぎる国民健康保険料を引き下げてほしいとの声は切実です。令和元年度決算では、国民健康保険費特別会計の実質収支は1億9975万円の黒字となり、保険給付費の払い戻しを行っても1億3704万円の黒字決算となりました。その結果、基金からの繰り入れが当初は11億2881万円を予算化していましたが、決算では2億1206万円と大幅に減少し、その結果、基金残高は27億5600万円になりました。今、国民健康保険財政に求められることは、協会けんぽ等に比べて、2倍にも上る高すぎる保険料の引き下げにあります。基金を活用し、保険料の負担軽減を行う事が求められます。国保加入者には非正規雇用者や年金生活者が多く生活は厳しい現状である事を考えると、基金はため込むのではなく保険料の引き下げにこそ使うべきです。

介護保険については、一部保険料の引き下げがありましたが、本市の保険料は中核市では8番目の高さであることは変わりません。

また一方で必要な介護サービスが受けられない事や、サービスを利用すれば、負担金がかかるなど、保険料を払っても利用しにくい実態があります。令和元年度決算では、6億1459万円の黒字となり、平成30年度の4億9000万円の黒字に続き2年連続の黒字となりました。その結果、基金残高は19億6900万円と大幅な増加となったものです。この基金を活用して保険料の引き下げが求められます。

二点目は市民の暮らしが大変な中で呼び込み型の大型公共事業の開発が進められることです。金沢港の港湾整備事業費はこれまで、国、県、市の総額463億円が投入され、令和元年度の市負担分は18億⒋000万円です。これは、大手企業コマツのための大浜岸壁改良事業や、日本海側のクルーズ拠点校を目指し無量寺岸壁の再整備、および、金沢港クルーズターミナルの整備でクルーズ船入港促進を図るものです。

又、観光政策として欧州の富裕層をターゲットに推進してきた外資系のホテル誘致に関する一連の整備事業、金沢駅西広場周辺歩行環境整備総事業費7億6000万円のうち、元年度は4億8167万円などで、一部の富裕層のために税金を使うのではなく、市民の生活を守り、福祉向上に力を入れることこそ必要です。

さらに城北市民サッカー場の再整備という事で基本設計の費用として4300万円支出されました。建設費が70億円、関連する施設の整備も含めると総事業費が100億円ともいわれ、新しいサッカー場建設には同意できません。

三点目に宿泊税に関してです。令和元年度の決算では7億6900万円余の収入がありました。そのほとんどが20000円以下の、宿泊施設に泊まった方からいただいた税金です。宿泊税を同じく導入している東京では1万円未満、大阪では7000円未満の宿泊料の場合は、課税はしないなど配慮が見られます。また、京都においては、修学旅行生には課税をしないとなっています。本市においては、修学旅行生に関して、いろんな特典はつけたものの、宿泊税そのものに改善を求める声が大きく上がっています。地元の中小の宿泊業者から宿泊税は止めてほしい、死活問題だとの切実な声が届いています。今後コロナ禍において、ますます厳しい宿泊業者の生業を杞憂するものです。

家庭ごみ有料化については、市民の皆さんの協力により家庭系のごみが減少しています。市民は、ごみ袋の購入の負担があります。この有料ごみ袋の販売収益はコミュニティ基金に積み上げられていくのですが、ごみ出しサーポート事業への広がりが少なく、対象の要介護の方を要支援の方や、ごみ出しが困難な方にと対象を広げるべきです。

職員定数についても賛成できません。

令和元年度の本市正規職員は定数が3343人のところ3241人で、非正規職員が1328人となっています。非正規職員の割合は29.1%となっており、その割合は年々大きくなっています。正規職員の割合を増やし職場の働く環境を守り市民の要望や負託にこたえることが大切です。

以上の点から、認定第1号令和元年度金沢市歳入歳出決算について認定できない事を表明し討論といたします。

2019年度金沢市公営企業特別会計決算・討論
      2020年12月11日 金沢市議会議員 森尾 よしあき


 私は、日本共産党金沢市議員団を代表して、認定第2号令和元年度金沢市公営企業特別会計決算認定について、討論を行います。

私どもは、この決算を認定できないことを表明し、その主な理由について述べます。

 第1に、本市ガス事業・発電事業譲渡方針にかわる点です

令和元年度の主な取り組みは、本市ガス事業・発電事業のあり方検討委員会が開催されたこと。本市ガス事業・発電事業譲渡方針について、市民からの意見を求めたパブリックコメントが実施されたこと。そして、令和2年3月に、本市ガス事業・発電事業譲渡基本方針が打ち出された事です。

 決算審議では、日程を一日追加し、集中審議が行われるとともに、書類審査を通じてこの問題に関わる二つの調査資料が決算委員会に提出されました。

審議を通じて明らかとなったことは、

①本市ガス事業・発電事業譲渡基本方針とは全く異なった内容が示されていた調査報告書があり方検討委員会にも示されることなく、隠されてきたこと。②市民からの意見を求めたパブリックコメントについて、本市企業局が勝手に都合の良い内容を付け加え、市議会に報告を行ったこと。③本市企業局幹部が10社の有力ガス・発電企業を訪問し、本市ガス事業・発電事業譲渡について、意見交換という売り込みを行っていたこと。しかも、それが、この事業譲渡について、調査委託を請け負っていたPwCアドバイザイリ―合同会社からの指示によるもので、訪問先に同行していたこと。さらに、この会社の社員があり方検討委員会の4回の会合全てに出席し、会議録を策定していたことが明らかとなりました。

特定の企業と本市企業局が深く関わる中で、本市ガス事業・発電事業譲渡基本方針が示されてきたことになります。

こうしたことから、この譲渡基本方針は、到底市民の理解と合意を得られるものではなく、再検討することを強く求めるものです。

次に、水道事業と工業用水道についてです。

 まず、水道事業は、令和元年度決算で、10億円の黒字となりました。これで、5年連続10数億円の黒字が続いています。県水の契約水量や責任水量制が引き下げられたことによるものです。したがって、その黒字額は、本来、水道料金の引き下げを実施し、市民に還元すべきです。今後、引き続き、県水受水契約の見直しに向けてとり組むよう求めておきます。

 本市水道事業は、現状からも、自己水に比べ4倍も高い県水を膨大に受け入れ、契約水量の6割を受け入れる責任水量制となっています。その結果、自己水を配水能力の3割しか使っていません。安くておいしい自己水を基本とする水道行政に切り替えれば大幅に水道料金を引き下げることは可能です。

 次に、工業用水道です。これは、先端産業を誘致するとして始まった工業団地造成事業において、立地した企業に供給する工業用水事業です。この金沢テクノパークは、30年年近くが経過しても、いまだ2割にあたる3区画6.05ヘクタール・東京ドーム1.3個分が埋まらないままとなっています。そして、工業用水道は、実質3社が利用し、使用料金は、開設以来23年間変わらず、事業の赤字は、全額一般会計で補てんしています。その決算額は、年間3268万円に上っています。市政の失敗のつけを市民に負担させてきたことになります。

 以上の点から、認定第2号令和元年度金沢市公営企業特別会計決算について、認定できないことを表明し、討論といたします。

▲ このページの先頭にもどる

日本共産党中央委員会
「しんぶん赤旗」のご案内
日本共産党石川県委員会
井上さとし(日本共産党参議院議員)
たけだ良介(日本共産党参議院議員)
藤野やすふみ(日本共産党衆議院比例北陸信越ブロック)
金沢市議会のページへ
サイトポリシー
© 2010 - 2024 日本共産党 金沢市議員団