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金沢市議会

2010年12月
 金沢市議会12月議会 代表質問
 日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭
 私は、日本共産党市議員団を代表して質問いたします。
 山野新市長!市民一人一人のしあわせを願い、市民福祉の向上のため、この議場でも議論を交わす決意です。どうぞ、宜しくお願いいたします。
 質問の第一は、市民生活の厳しい現実から「なんとかしてほしい」との願いをどのように受け止め、くらし応援の施策を進めていかれるのか。伺います。
選挙後に地元紙に掲載された市民の声の中から、ある男性は、「雇用が不安定で商店街も活気がなく、雇用の促進と地域経済の活性化が主な課題です。若者の都会流出を防ぐべきです」との声です。また、60歳のデザイナーの男性は、「政策方針が見えてこなかった。と不満をにじませながら、今は不景気。雇用対策などをしっかり打ち出してほしい」との声です。23歳の会社員・女性は、「金沢のために尽くしてくれるやる気のある市長になってと生活向上を求めます」との声です。
あるマスコミは、「予想を覆す勝利は、市政の閉塞感を変えてほしいという市民のメッセージだ」と書き、別の記事では、「厳しい社会状況が続く中で、閉塞感を打ち破る風が金沢にも吹くことを市民が望んだ結果となった」と報じました。
 わが党が最近取り組んだ市民アンケートの中でも、1500通を超える回答の中で、暮らしが大変になったとの声は、約7割にのぼりました。そして、その理由が給料やパート、アルバイトの収入が減り、逆に税金など負担が増えたと答えています。また、県政、市政に望むことの第一位は、高齢者、障がい者福祉の充実。第二位が雇用対策。第三位が少子化、子育て支援。第四位が中小企業支援となっています。
 山野新市長!あなたご自身も、この選挙戦を通じて市民生活の厳しい現実の中で、くらしの悲鳴や、「何とかしてほしい」との声をお聞きになったと思います。それゆえに、今こそ、「くらし応援」の市政を第一とする施策の推進が求められています。市長から今後の市政運営と具体的施策についてうかがうものです。
 そこで、年末。年始を迎え、緊急対策として具体的に伺います。
 第一に、年末・年始にかけて、くらし、福祉の総合窓口を設置し、必要な支援体制をどのように考えておられるのか。
第二に、中小企業に対する金融支援、相談窓口は、どのように考えておられるのか。
 第三に、地場の企業向けに対する仕事出しについてです。
 全国175自治体で実施されている住宅リフォーム助成制度についてです。これは、地域経済への波及効果が予算の10倍を超すと言われるほど実績が広がっています。住宅リフォームに対して一定額を助成するもので、消費拡大を図ると共に、地場の関連業者の仕事出しにもつながり、緊急経済対策として大きな効果を生み出しています。その実施について、見解を求めるものです。
第四に、介護職員処遇改善のための交付金について、廃止する動きが浮上しています。来年度期限切れとなるだけにその継続を国に求めるべきと考えますが、市長の見解をうかがうものです。
 質問の第二に、市民生活にかかわる諸施策について伺います。
 第一に、こどもの医療費助成制度についてです。
 この制度は、子どものいのちを守り、少子化対策としても重視され全国各地で医療機関の窓口で、自己負担分を支払わなくても良いように無料化が進み、対象も中学校卒業までとなってきています。ところが、本市では、外来が小学校入学前まで、入院が小学校卒業までとなっており、県内でも遅れた制度となっています。しかも、1000円の自己負担を続け、医療機関の窓口でいったん自己負担を支払わなければなりません。中学校卒業までを対象とし、無料化を実現するには、約5億円の財源で可能です。
 市長!この制度をいつから、どのように拡充されるのか明らかにしていただきたいと思います。
 第二に、特別養護老人ホーム等高齢者介護施設の充実について伺います。
 市内で、特別養護老人ホームに入居を待っている方は、1500人を超えています。一方、平成21年度から23年度までの第四期事業計画では、この3年間に、小規模特別養護老人ホームは、7施設201人を整備するとしています。今回の補正予算の中で、2ヶ所58人の施設整備に対する補助金が計上され、計画された整備方針が具体化されました。さらに、次期の事業計画の前倒しとして2ヶ所58人の整備計画を打ち出しました。しかし、この整備方針では、到底待機状態を解消することはできません。
 山野新市長は、どのような整備方針を持って進められるのか明らかにしていただきたいと思います。
 ところで、本市が直接建てた施設は、1ヶ所もありません。今後、本市としてこうした高齢者介護施設を建設する考えはないのかうかがうものです。
 なお、特別養護老人ホームに入居をまっている方は、現状ではどの程度か、その内、自宅待機者は、何人か明らかにしていただきたいと思います。
 第三に、固定資産税の見直しについてです。
 山野新市長は、今回の提案説明の中では全くふれていませんでした。自らの選挙マニフェストでは、固定資産税、市民税の見直しを掲げていました。もはや、選挙キャンペーンにすぎなかったのでしょうか。どのように実現を図っていかれるのかうかがうものです。
 第四に、学校など図書館に司書を配置することについてです。
  本市では、「本の先生」と呼ばれる司書が8人、こども図書館に配置され、市内の小中学校をまわっています。各学校では、10学級以上に教諭が兼任で、配置されているのが現状です。
 山野新市長は、こうした現状から、各小中学校に専任で司書を配置するという事で、具体化されるのか。伺いたいと思います。
 また、泉野、玉川図書館における人材派遣から司書を配置している問題です。本会議でも、連合審査会でもこの問題を指摘し、改善を求めてきました。石川労働局からも文書指導で、改善を求められました。来年春には、海みらい図書館がオープンします。この際、人材派遣からの司書配置をやめ、直接雇用に切り替えるべきであります。
市長の見解をお聞きするものです。
 質問の第三に、山野新市長が掲げた「市政刷新」とは、具体的に何を刷新するのか伺います。市長は、「山出市政で踏襲すべきものは、踏襲し、市民に一つの転換点であったと認識してもらえる4年間にしたい」と述べました。いったい、これまでの5期20年間の山出前市政の何を刷新するのか。提案説明を聞いても見えてきません。
 市長!あなたご自身も公約に掲げた市民生活にかかわる諸施策を実現する上でも、これまでの大型開発優先からくらし応援への転換が必要ではありませんか。市長は、「時代の変化を敏感に察知し、変わるべき点は勇気を持って変えていかなければならない」と述べました。
 大型開発に優先的に税金を投入する施策こそ、改め、くらし応援の施策や、中小企業、地場の伝統産業、農林漁業を中心とする経済政策に転換する事が求められています。市長の見解を伺うものです。
 これまで、247億円を投じて金沢港の整備事業など大型開発事業を推進してきました。さらに、金沢駅西口広場再整備事業に28億円、海側幹線道路の戸水から大河端までの2キロ区間で、幅60ⅿの道路建設と合わせた3つの区画整理事業に184億円そして、金沢駅・武蔵間での5つめのビル建設に50億円。これらの事業を合わせて、260億円に達します。こうした事業を見直す考えはありませんか。その見解をうかがうものです。
 さらに、山野新市長が打ち出された市庁舎前広場をイベント広場に大改修する事や、金沢港ベイエリア開発事業、すなわち、金沢港周辺を観光、ショッビング、レジャー施設にするという開発事業は、さらに、巨額の税金投入につながりかねません。税金の使い方が間違ってはいませんか。市長の見解を伺います。
 さて、今回の補正予算の中で、金沢テクノパーク企業立地助成金として5億円が計上されています。これは、森本地区での先端産業立地のための工業団地として造成されたテクノパークに新工場を建設した澁谷工業に対して助成するものです。
すでに、澁谷工業は、このテクノパークに進出するにあたって、平成12年に3億5200万円、平成17年に1億4800万円、雇用助成金として平成18年に800万円が助成されています。今回の5億円の助成金と合わせると10億800万円が市民の税金で一つの企業に助成されることになります。
さらに、渋谷工業は、本社のとなりにあった若宮地区の本市が所有していた用地を取得しました。その経過について、本議場でも取り上げ、問題をただしてきました。企業局が所有していた用地は、取得した金額の半分で渋谷工業に売却し、若宮にあった本市道路管理事務所は、森本の工業団地用地内に移転し、その費用が6億円でした。一方若宮地内の用地は、5億円で渋谷工業に売却しました。行政改革だと言って、道路管理事務所を移転し、その移転費用は、土地売却の額を1億円上回りました。一つの企業に対して手厚い対応で本市の用地を売却したと言えるものであります。
市長!特定の企業に対してあまりにも利便を図る対応ではありませんか。見解を伺うものです。
そもそも、テクノパークは、18年前に着工され、280億円を投じて先端産業を誘致する工業団地として造成されたものです。しかし、今だに25%の用地が売れ残っています。その面積は、東京ドーム約2個分にあたります。このテクノパークに企業を誘致するために、本市は、最高6億円までの助成金を用意しています。このテクノパークに誘致された企業は、5社ですが、これまで支払われた助成金の総額はどの程度ですか。明らかにしていただきたいと思います。
市長!こうしたテクノパークの現状をどのように考えますか。この事業についても、山出前市政を引き継ぎ、助成金制度をかざして呼び込み型の誘致を続けて行かれるのですか。見解を伺うものです。
もう一つ、金沢港の整備事業です。
大手企業コマツが、第一工場に続いて第二工場を建設し、小松市の本社工場を金沢に移転いたしました。茨城の常陸那珂港と金沢の二カ所を拠点とする工場を再編成し、港に直結した工場によって、生産から東南アジアや中近東へ輸出するという合理化方針によって、進められたものです。
そのため、第一工場の横に大水深岸壁が建設されました。大型船が利用できるようにと港の深さ10mを13mに掘り下げる事業が進められています。当面12mで暫定利用がはじまっています。周辺の道路整備と合わせ、金沢港整備事業は、247億円にのぼっています。本市は、その内財政負担が50億円です。そして、第二工場建設にあたって、粟崎地内の用地を20億円投じて本市が造成しました。保安林を解除し、2万本のアカシアの木を伐採しました。さらに、第一工場建設に対して、3億円の助成を行いました。2億円を限度とする企業進出への助成金に対して、市長の判断で1億円をプラスして助成したものです。そして、県は、この第一工場建設に対して総額7億3500万円の助成を行いました。したがって、コマツは、第一工場の建設で県と本市合わせて10億3500万円の助成金を得たことになります。大手企業のコマツは、2009年度の売り上げは、2兆217億円で、営業利益は、1519億円です。2010年度は、世界的不況の中でも、売り上げは、1兆4315億円で、営業利益は、670億円にのぼっています。大手企業に対して様々な利便を図る、市民の税金をおしみなく投入することは、許されることでしょうか。
市長は、この点でも、山出前市政の継承を掲げていかれるのですか。見解を伺います。第一工場と同じように第二工場建設に対しても同じように助成金を行う考えですか。改めて伺うものです。
また、金沢港大水深岸壁の利用状況について明らかにしていただきたいと思います。
質問の最後に、憲法や地方自治、そして、平和についてどのような考えで市政に望むのか伺います。
山野新市長は、これまで自らのブログや本など文章の中で、独自の考えを表明されてきました。また、あなたが所属してきた自由民主党は、憲法9条の改正など独自の憲法制定を掲げています。
今後、市長として憲法を守り、生かしていく立場だと考えますが、あなたは、憲法とどのように向き合っていかれるのか伺うものです。
また、地方自治は、戦後政治の原点ともいわれ、その役割は、そこに住む住民の福祉向上をめざすことであり、住民参加と民主主義を守り発展させていくことが求められています。
山野新市長は、戦後培われ、発展させてきた地方自治について、どのような立場で市政運営に活かされていくのかその見解を伺うものです。
最後に、平和についてです。
本市は、平和都市宣言を昭和60年・1985年に行い、姉妹都市交流をはじめ、国内外との都市交流を進めてきました。また、原爆展の開催をはじめ、核兵器廃絶への願いとメッセージを内外に発信してきました。
アメリカのオバマ大統領がみずから核兵器廃絶への宣言を行い、核保有国を含め、世界から核兵器をなくすことが現実的課題として提起されてきました。こうした情勢の進展と共に、核兵器廃絶の取り組みが世界的規模の広がりを見せています。ぜひ、本市としても核兵器廃絶に向け、その実現をめざす取り組みを進めることが求められています。
山野新市長!あなたの核兵器廃絶への決意と、本市の平和都市宣言にそって、その具体的とりくみについて、どのように考えるのか伺いまして、私の質問を終わります。

2010年11月30日
金沢市議会11月臨時議会 反対討論
日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭

私は、日本共産党市議員団を代表して討論を行います。
わが党は、議案第1号職員の給与に関する条例等の一部改正について、反対であります。この条例は、人事院勧告を受け、管内閣が11月1日、閣議決定を行い、18日には、衆議院本会議で国家公務員給与を1.5%引き下げる給与法関連改正案が民主党、公明、社民党などの賛成で可決されたことを受けて、提案されたものであります。
その主な内容は、第一に、本市職員の給与を平均0.1%引き下げる。55歳を超える職員については、さらに、給与等を1.5%引き下げる。第二に、期末勤勉手当の支給割合を0.2カ月分の引き下げると言うものです。
これによって、給与が7000円、期末勤勉手当が8万2千円の引き下げとなり、年間平均給与が約8万9千円と大幅な引き下げとなるものです。その影響額は、約3億2千万円にも及びます。
昨年、夏季一時金の0.2カ月分の削減、引き続く、昨年末の給与0.22%と期末勤勉手当0.35カ月分の引き下げが実施され、その総額は約5億5千万円に及びました。 今回は、昨年に引き続く引き下げとなるもの、その改定内容には、給与の引き下げがこの4月からさかのぼって実施され、支給割合を0.2カ月分引き下げられる期末勤勉手当からさらに、差し引くことが含まれてます。また、55歳を超える職員については、さらに、給与等を1.5%引き下げるもので、この12月から実施されます。本市の場合、120人が対象となります。さらに、義務教育等教員特別手当の削減が来年1月から実施され、本市の場合市立工業高校の教職員52人が対象となります。
昨年に引き続く、今回の大幅な給与の引き下げは、職員とその家族の生活へ甚大な影響をもたらすと共に、家のローンや老後の生活など人生設計にも大きな影響をもたらすものです。さらに、民間労働者の給与と景気にも深刻な影響をもたらすものです。実際、公務員の給与の引き下げによって民間の労働者の賃下げにもつながるという賃金削減サイクルとも言うべき事態を引き起こしており、働く人々の生活破壊にとどまらず、内需を拡大し、景気回復につなげようとの方向とは逆行するものです。
したがって、わが党は、こうした大幅な給与引き下げが、職員の生活に大きな影響をもたらすと共に、地域経済を冷え込ませ、民間労働者の賃金をも引き下げるという悪循環を引き起こし、消費不況が一層広がり、地域経済にも影響をもたらすものであり、認めることはできません。
よって、わが党は、今回の職員給与等の引き下げを盛り込んだ条例改正に反対である事を表明し、反対討論を終わります。

議 案 提 出 に つ い て

 議案「金沢市長の在任期間に関する条例」を次のとおり会議規則第13条の規定により提出します。

  平成22年9月22日

 金沢市議会議長 田 中   仁  様

                    提 出 者

                                              金沢市議会議員  不 破 大 仁

                                                    〃        下 沢 広 伸

                          〃    高 岩 勝 人

                          〃    野 本 正 人

                          〃    小 林   誠

                          〃    玉 野   道

議会議案第1号

金沢市長の在任期間に関する条例

(目的)

第1条 この条例は、市長が本市を統轄し、予算の調製及び執行、職員の任免その他の権限を行使する地位にあることにかんがみ、また権力を法的に制限すべきであるとする立憲主義の考え方から、市長の在任期間について必要な事項を定めることにより、高い倫理観や資質を有する場合においても、その者が長期にわたり市長の職にあることに伴って生ずるおそれのある弊害を防止し、もって市政運営の活性化及び地方自治のさらなる進展を図ることを目的とする。

(市長の在任期間)

第2条 市長は、連続した3任期(各任期における在任期間が4年に満たない場合もこれを1任期とする。)の当該3任期目以後の各任期に係る選挙において投票率が別に条例で定める割合を超えない場合には、当該任期の次の任期に在任することのないよう努めるものとする。

附 則

この条例は、平成22年12月10日から施行する。

提案の趣旨

代表民主制においては、代表者を選ぶ選挙にいかに選挙人の意志を反映させることができるかが重要であり、そのためには、選挙の実質的な競争性が確保されることが必要である。

多選の結果、選挙の実質的競争性が損なわれているとすれば、選挙の競争性を確保し、政策選択の幅を広げる手法の一つとして任期制限を位置づけることができ、このような考え方にたった場合には、任期制限は、民主主義の理念に沿ったものと考えられるため。

2010年9月 金沢市議会9月議会 
議会議案第1号金沢市長の在任期間に関する条例(案)
        質 疑
日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭

 私は、日本共産党市議員団の一人として上程されました議会議案第1号金沢市長の在任期間に関する条例(案)に対して質疑いたします。
 第一に、この条例案が、憲法違反に当たらないかという点です。
 平成19年10月18日衆議院総務委員会で、次のようなやり取りがあります。
 質問 神奈川県議会で10月12日に知事多選禁止条例が成立をいたしましたが、総務省の評価はいかがでしょうか。
 答弁に立った久元政府参考人は、「法律解釈について申し上げたいと思います。まず、結論から申しますと今回成立いたしました神奈川県知事の在任の期数に関する条例は違法であるというふうに考えております。その理由でありますが、現行の地方自治法は、知事の任期については定めておりますが、在任できる期数については定めておりません。知事の在任期数を制限するとすれば、それは法律上の根拠を要するというふうに考えております」
 と答弁を行っています。

 答弁は続いて、知事の在任期数を制限する規定について、次のように述べています。「立候補することができない者を、被選挙権を有しない者として成年被後見人あるいは公民権を停止されている者など一定の範囲に限定している公職選挙法の規定を逸脱ものであり、違法である」と述べています。
 総務省の下で「首長の多選問題に関する調査研究会」がつくられ、その報告書の中で、首長の多選制限について必ずしも憲法に反するものとはいえないとの見解をまとめています。平成19年5月30日です。この国会でのやり取りは、報告書が提出された後のことであります。また、この報告書では、多選制限について、「制度化する場合には、法律にその根拠を置くことが憲法上必要であり、地方公共団体の組織及び運営に関する事項を一般的に定めた地方自治法において規定することが適当である」と述べています。
 多選を理由に条例などで任期を制限したり、自粛すると言うのは、憲法が明記する基本的人権、民主主義の原則からして問題があるのではありませんか。
 最高裁判所の判決でも「立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持するうえで、極めて重要である」と明快に述べています。
 以上の事から、この条例案が憲法違反に当たらないのか。答弁を求めるものです。

 第二に、二元代表制ということからすると議会が市長の在任期間に関して条例提案することは問題がないのか。伺います。
 憲法は、地方自治の原則として議会と首長がどちらも住民から選挙を通じて直接選ばれる二元代表制を定めています。
 したがって、両者が抑制と均衡というチェック・アンド・バランスをもって、お互いの独断や暴走を防ぎ、民主主義を保障するという仕組みとなっています。
 市長の多選が気にくわない。問題だと言って、議会が市長の多選を自粛したり、禁止したりすることは問題ありませんか。
 二元代表という視点から、この条例案について、どのように考えたのか伺うものです。

 第三に、この条例案の第2条で、「市長は、連続した3任期の当該3任期目以降の各任期に係る選挙において投票率が別に定める割合を超えない場合には、当該任期の次の任期に在任することのないよう努めるとする」としています。
 これは、3期連続して当選した場合、その時の投票率が20%台だった場合、次の4期目には、立候補しないよう努めると言うものです。
 その投票率が30%を超えない場合とするのか。40%とするのか。50%とするのか。別の条例で定めるとしています。これは、大変重要な事でもあり、なぜ、この条例で示さなかったのか。示さないということは、この条例案にとって致命的な欠陥とならないのか。伺うものです。

 第四に、この条例案は、附則で「この条例は、平成22年12月10日から施行する」としています。
 今期山出市長の任期は、平成22年12月9日までであります。したがって、新しい市長の任期は、平成22年12月10日から始まります。
 するとこの条例は、山出市長の6期目出馬には、適用しないと言うことになります。これでは、山出市長の6期目の出馬は良いと言うことになり、多選自粛というこの条例案の目的からして、つじつまが合わなくなりませんか。
 その点について、伺うものです。
 最後に、誰を選ぶか。その権利は、国民にあります。選挙によって、有権者の意思を判断すべきではありませんか。
 その点を伺いまして質疑を終わります。 

2010年9月22日
反対討論
日本共産党 升 きよみ

 私は、只今上程されました議会議案第1号金沢市長の在任期間に関する条例等について反対討論を行います。
 今回提案された条例案は自由民主党議員を初めとする6名の議員各位によって提出されましたが、その内容の問題点は、我党の森尾議員の質疑等で質したところですが、改めて日本共産党市議員団の見解を述べます。
 本条例等が提出された背景に、市民の首長に対する多選への率直な批判的意見や、又市民の今の政治への不満や不安が大きい中で、「政治を何とか変えてほしい」、「地方議会の日本共産党を除くオール与党政治に対する苛立ちや怒り」等、様々な矛盾が生じている中で、それら市民の思いを受け止めながらも、それをなんとか回避すること等から提出されたものと思います。

 しかし、この条例案では真の市民の願いや要求に応えるものではなく、むしろ重大な憲法上の問題等があり、とても認めることの出来ないものです。
 その条例案内容では、「市長が連続して3期以降の各任期に関わる選挙において、投票率が別に条例で定める割合を超えない場合には、当該任期の次の任期に在任することのないように努めるものとする」としておりますが、結局、3期連続して当選した市長が投票率が低い場合は、4期目の選挙には立候補しないよう努めるとしていますが、その投票率については、どの程度が低いとするのか高いとするのかは不明であり、任期期限は、政策選択の幅を広げる手法とか選挙の競争性を確保するものと言っても、民主主義の理念に沿ったものとは言い難く、納得できるものではありません。その上、「有権者の多数で多選が支持された場合は除かれる」としていますが、投票率を持って多選を容認或いは禁止は当たらないと考えます。

 むしろ、多選や定年制を理由に条例や法律などで任期を制限することは、それこそ憲法が明記する基本的人権や民主主義の本則からもおおいに問題があります。それは、憲法第15条は、選挙権が基本的人権の一つであることを明らかにしており、そして最高裁はかつてこの憲法の規定にも触れながら、「立候補の自由は選挙権の自由な行使と表裏の関係」にあり「選挙に立候補しようとする者がその立候補について不当に制約を受けるようなことがあれば、選挙人の自由な意思の表明を阻害することとなり、自由かつ公正な選挙の本旨に反する」との考えを明らかにしており、「立候補の自由」を不当に制約することは憲法違反になると言うことです。
 大事なことは、住民にとってよいものはよいと言うことではないでしょうか。誰を首長や議員に選ぶのか、その権利は市民・国民にあります。それこそよいものはよい、住民のためになるものは選挙で審判を下せばよいのです。
 
 山出市長が、6期目の出馬表明されたことで、この条例案は市民の中には様々な受け止めと反応があります。そうした中で本条例案が施行を平成22年12月10日としている事も、結局、今問われている最大の関心事から離れておりますし、今後将来における拘束力のない内容にも甚だ疑問を感じます。
 今回の提案者が真に多選を批判するなら、それにふさわしい選挙での候補者を擁立をして、市民に問うべきではありませんか。又、今日の政治・政策を真に変えようとするなら、これまでの政治・政策への大きな転換を図る事であり、我党は市民の皆さんと共に住民のためになる市民本位の市政をめざして、力を合わせていくことを表明して討論と致します。

1.提出された条例案
2.森尾市議の質疑
3.升市議の反対討論
9月22日金沢市議会の最終日に、投票によって表決された結果、
議長を除く39人の市議が投票。その結果、賛成16、反対23によって、条例案は否決されました。

森尾嘉昭市議が一般質問
社保協加盟団体などから31人が傍聴

金沢市議会9月定例会の質問戦3日目、9月17日(金)に金沢社保協加盟の日本共産党から森尾嘉昭議員が登壇。①市債増大、地域経済衰退の原因と打開策、②地域経済の振興対策、③新型インフルエンザ対策、④中島大橋と乙丸跨線橋のリニューアル―の4点を質しました。

■市債の増大、地域経済衰退
森尾市議「大型開発優先の政治は、くらしと財政、本市の地域経済を壊した。くらし、福祉の向
     上、地場産業の振興でこそ、まちが元気になる」
山出市長「地方都市の疲弊の中、他に比べて良い部類、遜色のない部類でないか」

■地域経済の振興対策
森尾市議「来春卒業の学生の就職内定率は史上最悪。若者の悲鳴が聞こえるか。実効ある緊急雇
     用対策が急務であり、市としての正規雇用を進めよ」
山出市長「定数削減に取り組む中、雇用の観点からの増員はなかなか難しい」

■新型インフルエンザ対策
森尾市議「新型インフルエンザに対し、本市も対策本部を設置し、保健所など関係機関からなる
     体制で対応したが、総括・教訓はどうなったか」
山出市長「検証し、健康推進部が今後の対応を行うこととし、本部は解散した」

■中島大橋・乙丸跨線橋
森尾市議「中島大橋は設置後56年、乙丸跨線橋は40年を経過し、大きな問題をかかえる。早急な
     リニューアルが必要で、今後の見通しはどうか」
堂薗土木部長「対策が必要と考え、管理協議会などを通じ県に早期の対策を要望」

2010年9月
 金沢市議会9月議会 一般質問
 日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭
 私は、日本共産党市議員団の一人として質問いたします。
 市長は、6期目への出馬表明をされました。その表明の中で、「自らを燃焼し尽くす覚悟」と述べられましたが、人生燃え尽きるまで、あなたに今後の市政について、ご心配かけなくてすむように私どもは、市民一人一人が主人公の新しい市政の実現にがんばる決意です。
 さて、市長は、提案説明の中で、市長就任以来「いかにしてこのまち金沢を元気にしていくかが私にとって最大の課題でありました」と述べました。
 市長!この20年間を振り返って、経済がよくなったでしょうか。まちは、元気になったのでしょうか。
あちこちでまちの様子がかわり、地域から商店街が消え、そして、市の借金が増大し、地域経済の崩壊が進みました。いったいその原因はどこにあったと考えるのか。まず、伺いたいと思います。
 市長が就任したのが、平成2年、1990年12月です。その年度末の一般会計と特別会計の市債残高は、合わせて808億円でした。そして、平成21年、2009年の年度末には、市債残高の合計は、2618億円と実に、3.2倍へと膨れ上がりました。 市民一人当たりの市債残高は、普通会計で約56万円となり、中核市の中では、多い方から4番目、一番少ない高槻市に比べ約4倍もの借金を抱えています。
 借金を急増させた最大の原因は、都心軸中心の大型開発に湯水のように財源を投入した事です。金沢駅東広場でのドームの大屋根に44億円をかけて建設をするなどこの地区の開発だけでも約600億円を投入しました。
 金沢駅西と駅東周辺の開発、駅から武蔵、武蔵から香林坊と次々に大型開発事業がすすめられた結果、平成5年、1993年度の一般会計に占める投資的経費の割合は、39.1%に達しました。普通建設事業費は、昭和58年、1983年度に293億円であったものが、平成10年、1998年度には819億円に急増しました。公債費も昭和56年、1981年度に84億円だったものが、平成16年、2004年度には302億円にふくれあがり、市の予算は、借金漬け状態に陥りました。
 こうした事態を引き起こしたのは、国の強力な公共事業推進政策がありました。
 1990年に日米構造協議が行われ、アメリカの圧力によって10年間で430兆円を公共事業に使う方針が具体化されました。さらに、これが630兆円にまで膨れ上がったのです。こうして全国でムダな大型開発事業があふれかえったのです。
海を見れば港を掘りたくなり、川を見れば、ダムをつくりたくなり、海峡を見れば巨大な橋、空を見上げれば空港の建設といった具合に大型開発事業が全国で展開されました。そして、国と地方の借金が平成7年、1995年410兆円だったものが、15年間で862兆円へと2.1倍に急増する事態となりました。
 市長!こうした政策を推進してきた事に反省することはありませんか。ところが、大手企業のコマツ一社のために深さ13mの大水深岸壁の建設をはじめとする金沢港の開発事業に247億円を投入するとか、海側幹線道路建設では、4車線道路で十分であるにもかかわらず、さらに、4車線の高規格道路の建設を進めようとしています。必要のない辰巳ダム建設に240億円を投入するなど国、県と一緒になってあいかわらずの大型開発事業を推進しています。
 市長!ムダな大型開発事業を進める政治に対して決別宣言を行う考えはありませんか。市長の見解を伺うものです。
 大型開発事業に湯水のように財政を投入し続けてきた施策は、くらしや財政をこわしただけでなく、本市の地域経済を壊してきました。
 金沢大学の助教授として活躍され、本市にも深くかかわりのある宮本憲一氏が、30年前に発行した『都市経済論』と題する本の中で、次のように述べています。「金沢市は、たんなる百万石の城下町ではなく、日本有数の内陸工業地帯であり、中小企業の街である。金沢市は、第二次産業の人口比率が30%でもっとも高く製造業人口も群をぬいて大きい。工業の事業所数からいえば3大都市圏以外の都市のなかで全国8番目であり、人口100万人を超える福岡市や札幌市とほぼ同じである。卸売業の売上高は、熊本・鹿児島市の2倍、松山市の6倍に達し、人口約2倍の堺市の4倍に近い」と述べ、本市では地場産業が発達し、地域経済をになっている力強い実態を明らかにしていました。
 ところが、本市は、大きくその産業構造を変えてしまったのです。
 第二次産業の人口比は、30%から23%に減り、逆に第三次産業は、65%から76%に急増しました。本市の工業事業所数は、この15年間に5427事業所が減り、17%の減少となりました。なかでも、製造業は、3503事業所から2195事業所へと4割近くが減少しました。卸業・小売業・飲食店も3176の店が減り、2割が減少したことになります。その結果、卸売業の売上高は、他都市と比べると、鹿児島市と2倍あったものが、今では同じ規模となり、松山市と6倍にものぼっていましたが、2倍へと縮小し、堺市とは4倍であったものが、2倍へと縮小しました。本市の落ち込みがいかに急速に進んだかを示しています。
 小売店は、この16年間に6673店から4789店へと1886店が減少し、約3割がまちからなくなったことになります。
 さらに、伝統産業を見てみますと加賀友禅は、この16年間に事業所、従業員ともに大幅に減少し、その生産額は、約200億円だったものが、その5分の1、42億円にまで減少しました。金沢泊は、事業所、従業員ともに半減し、その生産額は、100億円から20億円へと5分の1に激減しました。
 市長!これが、本市の16年間の実態であります。地場産業の実態について、どのように認識しておられるのか。伺うものです。
 ものづくりが大切だと言って、大手企業のコマツや一部の企業に利便をはかっても、地場の中小企業への振興にはつながりません。
 借金づけの本市財政の危機を迎え、急場しのぎともいえる繰上げ償還を行ってきました。この6年間で160億円に上ります。結局この事が、地域経済をさらに冷え込ませることにつながったのではありませんか。
 市民のくらし、福祉を向上させ、地場の産業振興を大きく前進させ、まちを元気にし、税収を増やすという本市の成長戦略を進めてこそ、財政再建も進むのではありませんか。政策の転換が必要です。市長の見解を伺うものです。
 質問の第二に、雇用確保と地域経済の振興対策について伺います。
 円高と株安が止まらず、政府の対策が遅れ、失望感と批判が広がっています。
今なすべきことは、極端な輸出依存から内需拡大を振興する経済対策へ転換す
る事が求められています。そして、円高を引き起こしている投機マネーへの監視と規制を行うこと。円高の背景となっている下請け単価たたきや、派遣労働など低賃金雇用などを是正することが強く求められています。
 ところが、大企業は、円高・株安を理由に法人税減税などさらなる優遇措置の拡大を求めるとともに、正社員の非正規への置き換えなど徹底したコスト削減を行い、売上が減少しても利益を拡大しています。
 資本金10億円以上の大企業が2009年度、内部留保を11兆円増やし、総額244兆円に上ったことが明らかになりました。こんな事を続けさせていて日本経済は良くなるのでしょうか。この11兆円分は、年収500万円の労働者220万人分の給与に相当します。一方、厚生労働省が発表した2009年若年者雇用実態調査によるとアルバイト・パートとして働いていたフリーターを過去3年間に正社員に採用した事業所は1割強にとどまったことが明らかにされました。フリーターの人数は、前年度に比べ8万人増加し、178万人に達したとのことです。
 さらに、今春、卒業する学生の就職内定率は、史上最悪となっています。学生の就職活動も厳しさを増し、希望と未来を奪ってしまう事態となっています。
 市長!若者たちの悲鳴とため息、やるせなさ。その声と気持ちは、届いているでしょうか。雇用をめぐる現状をどのように受け止め、雇用確保への対策をどのように進められるのか伺うものです。
 具体的に伺います。
 第一に、新卒者の雇用対策として本市及び、関係する諸団体で新たに100人を雇用する具体策を進めること。
 第二に、就職できなかった高校生を本市が臨時雇用し、就職活動を支援するために、「就職支援センター」を設置すること。
 第三に、仕事確保と地域経済の活性化を進めるため、「住宅リフォーム助成制度」を創設すること。この制度は、住宅リフォームに対して一定額を助成するもので、これによって、住宅関連産業への投資意欲を促進し、中小企業への支援策として全国各地で制度化されてきています。また、経済対策としても効果を広げています。
 第四に、伝統産業への振興策を強化することです。
 先日、市議会産業・企業常任委員会は、京都に出かけ、西陣織など伝統産業の振興策について、伺ってまいりました。伝統産業振興条例に基づいて産地から販売までの支援策を強化し、取り組んでおられました。本市として今後の振興策についてどのように進められるのか伺うものです。
 質問の第三に、新型インフルエンザ対策の教訓と今年の予防対策について伺います。
 新型インフルエンザは、昨年8月中旬に本格的流行となり、11月末には流行のピークを迎えた後、今年3月末には最初の流行が沈静化しました。国での罹患者数は、2077万人となり、202人の方が亡くなりました。諸外国との比較では、人口10万人に対する死亡率は、アメリカ3.96、カナダ1.32、メキシコ1.05に対して、日本は0.15と低い死亡率でした。抗インフルエンザ薬の早期使用、国民皆保険による医療体制の確立、予防対策の実施など多くの教訓を残しました。
 こうした中で、「新型インフルエンザ対策総括会議」が報告書を厚生労働省に提出しました。その中で、今後に活かすべき事項として、行動計画・ガイドラインは、突然大規模な集団発生が起こる状況に対する具体的な提示が乏しかったこと。国、地方自治体において、事前の準備や調整が十分でなかったこと。一度に大量のワクチンを供給できなかったこと。臨時にワクチン接種を行う法的枠組みが整備されていなかったこと。などをあげ、その具体的内容を報告しています。
 本市医師会では、感染対策委員会が総括を行い、医療体制、ワクチン、感染症情報処理システム、感染症対策委員会と危機管理について、各項目ごとに具体的教訓を明らかにしています。
 本市では、対策本部を設置し、保健所など関係機関からなる体制をもって対応したわけです。
 市長!あなたがその責任者でありました。その総括・教訓は、明らかにされたのでしょうか。改めて伺うものです。
 議会では、安全対策委員会が昨年12月に「新型インフルエンザから市民生活を守るために」と題して4項目の提言を行っています。その提言はどのように活かされたのでしょうか。中でも、ワクチン接種についてです。全国で約1800万人、市内で、11万人が接種しました。現場では、接種の場所、予約、キャンセルなど大変な状況が続きました。ですがら、現場からは、保健所からの支援、実施の主体、費用のあり方、集団接種などついて検討を求める声が出されています。今後にいかすべき点についてどのように受け止めているのか伺いたいと思います。
 次に、今年の予防対策についてです。
 厚生労働省は、WHOが打ち出した方針に基づいて、新型と季節性の株が混合された3価ワクチンを接種するとしています。こうした方針を受け、本市では、どのような対応方針で臨むのか明らかにしていただきたいと思います。
接種時期、費用、65歳以上の方や、幼児、低所得者に対する助成内容など具体的方針を示していただきたいと思います。新型インフルエンザに対して本市の単独事業として高校生以下3人目以降のこどもに対して無料とし、65歳以上の方について、無料ないし、1200円の自己負担で実施しています。また、1歳から6歳までの幼児に対して一回1000円の助成を行っています。周辺市町村の状況からしても、本市として、助成の対象者やその額の拡大など制度の拡充が求められますが、市長の見解を求めるものです。
 質問の最後に、中島大橋と乙丸跨線橋のリュニアルについて伺います。
 金沢駅東口から鳴和方面への通称東大通り線は、金沢駅から鳴和・森本地区や森山・東山への基幹道路となっています。中島大橋は、この道路の浅野川にかかる橋梁であり、一日の自動車等の交通量は、2万300台にのぼっています。架設されたのが、昭和29年ですからすでに56年が経過しています。その上、車道幅員が13.5mであるのに対し、橋梁の幅は、9mと狭く、ボトルネックとなっています。
 そのため、ゆるいカーブとなっている道路の形態とあいまって、たびたび交通事故が発生しています。周辺の町会から繰り返し中島大橋のリニュアル化への要望が出されています。
 もう一つが、乙丸跨線橋です。
 東山・内灘線は、東山・森山から木越・内灘方面への基幹道路であり、北陸自動車道や国道8号線、さらには、能登自動車道への通過道路として重要な役割を担っています。この道路がJR線とクロスし、渡るのが乙丸跨線橋です。一日の自動車等の交通量は、3万5600台にのぼっています。架設されたのが、昭和45年ですから40年が経過しています。
 この橋は、田中町、高柳町から浅野町小学校への通学路となっています。冬になると融雪のために水が勢いよく車道にまかれ、車が通過するたびに歩道にはねかえり、子どもたちの頭からシャワーのように降りかかるなど最悪の状況となっています。高柳町のマンションから通学する児童が増えており、保護者からこんな危険な橋はない。通学路としてこのままほっといていいのか。学校にも改善の要望が寄せられています。また、鳴和中学校で取り組まれた安全マップづくりの中で、自転車が通行できない危険な橋として指摘されました。車道を自転車が通行できず、自転車を担いで、歩道の階段をのぼり、歩道を手押しして渡らなければなりません。周辺の町会から強い要望となっています。
 市長!本市としてもこの二つの橋のリニュアル化を県に対して要望していますが、県からの回答はどのようなものか。今後の見通しについて明らかにしていただきたいと思います。
 教育長に伺います。乙丸跨線橋は、田中町、高柳町から浅野町小学校への通学路となっています。先ほど述べたように大変危険な状態となっています。育友会からも要望が出されています。冬場の安全 対策について、どのような働きかけをされているのか伺いまして、私の質問を終わります。

升きよみ市議が一般質問
社保協加盟団体などから13人が傍聴

金沢市議会9月定例会の質問戦1日目、9月15日(水)に金沢社保協加盟の日本共産党から升きよみ議員が登壇。①市長の所信と政治姿勢、②相次ぐ職員の不祥事、③福祉・教育分野での雇用創出と地域の仕事出し、④高齢者の安否確認と見守り活動の強化、⑤小中学校規模の適正化についての提言―の5点を質しました。

■市長の所信、政治姿勢など
升 市議「市長は20年前に就任時、社会的に弱い人達に温かい手を差しのべ、市民本位の市政を
     進めるといったが、その姿勢を失っているのでは」
山出市長「子どもの福祉は全国でも先進、高齢者福祉でも引けはとっていない」

■相次ぐ金沢市職員の不祥事
升 市議「逮捕者が3人と不祥事が続いている。職員は市民要望の多様化と業務量の増加に充分対
     応できず、過度なストレスのもとにおかれている」
山出市長「人間力を高める実践的な研修などで、職員の育成を進めていきたい」

■福祉教育分野での雇用創出
升 市議「雇用創出の積極策を思いきって進めるべき。人手不足の福祉の現場、教育分野での積
     極的な雇用拡大をすすめる考えはないか」
山出市長「必要な人員は増やしており、めりはりのある職員配置につとめたい」

■高齢者の安否確認、見守り
升 市議「民生委員をはじめ地域の方々との協力をすすめることは当然だが、市役所の果たす役
     割もますます重要となっている」
山出市長「行政の直接の関わりには限界。向こう三軒両隣の見守り力が大切だ」

■小中学校規模の適正化提言
升 市議「提言を求めたのは教育的見地からか、経済・効率的見地からか。学校統合や通学区域
     見直しは、結論ありきではなく慎重にすべきだ」
山出市長「児童生徒数の偏在がすすんでおり、教育環境を高めることが主体だ」

2010年9月15日
定例第3回金沢市議会 質問原稿
日本共産党 升 きよみ

私は、日本共産党市議員団として、市長及び、関係者に質問致します。
第1は、6選出馬表明された市長の所信と政治姿勢について伺います。
 有権者、市民は、昨年の自公政権退場の審判に続き、先の参議院選挙では、民主党政権に厳しい審判を下しました。長きにわたる自公政治でとりわけ、構造改革路線による貧困と格差の解消をはじめとするこれまでの政治を変えたいとした思いが、いまだに民主党新政権下でも示されない中で閉塞感に満ちた政治の打開を求め、その道を真剣に模索している状況下で、市長選を迎えます。先の市長の6選出馬表明以後、市民の方々のお声をお聞きしました。
「えー。市長まだお出になるの。まだ市長はなにされたいんかね。」「世界都市もいいけど、これからどんな金沢にしようと言うがや。」「私らの生活のことも考えてや。」「次の人育っておいでんがかねぇ。」「市長は他の人に譲れんがかねぇ。」「今、私らの生活大変や。若いもんに仕事がないし、これから先どうなるのか不安やけど、そんな私らの生活、わかっておいでるんかねぇ。」等のお声がありました。言葉をあらげないまでも、市民の中にある率直な思いが語られました。
 市長はなんと言っても大きな権限を持つ市のトップの座におられます。それだけに、市民の直接の声が聞こえにくいのかもしれませんが、こうした生の声が届いておられますか。
 この度の市長の施政方針をお聞きしましたが、今日、市民が求めている願いや、今の政治を変えたいと思う市民の声に本当に応えているのか。それは率直なところ、全く聞こえませんでしたが、如何でしょう。
市長は、北陸新幹線の開業4年後に控えこのまちを日本の内外にひらいていく為にその道程を一歩、確かにしていく為に意を固めたとおっしゃいました。そして今一度、初心に返って市政運営にあたり、志と情熱を持って市政の発展に燃焼し尽くすと表明されました。しかしそこには、今日の市民生活の実態に応えたメッセージが伝わってまいりませんでした。
20年前の市長の市政方針を振り返りますと市長は、市政発展と市民福祉の向上に精進する。市民一人ひとりの明日への幸せを求めると高らかに話しておられました。その言葉を思い出しながら今回、お聞きしておりましたが全く市民の一人ひとりを大切にするとしたことが語られませんでした。
 この4月から、ハローワークで失業により社会保険から国民健康保険に替わり、保険料軽減をする人が1000人近い状況、国保世帯の2割が保険料が納められず滞納し、生活が厳しく窓口に行くと滞納分の納入を言われ結局、医者へも行けないと訴える方もいます。老舗の地元企業の自己破産等、倒産や失業と、深刻な状況にある方々が増え続けている現状を見ますと、そうした生活困難の打開方向が示されておりません。
少なくとも市長は、かつて社会的に弱い人達に温かい手を差し伸べ障害のある方や、子ども達の健やかな成長を願って、あくまでも市民本位とした思いやりの市政を進めていくとおっしゃっておりましたが、今や市民ひとり一人が大切にされ、又、福祉を優先させる政治姿勢が失われつつあるのではありませんか。
 ところで市長は20年前、本市は、国際文化産業都市の建設を目指して行くとしておられましたが、その到達状況はどうなっていますか。少なくとも、この間の市政がどうあったのか検証が必要です。
 市政のすべての分野を語れませんが、産業都市を掲げるならば、地元の中小企業の方々の苦境打開がどう図られていくのかなど、示されるべきです。
我が党はこれまで税金のムダづかいや一部の特定企業に偏った市政に厳しく指摘をしました。この間、市長は、国の政治に追随しながら大型開発をすすめ、その結果、市民ひとり56万円と中核都市でも4番目に高い借金を抱え、今議会でも借金返済に10億円を支出する状況です。
 市長は、今回、コマツや横河電機などの世界企業の立地をみるなど、本市産業の厚みは着実に増しているとおっしゃいました。
しかし果たして本市の中小企業の方々が元気が出ているのでしょうか。
市長が就任された20年前からみて今は製造業の事業所の数は2200件、従業員数では1500人程が減りました。同時に卸売り業では、900店、従業員数では8000人が減り、小売業では、従業員数はあまり変わらないものの、2000店の店舗が減っている現状にあります。地元企業のこうした実態から見て、市長はこれで活力ある街、産業都市、本市産業の厚みは着実に増していると本気でお考えですか。
 地元企業が栄えて希望のみえる市勢が本当に示されるのですか。どんな金沢を描かれているのか、市長のご所見を伺います。
質問の第2点
 次に二元代表制についての市長の御見解を伺います。
このところ、大阪府の橋本知事の議会、内閣制提案や名古屋市の河村市長の議会解散リコール運動などで、一気に地方自治の原則である議会と首長のどちらも選ぶ二元代表制のことが話題を呼んでおります。私共、議会関係者にとっては、あらためて憲法と地方自治法に基づく、議会制民主主義の尊重の立場からも、首長と議会のあり方を明確にし、市民の付託に応えるべく、地方自治を進めていかなければなりません。
 ご承知の様に日本の自治制度は二元代表制を採用し、住民から直接選ばれた首長と議会がチェックアンドバランスの関係で互いに独断や暴走を防ぐ民主主義を保障する仕組みで行っています。
それにより、首長と議会議員は各々、住民によって選挙される公選職であり、その民主的正統性に差異がなく、その意味で首長と議員は対等であり、どちらが上司でもなく、部下という関係でもなく相互に切磋琢磨して、牽制と協力によって全体としての自治体運営が適正に機能することを目指しています。
 ですから首長と議会が喰い違った場合は、両者で一致点を見出していくことは当然です。他都市の事ではありますが、名古屋市の河村市市長の議会否定の異常や専決処分乱発の阿久根市長に道理がないことは明白です。
 近年、市民の政治への関心や参加が活発になる中では、従来型の町会等対象の「わが町トーク」やパブリックコメント等、広報広聴のあり方や、市民参加前提での議会との関係も検討されなければなりません。首長の権限等が強すぎる中で専決処分までに至らずとも議会軽視の傾向などに対し、色々意見のあるところです。
 市長、市長はこの二元代表制について、どうお考えですか。
又、議会に対してどう向き合っておられますか。これまでにも問題はなかったのか。ご所見を伺うものです。

質問の第3点は、
相次ぐ職員不祥事に関連してです。
今年度に入り、職員の逮捕者が3人と不祥事に歯止めがかからない状態に市職員に比較的、暖かい眼で見ている市民の方でも、さすがに「一体、どうなっているの?金沢市役所は?」「市長を初め、幹部の方々はどんな職員教育をしているのか。」「上がたるんでいるからではないか。」等ストレートに市民の方から厳しく言われます。
 人材育成如何によっては、自治体の将来に大きく左右するだけに新しい時代を生き抜くために、自治体首長はどの様なポリシーで
人材を育てていくのか問われております。
 そんな折での市職員の連続不祥事は、極めて残念至極です。ストーカー、その為の他の個人情報漏洩が簡単になされたことや、盗撮や公然ワイセツと、モラルに反する恥ずべき行為が行われたことは、規範とすべき幹部職員だけになんとも言いようがありません。
 近年、公務員に対する市民の目線はより厳しく、賃金や待遇についてのバッシングとなっている折、大きく他の職員全体に影響を及ぼしています。 改めて職員においては、パブリックサーバント(公僕)としての意識づけ教育が必要ではないでしょうか。
市長、こうした事態を招いた原因、人事管理のあり方に問題はなかったですか。
 職員が誇りと希望のもてる職場環境になっていますか。
人材育成、職員教育がどのように進められていますか。再発防止策について伺います。
 ところでこの間、地方行革に基づく、職員削減が進み、多様な市民要望と業務量、それに充分対応できない等により過度なストレスによる解消のしかたが充分でない職員もあると思われます。
 職員の心の病気をはじめとする健康管理の実態は如何なっているかも併せて伺います。
質問の第4点は、福祉、教育分野での雇用創出をと仕事起こしについてです。
1に雇用、2に雇用、と言われる程、今日、雇用問題が深刻化しております。
 金沢公共職業安定所管内でみても職を求める人12500人、求人倍率0.59と依然として厳しい状況にあります。
 失業者が増え、雇用不安が高まる状況では、経済危機に拍車がかかり、少子化への影響にもなる。自殺や犯罪の増大との関連も指摘される等々、雇用危機を打開し雇用確保の対策をすすめる事が重要となっています。それ故、政治を司る者にとっては、雇用問題の解決策を示すことは、極めて重要であります。
 それには、雇用創出の新たな積極的な提案を思いきって進めて行かなければなりません。我が党は度重ねて、福祉教育分野における雇用拡大を図ることを提案してまいりました。
 保育士の配置、グループホームや介護施設、障害者施設での職員配置など、人手不足の福祉の現場での積極的な雇用拡大をすすめることですが、市長は、新たな雇用創出を如何お考えなのか伺います。
 政府はこれまで雇用創出の目玉として、緊急雇用事業として、時限的措置として進めておりますが、長期に安定した雇用を創出する立場から、自治体の責任で効果ある公的就労をすすめることが必要です。
 そこで先ず、本市の福祉健康局部門や教育部門での積極的な雇用確保が必要と考えます。
 ちなみに、本市の職員数は、現在3275名。10年前と比べると正規職員は430名も減っており、それにかわって非常勤、臨時職員が223名と増えております。
 当時と比べ年々業務量が増え、多岐にわたる市民要求に向き合っている職場、とりわけ、福祉健康局、教育委員会の分野での雇用創出が必要です。そのお考えがありますか。
そして、不況にあえぐ地元企業への仕事起こしについてです。
本市は住宅支援制度としてまちなかで住宅新築や購入、空き家や町屋の改修等に又、高齢者等の住宅改修等への助成金制度を実施しております。定住促進のための事業のみでなく、地域の小規模な住宅関係の業者の仕事出しにつながっています。こうした住宅支援制度を思い切って拡充する。(たとえばまちなかは、)建築年次の緩和や区域限定を全市域に広げること、更にバリアフリー住宅には融資以外に新しい制度を設けるなど改善が必要ではありませんか。
 行政自らが仕事を生み出すお考えはありますか。

質問の第5点、
次に高齢者の安否確認と見守り活動強化を目指すために伺います。
高齢者の所在不明問題が大きな話題を呼びました。長寿日本と言われる中での行政の怠慢や家族の崩壊、貧困社会や地域のありようが問われ、私たちに多くの事を投げかけております。ところで今日は高齢者を見守る活動の重視が言われています。中でも行政が直接に係わることの大切さがあります。地域包括拠点センターと共に、民生委員の方々をはじめとする地域の方々との協力をすすめることは当然ですが、市役所の果たす役割が益々重要となっています。
 同時に本市が実施している配食サービスの拡大や個別ゴミ回収等きめ細やかな対策での見守り活動が大切です。
 一人暮らしの高齢者の方がベッドの横で倒れているのを、配食サービスの際見つけ、救急車を呼んで一命を取りとめたとか、お弁当を届けに行って戸が開かないので、家に入ってみて、倒れているので遠い家族の方に電話をしたとか色々なエピソードがあります。高齢者のボランティアの方が生き甲斐を感じながらすすめている配食サービスなどは大変歓迎されております。しかし、本市では、その実施が約16000人の一人暮らし、寝たきり、認知症高齢者の10%にも及ばない、一千人程度の状況です。積極的な拡大支援が必要です。
 又、身体の不自由な高齢者の方にはゴミ出しも大変です。近くのゴミ集積所に行けない。特に冬期には難儀しています。このところ川口市をはじめ他の自治体で介護保険の認定1以上65歳以上、障害者手帳所持者の方々など希望すれば、市職員が直接自宅訪問し、状況把握とゴミ収集時に安否確認するなど高齢者の見守り支える活動が展開されています。
 高齢者の社会的孤立が深刻化している状況下、安否確認など行政による見守り支援体制の強化、声をかけ支えあう地域の取り組みに対しても、積極的支援を図り地域住民と一体となってこそ行うべきです。

質問の最後は、小中学校の規模の適正化についての提言に関してです。
 去る8月4日、市立小中学校の規模の適正化に関する懇話会の提言が発表されました。
 その内容は少子化による児童生徒の減少、中心市街地の減少と郊外の増などの背景や経緯を踏まえ、小中学校の現状と規模による課題や適正規模の考え方などが明らかにされました。その中心点は概ね、12~24学級を適正規模とすることを基本に、具体的には、新竪、馬場、大野町、材木、野町、味噌蔵、菊川、朝日、俵小の統合及び通学区域の見直し、又、犀生中、小将町中の通学区域の見直しを基本とすることになっております。
 そこで、先ずお聞きしたいのは、今回教育委員会が懇話会の提言を求めた真意は何でしょうか。教育的見地ですか。経済的、効率的見地からですか。これまで各々の校下住民から学校統廃合や通学区域の見直しの要望が出ているのですか。少なくとも地域住民や学校関係者からは統廃合や通学区域の見直しではなく、一日も早く老朽化した学校の改修、耐震化を求める声ではありませんか。
児童生徒の教育が中心とおっしゃるのであれば、学校規模の前提となる少人数学級の拡大や実施ではありませんか。
(なによりも児童、生徒、どの子も一人ひとり大切にされ、ゆとりあるわかる授業をすすめる、少人数学級を拡大することが最優先ではありませんか。)学校は地域のセンター、文化の拠点とも言えるものです。学校統合や通学区域の見直しについては、初めに結論ありきの方向でスタートするのではなく、慎重にすべきです。基本的な所見を伺います。

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