-広田議員
質問の機会を得ましたので、日本共産党金沢市議員団の一員として、以下数点質問致します。
1.地域医療の存続について
はじめに、地域医療の存続について伺います。新型コロナウイルスにより、「医療崩壊ギリギリ」という訴えが医療現場から相次ぎました。医療従事者のみなさんの奮闘により持ちこたえていますが、いまの時期に「第2波」に備えるためには、その要である医療体制の確立抜きには語れません。しかし、その大きな障害となっているのが医療機関の経営危機です。感染症受け入れのための病床確保や、医師や看護師の特別体制をとったこと、一般診療や入院患者数を縮小したほか、手術や検査、健康診断の先延ばし、感染をおそれ外来患者が受診を控えたことなどを要因として、大幅な減収を引き起こしています。日本病院会など3団体の5月末の調査によれば、感染者を受け入れた病院は4月は平均1億円の赤字、受け入れていない病院も6割以上が赤字という結果です。全国の開業医・歯科医でつくられている全国保険医団体連合会の調査でも、保険診療収入が減少した医療機関が9割にのぼったとしています。本市では市立病院をはじめ、県立中央病院では4月の前年同月比で1.5億円の減収、金大病院、民間病院からも大幅な減収が伝えられています。医療系の労働組合からは、複数の病院ですでにボーナスカットの動きもあり、職員の離職が心配されるなど、先日市長あてにも申し入れを行ったところです。まずは、感染症指定病院として位置づけられ、感染者の受け入れと治療に取り組んでいる、本市市立病院の経営状況をあきらかにしてください。
-西尾市立病院事務局長
入院と外来を合わせました5月の医業収入は、昨年5月と比べまして約8400万円の減収となりました。
-広田議員
4月ではすでに8200万円の減収と伝えられ、5月分では8400万円の減収とのこと。この市立病院での減収分を、今後どのように補填していくのでしょうか。先日成立しました第二次補正予算だけで補填ができるのか。あきらかにしてください。
-山野市長
国の方では緊急包括支援交付金を創設し、空床確保料を補助することで医療提供体制を維持して行くというふうにお聞きをしています。また県におきましても、感染患者の受け入れ医療機関に対し独自の協力金の支給を検討しているとお聞きをしています。まだ詳細な具体的な金額は確定しているわけではありませんけれども、これらによって減収分が補填されるというふうに考えています。
-広田議員
今おっしゃられました交付金で空床確保、県の協力金もこれはベッドに対するものです。補填というのは、今出されているメニューでは感染症受け入れのベッドに対してのものであって、例えば看護師さんを市立病院も増員しましたけれども、その人件費であるとか通常より使っている医療敷材であるとか外来が減った分であるとか、こういったものもすべからく減収分ですけれども、補填されるとお考えでしょうか。
-山野市長
詳細な金額は発表されておりませんので、細かいところまで申し上げることはできませんけれども、概ね補填されるのではないかと期待しているところでありますし、そうでない場合があるとするならば、様々な形で現場の声を県・国にもお伝えをしていきながら、市としてもなし得る限りのことをしていきたいと考えています。
-広田議員
すでに民間の病院ではもうそれでは足りないと、感染症を受け入れたところであってもですね、そういう声が出されております。補填してみてどうかというのを待っていたのでは、経営破たんを招くという病院もありますので、ぜひすぐにでも国に声をあげていただきたいと思います。ただ、市立病院は感染症指定病院でもあり感染者を受け入れましたので、まだ予算が来る方ですが、それでも今言ったように減収分を全て補填できるのかはわからない大変厳しい現状だというのは共通認識だと思います。そして今言ったように他の民間病院はもっと大変な現状であるということは、同じく共通認識だと思います。国の第2次補正予算には、感染者対応の医療機関に1.2兆円規模の財政支援を行うとしていますが、4、5月診療分の減収補填への対策は含まれていないのが実態です。再度お尋ねしますが、市長、感染者を受け入れた病院であってもそうでない病院であっても、例年より減った分の補償を行うという観点で国の財政支援が必要だと考えますがいかがですか。
-山野市長
今ほどのご提案についても全く同じ認識であります。私も現場の先生方、また医療関係者から直接そういう切実な声をお聞きしているところであります。これは金沢だけではなくて全国的な問題だと思います。全国市長会としても声を上げていって取り組んでいかなければいけないと思っています。
-広田議員
その部分は同じ認識だということです。
政府は、4月分診療報酬の減収分について5月診療分の一部を概算前払いするといったことも出しておりますけれども、これは7月以降に前払い分は返金しなくてはなりません。しかも5月診療分の減収については救済策は全くなしです。コロナ感染と必死にたたかった医療機関に対して、あまりにも冷たい対応だと言わざるを得ません。全日本病院協会など四病院団体協議会が、日本医師会とも連名で申し入れた要望は、「災害時と同様に前年度の診療報酬支払額に基づく概算請求を認めてほしい」というものです。政府は実施を拒否していますが、市長、阪神淡路大震災でも東日本大震災のときも、昨年の台風19号のときもやっています。ぜひ災害時と同様の対応が必要だと思いますが、その見解を伺います。
-山野市長
私もこれは災害と言っても過言ではないのではないかというふうに思っています。ただ法的な位置付け等々がありますので、ここで軽々には申し上げることはできませんけれども、切実な声を様々な場面、私の立場からすれば全国市長会等を通して国に伝えていきたいというふうに思っています。
-広田議員
さらに石川県は人口当たりでみると、ご存知の通り感染者が本市を中心に全国で2番目に多い状況です。本来は率先して、県や市としても国へしっかり声をあげるべきですので、よろしくお願いします。
次に、今回の国の第二次補正予算で示された医療従事者への慰労金は、現場の実態に答えるものではありません。直接感染者の対応をしたかどうかで額が5万円から20万円と差がありますが、どの現場でも誰が感染者か分からない中、緊張状態に置かれ、みなさん奮闘をしてきたのはご存知かと思います。よって、一律20万円を幅広い職種に配布すべきだと考えますが、ぜひ国へ求めていただきたいと思います。
-山野市長
まさに今ほどおっしゃいましたように、感染をする可能性、リスクと常に背中合わせの中で取り組んでいらっしゃる方たちが医療関係者でありますので、その思い、気持ちは全く同じだというふうに思っています。これも金沢市だけではないと思います。石川県市長会、北信越市長会、そしてなんといっても全国市長会を通して、国にそういう切実な現場の声を伝えていきたいと思っています。
-広田議員
医療従事者という明確な区分がされてしまうと、出されない人も出てくる。そして感染症対応の病院とそうでない病院で違いが出てくる。こういった壁を取っ払って全員に配れるように、ぜひお声をあげていただきたいと思います。
次に、本市の独自支援ができないか伺います。直接感染者を受け入れていない、地域の身近な病院・診療所であっても、感染者受け入れ同様の体制をとってこれまで患者さんに対応しています。たとえば、保健所で検査の対象ではないとされ、かかりつけの病院に行くよう言われた方に対し、発熱外来で対応しています。クラスターが起きた病院から陰性になった患者を受け入れ、特別の体制をとって現在も治療にあたっている病院もあります。石川県の要請でPCR検査の採取を請け負ってきた病院もあります。それにもかかわらず、これらの病院は今回の第二次補正予算では感染者を受け入れたかどうかで区別され、国からも県からもほとんど財政的な支援がないといった状況です。PCR検査を受け入れ、本当に緊張状態の中頑張ってきた病院が、まだ労使協議中ですが夏のボ-ナスが0.5ヶ月分カットされて、12万円も下がるような状況が現場から出されています。こうした市民の第一線でがんばっている民間の病院や診療所に対し、第二波に備えるためにも、そして私たちの地域医療を存続させるためにも、市として独自の財政支援を行うべきですがいかがですか。
-山野市長
これまで国や県が主体となって行ってきました。市としてもマスクであったり衛生用品であったりの医療物資の配布を通して、医療機関に直接関わってきたところでもあります。引き続き国と県と連携をしながら、市としてなし得る限りのことをしていきたいと考えています。
-広田議員
国・県主体というご答弁が続いてきましたけれども、もうここまで来ましたら中核市として、市としてなし得る限りの姿勢を見せるということが、私は必要かと思っています。
6月補正で、寄付金である金沢版ふるさと納税を使って医療従事者や子どもたちへの支援をするとしているわけですけれども、これは独自の財政支援策と言ってもいいと思うのですが、どれくらい集まることを見込んでいるのですか。またこれは、集まった分だけで行うということなのか、それとも集まった分を一般財源に織り交ぜて使うということなのか、あきらかにしてください。
-山野市長
ふるさと納税ですので、まだはっきりと数字がわかるわけではありません。一生懸命告知をしていくことによって、お1人でも多くの方のご理解をいただいて、ご協力いただけるようにしていきたいと思っています。ふるさと納税でしていただいた分だけということでは決してありません。そういう形ではなくて、しっかりと取り組んでいかなければならないというふうに思っています。感染症の緊急対策につきましては、国の支援等を始め市単独でも財政支出を行っているところでありますし、4月の臨時会のときにも提案をさせていただいたところであります。ご寄付をいただいた皆さんの支援に対するお気持ちを十分に活かしていきながら、有効に大切に使わせていただけたらと思っています。
-広田議員
寄付金ですから、これからどれくらい集まるのかということになるわけですけれども、今のご答弁ではふるさと納税だけではなく、それも使って行うということでした。であれば、やはり医療機関、従事者の支援になりうる具体的施策を最初から計画したうえで、必要な財源を確保すべきだと考えますがいかがですか。
-山野市長
ふるさと納税のことについては今ほど申しましたようにいくらというわけではありませんけれども、医療機関に対する支援というのは、やはり一義的には国・県が主体で行っていただいております。ただ金沢市としてもしっかり連携をしながら、できる限りのことを取り組んでいかなければいけないと思いますし、そういうふうにしてきているところでありますし、これからもそういうふうにしていきます。
-広田議員
できる限りのことをしたいというお気持ちはわかったんですけれども、寄付金という見込めない予算で行うのではなく、具体的にこれくらいのことをすれば支援になるんだということを見据えて、財源を確保するべきではないかということを申し上げておりますが、再度いかがでしょうか。
-山野市長
今数字を明確に申し上げることはできませんけれども、繰り返しになりますができ得る限りの施策に取り組んでまいりたいと考えています。
-広田議員
できる限りのことを、早急に、数字で表していただくように再度求めておきたいと思います。
次に、政府がすすめる地域医療構想、市立病院のあり方についてです。「地域医療構想」については、加藤厚生労働相が5日の記者会見で、「再編統合の議論が必要」とした公立公的病院をめぐり、都道府県に求めていた今年9月までの結論取りまとめの先送りを認める考えを示しました。ですがこれは先送りにすぎず、県内では7つ、本市内でも2つの公的病院が再編統合の名指しをされ、石川県では2700床もの病床削減を迫られていることに変わりはありません。しかし、このコロナウイルス感染症のもとでは、日頃からいかに病院が人員体制やベッド数もぎりぎりの状態でやってきていたかがあきらかとなりました。県内での公立公的病院が主体となったのだと思いますが、感染症病床の使用率は一時ひっ迫をし、用意できた病床の9割にも達していましたし、ホテルで軽症者を受け入れなければ足りなかったというのが実態です。公的・公立病院を再編統合する地域医療構想は先送りではなく、撤回すべきです。
その地域医療構想の中で、あり方検討会を行ってきた市立病院についてまず伺います。患者数の増加にあわせ、確保病床を増やしてきたかと思います。まずはこのコロナ危機において、市立病院の接触者外来や感染者の受け入れ状況、病床の確保、使用率の推移をあきらかにしてください。
-山野市長
感染者の受け入れは当初6床でありましたけれども、28床へと段階的に受け入れ病床を拡充をし、公立病院としての役割を果たしてきたところであります。使用数・使用率の推移ということでありますけれども、これは県の方でも医療従事者や受入施設への風評被害などを考慮をし、これは当初から公表しない方針としており、市立病院もそれに合わせているところでありますので、公表していないということをご理解いただければと思います。
-広田議員
接触者外来の状況であるとか感染病床の使用率の推移をみることで議論をしたかったのですけれども、今は公表はむずかしいというご判断です。新聞等でも出ていますけれども、この県のこうした感染症に対する情報公開の問題については、今後取り上げていきたいと思いますが、今は私はこの状況を受けて、実態としては、具体的な数字が出て来なかったとしてもやはり病床はひっ迫し対応に追われたということは明らかなわけです。なので、県からの情報が出て来なくとも、コロナ危機を受けて、医療や保健機能についてとりまとめや検証を行わなくては、病院の再編統合や市立病院のあり方についても議論はすすめられないはずだと思いますが、その点はいかがでしょうか。
-山野市長
コロナ対応に限るというわけではありませんが、普段からこれはあり方検討会の中でもご提案をいただいておりますけれども、やはり周辺病院であったり機能連携や機能分化、そういうことの課題点を洗い出し、調査研究をしていくことは大切だというふうに思っています。その調査の中で、今まさに議論しています今回の新型コロナの対応等を検討して行くことで、今後の感染症対策に望んでいきたいと考えています。
-広田議員
普段からの調査、公表調査というのは当たり前ですけれども、このコロナ危機については次元が違うわけですから、必ず調査検証をやっていただきたいと思います。ただ市立病院については、このコロナ危機において、感染症指定病院として重要な役割を発揮し、公的役割を再確認したところです。しかし、実態としては感染者を受け入れるためのベッドも増やし、看護師も増やして対応した事実からして、現状のままでは今回のような規模の感染症には十分対応できないというのも明白になったと思います。よって、調査は今後されるということもご答弁としていただきましたけれども、2月に出されたあり方検討会の提言については、コロナ危機の前に議論されたものであり、見直しという方向性を出していただきたいと思いますがいかがでしょうか。
-山野市長
この提言の中でも再三、厳しい災害医療であったり今回のような感染者の医療であったり、これは公立病院としてしっかり担っていかなければならないというふうに明言もされておりますし、今回はまさにそうであったというふうに思っています。むしろ今回その役割がよりしっかりしなければならないということだというふうに思っていますので、提言のベクトル・方向性と一致しているものだと思っています。
-広田議員
災害対応であるとか感染症対応も維持して行くというのは提言の中にありますけれども、やはりそのコロナ危機の前に議論されたということが私はまだひっかかっていて、ここは明確に「感染症の拡充をする」といったことが提言として見直されるべきだというふうに思うんです。ですから、今の論調ですと、感染症の対応については拡充の可能性もあると受け止めてよろしいですか。
-山野市長
これからいろんな議論を重ねていかなければならないというふうに思います。今回のコロナ禍の中でいろんな課題も見えてきましたので、先程申し上げましたように周辺病院との連携であったりだとか、機能の連携を含めた中で、議論を重ねていければというふうに思いますし、その中で必要性が認められるということであればそんな方向でも議論を進めていかなければならないんだと思っています。
-広田議員
他の病院とどう機能を分担したとしても、感染症指定病院は県立中央病院と金沢市立病院しかないわけですから、どう考えたって拡充の方向だろうということを私は思っておりますので、ぜひその方向で議論を求めたいと思います。また、提言の中では独立行政法人に移行する案も出ていますが、これはやはり公的役割を担う、そして感染症指定病院の役割を担う市立病院としてはふさわしくないと、これまでも言い続けてきたわけですが、その独立行政法人についての検討の提言も見直すべきではないかと思いますがいかがでしょうか。
-山野市長
大きな流れとして、少子化・高齢化というものは避けることができないんだと思っています。先程来申し上げておりますような病院の機能の分担であったり周辺病院との連携を進めていく中でも、経営の効率化であったりだとか、またこれは本会議でも議論されておりますけれども事務部門の専門性ということも求められるというふうに思っています。そういうところから、地方独立行政法人化を検討する必要があるのではないかという提言もいただいているところであります。課題等を今一度精査・整理をしていく中で、検討を重ねていきたいと考えています。
-広田議員
経営効率化、そして事務部門の専門性を独立行政法人に求めるとするならば、やはりこれまでの市立病院の機能・役割は、私は失われる可能性が非常に高いというふうに思います。このようなパンデミックの状況であっても、経営を考えて受け入れない、患者さんを受け入れないという判断だってあり得る可能性も出てくるわけですから、私はやはり独立行政法人にするべきではないと思いますし、少なくとも市長、このコロナ危機を経験したのであれば、この提言について独立行政法人ありきの検討ではないと、それだけはご発言いただきたいと思いますがいかがでしょうか。
-山野市長
経営の効率で(患者を)断るのではないかということでしたけれども、再三申し上げておりますけれども、採算が厳しい災害医療や感染医療というものは公立病院は担っていかなければいけない、その使命は公立病院としてしっかり担っていきたいと思っています。独立行政法人のことにつきましては、今後課題を整理しながら議論をしていきたいと考えています。
-広田議員
ぜひ「ありきではない」というふうに明言していただきたいところでしたが、検討するということはそういうことだというふうに受け止めておきます。
もうひとつ。これからは有識者会議に議論の場が移るとされていますが、やはり今回の状況を経験し、その構成の中に感染症の専門家をぜひ入れてほしいと思いますがいかがでしょうか。
-山野市長
繰り返しになりますけれども、採算が厳しい災害医療というものは公立病院としてしっかり担っていかなければならないと思っていますし、提言の中でも明記をされていますし、今回の新型コロナウイルス感染につきましての検証も含めて、委員の選任に当たっていきたいと考えています。
-広田議員
なかなかこの場では明言できないかもしれませんが、ぜひ専門家を入れるよう求めておきたいと思います。市長は、これまでの答弁をお聞きしますと提言を根本的に見直すということはしないものの、感染症や独立行政法人化などは、コロナ危機を踏まえ、まだまだ議論の余地はあるんだということが今のやり取りで交わされたのではないかなと思っています。であるとするならば、やはりまずは最初に出しました国の地域医療構想、これはやはり実態に基づかないということで、撤回を市長として国へ求めていただきたいと思いますし、市立病院のあり方検討についても、今回のコロナ危機を踏まえた議論になることを再度強く求めますがいかがですか。
-山野市長
今回の地域医療構想ですけれども、今回のコロナ禍の中でこの石川県だけではなく全国の中でも名前の出た病院も大きな役割を果たしたと私はお聞きしているところでもあります。国の方ではそういう実態も踏まえた上でこれからさらに議論を進めていくのだと思っています。まずはその議論を注視して行きたいというふうに思っています。市立病院としては、繰り返しになりますので申し上げませんが、公立病院としての役割をしっかり担っていくということと、金沢市の南部エリアの地域の拠点病院としての役割をしっかり担っていかなければいけない、そんな思いで取り組んでいければと思っています。
-広田議員
この質問のさいごに、これまでの議論の元になると言っても過言ではありませんが、安倍政権以降、診療報酬は4回連続で引き下げられ、全国の病院の統廃合も進められようとしています。コロナ危機のもと、こうした効率性や経済性を重視し医療・社会保障を抑制する政策の破綻は明らかだと言えます。社会保障・福祉に手厚い国、金沢市にするため、政策の転換が大元から求められると思いますが、見解を伺います。
-山野市長
今回のコロナ禍におきまして、医療についての考え方というのはいろんな視点が新たに議論が必要になってきたというふうに思っています。感染症に対する支援、考え方であったりだとか、行政としての考え方、またオンライン受診というものも全国的に議論をされて、一部モデル的に行っているところもあるというふうにお聞きをしています。初診におきましてもオンライン受診ということを議論されているところであると思っています。まさに新しい生活の行動様式なんだと思っています。一番は、市民・県民・国民の皆さんが安全に、そして安心して生活でき、万が一のときには医療機関でしっかりとサポートしていただける、そんな体制を作っていかなければならないという思いは、全く同じだというふうに思っています。そのためになし得る限りのことに取り組んでまいりたいと思っています。
-広田議員
オンライン受診、方法についてはたくさん議論ができるかと思いますが、やはりここで根本的に見直すべきは、そうした安全・安心のために医療や社会保障というものが儲けや利益では計られない分野であるということが、再度確認しなければならないことかなと思いますので、ぜひその視点で今後市政運営を進めていただきたいと思います。
2.大学生等への支援について
続いて、大学生等への支援について伺います。コロナウイルスの影響で、5人に1人の学生が退学を検討しているなど、学生の生活や学業に影響が出ており、学生のみなさんのお声で国の緊急給付金が実現をしたところです。本市では、石川県内の青年団体が取り組んだアンケートでも、学生がバイトができず困窮しているといった声が寄せられていますし、不動産関係者からは市内の大学生でアパートを退去した学生もいるという情報も寄せられています。本市が責任を持つ美大の学生さんも大変な状況にあります。金沢美大の自治会アンケートでは、新型コロナの影響で収入が減ったという回答がおよそ7割、休学を検討したことがあるとした回答が3人に1人にのぼっている状況です。そこで、授業料減免や猶予の制度が元々ありますが、今年の減免申請は5月中旬では昨年比78%増とのことですが、現時点では決定者などが例年よりどれくらい増えているのか、明らかにしてください。また今回の追加補正予算で対象の拡大があるようですが、どれくらいの方を対象として見込んでいるのか、教えてください。
-鳥倉都市政策局長
美大の授業料減免件数に関するご質問についてお答えいたします。金沢美術工芸大学の前期授業料に対する減免件数でございますが、今月17日現在、申請89件のうち減免決定が61件、不採択が21件、審査中が7件となっております。また昨年度との比較におきましては申請で41件、減免決定で34件の増加となっておりますが、これは新型コロナウイルス感染症の影響も理由の一つと考えております。また今回の授業料減免制度の拡充についての見込み件数におきましては、公立大学である金沢美術工芸大学におきましても国立大学に準じた減免措置となるよう市として支援したいという考えでございますが、現在のところ国からは詳細な基準が示されておりませんことから、見込み件数については不明となっております。
-広田議員
授業料の減免の対象を増やすというのは大変重要なことなのでぜひ進めていただきたいと思いますが、現時点での状況は前年度の比較として、前期分ですけれどもおよそ2.3倍に増えているといったところです。これだけ困窮する学生が例年との比較では増えているというのも実態として言える状況です。そんな中、美大生自らが署名を集め学長に提出をされました。授業料の一部返還や就学支援金の給付、貸付制度の返済期日の統一などを求めています。市長もご存知とは思いますが、どのように受け止めていらっしゃるでしょうか。
-山野市長
事務局から報告も受けているところでありますし、内容も拝見させていただきました。内容もそうですけれども、学生が自らの学びの機会を確保するために自らの意思で行動を起こされるということは私は大変良いことだというふうに思っています。要望には3つの内容についてお聞きしているところであります。近々大学側の方から学生さんに対して文書で回答をするということをお聞きをしておりまして、大学の判断を尊重したいと思っております。
-広田議員
その学生さんの要望の中にあります短期貸付制度についてまず伺います。今その貸付制度の利用状況は、始まってからどのくらいの申請件数が寄せられているでしょうか。
-鳥倉都市政策局長
金沢美大が創設しました短期貸付金制度でありますが、今月17日現在、学生3名の利用があったと聞いております。
-広田議員
3名なんですね。大変少ないと思うんです。というのも、学生さんからはすでに「前期の授業料も払えないのに、今お金を借りても後期の授業料はどうやって払うのか、救済になっていない」というようなことが報道で述べられています。奨学金をすでに借りているという人もたくさんいますから、追加で借金というのはなかなか考えられません。さらに院生の皆さんにとっては非常にタイトな返済期日であることも言われています。私は、全学生に対し卒業後の返還も認め、事情があれば免除するなど柔軟な対応をとるべきだと考えますし、本市は、大学側がそう決断できるようにぜひ財政支援を行うべきと考えますがいかがでしょうか。
-山野市長
大学側の方から返還時期につきましても一つの方向性を出しましたが、学生の負担や個々の状況に配慮の上、返済期日の延長等にも柔軟に対応するということをお聞きをしています。まずは大学の自治を大切にしていきたいというふうに思っています。
-広田議員
自治ももちろんそうですけれども、財政支援があればその自治も判断ができるという部分が大いにあると思いますので、これは学生さんの学業の保障ですから異論はない点だと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
次に、国の学生支援緊急給付金が始まりましたけれども、この利用状況がどのようになっているのか伺います。
-鳥倉都市政策局長
国が実施します学生支援緊急給付金ですが、今月17日現在111件の申請があったと聞いております。
-広田議員
速やかに支援金を受け取れるようにご配慮いただきたいと思います。しかしながら文部科学省はこの審査につきまして、「最終的には大学側が状況によって総合的に判断する」としています。困っている学生が救済されない制度であっては意味がありません。大学側は柔軟に審査するべきだと考えます。また、留学生だけに要件としている成績についても、これも柔軟に対応していただきたいと思います。第一次募集は6月12日に締め切られましたが、今後第二次募集もあると聞いておりますので、その予定も含め柔軟な対応を求めておきたいと思いますがいかがでしょうか。
-鳥倉都市政策局長
受給対象となります学生ですが、家庭から自立してアルバイト収入で学費を賄っていること、あるいは既存の支援制度を活用しても学費等の支出が困難であること等の条件を考慮した上で、大学が給付の必要を認める学生となっており、大学側からは学生からの申請書類に基づき、不明な点がございましたら丁寧な聞き取りを行うなど、学生の実情をしっかり把握したうえで、日本学生支援機構に推薦リストを提出する予定と聞いております。また一次募集の締め切りは今月19日となっておりますが、二次募集の日程等については未だ確定していないと聞いております。
-広田議員
最後に、やはり市の姿勢としては大学の学生さんは金沢の文化の担い手でもある、大切な学生さんです。経済的理由で1人の退学者も出してはならないと考えます。ぜひ一律就学支援金であるとか、授業料の返還であるとか、ぜひ支援金を出していただきたいと、市長の決断を求めて質問を終わります。
以上
で、実はまだ大学生支援については用意していたのですが、タイムオーバーでできませんでした。用意していた原稿はこちらです。
しかし、それらの制度や、追加議案で出された授業料減免に該当しない方も出てくるはずです。学生の求める独自の就学支援金を給付することや、一律授業料の一部返還も検討すべきです。
その際、美大の財政だけではむずかしいと思いますので、市として一般財源から拠出して行うことを求めます。
学生ひとりにつき10万円出したとして、700人の学生さんに対して7000万円です。
金沢の文化の担い手でもある大切な学生の中から、経済的理由でひとりの退学者も出してはなりません。市長の決断を求めるものですがいかがですか。
―市長
昨日も、国県市の事業をまずは使ってもらうというような答弁でしたけれど、学生さんへの支援というのはなかなかむずかしく、たとえば、福祉という切り口では緊急小口や住居確保給付金も親御さん含めた世帯という見方をされ、なかなか受けることができません。なので、独自支援をと言っているのです。
さらに、バイトをしないと賄えないような高い授業料が学生の学業と生活を脅かしているということもはっきりしました。日頃は学生のがんばりでなんとかなっていても、こういう事態ではあっという間に困窮するということが浮き彫りになったのです。学生が本来の学業や創作活動に集中できるよう、そもそもの学費の引き下げの検討を始めるべきですがいかがですか。
―市長
最後に、美大生のほかにも、市内の多くの他大学生や専門学校も同様に困窮をしています。ぜひとも国にさらなる支援を求めてほしいですし、市としても財政支援を行うべきですがいかがですか。
―市長
というものです。
で、これで終わりというわけにはいかないので、総務常任委員会にて、市長は出席しませんのでお聞きできませんが、美大事務局長に質問をしました。
その内容はこちらからご覧ください。↓
6.19 総務常任委員会 美大の学生支援についての質問