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金沢市議会

2011年3月
 金沢市議会3月議会 代表質問
 日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭
 私は、日本共産党市議員団を代表して質問致します。
 質問に先立ち、ニュージーランドのクライストチャーチ市を中心とする大地震が発生し、現在把握された情報でも本市出身者をはじめ、亡くなった方が166人にのぼるなど甚大な被害となりました。未だ多くの方々の安否がわからない状況が続いています。心よりお見舞い申し上げます。
 最初の質問は、出口の見えない「閉塞感」に包まれている政治と経済の状況について伺います。
 「何のための政権交代だったのか」今、多くの方々が怒りと失望感を抱いています。小沢一郎元民主党代表に関わる政治資金をめぐる疑惑そして、今度は、違法献金が明らかとなり、前原前外務大臣が辞任に追い込まれました。
新しい政治を望んだのに、「政治とカネ」や、消費税増税を打ち出した菅内閣、さらには、沖縄普天間基地の問題でも民主党政権は、それまでの自民党政治と中身は変わらず、経済でも外交でも行き詰まっています。
国民は、出口の見えない「閉塞感」に包まれ、経済でも外交でも日本が急速に地盤沈下をおこしている状況に不安を抱いています。
 どのように打開し、未来に希望ある政治をつくっていくのか。多くの国民が真剣な模索をはじめています。
 市長は、こうした現状をどのように受け止めておられるのか。まず、伺うものです。
 具体的に二つの事について伺います。
 その一つは、社会保障を切り捨てしながら消費税増税を進めようとしていることです。来年度国の予算案では、年金の支給額が引き下げるなど社会保障を後退させる一方、大企業には、財源のうらずけのないまま1兆5千億円もの減税を実施するとしています。米軍への「思いやり予算」や防衛予算にも手をつけず、赤字国債頼みからの脱却する展望などありません。そして、今度は、消費税増税を国民に押し付けようとしています。
 今やるべきことは、家計を温めて内需拡大をすすめ、経済再生をめざす総合的な賃上げ政策をすすめ、日本経済を成長・発展のレールに乗せることです。そして、後期高齢者医療制度を廃止し、社会保障の拡充する方向に転換すること。さらに、食料主権にもとづく貿易ルールの確立。大企業・大資産家へのゆきすぎた減税をやめ、米軍への「思いやり予算」などの軍事費、大型開発や政党助成金などの必要のない税金投入にメスを入れ改革を行うことです。
 国が住民生活を脅かす施策を進めてきたら、地方自治体は、住民の暮らしと福祉を守る防波堤の役割を発揮しなければなりません。これが本来の地方自治体の仕事です。
 市長。来年度の国の予算案に示されているように社会保障を削り、消費税増税を進めようとしている事態に対して市民の暮らし福祉を守る立場からどのように望んでいかれるのか伺うものです。
 二つ目に、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加問題です。すべての関税をなくし、自由化するとしたら、日本の食料自給率は、10%台に落ち込み、生産額の大幅減少、雇用は、350万人も減少するとの試算も出されるなど壊滅的に打撃をうける事になります。
これに対して、2月26日JA石川県中央会をはじめ、県内各地の農協、農業関連団体33団体が主催し、県森連、県漁協、県生協連など8団体が共催・後援に名を連ねTPP参加に反対する集会が1000人の参加で開かれました。この中で、JA石川県中央会の安田会長は、「TPP参加は農林漁業をはじめ。地域経済・雇用に甚大な影響を与え、わが国の制度の根幹を大きく変える断じてゆるされない事態」と述べ、運動の前進を呼びかけました。
本市議会は、昨年12月市議会で全会派一致して国に対して国民の理解と合意のないままTPP参加は行わないよう求める意見書を採択しました。
全国では、40都道府県、1073の市町村が「参加に反対」「慎重対応」を求める意見書を採択し全国に広がっています。
 市長は、こうした動きを受け、TPP参加による本市農林漁業などをはじめ、本市地域経済に与える影響ついて、どのように受け止めらおられるのか。そして、TPP参加についてどのような態度を表明されるのか伺うものです。
 質問の第二に、台湾訪問についてです。
市長が提案説明の中で、この5月に台湾を訪問することを明らかにされました。
その目的は、八田興一技師夫婦の墓前祭及び記念公園開園式に参列することとしています。
本市は、中国・蘇州市、韓国・全州市と友好交流を進めてきています。
一個人ではなく、金沢市を代表する市長として台湾を訪問するとしたら、日本が中国、韓国そして、台湾とどのような関係であったのか。しっかりした歴史認識をもって臨むことが求められています。
市長は、どのような歴史認識をもって中国、韓国、台湾との交流を進めていかれるのかまず、伺うものです。
日本がかつて中国や朝鮮、台湾などを植民地支配し、侵略戦争によって、アジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。そして、こうした過去のあやまちを二度と繰り返すことのないよう決意し、アジア諸国との平和友好交流を進めて行くことが求められています。
 第二に、中国は、一つという国際法の枠組みを守らなくてはならないと言う事です。
 「一つの中国」というのは、国連をはじめ、日本と中国の間でも、アメリカと中国の間でもその原則が確認されています。
 日本は、1895年に、日清戦争によって、中国から台湾を取り上げ、日本に併合しました。太平洋戦争では、台湾は、日本軍の南方進出への前哨基地として重要戦略拠点として位置づけられました。1945年にポツダム宣言によって、戦争が終結し、日本は、台湾を中国に返したわけです。したがって、「一つの中国」ということを一番守らなくてはならない立場にあるのは、日本だと言えます。尊重しなければならない国際的原則です。
市長は、この点についてどのような認識をもっておられるのか伺うものです。
 第三に、八田興一技師夫婦の墓前祭への出席についてです。
 憲法は、政教分離の原則を明らかにしています。したがって、自治体の長が、宗教行事への出席について公共性や政教分離の観点から公務に当たるかどうか慎重に判断しなければなりません。また、いかなる宗教儀式への公金支出についても、これまでも憲法上の判断が行われてきました。1977年の津地鎮祭訴訟、1997年の愛媛玉ぐし訴訟。そして、最近では、2005年白山市の角市長が白山神社の例大祭に公用車を使って出席、祝辞を述べたことに対して市長の行為が特定の宗教に対する援助であり、憲法が禁止する宗教活動に当たるとして裁判で争われました。一審では、「宗教的色彩は希薄」だとして合憲判決を出しました。二審では、「市長の行為は、社会的儀礼の範囲外の宗教活動で、公費による参加は違憲だ」として、公用車経費の返還を命じました。最高裁では「市長の行為が宗教とのかかわり合いを持つことは否定し難い」としながら、「地元にとって、神社は重要な観光資源で、大祭も重要な行事だった」「市長は観光振興に尽力すべき立場にあった」として憲法の政教分離原則に違反しないとしました。
 市長として墓前祭への出席について、どのように考えるのか伺うものです。
質問の第三に、国民健康保険についてです。
 経済的な理由から医療機関の受診が遅れ、亡くなったとする事例が昨年一年間全国で71人にのぼったことが明らかにされました。3月3日全日本民主医療機関連合会が全国の事業所を対象にした調査の結果を公表したものです。一昨年の42人から大幅に増加しています。
 このうち、高すぎる国民健康保険料の滞納などによって、無保険や短期の保険証や資格証明書を交付された方が42人にのぼっています。亡くなった方の中には、本市でも3人の方が含まれ、いずれの方も保険証はもっていませんでした。
 本市の国民健康保険の実態はどうなっているでしょうか。
 市民からは、国民健康保険料が高すぎて支払えないという声が広がっています。
 4人家族で年間300万円の所得のある方の国民健康保険料は、38万円を超えています。所得の1割以上が国民健康保険料となっています。賦課限度額は、年間73万円と月額6万円を超えています。アパートの家賃を上回る額となり、市民の悲鳴が上がっています。
 その結果、国民健康保険料を支払うことができない滞納世帯は、1万1948世帯となり、加入世帯の約2割、5世帯に1世帯が滞納せざるをえない状況となっています。1年以上、特別の事情がないと判断されると本市では、国民健康保険証が取り上げられ、医療機関の窓口で全額支払わなければならない資格証明書が発行されます。その世帯は、1142世帯にのぼっています。
 さらに、滞納を理由に、6カ月と短い保険証が渡されている世帯は、3643世帯となっています。実に滞納している世帯の4割にペナルテーを課しています。
 今議会には、こうした保険料をさらに、引き上げる事が提案されています。賦課限度額は、さらに年間4万円引き上げ、77万円にするとしています。
 市長!国民健康保険の実態をどのように受け止めておられるのか伺うものです。
 次の二つの点について解決すべきと考えるものです。
 第一に、すべての加入者に保険証を手渡すことです。第二に、保険料を1世帯年間1万円引き下げるべきです。必要な財源は、6億円です。市民のいのちにかかわることであり、最優先で行うべきです。市長の見解を伺うものです。
 この質問の最後に、政府が2013年度から国民健康保険料の計算方式を一本化するとの方針を打ち出したことです。
 現在、本市は、「住民税方式」を採用していますが、政府は、この方式をやめ、「旧ただし書き方式」に一本化するとしています。この方式になると、低所得者を中心に扶養控除など各種控除を受けている世帯の保険料負担が大幅に増加する事になります。しかも、保険料の軽減などのために一般会計からの繰り入れについて「計画的に解消していく」との方針を示しています。これでは、誰もが必要な医療を受けられる「国民皆保険」制度を根幹から崩しかねません。
 市長!こうした政府の方針にきっぱり反対し、国や地方自治体からの財政支援によって、保険料を引き下げるべきと考えますが、その見解をうかがうものです。
 質問の第四に、こども医療費に対する助成についてです。
 こどもが病気になっても安心して医療機関に受診できるようにと、子どもの医療費を医療機関の窓口で無料化を求める世論と運動が全国で広がっています。こうした中で、すでに35の都府県がその無料化を実施してきています。
 本市議会も一昨年12月市議会で「子ども医療費無料化に関する意見書」を全会派が賛成で採択し、県にその実施を求めました。
 さらに、県医師会が県議会に請願を提出し、一、こどもの医療費を中学校まで完全無料化すること。一、支給方法については、現物給付とすること。を求めています。
 市長!この点では、自らもマニフェストでその実施を掲げていることから県に対して強く働きかける考えはないかその見解を伺うものです。
 市長は、提案説明の中で、「立ち位置」について、ある著書を引用し「自社が今どの位置にあり、目標との間の距離がどれだけあるのかを深く理解していかなければならない」と述べました。
子どもの医療費の助成は、県内では、能美市が通院入院ともに18歳まで拡充し、通院については、県内19の自治体のうち、小学校卒業までとしているのが2自治体、中学校卒業までが、11自治体、高校卒業までが、1自治体となっています。
本市では、入院の場合、小学校卒業までを中学校卒業まで対象を広げ、通院の場合、現在の小学校入学前までを、今回小学校3年生まで対象を広げるとの提案がされていますが、本市の現状は、遅れた位置にあります。まず、本市自らが、こどもの医療費について、窓口無料化し、通院、外来ともに中学校卒業まで制度の拡充を行う考えはありませんか。必要な財源は、5億円です。市長の見解を伺います。
 質問の第五に、住宅リフォーム助成制度についてです。
 玄関や台所、浴室など住宅をリフォームした場合、例えば工事費の20%、上限20万円を自治体が助成するという住宅リフォーム助成制度が、全国で広がり200近くの自治体で導入されてきています。
 実施した自治体では、助成額の18倍にまで経済効果を生み出し、新たな雇用拡大にもつながっていることが報告されています。「仕事がない」「下請け単価が下がって、仕事をしても赤字」との悲鳴が上がっている地場の中小企業にとって、この制度によるあらたな需要拡大と経済効果に大きな期待が広がっています。
 国会でもわが党の質問に対して菅首相は、「社会資本整備総合交付金を活用することができ、今後ともこのような取り組みを支援していく」と答弁しました。 これまで、本市は、住宅建設への助成や、修繕に対する補助制度があるとしてきました。しかし、この住宅リフォーム助成制度は、多くの市民が利用でき、経済効果が大きく、現在の不況対策として注目されています。先日も、市内の中小企業の方々が、本市でも実施するよう要請がされたところであります。
市長!大手企業コマツを誘致するために金沢港周辺の整備事業に247億円を投じ、本市は、50億円を負担しています。コマツの第一工場建設に対して市と県が10億円もの助成を行いました。本市は、2億円の助成だったものを市長が認めるものという事項を適用し、さらに1億円を積み増したのです。この工場の新規雇用は、わずか15人です。そして、コマツの第二工場建設にあたって、その用地を、本市が20億円を投じ、保安林を伐採して造成しました。
大手企業の渋谷工業が金沢テクノパークに新工場を建設したとして本市は、昨年の12月補正予算で5億円の助成を行いました。
 これまでの市政がすすめてきた大手企業に対する手厚い対応を行っても地域経済の振興にほんとうにつながったと言えるでしょうか。本市の地場産業を支えている中小企業に対する振興策こそ今行うべきではありませんか。
新年度、秋田市、盛岡市、青森市と相次いで住宅リフォーム助成制度を導入するとしています。ぜひ、本市でもこの制度を取り入れる事を求め、市長の見解をうかがうものです。
 質問の第六に、税金の使い方を大型開発からくらし応援に切り替えることについてです。
 「予算がない」と言って、行政サービスや福祉制度を後退させたり、公共料金を引き上げるなど住民に痛みを押しつけ。その一方で、大型開発や大手企業にバラマキを続けるといった「逆立ち」した税金の使い方は、改めなければなりません。
 大手企業を呼び込みこみ、地域経済が活性化し、経済の波及効果があがるというのは、すでに破綻した古いやり方です。こうした施策からは、決別しなければなりません。
 市長!あなたが掲げたのは、「市政刷新」でありました。しかし、いつの間にかその言葉はなくなり、提案説明の中で登場したのが、キーワードの「ひらくこと」でした。「金沢のまちを国の内外にひらくこと」「市政を市民にひらくこと」「未来につながる扉をひらくこと」というキャッチフレーズを打ち出しています。
市長!結局、これまで続けられてきた大型開発事業は、刷新するどころか、新しいフレーズで継承、さらに発展しようとしているではありませんか。
 具体的に伺います。第一に、海側幹線道路と区画整理事業、金沢駅武蔵北地区再開発事業第三工区そして、金沢駅西口広場再整備事業についてです。
 昨年9月谷本知事は、海側幹線の大河端町から福久間について車線数の見直しを含めた道路構造等の変更をすすめていると答弁しました。本市は、戸水から大河端までの2キロ区間について、大友、直江、大河端の区画整理事業と近岡地区での街路事業を進めています。事業費は、184億円にものぼります。
当初計画通り、側道4車線と本線4車線の合わせて8車線の道路築造計画ですすめられています。高速道路並みの道路は、必要ないとの批判が広がり、県が見直さざるをえない状況となっています。にもかかわらず、本市は、計画通りすすめていかれるのですか。見解を伺います。
また、金沢駅から武蔵間に5つの再開発ビルを建設するとしてこの間、4つの再開発ビルが建設されてきました。空きフロアーが目立っています。4番目に建設されたビルの一階は、当初から空いたままとなっています。にもかかわらず、最後の5つめの再開発ビルを建設するとしています。事業費は、50億円です。
次に、金沢駅西口広場再整備事業です。新幹線対応だとして28億円が投入され、再整備するとしています。現在、金沢駅の1日平均乗車する方は、2万763人です。年間では、757万人です。新幹線開通によって、平成27年には、1000万人と予想し、243万人の増加を見込んでいます。さらに、10年後の平成37年には、駅周辺の再開発等による乗降客が増加するとして、年間2800万人が駅を利用するとしています。こうして計画されたのが、今回の再整備事業です。
果たしてこれだけの事業費を投入してまで再整備が必要なのでしょうか。市長の見解をうかがうものです。
 第二に、金沢テクノパークと新たな工業団地についてです。
 先端産業を誘致するとして280億円を投入して森本山間部に工業団地を造成しました。最初の企業が参入して15年が経過し、いまだ4分の1が売れ残っています。東京ドームの約2個分に相当する面積が残っています。そのため、土地開発公社は、その土地の簿価として30億円が残り、その金利を負担続けています。今回一般会計から無利子で貸し付けする提案がされていますが、失敗したツケを市民の税金で補填する事につながりかねません。市長の見解をうかがうものです。
 しかも、車で5分とかからない場所で今度は、新たな工業団地を造成することを打ち出しました。そのためにどのくらいの事業費を投入する計画ですか。明らかにしていただきたいと思います。金沢テクノパークの売れ残った用地の活用を先にしなければならないのではありませんか。やるべき事が逆さまです。
 市長の見解を伺うものです。
 質問の最後に、市営医王山スキー場の改善と乙丸陸橋の架け替えについてです。
 さる1日に全国のスポーツ愛好者で組織されている新日本スポーツ連盟と勤労者スキー協議会の石川県の代表者が本市に対して市営医王山スキー場の改善と小学校でのスキー遠足の普及について申し入れが行われました。
昨年11月と今年1月にスキー場の現地調査が行われ、私も参加致しました。
今回の申し入れでは、二つあるリフトが設置されてからそれぞれ25年以上経過しており、老朽化が目立ち新しく更新することや、圧雪車によるゲレンデの整備、ネットなどの設置による安全対策を求めました。また、歩くスキー教室などの普及や小学校でのスキー遠足を各学校で実施するよう要望いたしました。
中でも、本市が検討をすすめている「キゴ山ふれあい・賑わい創出」においても市営医王山スキー場を加えその発展を目指していただきたいとの要望が寄せられました。市長並びに、教育長からその見解をうかがうものです。
 次に、地域では乙丸陸橋と呼んでいる乙丸跨線橋についてです。
 昨年9月本市議会で私が取り上げました。乙丸陸橋が建設されて40年が経過し、一日3万台を超える車が利用する上に、道路幅に比べ橋の幅が狭く、冬場になると融雪による水が跳ね返り、歩道を利用する小学生に頭からシャワーのように降りかかることが起こっています。自転車が安全に渡れるような状況ではありません。浅野町小学校の通学路となっていて児童の3分の1に当たる130名がこの橋を利用しています。集団登校により、サポーターの方が小学校まで付き添いを行っています。こうした現状について、教育委員会は、把握していますか。教育長は、どのような現状認識をされておられますか。うかがうものです。
一日も早くこの橋を架け替え安全な橋にしていただきたいと、署名活動が取り組まれ、この2ヶ月間で1866名の署名が先日、市長に手渡されました。地域の切実な願いとなっています。
 市長並びに教育長にその見解をうかがいまして、私の質問を終わります。

2010年12月
 金沢市議会12月議会 反対討論
                 日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭
  
 私は、日本共産党市議員団を代表して討論を行います。
 わが党は、提出された議案10件のうち、議案第1号、第2号、第6号の議案3件に反対であります。
 その主な理由について述べます。
第1に、一般職給与費が3億4‚252万4千円が減額となったことです。これは、先の11月30日に開かれた臨時議会において、議決されたことを受けたものです。
その内容は、人事院勧告を受け、国家公務員給与が1.5%引き下げられたことを受け、本市職員の給与を平均0.1%引き下げ、55歳を超える職員については、さらに、給与等を1.5%引き下げる。また、期末勤勉手当の支給割合を0.2カ月分の引き下げたものです。
これによって、給与が7000円、期末勤勉手当が8万2千円の引き下げとなり、年間平均給与が約8万9千円と大幅な引き下げとなったものです。
昨年に引き続く、今回の大幅な給与の引き下げは、職員とその家族の生活さらには、民間労働者の給与と景気にも深刻な影響をもたらすものです。
よって、認めることはできません。
第二に、金沢テクノパークにかかわる予算についてです。
 この事業は、森本地区に先端産業を誘致するとして、280億円を投入して山間部に造成されたものです。事業がはじまって18年間が経過してもなお、4分の1が売れ残り、この間誘致された事業所は、5社となっています。呼び込み型の企業誘致を進めるために、企業立地助成金は、最高5億円となっています。この間4社に対して雇用助成金を含め、18億5500万円が助成され、今回その5億円が実施されると合計23億5500万円に上ります。その内、渋谷工業に対して今回と合わせて10億800万円が助成されることとなります。
 山出前市政が進めてきたこの事業は、財政的に大きな負担を残し、一部企業に対して偏った助成金まで行う事態を生み出しています。
 こうした事業こそ、「刷新」すべきであります。
 第三に、駅・武蔵北地区再開発事業と駅西広場再整備事業に関わる予算と、工事請負契約についてです。すでに建設された4つの再開発ビルは、テナントが埋まらず、店舗が参入したり、撤退したり、その解決は見通しがないまま、引き続き、残りの第三工区の再開発ビルの建設を進めようとしています。また、駅西広場再整備事業にも28億円が投ぜられようとしています。こうした事業こそ再検討すべきであります。
 次に、請願についてです。
 こどもの医療費助成制度の拡充を求める請願は、対象を中学校卒業まで拡大し、医療機関の窓口で、自己負担分を払わないですむよう無料とすることを求め、新日本婦人の会金沢支部から提出された請願です。
後期高齢者医療制度を直ちに廃止し国民だれもが安心して医療が受けられる医療制度を求める請願並びに、全額国庫負担による最低保障年金制度の早期実現を求める請願、いずれも、全日本年金者組合石川県本部金沢支部から提出された請願です。
 さらに、米価の大暴落に歯止めをかけるための請願は、農民運動石川連合会から提出された請願であります。
 以上の請願いずれも、切実な要求要望であり、わが党は、賛成であります。
よって、各常任委員会での不採択に反対であります。
 以上をもって討論を終わります。

升きよみ市議が一般質問
社保協加盟団体などから20人が傍聴

金沢市議会12月定例会の質問戦3日目、12月22日(水)に金沢社保協加盟の日本共産党から升きよみ議員が登壇。①市長の所信表明について、②雇用・経済活性化対策について、③高齢者施策について、④学校給食共同調理場整備について―の4点を質しました。

■市長の所信表明について
升 市議「市政刷新を掲げた市長は何を刷新するのか。5期20年の山出市政の悪いもの、改めるべ
     き施策とは何をさすのか」
山野市長「歴史・伝統守る姿勢は踏襲し、未来を見すえた施策へ刷新したい」

■雇用・経済活性化対策
升 市議「来春卒の高校生の約3割が就職が決まっていない。常用雇用の財政支援などで、市内企
     業に高校生採用を求めるなど、緊急対策が必要」
山野市長「県や労働局が対策。必要あれば来年度の予算編成の中で検討する」

■高齢者施策について
升 市議「新市長のマニフェストや予算編成方針をみると、高齢者が安心して住み続けられるよ
     うな施策がされていくのか心配だ」
山野市長「日本・金沢を支えてきた大切な人で、敬意を払うことが大切だ」

■学校給食共同調理場の整備
升 市議「再整備計画は5小学校の単独校調理場、小規模共同調理場を廃止し、大規模調理場にす
     るもの。方向を誤ったとんでもない計画だ」
浅香教育長「近代的設備導入を通じ、総合的観点から共同調理場を基本とした」

 定例第4回金沢市議会 
 日本共産党金沢市議員団  升 きよみ
 最初に「市政刷新」の旗を掲げて、出馬当選された新市長の所信表明をお聞きしましたので幾つかお尋ね致します。
 政権交代後も変わらぬ政治、市民生活の厳しさは、より深刻、かつてない状況下、くらしの不安が強まる中で、貴方の掲げた「旗」を頼りにした市民の方々の力で選ばれた市長に、当然のことながら、選んだ選ばないにかかわらず、市民の全てが貴方のこれからの市政運営のもとで、日々住みくらし続けていきます。それだけにどんなに小さな声も漏らさず聞き、公正・公平な市政運営を貫き、市民のための市政を行っていただくことを心から願うものです。
ところで「刷新」という言葉を辞書で紐解きますと「以前の悪いものをあらためてすっかり新しいものにする」となっております。
 さて、市長に期待した刷新その市政刷新を掲げた市長は何を刷新されるのですか。5期20年の山出市政の悪いもの、又、あらためて新しいものにすべき施策とは何を指していらっしゃるのですか。とりわけ山出市政をこれまで支えてこられた貴方だけに、私をはじめ市民は殊の外お聞きしたく存じます。
 市長は所信表明、提案理由の説明の中で市民の民意は変化をのぞんでいる。これまでの行政手法では、発展がない。変えるべきは勇気を持って変える。発展のない行政手法とは、それは、何を指しておられるのですか。
変化の的確な対応、前例や慣例にとらわれることなく、新しくチャレンジする等「変える」とさかんにおっしゃっておられます。
 これまでの政治を踏襲しながらも「変える」とおっしゃられますが、その変えるべきものとは何ですか。刷新することとは何なのですか。
更に市長は金沢市の立ち位置が何処にあるのかを理解することも必要とおっしゃっておられます。そうすることによって初めて進むべき方向が思えてくとおっしゃっています。
 貴方のおっしゃる立ち位置とは何なのですか。何処なのですか。より具体的に分かりやすくお教え頂きたいと思います。
 市長がおっしゃった市民が抱える問題を現場で直接、お聞きし、市民と一緒になって課題の解決を図っていくとの事をお聞きし、この事には大いに期待もよせながら真の市民参加による市政運営をすすめることを願っております。
 ところで市長はスピード感と共に、経営感覚を備えた市政の推進をおっしゃっておられましたが、私は、企業社会でなく市民一人ひとりが大切にされる市政を推進することであって、少なくとも市政全体に貫かれるべき「公共の福祉、公共性」がしっかり貫かれるべきと考えます。以上御御所見をお伺いします。

質問の第2点は、雇用を拡げ、経済の活性化を図るとしている対応策についてです。
雇用問題の深刻さは計り知れないものがあります。高校就職内定率が全国平均57.1%からみて県内は71%で比較的よいという数字が発表されていますが、しかし約3割の生徒さん達がいまだに決まらない実態であり、先生や関係者は必死になっておられます。
 私の周辺でも30歳、40歳代の方が派遣切りになって以降、なかなか仕事がみつからず、今は緊急雇用の仕事をしながら生活をしていますが、これからの不安を抱えておられます。
 本市が今年度まで進めてきた緊急地域雇用創出事業は、既に民間委託事業を中心にして、延べ人数321人、5億8,000万円の費用をかけて事業執行をすすめておりますが、まさに緊急つなぎ的雇用であります。それでもこの事業は始まって3年目となります。
① 国の施策とはいえ、このつなぎ的雇用で生活を支えている実態からは、今後どのように進んでいくのか気がかりです。その見通しについて伺います。とも角、緊急雇用はあくまでも緊急的措置であり、何と言っても恒常的な雇用の場を創出することが大切です。
山野市長は、雇用を拡げるとおっしゃっていますが、いったいどの様な具体策をお考えなのか伺うものです。
 我党は早急にすべきは、
1つに、市内の企業に対し常用雇用の財政支援をもって新卒高校生の採用受け入れを計って頂くことを提案しています。
2つに、なんと言っても、新たな雇用創出には、介護や、医療、福祉の分野における積極的な対応策であると考えます。
 これまでも私達は、保育士の配置基準の見直しによる増や、特養ホームの増による雇用の拡大等、保育や介護、福祉の分野での雇用創出を提案してきました。仮に民間保育所の全て98園に保育士を一人配置するならば、年間1億8,000万円、老人介護福祉施設(19園)、特養ホームに職員を、一人を増員するならば4,200(4,172)万円となる見込みで決して財政的にも不可能ではないと考え、市民の応援も得ることが出来ると判断しております
ところで、この間山出市長のもとでグループホームの夜間体制緊急強化事業として雇用創出事業の一つとして職員配置がされてきました。大変歓迎すべきことです。しかし一時的対応にとどまるだけです。まさに安心安全のためにも常用雇用が必要であります。
市長は、マニフェストや提案理由説明の中でも市民生活に潤いを増やすには、医療介護従事者が働きやすい環境を整えることとされておりますが、雇用対策と併せ、何か思い切ったお考えをお持ちなのですか。
3つに今回、障がい者の方々から大きな期待がよせられているのは山野市長がマニフェストに障がい者雇用先進地区を目指すとおっしゃった点です。
市長がおっしゃった、日本全国から特別子会社等の制度を利用した企業誘致をする内容は、国が掲げている施策の一つですが、何としてもやり抜くご決意ですか。
 現在、本市の登録障がい者数は3,678人で、56人以上規模の企業で一人以上の身体又は知的障がい者を雇用することを義務付けている法定雇用率は、国の基準1.8に届かない1.62で、金沢管内の法定雇用率達成企業は54%に留まっている実態です。今日の深刻な不況下、民間企業が大変な折、健常者の方より、先に解雇言い渡しがされるという現況のもと、市長の掲げたその公約に期待がよせられるのも当然です。
 4つに本年法改正により障がい者雇用納金制度の事業主拡大が計られました。又従来の301 人以上が、201人以上の企業も障がい者雇用の義務付けや、又短時間雇用者もその対象となりましたが、これらの対応策も伺っておきます。
5つに障がいのある方が働くという意義は、様々に意味があり、現在進めている障がい者雇用定住促進事業や、障がい者福祉作業所等、雇用促進対策がありますが、企業の就労受け入れが進まない段階でも日常生活を支える意味も含めた小規模作業所などの支援は欠かせませんが今後の方針をお聞きします。 
質問の第3点に高齢者施策について伺います。
 新市長が出されたマニフェストや予算編成方針等を拝見すると、高齢者対策のことでは小規模多機能型特養ホームや経費老人ホーム、グループホーム等、介護施設を増加させ、施設入所への促進とお年寄りのキャリアを生かすことのできる暮らしやすい環境をと言われておりますが、全体として余り触れられておらず、又、巷の街での話題では、新市長は「お若いから子育ての環境づくりや施策に力が注がれていくのでしょうが、老いを迎えて行く高齢者がこれから安心してくらし住み続けられるような制度や施策がされていくのか心配だ。そこのところもしっかりとやって欲しいものです。」と率直なお声が寄せられています。
又、マニフェストで医療、介護に優しいまちづくりを推進する民間ボランティアを支援して医療介護従事者が生きがいをもって働きやすいまちをつくるとされています。
 民間ボランティア育成に力を注いでいただくこと、おおいに支援していただきたいと思いますが、しかし、介護、医療等の分野こそ、公的な保障が必要であって安易な民間委託やボランティア依存する事ではない事をしっかり認識されて臨んでいただきたいとの思いです。
 ◎まず、山野市長は、高齢者施策についてどの様なお考えをもって進めて行こうとされるのか御所見を伺うものです。
 同時に山出市政のもとで、実施されてきた行革大綱による事業の中で第三者評価委員会における事業の中でみなおし検討されている次の事業についてどのように判断されていますか。
 その一つに高齢者入浴補助事業の入浴券配布であり、その2つに万陽苑、松寿苑、鶴寿苑、千寿閣等の老人福祉センターの利用帰りのバス回数券の見直しですが、いずれもその制度の存続を計り、むしろ積極的改善を図ることについてです。
 これまで本市が進めてきた高齢者の入浴補助事業は65歳以上の高齢者全体の28%(約3割)の方が利用し、その利用枚数は、38万4,276枚に及び、大変喜ばれています。山出市長のもとでの第三者評価委員会では、1億2,000万円の予算等により、財政負担が大きいことを理由にみなおしが提案されていますが、率直に言って、私は最も利用している高齢者の方々のお声をお聞きしているのか甚だ、疑問を感じております。
高齢者の方々の多くは銭湯、公衆浴場の良さを知り、その利用券の拡大を求めておられます。利用できない方々からは、銭湯、公衆浴場が利用できるよう足の確保、即ち乗合タクシーの運行や活用などを計る。公共交通バスの利便性を計る等工夫を行う方策をもって積極的な制度の拡充こそを求めておられます。又、老人福祉センターについても、今後のあり方として、子どもを始め、広く他世代を含む利用が可能となるような施設や名称のあり方の検討も必要と考えます。
 街から銭湯が消え、生鮮三品のお店が消え、買い物弱者難民が出ております。味噌醤油を買いに郊外大型店にまでとても行けない方々への対策にこそ力を注いて欲しいと願っています。如何対策をお考えなのかお聞きします。
 次に新高齢者医療制度と国民健康保険制度について伺います。後期高齢者医療制度は、民主党政権が掲げた廃止公約は全く反故にされてしまいました。
今回、政府が示した新制度は75歳以上の大多数を都道県単位の国民健康保険に入れ、あくまでも現役世代と差別し、別勘定にするもので、70歳~74歳の医療費の1割から2割となるもので、負担の2倍化の上に、被扶養者とその家族を除いて年齢で区別する仕組みを温存し、高齢者の保険料が自動的に上がる仕組みなど後期高齢者医療制度の悪い部分を引き継ぐものなっています。 
高齢化の進展で増える医療費は国が責任を持つべきですが、それを無理矢理、削減しようとする高齢者を差別する制度は問題です。
それに市町村の税金投入で、保険料の高騰を抑えるのをやめさせ、医療費の増加を保険料アップに直結させて医療費削減をすすめるようなことはとても認められるものではありません。
 山野市長は、高齢者医療制度に対してどの様な御所見か伺うものです。少なくとも新制度の負担増に明快に反対すべきであります。
 ところで市民には、国保料が高いことで悲鳴が上がっています。高くて払えない。加入者の5世帯に1世帯が払えず、滞納すると保険証がもらえず、医療費の窓口負担が10割と事実上の無保険となる保険料自己負担の資格証明書の発行が1,100世帯を超える実態があります。 
 私達の試算では、年間1世帯1万円の値下げには、約6億円があれば、
可能と考えています。今なすべきは、駅武蔵地域再開発ビルの建設をやめてでも市民生活を直撃している国保料の引き下げこそ優先すべきと考えるものです。市長の決断を問うものです。

森尾嘉昭市議が一般質問
社保協加盟団体などから35人が傍聴

金沢市議会12月定例会の質問戦1日目、12月20日(月)に金沢社保協加盟の日本共産党から森尾嘉昭議員が登壇。①新市長の市政運営と具体的施策、②市民生活にかかわる諸施策、③新市長の「市政刷新」は何を刷新するのか、④憲法・地方自治・平和についての考え―の4点を質しました。

■市政運営と具体的施策
森尾市議「『くらし応援』の施策推進が求められる。年末年始にかけて、くらし・福祉の総合窓
     口の設置、必要な支援体制をどのように考えているか」
山野市長「補正予算案に790人の雇用創出、中小企業の仕事出し等を盛り込んだ」

■市民生活に関わる諸施策
森尾市議「子どもの医療費助成制度の中学校卒業までの無料化は、約5億円の財源で可能だ。
     この制度をいつから、どのように拡充するのか」
山野市長「早期に中卒まで拡充したい。国の動向をみて、年齢や時期を検討」

■「市政刷新」は何を刷新する
森尾市議「大型開発優先からくらし応援への転換が必要。金沢港整備、金沢駅西口広場再整備、
     海側幹線の区画整 理、駅武蔵間ビル建設見直しを」
山野市長「歴史・伝統立脚のまちづくりを踏襲、未来への投資として力点をおく」

■憲法、平和、地方自治
森尾市議「市長として憲法を守り、生かしていく立場だと考えるが、憲法とどのように向き合っ
     ていくのか」
山野市長「国民全てが遵守すべきもの。憲法を遵守しながら職責を全うしたい」

2010年12月
 金沢市議会12月議会 代表質問
 日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭
 私は、日本共産党市議員団を代表して質問いたします。
 山野新市長!市民一人一人のしあわせを願い、市民福祉の向上のため、この議場でも議論を交わす決意です。どうぞ、宜しくお願いいたします。
 質問の第一は、市民生活の厳しい現実から「なんとかしてほしい」との願いをどのように受け止め、くらし応援の施策を進めていかれるのか。伺います。
選挙後に地元紙に掲載された市民の声の中から、ある男性は、「雇用が不安定で商店街も活気がなく、雇用の促進と地域経済の活性化が主な課題です。若者の都会流出を防ぐべきです」との声です。また、60歳のデザイナーの男性は、「政策方針が見えてこなかった。と不満をにじませながら、今は不景気。雇用対策などをしっかり打ち出してほしい」との声です。23歳の会社員・女性は、「金沢のために尽くしてくれるやる気のある市長になってと生活向上を求めます」との声です。
あるマスコミは、「予想を覆す勝利は、市政の閉塞感を変えてほしいという市民のメッセージだ」と書き、別の記事では、「厳しい社会状況が続く中で、閉塞感を打ち破る風が金沢にも吹くことを市民が望んだ結果となった」と報じました。
 わが党が最近取り組んだ市民アンケートの中でも、1500通を超える回答の中で、暮らしが大変になったとの声は、約7割にのぼりました。そして、その理由が給料やパート、アルバイトの収入が減り、逆に税金など負担が増えたと答えています。また、県政、市政に望むことの第一位は、高齢者、障がい者福祉の充実。第二位が雇用対策。第三位が少子化、子育て支援。第四位が中小企業支援となっています。
 山野新市長!あなたご自身も、この選挙戦を通じて市民生活の厳しい現実の中で、くらしの悲鳴や、「何とかしてほしい」との声をお聞きになったと思います。それゆえに、今こそ、「くらし応援」の市政を第一とする施策の推進が求められています。市長から今後の市政運営と具体的施策についてうかがうものです。
 そこで、年末。年始を迎え、緊急対策として具体的に伺います。
 第一に、年末・年始にかけて、くらし、福祉の総合窓口を設置し、必要な支援体制をどのように考えておられるのか。
第二に、中小企業に対する金融支援、相談窓口は、どのように考えておられるのか。
 第三に、地場の企業向けに対する仕事出しについてです。
 全国175自治体で実施されている住宅リフォーム助成制度についてです。これは、地域経済への波及効果が予算の10倍を超すと言われるほど実績が広がっています。住宅リフォームに対して一定額を助成するもので、消費拡大を図ると共に、地場の関連業者の仕事出しにもつながり、緊急経済対策として大きな効果を生み出しています。その実施について、見解を求めるものです。
第四に、介護職員処遇改善のための交付金について、廃止する動きが浮上しています。来年度期限切れとなるだけにその継続を国に求めるべきと考えますが、市長の見解をうかがうものです。
 質問の第二に、市民生活にかかわる諸施策について伺います。
 第一に、こどもの医療費助成制度についてです。
 この制度は、子どものいのちを守り、少子化対策としても重視され全国各地で医療機関の窓口で、自己負担分を支払わなくても良いように無料化が進み、対象も中学校卒業までとなってきています。ところが、本市では、外来が小学校入学前まで、入院が小学校卒業までとなっており、県内でも遅れた制度となっています。しかも、1000円の自己負担を続け、医療機関の窓口でいったん自己負担を支払わなければなりません。中学校卒業までを対象とし、無料化を実現するには、約5億円の財源で可能です。
 市長!この制度をいつから、どのように拡充されるのか明らかにしていただきたいと思います。
 第二に、特別養護老人ホーム等高齢者介護施設の充実について伺います。
 市内で、特別養護老人ホームに入居を待っている方は、1500人を超えています。一方、平成21年度から23年度までの第四期事業計画では、この3年間に、小規模特別養護老人ホームは、7施設201人を整備するとしています。今回の補正予算の中で、2ヶ所58人の施設整備に対する補助金が計上され、計画された整備方針が具体化されました。さらに、次期の事業計画の前倒しとして2ヶ所58人の整備計画を打ち出しました。しかし、この整備方針では、到底待機状態を解消することはできません。
 山野新市長は、どのような整備方針を持って進められるのか明らかにしていただきたいと思います。
 ところで、本市が直接建てた施設は、1ヶ所もありません。今後、本市としてこうした高齢者介護施設を建設する考えはないのかうかがうものです。
 なお、特別養護老人ホームに入居をまっている方は、現状ではどの程度か、その内、自宅待機者は、何人か明らかにしていただきたいと思います。
 第三に、固定資産税の見直しについてです。
 山野新市長は、今回の提案説明の中では全くふれていませんでした。自らの選挙マニフェストでは、固定資産税、市民税の見直しを掲げていました。もはや、選挙キャンペーンにすぎなかったのでしょうか。どのように実現を図っていかれるのかうかがうものです。
 第四に、学校など図書館に司書を配置することについてです。
  本市では、「本の先生」と呼ばれる司書が8人、こども図書館に配置され、市内の小中学校をまわっています。各学校では、10学級以上に教諭が兼任で、配置されているのが現状です。
 山野新市長は、こうした現状から、各小中学校に専任で司書を配置するという事で、具体化されるのか。伺いたいと思います。
 また、泉野、玉川図書館における人材派遣から司書を配置している問題です。本会議でも、連合審査会でもこの問題を指摘し、改善を求めてきました。石川労働局からも文書指導で、改善を求められました。来年春には、海みらい図書館がオープンします。この際、人材派遣からの司書配置をやめ、直接雇用に切り替えるべきであります。
市長の見解をお聞きするものです。
 質問の第三に、山野新市長が掲げた「市政刷新」とは、具体的に何を刷新するのか伺います。市長は、「山出市政で踏襲すべきものは、踏襲し、市民に一つの転換点であったと認識してもらえる4年間にしたい」と述べました。いったい、これまでの5期20年間の山出前市政の何を刷新するのか。提案説明を聞いても見えてきません。
 市長!あなたご自身も公約に掲げた市民生活にかかわる諸施策を実現する上でも、これまでの大型開発優先からくらし応援への転換が必要ではありませんか。市長は、「時代の変化を敏感に察知し、変わるべき点は勇気を持って変えていかなければならない」と述べました。
 大型開発に優先的に税金を投入する施策こそ、改め、くらし応援の施策や、中小企業、地場の伝統産業、農林漁業を中心とする経済政策に転換する事が求められています。市長の見解を伺うものです。
 これまで、247億円を投じて金沢港の整備事業など大型開発事業を推進してきました。さらに、金沢駅西口広場再整備事業に28億円、海側幹線道路の戸水から大河端までの2キロ区間で、幅60ⅿの道路建設と合わせた3つの区画整理事業に184億円そして、金沢駅・武蔵間での5つめのビル建設に50億円。これらの事業を合わせて、260億円に達します。こうした事業を見直す考えはありませんか。その見解をうかがうものです。
 さらに、山野新市長が打ち出された市庁舎前広場をイベント広場に大改修する事や、金沢港ベイエリア開発事業、すなわち、金沢港周辺を観光、ショッビング、レジャー施設にするという開発事業は、さらに、巨額の税金投入につながりかねません。税金の使い方が間違ってはいませんか。市長の見解を伺います。
 さて、今回の補正予算の中で、金沢テクノパーク企業立地助成金として5億円が計上されています。これは、森本地区での先端産業立地のための工業団地として造成されたテクノパークに新工場を建設した澁谷工業に対して助成するものです。
すでに、澁谷工業は、このテクノパークに進出するにあたって、平成12年に3億5200万円、平成17年に1億4800万円、雇用助成金として平成18年に800万円が助成されています。今回の5億円の助成金と合わせると10億800万円が市民の税金で一つの企業に助成されることになります。
さらに、渋谷工業は、本社のとなりにあった若宮地区の本市が所有していた用地を取得しました。その経過について、本議場でも取り上げ、問題をただしてきました。企業局が所有していた用地は、取得した金額の半分で渋谷工業に売却し、若宮にあった本市道路管理事務所は、森本の工業団地用地内に移転し、その費用が6億円でした。一方若宮地内の用地は、5億円で渋谷工業に売却しました。行政改革だと言って、道路管理事務所を移転し、その移転費用は、土地売却の額を1億円上回りました。一つの企業に対して手厚い対応で本市の用地を売却したと言えるものであります。
市長!特定の企業に対してあまりにも利便を図る対応ではありませんか。見解を伺うものです。
そもそも、テクノパークは、18年前に着工され、280億円を投じて先端産業を誘致する工業団地として造成されたものです。しかし、今だに25%の用地が売れ残っています。その面積は、東京ドーム約2個分にあたります。このテクノパークに企業を誘致するために、本市は、最高6億円までの助成金を用意しています。このテクノパークに誘致された企業は、5社ですが、これまで支払われた助成金の総額はどの程度ですか。明らかにしていただきたいと思います。
市長!こうしたテクノパークの現状をどのように考えますか。この事業についても、山出前市政を引き継ぎ、助成金制度をかざして呼び込み型の誘致を続けて行かれるのですか。見解を伺うものです。
もう一つ、金沢港の整備事業です。
大手企業コマツが、第一工場に続いて第二工場を建設し、小松市の本社工場を金沢に移転いたしました。茨城の常陸那珂港と金沢の二カ所を拠点とする工場を再編成し、港に直結した工場によって、生産から東南アジアや中近東へ輸出するという合理化方針によって、進められたものです。
そのため、第一工場の横に大水深岸壁が建設されました。大型船が利用できるようにと港の深さ10mを13mに掘り下げる事業が進められています。当面12mで暫定利用がはじまっています。周辺の道路整備と合わせ、金沢港整備事業は、247億円にのぼっています。本市は、その内財政負担が50億円です。そして、第二工場建設にあたって、粟崎地内の用地を20億円投じて本市が造成しました。保安林を解除し、2万本のアカシアの木を伐採しました。さらに、第一工場建設に対して、3億円の助成を行いました。2億円を限度とする企業進出への助成金に対して、市長の判断で1億円をプラスして助成したものです。そして、県は、この第一工場建設に対して総額7億3500万円の助成を行いました。したがって、コマツは、第一工場の建設で県と本市合わせて10億3500万円の助成金を得たことになります。大手企業のコマツは、2009年度の売り上げは、2兆217億円で、営業利益は、1519億円です。2010年度は、世界的不況の中でも、売り上げは、1兆4315億円で、営業利益は、670億円にのぼっています。大手企業に対して様々な利便を図る、市民の税金をおしみなく投入することは、許されることでしょうか。
市長は、この点でも、山出前市政の継承を掲げていかれるのですか。見解を伺います。第一工場と同じように第二工場建設に対しても同じように助成金を行う考えですか。改めて伺うものです。
また、金沢港大水深岸壁の利用状況について明らかにしていただきたいと思います。
質問の最後に、憲法や地方自治、そして、平和についてどのような考えで市政に望むのか伺います。
山野新市長は、これまで自らのブログや本など文章の中で、独自の考えを表明されてきました。また、あなたが所属してきた自由民主党は、憲法9条の改正など独自の憲法制定を掲げています。
今後、市長として憲法を守り、生かしていく立場だと考えますが、あなたは、憲法とどのように向き合っていかれるのか伺うものです。
また、地方自治は、戦後政治の原点ともいわれ、その役割は、そこに住む住民の福祉向上をめざすことであり、住民参加と民主主義を守り発展させていくことが求められています。
山野新市長は、戦後培われ、発展させてきた地方自治について、どのような立場で市政運営に活かされていくのかその見解を伺うものです。
最後に、平和についてです。
本市は、平和都市宣言を昭和60年・1985年に行い、姉妹都市交流をはじめ、国内外との都市交流を進めてきました。また、原爆展の開催をはじめ、核兵器廃絶への願いとメッセージを内外に発信してきました。
アメリカのオバマ大統領がみずから核兵器廃絶への宣言を行い、核保有国を含め、世界から核兵器をなくすことが現実的課題として提起されてきました。こうした情勢の進展と共に、核兵器廃絶の取り組みが世界的規模の広がりを見せています。ぜひ、本市としても核兵器廃絶に向け、その実現をめざす取り組みを進めることが求められています。
山野新市長!あなたの核兵器廃絶への決意と、本市の平和都市宣言にそって、その具体的とりくみについて、どのように考えるのか伺いまして、私の質問を終わります。

2010年11月30日
金沢市議会11月臨時議会 反対討論
日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭

私は、日本共産党市議員団を代表して討論を行います。
わが党は、議案第1号職員の給与に関する条例等の一部改正について、反対であります。この条例は、人事院勧告を受け、管内閣が11月1日、閣議決定を行い、18日には、衆議院本会議で国家公務員給与を1.5%引き下げる給与法関連改正案が民主党、公明、社民党などの賛成で可決されたことを受けて、提案されたものであります。
その主な内容は、第一に、本市職員の給与を平均0.1%引き下げる。55歳を超える職員については、さらに、給与等を1.5%引き下げる。第二に、期末勤勉手当の支給割合を0.2カ月分の引き下げると言うものです。
これによって、給与が7000円、期末勤勉手当が8万2千円の引き下げとなり、年間平均給与が約8万9千円と大幅な引き下げとなるものです。その影響額は、約3億2千万円にも及びます。
昨年、夏季一時金の0.2カ月分の削減、引き続く、昨年末の給与0.22%と期末勤勉手当0.35カ月分の引き下げが実施され、その総額は約5億5千万円に及びました。 今回は、昨年に引き続く引き下げとなるもの、その改定内容には、給与の引き下げがこの4月からさかのぼって実施され、支給割合を0.2カ月分引き下げられる期末勤勉手当からさらに、差し引くことが含まれてます。また、55歳を超える職員については、さらに、給与等を1.5%引き下げるもので、この12月から実施されます。本市の場合、120人が対象となります。さらに、義務教育等教員特別手当の削減が来年1月から実施され、本市の場合市立工業高校の教職員52人が対象となります。
昨年に引き続く、今回の大幅な給与の引き下げは、職員とその家族の生活へ甚大な影響をもたらすと共に、家のローンや老後の生活など人生設計にも大きな影響をもたらすものです。さらに、民間労働者の給与と景気にも深刻な影響をもたらすものです。実際、公務員の給与の引き下げによって民間の労働者の賃下げにもつながるという賃金削減サイクルとも言うべき事態を引き起こしており、働く人々の生活破壊にとどまらず、内需を拡大し、景気回復につなげようとの方向とは逆行するものです。
したがって、わが党は、こうした大幅な給与引き下げが、職員の生活に大きな影響をもたらすと共に、地域経済を冷え込ませ、民間労働者の賃金をも引き下げるという悪循環を引き起こし、消費不況が一層広がり、地域経済にも影響をもたらすものであり、認めることはできません。
よって、わが党は、今回の職員給与等の引き下げを盛り込んだ条例改正に反対である事を表明し、反対討論を終わります。

議 案 提 出 に つ い て

 議案「金沢市長の在任期間に関する条例」を次のとおり会議規則第13条の規定により提出します。

  平成22年9月22日

 金沢市議会議長 田 中   仁  様

                    提 出 者

                                              金沢市議会議員  不 破 大 仁

                                                    〃        下 沢 広 伸

                          〃    高 岩 勝 人

                          〃    野 本 正 人

                          〃    小 林   誠

                          〃    玉 野   道

議会議案第1号

金沢市長の在任期間に関する条例

(目的)

第1条 この条例は、市長が本市を統轄し、予算の調製及び執行、職員の任免その他の権限を行使する地位にあることにかんがみ、また権力を法的に制限すべきであるとする立憲主義の考え方から、市長の在任期間について必要な事項を定めることにより、高い倫理観や資質を有する場合においても、その者が長期にわたり市長の職にあることに伴って生ずるおそれのある弊害を防止し、もって市政運営の活性化及び地方自治のさらなる進展を図ることを目的とする。

(市長の在任期間)

第2条 市長は、連続した3任期(各任期における在任期間が4年に満たない場合もこれを1任期とする。)の当該3任期目以後の各任期に係る選挙において投票率が別に条例で定める割合を超えない場合には、当該任期の次の任期に在任することのないよう努めるものとする。

附 則

この条例は、平成22年12月10日から施行する。

提案の趣旨

代表民主制においては、代表者を選ぶ選挙にいかに選挙人の意志を反映させることができるかが重要であり、そのためには、選挙の実質的な競争性が確保されることが必要である。

多選の結果、選挙の実質的競争性が損なわれているとすれば、選挙の競争性を確保し、政策選択の幅を広げる手法の一つとして任期制限を位置づけることができ、このような考え方にたった場合には、任期制限は、民主主義の理念に沿ったものと考えられるため。

2010年9月 金沢市議会9月議会 
議会議案第1号金沢市長の在任期間に関する条例(案)
        質 疑
日本共産党金沢市議会議員 森尾 嘉昭

 私は、日本共産党市議員団の一人として上程されました議会議案第1号金沢市長の在任期間に関する条例(案)に対して質疑いたします。
 第一に、この条例案が、憲法違反に当たらないかという点です。
 平成19年10月18日衆議院総務委員会で、次のようなやり取りがあります。
 質問 神奈川県議会で10月12日に知事多選禁止条例が成立をいたしましたが、総務省の評価はいかがでしょうか。
 答弁に立った久元政府参考人は、「法律解釈について申し上げたいと思います。まず、結論から申しますと今回成立いたしました神奈川県知事の在任の期数に関する条例は違法であるというふうに考えております。その理由でありますが、現行の地方自治法は、知事の任期については定めておりますが、在任できる期数については定めておりません。知事の在任期数を制限するとすれば、それは法律上の根拠を要するというふうに考えております」
 と答弁を行っています。

 答弁は続いて、知事の在任期数を制限する規定について、次のように述べています。「立候補することができない者を、被選挙権を有しない者として成年被後見人あるいは公民権を停止されている者など一定の範囲に限定している公職選挙法の規定を逸脱ものであり、違法である」と述べています。
 総務省の下で「首長の多選問題に関する調査研究会」がつくられ、その報告書の中で、首長の多選制限について必ずしも憲法に反するものとはいえないとの見解をまとめています。平成19年5月30日です。この国会でのやり取りは、報告書が提出された後のことであります。また、この報告書では、多選制限について、「制度化する場合には、法律にその根拠を置くことが憲法上必要であり、地方公共団体の組織及び運営に関する事項を一般的に定めた地方自治法において規定することが適当である」と述べています。
 多選を理由に条例などで任期を制限したり、自粛すると言うのは、憲法が明記する基本的人権、民主主義の原則からして問題があるのではありませんか。
 最高裁判所の判決でも「立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあり、自由かつ公正な選挙を維持するうえで、極めて重要である」と明快に述べています。
 以上の事から、この条例案が憲法違反に当たらないのか。答弁を求めるものです。

 第二に、二元代表制ということからすると議会が市長の在任期間に関して条例提案することは問題がないのか。伺います。
 憲法は、地方自治の原則として議会と首長がどちらも住民から選挙を通じて直接選ばれる二元代表制を定めています。
 したがって、両者が抑制と均衡というチェック・アンド・バランスをもって、お互いの独断や暴走を防ぎ、民主主義を保障するという仕組みとなっています。
 市長の多選が気にくわない。問題だと言って、議会が市長の多選を自粛したり、禁止したりすることは問題ありませんか。
 二元代表という視点から、この条例案について、どのように考えたのか伺うものです。

 第三に、この条例案の第2条で、「市長は、連続した3任期の当該3任期目以降の各任期に係る選挙において投票率が別に定める割合を超えない場合には、当該任期の次の任期に在任することのないよう努めるとする」としています。
 これは、3期連続して当選した場合、その時の投票率が20%台だった場合、次の4期目には、立候補しないよう努めると言うものです。
 その投票率が30%を超えない場合とするのか。40%とするのか。50%とするのか。別の条例で定めるとしています。これは、大変重要な事でもあり、なぜ、この条例で示さなかったのか。示さないということは、この条例案にとって致命的な欠陥とならないのか。伺うものです。

 第四に、この条例案は、附則で「この条例は、平成22年12月10日から施行する」としています。
 今期山出市長の任期は、平成22年12月9日までであります。したがって、新しい市長の任期は、平成22年12月10日から始まります。
 するとこの条例は、山出市長の6期目出馬には、適用しないと言うことになります。これでは、山出市長の6期目の出馬は良いと言うことになり、多選自粛というこの条例案の目的からして、つじつまが合わなくなりませんか。
 その点について、伺うものです。
 最後に、誰を選ぶか。その権利は、国民にあります。選挙によって、有権者の意思を判断すべきではありませんか。
 その点を伺いまして質疑を終わります。 

2010年9月22日
反対討論
日本共産党 升 きよみ

 私は、只今上程されました議会議案第1号金沢市長の在任期間に関する条例等について反対討論を行います。
 今回提案された条例案は自由民主党議員を初めとする6名の議員各位によって提出されましたが、その内容の問題点は、我党の森尾議員の質疑等で質したところですが、改めて日本共産党市議員団の見解を述べます。
 本条例等が提出された背景に、市民の首長に対する多選への率直な批判的意見や、又市民の今の政治への不満や不安が大きい中で、「政治を何とか変えてほしい」、「地方議会の日本共産党を除くオール与党政治に対する苛立ちや怒り」等、様々な矛盾が生じている中で、それら市民の思いを受け止めながらも、それをなんとか回避すること等から提出されたものと思います。

 しかし、この条例案では真の市民の願いや要求に応えるものではなく、むしろ重大な憲法上の問題等があり、とても認めることの出来ないものです。
 その条例案内容では、「市長が連続して3期以降の各任期に関わる選挙において、投票率が別に条例で定める割合を超えない場合には、当該任期の次の任期に在任することのないように努めるものとする」としておりますが、結局、3期連続して当選した市長が投票率が低い場合は、4期目の選挙には立候補しないよう努めるとしていますが、その投票率については、どの程度が低いとするのか高いとするのかは不明であり、任期期限は、政策選択の幅を広げる手法とか選挙の競争性を確保するものと言っても、民主主義の理念に沿ったものとは言い難く、納得できるものではありません。その上、「有権者の多数で多選が支持された場合は除かれる」としていますが、投票率を持って多選を容認或いは禁止は当たらないと考えます。

 むしろ、多選や定年制を理由に条例や法律などで任期を制限することは、それこそ憲法が明記する基本的人権や民主主義の本則からもおおいに問題があります。それは、憲法第15条は、選挙権が基本的人権の一つであることを明らかにしており、そして最高裁はかつてこの憲法の規定にも触れながら、「立候補の自由は選挙権の自由な行使と表裏の関係」にあり「選挙に立候補しようとする者がその立候補について不当に制約を受けるようなことがあれば、選挙人の自由な意思の表明を阻害することとなり、自由かつ公正な選挙の本旨に反する」との考えを明らかにしており、「立候補の自由」を不当に制約することは憲法違反になると言うことです。
 大事なことは、住民にとってよいものはよいと言うことではないでしょうか。誰を首長や議員に選ぶのか、その権利は市民・国民にあります。それこそよいものはよい、住民のためになるものは選挙で審判を下せばよいのです。
 
 山出市長が、6期目の出馬表明されたことで、この条例案は市民の中には様々な受け止めと反応があります。そうした中で本条例案が施行を平成22年12月10日としている事も、結局、今問われている最大の関心事から離れておりますし、今後将来における拘束力のない内容にも甚だ疑問を感じます。
 今回の提案者が真に多選を批判するなら、それにふさわしい選挙での候補者を擁立をして、市民に問うべきではありませんか。又、今日の政治・政策を真に変えようとするなら、これまでの政治・政策への大きな転換を図る事であり、我党は市民の皆さんと共に住民のためになる市民本位の市政をめざして、力を合わせていくことを表明して討論と致します。

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