金沢市議会 |日本共産党 金沢市議員団 |14ページ

金沢市議会

森尾議員

-森尾議員

 私は、日本共産党市議員団の一人として、質問いたします。

 最初に、本市ガス・発電事業の株式会社への譲渡計画についてです。8年近くに及んだ安倍政治は、内政・外交・コロナ対策などあらゆる面での行き詰まり、その行き詰まった路線を続けるほかに選択肢を持たないという二重の行き詰まりは深刻です。この間、新自由主義による規制緩和、公営事業の民営化をめぐっても、大きな転換点を迎えています。「トランスナショナル研究所」研究員の岸本聡子氏が、世界の水道民営化の実態をまとめたレポートを出されました。その中で、水道事業を再び公営化する動きが、2000年以降37ヵ国235件確認され、1億人以上の人口に影響をもたらしたことを明らかにしました。パリの水道事業が再び公営化しました。また日本では、長野県の県営水力発電所を中部電力に譲渡する計画が中止されました。こうした動きの中で、100年間ほどにわたって本市公営事業としてきたガス事業・発電事業は、その役割と社会的意義が高まっています。市長の見解をまず伺いたいと思います。

-山野市長

 まず、この本会議でも明確に申し上げておりますけれども、水道事業の民営化ということは考えてはおりません。そのことはまず申し上げておきたいと思います。ご質問の趣旨はガス・発電のことだというふうに思っています。これは公設だろうが民営だろうが使用者の利益の保護と公共の安全を確保し、安定供給に努めるということが私は大前提であるというふうに思っています。ルールが変わりました。2016年・2017年とそれぞれ小売りの自由化が法律改正でなされました。地方公営企業ではできない多角的なサービスを提供していただくことによって利用者の利便性、そして経済的な面も含めて向上を図っていくということは私は大切なことだというふうに思っています。なお、海外の事例等々挙げられましたけれども、国内におきましてガスであったりだとか発電事業が再公営化されたという事例はありません。

-森尾議員

 2016年本市企業局は、今後10年間にわたる経営方針を打ち出しました。「現在企業局が所管する5つの事業(ガス、水道、公共下水道、発電、工業用水道)には、公共性及び公益性の確保が求められるため、今後も引き続き企業局が経営するものとし、その経営を行う」としました。ところが現在の本市企業局管理者が就任した2019年度から、事態が大きく転換することとなりました。6月には「本市ガス事業・発電事業あり方検討委員会」が設置され、10月には「株式会社への譲渡」との答申をおこない、一気に事が進められてきました。市長、本市はこの3月「金沢市ガス事業・発電事業譲渡基本方針」を打ち出しました。これは、2016年本市企業局経営方針とは全く異なる方針です。今後10年間は、公営事業として進めていくとした2016年の経営方針は、市民と議会に対する本市としてのお約束です。この約束を破り、株式会社へと譲渡することを進めていくことは、市民と議会に対する裏切りではありませんか。市長の見解を伺います。

-山野市長

 経営戦略が発表がなされました。何度も申し上げておりますが、その後ガス・電力の自由化が法律が変わりました。私はそれに準じていくことは大切なことだというふうに思っています。事業を取り巻く環境が大きく変わってきているところであります。企業局内におきましても調査・研究を進め、今後の経営形態のあり方に関する検討委員会からの答申もいただきまして、ガス・発電事業を譲渡する方針を固めたものであります。

-森尾議員

 では、本市ガス・発電事業の株式会社への譲渡計画は、いまだ市民と議会の理解と合意はありません。100年間にわたって本市公営事業として運営されてきた本市ガス・発電事業を株式会社へ譲渡するとの大きな方針転換にもかかわらず、市長は、市民への説明会などの開催を行おうとしていません。一体、どういう理由でしょうか。

-山野市長

 私は、森尾議員は市民の代表だと思っております。森尾議員の後ろに多くの市民の方がいらっしゃる、私は森尾議員を通して多くの市民の方に説明をしている、そんなつもりでおります。私も選挙で選ばれた市民の代表ですので、多くの市民の声を受けながら説明させていただいているというふうに理解をしております。また、あり方検討会の議事録の公開をしております。検討資料も公開をしているところであります。随時、常任委員会であったりこの本会議でもご説明をさせていただいているところでもあります。また、特別委員会もお作りいただいて、特別委員会でも外部の先生にお越しいただいて議論を進めていただいているとお聞きをしているところであります。大変うれしいことだと思っております。また、都市ガス・簡易ガス全てのお客様に対しましてもダイレクトメールを発送し、幅広い意見募集に努めてきているところであります。そのうえで、本年3月に基本方針を策定したものであります。引き続き、様々な形で皆様に意見交換をさせていただければと思っています。

-森尾議員

 これだけの大きな方針転換にも関わらず、市長、あなたは市民に直接あなたの口からの説明はしないと。では、市民の代表である議会の方はどうかと。本市私有財産条例第4条には、議会の特別議決を要する公の施設が明記され、施設の廃止又は5年を超える期間にわたり施設の全部又は一部を独占的な利用をさせようとするときは、議会において出席の3分の2以上の者の同意を要するものとするとしています。この公の施設としてガス事業施設が明記されています。今回の本市ガス・発電事業の株式会社への譲渡は、この条例の適用を受けるものです。市長の見解を伺います。

-山野市長

 事業譲渡につきましてはこれまでも議会において、様々な議論がなされているところであります。引き続き、今おっしゃいましたような私有財産条例に基づく特別議決も含め、議会において慎重なる審議のうえ、適切にご判断をいただければというふうに思っています。

-森尾議員

 本市にとって重要な公の施設であることから、この施設の廃止や独占的な利用を行う際には、議会議決についても、議会において出席の3分の2以上の者の同意を要すると、これが条例の趣旨です。したがって市民の代表である議会において、充分な議論と合意が求められます。ところが、株式会社への譲渡が進められ、今年度末には優先交渉権者が決定されるとしています。そして、本市がこの優先交渉権者と契約を結ぶこととなります。その後、必要な条例や予算などが議会に審議されることとしています。これでは議会は市当局が進める事への追認機関ではありませんか。市長は、かねがねから二元代表制を述べてきました。であるならば、このまま優先交渉権者を決めるのでなく、本市ガス・発電事業の株式会社への譲渡について、議会の意向を聞くべきではありませんか。

-山野市長

 今こうやって議論をしていることが、議会のみなさんとの大切な審議だというふうに思っています。財産処分を伴います重要な案件ですので、譲渡先となる優先交渉権者を明確にした上で議会にお諮りするのが私は適切であるというふうに思っています。引き続き、年度内の優先交渉権者決定に向けた手続きを進めてまいりたいというふうに考えています。議論を具体的にしていければと思っています。

-森尾議員

 本市議会のガス事業・発電事業民営化に関する特別委員会が設置され、審議が行われています。議会の審議を重視すると言うならば、優先交渉権者を決める手続きを中止し、議会での審議を優先すべきではないかと考えますが、市長の見解を伺います。

-山野市長

 何度も申し上げますけれども、ここで議論をしていること、また特別委員会でご議論をいただいていること、それが私は議会のみなさんとの真摯な議論だというふうに思っています。やはり重要な案件であるだけに、具体的な優先交渉権者を仮契約の上でお諮りしながら、具体的な議論を進めていけるのではないかと思っております。

-森尾議員

 条例においても大変重要な公の施設、そしてその中のひとつにガス施設について明記をされている、したがってこの条例の適用を受けて、今回のガス・発電事業の譲渡については議会の3分の2以上の同意が必要だと。この意味は、議会にも十分な審議と情報提供を行い、ご意見を伺うというのがこの3分の2以上の同意事項の趣旨なんです。これは、市長も認めざるを得なかった。

 それでは、もう一つ重要な問題がありました。3月に打ち出された本市の基本方針の中に、事業継承者の選定方法・要件を明記し、その選定要件の中で「本市職員の派遣」について本市職員を派遣するとしています。まず、現在の本市企業局の職員とガス事業・発電事業を担っている職員数について、管理者から答弁を求めたいと思います。

-寺嶋公営企業管理者

 現在、職員数は342名でございまして、うちガス事業が116名、発電事業が19名でございます。

-森尾議員

 この地方公務員派遣法に基づき職員を派遣するとしていますが、株式会社など民間への職員派遣は、退職派遣となっています。市長から説明を求めたいと思います。

-山野市長

 円滑な事業譲渡、そして市民のみなさんの安全・安心を担保するという意味でも、私は職員の派遣というのは大切であるというふうに思っています。職員の派遣につきましては法律に基づいています。公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律、この法律に基づいて、市への復職を前提に退職の上、株式会社に派遣することとなります。勤務条件等で不利にならないように配慮してまいります。

-森尾議員

 本市職員を退職させて派遣するんです。これはやるべきではないと私は考えます。公務員として市民の為に働こうとして入職された職員をいったん退職させ、民間に派遣する。こんなことをやるべきではないというふうに思います。市長は期間は3年間、復職が可能だと言っています。しかし、一旦株式会社への派遣を行ったら、戻って来てもガス事業・発電事業は本市企業局にはありません。まさに、片道切符ということが言えると思います。本人の志を踏みにじり、家族も含めての生活を脅かすことを市長、やっていいのですか。

-山野市長

 法律に基づいて、ご本人に説明をし、そして勤務条件等で不利にならないような形でさせていただく。そのことをご理解いただいたうえで対応したいと思っています。

-森尾議員

 今回、ガス発電事業の問題について私は2つ取り上げて問題を提起しました。譲渡への議決については、議員の3分の2以上の同意が必要だと、それだけ重要な案件だと。そしてもう一つは職員の派遣、こういっても退職派遣なんです。このことを具体的に指摘をしました。私は、今回のガス発電事業の譲渡問題はやめるべきだと、改めて指摘をして、次に移ります。

 1000年以上に1回の降雨による想定最大規模の水害ハザードマップが作成されました。去る8月3日本市議会の防災・安全対策特別委員会が参考人による講演を行い、その中で青木賢人・金沢大学准教授は、本市水害ハザードマップについて次のようにお話しをされました。ひとつは、犀川や浅野川が氾濫するだけでもかなり広域に水害が想定されると。第2に市内平野部のかなり広い範囲が0.5mから3mの浸水の深さよりも上になっていること。したがって垂直避難では対応できない。第3に、数百年に一度、1000年以上に一度という洪水は現実に起こりうるものだと理解してほしい。以上の点が指摘されました。市長としては今回の水害ハザードマップについてどのように受け止め、今後の防災対策に取り組まれるのか伺います。

-山野市長

 すでに該当する地域・校下・地区に5月中に配布をしております。すでに説明会も行っておりますけれども、引き続き説明会にお伺いをしながら、地域のみなさんと危機感を共有していきたいというふうに思っています。地域のことは地域のみなさんが一番ご存じでありますので、どこに避難するか、また分散避難ということも含めて、みなさんと危機感を共有していきたいというふうに思っています。

-森尾議員

 そこで、旧菊川町小学校の場所に新竪町小学校と合併した犀桜小学校が新築するとして、この議会に建設工事に係わる契約議案が提出されています。この問題については令和元年12月議会で取り上げました。小学校を新たに建設することになるわけですが、再検討が必要だと指摘したわけですが、どのような検討と対策を行ったのか明らかにしていただきたいと思います。

-野口教育長

 1000年以上に1回の想定しうる最大規模の降雨によりまして河川等が氾濫した場合には、

建設地周辺で最大2m程度の浸水が想定されておりますことから、犀桜小学校の新校舎につきましては河岸浸食想定区域からできるだけ距離を置くために、校舎の配置について配慮をしたほか、教室・電機室等は2階以上の上層階や屋上に配置するなどして、児童生徒等の安全確保と学校の機能性維持に万全を期しているところでございます。

-森尾議員

 教育長が述べられたように、今回の水害ハザードマップでは、犀川区域の沿線に沿って建物の倒壊が想定される河岸浸食区域に現在の旧菊川町小学校の用地が位置します。そして洪水想定区域にも位置するわけですので、対策が必要だということで私は指摘をしました。しかし先ほど青木金沢大学准教授が指摘したように、この1000年以上に1度という洪水は起こりうるのだと、そして現実的に九州では7mから9mといった水害が発生しています。建物の2階以上に避難しただけでは命を守ることはできないということになります。したがって、レイアウトの変更とか教室を2階以上に配置したからといって、安全が確保されるとは到底言い難いというふうに思います。旧菊川町小学校の現在地に新しい小学校を建てて、果たして安全でしょうか?もう一度伺います。

-野口教育長

 青木先生はよく存じ上げております。青木先生に今回お話をお伺いいたしますと、おそらく旧菊川町小学校辺りでは2mを超えて3m近くまで水位が上がるのではないかとお話をされているとお伺いしました。青木先生は金沢市の教育委員会におきましても大切なアドバイザーでいらっしゃいまして、いつもお話をさせていただくのですが、非常にこういう問題に危機感を持たれて、想定外を常に想定しなさいということを指導をいただいています。そうした中で、今お話がありましたけれども犀桜小学校新校舎建築にあたりましては、先ほど述べた2つのこと以外につきましても、例えば校舎部分をこれまでよりも70cm程度嵩上げを行うことにいたしていますほか、一般家屋と学校はやはり違うと思っていまして、校舎の1階あたりの階高は約3.75mと高いことでありますので、やはり安全性はきちんと担保できているんではないかと思っています。大事なことは今森尾議員からご指摘がありましたけれども、やはり水害が想定される際にはできるだけ早く情報を入手しながら子供たちを安全な場所へ的確に避難させていくことが大切であると思っていますので、被害を出さない取り組みをしっかりと進めてまいりたいと思います。

-森尾議員

 ですから、犀川沿いからいかに遠くに位置するかということを考えると、旧菊川町小学校に建てるのではなく、旧新竪町小学校に建てるというのが理屈として通らないですか。それは検討されたのでしょうか。

-野口教育長

 新竪町と菊川の両校下の地域の方々と保護者の方々のご理解をいただきながら、旧の新竪町小学校、旧菊川町小学校を統合して犀桜小学校を開校させていただきました。そのときにいろんな会議がございましたけれども、その会議のときにできるだけ早期に耐震化がなされた安心で安全な学校で学んでほしい、またできるだけ適正な規模の中で子供たちに切磋琢磨しながら学んでほしい、そうした地域の方々・保護者の方々の思いに沿いながら、まずは市有地である両校の敷地から選定を行った結果、両方の学校の通学区域を考えるとちょうど真ん中にあたるところにあります旧菊川町小学校の敷地に新たな小学校を建設するとし、その間に暫定的に旧新竪町小学校の敷地に暫定校舎を建設する、そういった地元の合意が得られましたので、旧菊川町小学校の方に校舎を建設することになった次第であります。今後も考えられるできる限りの安全対策をしっかりととってまいりたいと思っています。

-森尾議員

 教育長、避難が大切だと、こうおっしゃいましたので、旧新竪町小学校と旧菊川町小学校の避難計画を見ました。その中に、避難場所について、そして避難の経路について書かれていました。私は体験してきました。旧新竪町小学校は現在、旧菊川町小学校と合併した犀桜小学校が使用しています。この旧新竪町小学校の避難計画では、小学校から歌劇座へ避難することになります。450m、徒歩約6分です。又は県立工業高校に避難する。450m、約6分です。一方、旧菊川町小学校の避難計画では、小学校から猿丸児童公園へ避難する。約500m、徒歩約7分です。さらに、ここから小立野小学校へ1200mですから、徒歩約17分かかることになります。これが、2つの小学校の現時点での避難計画・避難ルートなんです。どう考えても旧新竪町小学校の避難計画と避難ルートの方がいち早く行ける、そして避難場所も一定のスペースがある。一方、旧菊川町小学校は猿丸児童公園へ行ってみましたけれども大変狭い、周辺が住宅に囲まれている、さらにそこからあの坂道を通って小立野小学校に行かなければいけない。こういう避難計画になっておりました。感想をお聞きしたいと思います。

-野口教育長

 毎年、学校の方から管理運営計画というものを提出をいただいています。教育長でありますので、各学校の管理運営計画には目を通す、そして目を通したものについて必要であればいろいろと学校長と意見交換もさせていただいております。今森尾議員がおっしゃられたことにつきましても、私は重々承知をしております。今話題になっているのは水害ということになりますので、今はそういう避難経路になっておりますが、いろんなすべての様々な災害を通してその災害に対応する避難場所としてお話されたと私は思っているのですけれども、地震のように突然やってくるのではなくて水害というのはある程度一定の時間というのがありますので、そうした意味で情報をしっかりとらえたうえで避難を早め早めにやっていくというのが私は大事ではないのかなと思っておりますので、旧菊川町小学校の敷地内に建設される新校舎が供用を開始される際には、立地条件とか、校舎が新しくなりますので、改めて学校で検討を行いながら地域の学校の一時使用等を踏まえた新たな学校防災計画をしっかりと定めていきたい、そんなふうにして思っております。

-森尾議員

 今議会に建設をするための議案案件が出ていますので、もう少し立ち入って質問したいと思います。まず、今回の計画で新しい学校の屋上にプールを建設するという方針です。より高い場所に避難するということを考えた場合に、プールを屋上に建設するのは再検討が必要ではないかと思うのですが、見解を伺います。

-野口教育長

 プールの配置等につきましても様々に検討をさせていただきました。まず地域や保護者の方々からもご意見を頂戴しました。そうしたご意見を踏まえながら、やはり屋上にプールを持っていく方が利点はたくさんあるということで話に至っています。いくつか例を挙げます。まず教室とプールを子供たちがスムーズに移動できる。今の運動場等にプールが配置されていますと、3階4階から子供たちが一旦学校の1階に降りて、一度外履きに替え、プールに移動、さらに着替えをし、そして授業に至る。授業が終わったらその反対の動きを作らなければいけない。そうしたスムーズさというのが1点。もう一つは、プールが外にありましたら外部からの侵入者とか外部の目というものがありますので、安心・安全が担保できない。またもう一つは、これまでも議会で呼ばれましてずいぶんお叱りを受けたのですが、プールの中に物が投げ込まれているということで、プールに異物が投げ込まれたり、時にはあってはいけないことなんですが薬品が投入されるとか非常に危険なことも考えられる。さらにはもう一つ考えられることは地域の声にもありましたけれども少しでも校庭を広く使ってほしい、そういった観点からいろんな議論をして、屋上にプールを設けたということになります。

-森尾議員

 もう1点、現在の体育館をそのまま活用するという視点から、新しい校舎の建設配置を考えたと、こう説明がありました。体育館の方が犀川から遠い位置にあります。とするならば、現在の敷地状況から考えると、より校舎を遠い位置に配置するという視点を考えれば、校舎と体育館の配置そのものについても再検討することが、より安全対策として必要ではないかと考えますが、見解を伺います。

-野口教育長

 旧菊川町小学校の体育館は、森尾議員はご存じだと思いますが、いわゆる地震発生時の地域の方々の避難場所になっております。したがいまして、平成25年度に耐震工事を終えております。ただいろいろなご懸念もありますので、今回の犀桜小学校の新しい校舎を建て直すときには、いわゆる体育館の1階ピロティの床の底上げも合わせながらクッション性のある床材を改修するなどして、引き続きこれは有効に使っていきたい、そんなふうに思います。また新たな校舎の2階になりますけれども、防災備蓄倉庫を設けることとなっておりまして、体育館含めて校舎全体の安全性とか機能性を十分に検討し、そして地域の声も十分に反映させていただきながら、配置を決定したものであるということをご理解いただきたいと思います。

-森尾議員

 子どもたちの命と安全を守ることは、自治体と教育行政にとって最優先の課題です。他の問題を置いてでも子供の命と安全を守ることを最優先にしなければならない。その立場で、ぜひ今日のやり取りを今後の対応に生かしていただきたいと思います。

 質問の最後に、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の憲法三原則と教科書採択をめぐって伺います。去る8月21日、新潟・燕市教育長が定例の教育委員会において「コロナ禍を解消する方法は大きな戦争が発生すること」と述べ、この発言が教育にたずさわるトップとしてふさわしくないとして批判が広がり、本人は教育長を辞任する意向だと報じられました。戦後教育の原点は、憲法であり、その三原則。すなわち国民主権、基本的人権の尊重、平和主義です。そして、この憲法に基づく教育基本法にあります。教育長の見解をまず伺いたいと思います。

-野口教育長

 今森尾議員が仰せの通り、国民主権、また基本的人権の尊重、平和主義を三原則としております日本国憲法、また人格の完成や個人の尊厳など、普遍的な理念が大切にされております教育基本法は、戦後教育の原点であると私も思っております。本市の子どもたちにはこの日本国憲法を元にして学習をしっかりやり、自ら考えて判断し行動していけるように育ってほしいなと思っておりますし、教育基本法が示しているように知・徳・体の調和の取れた自立した人間の育成を図っているところでございます。

-森尾議員

 育鵬社の歴史教科書では、アジア太平洋戦争について、大東亜共栄圏をつくる「自存自衛の戦争」だとし「大東亜戦争」を見出しに併記しています。憲法と教育基本法とはかけ離れた内容となっています。教育長の今の認識を伺いました。戦後教育の原点についての考えとは、この育鵬社が歴史教科書に記載している内容とは乖離しているのではないですか。見解を伺います。

-野口教育長

 今回の教科書もそうでありますけれども、国の方では義務教育小学校教科用図書検定基準、こういったものがございます。この検定基準の一番肝心要のところには、教育基本法に一致していること、それからもうひとつは学習指導要領の総則や教科の目標に一致していること、これがしっかりと明示されております。大原則にたって今回の教科書はすべて検定をされているわけですので、その検定基準に合格した教科書の中から採択をしておりますので、私はこの教育基本法というものをしっかりと尊重していると思っております。

-森尾議員

 東京都教育委員会がこの育鵬社の歴史と公民の教科書を19年ぶりに不採択としました。大阪市、松山市でも不採択となるなど全国的に育鵬社の歴史と公民の教科書についての不採択が続いています。現在、この教科書の採択数は1万冊、採択率はわずか1%に満たない状況です。教育長は、こうした実態をご存じでしょうか。本市が引き続き来年度からの中学校の歴史教科書について育鵬社を採用したことについて、この本議会でやりとりがありました。その中で、現場の先生方の調査に基づく評価では他と比べて低かった教科書の採択だと、そして教育委員会では4対3の採決によることが明らかとなりました。こうした結果について、教職員や関係者、市民に理解と信頼を得られていると考えますか。見解を伺います。

-野口教育長

 全国の動きになりますが、これについては地方の新聞紙等ではなかなか伺い知ることはできませんでした。こういう立場でありますので、ある程度全国の動きは把握しなければならないと思いながら個人的には動きは少しずつ把握していたつもりであります。しかし今回一番大事なことは、この採択にあたった教育委員というのは他の地域の教育委員ではないということです。金沢の教育委員であるということで、そのことを自覚を大事にされて他の自治体の採択状況に左右されないで今回の採択の審議に臨まれたのではないかと思っております。私自身も金沢の子どもたちと学校を訪問しながら接しますし、様々な資料などに目を通しながら、そうした学びの様子を研究しながら、しっかりと各教科書を読み比べ、場合によっては3世代前からの同じ会社の教科書も全部読み比べながら、その上で自分の考えを作って各教育委員と慎重に審議を行い、今回適正に、かつ公平に判断をさせていただきました。

-森尾議員  現在の教育委員会制度は、あの戦争中に国家権力が教育を支配し戦争へと突き進んだ事への反省から生まれたものです。教育委員会の独立性、多様な意見を反映し議論を尽くし、意思決定を行う合議制は、非常に重要なことなんです。ぜひ教育長、今回の教科書採択に当たって、こうした点を今後とも十分活かされるよう望んで、質問を終わりたいと思います。

大桑初枝議員

質問の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団の一員として質問いたします。 

最初に、このコロナ禍における介護事業所の継続についてお伺いいたします。

 新型コロナウイルスの感染が拡大する中、自粛要請を受けながらも、命と暮らしを支えるために介護の現場では、懸命に感染対策を講じながら、介護サービスが行われています。しかし、今なお、新型コロナウイルス感染症の「第1波」の下で生じた、介護現場の困難さが解消されたとは到底言えず、「崩壊」につながりかねない事態に直面しています。
 介護事業所は、様々な基礎疾患を持った高齢者も利用・入所しており、感染すると重症化するリスクが高い環境にあります。職員はこうした利用者と接触することがさけられません。職員は「いつ自分が感染するか」「感染させてしまわないか」という大きな不安を抱えながら日々の介護にあたっており、疲労感、ストレスが増大しています。
 また感染を不安視した利用控えは利用者に大きな影響をもたらしています。利用控えは、利用者の状態や病状の悪化、体力の低下、他者と接する機会が減ったことによる、うつ症状や認知症の進行なども生じています。身体的機能の維持が難しい利用者が、リハビリなどを短期間でも中断すると、回復が難しくなるケースもあるといいます。
 厚労省はデイサービスの利用を減らした分を訪問介護に振り替えることを可能としました。しかしヘルパーの体制は、以前からも厳しく対応が困難な実態があります。そのうえ、1回の訪問に対する報酬は、通所サービスより下がり、事業所としては減収になってしまいます。「三密」を避けるためにとった受け入れの縮小なども、収益の大幅な減少につながっています。介護事業所は新たな経営困難に直面しています。
 今必要なのは、介護事業所への経済的・人的な支援です。必要な規模の支援策を速やかに講じられるよう求めます。
 介護職員については、離職率が高く人材確保が難しいなどの状況が続いています。これは介護職員の賃金が低いなどの処遇改善が進んでいない事があげられます。介護職員の月収は全産業より7万円以上低い状態に置かれています。現行制度では、基盤整備や処遇改善をすれば保険料や利用料に跳ね返るというのが現状で、このため、慢性的な人手不足のもとで施設経営はギリギリの状態で運営されてきました。このままでは経営悪化による事業所の縮小・閉鎖を招きかねません。事業所がなくなると、高齢者は行き場を失います。

①   地域の介護基盤の崩壊を防ぐためにも、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う介護事業所の運営や減収の状況を調査し、国の支援だけでなく本市としても財政支援を行うことを求めますがいかがでしょうか。
②   介護職員の処遇改善も喫緊の課題です。厳しい体制の中、感染リスクにさらされながら、利用者の生活を懸命に支えている、介護職員に対する支援、処遇改善を、国に求めるお考えはありませんか。保険料や利用料の負担増で処遇改善を図るのではなく、税金の使い道をあらためることで改善を図るべきだと考えますが、いかがでしょうか。そして、本市においても、介護の現場で働く方々の負担を軽減する施策を講じるお考えはないでしょうかお伺いいたします。

感染症対策の検査、必要物資の安定的な供給体制についても、お聞きします。

 未だ終息を見ない状況の介護現場で、今なお憂慮されているのが、感染予防・防護に必要なマスクやグローブなどの衛生用品の不足です。
 医療の現場もそうですが、介護現場ではマスクや手袋、消毒液の不足も問題となっています。コロナウイルスの感染拡大が続き、冬場のインフルエンザ流行期と重なるようなことになれば、マスクや消毒液の入手が困難になることは容易に想像されます。
①   今のうちから、マスクや消毒液など必要物資を確保し、介護施設に安定的に供給する体制を取るべきかと思いますが、いかがでしょうか。
②   また、安心安全な介護サービスの提供を行う上で、PCR検査を必要とする介護従事者及び介護サービスの利用者に対し速やかに検査を実施する体制を整備することが、最も大切なことですがいかがでしょうか。お伺いいたします。

この質問の二つ目は、介護保険制度についてです。

 2000年4月にスタートした介護保険は、「サービスを自由に選択できる」などのメリットが宣伝され「介護の社会化」が進むことへの期待感がありました。しかし、20年たった今、利用者増に対し保険の範囲は縮小され介護離職と介護従事者の離職が後を絶たず支え手不足は一層深刻になっています。介護によるストレスが解消されるどころか、大きくなり、施設でも在宅でも家族への負担は重くなっている現状があります。保険料も当初は国民の反発を抑えるためにか低く抑えられたものの、3年に一度の「介護保険事業計画」の、見直し毎に上がり続けています。こうした中、昨年12月末には全世代型社会保障改革会議の中間報告が発表されましたが、その内容は全世代に「負担増と給付の削減」を強いるものでした。低所得者の介護保険施設利用料の引き上げやサービス利用に際しても上限額の引き上げの実施なども計画されています。
①   負担増と給付の削減を強いる中間報告を見直し、誰もが安心して介護を受けられる体制に切り替えるよう、本市として国に働き掛けるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
②   第8期の介護報酬改定で負担増はすべきではなく、高すぎる保険料の引き下げこそ、検討すべきだと思いますがおうかがいいたします。

 次にコロナ禍によって、苦境に立っている障害者就労継続支援事業所についてお尋ねいたします。

 新型コロナによって多くの障害者就労継続支援事業所が、収入の減少に陥っています。このことは、直接利用されている方の生活に大きな影響を、及ぼすことから改善が求められています。「きょうされん」の全国事務局の調査ではイベントの自粛等により販売機会の減少に伴いA型、B型作業所の半数以上で工賃収入が減っているとの回答がよせられているとの事でした。
 B型の事業所では、お菓子の箱を組み立てる作業をしていましたが、コロナの影響で贈答品のお菓子の売り上げが減ったことで、仕事が減り工賃収入が減っていると言います。
 国の支援策として6月の補正予算で、事業所の事業継続を支援する障害者就労継続支援事業所活動支援事業費が計上されました。これは生産活動が前年同月比で50%以上の減少、もしくは連続して3ヶ月30%の収入の減少が条件になっています。本市としてこの支援策の対象となった事業者は全体の何割に当たるかお尋ねいたします。
 ある障害者就労継続支援A型事業所は、障害の方が働く場として、ホテルの掃除の仕事がありました。コロナの感染拡大の影響でホテルの仕事量が激減し、生産活動が大幅な減収になりました。その為、賃金の支払いが大変で、活動支援事業費50万円の支援を受けましたが、到底足りないと言います。
 また、B型の事業所の方も、イベントの自粛や下請けの仕事がなくなり収入が大きく減少したといいます。不足した減収部分を補うために、畑を借りて作った野菜を売り、何とか利用者さんには今までの賃金を保障するようがんばっていると言います。しかし全体に赤字が続いてはいるが、50%まで減少はしないので、就労継続支援事業所活動支援事業費の、対象にはならないと言います。
 多くの障害者の就労支援事業所は営利を目的とするのではなく、障害のある方にとって訓練の場であったり、働く場であったり生活する場であったり様々な役割があり欠かせない存在となっています。しかし、就労継続支援事業所は普段から厳しい運営をされています。そこへ、このコロナ危機です。困難に寄り添った手立てが必要になるかとかと思います。そこで

  •    本市としてどのような事ができるのか、どのような支援の制度があるのか、お伺いいたします。
  •    又、国の、活動支援事業費は、生産活動が前年同月比で50%以上の減少などの要件が必要です。運営が困難となっている事業所に寄り添い持続可能な支援の在り方を求めますがいかがでしょうか。お伺いいたします。

 ここでも消毒液であったりグローブであったり衛生用品の切れ目のない提供体制を求めています。収益が大幅に減少している他方で衛生用品などの購入などによって、支出は増えており事業所の経営はこれまでにない厳しい局面を迎えています。
 消毒液などの供給は9月補正予算案の中で計上されていますが、一度きりではなく、安定的な供給体制を支援すべきではないでしょうか。お伺いいたします。
 障害を持った方の事業所は三密にならざるを得ない状況下にあります。どうしたら、コロナウイルスの感染者を出さないよう、活動ができるのか、細心の注意を払っています。そうした中で相談ができる窓口が欲しいと言われました。なかなか保健所につながらないこともあり相談窓口の強化をしてほしいという要望があります。
 この点についても、本市のお考えをお聞かせください。

質問の最後は、学校再開後の教育環境の充実についてです。

6月1日から全国の学校が3カ月ぶりに再開しました。3カ月間もの長期休校は、子どもたちに大きな不安とストレス、学習の遅れと格差の拡大などをもたらしました。 そして短い夏休みを経て新学期を迎えました。
 その中で、新型コロナウイルス感染から子どもと教職員の健康といのち、子どもの学びの権利、これをいかにして守っていくかは重要な課題です。 子どもたちを受け止めながら、学びとともに人間関係の形成を保障する柔軟な教育こそが必要とされています。
 保護者と教員の方々からは、「限られた時間内に1年分の内容を詰め込むのは無理」という事で、子どもの状態を見ながら、また学校の行事も工夫をしながら学習を行なっていくという事は先の議会での中でも答弁されています。
 にもかかわらず、8月24日付の新聞報道で本市が、学力テストを実施するとの記事がありました。コロナウイルス感染症の蔓延によって、教職員は感染症対策をしながら授業時間の確保や、限られた時間内で児童たちに学ぶ楽しさを提供する努力を強いられています。また児童は、慣れない環境下で授業のコマ数が増えたり、課題をこなしたりと大きな負担を背負わされています。さらには、感染予防という事で大きなストレスを感じています。そうした状況の中での学力テスト実施には、疑問を感じずにはいられません。
 教職員の方々からは、「なぜこの時期にやるのか」「最も心配なのは子供のストレス」という声が上がっています。
 教職員や児童生徒のこうした声や、言動に対し、まず本市が行なうべきは、教職員や児童の負担の軽減を図ることではないでしょうか。おうかがいいたします。県内でも19市町のうち8市町の小中学校が学力テストの実施を決めました。
 学校では今年度、プール学習、宿泊学習、体育大会などの楽しい行事がなくなり、 調理実習も、家で作った調理を写真でとってくるという風な事で子供の学びの場も大きく変わっています。
 本市は学力テストの扱いについて、3 時間のテストを8月末から10月の間で、各学校の状態に合わせて時期や期間を決めて取り組むとしています。コロナ禍で困難な今こそ、各学校で「今必要な学びとは何か」を考え柔軟で自主的な学習が必要と考えます。
 児童にとっても、先ほど述べたように、現状でさえ負担を強いられているに、またプリントテストに追われてしまいます。
 学校は学力向上だけの場ではありません。子どもたちの学びをプリント攻めにするのではなく、本来の学びの場に基づく場となってほしいと思います。
 コロナウイルスによって、教育現場は大変混乱しています。混乱に拍車をかける学力テストの実施を断念するよう求めますがいかがでしょうか。

 この質問の二つ目は、小中学校のエアコンの設置についてです。

 市長は補正予算の中で、中学校のエアコン設置を前倒しする予算が計上されました。私ども日本共産党市議員団も、これまでも幾度となく、市民と保護者の方と一緒に早期にエアコン設置を求める申し入れを行ってきたところです。早急に全校に設置されることを望みます。まだ、異常な暑さが続いています。小学校エアコンが未設置の学校27校のうち9校が完了したとお聞きしました。あとは10月末までに、小学校は完了するという事ですが、この1ヶ月何とか工事を早め小学校すべてにエアコン設置を完了する事は、できなかったのかおたずねします。
 エアコンのない学校については冷風機などの設置で、暑さ対策、熱中症対策が必要ではないでしょうか。大きな扇風機と小さな扇風機が入っていると、言っていますが、どのような熱中症対策をされているのか、どのような暑さ対策をしているのかお尋ねして、私の質問といたします。

―山野市長

 7番大桑議員にお答えをいたします。

 まず、介護現場のことについて何点かお尋ねがございました。介護事業所の経営は、介護保険制度における介護報酬により賄われているものでありまして、市が独自にその減収分を補てんするものではないということをご理解いただければと思います。なお収入が減少した場合は、持続化給付金制度など国の制度を活用していただきたいというふうに考えています。介護従事者の処遇改善のことについてお尋ねがございました。介護職員の処遇につきましては、市民からの保険料や利用料に加え、国・県・市の財政負担を財源とする介護保険制度の中で対応をしているところであります。現在国において、来年度の報酬改定に向けた議論が始まっておりまして、まずは国の対応を注視していきたいというふうに考えています。そして介護現場の負担軽減を図るための施策についてもお尋ねがございました。この負担軽減を進めていくためには、なんといっても人材確保が不可欠であると思っています。そのためにも介護職員の処遇改善が大切になってきます。現在国において議論が行われているところでありますので、先程申し上げましたようにまずは国の動向を注視していきたいというふうに考えていますが、第8期介護保険事業計画を策定していく中で、市として実現可能な施策を検討していきたいとも考えています。マスク・消毒液等の衛生用品の確保についてお尋ねがございました。介護事業所に対しましてはこれまでも、マスクや消毒液などの衛生用品を支給しているところであります。今後も備蓄用も含め、継続してバックアップをしていきたいと考えています。今回の補正予算案におきましては、衛生用品の購入経費に対する市独自の補助金を増額しており、必要な介護サービスが利用できるよう、介護事業所の感染予防対策に取り組んでまいります。PCR検査を介護従事者・利用者に速やかに利用できるようにということでした。先般、国は都道府県に対し、感染状況に応じ、医療機関や高齢者施設等の職員、入院・入所者等を対象とした検査の実施を要請しているところでありまして、今後の動向を注視すると同時に、金沢市の保健所におきましても検査能力の強化にも取り組んでまいりたいと考えています。

 国の全世帯型社会保障改革の中間報告の見直しのことについてお尋ねがございました。国に対しましては、介護保険制度の持続的かつ安定的な運営のため、自治体の財政負担や市民の保険料負担が過重とならないように、国費負担割合を引き上げることを全国市長会を通しましても強くここは要望を重ねているところでもあります。引き続き動向を注視してまいりたいというふうに考えています。高すぎる介護保険料の引き下げも検討すべきだというご意見がございました。介護保険制度におきましては法令に則りまして給付費の一定割合を保険料で賄うことが定められています。第8期介護保険事業計画における令和3年度からの介護保険料につきましては、これから今後3年間に必要なサービスの給付量を適切に見込み、その費用に合った額を設定することになっていますことをご理解いただければと思います。

 障害者就労継続支援事業所のことについて何点かお尋ねがございました。困難な事業所に寄り添った支援が必要ではないかということです。本市では、障害者就労支援施設を支援するために、4月臨時補正におきましてマスク等の衛生資材の製造に取り組む施設等に対する奨励金制度を設けるとともに、市ホームページにこの制度に関する応援サイトを開設するなど、市独自の支援策を講じてきたところであります。今回の補正予算におきましても、市内全ての障害者就労支援施設を対象に、コロナ禍において減少した受注の回復を支援するため、新規発注する企業等への奨励金制度を創設するなど、市独自の支援策をお諮りをしているところであり、引き続き事業所に寄り添った支援に努めてまいります。消毒液やグローブ等の衛生用品の購入支援につきましては、安定的な供給体制を支援していくべきではないかということです。障害福祉施設に対する衛生用品の購入支援につきましては、3月及び4月補正に続き、今回お諮りした補正予算において、感染症防止対策の長期化も見据え、予算を大幅に増額し、追加計上したところであります。

 保健所の相談窓口の体制のことにつきましては、電話がなかなか繋がらないという声が多く聞こえてきた、なんとかならないかということです。相談窓口につきましては、保健師を増員するなど、順次強化にも努めてきました。今後、電話回線の増設等も予定をしておりまして、引き続き相談窓口の強化に努めてまいります。

―高柳福祉局長

 障害者就労継続支援事業所活動支援事業の対象となる事業所についてでございますが、国の補助基準に基づきまして対象となる事業所として申請のあったものは68事業所中21で、約3割でございます。

―野口教育長

 教育につきまして4点お尋ねがございました。

 はじめに、学校が再開されたが7限目までの授業や土曜日の授業をやめて、教職員や児童生徒の負担軽減を図ってはどうかということについてのご質問にお答えいたします。何とか年度内に当該学年の学習内容を終え、次の学年にスムーズに子供たちに学びに入っていってほしい、そんな思いから通常授業に加えまして4月・5月で失われました150時間程度の授業時数を確保する必要がありますので、学校間で大きな違いが生じないように、校長会議とも十分に協議をしたうえで、市内で統一して土曜日を授業日として設定いたしました。これが実現されれば、6月以降の行事につきましては通常通りの行事も行うことが可能でありますので、そんなところでご理解いただければと思っています。ただ土曜日の授業につきましては、市として月2回まで、それから原則授業は午前中までといたしております。それから学校の判断で7限目までの授業を行う場合は、例えば1時限の授業時間を5分短縮したり、また毎日行っている清掃を行わないなどとして、児童生徒や教職員の負担について十分に考慮させていただいています。また感染症対策と学びの保障の両立を目指しながら、教育委員会としましてサーモグラフィーカメラの設置、学校サポーター等の支援員の配置など、人的・物的両面から支援を行わせていただいています。

 次に、学力テストの実施についてご質問がございました。まずお話しておきたいことは、国・県の学力調査につきましては、国・県の通知に基づきまして今年度は実施いたしません。ただ、国や県から提供いただきました学力調査問題を見させていただきましたけれども、内容を見ましたら学習指導要領の理念や目標、また内容等に基づいて子どもたちが身につけていったらいいなと思うべき学力などを具体的に示すメッセージが盛り込まれて作成しておりますので、教育委員会といたしましては良質な問題であると思っています。このことから、本市におきましては調査問題を有効に活用していこう、そんなふうに考えました。なお学校現場の実情を踏まえて、調査問題を有効活用するにあたりましては、児童生徒や教職員の負担とならないように配慮するとともに、例えば1日に全てをやるのではなく日を変えて教科ごとにやるとか工夫をしながらやっていく、また結果については教育委員会の方に提出は求めないで、それぞれの学校の学力の向上の取り組みに反映してほしい、そんなふうにしながらこれを有効活用していきたいと思っています。

 次に、小学校のエアコンの設置工事についてご質問がございました。今年度の小学校のエアコン設置につきましては、昨年度の実績を参考にしながら発注単位や必要資材の確保などに配慮した工期としたものでありまして、できるだけ早い整備完了を目指しているということをぜひご理解いただきたいと思っております。

 最後に、エアコンの整備が終了していない学校について、どのような熱中症・暑さ対策を行っているのかというご質問でした。学校におけます暑さ対策は極めて大切なことであり、現在普通教室にエアコンの整備が終了していない学校におきましては、市として送風機を追加配備するなどの対策を講じております。また各学校では体操服など過ごしやすい服装で学ぶことや、すでにエアコンが設置されている特別教室等の有効な利活用、そして授業中では自由な給水・冷却材の使用など、様々な工夫によって熱中症や暑さ対策を行っているところでございます。

―大桑議員

 障害者施設の方からのいろんな相談の窓口を強化すると、先程答弁をいただきました。障害を持った方の就労支援、本当に一生懸命コロナ対策をやって頑張っているところなんですけれども、やはりいろんな疑問にぶつかったり、対策をどうしようかと考えるところが多くあると聞きます。相談窓口の強化っていうことで十分それが対応できるかどうかということはまだわからないんですけれども、9月議会の今の補正の感染対策費の中で、新しく高齢者・障害福祉施設感染症予防対策指導強化費、指導を強化するということで、医者や看護師の方が現地の指導に行くということを拡大をして、希望する施設の方に回るということはできないのでしょうか。

―荒舘保健局長

 補正予算に計上してあるものについては、いろいろな福祉施設の近隣の医療機関と連携しまして医師や看護師を派遣しながら、感染症対策を進めていくといったようなものです。それに対して、障害者施設なども含めていろいろ考えていきたいと思っております。

―森尾議員

 大桑議員が取り上げたように、コロナの影響で介護施設やご利用者の状況は大変困難な局面を迎えてきています。これにどう向き合い、行政として支援の手を差し伸べるかということが問われていると思うんです。具体的な提案をしたにもかかわらず、市長は一向にこの現実に目を向けることなく、行政としての支援はしないというような答弁が行われました。私は非常に重大であり残念だなというふうに思っています。
 具体的に言いますと、コロナの影響で介護事業所に対して厚生労働省が通知を出しまして、通常のサービスを行っている事業所に対して介護保険の請求については区分を2つ上げて請求しても良いと、これによって介護事業所を支援しようという通達を出しました。
 しかし、同じサービスを受けながら介護保険で1割から2割を負担しなければならない利用者にとってみると、納得がいかないということになりました。当然、介護事業者は利用者に承諾と理解を求めて保険請求することになりました。
 こうした現状の混乱や意見が全国の各自治体に寄せられまして、自治体によっては2ランクアップの区分請求を行わないで、その分については自治体として支援しましょうと、利用者には負担がかからないようにという配慮のもとで介護事業所に支援を行うという自治体が今全国各地で現れてきています。一体、この差は何なんだろうかと思うんです。市長としては、こうした介護の事業所や利用者の現実に目を向けて、支援を行うというのが必要ではないでしょうか。改めて答弁を求めたいと思います。

―山野市長
 まず何もしていないというふうにおっしゃられましたけれども、森尾議員も賛成をいただいている予算におきましても、これまでもマスクや消毒液の衛生用品の支給を行ってきているところでありますし、今後も継続していきたいというふうに申し上げているところでもあります。この議会の予算におきましても、衛生用品の購入経費に対する市独自の補助金の増額をしているところであると申し上げています。これからも情報をしっかり集めていきながら適切な対応を取ってまいります。

広田美代議員

 質問の機会を得ましたので、日本共産党市議員団の一員として以下数点質問致します。
まずは、台風10号の被害にあわれたみなさまに心からお見舞いを申し上げます。

・安倍首相の辞任表明を受けて

 それでは、最初の質問に移ります。
安倍首相が先日辞任を表明しました。
退陣の根底には、「安倍政治」が、経済、外交、コロナ対応、憲法改定などあらゆる分野で行き詰まった実態があります。
 20年続いたデフレに『3本の矢』で挑み、400万人を超える雇用をつくりだした、と安倍首相は誇って見せますが、その実態は、異次元の金融緩和で円安を加速させ、株高を演出する一方で、非正規雇用など不安定な働き方を増やしたにすぎません。しかも、安倍政権のもとで行われた2度の消費税率引き上げは、個人消費を冷え込ませ、実体経済を痛め続けました。
 こうしたアベノミクスや新自由主義的政策の破綻が、今年の新型コロナウイルスの感染拡大によって一気に露呈し、多くの人々を苦しめています。保健所や医療機関が疲弊したうえ、中小業者や労働者は苦境に立たされ、文字通り“生きるか死ぬか”の瀬戸際に直面しています。
 しかし、自民党総裁選を見ても、その訴えの中身は新自由主義路線、自己責任路線の継承でしかありません。
市長におたずねします。市長はこれまで、アベノミクスや2度の消費税増税について、進める立場でしたが、このような行き詰まりを前にどう評価しているでしょうか。また、経済を再生するために、何より必要なのは暮らしを応援することです。消費税を、増税前の5%に戻す減税の議論もありますが市長はどのようにお考えでしょうか。

ー山野市長

 28番広田議員にお答えをいたします。
 まずアベノミクス、また消費税のことについてお尋ねがございました。やはり一連の経済施策が株価の上昇であったり有効求人倍率の上昇につながったという評価もあり、景気回復・雇用の改善という面で私は、大きな効果があったというふうに思っています。消費税につきましては国会での議論を得て、税率の引き上げが行われたものであります。国家財政の再建、少子化対策への対応を進めていくうえで、私は一定の理解というものをいただきながら進めてきたものだというふうに思っています。必要不可欠な財源のひとつであると考えています。

ー広田議員

・市政方針、中期財政計画について

 今こそ、市民本位の経済政策への転換が重要です。
 そこで、本市の市政方針、中期財政計画について伺います。
 先日、本市が発表した中期財政計画では、コロナの影響で税収が減ることによる収支不足について、多い年では33億円にものぼる試算が出され、その不足に対応するため、公共事業費の抑制や一般行政経費の削減も行う方針を示しました。
しかし、公共事業費の抑制といっても、230億円以上は維持し、そのうちの経常フレーム58億円を70%に抑えるだけのものです。
 もちろん老朽化するもの、市民の身近な生活に関わる事業については必要です。
しかし、全体事業費100億円、Jリーグ基準にあわせた10000席対応のサッカー場や、経済界からの要望で一転した事業費が200億、300億も予想される歌劇座のオペラ座への立て替えは見直すべきです。サッカー場と歌劇座については予定通り進めるつもりなのか、方針やスケジュールなどあきらかにしてください。

ー山野市長

 サッカー場のこと、そして歌劇座のことについてお尋ねがございました。まずサッカー場は、第一次スポーツ施設整備計画の記載の通り、城北市民運動公園で収容人数一万人規模のサッカー場を移転整備をしたいと考えています。今年度実施設計を行っているところでありまして、2023年度中の完成を目指し準備をしているところであります。歌劇座につきましては、金沢歌劇座あり方検討会から答申・報告をいただいたところであります。今年度は懇話会の報告にありますように現地での建て替えも念頭に置きながら、高さ・敷地・財源の確保などの課題解決に向けて技術的な検討などを進めているところであります。まずはこうした課題解決のための方策を検討し、その上で具体的なスケジュールについて考えていきたいというふうに思っています。

ー広田議員

 今補正予算で中学校普通教室のエアコン設置の前倒しが示されました。我々がかねてから求めてきた通り当然必要ですが、来年の夏までに設置することになったとは言え、昨年も今年も多くの子どもたちが健康を奪われてきました。市長は整備時期が適当だったか問われ、「批判は甘んじて受け入れる」とお答えになったそうですが、批判は受け入れるだけではなく、今後の教訓にしなければ意味がありません。
 市長、不要不急の大型公共事業は見送りや中止をし、明日のくらしや経営が立ち行かない市民、病院や介護施設への支援など、市民の命と暮らしを守ることを優先する予算方針に転換が必要ではないですか。お答えください。

ー山野市長

 公共事業の見直し、政策を転換すべきではないかということでした。このコロナ禍、いろんな考え方があります。あと1年・2年続くのではないかというご意見もあります。感染症拡大防止と社会活動の両立が、私はこれからの課題になってくるというふうに思っています。国・県と一体となって市民生活の安全・安心の確保のため、全力で取り組んでいかなければいけないと思っています。また、老朽化が進む公共インフラの整備、さらには都市の発展基盤の整備は、市民のくらしを守り豊かにし、まちの拠点性を高め、活力と賑わいをもたらす、本市の将来に欠かせない投資であり、またコロナ禍で大変厳しい状況にある地域経済を下支えするためにも、一定の公共事業費規模を確保していくことが大切であるというふうに思っています。

ー広田議員

・PCR検査の拡充について

次にPCR検査の拡充について伺います。
 県内、市内で新型コロナウイルス感染者が再び増加をし、感染者受け入れ病院からもクラスターが発生するなど深刻な事態です。
 県のモニタリング指標4つのうち常に2つがオーバーする状況であるにも関わらず、これまで具体的な対策や方針が示されないまま、インフルエンザ流行期を前に市民は不安に陥っています。
 石川県では現行の検査機関にPCR検査機器を追加配備し、さらに民間病院230施設や民間検査機関の協力なども得て検査数を1500まで増やすとしています。来月からはかかりつけの病院もしくは、コールセンターに相談する流れへの変更も予定されています。
 病院の負担が心配ですが、
まずは、どのような仕組みに変わるのか明らかにしてください。
 そして、このことによって、これまで症状があって保健所に問い合わせても検査が受けられなかったようなケースでもスムーズに検査を受けられるようになるのでしょうか。あきらかにしてください。

ー山野市長

 PCR検査の受診・相談体制につきまして、どのように変わっていくのかということでありました。国では10月中をめどに身近な医療機関での相談、受診、検査体制の強化を目指しているというふうにお聞きをしています。ご質問されました「どのように変わっていくのか」ということは、詳細が分かり次第、市としてしっかり対応をし、広報周知を図っていきたいというふうに思っています。ただこれは拡充されることにより検査数は増加するものだというふうに思っています。

ー広田議員

次に、検査数の増加とともに必要なのが、対象を点や線だけではなく面的に位置づけることです。
 わが党はこれまで、感染震源地に対する集中検査や医療、介護、障害者福祉、保育、学校などの職員などへの定期的検査によって、無症状感染者も含めて把握・保護することで感染を抑え込む戦略を明確にして実行すべきだと国にも地方自治体にも求めてきました。
 先日本市のグループホームで起こった事案は、コロナとは別の原因で入所者2名が別々に救急搬送されたところ、2名ともに陽性が確認され、検査の結果、入居者や職員あわせて14名が陽性という結果です。このコロナウイルスが、無症状でも知らず知らずに感染させていく怖さを物語っています。
 病院や高齢者施設、保育施設などの定期的な検査を行い、無症状感染を食い止めることが必要です。
 ご存知の通り、世田谷区では、「いつでも誰でも何度でも」を基本におく、「世田谷モデル」を宣言し、現在1日300件のPCR検査を大幅拡充する方針を打ち出し、第1段として有症者などへの検査を600件に倍加し、第2段として介護施設や保育園などの職員などへの定期的な社会的検査を1日1000人程度行うことを目標としています。
 政府の対策本部でも先月28日に、感染流行地域での「医療、高齢者施設などへの一斉・定期的な検査」「地域の関係者の幅広い検査」について、政府として都道府県などに「実施を要請する」と決定をしています。
 行政検査こそ抜本的に増やし、世田谷区のように広く検査すべきです。
 もちろん、世田谷区では現在の保健所や保健師の体制ではむずかしいので、保健所の外側に体制をつくり保健所は保健所にしかできない仕事に専念していく考えだそうです。検査方法については、数人分の検体をまとめて検査するプール方式をとるそうです。これら世田谷方式に学び、病院や高齢者施設、地域など幅広い検査を行うべく、県とともに具体化するよう求めますがいかがですか。

ー山野市長

 面的な検査というものも大切ではないかということでした。今般国は、新型コロナウイルス感染症に関する今後の取り組みを発表し、その中で感染者が多数発生している地域等において、その期間は医療機関や高齢者施設等の職員、入院・入所者等全員を対象に一斉定期的な検査の実施を都道府県に対し要請をしているところでありまして、今後の動向を注視していきたいというふうに思いますし、ここは方向が決まりましたら県としっかりと連携をしていきたいというふうに考えています。

ー広田議員

 市立病院についてです。今補正予算で、PCR検査機器を追加配備するのであれば、院内クラスターを防ぐためにもすぐに職員や入院患者などの定期的な検査を行うよう求めますがいかがですか。

ー山野市長

 市立病院のことについてお尋ねがございました。今議会にお諮りいたしました補正予算案においてお認めをいただきましたならば、市立病院にPCR検査機器を配備したいと考えておりまして、患者や職員に感染が疑われるなど医師が必要と認めた場合には院内でただちに検査をし、早期に診断できる体制を整えたいというふうに考えています。市立病院では来院患者の出入口を一か所に限定し、検温・咳などの症状の聞き取りを行い、感染が万が一疑われる場合には一般患者と別にして診察を行うとともに、入院患者への面会制限を継続することで、院内にウイルスが持ち込まれることがないように感染防止対策を徹底しているところであります。加えて、職員に対しては日頃から適切な行動を取り、日常的な健康観察や標準的な感染予防策に努めるよう指導を徹底しており、今のところ患者や職員に対し定期的にPCR検査を行うことは考えてはおりません。ただ、今後も国・県の動向を注視をし、連携を取り、必要な施策が出ましたらしっかりと対応していきたいというふうに思っています。

ー広田議員

・保健所の機能強化、保健師の増員について

 感染症対応の要である保健所について伺います。
 日本では1980年代、中曽根内閣によって「民営化」と「規制緩和」を柱とする新自由主義が本格的に導入され、国鉄・電電公社などの民営化が果たされたのち、コスト論の見地から公衆衛生分野の要である保健所、医療分野では公立・公的病院の統合・廃止路線が進められ「平成の大合併」がこれに拍車をかけた中で今回の事態を迎えました。
 保健所については、1994年の保健所法の改悪により、設置基準が人口10万人に1か所から2次医療圏に1つとされ、全国では1992年に852か所あった保健所が2019年には472か所へ、石川県全体では96年まで11あった保健所が97年には半分以下の5か所にされました。その中で本市は、当時新規結核患者が130名という状況であるにも関わらず、3か所あった保健所がひとつにされてしまい、保健所保健師についても数名という配置が続いてきました。
 こうした保健所統廃合など公衆衛生政策のつけが今回のコロナ禍で全国的にも、保健所の崩壊寸前を招いています。
 本市では4月時点で、地域保健課の感染症対策係である保健師7名、看護師1名が本来の担当でしたが、人口46万、20万世帯にこの体制で今回のコロナ対応が可能なはずはなく、会計年度任用職員を7名採用し、4月のピーク時には本庁や福祉健康センターから18名の保健師、17名の事務や消防OBが応援に入りました。朝から晩まで電話がなりっぱなし、相談件数は多い時で1日320件を超え、本市では第1波の感染者はおよそ130名、その方々のPCRの検査関係、陽性者の行動歴や接触者調査、濃厚接触者については、2週間毎日電話をして確認する、クラスターが発生すれば対応というすさまじい状況でした。それでも、通常業務であるエイズやクラミジア、肝炎の相談や検査は門戸を閉ざすことはありませんでしたが、件数など縮小せざるを得ませんでしたし、4月の残業は、過労死ラインの100時間以上が医師や保健師で10名、もっとも多い保健師では257時間という結果でした。
 市長、本市が保健所を統廃合する際、わが党は当時の山出市長への質問に保健所所長会の佐藤氏の言葉を引用し反対しました。当時0-157が発生していた中で佐藤氏は警鐘をならし、「仮にこの全国に張り巡らされた保健所網がなく、医師である保健所所長が先頭に立っての臨機応変な諸活動がなかったなら、日本列島は新しいこの感染症にじゅうりんされ、もっとひどい混乱がもたらされていただろう」。
 このコロナ禍で、当時佐藤氏が警鐘をならしていた通りのことが起こっています。これまでの政策によって公衆衛生分野が縮小されてきた結果が、現在の混乱を招いている点についてどのように思われますか。

ー山野市長

 国の方針として、公衆衛生分野が縮小されてきたのではないか、そのことについてどんなふうに考えるかということです。平成6年、保健所法が地域保健法に改正され、住民に身近な母子保健サービスなどが都道府県の保健所から市町村に移譲されるなど、保健所と市町村保健センターの役割が明確化されたことから、すでに保健所設置市であった本市においても平成9年度に3保健所から現在の1保健所3福祉保健センターに移行をし、より身近な保健と福祉のサービス拠点として機能してきているところであります。こうしたことにより、保健と福祉の連携が強化されるとともに、これまでも保健所機能に必要な人員を配置してきており、公衆衛生分野を担う保健所として十分役割を果たしてきているというふうに考えています。

ー広田議員

 新たなウイルスの脅威は今後も予想されています。
 保健所がその役割を果たし、市民の命と健康を守るためにも、保健所の機能と人員体制を抜本的に増強する必要があります。
 保健所の機能については提案ですが、これから泉野福祉健康センターの建て替え工事が始まります。これを機に泉野にも保健所の機能を増やす検討をしてはいかがでしょうか。

ー山野市長

 泉野福祉保健センターについてお尋ねがございました。今回、新型コロナウイルス感染症の拡大に際しましては、法的権限の強い感染症対策業務を保健所に集約化したことにより、一元的な対応が可能であったと考えています。保健所機能が一時的に逼迫をしたことも事実でありますが、全庁あげての応援職員の派遣、新規採用による増員により対応をしてきたところであり、この体制の変更は考えてはおりません。

ー広田議員

 人員体制については、本市は、昨年度5月時点での保健師数は57名。中核市の人口当たりでは最下位です。8月から定数を2人増やしましたが、抜本的に増やす必要があります。現在中期人事計画の見直しが行われておりますが、保健師を計画的に増員していくべきですがいかがですか。
 ちなみに、アメリカでは接触者などの調査をするトレーサーは、人口10万人に最低30人という基準であり、本市に置き換えると120~150人必要です。

ー山野市長

 保健師の配置のことについてお尋ねがございました。新型コロナウイルス感染症への対応により、保健師の業務量が増大してきているということは十分認識をしておりまして、これに対応するため直ちに議会にお諮りをし、8月に3名の増員、10月にも1名を前倒しで配置を予定しているところであります。保健師の数のことについてお尋ねがございました。本市の保健師の場合は、他の自治体では保健師の業務になっていることの多い介護保険の新規申請の認定調査を本市の場合は健康福祉財団に業務委託をするなど、仕事の分担を行ってきたこともあるというふうに考えています。今後見直し予定の中期人事計画におきまして、今般の新型コロナウイルス感染症の感染状況、他の中核市の保健師の担当業務、配置状況、本市の職員数全体の状況を十分に見極めながら検討していきたいというふうに思っています。

ー広田議員

 一方で、保健所についての財政措置は地方交付金も出ていますが、保健所にどれほどどう使うかや保健師の配置については地方任せになっている実態です。本市では、統廃合後の2000年と現在を比較すると、保健所費で2600万円、人件費では1125万円もこれまで減らされてきました。保健所の機能強化や保健師の増員については、国からの財政支援とその裏付けとなる基準が必要です。これらの要求を本市としても国へあげるべきと考えますがいかがですか。

ー山野市長

 保健師の配置基準を設け、国への財政的な支援のことについてお尋ねがございました。保健師業務は母子保健、成人保健、感染症対策など、多岐にわたるところでありますし、自治体によって市民の年齢構成等が異なるところであります。先の答弁で申し上げましたように、仕事の担当業務の違いもありますので、全国一律の保健師配置基準を設けるということはこれはなかなか難しいというふうに考えています。今回の新型コロナウイルス感染症対応につきましては、感染症対策・地域経済対策など、多くの予算も必要となりますので、引き続き国に財政支援を要望していきたいというふうに思っています。

ー広田議員

・地域経済対策について

 さいごに、今補正予算に出された地域経済対策について伺います。

 今補正予算では、「五感にごちそう金沢宿泊キャンペーン」という金沢市版のGOTOトラベルともいえる事業が8億3千万円の予算で打ち出されました。
 しかし、GOTOトラベルについて、そもそも政府は『感染症の流行収束後に行う』としてきましたし、本来、感染拡大を抑えることが最大の経済対策だと考えるものです。
 全国で第2波が起こっている今、議会においても本市を含め視察の受け入れを断っている都市も多い状況です。本市のこのキャンペーンは、10月分は北信越、11月以降は全国に拡大するとしていますが、新型コロナウイルスに加え、インフルエンザ流行時期とも重なりますが、感染防止の観点から、保健所と経済局の間でどのような議論を行い、この時期での実施に至ったのかあきらかにしてください。

ー山野市長

 五感にごちそう金沢宿泊キャンペーンのことについて、保健所との連携についてお尋ねがございました。本事業においては、新型コロナウイルスの全国的な感染状況がクラスターを除き抑制されつつあるという認識のもと、地域社会経済活動の振興のため、補正予算の承認を得て、事業に取り掛かっていきたいと考えています。まずは北信越地域に限定した形で10月から行っていきたいと考えています。感染拡大防止・社会経済活動の両立を進めるべく、保健所を含めて全庁一体となり、今補正予算を編成したものであることをご理解いただきたいというふうに思っています。

ー広田議員

 次に、GOTOトラベルでは、「旅行者に対して37.5度以上の発熱があった場合は、保健所の指示を仰ぐことになる」など明記されています。一方で、GOTOトラベル参加の長野のホテルで陽性者が出ましたが、いくら感染が出ても“GoTo”を止める仕組みがないことも明らかになりました。
 市長、旅行者について、保健所との連携や入院先などの確保、感染者が出た場合の事業継続の判断について、どのような計画か伺います。

ー山野市長

 万が一、宿泊者に感染を疑われる方が出た場合のことについてお尋ねがございました。感染症を疑われる宿泊客が出た場合は、宿泊業界のガイドラインに基づき、宿泊施設が本市の帰国者・接触者相談センターである金沢市保健所に連絡し、その指示に基づき適切に対応することになっており、このことを宿泊事業者等に対し周知徹底をしていくところであります。全国的に爆発的に感染が広がるという状況が確認されるような事態になれば、事業の一時的な休止についても検討しなければいけないというふうに考えています。ただ、地域経済活動の振興のためには、継続的に事業を実施することが肝要でありますので、宿泊事業者等の感染対策を支援をしながら進めていきたいというふうに思っています。

ー広田議員

 もちろん、宿泊施設や飲食店などへの支援策は必要です。しかし、感染拡大さなかでアクセルとブレーキを両方踏むような矛盾した施策ではなく、事業所への直接支援を再度行うべきと考えますがいかがですか。

ー山野市長

 この3月・4月・5月と、特に大きな影響を受けた宿泊・飲食などの事業者に対しましては、これまでも国の持続化給付金等の支援策に加え、宿泊施設魅力向上等奨励事業を始め、事業継続のための給付金など本市独自の支援策を講じてきたところであります。感染症に関しまして様々な知見が蓄積されてきました。感染防止の徹底を図っていくなかで、ウィズコロナの時代がこれから1年とも2年とも言われているところであります。感染防止対策を徹底するということ、そして社会経済活動の両立を図っていく、私はそういう局面になってきているんだというふうに認識をしています。本来的な経済活動を後押しすることによって、持続的な形での雇用を維持していく、そして様々な業種への波及効果を生み出していくということが、私はもう必要なフェーズであるというふうに思っています。事業者へ直接給付金等を支給するという段階から、継続的な施策に取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。

ー広田議員

 さいごに、金沢の元気回復商品券支援事業費についてです。実施するプレミアム商品券については、その対象店舗について気になるところです。小規模な事業所や商店街に加盟していないところも含むべきではないでしょうか。

 金沢市の感染拡大防止、地域経済にとってよりよい施策になるよう求めて質問を終わります。

ー山野市長

 小規模な事業者や商店街に加盟していない店舗も該当するのかということでした。本事業では、新型コロナウイルス感染拡大による外出自粛等により、大きな影響を受けた市内の商店街を支援するために、まずは各商店街に自助努力を行っていただきたいというふうに思っています。地域のお客様のことは地域の商店街が一番ご存知でありますので、独自の施策を組んでいただきたいというふうに思っていまして、その中で応援をさせていただきたいというふうに思っています。それぞれの特徴があり、対象となる店舗もいろいろとまちまちであります。もちろん、複数の商店街との共同実施もあると思っています。地域住民の皆さんが利用しやすい、創意工夫をしてほしいというふうに思っています。できるだけ多くの店舗等に参加いただくよう、各商店街に働きかけていきたいというふうに思っています。

(再質問)

ー広田議員

 2点、改めて伺います。

 ひとつはPCR検査の面的な検査のことについてですが、政府の感染症対策本部も県に要請すると決定したと市長も述べておられましたが、やはり金沢市は一つ保健所を持ち、金沢市民の命と健康に責任を持つ立場であるということから、ぜひ保健所所長が医師として、専門家会議に出ておられますから、そのときにぜひ面的な検査を石川県でも行うべきではないかと発言していただきたいということがひとつ。
 もうひとつは、保健所の統廃合についての見識についてはちょっと残念です。やはり私はこれまでの政治の責任で今のコロナ禍の混乱を招いているというふうに反省すべきだと思っております。保健所と、昔の保健センター・今の健康福祉センターは、機能がわけられています。感染症を扱うのは今保健所しか法的にはないんですよね。昔は、保健師が保健所に数十名まとめていましたけど、今は7名です。増員されまして9名、前倒しっていうのは来年採用の人を1名入れただけですから、今結局9名の定数で、また新たにウイルスが来たら対応ができるのかという局面です。ですから、ぜひ保健師の増員をと求めたところです。その点、再度お願いいたします。

ー山野市長

 1点目のことですけれども、保健所長とはまだ具体的なお話はしておりませんので、意見交換をさせていただきたいと思っています。
 2点目の件ですけれども、先程申し上げましたことの繰り返しになってしまいますけれども、いろんな担当業務なんかもきちんと見直していく必要があるならば見直していきたいと思いますし、配置状況も確認をしていきたいというふうに思っています。十分見極めながら検討していきたいというふうに思います。しっかりとした対策を取っていかなくてはいけないというふうに思っています。

9月議会の日程が決まりました。
ケーブルテレビ、Youtubeで中継されますので是非ご覧ください。

2020年6月22日
日本共産党金沢市議員団
森尾 嘉昭
広田 美代
大桑 初枝

 本日、6月22日金沢市議会本会議において、「松村理治議員の議員辞職勧告決議」が市議会自民党(副議長を除く7人)金沢保守(6人)日本共産党(3人)創生かなざわ(2人)の18人連名で上程され、自民党、公明党の賛成多数をもって可決・成立しました。

1 この問題をめぐって、市議会各代表者会議が繰り返し行われ、6月8日の本会議開会日、辞職勧告決議に関する動議の提出、その後の代表者・幹事長会議、政調会の会議等での議論を経て、本日「松村理治議員の議員辞職勧告決議」が可決・成立したものです。

この間、この問題が全国にも報道されると共に、市民から、500件を超える批判・抗議の電話やメールが届けられ、6月市議会には、市民から議員辞職勧告決議を求める陳情書が提出されました。こうした中で、本市議会が辞職勧告決議を可決したことは、市民の声を受け、議会としての決意を明らかにしたものとして、重く受け止めなければなりません。

2 私どもは、今回「松村理治議員の議員辞職勧告決議」が可決・成立したことを受け、議長を先頭に市民のみなさんに伝えると共に、松村理治議員が、真剣に受け止められ、自ら議員辞職されるよう強く求めるものです。

*わが党は、松村前議長の行動は、第一に、5月19日県から休業要請のあった市内のパチンコ店で3時間から4時間パチンコしていたこと。本人は、4月4日新型コロナウイルス感染が確認され、一か月入院。5月7日に退院し、その際、医師から2週間程度の自宅療養を指示されており、5月15日の金沢市議会総務常任委員会には、欠席していました。議長が本人に確認したところ、19日だけでなく、17日にもパチンコ店で1時間から2時間パチンコをしていたことが明らかとなりました。 第二に、2月25日市長と共に、松村議長(当時)の連名で、市民に対して新型コロナウイルス感染対策を呼びかける訴えを出しにもかかわらず、3月24日本会議において議長を退任し、3月26日退任する本市幹部職員など40名から50名と共に、宴会を開きいていたことが明らかにされました。こうした行動は、市議会に対する市民の信頼を著しく損い、金沢市議会基本条例第26条にうたっている「高い倫理観と品位を保持し、議員として誠実かつ公正に職務を遂行する」ことにもとる行為だと考え、自らが議員の職を辞するよう求めてきました。しかし、本人からは、これを拒否したことから、議会として議員辞職勧告決議を行うよう求めてきました。

2020年6月22日 大桑 初枝

私は、日本共産党市議員団を代表して討論いたします。わが党は上程されました議案23件中、議案第8号、議案第19号の2件について反対です。その主な理由について述べます

議案第8号 金沢市児童福祉法に基づく家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例の一部改正についてです。

0歳から3歳未満の少人数の児童を対象に、保育者の居宅などで保育を行う家庭的保育事業は、設置にあたり連携施設の設定が求められていますが、要件を緩和するものです。そもそも待機児童の解消は、これまでの設置基準を満たす認可保育所で、行うことが基本とされるべきであり、設置基準を緩和した地域型保育事業そのものに、問題があります。

にもかかわらずそれらをさらに規制緩和して進めるのはさらなる保育の質の低下を招くものです。よって、今回の条例改正は、家庭的保育事業において、条件によっては連携施設を不要とするもので、さらなる保育の質の低下を招くもので認められません。

 次に議案第19号財産の取得についてであります。これは泉本町に新たな学校給食調理場建設用地を取得するためのものです。

本市教育委員会は、3月議会の中で、「新たな学校給食調理場整備計画」を示しました。その内容は、学校給食調理場施設について、現在17施設を6施設に最大15年間で統合集約するものです。そのために、大規模共同調理場を2つ新たに建設する一方で、4つある単独調理場をなくし、鞍月共同調理場と8つある学校併設の調理場を廃止するとしています。この方針が具体化されると本市の学校給食から単独調理場がなくなり、すべて共同調理場となります。

全国では単独調理場と共同調理場方式が半分半分となっている現状からも、、本市は単独調理場をすべて無くし、共同調理場方式にする方針は際立っています。泉本町に建設予定の共同調理場は、10年前の計画では7000食だったものが、今回の計画では8000食に、そして、新たな駅西・臨海地区に建設しようとしている共同調理場は1万1千食です。大規模共同調理場を2か所も建設する方針は、単独調理場を全部無くし巨大な共同調理方式へと一気に進むこととなります。大規模化して業務の効率化を優先するのではなく、本市がほこる食の教育、地産地消、直接雇用、災害からのリスクを減らすなど、子どもたちや地域経済にとってよりよい給食にするため、単独調理場こそ増やすべきです。よって、この議案第19号は反対です。以上で、討論をおわります。

2020年6月22日 日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭

 私は、日本共産党市議員団を代表して、議会議案第5号 積極的な検査戦略に転換し、経済・社会活動再開の下での新型コロナウイルス感染拡大を抑止することを求める意見書 の提案理由説明を行います。

 感染拡大の第2波に備え、安心して経済・社会活動を再開していく上で、医療と検査体制の抜本的強化が求められます。

日本の人口当たりのPCR検査数は、諸外国に比べて、けた違いに少ない状況です。

世界の先進国の集まりである経済協力開発機構・OECDの発表によると、加盟国の36カ国を対象に人口当たりのPCR検査数に於いて、検査数の多い順番で、日本は、36カ国中35位ときわだつ少なさとなっています。したがって、検査の在り方を根本から見直し、大規模に検査できる体制を整える必要があります。

去る5月21日、18の道県知事が緊急提言を発表し、その中で、PCR検査をはじめとする検査を大規模に拡大するため、体制の整備、治療・療養のための施設確保、積極的疫学調査などを求めました。会見の中で広島県知事は、PCR検査体制の整備のために2千億円から3千億円が必要だと述べました。また、日本医師会は、PCR検査センターの設置・維持に必要な予算を4694億円と試算すると共に、安倍政権による第2次補正予算では、このPCR検査体制の整備費が366億円と少ないことを指摘しています。

よって、国におかれては、PCR検査について、発熱などの強い症状がある人だけを対象としてきたこれまでのやり方と発想を根本から転換し、受動的検査から積極的検査への戦略的転換を行うよう強く求めるものであります。

したがって、この意見書は、

 1 感染が疑われる人、ごく軽症を含む有症者及び全ての濃厚接触者を速やかに検査すること。また、医療従事者、介護・福祉従事者および入院者・入所者への検査を積極的に行うこと。

 2 感染拡大を把握する抗体検査を広く行うこと。

 3 PCR検査体制の整備のため、少なくとも数千億円規模の予算を確保すること。

以上の点を求めるものです。議員各位の賛同を求め、提案説明を終わります。

2020年6月22日 広田 みよ

 わたしは、提出会派を代表し、ただいま上程されました「議会議案第6号 新型コロナウイルス感染症の影響により減収となった医療機関・介護事業所を存続するための公的資金の導入を求める意見書」の提案理由説明を行います。

 新型コロナウイルス感染症の広がりによって、医療機関は感染対策に奔走しながらも懸命な治療を行い、介護事業所はリスクの高い高齢者に感染させまいと必死で安全な介護を提供しています。

 このような中、医療機関では、感染者受け入れのための病床確保や、医師・看護師の特別体制をとったこと、受診控えによる外来患者の減少、一般診療や入院患者受け入れの縮小などによって、大幅な減収となっています。介護事業所でも、利用者の減少や新規入所者の減少が起こり、大幅な減収となり、経営危機に陥っています。

 医療5団体でつくる医療団体連絡会議は、全ての医療機関、歯科・介護・保険薬局などの事業所を対象に、前年同月の請求実績に基づいた診療報酬・介護報酬の見込み額を当面の間支払い、減収分の補てんを国に求め、全日本病院協会など四病院団体協議会、日本医師会も、災害時と同様に前年度の診療報酬支払額に基づく補填を求めています。
 しかしながら、先日可決された第二次補正予算は現場の窮状に応えるものとなっていません。

今後想定しなければならない、第2波に備えるためにも医療・介護事業所は経営改善をして万全の体制をとる必要があります。さらに人々が日常生活を取り戻すうえで、先延ばしになっている治療や健診の実施のために病院や診療所が必須ですし、地域で安心して高齢者が過ごせるよう介護現場が元気でなければなりません。  よって、国に新型コロナウイルス感染症の影響により減収となった医療機関・介護事業所が存続するための公的資金の導入を強く求めるものです。多くの議員の賛同を求め、説明を終わります。

広田議員

-広田議員

質問の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団の一員として、以下数点質問致します。

1.地域医療の存続について

はじめに、地域医療の存続について伺います。新型コロナウイルスにより、「医療崩壊ギリギリ」という訴えが医療現場から相次ぎました。医療従事者のみなさんの奮闘により持ちこたえていますが、いまの時期に「第2波」に備えるためには、その要である医療体制の確立抜きには語れません。しかし、その大きな障害となっているのが医療機関の経営危機です。感染症受け入れのための病床確保や、医師や看護師の特別体制をとったこと、一般診療や入院患者数を縮小したほか、手術や検査、健康診断の先延ばし、感染をおそれ外来患者が受診を控えたことなどを要因として、大幅な減収を引き起こしています。日本病院会など3団体の5月末の調査によれば、感染者を受け入れた病院は4月は平均1億円の赤字、受け入れていない病院も6割以上が赤字という結果です。全国の開業医・歯科医でつくられている全国保険医団体連合会の調査でも、保険診療収入が減少した医療機関が9割にのぼったとしています。本市では市立病院をはじめ、県立中央病院では4月の前年同月比で1.5億円の減収、金大病院、民間病院からも大幅な減収が伝えられています。医療系の労働組合からは、複数の病院ですでにボーナスカットの動きもあり、職員の離職が心配されるなど、先日市長あてにも申し入れを行ったところです。まずは、感染症指定病院として位置づけられ、感染者の受け入れと治療に取り組んでいる、本市市立病院の経営状況をあきらかにしてください。

-西尾市立病院事務局長

入院と外来を合わせました5月の医業収入は、昨年5月と比べまして約8400万円の減収となりました。

-広田議員

4月ではすでに8200万円の減収と伝えられ、5月分では8400万円の減収とのこと。この市立病院での減収分を、今後どのように補填していくのでしょうか。先日成立しました第二次補正予算だけで補填ができるのか。あきらかにしてください。

-山野市長

国の方では緊急包括支援交付金を創設し、空床確保料を補助することで医療提供体制を維持して行くというふうにお聞きをしています。また県におきましても、感染患者の受け入れ医療機関に対し独自の協力金の支給を検討しているとお聞きをしています。まだ詳細な具体的な金額は確定しているわけではありませんけれども、これらによって減収分が補填されるというふうに考えています。

-広田議員

 今おっしゃられました交付金で空床確保、県の協力金もこれはベッドに対するものです。補填というのは、今出されているメニューでは感染症受け入れのベッドに対してのものであって、例えば看護師さんを市立病院も増員しましたけれども、その人件費であるとか通常より使っている医療敷材であるとか外来が減った分であるとか、こういったものもすべからく減収分ですけれども、補填されるとお考えでしょうか。

-山野市長

詳細な金額は発表されておりませんので、細かいところまで申し上げることはできませんけれども、概ね補填されるのではないかと期待しているところでありますし、そうでない場合があるとするならば、様々な形で現場の声を県・国にもお伝えをしていきながら、市としてもなし得る限りのことをしていきたいと考えています。

-広田議員

すでに民間の病院ではもうそれでは足りないと、感染症を受け入れたところであってもですね、そういう声が出されております。補填してみてどうかというのを待っていたのでは、経営破たんを招くという病院もありますので、ぜひすぐにでも国に声をあげていただきたいと思います。ただ、市立病院は感染症指定病院でもあり感染者を受け入れましたので、まだ予算が来る方ですが、それでも今言ったように減収分を全て補填できるのかはわからない大変厳しい現状だというのは共通認識だと思います。そして今言ったように他の民間病院はもっと大変な現状であるということは、同じく共通認識だと思います。国の第2次補正予算には、感染者対応の医療機関に1.2兆円規模の財政支援を行うとしていますが、4、5月診療分の減収補填への対策は含まれていないのが実態です。再度お尋ねしますが、市長、感染者を受け入れた病院であってもそうでない病院であっても、例年より減った分の補償を行うという観点で国の財政支援が必要だと考えますがいかがですか。

-山野市長

 今ほどのご提案についても全く同じ認識であります。私も現場の先生方、また医療関係者から直接そういう切実な声をお聞きしているところであります。これは金沢だけではなくて全国的な問題だと思います。全国市長会としても声を上げていって取り組んでいかなければいけないと思っています。

-広田議員

 その部分は同じ認識だということです。

政府は、4月分診療報酬の減収分について5月診療分の一部を概算前払いするといったことも出しておりますけれども、これは7月以降に前払い分は返金しなくてはなりません。しかも5月診療分の減収については救済策は全くなしです。コロナ感染と必死にたたかった医療機関に対して、あまりにも冷たい対応だと言わざるを得ません。全日本病院協会など四病院団体協議会が、日本医師会とも連名で申し入れた要望は、「災害時と同様に前年度の診療報酬支払額に基づく概算請求を認めてほしい」というものです。政府は実施を拒否していますが、市長、阪神淡路大震災でも東日本大震災のときも、昨年の台風19号のときもやっています。ぜひ災害時と同様の対応が必要だと思いますが、その見解を伺います。

-山野市長

 私もこれは災害と言っても過言ではないのではないかというふうに思っています。ただ法的な位置付け等々がありますので、ここで軽々には申し上げることはできませんけれども、切実な声を様々な場面、私の立場からすれば全国市長会等を通して国に伝えていきたいというふうに思っています。

-広田議員

 さらに石川県は人口当たりでみると、ご存知の通り感染者が本市を中心に全国で2番目に多い状況です。本来は率先して、県や市としても国へしっかり声をあげるべきですので、よろしくお願いします。

次に、今回の国の第二次補正予算で示された医療従事者への慰労金は、現場の実態に答えるものではありません。直接感染者の対応をしたかどうかで額が5万円から20万円と差がありますが、どの現場でも誰が感染者か分からない中、緊張状態に置かれ、みなさん奮闘をしてきたのはご存知かと思います。よって、一律20万円を幅広い職種に配布すべきだと考えますが、ぜひ国へ求めていただきたいと思います。

-山野市長

 まさに今ほどおっしゃいましたように、感染をする可能性、リスクと常に背中合わせの中で取り組んでいらっしゃる方たちが医療関係者でありますので、その思い、気持ちは全く同じだというふうに思っています。これも金沢市だけではないと思います。石川県市長会、北信越市長会、そしてなんといっても全国市長会を通して、国にそういう切実な現場の声を伝えていきたいと思っています。

-広田議員

 医療従事者という明確な区分がされてしまうと、出されない人も出てくる。そして感染症対応の病院とそうでない病院で違いが出てくる。こういった壁を取っ払って全員に配れるように、ぜひお声をあげていただきたいと思います。

次に、本市の独自支援ができないか伺います。直接感染者を受け入れていない、地域の身近な病院・診療所であっても、感染者受け入れ同様の体制をとってこれまで患者さんに対応しています。たとえば、保健所で検査の対象ではないとされ、かかりつけの病院に行くよう言われた方に対し、発熱外来で対応しています。クラスターが起きた病院から陰性になった患者を受け入れ、特別の体制をとって現在も治療にあたっている病院もあります。石川県の要請でPCR検査の採取を請け負ってきた病院もあります。それにもかかわらず、これらの病院は今回の第二次補正予算では感染者を受け入れたかどうかで区別され、国からも県からもほとんど財政的な支援がないといった状況です。PCR検査を受け入れ、本当に緊張状態の中頑張ってきた病院が、まだ労使協議中ですが夏のボ-ナスが0.5ヶ月分カットされて、12万円も下がるような状況が現場から出されています。こうした市民の第一線でがんばっている民間の病院や診療所に対し、第二波に備えるためにも、そして私たちの地域医療を存続させるためにも、市として独自の財政支援を行うべきですがいかがですか。

-山野市長

 これまで国や県が主体となって行ってきました。市としてもマスクであったり衛生用品であったりの医療物資の配布を通して、医療機関に直接関わってきたところでもあります。引き続き国と県と連携をしながら、市としてなし得る限りのことをしていきたいと考えています。

-広田議員

 国・県主体というご答弁が続いてきましたけれども、もうここまで来ましたら中核市として、市としてなし得る限りの姿勢を見せるということが、私は必要かと思っています。

6月補正で、寄付金である金沢版ふるさと納税を使って医療従事者や子どもたちへの支援をするとしているわけですけれども、これは独自の財政支援策と言ってもいいと思うのですが、どれくらい集まることを見込んでいるのですか。またこれは、集まった分だけで行うということなのか、それとも集まった分を一般財源に織り交ぜて使うということなのか、あきらかにしてください。

-山野市長

 ふるさと納税ですので、まだはっきりと数字がわかるわけではありません。一生懸命告知をしていくことによって、お1人でも多くの方のご理解をいただいて、ご協力いただけるようにしていきたいと思っています。ふるさと納税でしていただいた分だけということでは決してありません。そういう形ではなくて、しっかりと取り組んでいかなければならないというふうに思っています。感染症の緊急対策につきましては、国の支援等を始め市単独でも財政支出を行っているところでありますし、4月の臨時会のときにも提案をさせていただいたところであります。ご寄付をいただいた皆さんの支援に対するお気持ちを十分に活かしていきながら、有効に大切に使わせていただけたらと思っています。

-広田議員

 寄付金ですから、これからどれくらい集まるのかということになるわけですけれども、今のご答弁ではふるさと納税だけではなく、それも使って行うということでした。であれば、やはり医療機関、従事者の支援になりうる具体的施策を最初から計画したうえで、必要な財源を確保すべきだと考えますがいかがですか。

-山野市長

 ふるさと納税のことについては今ほど申しましたようにいくらというわけではありませんけれども、医療機関に対する支援というのは、やはり一義的には国・県が主体で行っていただいております。ただ金沢市としてもしっかり連携をしながら、できる限りのことを取り組んでいかなければいけないと思いますし、そういうふうにしてきているところでありますし、これからもそういうふうにしていきます。

-広田議員

 できる限りのことをしたいというお気持ちはわかったんですけれども、寄付金という見込めない予算で行うのではなく、具体的にこれくらいのことをすれば支援になるんだということを見据えて、財源を確保するべきではないかということを申し上げておりますが、再度いかがでしょうか。

-山野市長

 今数字を明確に申し上げることはできませんけれども、繰り返しになりますができ得る限りの施策に取り組んでまいりたいと考えています。

-広田議員

 できる限りのことを、早急に、数字で表していただくように再度求めておきたいと思います。

次に、政府がすすめる地域医療構想、市立病院のあり方についてです。「地域医療構想」については、加藤厚生労働相が5日の記者会見で、「再編統合の議論が必要」とした公立公的病院をめぐり、都道府県に求めていた今年9月までの結論取りまとめの先送りを認める考えを示しました。ですがこれは先送りにすぎず、県内では7つ、本市内でも2つの公的病院が再編統合の名指しをされ、石川県では2700床もの病床削減を迫られていることに変わりはありません。しかし、このコロナウイルス感染症のもとでは、日頃からいかに病院が人員体制やベッド数もぎりぎりの状態でやってきていたかがあきらかとなりました。県内での公立公的病院が主体となったのだと思いますが、感染症病床の使用率は一時ひっ迫をし、用意できた病床の9割にも達していましたし、ホテルで軽症者を受け入れなければ足りなかったというのが実態です。公的・公立病院を再編統合する地域医療構想は先送りではなく、撤回すべきです

その地域医療構想の中で、あり方検討会を行ってきた市立病院についてまず伺います。患者数の増加にあわせ、確保病床を増やしてきたかと思います。まずはこのコロナ危機において、市立病院の接触者外来や感染者の受け入れ状況、病床の確保、使用率の推移をあきらかにしてください。

-山野市長

 感染者の受け入れは当初6床でありましたけれども、28床へと段階的に受け入れ病床を拡充をし、公立病院としての役割を果たしてきたところであります。使用数・使用率の推移ということでありますけれども、これは県の方でも医療従事者や受入施設への風評被害などを考慮をし、これは当初から公表しない方針としており、市立病院もそれに合わせているところでありますので、公表していないということをご理解いただければと思います。

-広田議員

 接触者外来の状況であるとか感染病床の使用率の推移をみることで議論をしたかったのですけれども、今は公表はむずかしいというご判断です。新聞等でも出ていますけれども、この県のこうした感染症に対する情報公開の問題については、今後取り上げていきたいと思いますが、今は私はこの状況を受けて、実態としては、具体的な数字が出て来なかったとしてもやはり病床はひっ迫し対応に追われたということは明らかなわけです。なので、県からの情報が出て来なくとも、コロナ危機を受けて、医療や保健機能についてとりまとめや検証を行わなくては、病院の再編統合や市立病院のあり方についても議論はすすめられないはずだと思いますが、その点はいかがでしょうか。

-山野市長

 コロナ対応に限るというわけではありませんが、普段からこれはあり方検討会の中でもご提案をいただいておりますけれども、やはり周辺病院であったり機能連携や機能分化、そういうことの課題点を洗い出し、調査研究をしていくことは大切だというふうに思っています。その調査の中で、今まさに議論しています今回の新型コロナの対応等を検討して行くことで、今後の感染症対策に望んでいきたいと考えています。

-広田議員

 普段からの調査、公表調査というのは当たり前ですけれども、このコロナ危機については次元が違うわけですから、必ず調査検証をやっていただきたいと思います。ただ市立病院については、このコロナ危機において、感染症指定病院として重要な役割を発揮し、公的役割を再確認したところです。しかし、実態としては感染者を受け入れるためのベッドも増やし、看護師も増やして対応した事実からして、現状のままでは今回のような規模の感染症には十分対応できないというのも明白になったと思います。よって、調査は今後されるということもご答弁としていただきましたけれども、2月に出されたあり方検討会の提言については、コロナ危機の前に議論されたものであり、見直しという方向性を出していただきたいと思いますがいかがでしょうか。

-山野市長

 この提言の中でも再三、厳しい災害医療であったり今回のような感染者の医療であったり、これは公立病院としてしっかり担っていかなければならないというふうに明言もされておりますし、今回はまさにそうであったというふうに思っています。むしろ今回その役割がよりしっかりしなければならないということだというふうに思っていますので、提言のベクトル・方向性と一致しているものだと思っています。

-広田議員

 災害対応であるとか感染症対応も維持して行くというのは提言の中にありますけれども、やはりそのコロナ危機の前に議論されたということが私はまだひっかかっていて、ここは明確に「感染症の拡充をする」といったことが提言として見直されるべきだというふうに思うんです。ですから、今の論調ですと、感染症の対応については拡充の可能性もあると受け止めてよろしいですか。

-山野市長

 これからいろんな議論を重ねていかなければならないというふうに思います。今回のコロナ禍の中でいろんな課題も見えてきましたので、先程申し上げましたように周辺病院との連携であったりだとか、機能の連携を含めた中で、議論を重ねていければというふうに思いますし、その中で必要性が認められるということであればそんな方向でも議論を進めていかなければならないんだと思っています。

-広田議員

 他の病院とどう機能を分担したとしても、感染症指定病院は県立中央病院と金沢市立病院しかないわけですから、どう考えたって拡充の方向だろうということを私は思っておりますので、ぜひその方向で議論を求めたいと思います。また、提言の中では独立行政法人に移行する案も出ていますが、これはやはり公的役割を担う、そして感染症指定病院の役割を担う市立病院としてはふさわしくないと、これまでも言い続けてきたわけですが、その独立行政法人についての検討の提言も見直すべきではないかと思いますがいかがでしょうか。

-山野市長

 大きな流れとして、少子化・高齢化というものは避けることができないんだと思っています。先程来申し上げておりますような病院の機能の分担であったり周辺病院との連携を進めていく中でも、経営の効率化であったりだとか、またこれは本会議でも議論されておりますけれども事務部門の専門性ということも求められるというふうに思っています。そういうところから、地方独立行政法人化を検討する必要があるのではないかという提言もいただいているところであります。課題等を今一度精査・整理をしていく中で、検討を重ねていきたいと考えています。

-広田議員

 経営効率化、そして事務部門の専門性を独立行政法人に求めるとするならば、やはりこれまでの市立病院の機能・役割は、私は失われる可能性が非常に高いというふうに思います。このようなパンデミックの状況であっても、経営を考えて受け入れない、患者さんを受け入れないという判断だってあり得る可能性も出てくるわけですから、私はやはり独立行政法人にするべきではないと思いますし、少なくとも市長、このコロナ危機を経験したのであれば、この提言について独立行政法人ありきの検討ではないと、それだけはご発言いただきたいと思いますがいかがでしょうか。

-山野市長

 経営の効率で(患者を)断るのではないかということでしたけれども、再三申し上げておりますけれども、採算が厳しい災害医療や感染医療というものは公立病院は担っていかなければいけない、その使命は公立病院としてしっかり担っていきたいと思っています。独立行政法人のことにつきましては、今後課題を整理しながら議論をしていきたいと考えています。

-広田議員

 ぜひ「ありきではない」というふうに明言していただきたいところでしたが、検討するということはそういうことだというふうに受け止めておきます。

もうひとつ。これからは有識者会議に議論の場が移るとされていますが、やはり今回の状況を経験し、その構成の中に感染症の専門家をぜひ入れてほしいと思いますがいかがでしょうか。

-山野市長

 繰り返しになりますけれども、採算が厳しい災害医療というものは公立病院としてしっかり担っていかなければならないと思っていますし、提言の中でも明記をされていますし、今回の新型コロナウイルス感染につきましての検証も含めて、委員の選任に当たっていきたいと考えています。

-広田議員

なかなかこの場では明言できないかもしれませんが、ぜひ専門家を入れるよう求めておきたいと思います。市長は、これまでの答弁をお聞きしますと提言を根本的に見直すということはしないものの、感染症や独立行政法人化などは、コロナ危機を踏まえ、まだまだ議論の余地はあるんだということが今のやり取りで交わされたのではないかなと思っています。であるとするならば、やはりまずは最初に出しました国の地域医療構想、これはやはり実態に基づかないということで、撤回を市長として国へ求めていただきたいと思いますし、市立病院のあり方検討についても、今回のコロナ危機を踏まえた議論になることを再度強く求めますがいかがですか。

-山野市長

 今回の地域医療構想ですけれども、今回のコロナ禍の中でこの石川県だけではなく全国の中でも名前の出た病院も大きな役割を果たしたと私はお聞きしているところでもあります。国の方ではそういう実態も踏まえた上でこれからさらに議論を進めていくのだと思っています。まずはその議論を注視して行きたいというふうに思っています。市立病院としては、繰り返しになりますので申し上げませんが、公立病院としての役割をしっかり担っていくということと、金沢市の南部エリアの地域の拠点病院としての役割をしっかり担っていかなければいけない、そんな思いで取り組んでいければと思っています。

-広田議員

この質問のさいごに、これまでの議論の元になると言っても過言ではありませんが、安倍政権以降、診療報酬は4回連続で引き下げられ、全国の病院の統廃合も進められようとしています。コロナ危機のもと、こうした効率性や経済性を重視し医療・社会保障を抑制する政策の破綻は明らかだと言えます。社会保障・福祉に手厚い国、金沢市にするため、政策の転換が大元から求められると思いますが、見解を伺います。

-山野市長

 今回のコロナ禍におきまして、医療についての考え方というのはいろんな視点が新たに議論が必要になってきたというふうに思っています。感染症に対する支援、考え方であったりだとか、行政としての考え方、またオンライン受診というものも全国的に議論をされて、一部モデル的に行っているところもあるというふうにお聞きをしています。初診におきましてもオンライン受診ということを議論されているところであると思っています。まさに新しい生活の行動様式なんだと思っています。一番は、市民・県民・国民の皆さんが安全に、そして安心して生活でき、万が一のときには医療機関でしっかりとサポートしていただける、そんな体制を作っていかなければならないという思いは、全く同じだというふうに思っています。そのためになし得る限りのことに取り組んでまいりたいと思っています。

-広田議員

 オンライン受診、方法についてはたくさん議論ができるかと思いますが、やはりここで根本的に見直すべきは、そうした安全・安心のために医療や社会保障というものが儲けや利益では計られない分野であるということが、再度確認しなければならないことかなと思いますので、ぜひその視点で今後市政運営を進めていただきたいと思います。

2.大学生等への支援について

続いて、大学生等への支援について伺います。コロナウイルスの影響で、5人に1人の学生が退学を検討しているなど、学生の生活や学業に影響が出ており、学生のみなさんのお声で国の緊急給付金が実現をしたところです。本市では、石川県内の青年団体が取り組んだアンケートでも、学生がバイトができず困窮しているといった声が寄せられていますし、不動産関係者からは市内の大学生でアパートを退去した学生もいるという情報も寄せられています。本市が責任を持つ美大の学生さんも大変な状況にあります。金沢美大の自治会アンケートでは、新型コロナの影響で収入が減ったという回答がおよそ7割、休学を検討したことがあるとした回答が3人に1人にのぼっている状況です。そこで、授業料減免や猶予の制度が元々ありますが、今年の減免申請は5月中旬では昨年比78%増とのことですが、現時点では決定者などが例年よりどれくらい増えているのか、明らかにしてください。また今回の追加補正予算で対象の拡大があるようですが、どれくらいの方を対象として見込んでいるのか、教えてください。

-鳥倉都市政策局長

 美大の授業料減免件数に関するご質問についてお答えいたします。金沢美術工芸大学の前期授業料に対する減免件数でございますが、今月17日現在、申請89件のうち減免決定が61件、不採択が21件、審査中が7件となっております。また昨年度との比較におきましては申請で41件、減免決定で34件の増加となっておりますが、これは新型コロナウイルス感染症の影響も理由の一つと考えております。また今回の授業料減免制度の拡充についての見込み件数におきましては、公立大学である金沢美術工芸大学におきましても国立大学に準じた減免措置となるよう市として支援したいという考えでございますが、現在のところ国からは詳細な基準が示されておりませんことから、見込み件数については不明となっております。

-広田議員

 授業料の減免の対象を増やすというのは大変重要なことなのでぜひ進めていただきたいと思いますが、現時点での状況は前年度の比較として、前期分ですけれどもおよそ2.3倍に増えているといったところです。これだけ困窮する学生が例年との比較では増えているというのも実態として言える状況です。そんな中、美大生自らが署名を集め学長に提出をされました。授業料の一部返還や就学支援金の給付、貸付制度の返済期日の統一などを求めています。市長もご存知とは思いますが、どのように受け止めていらっしゃるでしょうか。

-山野市長

 事務局から報告も受けているところでありますし、内容も拝見させていただきました。内容もそうですけれども、学生が自らの学びの機会を確保するために自らの意思で行動を起こされるということは私は大変良いことだというふうに思っています。要望には3つの内容についてお聞きしているところであります。近々大学側の方から学生さんに対して文書で回答をするということをお聞きをしておりまして、大学の判断を尊重したいと思っております。

-広田議員

その学生さんの要望の中にあります短期貸付制度についてまず伺います。今その貸付制度の利用状況は、始まってからどのくらいの申請件数が寄せられているでしょうか。

-鳥倉都市政策局長

 金沢美大が創設しました短期貸付金制度でありますが、今月17日現在、学生3名の利用があったと聞いております。

-広田議員

 3名なんですね。大変少ないと思うんです。というのも、学生さんからはすでに「前期の授業料も払えないのに、今お金を借りても後期の授業料はどうやって払うのか、救済になっていない」というようなことが報道で述べられています。奨学金をすでに借りているという人もたくさんいますから、追加で借金というのはなかなか考えられません。さらに院生の皆さんにとっては非常にタイトな返済期日であることも言われています。私は、全学生に対し卒業後の返還も認め、事情があれば免除するなど柔軟な対応をとるべきだと考えますし、本市は、大学側がそう決断できるようにぜひ財政支援を行うべきと考えますがいかがでしょうか。

-山野市長

 大学側の方から返還時期につきましても一つの方向性を出しましたが、学生の負担や個々の状況に配慮の上、返済期日の延長等にも柔軟に対応するということをお聞きをしています。まずは大学の自治を大切にしていきたいというふうに思っています。

-広田議員

自治ももちろんそうですけれども、財政支援があればその自治も判断ができるという部分が大いにあると思いますので、これは学生さんの学業の保障ですから異論はない点だと思いますので、ぜひよろしくお願いします。

次に、国の学生支援緊急給付金が始まりましたけれども、この利用状況がどのようになっているのか伺います。

-鳥倉都市政策局長

 国が実施します学生支援緊急給付金ですが、今月17日現在111件の申請があったと聞いております。

-広田議員

 速やかに支援金を受け取れるようにご配慮いただきたいと思います。しかしながら文部科学省はこの審査につきまして、「最終的には大学側が状況によって総合的に判断する」としています。困っている学生が救済されない制度であっては意味がありません。大学側は柔軟に審査するべきだと考えます。また、留学生だけに要件としている成績についても、これも柔軟に対応していただきたいと思います。第一次募集は6月12日に締め切られましたが、今後第二次募集もあると聞いておりますので、その予定も含め柔軟な対応を求めておきたいと思いますがいかがでしょうか。

-鳥倉都市政策局長

 受給対象となります学生ですが、家庭から自立してアルバイト収入で学費を賄っていること、あるいは既存の支援制度を活用しても学費等の支出が困難であること等の条件を考慮した上で、大学が給付の必要を認める学生となっており、大学側からは学生からの申請書類に基づき、不明な点がございましたら丁寧な聞き取りを行うなど、学生の実情をしっかり把握したうえで、日本学生支援機構に推薦リストを提出する予定と聞いております。また一次募集の締め切りは今月19日となっておりますが、二次募集の日程等については未だ確定していないと聞いております。

-広田議員

 最後に、やはり市の姿勢としては大学の学生さんは金沢の文化の担い手でもある、大切な学生さんです。経済的理由で1人の退学者も出してはならないと考えます。ぜひ一律就学支援金であるとか、授業料の返還であるとか、ぜひ支援金を出していただきたいと、市長の決断を求めて質問を終わります。

以上

で、実はまだ大学生支援については用意していたのですが、タイムオーバーでできませんでした。用意していた原稿はこちらです。

 しかし、それらの制度や、追加議案で出された授業料減免に該当しない方も出てくるはずです。学生の求める独自の就学支援金を給付することや、一律授業料の一部返還も検討すべきです。

その際、美大の財政だけではむずかしいと思いますので、市として一般財源から拠出して行うことを求めます。

学生ひとりにつき10万円出したとして、700人の学生さんに対して7000万円です。 

金沢の文化の担い手でもある大切な学生の中から、経済的理由でひとりの退学者も出してはなりません。市長の決断を求めるものですがいかがですか。

―市長

昨日も、国県市の事業をまずは使ってもらうというような答弁でしたけれど、学生さんへの支援というのはなかなかむずかしく、たとえば、福祉という切り口では緊急小口や住居確保給付金も親御さん含めた世帯という見方をされ、なかなか受けることができません。なので、独自支援をと言っているのです。

 さらに、バイトをしないと賄えないような高い授業料が学生の学業と生活を脅かしているということもはっきりしました。日頃は学生のがんばりでなんとかなっていても、こういう事態ではあっという間に困窮するということが浮き彫りになったのです。学生が本来の学業や創作活動に集中できるよう、そもそもの学費の引き下げの検討を始めるべきですがいかがですか。

―市長 

 最後に、美大生のほかにも、市内の多くの他大学生や専門学校も同様に困窮をしています。ぜひとも国にさらなる支援を求めてほしいですし、市としても財政支援を行うべきですがいかがですか。

―市長

というものです。
で、これで終わりというわけにはいかないので、総務常任委員会にて、市長は出席しませんのでお聞きできませんが、美大事務局長に質問をしました。
その内容はこちらからご覧ください。↓

6.19 総務常任委員会 美大の学生支援についての質問

-森尾議員

森尾議員

私は、日本共産党市議員団の一人として、質問いたします。

最初に、新型コロナウイルス感染対策と本市重点戦略計画の見直しについて伺います。新型コロナウイルス感染症は世界的規模に広がり、人類の歴史の中でも最も深刻なパンデミックの一つになっています。今後、私たちが安心して日常生活を送り、経済・社会活動を再開していく上で、感染拡大の「第2波、第3波」への対策が重要となっています。感染拡大を抑止するための医療と検査体制を抜本的に強化し、安心して経済・社会活動の再開が進められるようにすることが求められます。そこで、市長は今後、感染対策をすすめていく上で、どこを重点に取り組んでいかれるのか伺います。

-山野市長

 5月に国の方から「新しい生活様式」というものが発表されました。全国に共通のものだというふうに理解をしています。身近なところでは、マスクをする、うがいをする、手を洗う、そういう励行と同時に新しい生活様式の浸透に努めていくことによって、市民の皆さんとともに第2波、あってはならないんですけれども、備えていきたいと思います。

-森尾議員

 「第2波」の感染拡大を的確に把握し、早期に封じ込めるためには、PCR検査体制の拡充が欠かすことはできせません。この点では18道県知事が積極的な検査体制への転換を求める国への提案が行われました。去る6月10日国会・衆議院予算委員会で、わが党の志位委員長の質問に答え、安倍首相は、濃厚接触者については、「症状の有無にかかわらず検査することにした」と述べました。医療・介護・障害福祉事業関係者に対して、症状の有無を問わないPCR検査を実施する等、積極的検査への転換が求められます。市長はどのように受け止め、検査体制の拡充を国や県に対して求めていかれるのか伺います。

-山野市長

 PCR検査につきましては、県が国の基準に基づき行政検査として行っているものであります。市独自で行うということは考えてはおりませんけれども、ただ森尾議員から今ご指摘があったようなご意見であったりだとか、多くの医療・福祉関係者からもご意見をお聞きしているところでもありますので、全国市長会等々を通じましてPCR検査の充実というものも伝えていきたいというふうに思っています。

-森尾議員

 本市では、感染者が5月13日から1か月あまり確認されていません。北九州市では、感染者が4月30日から5月22日まで23日間確認されていませんでしたが、その後5月29日には、一日で26件と感染拡大が広がり、小学校でクラスター発生となるなど第2波の感染拡大となり、対策がとり組まれています。その基本は、感染者を早期に発見し、症状に応じた医療と隔離を行うとする独自の考えで取り組みが進められています。そのため、PCR検査体制を強化し、濃厚接触者すべてにPCR検査を実施し、無症状であっても感染者を確認し、対策をとっています。市長はこうした取り組みをしっかり受け止め、本市における検査体制の抜本的強化に取り組むことが求められていると考えますが、その見解を伺います。

-山野市長

 先程申し上げました、これまでも申し上げておりますけれども、県としっかりと連携をしながら抜本的な考え方も改めていかなければいけないところも改めていきながら、国・県と連携してしっかりと取り組んでいきたいというふうに思います。そのことが抑制に繋がってくるんだというふうに確信をしております。

-森尾議員

 県がPCR検査体制の強化に向け、8日からドライブスルー方式によるPCR検査の実施を開始しました。本市として、市内にPCR外来・検査センターを設置する考えはありませんか。また国は、唾液によるPCR検査の実施を打ち出しています。この点でも本市での実施についてその考えを伺います。

-山野市長

 繰り返しになりますけれどもPCR検査は、県は行政検査として国のもと行っているところでありまして、これまでも県と連携をして行ってきているところもあります。市独自として外来センターを設置することは考えてはおりません。また唾液による検査というのも、国が通知で示されています。現在県においても検討しているというふうにお聞きしているところであります。

-森尾議員

 感染の広がりを把握し、感染対策への判断にいかしていく上で、幅広く抗体検査の実施が有効だとしています。市長は、国に対してこの点での実施と必要な予算を確保するよう求めるべきと考えますが、その見解を伺うとともに、本市としてこの抗体検査の実施についてどう考えておられるか伺います。

-山野市長

 抗体検査につきましては現在、東京都・大阪府・宮城県で試験的に行われているところでありまして、その結果を踏まえて国が今後の方向性を示されるというふうに理解をしています。抗体検査というものは疫学調査でありますので、全体の中ではなく金沢市単体として行うことの意義というものは私はなかなか難しいのではないかというふうに思っていまして、今、国の指導のもと3都府県で行われておりまして、そこから出される疫学的な調査をもとにして方向が示される、その方向性に沿った形で様々な施策を打っていければというふうに考えています。

-森尾議員

 新型コロナウイルス感染症がもたらした経済的な影響は極めて甚大です。ある民間の研究所の調査によると2020年から2021年に生じる経済損失額は、世界全体で800兆円から1300兆円にのぼるとしています。日本経済にも内需、外需の大幅な落ち込みが予想されます。これらの点で、市政運営の重点は市民のいのちと生活を守り、地域経済を支えている本市の商店や事業者の存続と経営を支援していくことが何より重要だと考えます。したがって、本市重点戦略計画とその具体化について、見直しが求められていると考えますが、市長の見解を伺います。

-山野市長

 重点戦略計画は、平成25年度から向こう10年間の、まさに名前の通り重点的に取り組む政策をまとめました。当然時代の流れの中であったり景気動向によって見直しが求められてきますので、毎年度見直し・ローリングを行っているところであります。おそらく来年度の税収も大変厳しいものがあるというふうに思われますので、早い段階から情報を収集しながら重点戦略計画の見直し・ローリングについても議論を深めていきたいと考えています。

-森尾議員

 市長はこれまで、次々に大型事業を打ち出しています。サッカー場の移転・新築、既存の移転計画などで100億円が予想されます。歌劇座の新築、現在地改築としても200億円から300億円が予想されます。中央卸売場の新築には50億円規模が予想されます。市立病院の移転新築ともなると100億円規模が考えられます。さらに、新しい交通システムの導入ともなると事業費は数百億円~1000億円規模となります。新たに大規模共同調理場を2ヶ所建設するとしていますが、その事業費は40億円から50億円が予想されます。引き続く学校施設の移転、統廃合もかなりの財源投資となります。まさに、新たな大規模事業のバブルではないかと思われます。市長、一旦とどまって考えてみる必要があるのではありませんか。市長の見解を伺います。

-山野市長

 これまでも議会で申し上げておりますけれども、高度成長時代から昭和の後半にかけて建てられた公共施設が、大規模修繕もしくは建て替えが求められる、そんな時期になってきました。中期財政計画を作りながら、財政の平準化を図っていき、重点戦略計画の中で優先順位を確保しながら、また様々な財源を確保しながら計画的にやっていかなければいけないというふうに思っています。先程の答弁の繰り返しになりますが、時代の流れ、また財政状況によって変更を余儀なくされる場合は、毎年度重点戦略計画の見直しをしていく中で考えていきたいと考えています。

-森尾議員

 市長はその時々に大型事業の打ち出しをしています。改めて私がメニューを示し財源の規模も示すと、今度は優先順位の問題だと、こう言い逃れしています。私は、これは優先順位の問題ではないと思います。市民の現状や地域経済の現状を考えて、これらの事業について見直すよう強く求めておきたいと思います。

そこで、具体的な問題として新たなサッカー場建設について伺います。城北市民運動公園内にあるサッカー場は現在、収容人数3000人のサッカー専用スタジアムです。隣には人工芝のサッカー用のグラウンドも整備されており、周辺には金沢プール、野球場、屋内交流広場・あめるんパーク、少年サッカー場などがあります。このサッカー場を収容人数1万人規模として、現在地改築から突然、移転・新築するとの方針が打ち出され、計画が進められています。その経過について、説明を求めます。

-山森文化スポーツ局長

 市民サッカー場の再整備につきましては、仰せの通り当初は既存施設の改修を予定しておりましたが、観客等へのおもてなし空間の確保や、Jリーグのスタジアム基準にも対応するため、スポーツ推進審議会での審議を経て、施設整備計画を変更し、金沢城北市民運動公園内での移転再整備としたものです。

-森尾議員

 公園内にある少年サッカー場のある場所に移転・新築するとして、工費は75億円。現在地に少年サッカー場を移転するとしてその費用が20億円から25億円、占めて今回の事業展開は100億円規模にのぼるとされています。一体なぜ、現在ですら使える施設であり、現在地での改築から移転新築へと方針が転換されていくのかということになります。この現在ある少年サッカー場の中には、オランダ・クライフ財団が子どもたちのために、世界にサッカー場を設置するとして、サッカー元日本代表の本田圭介氏の紹介もあって、本市に設置されたものです。いったい、今回の移転・新築計画が十分検討され、合意のもとで進められてきたのか、あらためて問われるものだと考えます。市長。J2のツエーゲンのホームグランドは、県の陸上競技場です。新たなホームグラウンドを建設するというならば、県を含め関係機関とも十分協議し進めるべきではありませんか。その見解を伺います。

-山野市長

 ホームスタジアム云々ということは、一義的にはクラブ側のご意向によるものであるというふうに思っています。施設運営につきましても、石川県当局はもちろん、サッカー関係者、また議会の皆さん、利用される市民の皆さんのご意見をお聞きをしながら情報共有を図っていって取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。

-森尾議員

 市長、ごまかしちゃいけませんね。この現在地での改築計画から移転新築へと移った要因は、Jリーグの規模の問題を検討して、J2ならば一万人規模、J1に上がるなら一万五千人規模となり、一定の余裕ある施設を作るためにはどうしても移転新築しなければならないということで、今回の方向になったと。するならば、私は改めて、今日のコロナの現状、感染状況を考えると、スポーツ界にも大きな影響をもたらしています。プロ野球もサッカーJリーグも新たな運営方向を今模索している状況です。無観客試合、観客の人数制限と感染対策など、それぞれの課題を抱えています。したがって、私はこのサッカー場の移転・新築についても踏みとどまり、もう一度関係機関ともよく協議を行って、状況を見極め、計画の見直しが必要だと考えますがいかがでしょうか。

-山野市長

 ごまかし云々というお話がありましたので、まずそのことについて。当然、サッカー場を整備しますので、ツエーゲンであったりJリーグ関係者との相談をさせていただいています。金沢市サッカー協会の皆さんのご意見もお聞きをしています。少年サッカーの関係者のご意見もお聞きをしています。いろんな関係者のご意見をお聞きをしながら計画を進めているところであります。議会での議論も私はそういうものだというふうに思っています。多くの皆さんのご意見をお聞きをしながら、丁寧に進めていきたいというふうに思っています。

-森尾議員

 新たなサッカー場の建設計画について、現在の進捗状況と今後のスケジュールについて、担当局長より答弁を求めます。

-坪田都市整備局長

 5月に実施設計業務委託の契約を行いまして、現在設計作業を進めているところでございます。今後は年度内に実施設計を終えまして、2023年度中の完成を目指し、来年度から工事に着手する予定でございます。

-森尾議員

現在の状況や今後のスケジュール等から考えますと、これから建設への着工へ進むという計画ですので、今の時点では基本計画、設計へと移る段階です。私は改めて、今の状況や環境を踏まえたならば、今一度、この移転・新築計画について計画の見直しを求めたいと思いますが、市長の懸命な判断を求めたいと思います。

-山野市長

 繰り返しになりますけれども、サッカー関係者のご意見、それは選手であったり経営者であったり愛好者であったり、この長い間お聞きをしながら準備をしてきました。財源の確保につきましても議論をしながら進めてきているところでもあります。また、北部地区の防災拠点としての役割も担うということも前提にして取り組んできているところでもあります。関係団体の動向・ご意見もしっかりとお聞きをしていきながら、準備を進めていきたいというふうに考えています。

-森尾議員

 次に、本市ガス・発電事業の株式会社への譲渡計画について伺います。全国初めてとなるガス・発電事業をセットで株式会社に譲渡するという方針について、納得できる説明がされていません。ガス事業は8年間連続黒字。発電事業は黒字経営が継続され、昨年度は3億円の黒字、起債残高はゼロです。今年度10億円が予算化され、上寺津発電所をリニューアルし、発電能力を年間300kwhアップするとのことです。企業局が2016年に打ち出した今後10年間の経営戦略方針に沿って、公営事業として運営することこそ、とるべき方針ではないかと思います。新型コロナウイルス感染が拡大し、今後数年間は続くとしています。こうした状況から、公営事業としての役割が増大しています。ガス・発電事業をセットにして株式会社に譲渡するとの方針をやめるべきと考えますが、公営企業管理者の見解を伺います。

-平嶋公営企業管理者

 国の制度改革によりまして、電力・ガス小売り全面自由化に伴いまして、総合的なエネルギー市場が創出されてきております。そういった中で、法令等の制約があります公営でのサービスがなかなか難しいということ、またここにきて家庭用ガスの需要が大幅に減少しているといったようなことも含めまして、経営の柔軟性を高め、事業の持続性を高める、確保するといったようなことが必要だと考えておりまして、昨年度のあり方検討委員会での答申等々を踏まえまして事業譲渡を進めてまいりたいと考えております。

-森尾議員

 ガス・発電事業をセットにして譲渡する、一体なぜだろうかと。コンサルタントが報告の中で述べています。それは、セットにすることによってより利益が確保できる、こうしておりますが、その内容について明らかにしてください。

-平嶋公営企業管理者

 先程申し上げましたけれども、国の制度改革によりまして、電力とガスを合わせた総合的なエネルギー市場が創出されてきております。いわゆる地域独占の撤廃、あるいは異業種間の連携といったようなものが非常に全国的に進んできている。そういう中で、地方公営企業にありましては法令の制約によりまして多様なサービスの展開が難しいということ、そこで金沢市の場合にはガス事業・発電事業を合わせて行っているといったことも踏まえまして、株式会社への譲渡によりまして電力とガスのセット販売も含めた、あるいは通信との融合も含めた多様なサービスの展開が可能になるといったような分析がなされております。そういったところで市民の皆さんへの一日も早い自由化の享受といったことが求められていると考えております。

-森尾議員

 聞いても語りたくない、というのがよくわかりました。そこで、私が述べます。発電事業は、ダムを利用して発電した電力を北陸電力に売電しています。この価格は全国の売電価格の中でも下から二番目の安い価格となっています。その契約を全国平均並みにすると、年間の利益は15億円になるという試算が、このコンサルタントより報告されています。そして、その契約が終了するのは令和7年(2025年)です。したがって、契約終了前となる令和4年度までに譲渡し、有利な条件で契約更新をしたいとの考えがあるわけです。要するに、発電事業は儲かる事業なんです。さらに、全国平均並みの売電価格で契約すれば、年間15億円の利益をあげられる、ここに着目したんです。市民のために果たしてきた公営事業を民間に売り渡して、公共性及び公益性の確保という公営事業としての誇りと責任を投げ捨ててよいのか。このことが私は問われていると思います。公営企業管理者は、どのような見解をお持ちでしょうか。

-平嶋公営企業管理者

 ご指摘いただきましたように、調査研究の中では発電事業につきまして複数の売電単価というものを設定いたしまして、あくまでも現行の長期契約を前提として試算を行っておりまして、ただその設定単価の違いによりまして、今議員の方からご指摘のありましたような利益の金額も含めて、様々なパターンが提示されてきております。一方で、発電事業は先程も申しましたが国の制度改革に伴いまして長期契約終了後は一般競争入札に移行するということになりますので、売電価格というのは非常に変動し不安定化するといったようなことも検討されておりまして、そういったことも踏まえて昨年度の検討委員会の中からも卸供給のみでは地産地消が困難になるということに合わせて、地方公営企業としての役割が希薄化してくるといったようなご指摘もいただいているところでございます。

-森尾議員

 市長がこの問題について「スピード感を持ってすすめる」と度々述べてこられました。経過を見ますと特徴があります。まず、企業局が2016年に打ち出した今後10年間の企業戦略方針を見直すという行為ではなく、「あり方検討委員会」を設置し、3回の議論と、最後の会議は答申のとりまとめを持って市長に答申するという、まさにスピード感を持って今回の株式会社への譲渡方針を打ち出したのが第一の特徴です。第二に、市民に実態が知らされることなくパブリックコメントを行いました。そして、このパブリックコメントの集計においても、株式会社への譲渡方針の賛成・反対を聞いていないにもかかわらず、市民は賛成の意見が多くあるような集計結果を発表し、あたかも市民の理解を得られているようなものとなり、この点では市民から厳しい批判が相次ぎました。こういう二つの特徴をもって「スピード感を持って」と、こう進めてきたわけです。そこで市長に伺いたいと思います。今回のガス・発電事業の株式会社への譲渡計画について、市民の理解と合意が得られていると考えておられるのですか。

-山野市長

 あり方検討会の検討資料というものも議事録として公開をしています。随時検討状況を議会にも報告をさせていただいています。今ほどパブリックコメントのお話もありましたが、パブリックコメントの実施など幅広い意見募集に努めて、本年3月に基本方針を策定したところであります。企業局のホームページ等での情報提供や、市政情報コーナーへの閲覧用資料の配置等により、市民・市内の事業者に対する広報活動へもこれから努めていくことによって、引き続き市民の皆さんの理解を得られるように取り組んでいきたいと考えています。

-森尾議員

 本市企業局は、「譲渡ありき」ともいえる手法をもって進めてきました。「あり方検討委員会」へ提出した資料は、民間コンサルに依頼した資料です。そして、今年度譲渡するための基礎資料とスムーズに譲渡するためのアドバイザリー業務委託は、この民間コンサルタントを依頼した業者に決まりました。情報を得たところ、あり方検討委員会の委員長も、そしてアドバイザリーの業務委託を選定する委員会の委員長も、同じ委員長なんです。まさにスピード感を持って譲渡を進めてきたと、そういう手立てをとってきたということが言えると思いますが、公営企業管理者の見解を伺います。

-平嶋公営企業管理者

 アドバイザリー業務の委託先の選定にあたりましては、本市の委託業務公募型プロポーザル方式実施要項など、市所定の契約手続きに基づきまして適切に実施したところでございます。プロポーザルには3社から応募がございまして、選定委員会では提案企業名を伏した上で公平公正に審査を行ったものでございます。

-森尾議員

 市長、この「譲渡ありき」という方針をもって進めてきたものをいよいよ、とんでもない事までやろうとしています。それはなにかと。今年度、譲渡選定委員会を設置し、優先交渉権者を決定するとしています。そして、次の年度、令和3年度に関係条例議決と事業譲渡契約締結となっています。市民の代表である議会が譲渡を認めるのかどうか。条例や契約事項を審議する前にすでに、優先交渉権者が議会での審議がないまま決定されていることになります。これでは、「譲渡ありき」で、行政の決定を議会が追認するということではないかと思います。市長はかねがね、二元代表制について述べてきました。今回の方式が、あなたの言うスピード感をもって進めるというのはこういう手法か、というふうに思うのですが、いかがでしょうか。

-山野市長

 森尾議員、ご理解をいただきたいのは、財産処分を伴う重要な案件であります。譲渡先となります優先交渉権者を明確にしたうえで議会にお諮りすることは、私は適切であるというふうに思っています。

-森尾議員

 公営企業管理者に伺います。譲渡先を決めるために選定委員会を開き、まず優先交渉権者を決める。そのために、10月までに募集要綱を公表するとしています。そこには、最低譲渡価格が明示されると考えます。管理者はこれを仮契約だと表現されたものですが、明らかに本契約である来年度予定するとしている事業譲渡契約締結への前提となるものです。したがって、関係条例議決もされない下で、最低譲渡価格が明示された募集要綱によって、優先交渉権者を決定することは何らの法的根拠のないものではありませんか。見解を伺います。

-平嶋公営企業管理者

 仮契約につきましては本市の契約規則の中の規定に準じまして取り扱う予定でございます。他の先行の同様の案件、これは金沢市あるいは金沢市以外でもありますけれども、同様に同じような手続きを経て議会のご判断をいただいているというふうに理解をしております。

-森尾議員

 市長、私も調べてみたんです。地方自治法第96条で、議会での議決を明記しています。したがって、譲渡のための関係条例議決と事業譲渡契約締結について、議会議決を必要としたものです。事業譲渡契約締結への前提となる優先交渉権を企業局が決めてしまうことは、地方自治法第96条に反しています。ガス・発電事業は100年近くにわたって築かれてきた市民の財産であります。議会での審議、議決がないまま譲渡先へと導く優先交渉権者を決めてしまうことは許されないと思いますが、市長いかがでしょうか。

-山野市長

 管理者も申し上げましたように仮契約でありますので、議会の皆さんの決議をいただいた上での本契約になるというふうに理解をしております。

-森尾議員

 法違反を前提に仮契約なんてありえません!もう一度、今回の議論を真摯に受け止めて、私はこれからの方針についての見直しを強く求めておきたいと思います。

次に、市民の飲み水を供給する末浄水場と犀川浄水場があります。犀川の水を利用し、この二つの配水場で、飲み水として市民に供給しています。この犀川浄水場の上流に二つの発電所があり、末浄水場の上流に3つの発電所があります。議長の許可をいただき、配置図を作成しましたものを示します。こうした配置となります。(模式図提示)今述べたのがこの模式図です。要するに、水をダムで発電に利用し、その後浄水場で飲み水として市民に利用しているというのがこの模式図となっています。市民の飲み水を供給する末浄水場と犀川浄水場の上流に発電所があるわけです。この発電所が民間に譲渡されることによって、市民の飲み水まで民間にゆだねることになります。市民生活を支えるライフラインとして、市が責任をもって行ってきた事業のことを考えると、私は発電を民間に譲渡して、市民の飲み水まで深く関わる事業を民間に任せてよいのかと、これがこの模式図から読み取った点でありますが、市長、率直な見解を伺います。

-山野市長

 これまでも本会議において上水道の民営化は考えていないと明言をしているところであります。発電事業者が水を利用する際には、法令等によりまして水道を含めた水利権を有する他の利水者に支障を生じさせないということが義務付けられているところであります。これは事業譲渡後も変わりません。

-森尾議員

 したがって、この飲み水の問題とも関連するならば、ガス発電事業の株式会社への譲渡をやめるよう強く求めておきたいと思います。

 最後に、市長をはじめとする本市幹部職員の綱紀粛正について伺っておきたいと思います。去る2月25日。市長、あなたと当時の松村議長が連名で、市民に対して新型コロナウイルス感染対策を呼びかけました。3月24日新型コロナウイルス対策にかかわる追加補正予算と新年度予算を議決すると共に、松村議長が退任いたしました。その二日後、26日退任する本市幹部職員など40名から50名で宴会を開いていたと松村前議長が自ら明らかにしました。市長、このことは把握されていますか。市長はこの宴会に参加されましたか。伺います。

-山野市長

 把握はしていません。よって参加もしていません。

-森尾議員

 必要な調査と、今後の綱紀粛正について見解を求めたいと思います。

-山野市長

 勤務時間外でもありますし、私的なものでもあります。個人の情報でもありますので、調査をすることは考えてはいません。いかなる場合であったとしても、公務員として市民の皆さんのために資する行動をしていかなければならないと思いますし、綱紀のことにつきましては常に意を用いていかなければいけないというふうに思っていますし、徹底をしていきたいと考えています。

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