トピックス

-森尾議員
 私は、日本共産党市議員団の一人として以下質問いたします。
 最初の質問は、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞したことについてです。 『ヒロシマ・ナガサキ あの日 あの時からそして 今』と題する小冊子が、2015年8月15日 石川県原爆被災者友の会から発行されました。県内30人の方々からの被爆体験がつづられています。原爆投下後、広島市内で家族を探して歩いた様子、軍の命令で死体処理やがれきの撤去作業に携わった体験などがつづられています。その後、放射線による健康被害に苦しみ続けている様子は、被爆者体験者の心の叫びとなっています。当時友の会会長の西本多美子さんも被爆体験者としてこの小冊子の中で次のように記しています。「『ふたたび被爆者をつくるな!核兵器なくせ!』は私たち被爆者の心からの叫びです」この小冊子の中で述べています。昨日、ノーベル平和賞授与式がノルウェー・オスロで行われました。日本原水爆被害者団体協議会の代表委員・田中てるみさんは、スピーチの中で自らの被爆体験を語り「核兵器は一発たりとも持ってはいけないというのが原爆被害者の心からの願い」だと述べ「核も戦争もない世界」を呼びかけました。
 市長。今回、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞についての所感を伺います。

-村山市長
 唯一の被爆国である日本の原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞されたことについて、祝意を申し上げたいと思います。 多くの方々のこれまでの長年に渡り大変ご苦労のあった活動に心から敬意を表する次第であります。平和都市宣言を行っている本市として、改めて平和の尊さ、戦争の悲惨さを後世に伝えていかなければならないとの思いを強くしたところであります。
 
-森尾議員
 金沢市平和都市宣言には「核兵器の全面禁止・廃絶は人類すべてのねがいであり、われわれは、その実現に向けて不断の努力をしていかなければならない」と決意を明記しています。来年被爆80周年を迎えます。金沢市平和都市宣言の40周年でもあります。金沢市としての具体的取り組みについて伺います。

-村山市長
 本市では平和都市宣言に基づき、毎年夏に市立図書館において「原爆と人間展」を開催しております。今年度はこれに加え、第2本庁舎と戦没者慰霊式においても展示を行いました。戦後80年、平和都市宣言40周年の節目の年となる明年は、毎年開催している原爆と人間展の充実を図りたいと考えています。加えて、どのような取り組みができるか、金沢市遺族連合会や広島平和記念資料館などの関係機関と協議をしてまいりたいと存じます。

-森尾議員
 来年3月、国連で核兵器禁止条約締結国の第3回会議が開かれます。この禁止条約への署名は、94か国・地域、批准したのは73か国・地域に広がっています。去る11月27日、政府与党である公明党が核兵器禁止条約締結国会議への参加を石破総理大臣に要請しました。石破総理大臣は「唯一の戦争被爆国である日本が最も強い説得力を持つ」と応じたとのことです。
 市長。金沢市平和都市宣言の立場からも、政府に対して核兵器禁止条約への賛同と締結国会議への参加を要請するよう求めます。その見解を伺います。

-村山市長
 公明党が首相に対して核兵器禁止条約締結国会議に政府がオブザーバー参加するよう要請したことは承知しております。が、国への要請につきましては本市も加盟する平和首長会議の国内加盟都市会議として行ってきたことから、改めて市として直接要請する考えはありません。

-森尾議員
 質問の第2に、総選挙で示された民意と市長の政治姿勢について伺います。
 先の総選挙の結果「与党である自民と公明が過半数割れ」となりました。国民の審判は裏金問題への批判と怒りと物価高騰に苦しむ国民の声が、今の政治を変えてほしいとの流れを作り出したものです。市長は総選挙後、学生との意見交換の場で「能登半島地震からの復旧復興の途中であり、やっぱり自公政権が安定的になるのがいい」と述べたとのことです。総選挙で示された民意とは大きくかけ離れた発言です。市長は、総選挙によって自公政権が過半数割れとなったことについてどのような見解をお持ちか伺います。

-村山市長
 先月、金沢市内の大学生で構成されている金沢市選挙サポーターE7(イーナ)との意見交換会に出席した際の発言についてであります。能登半島地震からの復旧復興と、被災者の一日も早い生活の再建に向けては、国と県内自治体との緊密な連携体制のもとで、国の迅速な判断と対応が求められますことから、そのことを「政権の安定」という言い方で表現したものであります。なお、自公政権が過半数割れをしたという中ではあります。これは非常に厳しい審判が下されたというようには認識しておりますけれども、その他の党での政権が樹立したというわけではありません。民意とかけ離れているというご指摘は当たらないというように思っております。

-森尾議員
 もうひとつ伺います。
 去る11月22日、金沢経済同友会との意見交換が行われ、その場において市長は、重要な市政方針にかかわる発言を行いました。金沢駅前の旧都ホテル跡地の再開発と小学校跡地利用についてです。いずれも市民と市政にとって重要な課題であり、今議会でも議論となるものです。議会を通じて市民に明らかにするというのが議会制民主主義の基本です。ところが市長は、金沢経済同友会との意見交換の場において、重要な市政方針を明らかにしました。しかも、その発言内容が重大です。金沢市は保存と開発を掲げ、そのまちづくり方針の骨格をなす市内のエリアごとに開発の基本を示し市民の合意づくりを進めてきました。金沢駅前のエリアは、建物の高さは60mとし、景観を配慮したまちづくりを進めるとしてきました。ところが市長は、先の金沢経済同友会との意見交換の場で、この高さ制限を除外するための整備方針を12月下旬にも内閣府へ申請すると表明し、容積率にもとらわれず開発できることを追記する方向であるとしました。議会では、3週間前の10月28日、都心軸再整備特別委員会が提言書を市長に提出しました。この中で「金沢駅周辺区域においては、鉄道やバスなど広域交通結節点の特性を生かし、鼓門ともてなしドームなどから構成される金沢駅東広場などと調和した意匠や景観に配慮した都市開発を誘導すること」などを盛り込んだものです。市長は、議会の議論をどのように受け止めたのですか。市民とともに金沢市が作り上げてきた金沢固有のまちづくりの景観や歴史的・文化的な景観をはじめ、都市の風格についてどのように考えておられるのか。見解を伺います。

-村山市長
 都市再生緊急整備地域の指定に向けましては、準備協議会での意見や市民アンケートに加え、本会議や常任委員会、特別委員会での議論を踏まえて、地域整備方針の素案を取りまとめてきたところであります。この地域整備方針の中では、駅前について「鼓門やもてなしドームなどで構成される金沢駅東広場及び周辺の中高層建築物群の落ち着いた形態意匠との調和に配慮した都市開発事業を誘導」というように記載しております。これは、「金沢駅東広場などと調和した景観への配慮」と盛り込まれた特別委員会の報告書と内容が同じものであるというように認識しております。本定例月議会での議論も経て、国へ申請したいというように考えております。
 これまでまちづくりの分野において、保全すべきエリアと開発すべきエリアを区分けし、都心軸においては市街地再開発事業等を推進する一方で、後背地には歴史文化遺産や豊かな自然が存在し、金沢らしい景観を維持・継承するなど、保全と開発の調和を図りながら多面的かつ重層的な施策を展開してきたことにより、都市の風格や文化的景観が築かれたと認識しております。都市再生緊急整備地域の指定に当たっても、保全と開発の調和など、これまでのまちづくりの方向性や上位計画との整合性を図ったうえで、金沢駅周辺区域と都心軸区域の特性を際立たせた都市づくりを推進していきたいと考えております。

-森尾議員
 質問の第3に、市民生活に係る対策についてです。
 市民生活を物価高騰が直撃しています。市民生活を守ることが緊急課題となっています。
 第1は、市民生活を守る緊急対策の実施を求めます。去る11月22日、内閣府は全国財政担当者に対して「重点支援地方交付金」の追加について通知を発しました。この中で、①低所得者世帯支援枠を追加拡大するとともに、②物価高騰の影響を受けた生活者や事業者を引き続き支援するために重点支援地方交付金を追加するとしています。そして「可能な限り早期の予算化に向けた検討」を求めています。昨年、生活困窮者への冬季特別対策が実施されました。今回の補正予算には、市民生活を守る対策が十分ではありません。市長。市民生活の現状を考えれば、緊急の対策が求められます。国は「重点支援地方交付金」に基づく早期の予算化を求めています。見解を伺います。

-村山市長
 先月、国の総合経済対策が閣議決定された際、内閣府から重点支援地方交付金の追加について通知がありました。低所得世帯支援枠に関する給付金制度と、物価高対策を支援するための推奨事業メニューの早期の予算化に向けた検討を進めるよう要請がございました。この9日に、この重点支援地方交付金を含めた国の補正予算が国会に提出され、現在審議が行われているところであります。その動向を注視するとともに、今後制度の詳細が明らかになれば、可能な限り早い時期に市として必要な予算をお諮りしたいと考えております。

-森尾議員
 第2に、国民健康保険料、介護保険料、保育料の引き下げを求めます。
 国民健康保険会計には、今年度末、基金残高は12億円とのことです。引き続き、一般会計からの繰り入れによって、保険料の引き下げを求めます。

-村山市長
 令和7年度の国民健康保険料につきましては、年明けにも県から示される標準保険料率に準拠しつつ、市民生活への影響にも十分配慮し、基金の活用なども含め適正な負担となるよう設定したいと考えています。

-森尾議員
 介護保険会計は、昨年度末の基金残高が29億円にのぼりました。この基金を次期3年間で活用し、保険料を据え置きました。ところが、今年度予定していた基金からの繰り入れが半分となり、今年度末の基金残高は当初見込んでいた22.4億円が26億円と多くなる見込みです。したがって、基金活用を適切に行えば、保険料の引き下げが可能だったのではありませんか。今後の見通しとあわせ、見解を伺います。

-村山市長
 令和6年度から3か年の第9期介護保険料につきましては、市民の負担が過大にならないよう、市民生活への影響に配慮し、令和5年度末の介護給付費準備基金残高である約29億円のうち、約26億円を今後3年間で計画的に取り崩すことにより、基準月額を据え置いたところであります。第10期の介護保険料につきましては、令和8年度に検討することになりますが、高齢化の進展に伴い要介護認定者が増え、介護給付費の増額が見込まれるため、引き下げることは難しいと考えております。

-森尾議員
 保育料についてです。3歳以上児の保育料無償化が行われています。しかし、給食費は無償となっていません。また、0歳から2歳児の保育料無償化が強く求められています。見解を伺います。

-村山市長
 保育料につきまして、本市では令和3年9月の保育料から、保護者の所得と兄弟同時入所にかかる要件を撤廃し、第2子を半額、第3子以降を無料とする負担軽減制度の拡充を行ったところであります。

-森尾議員
 金沢市では、若い共働きの方の0歳から2歳児の保育料が月4万円にも上り、負担が重くのしかかっています。D階層の保育料が高くなっているからです。他の都市では、月2万円から3万円となっていることから、改善が求められます。見解を伺います。

-村山市長
 所得に応じた階層別保育料については、国の示す階層区分よりも細分化するとともに、すべての階層について国の徴収基準額よりも低く設定するなど、子育て世帯の負担軽減に努めております。さらに保育料を26年間据え置いているということをご理解いただければと存じます。

-森尾議員
 第3に、学校給食費の無償化実施を求めます。
 国の見解は「各自治体に於いて地域の実情に応じて検討いただくことがふさわしい」としています。その結果、小中学校とも学校給食費無償化の自治体がこの6年間で7倍増となっています。今回、政府の経済対策に盛り込まれた「重点支援地方交付金」について、推奨事業メニューとして、小中学校における学校給食費の支援が明記されています。金沢市一般会計予算の規模は1800億円です。その1.1%の予算で学校給食費の無償化を実施することができます。市長。あなたの決断が求められています。見解を求めます。

-村山市長
 学校給食費の無償化につきましては、自治体間の格差が生じないよう、国の指導により全国一律かつ恒久的に実施されることが望ましく、加えて恒常的に多額の財源を要することから、現時点で給食費の無償化は考えておりません。引き続き国の動向を注視するとともに、市長会等を通じて国の主導による学校給食制度の改正とその財源措置について要望してまいりたいと存じます。

-森尾議員
 教育委員会に伺います。学校給食法第11条は、学校給食にかかわる経費の負担について明記し、保護者負担について記載があります。この学校給食法が戦後間もない時期に制定され、厳しい国の財源を考慮しつくられた経緯などが国会で議論されてきました。そして、義務教育は無償との立場から、国は、学校給食法第11条は自治体による給食費の全額補助を否定しているものではないとしました。教育委員会はこうした国の見解を承知しているものと考えますが、お答え願います。

-堀場教育次長
 学校給食法第11条に関しまして、国は自治体の判断により給食費を全額補助することを否定するものではないとの見解を示していることにつきまして、教育委員会は承知しているかとのお尋ねがございました。本市では学校給食法第11条に定められる給食の実施に必要な経費の分担の原則に基づきまして、経費の適切な負担の観点から食材費のみを保護者に負担していただくこととしております。この条文について、各自治体が給食費の一部、または全部を負担することを否定するものではないとの見解は承知しており、本市では令和4年度以降、食材費の高騰が続く状況下におきまして、保護者の負担を軽減するため、食材費の不足分を全額公費で補填しているところでございます。

-森尾議員
 第4に、この12月2日から従来の健康保険証の新規交付を中止し、マイナ保険証へと切り替えが強行されました。マイナ保険証の利用率は1割台にすぎず、医療・介護関係者からも従来の保険証発行を継続することが強く求める声が続いています。市長。国に対し、従来の保険証の発行を継続するよう求めていただきたいと思います。見解を伺います。
 なお、来年7月末で、従来の国民健康保険証の有効期限が切れるが、今後の対策について明らかにしてください。

-村山市長
 マイナ保険証の利用により、診療時に過去の健診結果や薬剤情報が共有でき、適切な医療に繋がるなど、市民の利便性が高まると考えております。国に対して従来の保険証の発行を継続できるよう求めることは考えておりません。
 有効期限が切れる前に、マイナ保険証を保有していない方には、従来の保険証の代わりとなる資格確認書を送付いたします。引き続き納入通知書等を送付する際に、制度改正の内容を記載したチラシを同封するとともに、市ホームページ等を活用した広報活動を行うなど、制度周知に努めてまいります。

-森尾議員
 質問の第3に、教科書採択についてです。
 今年、中学校教科書の採択が行われました。金沢市教育委員会は、この教科書採択にあたってどのようにのぞんだのか。その基本方針を伺います。教科書の採択は、子どもたちの未来の選択であります。教育や教科書は、子ども自身が学び、育つ力を支えるものです。子どもたちの学習をする権利を十分に保障するために、責任ある教科書採択を行うことが求められています。私が1970年東京教育大学に入学した当時、日本史の教授であった家永三郎氏が自ら作成した日本史教科書が当時の文部省の検定により、削除・修正が行われたのは、憲法に違反するとして裁判に訴えていました。いわゆる教科書裁判です。1970年7月、東京地方裁判所の判決が下されました。その判決は、国家の教育権を否定し、検定は、憲法と教育基本法に違反するというものでした。この判決は、国による検定の行き過ぎを指摘し、教育は国民の立場に立ち憲法と教育基本法に基づき行われることを求めたものでした。教科書の採択は、子どもたちの学習権を保障し、未来への選択であり、憲法と教育基本法に基づいて行われることが大切だと考えます。教育委員会は教科書の採択に当たってどのようにのぞんだのか伺います。
 第2に、教科書採択をめぐる状況についてどのように受け止め、対応されたのか。伺います。教育委員会での審議をはじめ、教科書採択についてオープンな議論を通じて、国民の理解と合意が大切となってきています。したがって、各地で教育委員会の市民の傍聴の下で審議が行われるなど取り組みが進められています。金沢市教育委員会の見解を伺います。
 第3に、どの教科書がふさわしいのか。国民的な議論が行われてきました。この点、どのように受け止め今回の教科書採択にのぞんだのか。伺います。その契機となったのは「新しい歴史教科書をつくる会」が発足し、2001年扶桑社から歴史教科書と公民教科書が検定を経て教科書として登場したことでした。従来の教科書は、日本の歴史の負の部分をことさら強調したものだと主張しました。そして、新しい教科書において、あの太平洋戦争は、日本が中国に侵略したためだとか、ことさら強調する自虐史観ではなく、誇り高い日本の歴史を明らかにするとしました。2007年以降、扶桑社にかわって自由社と育鵬社から教科書が発行されていますが、いずれも採用は少数となっています。今回、金沢市教育委員会は中学校歴史教科書について、育鵬社から帝国書院を採択しました。教科書をめぐる議論の中で、憲法と教育基本法に基づき子どもたちにどんなことを学び、生きる力としていくかが問われてきました。教科書をめぐる国民的な議論について、どのように受け止めたのか。伺います。
 この質問の最後に、教育基本法が示した教育の目的について、教育長に伺います。教育基本法第1条は、次のようなものです。「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」と明記しています。令和2年9月議会で、私の質問に答え野口教育長は「国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の憲法三原則に基づき、教育基本法は戦後教育の原点であると私も思っている」と述べました。今回の教科書採択にあたって、公開された議事録の中で野口教育長の発言は、先の発言とは異なるものがずいぶん見られました。教育基本法が示した教育の目的に沿って教科書の採択、教育の実践を進めていかれるよう期待したいと思います。見解を求めます。

-野口教育長
 教科書採択につきましてご質問がございました。はじめに、教科書採択に当たっての基本姿勢についてお答えをいたします。教科書はすべての児童生徒にとって、学校における授業や家庭における学習活動に重要な役割を果たすものであります。その採択に当たりましては、採択権者であります教育委員一人ひとりが教科用図書調査委員会による専門的な調査報告書、学校ごとの教科用図書研究委員会の報告書、教科書展示会における保護者や一般の方々の意見とともに、教育委員それぞれの調査の視点も加え、すべての発行者の教科書を綿密に調査し、公正性・透明性に疑念を生じさせることのないように、その職責の重さを十分に自覚して、教科書採択に臨んでおります。
 次に、教科書採択の際、市民が傍聴する中などで行われる自治体があることについて、どのように理解しながら採択に臨んだのかということについてお尋ねがございました。昨年7月の教育委員会議におきましては、国の通知等を踏まえ、教科書採択にかかる会議を公開するかどうかについて真摯に話をさせていただきました。教育委員会議におきましては、会議を公開した場合に意思形成過程での自由闊達な議論を行うことが難しいのではないかなどといった意見が出され、議論の結果として本市としては会議を非公開とすることに決定をいたしました。繰り返しになりますけれども、教科書採択は採択権者の判断と責任によって綿密な調査・研究を踏まえたうえで、公正性・透明性に疑念を生じさせることがなく適切に行えることが大切であることから、昨年度から議事録の公表に当たりましては発言者を記載し、透明性を高めてきており、今年度も同様に教科書採択の審議過程の公表を行わせていただきました。教科書採択にかかる教育委員会の公開につきましては現時点では考えておりませんが、次回の採択の際に改めて教育委員会議において話し合われるべきものと考えております。
 また、どの教科書がふさわしいかについての議論の中で、どのように教科書採択に臨んだのかとのお尋ねについてお答えいたします。教科書採択に当たりましては、森尾委員もお触れになりましたが、日本国憲法と教育基本法を踏まえるとともに、各学校が教育課程を編成する基準となる学習指導要領に基づいて行われるべきものと思っております。その学習指導要領の総則におきましては、「学校においては教育基本法および学校教育法等に示すところに従い、適切な教育課程を編成するものとする」と規定されており、今回の教科書採択におきましても、現行の学習指導要領において示されている内容の取扱いやその記載内容等につきまして、すべての発行者の教科書を綿密に調査したうえで、教育委員会が本市の子どもたちに最もふさわしい教科書を採択権者の判断と責任により採択いたしました。
 最後になりますけれども、日本国憲法および教育基本法を踏まえて、どのような姿勢で教科書採択に臨んだのかとのお尋ねがございました。仰せになりました通り、国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の三大原則を基本とする日本国憲法と、教育基本法第1条に規定する人格の完成、平和で民主的な社会の形成者、健康な国民の3つの教育の目的は、戦後教育の原点であると考えており、この考えは今も全く変わっておりません。このことを踏まえて教科書採択に臨んだところでございます。

-森尾議員
 質問の最後に、粟崎地区での液状化対策についてです。
 金沢市はこの対策として「地下水位低下工法」を採用し、実施することを明らかにしました。この工法は、道路の地下に集水管を埋め、地下水を集め、近くの大野川に自然排水することで、液状化を防ぐというものです。そこで、この工法による効果ついて明らかにしていただきたいと思います。今後、来年実施設計、翌年工事開始とのことです。粟崎の液状化の区域全体を対象に実施するとして、どの程度の期間を要するのか。住民から不安の声が出されています。見解を伺います。合わせて、地域住民への説明は、どのように進めるのか明らかにしてください。

-村山市長
 粟崎地区の液状化への対応でありますが、液状化対策は他都市の事例からも長期にわたる取り組みとなります。今月中にも住民説明会を開催し、液状化対策と道路の復旧計画について説明することとしております。地域住民の方々との合意形成を図りながら、今年度内に液状化対策工法を決定したうえで、明年度に実施設計に着手したいと考えております。実施設計業務の中で、必要な事業費や事業期間を具体的に確定していくこととなります。

-山崎危機管理監
 粟崎地区での地下水位低下工法についてお尋ねでございました。先般開催いたしました第3回被災地区復旧技術検討会議におきまして、地盤調査の決定に基づき液状化の判定を行い、地下水位を20cmから最大で2m程度低下させることにより、液状化被害の抑制と側方流動の低減が可能であることを確認いたしました。地下水位の低下による地盤沈下量が極めて小さく、宅地への影響が少ないと判断をしております。

-森尾議員
 この質問の最後に、大野川護岸沿いでの浸水被害対策についてです。10数軒で被害が発生し、隣接する金沢市が管理する木谷(きや)公園にも影響が及んでいることから、県が明年度以降改修工事に着手すると、去る9月議会の私の質問に対し答弁がありました。すでに被害の大きかった1軒の家は解体が行われました。住民からは、緊急対策として護岸のかさ上げ要望が出されています。県に働きかけていただきたいと思います。見解を伺いまして私の質問を終わります。

-高木都市整備局長
 木谷公園に隣接する大野川の護岸の改修についてお尋ねがございました。この護岸の改修につきまして、改めて河川管理者である石川県に確認しましたところ、早急に工事に着手できるよう検討を進めるということをお聞きしております。

再質問

-森尾議員
 市長に改めて伺いたいと思います。年末を迎え、物価の高騰の中で、市民生活の状況は一段と厳しいものがあります。金沢市としてやれることはないのか。私は、2つの点を改めて問いたいと思います。冬季にあたって灯油を含めた支援策はとれないのか。2つめは、金沢市が決断をすれば、学校給食費の無償化は実現できるんです。この2つの点を、市としても決断するべきではないかと思いますので、改めて答弁を求めたいと思います。

-村山市長
 2点についてご質問をいただきました。現在国の方で議論が進められている経済対策につきまして、先程申し上げた通りでありますけれども、なるべく早く予算化をしていきたいと思っております。市独自としての灯油等の対策については現在のところ考えておりません。
 そして、給食費につきましては、先程も申し上げた通りにございますけれども、これは国として一体として考えるべき話だというようにとらえております。どこかの自治体がこれを行って、それに横並びにしなければならないというものでもないというように考えております。恒久的、そして多額の財源が必要となるということをご理解いただければというように存じます。市の予算の1.1%、これはかなり大きな額だというように捉えております。

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2024年11月8日

金沢市議会議長 喜多浩一 様

海外姉妹都市交流および国内都市間交流についての申し入れ

日本共産党金沢市議員団
森尾嘉昭
広田美代
山下明希

 能登半島地震から10カ月が経ちましたが、大雨被害もあり未だ多くの県民、市民が不安定な生活を送っています。また、物価高騰も深刻さを増し、帝国データバンクの発表では、先月10月の食品値上げは今年最多の2924品目となり、11月も値上げは続いています。毎月勤労統計調査の速報値で、9月の働く人1人当たりの現金給与の総額は、前の年の同じ月と比べて2.8%増えたものの、物価の上昇に賃金の伸びが追いつかず、実質賃金は2か月連続でマイナスとなりました。災害と長引く物価高騰が市民生活に深刻な影響を与え、私たちのもとにお声や相談が寄せられています。

 そんな中、金沢市議会では海外姉妹都市等の交流について計画を見直しました。2026年度予定のイルクーツク市への訪問を中止する代わりに、イルクーツク訪問を予定していた議員15名を台南・台中、全州へ再度割り当てるというものです。この計画の予算は4年間で4000万円にものぼります。
 私たち市議員団は従来から、市民生活をかんがみ、海外訪問は辞退をしてきましたが、代表者会議の中でも指摘しました通り、この災害、物価高騰などによる市民生活の現状から、計画変更ではなく中止を求めます。
 また、国内の都市間交流についても従来から必要最低限を求めてきており、市民生活にかんがみ、今年度の訪問は辞退をいたします。

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 私は、日本共産党市議員団を代表して、議会議案第11号 北陸新幹線の大阪までの早期全線整備を求める決議に対し、反対討論を行います。

 北陸新幹線延伸計画は、政府が、敦賀から大阪間の小浜・京都ルートを打ち出し、その実現をめざしてきたものです。しかし、いまだ見通しすらたっていません。

この計画には、大きな問題が明らかとなってきています。

 第1に、莫大な建設事業費と工期が長期間にわたることです。

 最大5兆3千億円と、当初の2.5倍となっています。これにより、費用対効果は、1を下回ることが予想されます。これによって、新幹線建設の着工条件の一つがクリアーできなくなります。

 工期は最長で28年と当初より13年長くなります。来年着工したとしても完成は2050年代となります。

 第2に、京都のまちと自然環境を壊す恐れがあることです。計画案では、敦賀から新大阪まで140キロの8割がトンネルとなっています。京都市内を深さ20mから50mにトンネルが縦断することなり、地下水や河川への影響、発生する土砂の処理対策など環境への影響です。

京都府民からは、「再検討、中止すべき」との声が世論調査で6割にも達しています。

 第3に、大都市への一極集中により、地方との格差を一掃広げることです。大きな電力を消費する高速鉄道網は、再エネルギー・省エネにも逆行します。

 以上の点から、政府が進めている北陸新幹線延伸計画は破綻し、中止する以外ありません。

 ところが、別のルートを模索するよう主張があります。米原ルートと言われるものです。国の方針ではないうえに、関係する自治体での検討すらされていないもので、実行性を伴う計画にもなっていません。

 この決議は、すでに実行性が問われる事態となっている小浜・京都ルートを推し進めるわけにもいかず、かといって、政府が進めている小浜・京都ルートとは全く異なる米原ルートを提唱するものでもなく、結局「一日も早い北陸新幹線の大阪までの全線整備を強く求める」としています。

北陸新幹線は敦賀まで建設されましたが、サンダーバードの運行区間が縮小され、利便性が大きく後退しています。新幹線建設を優先し、住民の足となる在来線を切り捨てるという財界優先の鉄道運営を進めてきた政治に厳しい批判の声が広がっています。

もはや北陸新幹線延伸計画は見通しすら立たず、やめるべきです。

わが党は、鉄道を地域経済と住民生活を支える大切な基盤と位置づけ、その再生を目指します。在来線の強化や南海トラフ大地震が懸念される中、既存の新幹線、在来線などの耐震化を行うこと。そして、地域公共交通の整備・充実こそすべきです。  よって、この決議案に反対であることを明らかにし、討論を終わります。

私は、日本共産党 市議員団を代表して、議会議案第16号 女性差別撤廃条約選択議定書の速やかな批准を求める意見書について、提案理由説明を行います。

1979年、国連はあらゆる分野において女性に対する差別を撤廃し、女性に対して男性と平等の権利を保障するための女性差別撤廃条約を採択し、日本は1985年に同条約を批准しました。
女性差別撤廃条約の制定から20年が経過した1999年に、条約の実効性を強化し、女性が抱える問題を解決するため、あらたに条約の選択議定書が国連で採択されました。現在、女性差別撤廃条約批准国189か国のうち、115か国で選択議定書が批准されていますが、日本はいまだ批准にいたっていません。

選択議定書は、「個人通報制度」と「調査制度」の2つの手続きを定めています。
「個人通報制度」とは、条約で保障する権利を侵害された個人や集団が、国内の救済手続きを尽くしたが解決しなかった場合、女性差別撤廃委員会に通報して救済を申し立てることができる制度です。
「調査制度」とは、女性差別撤廃委員会が、条約に定める権利の重大または組織的な侵害があるという信頼できる情報を受け取った場合、その国の協力のもとで調査し、国に調査結果を意見・勧告とともに送付する制度です。
選択議定書を批准することによって、国際的な人権基準に基づき、女性の人権侵害の救済と人権の保障をさらに強化し、ジェンダー平等社会の形成の促進につながります。
長年にわたる男女間の賃金格差や、ジェンダー格差がある結婚後の夫婦同姓の強制、管理職や政治家など意思決定の場における女性参画など、日本の現状はジェンダーギャップ指数2024において146か国中118位、G7主要7か国では最下位、東アジア・太平洋地域でも18か国中17位という低い順位にも表れており、選択議定書の批准はこの現状を変える重要な第一歩です。すでに早期批准を求める意見書を可決した地方議会は、278議会に広がっています。
国においても、男女共同参画社会基本法に基づく「第5次男女共同参画基本計画」のなかで、「女子差別撤廃条約の選択議定書については、諸課題の整理を含め、早期締結について真剣な検討を進める」としています。

この意見書は、国に対して、本年10月に女性差別撤廃委員会による日本報告審議を前に、女性に対する差別を撤廃し、男女平等社会を実現するため、女性差別撤廃条約選択議定書を速やかに批准するよう強く求めるものです。
議員各位のご賛同をお願いしまして、提案理由説明といたします。

私は日本共産党市議員団を代表して、反対討論を行います。

 私どもは、今議会上程されました議案22件のうち、議案第23号令和6年度金沢市一般会計補正予算(第2号)および議案第30号金沢市国民健康保険条例の一部改正についての2件に反対です。

まず議案第23号の補正予算についての反対理由は3つあります。

ひとつめは、企業立地促進費の本社機能強化促進企業立地助成金1480万円についてです。これは東京から地方へ本社機能を移転したり集約したりするとして、一部の大手企業に利便を図るものとなっています。東京など大都市と地方との格差が是正されるどころか、ますます広がっています。一部の大企業ではなく、地域経済を支える中小企業への支援策こそ強化すべきです。 

ふたつめは、金沢テクノパーク企業立地助成金5000万円についてです。これは以前売却した企業に対する助成です。

先端産業を誘致するとして森本地区に金沢テクノパークが総事業費295億円で造成されました。平成4年3月に開発造成工事が始まってから32年が経過した現在、今議会に提案された通りようやく誘致が完了しようとしています。これら誘致のためにこれまで様々な利便が図られ、今回の企業立地助成金もそのひとつです。他の工業用地の場合、立地助成金は最大3億円ですが、金沢テクノパークは5億円となっています。雇用助成金もほかの工業用地では一人20万円、上限が4000万円ですが、金沢テクノパークでは一人50万円、上限が1億円となっています。金沢テクノパークへ立地する企業は大企業や大手企業であり、一部の大手企業ではなく、中小企業への支援策こそ必要です。

3つ目は、PFI方式による公共施設照明のLED化事業の債務負担41億円についてです。

PFI方式とは民間の資金と経営能力・技術力を活用し公共施設等の整備や維持管理・運営を行うものとされています。今回本市では脱炭素化を推進するとしてPFI方式により、本市公共施設のおよそ半数の照明を一斉にLEDに変え管理していく事業を10年間にわたって民間に任せるというものです。

初期費用もかからずコストも下げられると言われていますが、PFI方式にはリスクもあります。民間事業者が利益を追求することでサービス内容が低下すること。管理運営も民間が主体となるため公共性が後退すること。長期契約であるため、市場の変化や災害時の対応、事業者自体の倒産や合併など、環境の変化に対応できるのか不確定であり、市民のための公共施設管理にはそぐわないため反対です。

議案第30号 金沢市国民健康保険条例の一部改正についてです。これは国民健康保険法の一部改正により12月2日から現行の被保険者証の発行を終了し、マイナ保険証に一本化することに伴うものです。この8月に実施された地方紙18社によるマイナ保険証に関する合同アンケートの結果は、保険証廃止の政府方針に対して最も多い選択肢が「現行の保険証を残してマイナ保険証の導入をやめる」が42%、つぎは「現行の保険証を残して選択制に」が39.8%と現行の保険証を残してというご意見が81.8%にのぼり、一方「マイナ保険証への一本化を支持する」は18.3%にすぎません。

保険証廃止に対し、国民の不安や疑問はいまだ払しょくされておらず、理解と合意は得られていません。本市もふくめ保険者への負担も増大します。

あくまでマイナ保険証の取得や使用は任意です。現行の保険証は存続させるべきであり、この条例改正に反対です。

以上で、討論を終わります。

-山下議員
 質問の機会を得ましたので、日本共産党 市議員団の一員として、質問いたします。

 最初の質問は、こどもの声をきく取り組みについてです。能登半島地震発災から8か月が経過をしました。避難所の閉鎖や様々な支援制度の終了が伝わる中で、能登地域でもここ金沢市内でも、避難生活を余儀なくされている方々が日常生活を取り戻すための支援は引き続き取り組む必要があると考えます。能登から避難している小学生の保護者から、大きな地震の経験と避難生活の中で、おとなも子どもも、まだ心身ともに日常に戻れない状況にあることもお聞きしています。「同じ避難者が集まって遊んだり話したりできる場所がほしい」という要望もありました。子どもの居場所づくりに取り組む市内の団体の中には、コロナ禍も活動を継続してきており、また1月の地震直後、NPO団体が「子どもの日常を一日も早く取り戻すために」と真っ先に被災地で子どもの居場所の運営を開始したことをみても、子どもが安心安全に、子どもらしくいられる居場所の役割と重要性が改めて認識されています。2023年4月「こども基本法」が施行され、子どもの権利条約の原則を取り込み、「意見表明権の尊重」や「子どもの最善の利益の優先的考慮」が示されたことは大変重要です。そして同年12月には「こどもの居場所づくりに関する指針」が策定されました。「こども・若者の視点に立ち、こども・若者の声をききながら、 居場所づくりを進めることが重要である」と示されています。そこで金沢市は、子どもの居場所づくりについて、その重要性をどのように捉え取り組んでいるのか、また自治体として基本方針など策定する計画があるのか、うかがいます。

-村山市長
 子どもの孤独・孤立を防ぎ、すこやかな成長を促すうえで、学校や家庭のほかに子どもが安全で安心して過ごすことができる居場所づくりを進めていくことが重要であると認識しております。本市では令和5年度から、こども食堂の運営や学習支援教室など、地域の身近な場所で居場所づくりを行う団体を支援しておりますほか、地区児童館や児童クラブにおいても、地域の特色を生かし様々な体験活動等を通じて、子どもの健全育成に取り組んでおります。ご指摘の個別の基本方針を定めることまでは考えておりませんが、こうした事業も通じまして、今般、未来共創計画の主要事業の中に子どもの居場所づくりの推進を盛り込んだところであります。

-山下議員
 子どもがありのままでいられる居場所づくりに重要なのは、子どもたちの日常の生活の中で、子どもの声が受け止められる環境をつくることにあります。すでに地域に存在する、子どもたちの実情に応じた多種多様な居場所づくりへのさらなる支援や、今おっしゃいました公的な社会資源、その居場所への活用についてもぜひ検討を求めたいと思います。

 次に、学びの多様化学校の設置についてですが、不登校児童生徒の実態に配慮して、特別の教育課程を編成して教育を実施する学びの多様化学校の設置検討委員会が今年度設置され、これまで2回検討委員会が開催されています。10月に開かれる3回目の委員会で答申案が検討され、提出された答申をもとに教育委員会議において、金沢市における学びの多様化学校を設置するかどうかを審議するということです。こども基本法第11条には「国及び地方公共団体は、こども施策を策定し、実施し、及び評価するに当たっては、当該こども施策の対象となるこども又はこどもを養育する者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする」とあります。そこで、学びの多様化学校設置検討委員会において、子どもの意見を聞く機会があったのか、子どもの意見を尊重した委員会の議論になっていたのかお聞かせください。

-野口教育長
 学びの多様化学校設置検討委員会は、学びにアクセスできない児童生徒への社会的自立を目指した支援のために、学びの多様化学校を設置することの必要性について検討することを目的として設置をいたしております。検討委員会におきましては、国の動向や本市の不登校の状況をよくご存じの有識者をはじめ、不登校対策や教育相談に詳しい小中学校の校長先生、直接不登校児童生徒やその保護者と関わっていらっしゃるスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、そして不登校支援団体の関係者等の方々に委員として就任いただいておりました。現在の学校や家庭での子どもたちの実情を踏まえ、子どもの思いを反映した議論を行っておられると捉えております。

-山下議員
 2回目の検討委員会では、不登校支援の選択肢が増えるという観点からも設置することが望ましいという議論がされていました。答申が教育委員会に出されたのち、子どもの声、とくに当事者である不登校児童生徒、その保護者の声を聞くことは必要だと考えます。そうした機会の設定を求めますが、いかがですか。

-野口教育長
 8月に開催いたしました第2回目の学びの多様化学校設置検討委員会におきましては、本市に学びの多様化学校を設置する場合の検討課題の中に、本市における不登校の実態や実情を把握したうえで、子どもの視点を持って学習内容等を検討していく必要があるという意見が出されております。不登校児童・生徒やその保護者の意見を聞く機会につきましては、すでに学びの多様化学校が設置されている自治体において行われた例もあるということをお伺いしており、そうした自治体での取り組みにつきまして参考にしながら研究してまいりたいと思っております。

-山下議員
 ぜひそういう機会を設けていただきたいというふうに思います。子ども自身もやはり「こんな学校に通いたい」という願いを強く持っていると思います。子どもが学校の主人公として、ひとりの人間として尊重され、子どもたちが自由に気持ちや思いを伝えられるような、そういうことを大人がサポートしていく、そしてその声を受け止めて進めていくということを求めたいと思います。

 国民健康保険についておたずねします。物価高騰が長引く中で、国民健康保険料が家計を圧迫しています。同じ年収の会社員が支払う健康保険料に比べて、国民健康保険料は2倍も高いのが実態です。加入者の高齢化や貧困化が進むなかで、保険料を引き下げるあらゆる努力が尽くされる必要があるのではないでしょうか。国民健康保険法第1条には「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保険の向上に寄与することを目的とする」とあります。国民健康保険は「社会保障だ」という視点が欠けることがあってはなりません。課題が山積する国民健康保険制度のもとであっても、いかにして市民の健康と受療権を守っていくのか、保険者としての役割をどのようにお考えか、うかがいます。

-村山市長
 国民健康保険制度は、他の医療保険に加入されていないすべての方を対象としているなど、国民皆保険の基盤としてこれまでも重要な役割を担ってまいりました。保険者として今後も市民が健康でかつ安心して医療が受けられるよう、健全な運営に努めてまいりたいと存じます。

-山下議員
 ぜひ、市民の健康といのちを守る、そうした取り組みを引き続きお願いいたします。
 
次に、現行の健康保険証の新規発行終了とマイナ保険証についておたずねします。厚生労働省は8月30日に、健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一本化する省令改定案のパブリックコメントの結果を公表しました。約1か月間意見を募集したところ、合計5万3028件の意見が寄せられています。厚労省は賛否の内訳は明らかにしていませんが、意見の中には「個人情報が漏洩するのではないか」「カードリーダーの受付で、医療機関窓口の負担が増えている」「資格確認書の発行のために、現行の被保険者証を残せば生じないコストがかかる」など、保険証の廃止やマイナ保険証に対する不安の声が多く見られました。実際、私たちのもとにも「マイナ保険証にしないと受診ができなくなるのか?」など、心配する声が数多く届いています。国は、国民の反対する声も聞かずに、12月2日から健康保険証の新規発行を終了しようとしています。私たちは引き続き健康保険証を残すことを求めていきますが、一方で今、市民の皆さんの不安に対しても丁寧な説明が必要だと考えます。国民の理解と合意が得られてない施策に自治体もたいへん翻弄されている状況ですが、現状を真摯におこたえいただくことを求めます。まずは市長、国は、健康保険証の新規発行をせず、マイナンバーカードと健康保険証を一本化するとしていますが、マイナ保険証の取得は強制なのか、うかがいます。

-山下市民局長
 マイナ保険証の取得につきましては任意であり、強制ではございません。

-山下議員
 マイナ保険証の取得は強制ではないんです。任意の制度を普及するために、保険証を廃止することはまったく道理がありません。マイナンバーカードを取得することも、保険証を紐づけることも、マイナ保険証を使用することも、強制ではなく任意だということを改めて周知していただきたいと思います。

 一方で、マイナンバーカードを取得しない方の不安のひとつは、健康保険証が廃止されることで、身分証明するものがなくなってしまうのではないかという不安です。健康保険証にかわって「資格確認書」が交付されることになっています。「資格確認書」が健康保険証と同様に、保険年金課の窓口で身分証明書として使用できるよう求めますが、いかがですか。

-山下市民局長
 資格確認書につきましては、本人確認書類として使用することができます。

-山下議員
 そして、受診といっても医療機関での診療だけではありません。訪問診療や訪問看護など、在宅での診療の際、マイナ保険証はどのように確認されるのかうかがいます。

-山下市民局長
 在宅等での診療におきましては、携帯端末とオンライン上のシステム、これを活用いたしまして資格確認を行うこととなっております。

-山下議員
 マイナンバーカードと健康保険証の一本化で最大の問題は、無保険扱いを生み出すのではないかという点です。マイナンバーカードには電子証明書の5年という有効期限があります。有効期限に気づかず更新しなかった場合、無保険にならない対応が考えられているのか、お聞かせください。

-山下市民局長
 電子証明書の有効期限が切れた場合であっても、無保険になることはございません。期限が切れた3か月間は、引き続きマイナ保険証としての利用が可能でございます。なお、3か月が経過した時点で資格確認書を発行することとなっております。

-山下議員
 では保険証を紛失した場合、国保の健康保険証はその場で発行ができますが、マイナンバーカードは再発行までに1か月程度かかるときいています。マイナンバーカードを再発行している期間は無保険扱いにならないのですか。

-山下市民局長
 マイナンバーカードを紛失した場合であっても、現行保険証と同様に無保険になることはございません。

-山下議員
 こうした更新や紛失の不安から、保険証の紐づけを解除したいという方もなかにはいらっしゃいます。一度紐づけると解除できないと言われていましたが、現状どうなっているのかお聞かせください。

-山下市民局長
 現在、登録後の解除はできないこととなっておりますが、国からはマイナ保険証の利用登録が任意の手続きであることを踏まえまして、本年の10月を目途に資格確認書の申請を条件としたうえで、解除を希望する方が手続きできるように現在システム改修を行っていると聞いております。

-山下議員
 厚労省は、マイナ保険証を利用するメリットのひとつに、医療費が20円節約でき、自己負担も安くなると宣伝しています。しかし政府は国会で、マイナンバーカードを所持しなくても不利益を被らないと答弁してきています。マイナンバーカードの所持は任意で、マイナ保険証の使用も任意にも関わらず、保険証が違うだけで医療を受ける権利に不平等が生じるということは許されません。また、より良い医療を受けることができるとも宣伝していますが、はたしてそうでしょうか。受診する医療機関で過去の医療情報を提供すると同意すれば、投薬や検査など過去の履歴全てを受診医療機関で確認することができるといいますが、レセプトの関係で1か月もしくは2か月近く直近の情報は確認ができません。そして問題は、こうした直近の履歴が確認できないことだけではなく、提供する情報を本人が選択できないということです。マイナ保険証の場合、本人が望まない情報まで提供されることになります。そして必要性関連性を説明されないまま同意を求められることも問題です。
新規発行停止の施行日が近づいている中で、国は丁寧に説明すると言っていますが、丁寧な説明も運用もしてこなかったから、今の国民のみなさん、市民のみなさんの不安の状況があると考えます。無保険状態をつくらず、市民の受療権を保障するよう、本市の責任として全庁で取り組む必要があるのではないでしょうか。これまでも国からの情報が錯そうしています。正しい情報を迅速に、わかりやすく市民に周知していくことを求めますが、いかがですか。

-山下市民局長
 本市ではこれまでも、納入通知書や保険証を発行する際に、本年12月2日をもって現行保険証が廃止されること、マイナンバーカードをお持ちでない方や、マイナンバーカードは持っているが健康保険証利用登録を行っていない方には、資格証明書を発行することなどの制度改正の内容を記載したチラシを同封するとともに、市ホームページ等を活用した広報活動を行っているところでございます。引き続きわかりやすい周知に努めてまいります。

-山下議員 
 7月末に届いたそうした市の広報を見ても、やはり正しくみなさんに伝わっていないという状況がありますので、ぜひわかりやすく市民への周知を引き続きお願いをいたします。
 こうした利用者や医療機関等に負担を押し付ける、こんな強引なやり方では市民の健康といのちが守れません。マイナカードと健康保険証の一本化は中止し、現行の健康保険証を残すべきと、保険者として国に強く求めるべきではないですか。市長、答弁をお願いします。

-村山市長
 マイナ保険証を利用することによりまして、診療時には過去の検診結果や薬剤情報が共有できます。そして適切な医療に繋がる、そうした市民の利便性が高まると考えております。改めて国に対して現行の保険証の存続を求めていくということは考えておりません。

-山下議員
 今行われている自民党総裁選で、一部の候補者からは「保険証廃止の先延ばし」の声がでています。国民の理解を得ていない、批判が強いことの表われではないでしょうか。健康保険証を残すことを再度求めて次の質問にうつります。
 
 新型コロナウイルス感染症の対応について、おたずねします。
 まずは、公費補助についてです。新型コロナウイルス感染症は、昨年5月に「5類感染症」へ移行した後も、新株に置き換わりながら全国的に感染拡大の波がおきています。今年も6月以降、感染者数が急激に増加し、夏休みの期間を含め第11波とも言われました。医療ひっ迫、医療崩壊を防ぐためには、感染拡大や重症化をおさえることが必要です。
 10月から新型コロナウイルス感染症の定期接種が開始されます。対象者は65歳以上もしくは60歳から65歳未満の心臓・腎臓・呼吸器等に重度の障害を持つ方と限定されますが、対象の方も、また定期接種は対象外ではあるけど、任意でワクチン接種を希望される方が、経済的負担から接種をあきらめることのないように、ワクチン接種費用の負担軽減を求めますが、いかがですか。

-村山市長
 新型コロナウイルスワクチンの定期接種については、65歳以上の方や、60歳以上65歳未満の方で心臓等に重度の障害がある方を対象にしております。また他の予防接種に比べて接種費用が高額になることから、国では今年度1回あたりの接種について8300円を助成し、自己負担額が7000円程度となるように措置をしております。本市ではさらなる負担軽減を行い、接種1回あたりの自己負担額を2300円といたしましたほか、生活保護を受給されている方や一定の所得以下の方についてはその自己負担額を免除することとしております。重症化リスクの高い高齢者等が今回の定期接種の対象となっております。定期接種対象者以外の方の負担軽減については考えておりません。

-山下議員
 ワクチンの有効性や安全性については、やはり不安に思われる方もいますので、新たな知見も含めて情報提供を行い市民の疑問にこたえることと、また副反応についての原因究明と被害者救済に努めることも国に対してぜひ求めていっていただきたいと思います。

 新型コロナウイルス感染症のラゲブリオやパキロビッドなど治療薬は、窓口3割負担の方の場合、一回の処方で約3万円程度の負担がかかります。インフルエンザの抗ウイルス薬と比較しても非常に高額になっています。また、コロナの検査も有料になっているため、現に受診控えがあり、受診しても検査を受けない、治療薬の処方を断る状況があると聞いています。感染拡大や重症化を防ぐためには、検査が受けやすい、治療薬の処方が受けやすいという環境が必要ではないでしょうか。コロナの検査や治療薬などの自己負担に対しても、負担軽減の助成を国に求めるとともに、市としても助成を行うよう求めますが、見解を伺います。

-村山市長
 国においては、新型コロナウイルス感染症の5類移行によりまして、他の疾病との公平性をふまえ、検査及び外来治療費については令和5年5月7日で、治療薬及び入院医療費については令和6年3月末で、それぞれ公費支援を終了したものであります。本市もこれまで国の方針に基づき対策を講じてきたところであります。国に公費支援を求めることや、本市が独自で支援を調整することについては考えてはおりません。

-山下議員
 次に医療機関や福祉事業所等への支援についておたずねします。新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行してからも、医療機関は発熱外来を設け、コロナ陽性者の受け入れと治療にあたり、日々懸命な努力が続けられています。介護施設や障害者施設なども同様に感染症対策を継続しているのが現状です。5類移行後は感染症対策に対する財政的支援がなくなり、厳しい経営状況にあることも聞いています。医療機関や福祉事業所等に新型コロナウイルス感染症対策へのさらなる財政支援を国に求め、あわせて市としても財政支援を行うよう求めますが、いかがですか。

-村山市長
 国では令和6年度の診療報酬改定、あるいは介護報酬等の改定の中で、新型コロナウイルスを含む感染症対策についての加算を新設するなど、医療機関や介護施設、障害者者施設への対応を措置しております。本市として国にさらなる財政支援を求めることや、単独で支援することは考えてはおりません。

-山下議員
 コロナを含む感染症を対象とした恒常的な対策へと見直した上での報酬改定や加算だというふうに思いますが、全ての施設で加算が取れているわけではなく、通所系や訪問系については加算すらありません。医療機関や福祉事業所の現場の状況を市としてもしっかり把握したうえで、今後のさらなる財政支援を行うことを求めて、次の質問にうつります。

 最後に、市営住宅についてです。住まいは人権といわれなかで、住宅のセーフティーネットとしての役割を担う市営住宅ですが、入居にあたっての実情に応じた運用を求めて数点質問いたします。
 まず入居募集と整備についてです。本市の市営住宅の現況は、今年4月現在で3,381戸あり、そのうち入居戸数が2,431戸、政策空き家は374戸、空き家は576戸となっています。市営住宅の募集については、年3回の定期募集と、随時募集があります。この間の定期募集では10~20数戸、直近の今年8月の随時募集では35戸の募集戸数となっています。純粋な空き家が500戸以上ありますが、募集戸数が少ない理由をお聞かせください。

-高木都市整備局長
 定期募集につきましては年3回行っておりまして、比較的新しく設備の整った棟については応募倍率は高いものの、その他の棟につきましては応募倍率は低くなっております。随時募集につきましても通年で行っておりますが、応募倍率は低い状況でございます。加えまして入居希望者は高齢者が多いということもありまして、3階以上への応募者は減少しております。これらのことから、現時点では需要が見込めない住戸の募集を控えているという状況でございます。

-山下議員
 昨年 3回行われた定期募集では、42戸の募集に67件の申し込みがあり、倍率は1.6倍。一方随時募集では、1年間で102戸の募集に67件の申込みで、倍率は0.66倍だったということです。随時募集の応募が少ない理由をどのように捉えていますか。

-高木都市整備局長
 応募者が少ない原因としまして、交通の便が悪い郊外にあることや、老朽化が進んでいるなどことが考えられますほか、民間賃貸住宅の水準が向上したことも要因であると推測をしております。

-山下議員
 いくつか募集の戸数の状況を見ましても、やっぱりエレベーターがないとか、お風呂の整備がされていないというのが随時募集の中に多く見られます。必要な方に住居を提供するには、そうした整備が欠かせないというふうに思います。実際に入居を希望している方は、定期募集を待つしかない状況にあります。随時募集の中でも、エレベーターがあり、浴室の整備が完了している住戸を増やして募集することを求めますが、いかがですか。

-高木都市整備局長
 浴室等の整備が整っている空き住戸につきましては、すみやかに募集を行っておりますが、その他の空き住戸につきましては計画的な浴室改善事業等によって住環境の向上を図りながら募集していくこととしております。

-山下議員
 全住宅3,381戸のうち、エレベーターのない棟の住戸数は2,251戸あります。エレベーターの有無で入居率をみると、エレベーター有では81%、無では67%となっています。これから年数がたてば、この差が開いていくことは想像に難しくないと思います。現在、市営住宅の再整備計画は、2017年につくられた「緑住宅再整備計画」のもとですすんでいますが、今後、公営住宅の役割をしっかりと果たしていくためにも、地域の課題やニーズを組んだ市営住宅の基本方針と、全市的な再整備計画の作成が必要だと考えますが、見解をうかがいます。

-村山市長
 市営住宅については金沢市住生活基本計画に基づいてセーフティーネットとしての役割を担うため、適正に管理を行っているところであります。改修等の整備に関しては耐震化されていない7棟については今後建て替えを進め、令和13年度に全て耐震基準を満たす予定であります。また老朽化した建物については計画的な修繕や設備更新を行っているところであります。今後は建物の状況を考慮しながら市営住宅の整備方針を策定していきたいと考えております。

-山下議員
 空き家の状況を見ても、エレベーターがなくて4階の棟はほとんど上の方は空き家になっているという状況です。そういうことも含めて、空き家が出ないような市営住宅の計画ということが必要かと思いますので、ぜひ検討をお願いいたします。

 連帯保証人について伺います。私たち会派は、市営住宅の連帯保証人の廃止について、これまでも本会議や委員会で求めてきました。連帯保証人の確保が困難なことを理由に入居を諦めざるをえないことがあってはなりません。2018年には国土交通省が公営住宅の入居に保証人を求めない方針を打ち出しています。しかし金沢市はまだ市営住宅の入居に原則、連帯保証人が必要です。市長が認めたものについては免除がされると条例にありますが、免除対象者の具体的な記載がありません。保証人がいなくても入居は可能だという具体的な周知を市民に対して行うよう昨年1月の建設企業常任委員会で求め、局長からは「周知については色々な方法があると思うので検討の中で考えていきたい」と答弁がありました。その後改善があったのかお聞きします。

-高木都市整備局長
 連帯保証人は市営住宅の管理上必要となる債務保証のほか、緊急時の連絡先や死亡退去時の財産整理などの役割を担っておりますので、親族や知人など、身近な関係者が死亡されていたり音信不通であるなど、特別な事情がある方に限り、連帯保証人を要しないとしておりまして、入居案内のパンフレット、市のホームページで周知をしているところでございます。

-山下議員
 国土交通省の「公営住宅への入居に際しての保証人の取扱い等に関する調査(R5.4.1時点)」によると、公営住宅の入居に際して、保証人を求めない都道府県は21あり全体の44.7%、政令市では17市あり85%、中核市でも28市45.2%が連帯保証人を求めていません。先行自治体の取り組みを研究しながら、ぜひ連帯保証人の廃止に取り組むことを改めて求めますが、見解を伺います。

-高木都市整備局長
 繰り返しになりますけれども、連帯保証人は債務保証のほか、緊急時の連絡先や死亡退去時の財産整理など、市営住宅の管理上必要な役割を担っておりますことから、現在のところは連帯保証人制度の廃止は考えておりません。

山下議員
 令和2年から実際に中核市でも連帯保証人を設けずに運用している自治体はありますので、ぜひそうした自治体のことも研究しながら連帯保証人の廃止という方向でぜひ進めていただきたいと思います。

 最後に、改築に伴う入居者の転居についてお聞きします。現在、緑住宅の一部で耐震化にともなう改築が予定されており、入居者には4月に説明会が行われ、12月末までに転居するよう通知がされました。私たちのところに、転居費用が工面できないという相談が寄せられています。移転に対しては公費負担があると聞いていますが、どの段階で支払われるのかお聞かせください。

-高木都市整備局長
 市営住宅の建て替えやリニューアルなどの事業を円滑に実施するため、住み替えの引っ越し費用等を移転保障費としてお支払いをしております。入居者が旧住宅から仮住宅への移転を完了して、市へ移転完了届を提出していただいたあと、市が移転事実の確認を行いまして支払いを行っております。

-山下議員
 ほとんどの引っ越し業者は、国土交通省の「標準引越運送約款」にのっとり、費用の支払いを引っ越し作業の開始前としています。タイミングの違いはあるにしても、引っ越しの当日支払いがほとんどです。引っ越し業者への支払いにまとまったお金が工面できないから皆さん困っておられるわけで、完了届を出した後からの補償費の支払いでは困っている方には間にあいません。他の自治体には「必要があると市長が認めたときは、移転完了前においても移転補償の支払いを行うことができる」と移転補償に関する要綱の中で示しているところもあります。転居を余儀なくされる入居者のみなさんが、経済的な不安なく転居の準備を行えるように、市として検査完了前でも補償の支払いをするなど対応を求めますが、いかがですか。

-高木都市整備局長
 移転先に給湯設備がない場合は入居者が使用している給湯設備、あるいは市所有の給湯設備を市の費用負担で移設をしているところでございます。また、引越し等の費用につきまして、金沢市社会福祉協議会が行っております生活福祉資金貸付制度の利用を案内しておりまして、引き続き入居者の方が不安を感じないよう丁寧に対応してまいります。

-山下議員
 他自治体は市長の裁量で、検査完了前でも移転費用を支払っているわけです。市長の見解を伺います。

-村山市長
 ただ今、担当局長が申し上げた通りです。

-山下議員
 金沢市が、ぜひこうした困っている方の実情に応じた対応を強く求めて、私のすべての質問を終わります。

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